JP2004017628A - 積層成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形時の熱による表皮材表面の悪化を回避できる積層成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の積層成形体1の製造方法は、成形型面32aにシボ模様を有する成形型30の間に表皮材24と不織布25とを配置して、表皮材24の表面にシボ模様を有する成形型面32aを対向させる工程と、基材材料20aを成形型30内に射出して成形型30によって加圧成形するとともに、表皮材24の表面に成形型面32aのシボ模様を転写する工程とを備える。この方法では、基材材料20aによって表皮材24を加熱してシボ模様を転写するため、基材材料20a成形時の熱によって表皮材24のシボ模様が変形したり流れたりするおそれがない。また、表皮材24と基材材料20aとの間に不織布25を介在させることで、表皮材24が基材材料20aによって過度に加熱されることを回避できる。
【選択図】図5
【解決手段】本発明の積層成形体1の製造方法は、成形型面32aにシボ模様を有する成形型30の間に表皮材24と不織布25とを配置して、表皮材24の表面にシボ模様を有する成形型面32aを対向させる工程と、基材材料20aを成形型30内に射出して成形型30によって加圧成形するとともに、表皮材24の表面に成形型面32aのシボ模様を転写する工程とを備える。この方法では、基材材料20aによって表皮材24を加熱してシボ模様を転写するため、基材材料20a成形時の熱によって表皮材24のシボ模様が変形したり流れたりするおそれがない。また、表皮材24と基材材料20aとの間に不織布25を介在させることで、表皮材24が基材材料20aによって過度に加熱されることを回避できる。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、射出成形を利用して積層成形体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の内装パネルには、樹脂基材の表面に表皮材が積層されているものがある。このような内装材は、基材の成形型に表皮材を配置しておき、基材の加圧成形と同時に一体化することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の方法では、基材材料は成形可能な軟化状態または溶融状態となる高温に加熱されている。このため、この基材材料に表皮材が接触することで、表皮材が軟化することがあり、このとき表皮材の表面に付与されていたシボ等の模様が浅くなったり、流れたりすることがある。また、表皮材と基材との間に発泡材を設ける場合、基材材料の熱で発泡材の材料が軟化し、泡が潰れて表面が凹凸になってしまうことがある。
【0004】
そこで、本発明では、成形時の熱による表皮材表面の悪化を回避できる積層成形体の製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、表皮材と不織布と基材とがこの順で積層された積層成形体の製造方法であって、成形型面にシボ模様を有する成形型の間に表皮材と不織布とを配置して、表皮材の表面に前記シボ模様を有する成形型面を対向させる工程と、基材材料を前記成形型内に射出して成形型によって加圧成形するとともに、表皮材の表面に前記成形型面のシボ模様を転写する工程とを備える、積層成形体の製造方法を提供する。
この方法によれば、表皮材の表面のシボ模様は、成形型内に射出される基材材料によって表皮材が加熱され、シボ模様が付与されている成形型面に押付けられることで形成される。したがって、基材材料による表皮材の加熱を利用してシボ模様を転写するため、基材材料を成形するときの熱によって表皮材のシボ模様が変形したり流れたりするおそれがない。また、表皮材と基材材料との間に不織布を介在させるため、表皮材が基材材料によって過度に加熱されることを回避できる。したがって、本製造方法では、基材成形時の熱による積層成形体の表面の悪化を回避して、見栄えの良い積層成形体を得ることができる。
【0006】
また、本発明では、上記製造方法において、前記成形型は、表皮材の軟化温度より60℃以上80℃以下低い温度に保温されていることが好ましい。この場合、表皮材が成形型面に接触したときに成形型によって急冷されて、成形型面のシボ模様に入り込む前に高粘性体になったり固化したりすることを防いで表皮材を成形型面のシボ模様に良好に入り込ませることができる。また、シボ模様を成形後、速やかに冷却してシボ模様を確実に転写することができる。
また、上記いずれかの製造方法において、前記表皮材は、サーモプラスチックオレフィンを含有すると、表皮材は基材材料によって加熱されることで速やかに軟化し、また冷却によって速やかに固化するため、良好なシボ模様を付加できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係わる積層成形体を図1に示す。
図1に示す積層成形体1は、車両のドアの内装パネルである。積層成形体1は、肘掛けやスイッチ、収納スペースなどを構成する凹凸形状を備える板状に成形されており、必要に応じて貫通孔も形成されている。
【0008】
図2に積層成形体1の左下角部を拡大して示す。積層成形体1は、基材20と不織布25と表皮材24とがこの順で積層されている。不織布25と表皮材24とは、基材20の端部を被覆するように基材20の裏側に折込まれており、基材20は積層成形体1の表面から視認されないようになっている。
【0009】
基材20は、熱可塑性樹脂材料を含有し、加圧成形できる材料で形成されている。基材20は、木質材料、すなわちリグノセルロース材料を含有していても良い。木質材料は、繊維化されたものでも良いし、繊維より大きい状態に細分された材料であっても良い。また、基材20は発泡体でも良い。本実施形態では、基材20は、ケナフコアをチップ化した木質材料とポリプロピレン樹脂とがほぼ1:1で混合された材料より形成されている。
【0010】
不織布25は、基材20の加圧成形温度に耐え得る公知の繊維材料で形成されている。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ナイロン等の熱硬化性樹脂よりなる繊維材料、グラスウール等を用いることができる。本実施形態の不織布25は、PET繊維より成る。
【0011】
表皮材24は、基材材料の溶融温度より低い温度で軟化する公知の表皮材料で形成されているシート状部材である。例えば、ポリエステル、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなど種々の熱可塑性樹脂材料を含有するフィルム、織布などで形成することができる。また、熱可塑性エラストマー材料を用いることもできる。好ましくは、表皮材24は、軟化開始温度と軟化完了温度との差が小さい材料で形成され、具体的には、サーモプラスチックオレフィン(TPO)が好ましい。本実施形態では、表皮材24は、TPOのフィルムで形成されている。
【0012】
表皮材24は、表面にシボ模様が施されている。シボ模様は合皮調、木目調など任意の模様とされる。シボ模様は、表皮材24全体に均一に設けられていても良いし、部分的に設けられても良い。
【0013】
次に、本発明にかかわる積層成形体の製造方法の一実施形態について説明する。
本製造方法では、例えば図3に示すような加圧成形に用いられる公知の成形型を用いる。好ましくは、基材20を構成する材料を溶融状態でキャビティに供給するためのスプルー36を備える射出プレス用の成形型が用いられる。本実施形態の成形型30は、凸状成形型34と凹状成形型32とを備えており、凸状成形型34の成形型面34aに射出口が形成されたスプルー36が設けられている。
【0014】
成形型30の成形型面には、シボ模様が設けられている。シボ模様は、図3に示すような凹状の成形型面32aまたは凸状の成形型面34aのどちらか一方、または両方に設けることができる。また、成形型面32a,34aの所定の部位のみにシボ模様が設けられていても良い。図3に示す成形型30は、積層成形体1の表面を構成する側の成形型面32aに、積層成形体1の表面にシボ模様を成形するためのシボ模様を備えている。
【0015】
成形型面32aに付与されるシボ模様は、成形される積層成形体1の表面に付与したいシボ模様と反対の凹凸形状に形成されたシボ模様である。このシボ模様は、公知の方法によって付与できる。成形型面32aを切削することによって形成されても良いし、凹状成形型32に成形型面32aを成形するときに同時に成形されても良い。
【0016】
本発明の製造方法は、成形体表面を構成する成形型面にシボ模様が付与されている成形型を用意し、この成形型の間に表皮材が成形型面のシボ模様に対向するように、表皮材と不織布とを配置する第1の工程と、基材材料を成形型内に射出して成形型によって加圧成形するとともに、表皮材の表面に成形型面のシボ模様を転写する第2の工程とを備える。
【0017】
(第1の工程)
図3に、第1の工程完了後のようすを示す。表皮材24と不織布25とは、予め一体化されており、シート状の表皮シート22に形成されていることが好ましい。本実施形態では、不織布25は、表皮材24の熱可塑性樹脂によって、表皮材24に溶着されて、表皮シート22となっている。表皮材24の表面は、通常、平面に形成されている。
【0018】
表皮シート22は、表皮材24がシボ模様を備える成形型面に対向する様に、成形型の間に配置される。図3に示すように、本実施形態では、表皮材24が成形型面32aにシボ模様を備える凹状成形型32に対向し、不織布25が凸状成形型34に対向するように配置する。表皮シート22は、対を成す成形型32,34の間のどこに配置されても良い。表皮シート22は、好ましくは展張状態で配置されるが、自然状態であっても良い。本実施形態では、表皮シート22は、凹状成形型32の突き合わせ面に沿って展張状態で設けられている。
【0019】
(第2の工程)
図4,5に本実施形態の第2の工程を示す。基材材料20aは、溶融状態で射出によって供給される。基材材料20aは、容易に射出でき、かつ加圧成形に好ましい温度に調整される。例えば、ポリプロピレンでは、樹脂温度は230℃〜260℃であると、容易に成形型30のキャビティ内に展延する。
【0020】
基材材料20aの供給と成形型30の型締めは、ほぼ同時に行われ、射出の開始は、型締めの開始の前、同時、または後のいつでも良い。また、基材材料20aの供給の完了と成形型30の完了は、同時でも良いし、どちらか一方が先行しても良い。いずれの形態においても、キャビティに供給された基材材料20aは、速やかに加圧成形される。本実施形態では、図4,5に示すように、型締め前に、凸状成形型34のスプルー36から基材材料20aの供給を始める。射出された基材材料20aは、キャビティ内に展延され、成形型30によって加圧されて、所定の立体形状を備える基材20に成形される。また、基材材料20aが不織布25に浸入し、基材材料20aと表皮シート22が一体化状態となる。
【0021】
基材材料20aのキャビティへの供給により、また成形型30の型締めにより、表皮シート22は凹状成形型32側に押圧される。そして、表皮シート22は、基材材料20aの展延が完了することによって凹状成形型32の成形型面32aに沿う。
このとき、表皮シート22は、基材材料20aと接触することで加熱される。図5に示すように、表皮材24は、不織布25を介して基材材料20aに接するため、不織布25による断熱作用によって基材材料20aより低い温度に加熱される。例えば、基材材料20aが230〜260℃であるとき、PET製の不織布25を通して加熱される表皮材24は、基材材料20aより約100℃程度低い温度まで速やかに加熱される。表皮材24がTPOであると、軟化温度である140℃程度に加熱される。
【0022】
基材材料20aで加熱された表皮材24は、軟化または溶融し、当接する凹状成形型32の成形型面32aのシボ模様に沿う形状となる。一方、表皮材24は、凹状成形型32に接触することで冷却され、シボ模様の形状に固化する。このことにより、表皮材24の表面にシボ模様が転写される。
【0023】
ここで、成形型面32a,34aは、常温または室温でも良いが、好ましくは、少なくともシボ模様を備える成形型面32aを表皮材24の軟化温度に対して60℃〜80℃程度低い温度に保温しておく。これにより、軟化した表皮材24が、成形型面32aとの接触で急激に冷却されて、成形型面32aのシボ模様へ十分入り込む前に固化してしまうことを防ぐことができる。
【0024】
基材20及び表皮材24を固化させてから、成形型30から取り出すことで、積層成形体1が得られる。基材材料20aが不織布25に浸入した状態で固化するため、基材20と表皮シート22とは一体になる。図1,2に示す積層成形体1は、表皮シート22の端部分、すなわち成形型面32a,34aの外側で保持されている部分が基材20の端縁を被覆するように固着されている。
【0025】
この製造方法では、基材材料20aを成形する成形型面32aにシボ模様を付与するためのシボ模様を設けておき、基材材料20aによる表皮材24の加熱によって表皮材24にシボ模様を転写する。したがって、表皮材24に形成されるシボ模様には、基材材料20aの成形時にシボ模様を変形させたり、破壊したりする力が加わることがないため、表面に良好なシボ模様を付与して積層成形体1を製造することができる。
【0026】
また、表皮材24と基材材料20aとの間に不織布25を設けることにより、基材材料20aの成形に適する温度と表皮材24の成形に適する温度との差を良好に補償することができる。すなわち、不織布25の断熱作用により、表皮材24を基材材料20aより低い温度に加熱することができ、基材材料20aの成形と表皮材24へのシボ模様の転写の両方を、良好な温度条件で行うことができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明では、成形時の熱による表皮材表面の悪化を回避できる積層成形体の製造方法を提供することにより、良好な表面を備える積層成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる積層成形体の斜視図である。
【図2】図1の積層成形体の一部を拡大した部分断面図である。
【図3】本発明の積層成形体の製造方法の一実施形態において、表皮材と不織布とを成形型間に配置したようすを示す断面図である。
【図4】本発明の積層成形体の製造方法の一実施形態において、成形型内に基材材料を射出するようすを示す断面図である。
【図5】本発明の積層成形体の製造方法の一実施形態において、加圧成形するようすを示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層成形体
20 基材
20a 基材材料
22 表皮シート
24 表皮材
25 不織布
30 成形型
32 凹状成形型
32a,34a 成形型面
34 凸状成形型
36 スプルー
【発明の属する技術分野】
この発明は、射出成形を利用して積層成形体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の内装パネルには、樹脂基材の表面に表皮材が積層されているものがある。このような内装材は、基材の成形型に表皮材を配置しておき、基材の加圧成形と同時に一体化することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の方法では、基材材料は成形可能な軟化状態または溶融状態となる高温に加熱されている。このため、この基材材料に表皮材が接触することで、表皮材が軟化することがあり、このとき表皮材の表面に付与されていたシボ等の模様が浅くなったり、流れたりすることがある。また、表皮材と基材との間に発泡材を設ける場合、基材材料の熱で発泡材の材料が軟化し、泡が潰れて表面が凹凸になってしまうことがある。
【0004】
そこで、本発明では、成形時の熱による表皮材表面の悪化を回避できる積層成形体の製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、表皮材と不織布と基材とがこの順で積層された積層成形体の製造方法であって、成形型面にシボ模様を有する成形型の間に表皮材と不織布とを配置して、表皮材の表面に前記シボ模様を有する成形型面を対向させる工程と、基材材料を前記成形型内に射出して成形型によって加圧成形するとともに、表皮材の表面に前記成形型面のシボ模様を転写する工程とを備える、積層成形体の製造方法を提供する。
この方法によれば、表皮材の表面のシボ模様は、成形型内に射出される基材材料によって表皮材が加熱され、シボ模様が付与されている成形型面に押付けられることで形成される。したがって、基材材料による表皮材の加熱を利用してシボ模様を転写するため、基材材料を成形するときの熱によって表皮材のシボ模様が変形したり流れたりするおそれがない。また、表皮材と基材材料との間に不織布を介在させるため、表皮材が基材材料によって過度に加熱されることを回避できる。したがって、本製造方法では、基材成形時の熱による積層成形体の表面の悪化を回避して、見栄えの良い積層成形体を得ることができる。
【0006】
また、本発明では、上記製造方法において、前記成形型は、表皮材の軟化温度より60℃以上80℃以下低い温度に保温されていることが好ましい。この場合、表皮材が成形型面に接触したときに成形型によって急冷されて、成形型面のシボ模様に入り込む前に高粘性体になったり固化したりすることを防いで表皮材を成形型面のシボ模様に良好に入り込ませることができる。また、シボ模様を成形後、速やかに冷却してシボ模様を確実に転写することができる。
また、上記いずれかの製造方法において、前記表皮材は、サーモプラスチックオレフィンを含有すると、表皮材は基材材料によって加熱されることで速やかに軟化し、また冷却によって速やかに固化するため、良好なシボ模様を付加できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係わる積層成形体を図1に示す。
図1に示す積層成形体1は、車両のドアの内装パネルである。積層成形体1は、肘掛けやスイッチ、収納スペースなどを構成する凹凸形状を備える板状に成形されており、必要に応じて貫通孔も形成されている。
【0008】
図2に積層成形体1の左下角部を拡大して示す。積層成形体1は、基材20と不織布25と表皮材24とがこの順で積層されている。不織布25と表皮材24とは、基材20の端部を被覆するように基材20の裏側に折込まれており、基材20は積層成形体1の表面から視認されないようになっている。
【0009】
基材20は、熱可塑性樹脂材料を含有し、加圧成形できる材料で形成されている。基材20は、木質材料、すなわちリグノセルロース材料を含有していても良い。木質材料は、繊維化されたものでも良いし、繊維より大きい状態に細分された材料であっても良い。また、基材20は発泡体でも良い。本実施形態では、基材20は、ケナフコアをチップ化した木質材料とポリプロピレン樹脂とがほぼ1:1で混合された材料より形成されている。
【0010】
不織布25は、基材20の加圧成形温度に耐え得る公知の繊維材料で形成されている。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ナイロン等の熱硬化性樹脂よりなる繊維材料、グラスウール等を用いることができる。本実施形態の不織布25は、PET繊維より成る。
【0011】
表皮材24は、基材材料の溶融温度より低い温度で軟化する公知の表皮材料で形成されているシート状部材である。例えば、ポリエステル、ウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなど種々の熱可塑性樹脂材料を含有するフィルム、織布などで形成することができる。また、熱可塑性エラストマー材料を用いることもできる。好ましくは、表皮材24は、軟化開始温度と軟化完了温度との差が小さい材料で形成され、具体的には、サーモプラスチックオレフィン(TPO)が好ましい。本実施形態では、表皮材24は、TPOのフィルムで形成されている。
【0012】
表皮材24は、表面にシボ模様が施されている。シボ模様は合皮調、木目調など任意の模様とされる。シボ模様は、表皮材24全体に均一に設けられていても良いし、部分的に設けられても良い。
【0013】
次に、本発明にかかわる積層成形体の製造方法の一実施形態について説明する。
本製造方法では、例えば図3に示すような加圧成形に用いられる公知の成形型を用いる。好ましくは、基材20を構成する材料を溶融状態でキャビティに供給するためのスプルー36を備える射出プレス用の成形型が用いられる。本実施形態の成形型30は、凸状成形型34と凹状成形型32とを備えており、凸状成形型34の成形型面34aに射出口が形成されたスプルー36が設けられている。
【0014】
成形型30の成形型面には、シボ模様が設けられている。シボ模様は、図3に示すような凹状の成形型面32aまたは凸状の成形型面34aのどちらか一方、または両方に設けることができる。また、成形型面32a,34aの所定の部位のみにシボ模様が設けられていても良い。図3に示す成形型30は、積層成形体1の表面を構成する側の成形型面32aに、積層成形体1の表面にシボ模様を成形するためのシボ模様を備えている。
【0015】
成形型面32aに付与されるシボ模様は、成形される積層成形体1の表面に付与したいシボ模様と反対の凹凸形状に形成されたシボ模様である。このシボ模様は、公知の方法によって付与できる。成形型面32aを切削することによって形成されても良いし、凹状成形型32に成形型面32aを成形するときに同時に成形されても良い。
【0016】
本発明の製造方法は、成形体表面を構成する成形型面にシボ模様が付与されている成形型を用意し、この成形型の間に表皮材が成形型面のシボ模様に対向するように、表皮材と不織布とを配置する第1の工程と、基材材料を成形型内に射出して成形型によって加圧成形するとともに、表皮材の表面に成形型面のシボ模様を転写する第2の工程とを備える。
【0017】
(第1の工程)
図3に、第1の工程完了後のようすを示す。表皮材24と不織布25とは、予め一体化されており、シート状の表皮シート22に形成されていることが好ましい。本実施形態では、不織布25は、表皮材24の熱可塑性樹脂によって、表皮材24に溶着されて、表皮シート22となっている。表皮材24の表面は、通常、平面に形成されている。
【0018】
表皮シート22は、表皮材24がシボ模様を備える成形型面に対向する様に、成形型の間に配置される。図3に示すように、本実施形態では、表皮材24が成形型面32aにシボ模様を備える凹状成形型32に対向し、不織布25が凸状成形型34に対向するように配置する。表皮シート22は、対を成す成形型32,34の間のどこに配置されても良い。表皮シート22は、好ましくは展張状態で配置されるが、自然状態であっても良い。本実施形態では、表皮シート22は、凹状成形型32の突き合わせ面に沿って展張状態で設けられている。
【0019】
(第2の工程)
図4,5に本実施形態の第2の工程を示す。基材材料20aは、溶融状態で射出によって供給される。基材材料20aは、容易に射出でき、かつ加圧成形に好ましい温度に調整される。例えば、ポリプロピレンでは、樹脂温度は230℃〜260℃であると、容易に成形型30のキャビティ内に展延する。
【0020】
基材材料20aの供給と成形型30の型締めは、ほぼ同時に行われ、射出の開始は、型締めの開始の前、同時、または後のいつでも良い。また、基材材料20aの供給の完了と成形型30の完了は、同時でも良いし、どちらか一方が先行しても良い。いずれの形態においても、キャビティに供給された基材材料20aは、速やかに加圧成形される。本実施形態では、図4,5に示すように、型締め前に、凸状成形型34のスプルー36から基材材料20aの供給を始める。射出された基材材料20aは、キャビティ内に展延され、成形型30によって加圧されて、所定の立体形状を備える基材20に成形される。また、基材材料20aが不織布25に浸入し、基材材料20aと表皮シート22が一体化状態となる。
【0021】
基材材料20aのキャビティへの供給により、また成形型30の型締めにより、表皮シート22は凹状成形型32側に押圧される。そして、表皮シート22は、基材材料20aの展延が完了することによって凹状成形型32の成形型面32aに沿う。
このとき、表皮シート22は、基材材料20aと接触することで加熱される。図5に示すように、表皮材24は、不織布25を介して基材材料20aに接するため、不織布25による断熱作用によって基材材料20aより低い温度に加熱される。例えば、基材材料20aが230〜260℃であるとき、PET製の不織布25を通して加熱される表皮材24は、基材材料20aより約100℃程度低い温度まで速やかに加熱される。表皮材24がTPOであると、軟化温度である140℃程度に加熱される。
【0022】
基材材料20aで加熱された表皮材24は、軟化または溶融し、当接する凹状成形型32の成形型面32aのシボ模様に沿う形状となる。一方、表皮材24は、凹状成形型32に接触することで冷却され、シボ模様の形状に固化する。このことにより、表皮材24の表面にシボ模様が転写される。
【0023】
ここで、成形型面32a,34aは、常温または室温でも良いが、好ましくは、少なくともシボ模様を備える成形型面32aを表皮材24の軟化温度に対して60℃〜80℃程度低い温度に保温しておく。これにより、軟化した表皮材24が、成形型面32aとの接触で急激に冷却されて、成形型面32aのシボ模様へ十分入り込む前に固化してしまうことを防ぐことができる。
【0024】
基材20及び表皮材24を固化させてから、成形型30から取り出すことで、積層成形体1が得られる。基材材料20aが不織布25に浸入した状態で固化するため、基材20と表皮シート22とは一体になる。図1,2に示す積層成形体1は、表皮シート22の端部分、すなわち成形型面32a,34aの外側で保持されている部分が基材20の端縁を被覆するように固着されている。
【0025】
この製造方法では、基材材料20aを成形する成形型面32aにシボ模様を付与するためのシボ模様を設けておき、基材材料20aによる表皮材24の加熱によって表皮材24にシボ模様を転写する。したがって、表皮材24に形成されるシボ模様には、基材材料20aの成形時にシボ模様を変形させたり、破壊したりする力が加わることがないため、表面に良好なシボ模様を付与して積層成形体1を製造することができる。
【0026】
また、表皮材24と基材材料20aとの間に不織布25を設けることにより、基材材料20aの成形に適する温度と表皮材24の成形に適する温度との差を良好に補償することができる。すなわち、不織布25の断熱作用により、表皮材24を基材材料20aより低い温度に加熱することができ、基材材料20aの成形と表皮材24へのシボ模様の転写の両方を、良好な温度条件で行うことができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明では、成形時の熱による表皮材表面の悪化を回避できる積層成形体の製造方法を提供することにより、良好な表面を備える積層成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる積層成形体の斜視図である。
【図2】図1の積層成形体の一部を拡大した部分断面図である。
【図3】本発明の積層成形体の製造方法の一実施形態において、表皮材と不織布とを成形型間に配置したようすを示す断面図である。
【図4】本発明の積層成形体の製造方法の一実施形態において、成形型内に基材材料を射出するようすを示す断面図である。
【図5】本発明の積層成形体の製造方法の一実施形態において、加圧成形するようすを示す断面図である。
【符号の説明】
1 積層成形体
20 基材
20a 基材材料
22 表皮シート
24 表皮材
25 不織布
30 成形型
32 凹状成形型
32a,34a 成形型面
34 凸状成形型
36 スプルー
Claims (3)
- 表皮材と不織布と基材とがこの順で積層された積層成形体の製造方法であって、
成形型面にシボ模様を有する成形型の間に表皮材と不織布とを配置して、表皮材の表面に前記シボ模様を有する成形型面を対向させる工程と、
基材材料を前記成形型内に射出して成形型によって加圧成形するとともに、表皮材の表面に前記成形型面のシボ模様を転写する工程
とを備える、積層成形体の製造方法。 - 前記加圧成形とともにシボ模様を転写する工程で、前記成形型は、表皮材の軟化温度より60℃以上80℃以下低い温度に保温されている、積層成形体の製造方法。
- 前記表皮材は、サーモプラスチックオレフィンを含有する、請求項1または2に記載の積層成形体の製造方法。
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