JP3834982B2 - 表皮材インサート成形の成形条件設定方法および装置 - Google Patents

表皮材インサート成形の成形条件設定方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア材の賦形と同時に、コア材の表面に加飾層を有する加飾性表皮材を融着一体化した成形品を得る表皮材インサート成形の成形条件設定方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車、家電、建材等に使用される樹脂成形部品は、クッション性、装飾性、手触り感等の付加価値を高めたり、あるいは、成形工程の省工程化によるコストダウンのため、下記に示すようなコア層樹脂の表面に、たとえば起毛性表皮材などの加飾性ある表皮材を一体成形する2層成形が実施されていた。すなわち、
【0003】
▲1▼ 射出成形機を使用して行なう場合
型開された両金型間に表皮材をセットし、型閉して型締を行ない、その後、表皮材と金型とで形成された金型キャビティ内に、コア材となる溶融樹脂を射出充填する。そして、射出ユニットを用いて保圧供給を行ない、規定時間冷却を行ない、型開して製品取出を行なう。
【0004】
▲2▼ プレス成形機を使用して行なう方法
型開された両金型間に表皮材をセットし、所定の型開量に両金型を保持したまま、表皮材と金型とで形成される空間内に、コア材となる溶融樹脂を射出充填した後、両金型を型締プレスし、その後、規定時間冷却を行ない、型開して製品取出を行なう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の方法では、下記に示すような問題があった。
(1)コア材の射出時や型締プレス時に、高温高圧の溶融樹脂が表皮材に負荷されコア材冷却完了まで継続されるため、表皮材の損傷が激しく、品質ダウンや外観不良を招来する。たとえば、ソフト感、クッション性の表面加飾性能を求めた表皮材(一般には発泡層がラミネートされている場合が多い)では、発泡層の潰れによるソフト感、クッション性の消失が起こり表皮表面に凹凸が発生し、手触り感、高級感の表面加飾性能を求めた表皮材(起毛層をラミネート)では、毛倒れによる風合い(手触り感と高級感)の消失が起こり、外観不良を起こし品質ダウンする。
【0006】
(2)成形中の表皮材損傷を最小化するため、熟練したオペレータがすべての要因を把握したうえで最適成形条件を経験と勘で設定し運転することも考えられるが、成形品の品質がオペレータの熟練度に依存するため、若年の未熟なオペレータでは対応しきれない。すなわち、
▲1▼ 通常の成形条件設定項目(射出プロファイル/型締プロファイル)だけでなく、表皮材インサート成形に特有な成形条件設定項目(表皮材特性/コア材特性/表皮材とコア材樹脂の相性/金型温度/コア材樹脂温度/表皮材インサートによる金型キャビティ内に樹脂流動の変化予測/表皮材のインサート方法等・・・数多い)を十分把握する必要がある。
▲2▼ 成形品の品質判定結果と上記▲1▼の成形条件設定項目(修正因子の特定化と修正量の算出)との相関を十分に把握する必要がある。特に、表皮材損傷防止とコア材賦形性向上は相反する制御因子であり、その決定は微妙である。
▲3▼ オペレータは上記▲1▼、▲2▼を十分に理解習得し、正しい判断のもとに正確な最適成形条件値を数値入力しなければならない。
【0007】
(3)オペレータの熟練度の不足をカバーする目的で補足的な対策手段を講じることも考えられるが十分な効果はなく、高品質の表皮一体成形品を効率よく安定して得ることはできない。たとえば、
▲1▼ 成形後の不具合箇所の復元処理(起毛層表皮材では人手による強制的な毛起こし作業)に依存しても、コストアップを招き、表皮材本来の風合いの完全復元は困難である。
▲2▼ 表皮材の多層処理(コア材側に耐熱/耐圧性を有する保護層をラミネート)を実施しても、やはりコストアップを招き、表皮材の厚さ増加による成形性の低下を惹起するなど完全な損傷防止効果を期待できない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明においては、第1の発明では、対向する一対の金型間にあつて表面に加飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内にコア材となる溶融樹脂を射出充填して、該表皮材と該コア材とを一体成形する表皮材インサート成形方法において、表皮材の加飾層は、ガラス転移点がコア材の射出時の樹脂温度より低い材質を選定し、コア材樹脂を該金型キャビティ空間内に射出充填するとともに冷却固化収縮量を補充填する射出充填条件と、射出充填中の型締条件と、加飾層を含む表皮材の厚さに相当する型開量値と、型締状態から型開量値の型開状態へ切り替える切替タイミング条件とを成形条件値として初期設定した後に、試し打ち成形とオペレータによる目視外観品質判定を行い、目視外観品質判定結果に基づいて成形条件の変更が必要な場合には、予め準備した修正プログラムを用いて、各成形条件を修正して成形中の表皮材加飾層の損傷を防止する最適成形条件を設定した。
【0009】
また、第2の発明では、第1の発明において、切替タイミング条件は、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で、予め設定した設定温度に、表皮材加飾層の表面温度またはコア材樹脂の表面温度が到達した時点とした。
【0010】
さらに、第3の発明では、第1の発明において、切替タイミング条件は、表皮材加飾層の表面温度またはコア材樹脂の表面温度が予め設定した設定温度に到達する時点を、コア材樹脂の射出開始で起動するタイマのタイムアウト信号で初期設定した。
【0011】
そして、第4の発明では、第1の発明から第3の発明において、修正プログラムは、オペレータの目視外観品質判定結果により得られた品質不具合項目ならびに品質不具合程度に対応して、予め設定された修正方向および修正量に基づいて、初期設定した各成形条件値のうち修正必要な項目を選択する機能と、選択された設定項目の設定値を修正する機能を備えるとともに、修正後の設定値が予め設定した限界修正値に達するとき、金型温度ならびにコア材樹脂温度からなる成形附帯条件を変更する操作指令を射出成形装置に与える機能を付与した。
【0012】
また、第5の発明では、対向する一対の金型間にあって表面に加飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内にコア材となる溶融樹脂を射出充填して、該表皮材と該コア材とを一体成形する表皮材インサート成形装置において、コア材樹脂を該金型キャビティ空間内に射出充填するとともに冷却固化収縮量を補充填する射出充填条件と、射出充填中の型締条件と、加飾層を含む表皮材の厚さに相当する型開量値と、型締状態から型開量値の型開状態へ切り替える切替タイミング条件とを成形条件値として初期設定し入力する初期設定入力部と、初期設定入力部の設定値に基づいて表皮材インサート成形を行う射出成形装置を駆動制御する成形装置制御部と、目視外観品質判定結果を入力する品質判定入力部と、品質判定入力部の入力値に基づいて初期設定した各成形条件設定値を修正して、成形中の表皮材加飾層の損傷を防止する最適成形条件を設定する修正プログラムを格納する修正プログラム格納部とを備えた。
【0013】
第6の発明では、第5の発明において、成形中の表皮材加飾層の表面温度またはコア材樹脂の表面温度を検出する温度モニタ部と、初期設定入力部に表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で設定された設定温度で、切替タイミング条件の操作指令を初期設定し入力する機能を付与した。
【0014】
第7の発明では、第5と第6の発明において、コア材樹脂の射出開始で起動するタイマと、切替タイミング条件の操作指令を該タイマのタイムアウト信号で初期設定し入力する機能を付与を付与した。
【0015】
【発明の実施の形態】
以上の第1〜第7の発明を実施することにより、下記のような好ましい成形が実施される。
▲1▼ オペレータはコア材樹脂の射出充填条件と、射出充填中の型締条件と、表皮材の厚さに相当する型開量値と、型締状態の切替タイミング条件からなる成形条件設定値を概略設定し表皮材インサート成形装置へ入力(初期設定)し、試し打ち成形が行われる。得られた成形品をオペレータは目視外観品質判定をして判定結果を表皮材インサート成形装置へ入力(品質判定)する。表皮材インサート成形装置は入力された品質判定結果に応じて、先に入力された初期設定値のうち修正すべき設定値の選択と修正量を修正プログラムで自動的に決定(自動修正)し、以後は良品が得られるまで試し打ち成形→品質判定→自動修正を繰り返す。このようにして修正された良品成形時の成形条件設定値で正常な成形品を得る。このため、熟練度の高くないオペレータでも容易に最適成形条件設定が可能となる。
【0016】
▲2▼ 表皮材をセットした型締状態でコア材樹脂を射出充填し、冷却固化収縮に伴う補充填を射出側から行う(保圧)。保圧工程中に表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内(ガラス転移点Tg以上の温度)に設定した設定値に表皮材加飾層の表面温度(以後は表皮材加飾層温度という)またはコア材樹脂の表面温度(以後はコア材樹脂温度という)が到達した時点で、所定の型開量値で所定の時間、型開保持することにより、成形中に損傷を受けた表皮材加飾層は弾性力による自己回復挙動で表皮材本来の風合いが確保される。
その結果、コア材賦形性およびコア材・表皮材の融着一体化と表皮材損傷防止の相反する制御因子を同時に的確にコントロールすることが可能となる。
【0017】
▲3▼ 修正プログラム(オペレータの品質判定結果に応じて初期設定値の修正機能と修正限界値を超過した場合の付帯設備への補正指令機能付)により通常の成形条件設定項目と表皮材インサート成形に特有な成形条件項目と品質判定結果との相関を的確に定量化するとともに自動修正化を達成する。これにより、初期設定の各成形条件設定値を正しく修正することができるとともに、最適成形条件設定の自動運転が可能となる。
【0018】
▲4▼ 成形装置に成形中の表皮材加飾層またはコア材樹脂温度をモニタする機能と、切替タイミング条件を温度で設定し入力できる機能または、コア材樹脂の射出開始で起動するタイマのタイムアウト信号で設定し入力できる機能を付与することにより、成形中の外乱因子に影響されることなく安定した最適成形条件での自動運転が可能となる。
【0019】
【実施例】
以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細について説明する。図1および図2は本発明の実施例に係り、図1は本発明に使用する表皮材インサート成形装置の全体構成図、図2は本発明の表皮材インサート成形の成形条件設定方法の工程フローチャート、図3は表皮材インサート成形工程における表皮材加飾温度とコア材樹脂変形量ならびに加飾層の回復時間との相関図である。
【0020】
図1に示すように、本発明における射出成形装置(射出成形機)100は、金型装置10と型締装置20と射出装置30と制御装置60とで構成される。
金型装置10は、固定盤1に取り付けられた固定金型3と可動盤2に取り付けられた可動金型4とからなり、可動盤2および可動金型4は型締装置20の型締シリンダ22で前後進できるよう構成される。
なお、本実施例では横型締方式であるが、堅型締方式でも可能である。
型締装置20は、金型装置10の両金型3、4の型開、型閉を作動する型締シリンダ22を備えており、可動金型4が固定金型3に対して図示しないタイバーに案内されて前後進する。
【0021】
射出装置30は、バレル32内の外周にスパイラル状に取り付けられたスクリュ羽根36を備えたスクリュ34が、正逆転油圧モータ42および射出シリンダ40により回転自在で、かつ前後進自在に配設され、ホッパ38に供給された樹脂ペレットを加熱溶融して混練しつつノズル39を経由して、金型3、4間に形成される金型キャビティ5内へ溶融樹脂を射出する。すなわち、射出装置30は、ホッパ38内の樹脂原料をバレル32内の供給ゾーン、圧縮ゾーンにおいて加熱圧縮し、計量ゾーンにおいて溶融計量し、射出ゾーンを経てノズル39を介して金型キャビティ5内へ射出するよう構成される。射出シリンダ40および正逆転油圧モータ42には、油圧供給源50により供給される作動油が射出制御部62の操作指令を受けた油圧制御弁52で設定された一定の圧力で供給され、駆動される。
【0022】
一方、制御装置60は、図1に示すように、成形装置制御部61とこれに接続され油圧制御弁52に操作指令を発信する射出制御部62および型締制御部67で構成され、さらに成形装置制御部61には初期設定入力部63と修正プログラム格納部64と品質判定入力部65と可動金型4に配置された温度センサで計測された表皮材加飾層の温度情報を検知する温度モニタ部66(なお、コア材樹脂の温度情報を見地する場合は固定金型3に温度センサが配置される)とが接続される。型締制御部67は型締装置20の型締シリンダ22に油圧制御弁69を経由して操作信号を与える。70は油圧供給源である。
なお、本実施例では、直圧式の型締装置を有する射出成形機を用いたが、トグル型締装置の射出成形機や、あるいは竪型の射出成形機または電動式の型締装置を有する射出成形機を使用してもよい。
【0023】
図2は本発明の表皮材インサート成形の成形条件設定方法の工程フローチャートを示したもので、図2に示す工程にしたがって成形条件設定を行なう。
(1)成形条件設定値の初期設定
▲1▼ コア材樹脂を金型キャビティ空間内に射出充填するとともに冷却固化収縮量を補充填する射出充填条件と、射出充填中の型締条件と、加飾層を含む表皮材の厚さに相当する型開量値と、射出充填中の型締状態から型開量値での型開状態へ切り替える切替タイミング条件などの各設定値を初期設定値する。これらの成形条件設定値は、運転上の常識的な範囲の概略設定値で良く、以後に実施される後述の修正プログラムによる修正作業で最適成形条件に自動的に修正される。したがって、初期設定にあたっては、特殊な知識や経験豊富な熟練度は不要であり、誰にでも設定出来る。
【0024】
(2)修正プログラム作成
▲1▼ オペレータの目視外観品質判定結果により得られた品質不具合項目(不良項目)ならびに品質不具合程度に対応してあらかじめ設定された修正方向および修正量からなる修正プロファイルに基づいて、初期設定した各成形条件値のうち修正必要な項目を選択する機能と、選択された設定項目の設定値を修正する機能を備えるとともに、修正後の設定値が予め設定した限界修正値に達するとき、金型温度ならびにコア材樹脂温度からなる成形付帯条件を変更する操作指令を射出成形装置に与える機能を付与した修正プログラムを作成し、修正プログラム格納部64へ入力する。
【0025】
(3)試し打ち成形実施
▲1▼ まず、金型装置10の両金型3、4を型開し、金型キャビティの所定位置に表皮材Sをセットし、所定の型締条件で型締保持した後、コア材樹脂を射出充填し、コア材樹脂・表皮材の融着一体化とコア材樹脂の賦形を行うとともに、切替タイミング信号により所定の型開量で型開保持して損傷した加飾層の弾性回復を行う。所定の型開保持時間経過後、型開し、試作成形品の取出を行なう。
▲2▼ 表皮材Sとしては、表現したい表面加飾性能にあったものを選択する。例えば、手触り感や質感を表現したい場合は繊維織物や起毛布等の加飾層がよい。必要に応じて、裏面に表皮材とコア材の融着一体化の促進と樹脂の染み出し防止の目的でPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等の樹脂シートをラミネートした多層表皮材や、ソフト感やクッション性を創出するために樹脂シート裏面にクッション層等を設けた多層表皮材でもよい。また、印刷フィルムや着色シート等を用いてもよい。なお、本実施例では表皮材はシート状のものを用いたが、あらかじめ成形品形状に概略成形したプリ成形品でもよい。セット方法は、針刺し、真空吸引、コア押し付け等いずれでもよい。
加飾層は、弾性力による自己回復現象を利用するために、ガラス転移点Tgがコア材樹脂の射出時の温度よりも低い材質のものを採用する。具体的な例として、たとえば、コア材QにPP(タルク添加でもよい)を使用した場合、射出時の樹脂温度は一般に200〜240℃程度であるから加飾層にPET(ガラス転移点Tg=70〜90℃)を採用する。
【0026】
(4)オペレータによる目視外観品質判定と判定結果による修正作業
▲1▼ 成形された試作成形品を観察して、品質判定を行ない、不良項目と不具合程度を入力する。
▲2▼ 初回の試し打ちの試作成形品における目視外観品質判定でいきなり良品となった場合には、初期設定した成形条件設定値が最適成形条件設定値となって設定作業は完了し、即座に実操業運転に移行する。
▲3▼ 試作成形品における目視外観品質判定により不具合(品質不良)が出た場合は、▲1▼に入力された不具合項目および不具合程度に応じて、制御装置に格納されている修正プログラムにしたがって成形条件設定値が修正され、再度、修正された成形条件設定値(修正比較基準値)による成形が行なわれ、以後、目視外観品質判定で良品となるまで繰り返される。
不具合項目(不良項目)は、シート損傷、バリ発生、ショートショット、変形・反り等である。
【0027】
▲4▼ 本発明の修正プログラムの特徴は、表皮材加飾層のゴム状弾性による弾性回復挙動を成形条件の修正プロファイルに組み込んだところにある。すなわち、成形中の表皮材加飾層は、射出充填されたコア材樹脂が保有する熱量で加熱され、たとえば、コア材にPP樹脂、表皮材加飾層にPET起毛布(Tg=70〜90℃)の表皮材を採用した場合では、コア材樹脂温度が200℃設定であれば、100℃〜120℃の温度に達する。この温度領域では表皮材加飾層はゴム状弾性を有する状態となり、加飾層は容易に弾性変形出来る。したがって、この状態で加飾層が弾性変形出来るスペース(すなわち、加飾層を含む表皮材に厚さに相当する型開量)を与えてやることにより、成形中に損傷した表皮材がもとの風合いを回復し、表皮材損傷が皆無か極めて少ない状態となり高品質の表皮インサート成形が実現出来る。
なお、型開量保持は弾性回復スペースの確保と同時に、金型への伝熱遮断による表皮材加飾層のゴム状弾性温度域での長時間保持も可能とする(ゴム状弾性力による自己回復可能時間の延長)。
【0028】
▲5▼ この考えに基づいて図3に示すとおり、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域での弾性回復による表皮材損傷防止能力、すなわち、弾性回復に要する時間と、コア材樹脂の冷却固化状態(賦形性/変形量)のバランスを考慮して、温度モニタ部66で検知された成形中の温度(表皮材加飾層温度)で、型開保持による弾性回復を実施させるための切替タイミング条件の設定をする。
こうすることにより、極めて困難とされていた表皮材損傷防止とコア材樹脂賦形性向上という相反する技術事項を成形中の温度管理のみで同時に達成することが出来る。
なお、コア材樹脂温度でタイミング条件設定をした場合は、たとえ、表皮材加飾層がTg以下に冷却されていても、コア材樹脂の熱量と型開による伝熱遮断効果でTg以上に再加熱され、弾性回復を可能とする。この場合はより長時間の保圧力の負荷によりコア材の賦形性はアップされる。
【0029】
▲6▼ また、切替タイミング条件設定については、上述の温度制御からタイマ制御への変換も可能である。例えば、成形中の表皮材加飾層またはコア材樹脂の温度変化挙動を、計測テスト実施の上把握し、または流動解析ならびに温度変化解析プログラムを使用してシュミレーション計算で把握して、時間の関数に変換してタイマ起動で条件設定する。こうすることにより、温度センサ取付が不要となり、成形装置が簡素化されるとともにメンテナンス性の向上が期待できる。なお、初期設定の際に設定がラフであっても試し打ちによる品質判定に伴う各成形条件設定値の修正で十分にカバーすることが可能である。
【0030】
▲7▼ 上述した修正プログラムに基づいて、初期成形条件設定値の修正項目選択とその修正方向(増減方向)および修正量を算出する。例えば、不具合項目の中で「シート損傷」に対しては、切替タイミング条件の設定温度を修正して、表皮材加飾層またはコア材樹脂の温度を高くすることにより(タイマ設定の場合は時間を短くする)、損傷回復能力のアップを図る。反面、コア材樹脂の冷却固化度(賦形性)がダウンするため、保圧力を増加する方向で修正を図り賦形性ダウンをカバーする。さらに、これに型開量を増加する方向に修正して、全体のバランスを微調整するとともに回復スペースのアップを図る。
【0031】
▲8▼ 「バリ発生」に対しては、射出充填量を減少方向へ修正し、これに射出充填条件(圧力や速度など)や型締力を増加する方向に修正して射出条件を微調整する。
▲9▼ 「ショートショット発生」に対しては、型締力を低くする方向および射出充填量を増加方向に修正し、これに射出充填条件(圧力や速度など)を修正して射出条件を微調整する。
【0032】
(10) 修正の繰り返しによる無限ループの条件出しエラーを避けるため、限界修正値を設けた。修正量が限界修正値に達する場合は、たとえば、金型温度設定またはコア材樹脂温度設定が低過ぎたために、加飾層の加熱不足による利用可能なゴム状弾性温度領域の縮小(成形条件設定範囲の縮小)が考えられる。この場合は、金型温度やコア材樹脂温度の成形付帯条件設定値の修正が行なわれる。
(11) このように、本発明の修正プログラムでは、品質判定結果、不良項目と設定値の修正パターンの相関を定量化し、表皮材損傷の回復とコア材樹脂賦形性の向上をともに実現するプログラムミングを作成し、オペレータ熟練度に関係なく最適成形条件設定が容易に達成できるようになった。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、下記のような優れた効果が達成される。すなわち、
▲1▼ オペレータの熟練度に関係なく成形中の表皮材の損傷を極めて少なくできる最適成形条件の設定が容易に可能となる。
▲2▼ 最適成形条件の算出・設定は、プログラミングによる自動化の達成により、オペレータ技量の個人差を解消し品質の均一安定化が実現する。
▲3▼ 表皮材損傷による修復後工程や表皮材多層化処理が不要で、表皮材本来の風合いを維持した高品質な外観性能を有する表皮材インサート成形品を効率良く安定して得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に使用する表皮材インサート成形装置の全体構成図である。
【図2】本発明の表皮材インサート成形の成形条件設定方法の工程フローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係る表皮材インサート成形工程における表皮材加飾層温度とコア材樹脂変形量ならびに加飾層の回復時間との相関図である。
【符号の説明】
1 固定盤
2 可動盤
3 固定金型
4 可動金型
5 金型キャビティ
10 金型装置
20 型締装置
22 型締シリンダ
30 射出装置
32 バレル
34 スクリュ
36 スクリュ羽根
38 ホッパ
39 ノズル
40 射出シリンダ
42 油圧モータ
50 油圧供給源
52 油圧制御弁
60 制御装置
61 成形装置制御部
62 射出制御部
63 初期設定入力部
64 修正プログラム格納部
65 品質判定入力部
66 温度モニタ部
67 型締制御部
69 油圧制御弁
70 油圧供給源
100 射出成形装置(射出成形機)
Q コア材(コア材樹脂)
S 表皮材

Claims (7)

  1. 対向する一対の金型間にあって表面に加飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内にコア材となる溶融樹脂を射出充填して、該表皮材と該コア材とを一体成形する表皮材インサート成形方法において、表皮材の加飾層は、ガラス転移点がコア材の射出時の樹脂温度点より低い材質を選定し、コア材樹脂を該金型キャビティ空間内に射出充填するとともに冷却固化収縮量を補充填する射出充填条件と、射出充填中の型締条件と、加飾層を含む表皮材の厚さに相当する型開量値と、型締状態から型開量値の型開状態へ切り替える切替タイミング条件とを成形条件値として初期設定した後に、試し打ち成形とオペレータによる目視外観品質判定を行い、目視外観品質判定結果に基づいて成形条件の変更が必要な場合には、予め準備した修正プログラムを用いて、各成形条件を修正して成形中の表皮材加飾層の損傷を防止する最適成形条件を設定したことを特徴とする表皮材インサート成形の成形条件設定方法。
  2. 切替タイミング条件は、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で、予め設定した設定温度に、表皮材加飾層の表面温度またはコア材樹脂の表面温度が到達した時点とした請求項1記載の表皮材インサート成形の成形条件設定方法。
  3. 切替タイミング条件は、表皮材加飾層の表面温度またはコア材樹脂の表面温度が予め設定した設定温度に到達する時点を、コア材樹脂の射出開始で起動するタイマのタイムアウト信号で初期設定した請求項1と2記載の表皮材インサート成形の成形条件設定方法。
  4. 修正プログラムは、オペレータの目視外観品質判定結果により得られた品質不具合項目ならびに品質不具合程度に対応して、予め設定された修正方向および修正量に基づいて、初期設定した各成形条件値のうち修正必要な項目を選択する機能と、選択された設定項目の設定値を修正する機能を備えるとともに、修正後の設定値が予め設定した限界修正値に達するとき、金型温度ならびにコア材樹脂温度からなる成形附帯条件を変更する操作指令を射出成形装置に与える機能を付与した請求項1から請求項3記載の表皮材インサート成形の成形条件設定方法。
  5. 対向する一対の金型間にあって表面に加飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内にコア材となる溶融樹脂を射出充填して、該表皮材と該コア材とを一体成形する表皮材インサート成形装置において、コア材樹脂を該金型キャビティ空間内に射出充填するとともに冷却固化収縮量を補充填する射出充填条件と、射出充填中の型締条件と、加飾層を含む表皮材の厚さに相当する型開量値と、型締状態から型開量値の型開状態へ切り替える切替タイミング条件とを成形条件値として初期設定し入力する初期設定入力部と、初期設定入力部の設定値に基づいて表皮材インサート成形を行う射出成形装置を駆動制御する成形装置制御部と、目視外観品質判定結果を入力する品質判定入力部と、品質判定入力部の入力値に基づいて初期設定した各成形条件設定値を修正して、成形中の表皮材加飾層の損傷を防止する最適成形条件を設定する修正プログラムを格納する修正プログラム格納部と、を備えた表皮材インサート成形の成形条件設定装置。
  6. 成形中の表皮材加飾層の表面温度またはコア材樹脂の表面温度を検出する温度モニタ部と、初期設定入力部に表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で設定された設定温度で、切替タイミング条件の操作指令を初期設定し入力する機能を付与した請求項5記載の表皮材インサート成形の成形条件設定装置。
  7. コア材樹脂の射出開始で起動するタイマと、切替タイミング条件の操作指令を該タイマのタイムアウト信号で初期設定し入力する機能を付与した請求項5と6記載の表皮材インサート成形の成形条件設定装置。
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