JP3242612B2 - 表皮材インサート成形方法及び装置 - Google Patents

表皮材インサート成形方法及び装置

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JP3242612B2
JP3242612B2 JP2165098A JP2165098A JP3242612B2 JP 3242612 B2 JP3242612 B2 JP 3242612B2 JP 2165098 A JP2165098 A JP 2165098A JP 2165098 A JP2165098 A JP 2165098A JP 3242612 B2 JP3242612 B2 JP 3242612B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コア材の賦形と同
時に、コア材の表面に加飾用表皮材を融着一体化した成
形品を得る表皮材インサート成形方法および装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電、建材等に使用され
る樹脂成形品は、装飾性、手触り感、クッション性等の
付加価値を付けて品質を高めたり、成形工程の省工程化
によるコストダウンのために、下記に示すようなコア層
樹脂の表面にたとえば起毛状表皮材等の加飾用表皮材を
一体成形する2層成形が実施されていた。すなわち、 射出成形機を使用して2層成形を行なう方法 型開きされた両金型間に加飾用表皮材をセットし、型閉
じして型締力を作用させた後、加飾用表皮材と金型とで
形成された金型キャビティ空間内に、射出装置によりコ
ア材となる溶融樹脂を射出充填する。保圧、冷却の完了
後、型開きして成形品取出しを行なう。 プレス成形機を使用して2層成形を行なう方法 型開きされた両金型間に加飾用表皮材をセットし、型閉
じして両金型間に所定の型開量を保持したまま、加飾用
表皮材と金型とで形成された金型キャビティ空間内に、
樹脂溶融ユニットによりコア材となる溶融樹脂を吐出す
る。両金型を型閉じプレスして型締力を作用させ所定時
間冷却の後、型開きして成形品取出しを行なう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の方法では、下記に示すような問題があった。 (1)コア材となる溶融樹脂の射出充填や型閉じプレス
時から冷却完了まで、加飾用表皮材に高温高圧のコア材
樹脂が負荷されるため、品質低下や外観不良を招来す
る。たとえば、ソフト感やクッション性を付与させるこ
とを狙って裏面に発泡層をラミネートした加飾用表皮材
を使用しても、高温高圧の作用によって発泡層が潰れて
期待するソフト感やクッション性が得られないという問
題があった。また、手触り感や高級質感を付与させるこ
とを狙って表面に起毛層をラミネートした加飾用表皮材
を使用しても、高温高圧の作用によって起毛部が毛倒れ
して期待する手触り感や高級質感が得られないという問
題があった。 (2)耐熱耐圧性を有するシート層等の保護層をラミネ
ートして、成形中のコア材溶融樹脂からの熱的および圧
力的影響をある程度抑えることは可能であるが、完全な
解決策にはならないうえに加飾用表皮材のコストアップ
につながる難点があった。 (3)ソフト感、クッション性、手触り感、高級質感等
を改善するため、成形後に別工程を追加することも行な
われるが、やはり完全な解決策にはならないうえにコス
トアップにつながる難点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するために、本発明に係る第1の発明においては、対向
する一対の金型の間に加飾層を有する表皮材を介在させ
て型締した後、該表皮材と該金型とで形成される金型キ
ャビティ空間内にコア材となる溶融樹脂を射出充填して
該表皮材と該コア材とを一体成形する表皮材インサート
成形方法において、表皮材の加飾層にはガラス転移点が
コア材樹脂の射出時の樹脂温度より低い材質を選定し、
予め設定した型締条件で型締した後、冷却固化収縮量を
加算した樹脂量のコア材となる溶融樹脂を射出充填し、
コア材となる溶融樹脂の射出充填後は、型締側から保圧
力の負荷を行なうとともに、表皮材加飾層の温度あるい
はコア材樹脂の温度が、表皮材加飾層のゴム状弾性を示
す温度領域内で設定した設定温度に到達した時点で、表
皮材と金型との間に表皮材加飾層の厚さに応じた型開量
を設けて所定の設定時間保持するようにした。
【0005】第1の発明を主体とした第2の発明におい
ては、対向する一対の金型の間に加飾層を有する表皮材
を介在させて型締した後、該表皮材と該金型とで形成さ
れる金型キャビティ空間内にコア材となる溶融樹脂を射
出充填して該表皮材と該コア材とを一体成形する表皮材
インサート成形方法において、冷却固化収縮量を加算し
た樹脂量をコア材となる溶融樹脂の射出充填量として設
定するとともに射出充填動作を行う射出制御部と、コア
材となる溶融樹脂の射出充填の際の型締条件および表皮
材加飾層の厚さに応じた型開量を設定入力する型締条件
設定部と、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内
で型締状態を切替える温度を設定入力する温度条件設定
部と、成形中の表皮材加飾層の温度あるいはコア材樹脂
の温度をモニタする温度モニタ部と、該温度モニタ部の
信号と前記温度条件設定部の設定値とを比較する比較制
御部と、該比較制御部の信号および前記型締条件設定部
の信号に基づいて型締機構を制御する型締制御部とを有
する表皮材インサート成形装置とした。
【0006】
【発明の実施の形態】以上の第1、第2の発明を実施す
ることにより、以下のような好ましい成形が実施され
る。表皮材を金型内にセットして型締した後、コア材と
なる溶融樹脂を射出充填して、表皮材とコア材樹脂との
融着一体化およびコア材樹脂の賦形を行なう。この際、
表皮材の加飾層はガラス転移点Tgがコア材樹脂の射出
時の樹脂温度より低い材質を選定しているので、コア材
となる溶融樹脂の射出充填開始と同時に、表皮材加飾層
はコア材樹脂熱量によりガラス転移点Tg以上のゴム状
弾性を示す温度領域まで容易に加熱される。ここで、表
皮材加飾層がゴム状弾性を示す温度領域内にある間に、
表皮材と金型との間に表皮材加飾層の厚さに応じた型開
量を設けて回復スペースを確保した状態で所定の設定時
間保持することによって、成形中に高温高圧のコア材樹
脂で損傷変形された表皮材加飾層は弾性力により自己回
復し、成形後においても表皮材加飾層本来の風合いが復
元される。これにより、表皮材とコア材樹脂との融着一
体化およびコア材樹脂の賦形、ならびに、表皮材の損傷
低減という相反する命題を同時にかつ安定して達成する
ことができ、成形品全面において表面加飾性に優れた高
品質な成形品を、後処理工程および表皮材の多層処理化
を必要としないで低コストに安定して提供することがで
きる。
【0007】なお、コア材樹脂の温度をモニタして型締
状態の切替えタイミングを制御した場合には、たとえば
表皮材加飾層がガラス転移点Tgよりも幾分低い温度に
冷却されていたとしても、表皮材加飾層の厚さに応じた
型開量Wの確保による金型への伝熱遮断と、断熱効果の
ある空気層が介在することによる断熱層効果と、コア材
となる溶融樹脂熱量からの伝熱によって、表皮材加飾層
はガラス転移点Tg以上の温度に再加熱され、表皮材加
飾層はゴム状弾性を示し、弾性力による表皮材加飾層の
損傷及び変形の自己回復挙動が可能となる。この場合に
おいては、コア材樹脂の賦形ならびに表皮材およびコア
材樹脂の融着一体化を目的とした保圧力の負荷時間が長
くとれるので、変形、反り、偏肉が極めて少なく高品質
な表面加飾成形品の安定供給を得る。
【0008】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図1〜図4は本発明の実施例に係り、
図1は表皮材インサート成形装置の全体構成図、図2〜
図4は表皮材インサート成形の成形工程フローチャート
である。図1に示すように、本発明による表皮材インサ
ート成形装置100は金型装置10、型締装置20、射
出装置30及び制御装置60で構成されている。金型装
置10は、型締装置20の固定盤1に取付けられた固定
金型3と、型締装置20の可動盤2に取付けられた可動
金型4とからなり、温度センサ8が組付けられている。
型締装置20の可動盤2は図示しないタイバに案内さ
れ、型締シリンダ22の駆動によって可動金型4ととも
に前後進できるよう構成されている。射出装置30は、
スクリュフライト36を備えたスクリュ34がバレル3
2内に回転自在で、かつ、前後進自在に配設されてい
る。油圧モータ42により駆動されるスクリュ34の回
転とともに、ホッパ38に供給された樹脂ペレットはス
クリュ前方へ送られる。この間に、バレル32の外周面
に取付けられている図示しないヒータによる加熱を受け
るとともに、スクリュ回転による混練作用を受けること
によって樹脂ペレットは溶融する。スクリュ前方へ送ら
れた溶融樹脂は、射出シリンダ40により駆動されて前
進するスクリュ34によってノズル39側へ押出され
て、ノズル39を経由して金型3、4間に形成される金
型キャビティ5内へ射出充填される。射出シリンダ40
及び油圧モータ42には、油圧供給源50から供給され
る作動油が、射出制御部61の操作指令を受けた電磁リ
リーフ弁52によって設定された一定の圧力で供給さ
れ、スクリュ前進及びスクリュ回転を駆動できるように
構成されている。
【0009】次に、制御装置60について述べる。制御
装置60は、図1にその概要を示すように、射出制御部
61、型締制御部62、温度条件設定部63、温度モニ
タ部64、比較制御部65、型締条件設定部66、温度
センサ8、図示しない型開量検出部等から構成されてい
る。温度センサ8で計測された表皮材加飾層の温度情報
は、温度モニタ部64を経由して比較制御部65に接続
されている。また、比較制御部65には温度条件設定部
63および型締制御部62と接続されている。さらに、
型締制御部62は型締条件設定部66と接続されるとと
もに射出制御部61とも接続されている。
【0010】なお、本実施例では、温度センサ8を表皮
材の表面に相当する位置に配設し表面温度を計測するよ
うにしたが、これに限定されるものではなく、表皮材の
内部温度を計測するようにしてもよい。さらに、コア材
樹脂の温度情報を検知する場合は、コア材樹脂側に温度
センサ8が配設される。また、本実施例では、直圧式の
型締機構を有する成形装置を用いたが、トグル式や電動
式、あるいは、竪型の型締機構を有する成形装置を使用
してもよい。
【0011】図2は表皮材インサート成形の全体的な成
形工程フローチャートであり、図3、図4は図2の破線
で囲った部分の型締パターンの具体的な例を示した成形
工程フローチャートである。図2〜図4に示す工程にし
たがって以下に説明する。 (1)金型装置10の両金型3、4を型開きした状態
で、金型キャビティ面の所定位置に、たとえば真空吸引
方式や針刺し方式等の手段を用いて表皮材Sをセット保
持する。表皮材Sとしては、加飾層のガラス転移点Tg
がコア材となる溶融樹脂の射出時の樹脂温度より低い材
質を選定し、要求される加飾特性に合った加飾層を有し
たものを用いる。また、必要に応じて、たとえばコア材
となる溶融樹脂が表面側にしみだすのを防止する役割お
よびコア材樹脂との融着一体化促進の役割を兼用した、
コア材樹脂と同種同系統の樹脂製のシートを加飾層の裏
側にラミネートしたものや、ソフト感を演出する目的で
クッション層を設けたものや、その他の目的で着色層や
接着層を設けた多層構成の表皮材や、印刷フィルムを表
皮材として用いることもできる。なお、本実施例ではシ
ート状の表皮材を用いたが、三次元的な成形品形状に予
めプリ成形したものを表皮材として用いてもよい。ま
た、本実施例では一方の面にだけ表皮材を貼合せるよう
にしたが、コア材樹脂の両面に表皮材を貼合せるように
してもよい。さらに、本実施例では単一のコア材樹脂と
したが、必要に応じてコア材樹脂を多層とするコ・イン
ジェクション等に適用してもよい。
【0012】(2)表皮材Sをセット保持した状態で型
締を行ない、コア材となる溶融樹脂の射出充填と保圧負
荷を行なう。ここで、型締動作制御内容は、成形品の形
状、コア材樹脂の種類、表皮材の種類等の組合せに対す
る最適の型締制御パターンを採用することができる。コ
ア材樹脂の金型内充填流動が悪い場合、すなわち、低流
動なコア材樹脂を複雑で薄肉の金型キャビティに充填す
る場合には、たとえば図3に示すような型締制御パター
ンを採用する。すなわち、コア材となる溶融樹脂の射出
充填中は充填された樹脂圧で金型が開くことを許容する
比較的小さな型締力P1を設定して型締を行った後に、
射出完了時あるいは射出中の任意の時点のタイミング信
号で、表皮材とコア材樹脂との融着一体化およびコア材
樹脂の賦形を目的とした型締力P2の負荷に切替える。
この場合、射出充填中の型開挙動によって金型キャビテ
ィの実質流動通路が拡大される効果、ならびに、エアお
よびガスの抜け改善効果により、充填のスムーズ化・低
圧充填化および表皮材加飾層の損傷低減効果が達成され
るとともに、全面均一な型締側からの保圧力作用による
変形・反り・偏肉の低減効果が達成される。なお、図3
に示す型締制御パターンの他に、たとえば型締力P1負
荷による射出充填中の型開量制御の替わりに、型開実測
量を検知して設定型開量になるように型締力の閉ループ
制御としてもよい。また、型締力P2負荷による保圧制
御の替わりに、たとえば製品肉厚に相当する型開量位置
に保持させる型締位置制御としてもよい。必要に応じて
型締力の多段制御を採用してもよい。
【0013】コア材樹脂の金型内充填流動が極端に悪い
場合は、たとえば図4に示すような型締制御パターンを
採用する。すなわち、予め所定の設定型開量S2の位置
に保持した状態でコア材となる溶融樹脂を射出充填し、
射出完了時あるいは射出中の任意の時点のタイミング信
号で、表皮材とコア材樹脂との融着一体化およびコア材
樹脂の賦形を目的とした型締力P3の負荷に切替える。
この場合、所定の型開量S2に保持することで、金型キ
ャビティの実質流動通路が拡大される効果、ならびに、
エアおよびガスの抜け改善効果により、充填のスムーズ
化・低圧充填化および特にゲート部の表皮材加飾層の損
傷低減が達成されるとともに、全面均一な型締側からの
保圧力作用による変形・反り・偏肉の低減が達成され
る。ここで説明したように、たとえば図4に示すような
型締制御パターンを採用する場合は、射出充填の際にコ
ア材となる溶融樹脂が金型外に漏れない金型構造が必要
となる。なお、図4に示す型締制御パターンの他に、た
とえば型締力P3負荷による保圧制御の替わりに、たと
えば製品肉厚に相当する型開量位置に保持させる型締位
置制御としてもよい。また、必要に応じて型締位置及び
型締力の多段制御を採用してもよいし、図3に示す型締
パターンと併用してもよい。なお、図3及び図4に示す
型締制御パターンを採用する場合は、射出充填の際にコ
ア材となる溶融樹脂が金型外に漏れない金型構造が必要
となる。
【0014】コア材となる溶融樹脂の射出充填開始と同
時に、高温高圧のコア材樹脂の負荷により表皮材加飾層
は損傷を受ける。特に、保圧工程での表皮材加飾層の損
傷程度が最も大きい。表皮材加飾層の損傷防止の観点か
らは、保圧力を低く保圧時間を短くして、負荷される外
力の影響を少なくしたいが、コア材樹脂の賦形および表
皮材とコア材樹脂の融着一体化の観点からは、保圧力を
高く保圧時間を長くするのが望ましく、両者は相反する
ので同時に双方を達成することは極めて困難である。本
発明では、表皮材加飾層の損傷防止に関しては次工程で
行うようにしているので、この保圧工程ではコア材樹脂
の賦形および表皮材とコア材樹脂の融着一体化を主体に
保圧条件を設定することができる利点がある。
【0015】(3)保圧工程中の表皮材加飾層の温度ま
たはコア材樹脂の温度をモニタ値とし、表皮材加飾層が
ゴム状弾性を示すガラス転移点Tg以上の温度範囲内で
設定した設定温度Mに該モニタ値が到達した時点で、保
圧工程を終えると同時に、表皮材と金型との間に表皮材
加飾層の厚さに応じた設定型開量S1を設けて回復スペ
ースを確保し、この状態で所定の設定時間T保持する。
表皮材加飾層には、ガラス転移点Tgがコア材となる溶
融樹脂の射出時の樹脂温度より低い材質を選定している
ので、表皮材は射出充填開始と同時にコア材樹脂熱量に
より加熱され、表皮材加飾層の温度はガラス転移点Tg
以上のゴム状弾性を示す温度領域に達する。たとえば、
コア材樹脂にPP、表皮材加飾層材質にPETの組合せ
で、コア材樹脂の温度200〜240℃で射出充填した
場合は、表皮材加飾層はガラス転移点Tg(70〜80
℃)よりも高い温度に加熱され、保圧工程中においても
100〜120℃に保持されている。この温度領域であ
れば、成形中の外力で損傷を受けた表皮材加飾層は弾性
力により自己回復して、表皮材本来の風合いを確保する
ことができる。
【0016】以上述べたように効果的な表皮材インサー
ト成形とするための、成形条件について以下に説明す
る。まず、設定温度Mは、成形中の外力で損傷を受けた
表皮材加飾層が弾性力により自己回復する温度条件とし
て、表皮材加飾層がゴム状弾性を示すガラス転移点Tg
以上の温度範囲内で設定する。次に、設定型開量S1
は、表皮材加飾層が弾性力により自己回復するための回
復スペースの確保、ならびに、金型と表皮材加飾層の伝
熱遮断によりゴム状弾性を示す温度での保持時間の確保
を目的として、表皮材加飾層を含む表皮材の厚さと同等
あるいはそれ以上の値に設定する。なお、表皮材加飾層
の温度をモニタ値とした場合には、コア材樹脂の賦形程
度(冷却固化程度)を考慮して設定温度Mを設定する。
また、コア材樹脂の温度をモニタ値とした場合には、た
とえ表皮材加飾層がガラス転移点Tgよりも低い温度に
冷却されていたとしても、表皮材加飾層を含む表皮材の
厚さと同等あるいはそれ以上の型開量S1の確保による
金型への伝熱遮断効果、ならびに、コア材樹脂熱量から
の伝熱によって、表皮材加飾層はガラス転移点Tg以上
のゴム状弾性を示す温度に再加熱され、弾性力により自
己回復する。このようにした場合には、より長時間の保
圧力を負荷継続することになり、コア材樹脂の賦形の程
度を大きくできる。また、設定時間Tは、自己弾性回復
に要する時間(すなわちゴム状弾性を示す温度領域での
保持時間)であり、コア材樹脂の通常の冷却時間範囲内
で十分に自己回復できることを実験にて確認済みであ
る。
【0017】(4)設定時間Tの経過後は、型締制御部
62は型締シリンダ22を駆動させて両金型3、4を型
開きした後、表皮材インサート成形品を取出して一連の
成形工程を終える。このように、保圧工程では表皮材と
コア材樹脂との融着一体化およびコア材樹脂の賦形を主
に行ない、表皮材加飾層の温度あるいはコア材樹脂の温
度が設定温度Mに達した時点で、表皮材と金型との間に
設定型開量S1を設けて設定時間T保持することによっ
て、成形中に損傷変形された表皮材加飾層は弾性力によ
り自己回復し、成形後においても表皮材加飾層本来の風
合いが復元される。これにより、表皮材とコア材樹脂と
の融着一体化およびコア材樹脂の賦形、ならびに、表皮
材の損傷低減という相反する命題を同時にかつ安定して
達成することができる。
【0018】以上に記載した以外にも、たとえば、コア
材となる溶融樹脂の射出充填開始から表皮材加飾層の温
度またはコア材樹脂の温度が前記設定温度に到達するま
での時間を予め実測し、該実測時間を設定したタイマの
タイムアップ信号で、保圧工程終了・型開保持開始とす
るように制御してもよい。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、下
記のような優れた効果が得られる。 (1)表皮材とコア材樹脂との融着一体化およびコア材
樹脂の賦形、ならびに、成形中の表皮材加飾層の損傷低
減を同時に達成でき、変形・反り・偏肉が極めて少な
く、しかも表皮材本来の風合いを損なわず非常に優れた
表面加飾性能を有する表皮材インサート成形品を安定し
て供給できる。 (2)従来必要とされていた成形品の後処理による損傷
回復工程の追加や、表皮材加飾層の保護用フィルムのラ
ミネート化処理が不要となり、手触り感・高級感に優れ
た表面加飾性能を有する表皮材インサート成形品を低コ
ストで安定供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する表皮材インサート成形装置の
全体構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る表皮材インサート成形工
程のフローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係る型締パターン制御のフロ
ーチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る型締パターン制御のフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 固定盤 2 可動盤 3 固定金型 4 可動金型 5 金型キャビティ 8 温度センサ 10 金型装置 20 型締装置 22 型締シリンダ 30 射出装置 32 バレル 34 スクリュ 36 スクリュフライト 38 ホッパ 39 ノズル 40 射出シリンダ 42 油圧モータ 50 油圧供給源(射出回路) 52 電磁リリーフ弁(射出回路) 60 制御装置 61 射出制御部 62 型締制御部 63 加熱手段制御部 64 温度モニタ部 65 温度条件設定部 66 型締条件設定部 69 電磁リリーフ弁(型締回路) 70 油圧供給源(型締回路) 100 表皮材インサート成形装置 Q コア材(コア材樹脂) S 表皮材 Tg ガラス転移点(表皮材加飾層) S1 設定型開量 S2 設定型開量 P1 設定型締力 P2 設定型締力 P3 設定型締力 T 設定時間 M 設定温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/14 - 45/16 B29C 45/57 - 45/80 B29L 31:58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する一対の金型の間に加飾層を有す
    る表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該金型と
    で形成される金型キャビティ空間内にコア材となる溶融
    樹脂を射出充填して該表皮材と該コア材とを一体成形す
    る表皮材インサート成形方法において、 表皮材の加飾層はガラス転移点がコア材樹脂の射出時の
    樹脂温度より低い材質を選定し、 予め設定した型締条件で型締した後、冷却固化収縮量を
    加算した樹脂量のコア材となる溶融樹脂を射出充填し、
    コア材となる溶融樹脂の射出充填後は、型締側から保圧
    力の負荷を行うとともに、表皮材加飾層の温度あるいは
    コア材樹脂の温度が、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す
    温度領域内で設定した設定温度に到達した時点で、表皮
    材と金型との間に表皮材加飾層の厚さに応じた型開量を
    設けて所定の設定時間保持するようにしたことを特徴と
    する表皮材インサート成形方法。
  2. 【請求項2】 冷却固化収縮量を加算した樹脂量をコア
    材となる溶融樹脂の射出充填量として設定するとともに
    射出充填動作を行なう射出制御部と、コア材となる溶融
    樹脂の射出充填の際の型締条件および表皮材加飾層の厚
    さに応じた型開量を設定入力する型締条件設定部と、表
    皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で型締状態を
    切替える温度を設定入力する温度条件設定部と、成形中
    の表皮材加飾層の温度あるいはコア材樹脂の温度をモニ
    タする温度モニタ部と、該温度モニタ部の信号と前記温
    度条件設定部の設定値とを比較する比較制御部と、該比
    較制御部の信号および前記型締条件設定部の信号に基づ
    いて型締機構を制御する型締制御部とを有する表皮材イ
    ンサート成形装置。
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