JP4677205B2 - ガイドワイヤ - Google Patents
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Description
血管は、複雑に湾曲しており、バルーンカテーテルを血管に挿入する際に用いるガイドワイヤには、適度の曲げに対する柔軟性および復元性、基端部における操作を先端側に伝達するための押し込み性およびトルク伝達性(これらを総称して「操作性」という)、さらには耐キンク性(耐折れ曲がり性)等が要求される。
それらの特性の内、適度の柔軟性を得るための構造として、ガイドワイヤの細い先端芯材の回りに曲げに対する柔軟性を有する金属コイルを備えたものや、柔軟性および復元性を付与するためのガイドワイヤの芯材にNi−Ti等の超弾性線を用いたものがある。
前者のコイルを備えたガイドワイヤには、特許文献1のように、2つの材質の異なるコイルを直列に配置して相互にねじ込まれて芯材に固定されたものがある。しかし、コイルをガイドワイヤの芯材の固定する際に、コイルの中心に固定するのは必ずしも容易な作業とは言えなかった。
しかし、上記特許文献1において2つのコイルを芯材に接合しようとすると、はんだがコイルと芯材の空間を流れてしまい、接合部が軸方向に長くなってしまう。また、特許文献2や3のように、モールドや接続コイル上にて結合する方法では、コイル同士の軸線上のずれは少なくなるが、作業が煩雑であり、かつ、接合したコイルを芯材に接続しようとすると、コイルの中心軸と芯材とがずれるという問題点は残る。特許文献4のスぺーサーには、造影性などの特徴はあるものの、コイル同士のズレやコイルと芯材とのズレという点ではなんら示唆もない。
(1) 芯材と、該芯材の少なくとも先端側部分を被包するコイルとを備えるガイドワイヤであって、該ガイドワイヤは、前記芯材の先端側部分に固定されるとともに、前記コイルの長手方向の少なくとも一部分にて、該コイルを前記芯材に対してほぼ同心状となるよう固定するためのコイル固定用部材を備え、前記コイルは、先端側コイルと基端側コイルとを備え、さらに、前記先端側コイルおよび前記基端側コイルは、ほぼ同じ外径を有するとともに異なる内径を有し、前記コイル固定用部材は、前記先端側コイルの基端部および前記基端側コイルの先端部を前記芯材に固定するものであり、かつ、前記コイルは、前記コイル固定用部材に接着用材料を介して固定されているガイドワイヤ。
(2) 前記先端側コイルと前記基端側コイルとは、物性が異なっている上記(1)に記載のガイドワイヤ。
(3) 前記コイル固定用部材は、前記各コイルの内径の相違に対応する小径部分と大径部分を備えている上記(1)に記載のガイドワイヤ。
(4) 芯材と、該芯材の少なくとも先端側部分を被包するコイルとを備えるガイドワイヤであって、該ガイドワイヤは、前記芯材の先端側部分に固定されるとともに、前記コイルの長手方向の少なくとも一部分にて、該コイルを前記芯材に対してほぼ同心状となるよう固定するためのコイル固定用部材を備え、前記コイルは、先端側コイルと基端側コイルとを備え、さらに、前記先端側コイルおよび前記基端側コイルは、ほぼ同じ外径を有するとともに異なる内径を有し、前記コイル固定用部材は、前記先端側コイルの基端部および前記基端側コイルの先端部を前記芯材に固定するものであり、かつ、前記コイルは、前記コイル固定用部材に溶接により固定されているガイドワイヤ。
(5) 前記コイル固定用部材形成材料の融点は、前記コイル形成材料の融点よりも低いものである(4)に記載のガイドワイヤ。
(6) 前記コイル固定用部材は、前記各コイルの内径の相違に対応する小径部分と大径部分を備えている(4)または(5)に記載のガイドワイヤ。
(7) 前記先端側コイルと前記基端側コイルとは、物性が異なっている上記(4)ないし(6)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
図1は、本発明のガイドワイヤの一実施例の部分省略正面図である。図2は、図1に示したガイドワイヤの部分省略断面図である。図3は、本発明のガイドワイヤに用いられるコイル固定用部材の一例の正面図である。図4は、図3に示したコイル固定用部材の右側面図である。図5は、本発明のガイドワイヤに用いられるコイル固定用部材の他の例の右側面図である。図6は、本発明のガイドワイヤに用いられるコイル固定用部材の他の断面図である。図7ないし図9は、本発明のガイドワイヤに用いられるコイル固定用部材の他の例の正面図である。
本発明のガイドワイヤ1は、芯材2と、芯材2の少なくとも先端側部分を被包するコイル3とを備える。ガイドワイヤ1は、芯材2の先端側部分に固定されるとともに、コイル3の長手方向の少なくとも一部分にて、コイル3を芯材2に対してほぼ同心状となるよう固定するためのコイル固定用部材4を備え、コイル2は、コイル固定用部材4に接着用材料を介して固定されている。
芯材2は、基端側より、本体部22、テーパー部23および先端部21を有する。本体部22は、芯材2の基端より、先端側に向かって延びるほぼ一定外径を有する長尺な部分であり、先端部21は、本体部22に比べて小径となっている。この実施例では、先端部21は、略同一径にて先端側に延びるものとなっている。そして、先端部21と本体部22間にテーパー部23が形成されている。
本体部22におけるガイドワイヤ1の外径は、0.2〜1.8mm、好ましくは0.3〜1.6mm程度が特に好ましい。また、先端部21の外径としては、0.05mm〜1.6mm、長さは10mm〜500mm、好ましくは20mm〜300mmである。先端部21は、先端側がより柔軟となるものであってもよく、例えば、熱処理により先端に向かって徐々に柔軟なものとしてもよい。
コイル3としては、全長が10mm〜500mm、好ましくは20mm〜300mmであり、コイル3の外径としては、直径0.2〜1.8mm、好ましくは、0.3〜1.6mmである。そして、コイル3は、芯材2の先端部21およびテーパー部23を被包している。コイルの先端は芯材2の先端に固定されており、コイルの基端は、芯材2のテーパー部の基端部にロウ6等で固着されている。
この実施例では、コイル3は、図1および図2に示すように、先端側コイル31と基端側コイル32とにより構成されている。さらに、先端側コイル31の基端部31bと基端側コイル32の先端部32aは絡み合っている。このように両者が絡み合うことにより、両者が離間するすることを防止する。両者の絡み合う距離としては、0.1〜2mm程度が好適である。
そして、コイル3の先端は、芯材2の先端にロウ5により固定されている。そして、ロウ5により形成されるガイドワイヤ1の先端は、半球状先端部となっている。半球状先端とは、実質的に曲面に成形されていることを意味し、例えば釣鐘状、弾丸状などの形状を含むものである。
コイル3における固定用部材4の位置は、本実施例では、コイル3の長手方向の中間部分よりも先端側に設けているが、コイル3の長手方向のほぼ中間部分や、コイル3の長手方向の中間部分よりも基端側に設けてもよい。コイル3における固定用部材4の位置は、コイル3の先端または基端より所定距離離間した位置となる。また、固定用部材4は複数設けてもよい。例えば、先端側コイル31と基端側コイル32を接合した部分から所定距離離れた先端側と基端側に固定用部材4を配置して、先端側コイル31と先端側固定用部材、基端側コイル32と基端側固定用部材をそれぞれロウなどの接着用材料を介して固定してもよい。
このような固定用部材4を設けることにより、芯材(固定用部材)とコイル間の空隙が減少するために、コイル3を芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定することができ、生体内挿入時に、ガイドワイヤの先端部は、偏りのない良好な変形を生じるとともにスムーズなトルク伝達性を実現できるものとなる。また、固定時にロウがガイドワイヤの軸方向に過剰に流れることがなくなり、コイルと芯材との固定部の長さを短いものとできる。
コイル固定用部材の材料としては、銀ロウ等のロウ材、ロウ(ハンダ)になじみやすい金、銅などの貴金属、ステンレス鋼などの金属材料のほか、プラスチックでもよい。コイル固定用部材をプラスチックにて構成した場合は、接着用材料として樹脂用接着剤が好適である。
また、固定用部材は芯材の全周を覆うものが好ましいが、例えば、軸方向にスリットを有するような芯材を一部分覆わないものであってもよい。さらに、固定用部材は、その横断面において複数の部材からなるものでもよい。例えば、芯材の周囲を二つ以上の部材で少なくとも一カ所の非被覆部分を有して覆うものであってもよい。
このガイドワイヤ10と上述したガイドワイヤ1との基本構成は、同じである。相違点は、芯材の先端部の形態とコイル固定用部材の内腔の形態のみである。よって、相違点のみ説明し、他の部分については、上述した説明を参照する。
芯材2は、基端側より、本体部52、テーパー状中間部53およびテーパー状先端部51を有する。本体部52は、芯材2の基端より、先端側に向かって延びるほぼ一定外径を有する長尺な部分である。テーパー状先端部51は、本体部52に比べて小径となっているとともに、先端側に向かって緩やかに小径となっている。そして、テーパー状先端部51と本体部52間にテーパー状中間部53が形成されている。このテーパー状中間部53は、テーパー状先端部より、外径が大きく変化するテーパーとなっている。このようにすることにより、先端部51を先端側がより柔軟となるものとすることができる。なお、テーパー状先端部51は、全体がテーパー状になっているものに限定されるものではなく、部分的にストレート部分を備えるものであってもよい。
このガイドワイヤ20と上述したガイドワイヤ1との基本構成は、同じである。相違点は、コイル3を構成する先端側コイル31の基端部31bと基端側コイル32の先端部32aが絡み合っていない点のみである。よって、相違点のみ説明し、他の部分については、上述した説明を参照する。
先端側コイル31の基端部31bと基端側コイル32の先端部32aが絡み合っていないため、コイル固定用部材4は、先端側コイル31の基端部31bと基端側コイル32の先端部32aを芯材2に固定するものとなる。よって、固定用部材4は、先端側コイルおよび基端側コイルの両者を個々に芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定するように機能する。そして、固定用部材4は、小径部41と大径部42を備え、小径部41の外径は、先端側コイル31の内径より若干小さいものとなっている。同様に、固定用部材4の大径部42の外径は、基端側コイル32の内径より若干小さいものとなっている。また、固定用部材4の大径部42の外径は、先端側コイル31の内径より若干大きいものとなっている。このようにすることにより、図11に示すように、先端側コイル31の後端は、固定用部材4の大径部の端部に当接する。コイル3は、コイル固定用部材4にロウ7により固定されている。このような固定用部材4を設けることにより、芯材(固定用部材)とコイル間の空隙が減少するために、コイル3を芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定することができ、生体内挿入時に、ガイドワイヤの先端部は、偏りのない良好な変形を生じるものとなる。
このガイドワイヤ30と上述したガイドワイヤ1との基本構成は、同じである。相違点は、コイル3として単体のコイルを用いている点およびコイル固定用部材の形態のみである。よって、相違点のみ説明し、他の部分については、上述した説明を参照する。
コイル3としては、図12に示すように、全体が同じ素線により形成されたものとなっており、全体がほぼ同一の外径および同一の内径を備えるものとなっている。そして、コイル固定用部材64は、図12に示すように、ほぼ同一外径を備える筒状部材となっている。この固定用部材64を用いることにより、コイルの中間部分を芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定することができる。固定用部材64の外径は、コイル3の内径より若干小さいものとなっている。コイル3は、コイル固定用部材64にロウ7により固定されている。このような固定用部材64を設けることにより、芯材(固定用部材)とコイル間の空隙が減少するために、コイル3を芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定することができ、生体内挿入時に、ガイドワイヤの先端部は、偏りのない良好な変形を生じるものとなる。
図12、13の実施例において、コイル固定用部材64aに位置するコイル3に隙間を設けることによって隙間よりロウ(ハンダ)を溶かし込み易くできる。
なお、上述した実施例のガイドワイヤ20および30においても、上述したガイドワイヤ10のような芯材の先端部の形態とコイル固定用部材の内腔の形態を備えるものとしてもよい。
このガイドワイヤ70と上述したガイドワイヤ1との基本構成は、同じである。相違点は、芯材の形態とコイルの形態のみである。よって、相違点のみ説明し、他の部分については、上述した説明を参照する。
コイル3は、芯材72の全体を被包している。芯材72は、基端側より先端側まで、ほぼ同じ外径を備えるものなっている。なお、芯材72の先端部は、上述したガイドワイヤ10のように先端に向かって縮径するものであってもよい。
コイル3は、先端側コイル76と基端側コイル77を備えている。先端側コイル76は、上述した先端側コイル31と同じである。基端側コイル77は、その後端77bが芯材72の後端まで延び、芯材72の後端に固定されている。この実施例のガイドワイヤ70においても、上述した固定用部材4と同様に、先端側コイル76の基端部76bと基端側コイル77の先端部77aとは絡み合っている。固定用部材74は、先端側コイル76と基端側コイル77との絡合部分に対応する小径部74aと、基端側コイル77に対応する大径部74bとを備えている。このガイドワイヤ70においても、固定用部材74は、先端側コイル76と基端側コイル77の絡合部分となる位置に設けられる。
コイル3は、コイル固定用部材74にロウ7により固定されている。そして、コイル3の先端(先端側コイル76の先端76a)は、芯材72の先端にロウ5により固定されている。そして、ロウ5により形成されるガイドワイヤ70の先端は、半球状先端部となっている。半球状先端とは、実質的に曲面に成形されていることを意味し、例えば釣鐘状、弾丸状などの形状を含むものである。
上述したように、固定用部材74を設けることにより、芯材(固定用部材)とコイル間の空隙が減少するために、コイル3を芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定することができ、生体内挿入時に、ガイドワイヤの先端部は、偏りのない良好な変形を生じるものとなる。
図15は、本発明の他の実施例のガイドワイヤの断面図である。図16は、本発明のガイドワイヤに使用される筒状部材の他の例の外観図である。
このガイドワイヤ80と上述したガイドワイヤ1との基本構成は、同じである。
相違点は、コイル固定用部材の形態のみである。よって、相違点を中心に説明し、他の部分については、上述した説明を参照する。
この実施例のガイドワイヤ80においてもガイドワイヤ1と同様に、固定用部材81は、図15および図16に示すように、筒状部材となっている。固定用部材81は、図16に示すように外面に、コイルの内側部分の形状に対応した螺旋状の溝84を備えている。そして、図15に示すように、先端側コイル31の基端部の内側部分は、固定用部材81の溝84内に入り込んだ状態となっている。 この実施例のガイドワイヤ80では、先端側コイル31の基端部31bと基端側コイル32の先端部32aが絡み合っている。これを考慮して、固定用部材81の溝84は、ピッチが広いものとなっている。
また、このガイドワイヤ80では、上述したガイドワイヤ1と同様に、固定用部材81は、先端側コイル31と基端側コイル32の絡合部分となる位置に設けられる。そして、固定用部材81の小径部82の外径は、先端側コイル31の内径より若干大きいものとなっている。なお、先端側コイル31の固定用部材81の小径部上となる部分は、上述した溝84内に入り込むため、先端側コイル31の固定用部材81上となる部分は、他の部分と同じ外径を維持している。また、固定用部材81の大径部83の外径は、基端側コイル32の内径より若干小さいものとなっている。また、固定用部材81の大径部83の外径は、先端側コイル31の内径より若干大きいものであることが好ましい。このようにすることにより、先端側コイル31の後端は、固定用部材81の大径部の端部に当接するため、先端側コイルの移動を防止できる。さらに、芯材へのコイルの固定作業も容易なものとなる。
このような固定用部材81を設けることにより、芯材(固定用部材)とコイル間の空隙が減少するために、コイル3を芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定することができ、生体内挿入時に、ガイドワイヤの先端部は、偏りのない良好な変形を生じるとともにスムーズなトルク伝達性を実現できるものとなる。また、固定時にロウがガイドワイヤの軸方向に過剰に流れることがなくなり、コイルと芯材との固定部の長さを短いものとできる。
また、この実施例のガイドワイヤ80においても、上述したガイドワイヤ10のような芯材の先端部の形態とコイル固定用部材の内腔の形態を備えるものとしてもよい。
なお、単体のコイルとしては、全て同一の材料からなるものの他に、先端側の素線を白金などの造影性材料にて形成し、基端側の素線をステンレス鋼などの先端側より造影性の低い材料にて形成し、先端側素線の基端部と基端側素線の先端部を接合して一体的にコイルにしたものも含む。この場合、固定用部材は、素線の接合部に上述のように芯材とコイルの間に介在してもよいが、接合部を挟んで先端側および/または基端側に位置してもよい。
さらに、この実施例のガイドワイヤにおいても、図14に示したガイドワイヤ70と同様の芯材の形態およびコイルの形態を有するものであってもよい。
図17は、本発明のガイドワイヤの他の実施例の部分省略正面図である。図18は、図17に示したガイドワイヤのA−A線断面図である。
この実施例のガイドワイヤ90は、芯材2と、芯材2の少なくとも先端側部分を被包するコイル3とを備える。ガイドワイヤ90は、芯材2の先端側部分に固定されるとともに、コイル3の長手方向の少なくとも一部分にて、コイル3を芯材2に対してほぼ同心状となるよう固定するためのコイル固定用部材4を備え、コイル2は、コイル固定用部材4に溶接により固定されている。
この実施例のガイドワイヤ90では、コイル3は、コイル固定用部材4に溶接により固定されている。溶接方法としては、レーザ溶接、アーク溶接、抵抗溶接などの公知の方法が使用できる。この実施例のガイドワイヤ90では、スポット溶接により固定されており、2つの固定部8a,8bを有している。そして、一方の固定部8aは、固定用部材4の中央部もしくは中央部より基端側に位置し、他方の固定部8bは、固定用部材4の先端側に位置している。さらに、この実施例のガイドワイヤ90では、コイル3は、図17および図18に示すように、先端側コイル31と基端側コイル32とにより構成されており、さらに、先端側コイル31の基端部31bと基端側コイル32の先端部32aは絡み合っている。そして、一方の固定部8aは、コイルの絡み合っている部分の基端部を固定用部材に固定しており、他方の固定部8bは、コイルの絡み合っている部分の先端部を固定用部材4に固定している。
固定用部材の材料としては、銀ロウ等のロウ材、ロウ(ハンダ)になじみやすい金、銅などの貴金属、ステンレス鋼などの金属材料が挙げられる。固定用部材を構成する材料の融点がコイルを構成する材料の融点よりも低いことが好ましい。すなわち、固定用部材の重量が固定部の面積に相当するコイルの重量より充分に大きいので、レーザ等のエネルギーで、コイル及び固定用部材表面は溶融するが、固定用部材全体は溶融せず形を維持できる。コイルを構成する材料の融点よりも低い材料にて固定用部材を構成するほかに、固定用部材の少なくとも表面を、コイルを構成する材料の融点よりも低い材料にて形成することも可能である。コイルが異なる融点を有する材料からなる二層構造(例えば、外層をX線造影性の低いステンレス鋼、内層をX線造影性の高い白金)を有する場合は、個々の材料の融点と断面積占有率から計算してコイルの融点とすることができる。
固定部の位置としては、一方の固定部8aがコイルの絡み合っている部分よりも先端側の先端側コイル及び固定用部材に位置し、他方の固定部8bがコイルの絡み合っている部分よりも基端側の基端側コイル及び固定用部材に位置する例が挙げられる。
なお、このように点状に溶接して固定部を形成する場合、固定部の数としては、上記の2つに限定されるものではなく、3以上であってもよい。また、3以上の固定部を設ける場合には、それぞれの固定部は、ガイドワイヤの中心軸に対して、ほぼ等角度となるように設けることが好ましい。さらに、3以上の固定部を設ける場合には、それぞれの固定部は、ガイドワイヤの軸方向に対して、ほぼ等間隔となるように設けることが好ましい。また、固定部は、上記のように点状に形成されるものに限定されるものではなく、環状に溶接するものであってもよい。
そして、上述したすべての実施例のガイドワイヤにおいて、コイルはコイル固定用部材に溶接により固定するものとしてもよい。溶接による固定部としては、上述したものが好適である。
芯材2は、基端側より、本体部22、テーパー部23および先端部21を有する。本体部22は、芯材2の基端より、先端側向かって延びるほぼ一定外径を有する長尺な部分であり、先端部21は、本体部22に比べて小径となっている。この実施例では、先端部21は、略同一径にて先端側に延びるものとなっている。そして、先端部21と本体部22間にテーパー部23が形成されている。
本体部22におけるガイドワイヤ90の外径は、0.2〜1.8mm、好ましくは0.3〜1.6mm程度が特に好ましい。また、先端部21の外径としては、0.05mm〜1.6mm、長さは10mm〜500mm、好ましくは20mm〜300mmである。先端部21は、先端側がより柔軟となるものであってもよく、例えば、熱処理により先端に向かって徐々に柔軟なものとしてもよい。
芯材2の構成材料としては、例えば、Ni−Ti合金等の超弾性合金、ステンレス鋼、ピアノ線等の各種金属材料などが用いられる。
コイル3としては、全長が10mm〜500mm、好ましくは20mm〜300mmであり、コイル3の外径としては、直径0.2〜1.8mm、好ましくは、0.3〜1.6mmである。そして、コイル3は、芯材2の先端部21およびテーパー部23を被包している。コイルの先端は芯材2の先端に固定されており、コイルの基端は、芯材2のテーパー部の基端部にロウ6等で固着されている。
また、先端側コイル31と基端側コイル32とは物性が異なることが好ましい。両者の物性は、ガイドワイヤの目的に応じて種々選択可能である。例えば、基端側コイルに比べて先端側コイルは柔軟なものとすること(コイル柔軟性は、例えば、コイルの素線に一定の隙間を設けるか、素線を密着させて巻くかによって変えること、コイルの素線径を変えること、コイルの素材を変えることなどにより変化させることができる)、また、基端側コイルに比べて先端側コイルは造影性が高いものとすることなどが考えられる。この実施例では、先端側コイル31の素線径は、基端側コイルの素線径より太いものがものが用いられている。さらに、先端側コイルの素線に一定の隙間を設けても良い。なお、先端側コイル31および基端側コイル32は、ほぼ同じ外径となっている。先端側コイルの長さとしては、3〜60mm程度が好適であり、基端側コイルの長さとしては、10〜40mm程度が好適である。また、先端側コイル31の内径は、基端側コイル32の内径より小さいものとなっている。
そして、コイル3の先端は、芯材2の先端にロウ5により固定されている。そして、ロウ5により形成されるガイドワイヤ90の先端は、半球状先端部となっている。半球状先端とは、実質的に曲面に成形されていることを意味し、例えば釣鐘状、弾丸状などの形状を含むものである。
コイル3における固定用部材4の位置は、本実施例では、コイル3の長手方向の中間部分よりも先端側に設けているが、コイル3の長手方向のほぼ中間部分や、コイル3の長手方向の中間部分よりも基端側に設けてもよい。コイル3における固定用部材4の位置は、コイル3の先端または基端より所定距離離間した位置となる。また、固定用部材4は複数設けてもよい。例えば、先端側コイル31と基端側コイル32を接合した部分から所定距離離れた先端側と基端側に固定用部材4を配置して、先端側コイル31と先端側固定用部材、基端側コイル32と基端側固定用部材をそれぞれロウなどの接着用材料を介して固定してもよい。
そして、このような固定用部材4を設けることにより、芯材(固定用部材)とコイル間の空隙が減少するために、コイル3を芯材に対して、ほぼ同心状となるよう固定することができ、生体内挿入時に、ガイドワイヤの先端部は、偏りのない良好な変形を生じるとともにスムーズなトルク伝達性を実現できるものとなる。また、固定時にロウがガイドワイヤの軸方向に過剰に流れることがなくなり、コイルと芯材との固定部の長さを短いものとできる。
また、この実施例のガイドワイヤにおいても、図14に示したガイドワイヤ70と同様の芯材の形態およびコイルの形態を有するものであってもよい。さらに、この実施例のガイドワイヤ9においても、固定用部材は、図15および図16に示したもののように、固定用部材は、外面に、コイルの内側部分の形状に対応した螺旋状の溝を備え、図15に示すように、先端側コイル3の基端部の内側部分は、固定用部材の溝内に入り込んだ状態となっているものであってもよい。
潤滑性付与剤としては、水溶性高分子物質またはその誘導体が好ましく、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸系高分子物質(例えば、ポリアクリル酸ソーダ)、フタル酸系高分子物質(例えば、ポリヒドロキシエチルフタル酸エステル)、水溶性ポリエステル(例えば、ポリジメチロールプロピオン酸エステル)、ケトンアルデヒド樹脂(例えば、メチルイソプロピルケトンホルムアルデヒド)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホネート、水溶性ナイロンなどが使用できる。
なお、この実施例のガイドワイヤの基本構成は、上述した実施例ガイドワイヤ90と同じものとなっているが、他の上述したすべての実施例のいずれかのガイドワイヤが備える構成であってもよい。同様に、固定部材としても、図5ないし図9および図16のいずれかのものを用いるものであってもよい。
ガイドワイヤ100では、芯材2は、先端側芯材102と基端側芯材103とからなる。先端側芯材102の基端が、基端側芯材103の先端に固定されている。
先端側芯材102の構成材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼などの各種金属材料を使用することができるが、そのなかでも特に、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む。)が好ましい。より好ましくは超弾性合金である。超弾性合金は、比較的柔軟であるとともに、復元性があり、曲がり癖が付き難い。先端側芯材102を超弾性合金で構成することにより、ガイドワイヤ100は、その先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られる。このため、複雑に湾曲・屈曲する血管に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られる。さらに、先端側芯材102が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、先端側芯材102に復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ100の使用中に先端側芯材102に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
超弾性合金の好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。
先端側芯材102の基端には、基端側芯材103の先端が溶接により連結(接続)されている。基端側芯材103は、弾性を有する線材である。基端側芯材103の長さは、特に限定されないが、20〜4800mm程度であるのが好ましい。
基端側芯材103の構成材料(素材)は、特に限定されず、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性合金などの各種金属材料を使用することができる。
この中でも、コバルト系合金は、ワイヤとしたときの弾性率が高く、かつ適度な弾性限度を有している。このため、コバルト系合金で構成された基端側芯材103は、特に優れたトルク伝達性を有し、座屈等の問題を極めて生じ難い。コバルト系合金としては、構成元素としてCoを含むものであれば、いかなるものを用いてもよいが、Coを主成分として含むもの(Co基合金:合金を構成する元素中で、Coの含有率が重量比で最も多い合金)が好ましく、Co−Ni−Cr系合金を用いるのがより好ましい。このような組成の合金を、基端側芯材103の構成材料として用いることにより、前述した効果がさらに顕著なものとなる。また、このような組成の合金は、弾性係数が高く、かつ高弾性限度としても冷間成形可能で、高弾性限度であることにより、座屈の発生を十分に防止しつつ、小径化することができ、所定部位に挿入するのに十分な柔軟性と剛性を備えるものとすることができる。
また、Co、Ni、Crの一部は、他の元素で置換してもよい。例えば、Niの一部をMnで置換してもよい。これにより、例えば、加工性のさらなる改善等を図ることができる。また、Crの一部をMoおよび/またはWで置換してもよい。これにより、弾性限度のさらなる改善等を図ることができる。Co−Ni−Cr系合金の中でも、Moを含む、Co−Ni−Cr−Mo系合金が特に好ましい。
また、先端側芯材102と基端側芯材103を異種合金とすることが好ましく、また、先端側芯材102が、基端側芯材103の構成材料より弾性率が小さい材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ100は、先端側の部分が優れた柔軟性を有するとともに、基端側の部分が剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)に富んだものとなる。その結果、ガイドワイヤ100は、優れた押し込み性やトルク伝達性を得て良好な操作性を確保しつつ、先端側においては良好な柔軟性、復元性を得て血管への追従性、安全性が向上する。
また、先端側芯材102と、基端側芯材103との具体的な組合せとしては、先端側芯材102を超弾性合金で構成し、基端側芯材103をCo−Ni−Cr系合金またはステンレス鋼で構成することが特に好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
また、このガイドワイヤ100では、先端側芯材102と基端側芯材103との溶接部104に、外周方向に突出する突出部105が形成されている。このような突出部105が形成されることにより、先端側芯材102と基端側芯材103との接合面積が大きくなり、これらの接合強度は、特に高いものとなる。これにより、ガイドワイヤ100は、基端側芯材103からのねじりトルクや押し込み力がより確実に先端側芯材102に伝達される。
突出部105の高さは、特に限定されないが、0.001〜0.3mmであるのが好ましく、0.005〜0.05mmであるのがより好ましい。
そして、このガイドワイヤ100では、ガイドワイヤの外面は、被覆層110により被覆されている。
被覆層110は、基端側芯材103の外径漸減部131および突出部105を被覆するとともに、実質的に均一な外径となっている。なお、使用上支障のないようななだらかな外径の変化も「実質的に均一な外径」に含むものとする。
そして、この実施例のガイドワイヤ100では、被覆層110は、異なる被覆材料により形成された複数の被覆部を備えている。
先端被覆部111は、先端側芯材102の先端とコイル3の先端を固定するロウ5部分の外面およびコイル3の先端部外面を被覆するものである。
接合部被覆部114は、先端側芯材102の基端部、先端側芯材102の基端と基端側芯材103との接合部104,接合部に形成された突出部105および基端側芯材のテーパー部131の外面を被覆するものである。
先端被覆部111、接合部被覆部114は、ほぼ均一な外径を形成することができる成形性の良好な材料により形成することが好ましい。さらには、摩擦を低減し得る材料であることが好ましい。これにより、この部分のガイドワイヤの外径をほぼ均一なものとすることができるとともに、ガイドワイヤが挿入されるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)も低減される。
また、先端側芯材基端部被覆部113,基端側芯材を被覆する基端側芯材被覆部115は、摩擦を低減し得る材料で構成されているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤの先端部とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤの操作性がより良好なものとなる。
また、コイル被覆部112は、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮するものであることが好ましい。このような湿潤(吸水)により潤滑性を発揮するものとして、多くの親水性材料が使用できる。具体的には、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
各被覆層部の厚さは、特に限定されないが、通常は、厚さ(平均)が1〜20μm程度であるのが好ましく、2〜10μm程度であるのがより好ましい。
そして、被覆層110における被覆部の形成材料の組み合わせとしては、接合部被覆部114は、シリコーン樹脂(またはこれを含む複合材料)で構成され、先端側芯材基端部被覆部113および基端側芯材被覆部115は、フッ素系樹脂(またはこれを含む複合材料)で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、シリコーン樹脂の利点とフッ素系樹脂の利点とを併有することができる。すなわち、被覆層115における被覆部の構成材料を、上記のような組合せとすることにより、溶接部における先端側芯材と基端側芯材との接合強度を維持しつつ、ガイドワイヤ100全体としては、十分な摺動性を有し、優れた操作性を発揮するものとすることができる。
また、上述した実施例のガイドワイヤ70を除く他のすべての実施例のガイドワイヤ1,10,20,30,40,80,90において、上記のガイドワイヤ100に示したもののように被覆部110を備えることが好ましい。被覆部110の構成としては、上述のものが好ましい。
なお、上述したような構成を有する先端被覆部111を設けることが好ましいが、先端被覆部111は、コイル被覆部112と一体のものとしてもよい。また、上述したような構成を有する先端側芯材基端部被覆部113を設けることが好ましいが、先端側芯材基端部被覆部113は、コイル被覆部112もしくは接合部被覆部114と一体のものとしてもよい。
10 ガイドワイヤ
20 ガイドワイヤ
30 ガイドワイヤ
40 ガイドワイヤ
70 ガイドワイヤ
80 ガイドワイヤ
90 ガイドワイヤ
100 ガイドワイヤ
Claims (7)
- 芯材と、該芯材の少なくとも先端側部分を被包するコイルとを備えるガイドワイヤであって、該ガイドワイヤは、前記芯材の先端側部分に固定されるとともに、前記コイルの長手方向の少なくとも一部分にて、該コイルを前記芯材に対してほぼ同心状となるよう固定するためのコイル固定用部材を備え、前記コイルは、先端側コイルと基端側コイルとを備え、さらに、前記先端側コイルおよび前記基端側コイルは、ほぼ同じ外径を有するとともに異なる内径を有し、前記コイル固定用部材は、前記先端側コイルの基端部および前記基端側コイルの先端部を前記芯材に固定するものであり、かつ、前記コイルは、前記コイル固定用部材に接着用材料を介して固定されていることを特徴とするガイドワイヤ。
- 前記先端側コイルと前記基端側コイルとは、物性が異なっている請求項1に記載のガイドワイヤ。
- 前記コイル固定用部材は、前記各コイルの内径の相違に対応する小径部分と大径部分を備えている請求項1に記載のガイドワイヤ。
- 芯材と、該芯材の少なくとも先端側部分を被包するコイルとを備えるガイドワイヤであって、該ガイドワイヤは、前記芯材の先端側部分に固定されるとともに、前記コイルの長手方向の少なくとも一部分にて、該コイルを前記芯材に対してほぼ同心状となるよう固定するためのコイル固定用部材を備え、前記コイルは、先端側コイルと基端側コイルとを備え、さらに、前記先端側コイルおよび前記基端側コイルは、ほぼ同じ外径を有するとともに異なる内径を有し、前記コイル固定用部材は、前記先端側コイルの基端部および前記基端側コイルの先端部を前記芯材に固定するものであり、かつ、前記コイルは、前記コイル固定用部材に溶接により固定されていることを特徴とするガイドワイヤ。
- 前記コイル固定用部材形成材料の融点は、前記コイル形成材料の融点よりも低いものである請求項4に記載のガイドワイヤ。
- 前記コイル固定用部材は、前記各コイルの内径の相違に対応する小径部分と大径部分を備えている請求項4または5に記載のガイドワイヤ。
- 前記先端側コイルと前記基端側コイルとは、物性が異なっている請求項4ないし6のいずれかに記載のガイドワイヤ。
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