JP4677085B2 - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーテレビ、パーソナルコンピュータ、パチンコ遊技台等に使用されているカラー液晶素子の構成部材であるカラーフィルター、及び、複数の発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素子といった光学素子を、インクジェット方式を利用して製造する製造方法に関し、さらには、該製造方法により製造される光学素子、及び該光学素子の一つであるカラーフィルターを用いてなる液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの発達、特に携帯用パーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶ディスプレイ、特にカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、さらなる普及のためにはコストダウンが必要であり、特にコスト的に比重の重いカラーフィルターのコストダウンに対する要求が高まっている。
【0003】
従来から、カラーフィルターの要求特性を満足しつつ上記の要求に応えるべく、種々の方法が試みられているが、未だ全ての要求特性を満足する方法は確立されていない。以下にそれぞれの方法を説明する。
【0004】
第一の方法は染色法である。染色法は、先ず透明基板上に染色用の材料である、水溶性の高分子材料層を形成し、これをフォトリソグラフィ工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。この工程を3回繰り返すことにより、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色部からなる着色層を形成する。
【0005】
第二の方法は顔料分散法であり、近年最も盛んに行われている。この方法は、先ず透明基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより、単色のパターンを得る。この工程を3回繰り返すことにより、R、G、Bの3色の着色部からなる着色層を形成する。
【0006】
第三の方法としては電着法がある。この方法は、先ず透明基板上に透明電極をパターニングし、顔料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して第一の色を電着する。この工程を3回繰り返して、R、G、Bの3色の着色部からなる着色層を形成し、最後に焼成するものである。
【0007】
第四の方法としては、熱硬化型の樹脂に顔料を分散し、印刷を3回繰り返すことにより、R、G、Bを塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより、着色層を形成するものである。いずれの方法においても、着色層の上に保護層を形成するのが一般的である。
【0008】
これらの方法に共通している点は、R、G、Bの3色を着色するために同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になることである。また、工程数が多い程、歩留まりが低下するという問題も有している。さらに、電着法においては、形成可能なパターン形状が限定されるため、現状の技術ではTFT型(TFT、即ち薄膜トランジスタをスイッチング素子として用いたアクティブマトリクス駆動方式)の液晶素子の構成には適用困難である。
【0009】
また、印刷法は解像性が悪いため、ファインピッチのパターン形成には不向きである。
【0010】
上記のような欠点を補うべく、近年、インクジェット方式を利用したカラーフィルターの製造方法が盛んに検討されている。インクジェット方式を利用した方法は、製造プロセスが簡略で、低コストであるという利点がある。
【0011】
一方、インクジェット方式はカラーフィルターの製造に限らず、エレクトロルミネッセンス素子の製造にも応用が可能である。
【0012】
エレクトロルミネッセンス素子は、蛍光性の無機及び有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、上記薄膜に電子及び正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子を生成させ、この励起子が失活する際の蛍光の放出を利用して発光させる素子である。このようなエレクトロルミネッセンス素子に用いられる蛍光性材料を、例えばTFT等素子を作り込んだ基板上にインクジェット方式により付与して発光層を形成し、素子を構成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、インクジェット方式は製造プロセスの簡略化及びコスト削減を図ることができることから、カラーフィルターやエレクトロルミネッセンス素子といった光学素子の製造へ応用されている。しかしながら、このような光学素子の製造において、インクジェット方式特有の問題として、「白抜け」と言う問題がある。以下、カラーフィルターを製造する場合を例に挙げて説明する。
【0014】
「白抜け」は、吐出されたインクが隔壁によって囲まれた領域内において十分に濡れ拡がらないために発生する不良であり、ムラ、コントラスト低下、白色輝点といった表示不良の原因となる。図3にその概念図を示す。図3中、31は透明基板、33は隔壁、36はインク、38は白抜け部分である。また、(b)は(a)におけるA−B断面図である。
【0015】
白抜けは、図3に示したように、複雑なコーナー部位や開口部幅が狭小な部位ではインク36が濡れ拡がりにくいため、また、隔壁33近傍部においてインク36の厚みが薄くなるため他の部位と比べて色が白くなるため発生する問題である。白抜けはインク付与量が多くなるに従い少なくなるものの、完全に消失することはない。特にTFT型液晶パネル用カラーフィルターでは、TFT(薄膜トランジスタ)の誤作動を防ぐために外光から保護する目的と、尚且つ開口率の向上という目的から開口形状が複雑な形状となっており、白抜け問題が発生しやすい。
【0016】
隔壁33の形成には通常フォトレジストが用いられ、隔壁33の開口部内にはフォトレジストに含有される種々の成分が付着残留している場合がある。この付着残留物がインクの濡れ拡がりを妨げる場合がある。また、隣接する開口部に付与される異なる色のインク同士が混じり合う、いわゆる「混色」を防ぐために、隔壁33自体に対しては撥インク性が求められており、この撥インク性を付与する処理により、隔壁33の開口部内における十分な濡れ拡がり性を得ることができずに、白抜けが発生する場合がある。
【0017】
例えば、特開平11−329741号公報には、隔壁をインクに対して親和性を有する下層と非親和性を有する上層の多層構造とし、上層をインクに対して非親和性とする手法として、フッ素化合物を含むガスによりプラズマ処理する方法が開示されている。しかし、多層化するといった点から、フォトリソ工程を複数回実施しなくてはならず、プロセスの複雑化、コストアップにつながるという問題がある。
【0018】
さらには、特開2000−18771号公報においてはフッ素化合物ガスによるプラズマ処理により隔壁に撥インク性を付与する方法が提案されているが、親インク化処理を行なった後に撥インク化処理を行なうためにインク付与部においてインクが濡れ拡がらず、白抜けが発生するという問題がある。
【0019】
上記問題は、インクジェット方式によりエレクトロルミネッセンス素子を製造する場合にも同様に生じる。即ち、エレクトロルミネッセンス素子において、例えば蛍光性材料を含むインクを用い、隔壁で囲まれた領域に該インクを付与して画素(発光層)を形成する際に、隔壁で囲まれた領域内に十分にインクが拡散しなかった場合には、発光層と隔壁との境界部分で十分な発光輝度が得られないという問題を生じる。
【0020】
尚、以下の記述においては、便宜上、エレクトロルミネッセンス素子を製造する場合においても、隣接する発光層間でのインクの反発による発光輝度ムラの発生を「白抜け」、隣接する異なる色を発光する発光層間での異なる蛍光性材料を含有するインク同士が混じり合うことを「混色」と記す。
【0021】
本発明の課題は、カラーフィルターやエレクトロルミネッセンス素子といった光学素子を、インクジェット方式を利用して簡易なプロセスで安価に製造するに際して、上記問題を解決し、信頼性の高い光学素子を歩留まり良く提供することにある。具体的には、隔壁で囲まれた領域内にインクを付与する際に、隣接する画素間での混色を防止し、且つ、該領域内でインクを十分に拡散させて白抜けのない画素を形成することにある。本発明ではさらに、該製造方法によって得られた光学素子を用いて、カラー表示特性に優れた液晶素子をより安価に提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持基板上に複数の画素と、隣接する画素間に位置する隔壁とを少なくとも有する光学素子の製造方法であって、支持基板上に樹脂組成物からなる隔壁を形成する工程と、少なくともフッ素原子を含有するガス雰囲気下で上記隔壁が形成された支持基板にプラズマ照射するプラズマ処理工程と、上記プラズマ処理を施した支持基板表面に水を接触させる水処理工程と、上記水処理工程後に、隔壁に囲まれた領域にインクジェット方式によりインクを付与して画素を形成する工程とを少なくとも有することを特徴とする光学素子の製造方法である。
【0023】
上記本発明の製造方法においては、下記の構成を好ましい態様として含むものである。
上記水処理工程が、支持基板を水中に浸漬し、超音波を照射する工程であること。
上記水処理工程が、支持基板に水をシャワーリングする工程であること。
上記水処理工程に用いる水が純水であること。
上記プラズマ処理工程に先立って、酸素、アルゴン、ヘリウムから選択される少なくとも1種のガス雰囲気下で、上記支持基板にプラズマ照射するドライエッチング処理を行うこと。
上記隔壁をカーボンブラックを含む樹脂組成物で形成すること。
上記プラズマ処理工程で導入するガスが、CF4、SF6、CHF3、C26、C38、C58から選択される少なくとも1種のハロゲンガスであること。
上記プラズマ処理工程で導入するガスが、CF4、SF6、CHF3、C26、C38、C58から選択される少なくとも1種のハロゲンガスとO2ガスとの混合ガスであり、O2の混合比率が30%以下であること。
上記水処理工程において、支持基板を水に接触させた後、100℃以下で乾燥すること。
上記インクが少なくとも硬化成分、水、有機溶剤を含有すること。
上記支持基板が透明基板であり、上記インクが着色剤を含有し、上記画素が着色部であるカラーフィルタを製造すること。
上記インクが蛍光性材料を含有し、画素が発光層であり、該発光層を挟んで上下に電極を有するエレクトロルミネッセンス素子を製造すること。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の光学素子の製造方法は、隔壁を形成した支持基板にプラズマ処理を施すことによって隔壁表面に撥インク性を付与し、且つ、プラズマ処理を施した支持基板表面に水を接触させることによって該隔壁で囲まれた領域内のインク拡がり性を改善したことに特徴を有する。よって本発明においては、隔壁の撥インク性によって混色が防止されると同時に、隔壁で囲まれた領域内に付与されたインクがすみやかに該領域内に濡れ拡がって白抜けが防止される。
【0028】
尚、本発明において上記「インク」とは、乾燥硬化した後に、例えば光学的、電気的に機能性を有する液体を総称し、従来用いられていた着色材料に限定されるものではない。
【0029】
本発明の製造方法で製造される本発明の光学素子としては、カラーフィルター及びエレクトロルミネッセンス素子(以下、「EL素子」と記す)が挙げられる。先ず、本発明の光学素子について実施形態を挙げて説明する。
【0030】
図6に、本発明の光学素子の一実施形態であるカラーフィルターの一例の断面を模式的に示す。図中、61は支持基板としての透明基板、62は隔壁を兼ねたブラックマトリクス、63は画素である着色部、64は必要に応じて形成される保護層である。本発明のカラーフィルターを用いて液晶素子を構成する場合には、着色部63上或いは、着色部63上に保護層64を形成したさらにその上に、液晶を駆動するためのITO(インジウム・チン・オキサイド)等透明導電材からなる透明導電膜が形成されて提供される場合もある。
【0031】
図7に、図6のカラーフィルターを用いて構成された、本発明の液晶素子の一実施形態の断面模式図を示す。図中、67は共通電極(透明導電膜)、68は配向膜、69は液晶、71は対向基板、72は画素電極、73は配向膜であり、図6と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
カラー液晶素子は、一般的にカラーフィルター側の基板61と対向基板71とを合わせ込み、液晶69を封入することにより形成される。液晶素子の一方の基板71の内側に、TFT(不図示)と画素電極72がマトリクス状に形成されている。また、カラーフィルター側の基板61の内側には、画素電極72に対向する位置に、R、G、Bが配列するように、カラーフィルターの着色部63が形成され、その上に透明な共通電極61が形成される。さらに、両基板の面内には配向膜68,73が形成されており、液晶分子を一定方向に配列させている。これらの基板は、スペーサー(不図示)を介して対向配置され、シール材(不図示)によって貼り合わされ、その間隙に液晶69が充填される。
【0033】
上記液晶素子は、透過型の場合には、基板71及び画素電極72を透明素材で形成し、それぞれの基板の外側に偏光板を接着し、一般的に蛍光灯と散乱板を組み合わせたバックライトを用い、液晶化合物をバックライトの光の透過率を変化させる光シャッターとして機能させることにより表示を行なう。また、反射型の場合には、基板71或いは画素電極72を反射機能を備えた素材で形成するか、或いは、基板71上に反射層を設け、透明基板61の外側に偏光板を設け、カラーフィルター側から入射した光を反射して表示を行なう。
【0034】
また、図8に、本発明の光学素子の他の実施形態である、有機EL素子の一例の断面模式図を示す。図中、81は支持基板である駆動基板、82は隔壁、83は画素である発光層、84は透明電極、86は金属層である。この図では、簡略化のために一つの画素領域のみを示している。
【0035】
駆動基板81には、TFT(不図示)、配線膜及び絶縁膜等が多層に積層されており、金属層86及び発光層83毎に配置した透明電極84間に発光層単位で電圧を印加可能に構成されている。駆動基板81は公知の薄膜プロセスによって製造される。
【0036】
本発明において有機EL素子を構成する場合、その構造については、少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極及び陰極からなる電極間に、樹脂組成物からなる隔壁内に少なくとも蛍光性材料からなるインクを充填して画素を形成した構成であれば、特に制限はなく、その構造は公知のものを採用することができ、また本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて各種の改変を加えることができる。
【0037】
その積層構造は、例えば、
(1)電極(陰極)/発光層/正孔注入層/電極(陽極)
(2)電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極(陰極)
(3)電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注入層/電極(陰極)
(4)電極(陽極または陰極)/発光層/電極(陰極または陽極)
があるが、本発明は上記のいずれの構成の有機化合物層を設けた積層構造体を有するEL素子に対しても適用することができる。
【0038】
上記(1)は2層構造、(3)は3層構造(4)は単層構成と称されるものである。本発明における有機EL素子はこれらの積層構造を基本とするが、これら以外の(1)から(4)を組み合わせた構造やそれぞれの層を複数有していてもよい。また、カラーフィルターと組み合わせることによって、フルカラー表示を実現しても良い。これらの積層構造からなる有機EL素子の形状、大きさ、材質、隔壁と画素以外の部材の形成工程等は該有機EL素子の用途等に応じて適宜選択され、特に制限はない。
【0039】
本発明において、有機EL素子の発光層に用いられる発光材料は蛍光性材料であれば特に限定されず、種々のものを適用することができる。具体的には、蛍光性を有する有機化合物であり、低分子蛍光体、高分子蛍光体のいずれもが好ましく用いられ、インクジェット方式への適用が簡単であることから、高分子蛍光体がさらに好ましい。
【0040】
例えば、低分子蛍光体としては、特に限定はないが、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等を用いることができる。具体的には、例えば、特開昭57−41781号、特開昭59−184383号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
【0041】
また、発光材料として使用可能な高分子蛍光体としては、特に限定はないが、ポリフェニレンビニレン、ポリアリレン、ポリアルキルチオフェン、ポリアルキルフルオレン等を挙げることができる。
【0042】
尚、本発明において有機EL素子に用いる高分子蛍光体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。また本発明の有機EL素子は、薄膜からの発光を利用するので該高分子蛍光体は、固体状態で蛍光を有するものが用いられる。
【0043】
該高分子蛍光体に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。高分子蛍光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0044】
本発明における有機EL素子において、発光層と陰極との間にさらに電子輸送層を設ける場合の電子輸送層中に使用する、或いは正孔輸送性材料及び発光材料と混合使用する電子輸送性材料は、陰極より注入された電子を発光材料に伝達する機能を有している。このような電子輸送性材料について特に制限はなく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0045】
該電子輸送性材料の好ましい例としては、ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、複素環テトラカルボン酸無水物、或いはカルボジイミド等を挙げることができる。
【0046】
さらに、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等を挙げることができる。また、発光層を形成する材料として開示されているが、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等も電子輸送性材料として用いることができる。
【0047】
本発明におけるEL素子において、発光層は一般には適当な結着性樹脂と組み合わせて薄膜状に形成する。上記結着性樹脂としては広範囲な樹脂材料より選択でき、例えばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合して用いても良い。
【0048】
また、陽極材料としては仕事関数がなるべく大きなものが良く、例えば、ニッケル、金、白金、パラジウム、セレン、レニウム、イリジウムやこれらの合金、或いは酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、ヨウ化銅が好ましい。またポリ(3−メチルチオフェン)、ポリフェニレンスルフィド或いはポリピロール等の導電性ポリマーも使用出来る。一方、陰極材料としては仕事関数が小さな銀、鉛、錫、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、マンガン、インジウム、クロム或いはこれらの合金が用いられる。
【0049】
EL素子は、発光層における発光を観察する側を透明或いは半透明にする必要があり、例えば図8の構成においては、透明電極84を形成した駆動基板81が透明或いは半透明になるように構成される。また、透明電極84は陰極、陽極のいずれでもかまわないが、通常、ITOが用いられるため、陽極となるのが一般的である。
【0050】
以下に、図面を参照して本発明の光学素子の製造方法について説明する。
【0051】
図1、図2は本発明の光学素子の製造方法を模式的に示す工程図である。以下に各工程について説明する。尚、以下の工程(a)〜(h)は図1、図2の(a)〜(h)に対応する。また、図1、図2の各工程において紙面左側の(a−1)〜(h−1)は上方より見た平面模式図、紙面右側の(a−2)〜(h−2)は(a−1)〜(h−1)のA−B断面模式図である。図中、1は支持基板、2は樹脂組成物層、3は隔壁、4は隔壁3の開口部、5はインクジェットヘッド、6はインク、7は画素である。
【0052】
工程(a)
支持基板1を用意する。支持基板1は、図6に例示したカラーフィルターを製造する場合には透明基板61であり、一般にはガラス基板が用いられるが、液晶素子を構成する目的においては、所望の透明性、機械的強度等の必要特性を有するものであれば、プラスチック基板に無機透明材料をコーティングしたものなども用いることができる。
【0053】
また、図8に例示したEL素子を製造する場合には、支持基板1は透明電極84を形成した駆動基板81であり、図8の如く当該基板側から発光を観察する場合には、駆動基板81にガラス基板などの透明基板を用いる。
【0054】
支持基板1の表面に対しては、プラズマ処理、UV処理、カップリング処理等の表面処理を施しても良い。
【0055】
工程(b)
支持基板1上に、隔壁3を形成するための樹脂組成物層2を形成する。本発明にかかる隔壁3は、図6のカラーフィルターの場合にはブラックマトリクス62に、図8のEL素子の場合には隔壁82に相当する。該隔壁3は、特にカラーフィルターを製造する場合には、図6の62で示したように、隣接する画素間を遮光する遮光層とすることが好ましく、その場合、図6の如くブラックマトリクス62とするか、或いは、ブラックストライプとすることもできる。また、EL素子を製造する場合にも遮光層とすることが可能である。
【0056】
本発明において、隔壁3を形成するために用いられる樹脂組成物としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミドイミドを含むポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂などの感光性または非感光性の樹脂材料を用いることができるが、250℃以上の耐熱性を有することが好ましく、その点から、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。
【0057】
また、かかる隔壁3を遮光層とする場合には、上記樹脂組成物中に、遮光剤を分散せしめた黒色樹脂組成物を用いて樹脂組成物層2を形成する。該遮光剤としては、後述するように、隔壁3の高い撥インク性及び適度な表面粗さを得る上でカーボンブラックを用いることが望ましく、該カーボンブラックとしては、チャネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラックと呼ばれているコンタクト法で製造されたもの、ガスファーネストブラック、オイルファーネストブラックと呼ばれているファーネスト法で製造されたもの、サーマルブラック、アセチレンブラックと呼ばれているサーマル法で製造されたものなどを用いることができるが、特に、チャネルブラック、ガスファーネストブラック、オイルファーネストブラックが好ましい。さらに必要に応じて、R、G、Bの顔料の混合物などを加えても良い。また、一般に市販されている黒色レジストを用いることもできる。必要に応じて高抵抗化した遮光層を用いても良い。
【0058】
樹脂組成物層2は、スピンコート、ロールコート、バーコート、スプレーコート、ディップコート、或いは印刷法等の方法により形成することができる。
【0059】
工程(c)
樹脂組成物層2として感光性材料を用いた場合には、フォトリソグラフィ等によりパターニングすることで複数の開口部4を有する隔壁3を形成する。また、非感光性材料を用いる場合には、フォトレジストをマスクにして、ウェット或いはドライエッチングにより、もしくはリフトオフによりパターニングして形成しても良い。
【0060】
工程(d)
隔壁3を形成した支持基板1にドライエッチング処理を施すことが望ましい。即ち、酸素、アルゴン、ヘリウムのうちから選択される少なくとも1種を含むガスを導入し、減圧雰囲気下或いは大気圧雰囲気下で支持基板1にプラズマ照射を行なう減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理を行なう。
【0061】
当該ドライエッチング処理を行なうことによって、隔壁3の形成工程において支持基板1表面に付着した汚染物を除去し、該表面を清浄化して後工程におけるインク6に対する親インク性を向上し、後工程で実施する水処理工程により開口部4内でインク6をより良好に拡散させることができるようになる。さらに、当該ドライエッチング処理によって、隔壁3表面が粗面化され、撥インク性が向上する。
【0062】
工程(e)
必要に応じてドライエッチング処理を施した支持基板1に、少なくともフッ素原子を含有するガス雰囲気下でプラズマ照射するプラズマ処理を行なう。当該プラズマ処理により、導入ガス中のフッ素またはフッ素化合物が隔壁3表層に入り込み、隔壁3表層の撥インク性が増大する。
【0063】
特に、隔壁3をカーボンブラックを含む樹脂組成物で構成した場合には、非常に高い撥インク性が発現する。その理由としては、先の工程(d)におけるドライエッチング処理によって隔壁3表面にカーボンブラックが露出し、本工程のプラズマ処理によってフッ素またはフッ素化合物が該カーボンブラックと結合するためと考えられる。よって、本発明においては、隔壁3にカーボンブラックを含ませておくことが望ましい。
【0064】
本工程において導入する、少なくともフッ素原子を含有するガスとしては、CF4、CHF3、C26、SF6、C38、C58から選択されるハロゲンガスを1種以上用いることが好ましい。特に、C58(オクタフルオロシクロペンテン)は、オゾン破壊能が0であると同時に、大気寿命が従来のガスに比べて(CF4:5万年、C48:3200年)0.98年と非常に短い。従って、地球温暖化係数が90(CO2=2とした100年積算値)と、従来のガスに比べて(CF4:6500、C48:8700)非常に小さく、オゾン層や地球環境保護に極めて有効であり、本発明で使用する上で望ましい。
【0065】
さらに、導入ガスとしては、必要に応じて酸素、アルゴン、ヘリウム等のガスを併用しても良い。本発明においては、上記CF4、CHF3、C26、SF6、C38、C58から選択されるハロゲンガスを1種以上とO2との混合ガスを用いると、本工程による撥インク性の程度を制御することが可能になる。但し、当該混合ガスにおいて、O2の混合比率が30%を超えるとO2による酸化反応が支配的になり、撥インク性向上効果が妨げられるため、また、O2混合比率が30%を超えると樹脂に対するダメージが顕著になるため、当該混合ガスを用いる場合にはO2の混合比率が30%以下の範囲で使用する必要がある。
【0066】
本工程及び先のドライエッチング処理工程におけるプラズマの発生方法としては、低周波放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方式を用いることができ、プラズマ照射の際の圧力、ガス流量、放電周波数、処理時間等の条件は、任意に設定することができる。
【0067】
図4、図5に、本発明のドライエッチング処理工程及びプラズマ処理工程に用いることが可能なプラズマ発生装置の模式図を示す。図中、41は上部電極、42は下部電極、43は被処理基板、44は高周波電源である。当該装置は平行平板の2極電極に高周波電圧を印加して、プラズマを発生させる。図4はカソードカップリング方式、図5はアノードカップリング方式の装置を示し、どちらの方式においても、圧力、ガス流量、放電周波数、処理時間等の条件によって、隔壁3表面の撥インク性、表面粗さ、支持基板1表面の親インク性を所望の程度とすることができる。
【0068】
図4、図5に示したプラズマ発生装置において、図4のカソードカップリング方式はドライエッチング処理時間を短くすることが可能であり、当該処理工程に有利である。また、図5のアノードカップリング方式では、必要以上に支持基板1にダメージを与えることがない点で有利である。よって、ドライエッチング処理工程及びプラズマ処理工程に用いるプラズマ発生装置は、支持基板1や隔壁3の材料に応じて選択すればよい。
【0069】
本発明にかかる隔壁3表面の、プラズマ処理後の撥インク性の程度は、純水によって測定した接触角が110°以上であることが好ましい。当該接触角が110°未満では混色が生じやすく、多量のインク量を付与することができない。特に、カラーフィルターを製造する場合には、色純度の高いカラーフィルターの製造が難しくなる。従来の方法においては、隔壁表面の撥インク性を110°以上にすることは難しく、高撥インク性の材料として用いられているPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)においても110°弱であった。
【0070】
本発明においては、隔壁をカーボンブラックを含む樹脂組成物で形成し、ドライエッチング処理を施した上でプラズマ処理を施すことによって、前記した理由により、隔壁表面の撥インク性を110°以上と高くすることが可能であり、好ましくは、120°以上135°以下である。隔壁表面の撥インク性を135°以下とすることで、インク量が少ない場合でも白抜けを防止することができる。
【0071】
また、支持基板1表面の親インク性は、純水によって測定した接触角が20°以下であることが好ましい。純水に対する接触角を20°以下とすることによって、先の工程(d)におけるドライエッチング処理によって開口部4に露出した支持基板1表面に付着した汚染物が除去され、後工程で実施する水処理によるインク拡がり性改善効果を十分に得ることができる。特に、10°以下とすることが望ましい。
【0072】
また、本発明者は、白抜けが隔壁3表面の撥インク性、開口部4内に露出した支持基板1表面の親インク性およびインク拡がり性のみならず、隔壁3上面及び側面の表面粗さにも依存していることを見出した。インクジェット方式により開口部4に付与されたインク6は、隔壁3の側面で囲まれた凹部を満たし、隔壁3上面付近では隔壁3表面の撥インク性によってインク6の広がりが抑制される。多量に充填されたインク6は加熱処理等の硬化処理により体積が減少していくが、この時、隔壁3表面の表面粗さが大きい(粗い)場合には、インク6との接触面積が大きいことから、隔壁3の側面において一旦隔壁3表面と接触したインク6は隔壁3表面の撥インク性に関わらず当該接触状態を保持しやすく、インク6が完全に硬化した後は画素7表面が平坦化し易い。
【0073】
一方、隔壁3表面が平滑な場合には、インク6が一旦濡れ広がった位置から硬化時の体積減少に伴って、隔壁3表面の撥インク性によってその側面からはじかれてその位置を下方に下げてしまうため、画素7の断面が凸形状になり、画素の周縁部においてカラーフィルターであれば濃度が薄くなり、EL素子であれば発光輝度の低下を生じてしまう。
【0074】
このような理由から、本発明においては、隔壁3の表面は、平均粗さ(Ra)が3nm以上であることが望ましい。また、該平均粗さ(Ra)が50nmを超えるとパターンの直線性に影響を及ぼし、開口寸法のばらつきを生じて開口率を大きくできないという問題を生じる。よって、隔壁3表面の平均粗さ(Ra)としては3nm〜50nmが望ましく、より望ましくは4nm〜20nmとすることによって、隔壁3のパターン形状に影響を与えることなく白抜けを防止し、画素表面が平坦化する。
【0075】
本発明においては、隔壁3をカーボンブラックを含む樹脂組成物で形成し、ドライエッチング処理及びプラズマ処理の条件を設定することによって、隔壁3の表面粗さを制御することができる。即ち、ドライエッチング処理におけるプラズマの発生方法、電極間距離、ガス種、RFパワー、処理時間によって表面粗さの状態が異なるが、特に、RFパワーと処理時間を制御することによって、任意の表面粗さを得ることができる。また、プラズマ処理におけるプラズマ発生方法、電極間距離、ガス種、RFパワー、処理時間によって表面粗さの状態が異なるが、特にガス種に大きく依存する。例えば、フッ素原子を含有するガスとしてCF4を用いた場合と、CF4とO2との混合ガスを用いた場合では、表面粗さは混合ガスを用いた場合の方が大きくなる。また、当該混合ガスにおけるO2ガスの混合比率によっても表面粗さが異なり、撥インク性を考慮し、さらに、前記したO2による酸化反応を考慮した上で、O2の混合比率は30%以下であり、望ましくは10〜20%である。
【0076】
上記したように、本発明にかかるドライエッチング処理及びプラズマ処理を施すことによって、隔壁3のみが撥インク性と適度な表面粗さを有し、隔壁3の開口部4に露出した支持基板1の表面が十分な親インク性を有した基板を得ることができる。
【0077】
工程(f)
プラズマ処理を施した支持基板1表面に水を接触させる水処理工程を行い、隔壁3の開口部4内のインク拡がり性の改善を行う。これにより、微量のインクを付与した場合であってもインクが開口部4内に十分に拡がるようになる。
【0078】
本工程において使用する水としては、純水であることが好ましい。また、支持基板1を水と接触させる方法としては、水への浸漬、水のシャワーリング等、水と支持基板1を完全に接触させる方法であれば特に制約はない。しかし、支持基板1上のパターンが複雑なパターン形状の場合、特に、隔壁3と開口部4の境界部、コーナー部といった微細な箇所での水との接触を十分に行なうため、支持基板1を水中に浸漬し、同時に超音波を照射する、もしくは微細で高圧な水滴によるシャワーリングが好ましい。
【0079】
さらに、支持基板1に接触させる水の温度としては、開口部4の表面改質を効果的に行なう観点より高温の方が好ましいが、水を加熱する経済効果を考慮すると、20〜60℃の範囲が好ましい。
【0080】
当該工程により、隔壁3の開口部4に露出した支持基板1表面に存在するフッ素化合物量は1/2以下に低減され、また、該表面の表面粗さも当該工程前に比較して大きくなる。
【0081】
尚、当該工程において、支持基板1を水を接触させた後、100℃を超える高温で加熱乾燥させた場合には、インク拡がり性が低下する場合があるため、当該乾燥工程は100℃以下の温度で行うことが望ましい。
【0082】
工程(g)
インクジェット記録装置を用いて、インクジェットヘッド5よりインク6を隔壁3の開口部4内に付与する。インクジェットとしては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェットタイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等が使用可能である。
【0083】
また、インク6としては、カラーフィルターの場合には硬化後にR、G、Bの着色部を形成するように各色の着色剤を含むもの、EL素子の場合には、硬化後に電圧印加によって発光する発光層を形成するように蛍光性材料を含むものを用いる。また、EL素子を構成する場合に、R、G、Bの各色の発光が得られる異なる蛍光性材料を含むインクを用いることにより、R、G、Bの発光層を形成することもできる。いずれの場合も、インク6は硬化成分、水、溶剤を少なくとも含むものが好ましい。以下に、本発明の製造方法によってカラーフィルターを製造する場合に用いるインクの組成についてさらに詳細に説明する。
【0084】
〔1〕着色剤
本発明でインク中に含有させる着色剤としては、染料系及び顔料系共に使用可能であるが、顔料を使用する場合には、インク中で均一に分散させるために別途分散剤の添加が必要となり、全固形分中の着色剤比率が低くなってしまうことから、染料系の着色剤が好ましく用いられる。また、着色剤の添加量としては、後述する硬化成分と同量以下であることが好ましい。
【0085】
〔2〕硬化成分
後工程におけるプロセス耐性、信頼性等を考慮した場合、熱処理或いは光照射等の処理により硬化し、着色剤を固定化する成分、即ち架橋可能なモノマー或いはポリマー等の成分を含有することが好ましい。特に、後工程における耐熱性、耐水性等を考慮した場合、硬化可能な樹脂組成物を用いることが好ましい。具体的には、例えば基材樹脂として、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、アミド基等の置換基を有するアクリル樹脂、シリコーン樹脂;またはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体或いはそれらの変性物;またはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等のビニル系ポリマーが挙げられる。さらに、これらの基材樹脂を光照射或いは加熱処理により硬化させるための架橋剤、光開始剤を用いることが可能である。具体的には、架橋剤としては、メチロール化メラミン等のメラミン誘導体が、また光開始剤としては重クロム酸塩、ビスアジド化合物、ラジカル系開始剤、カチオン系開始剤、アニオン系開始剤等が使用可能である。また、これらの光開始剤を複数種混合して、或いは他の増感剤と組み合わせて使用することもできる。
【0086】
〔3〕溶剤
本発明で使用されるインクの媒体としては、水及び有機溶剤の混合溶媒が好ましく使用される。水としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用することが好ましい。
【0087】
有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン類またはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜4個の炭素を含有するアルキレングリコール類;グリセリン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等の中から選択することが好ましい。
【0088】
また、上記成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、沸点の異なる2種類以上の有機溶剤を混合して用いたり、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加しても良い。
【0089】
工程(h)
熱処理、光照射等必要な処理を施し、インク6中の溶剤成分を除去して硬化させることにより、画素7を形成する。
【0090】
さらに、カラーフィルターの場合には、前記したように、必要に応じて保護層や透明導電膜を形成する。この場合の保護層としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプ、或いは光熱併用硬化タイプの樹脂材料、或いは、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができ、カラーフィルターとした場合の透明性を有し、その後の透明導電膜形成プロセス、配向膜形成プロセス等に耐えうるものであれば使用可能である。また、透明導電膜は、保護層を介さずに着色部上に直接形成しても良い。
【0091】
また、EL素子の場合には、画素上に電極(図8の金属層86)等必要な部材を形成する。
【0092】
【実施例】
(実施例1)
〔ブラックマトリクスの形成〕
ガラス基板(コーニング製「1737」)上に、カーボンブラックを含有する黒色レジスト(富士フイルムオーリン製「CK−S171レジスト」)を塗布し、所定の露光、現像、ポストベーク処理を行って、膜厚2μm、75μm×225μmの長方形の開口部を有するブラックマトリクスパターン(隔壁)を作製した。
【0093】
〔表面粗さの評価〕
ブラックマトリクスの形成に用いたガラス基板の表面粗さを、DigitalInstrument社製「NanoScopeIIIaAFM Dimension3000ステージシステム」を用い、ブラックマトリクスを形成する前に任意の箇所にて測定した。その結果、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.231nmであった。
【0094】
〔インクの調整〕
下記に示す組成からなるアクリル系共重合体を熱硬化成分として用い、以下の組成にてR、G、Bの各インクを調製した。
硬化成分
メチルメタクリレート 50重量部
ヒドロキシエチルメタクリレート 30重量部
N−メチロールアクリルアミド 20重量部
【0095】
Rインク
C.I.アシッドオレンジ148 3.5重量部
C.I.アシッドレッド289 0.5重量部
ジエチレングリコール 30重量部
エチレングリコール 20重量部
イオン交換水 40重量部
上記硬化成分 6重量部
【0096】
Gインク
C.I.アシッドイエロー23 2重量部
亜鉛フタロシアニンスルホアミド 2重量部
ジエチレングリコール 30重量部
エチレングリコール 20重量部
イオン交換水 40重量部
上記硬化成分 6重量部
【0097】
Bインク
C.I.ダイレクトブルー199 4重量部
ジエチレングリコール 30重量部
エチレングリコール 20重量部
イオン交換水 40重量部
上記硬化成分 6重量部
【0098】
〔ドライエッチング処理〕
ブラックマトリクスを形成した前記ガラス基板(ブラックマトリクス基板)に、カソードカップリング方式平行平板型プラズマ処理装置を用いて、以下の条件にてプラズマ処理を行った。
【0099】
使用ガス :O2
ガス流量 :80sccm
圧力 :8Pa
RFパワー :150W
処理時間 :30sec
【0100】
〔プラズマ処理〕
上記ドライエッチング処理終了後、同じ装置内で、ブラックマトリクス基板に対して、以下の条件にてプラズマ処理を施した。
【0101】
使用ガス :CF4
ガス流量 :80sccm
圧力 :50Pa
RFパワー :150W
処理時間 :30sec
【0102】
〔撥インク性の評価〕
協和界面社製自動液晶ガラス洗浄・処理検査装置「LCD−400S」を用いて、上記プラズマ処理後のブラックマトリクス基板について、純水に対する接触角を測定した。ブラックマトリクス表面については微細パターンの周囲に設けられた幅5mmの額縁上にて測定を行ない、ガラス基板表面については該額縁のさらに外側のブラックマトリクスパターンの設けられていない箇所にて測定を行った。各々の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:6°
ブラックマトリクス表面:126°
であった。
【0103】
〔表面粗さの評価〕
ブラックマトリクス表面の表面粗さの評価は、Tecnor社製触針式表面粗さ計「FP−20」を用い、純水に対する接触角同様に幅5mmの額縁上にて平均粗さ(Ra)を測定した。その結果、ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は4.4nmであった。
【0104】
また、前記したガラス基板の表面粗さの評価と同様にして、プラズマ処理後のガラス基板の表面粗さを測定したところ、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.222nmであった。
【0105】
〔インク拡がり性の評価〕
上記プラズマ処理後のブラックマトリクス基板について、インク拡がり性の評価を行なった。前記Bインクを用い、インクジェットヘッドより20pl微細パターン内の開口部に付与し、光学顕微鏡で観察したところ、インク液滴の直径は50μmとなった。しばらく基板を放置したが、インク液滴が濡れ拡がることはなかった。
【0106】
〔水処理〕
プラズマ処理後のブラックマトリクス基板に対して、水処理を施した。具体的には、上記ブラックマトリクス基板を超音波純水浴中に浸漬した。処理条件は以下の通りとした。
【0107】
純水温度:30℃
超音波周波数:40kHz
処理時間:2min
乾燥温度:90℃
乾燥時間:2分
【0108】
〔撥インク性の評価〕
上記水処理によりブラックマトリクス表面の撥インク性が損なわれていないかを確認するために、水処理後のブラックマトリクス基板について、純水に対する接触角を測定した。測定箇所は水処理前に測定した箇所と同様の箇所とした。各々の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:7°
ブラックマトリクス表面:124°
であった。
【0109】
〔インク拡がり性の評価〕
上記水処理後のブラックマトリクス基板について、インク拡がり性の評価を行なった。評価方法は、水処理前の測定と同じ方法で行なった。付与したインク液滴の径を光学顕微鏡で観察したところ、インクは十分に開口部内に濡れ拡がり、液滴端部を見出すことは難しかった。また、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.794nmであった。
【0110】
〔ガラス基板表面のフッ素化合物の評価〕
ガラス基板表面のフッ素化合物量の変化をTOF−SIMS PHI EVANS社製「TFS−2000」を用いて測定した。測定箇所は、▲1▼ブラックマトリクス形成前のガラス基板表面、▲2▼プラズマ処理後のブラックマトリクス額縁外側のブラックマトリクスパターンの設けられていないガラス基板表面、▲3▼水処理後のブラックマトリクス額縁外側のブラックマトリクスパターンの設けられていないガラス基板表面の3箇所とした。フッ素化合物の変化に対する評価方法は、Si+規格化により行なった。その結果、CaF+、SrF+、BaF+について比較したところ、▲1▼及び▲3▼に対して▲2▼の規格化値はそれぞれ161.7、69.0、102.3となった。同様にCF3 +についての規格化値は42.2となった。
【0111】
前記水処理後のガラス基板表面のフッ素化合物量は水処理前に比較して、BaF+規格化値相対比で0.052%であった。
【0112】
〔着色部の作製〕
吐出量20plのインクジェットヘッドを具備したインクジェット記録装置を用い、水処理を施したブラックマトリクス基板に対して、上記R、G、Bインクを開口部1個あたり200〜800plの範囲で100plおきに量を変化させて付与した。次いで、90℃で10分間、引き続き230℃で30分間の熱処理を行ってインクを硬化させて着色部(画素)とし、インク付与量の異なる7種類のカラーフィルターを作製した。
【0113】
〔白抜け、着色部表面の平坦性の評価〕
得られたカラーフィルターの白抜けの評価は、光学顕微鏡による観察によって行った。また、平坦性の評価は、開口部1個あたり300plのインクを付与した場合について、上記表面粗さの評価で用いた表面粗さ計を用い、各色の着色部中央部のガラス表面からの高さdtと着色部の端部のブラックマトリクスと接する部分のガラス基板表面からの高さdbの差(dt−db)を測定し、−0.5μm≦(dt−db)≦0.5μmであれば平坦、(dt−db)<−0.5μmであれば凹形状、(dt−db)>0.5μmであれば凸形状として評価した。
【0114】
その結果、本例の全てのカラーフィルターにおいて白抜けは観察されず、着色部表面も平坦であった。
【0115】
(実施例2)
カーボンブラックを含有する黒色レジストとして新日鐵化学製「V−259BKISレジスト」を用いた以外は実施例1と同様にして、カラーフィルターを作製した。水処理後のブラックマトリクス基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:5°
ブラックマトリクス表面:128°
であった。
【0116】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクで開口部内に十分に濡れ拡がっていた。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は10.3nm、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.743nm、ガラス基板表面のフッ素化合物量は水処理後が水処理前のBaF+規格化値相対比で0.042%であった。本例で得られた全てのカラーフィルターについて、白抜けは観察されず、着色部表面も平坦であった。
【0117】
(実施例3)
プラズマ処理においてCF4とO2との混合ガスをそれぞれガス流量で64sccm、16sccmで導入する以外は実施例1と同様にして、カラーフィルターを作製した。水処理後のブラックマトリクス基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:7°
ブラックマトリクス表面:133°
であった。また、水処理前のガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.217nmであった。
【0118】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクで開口部内に十分に濡れ拡がっていた。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は5.2nm、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.761nm、ガラス基板表面のフッ素化合物量は水処理後が水処理前のBaF+規格化値相対比で0.048%であった。本例で得られた全てのカラーフィルターについて、白抜けは観察されず、着色部表面も平坦であった。
【0119】
(実施例4)
実施例1で用いた黒色レジストの代わりに、カーボンブラックを含まない透明感光性樹脂である富士フイルムオーリン製「CT−2000L」を用い、その他は実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。水処理後のマトリクスパターン基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:6°
マトリクスパターン表面:62°
であった。
【0120】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクで開口部内に十分に濡れ拡がっていた。また、該マトリクスパターン表面の平均粗さ(Ra)は1.5nm、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.787nm、ガラス基板表面のフッ素化合物量は水処理後が水処理前のBaF+規格化値相対比で0.045%であった。
【0121】
本例で得られた全てのカラーフィルターについて、白抜けは観察されなかった。また、着色部表面が凸形状であったため、着色部とマトリクスパターンとの境界部で若干濃度が薄くなっていた。
【0122】
(実施例5)
実施例1と同様の方法によりプラズマ処理まで実施した基板に、水処理に使用する純水温度を50℃とし、処理時間を30secとする以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。水処理後のブラックマトリクス基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:8°
ブラックマトリクス表面:124°
であった。
【0123】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクで開口部内に十分に濡れ拡がっていた。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は10.5nm、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.753nm、ガラス基板表面のフッ素化合物量は水処理後が水処理前のBaF+規格化値相対比で0.041%であった。本例で得られた全てのカラーフィルターについて、白抜けは観察されず、着色部表面も平坦であった。
【0124】
(実施例6)
実施例1と同様の方法によりプラズマ処理まで実施した基板に、純水シャワー洗浄装置を用いて水処理を行ないカラーフィルターを作製した。シャワーリング時間は30sec、純水温度は35℃に設定した。乾燥条件は実施例1と同様にした。水処理後のブラックマトリクス基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:7°
ブラックマトリクス表面:126°
であった。
【0125】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクで開口部内に十分に濡れ拡がっていた。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は12.3nm、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.771nm、ガラス基板表面のフッ素化合物量は水処理後が水処理前のBaF+規格化値相対比で0.045%であった。本例で得られた全てのカラーフィルターについて、白抜けは観察されず、着色部表面も平坦であった。
【0126】
(実施例7)
実施例1と同様の方法によりプラズマ処理まで実施した基板に、高圧スプレー洗浄装置を用いて水処理を行ないカラーフィルターを作製した。高圧スプレーには純水を使用し、スプレー圧は6.86×106N/m2(70kgf/cm2)に設定した。乾燥条件は実施例1と同様にした。水処理後のブラックマトリクス基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:5°
ブラックマトリクス表面:124°
であった。
【0127】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクで開口部内に十分に濡れ拡がっていた。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は9.9nm、ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.748nm、ガラス基板表面のフッ素化合物量は水処理後が水処理前のBaF+規格化値相対比で0.044%であった。本例で得られた全てのカラーフィルターについて、白抜けは観察されず、着色部表面も平坦であった。
【0128】
(実施例8)
薄膜プロセスによって形成された、配線膜及び絶縁膜等が多層に積層されてなるTFT駆動基板上に画素(発光層)単位に、透明電極としてITOをスパッタリングにより厚さ40nmに形成し、フォトリソ法により、画素形状に従ってパターニングを行った。
【0129】
次に発光層を充填する隔壁を形成した。透明感光性樹脂(富士フイルムオーリン製「CT−2000L」)を塗布し、所定の露光、現像、ポストベ−ク処理を行って、上記のITO透明電極上に膜厚0.4μm、75μm×225μmの長方形の開口部を有する透明なマトリクスパターンを作成した。該基板を実施例1と同様な条件でO2を用いたドライエッチング処理とCF4を用いたプラズマ処理を行った。実施例1におけるガラス基板の表面粗さと同様にITO透明電極の表面粗さを評価したところ、平均粗さ(Ra)は31.5nmであった。続いて、高圧スプレー洗浄装置を用いて水処理を行なった。ITO透明電極上と透明マトリクスパターン上それぞれの純水に対する接触角を測定したところ、
ITO透明電極上:17°
透明マトリクスパターン上:61°
であった。
【0130】
ITO透明電極上のインク拡がり性を評価する為に、20plのインクを付与したところ、インクは十分に濡れ拡がりインク液滴径を測定することは困難であった。また、マトリクスパターン表面の平均粗さ(Ra)は2.35nm、ITO透明電極表面の平均粗さ(Ra)は32.1nm、ITO透明電極表面のフッ素化合物量は水処理後が水処理前のCF3 +規格化値相対比で0.041%であった。
【0131】
次に上記隔壁の開口部内にインクジェット記録装置を用いてインクを付与した。インクとしては、電子輸送性2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾルイル)−チオフェン〔蛍光ピーク450nmをもつ電子輸送性青色発光色素であり、発光中心形成化合物の1つである。以下、「BBOT」と記す〕を、ポリ−N−ビニルカルバゾール〔分子量150,000、関東化学社製、以下、「PVK」と記す〕よりなるホール輸送性ホスト化合物中に30重量%で分子分散させることができるよう、両者をジクロロエタン溶液に溶解させた。もう1つの発光中心形成化合物であるナイルレッドを前記PVK−BBOTのジクロロエタン溶液に0.015モル%となるように溶解して調製した。インクジェット法により透明樹脂で囲まれた隔壁内に上記インクを充填、乾燥し、厚さ200nmの発光層を形成した。このとき、各画素(発光層)は独立し、上記インクが隣接画素間で混ざることはなかった。
【0132】
さらに発光層上に、Mg:Ag(10:1)を真空蒸着させて厚さ200nmのMg:Ag陰極を作った。このようにして作ったEL素子の各画素に18Vの電圧を印加したところ、480cd/m2の均一な白色発光が得られた。
【0133】
(比較例1)
水処理を行わない以外は実施例1と同様にして、カラーフィルターを作製した。ブラックマトリクス基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:6°
ブラックマトリクス表面:129°
であった。
【0134】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクでインクは濡れ拡がることなく、インク液滴径43μmとなった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は5.5nmであった。ガラス基板表面の平均粗さ(Ra)は0.217nmであった。本例で得られた全てのカラーフィルターにおいて全着色部に白抜けが観察された。また、インクの付与量が400pl以上のカラーフィルターについても、白抜けが観察された。着色部表面の平坦性は白抜けが発生したため、評価できなかった。
【0135】
(比較例2)
水処理を行わない以外は実施例2と同様にして、カラーフィルターを作製した。ブラックマトリクス基板の純水に対する接触角は、
ガラス基板表面:5°
ブラックマトリクス表面:131°
であった。
【0136】
インク拡がり性についても評価したところ、20plのインクでインクは濡れ拡がることなく、インク液滴径48μmとなった。また、該ブラックマトリクス表面の平均粗さ(Ra)は2.5nmであった。本例で得られた全てのカラーフィルターにおいて全着色部に白抜けが観察された。また、インクの付与量が400pl以上のカラーフィルターについても、白抜けが観察された。着色部表面の平坦性は白抜けが発生したため、評価できなかった。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、混色及び白抜けのない画素を備えた光学素子をインクジェット方式により簡易なプロセスによって歩留まり良く製造することができ、着色部内で濃度ムラのないカラーフィルター、発光層内で発光輝度ムラのないEL素子を歩留まり良く提供することができる。よって、上記カラーフィルターを用いて、カラー表示特性に優れた液晶素子をより安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造方法の一実施形態の工程図である。
【図2】本発明の光学素子の製造方法の一実施形態の工程図である。
【図3】インクジェット方式による光学素子の製造方法において発生する白抜けの概念図である。
【図4】本発明の製造方法において用いうるプラズマ発生装置の構成の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の製造方法において用いうるプラズマ発生装置の他の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の光学素子の一実施形態であるカラーフィルターの一例の断面模式図である。
【図7】本発明の液晶素子の一実施形態の断面模式図である。
【図8】本発明の光学素子の他の実施形態であるエレクトロルミネッセンス素子の一例の断面模式図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 樹脂組成物層
3 隔壁
4 開口部
5 インクジェットヘッド
6 インク
7 画素
31 透明基板
33 隔壁
36 インク
38 白抜け部分
41 上部電極
42 下部電極
43 被処理基板
44 高周波電源
61 透明基板
62 ブラックマトリクス
63 着色部
64 保護層
67 共通電極
68 配向膜
69 液晶
71 対向基板
72 画素電極
73 配向膜
81 駆動基板
82 隔壁
83 発光層
84 透明電極
86 金属層

Claims (12)

  1. 支持基板上に複数の画素と、隣接する画素間に位置する隔壁とを少なくとも有する光学素子の製造方法であって、
    支持基板上に樹脂組成物からなる隔壁を形成する工程と、
    少なくともフッ素原子を含有するガス雰囲気下で上記隔壁が形成された支持基板にプラズマ照射するプラズマ処理工程と、
    上記プラズマ処理を施した支持基板表面に水を接触させる水処理工程と、
    上記水処理工程後に、隔壁に囲まれた領域にインクジェット方式によりインクを付与して画素を形成する工程とを少なくとも有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 上記水処理工程が、支持基板を水中に浸漬し、超音波を照射する工程である請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 上記水処理工程が、支持基板に水をシャワーリングする工程である請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  4. 上記水処理工程に用いる水が純水である請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  5. 上記プラズマ処理工程に先立って、酸素、アルゴン、ヘリウムから選択される少なくとも1種のガス雰囲気下で、上記支持基板にプラズマ照射するドライエッチング処理を行う請求項1〜4のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  6. 上記隔壁をカーボンブラックを含む樹脂組成物で形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  7. 上記プラズマ処理工程で導入するガスが、CF4、SF6、CHF3、C26、C38、C58から選択される少なくとも1種のハロゲンガスである請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  8. 上記プラズマ処理工程で導入するガスが、CF4、SF6、CHF3、C26、C38、C58から選択される少なくとも1種のハロゲンガスとO2ガスとの混合ガスであり、O2の混合比率が30%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  9. 上記水処理工程において、支持基板を水に接触させた後、100℃以下で乾燥する請求項1〜8のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  10. 上記インクが少なくとも硬化成分、水、有機溶剤を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  11. 上記支持基板が透明基板であり、上記インクが着色剤を含有し、上記画素が着色部であるカラーフィルタを製造する請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  12. 上記インクが蛍光性材料を含有し、画素が発光層であり、該発光層を挟んで上下に電極を有するエレクトロルミネッセンス素子を製造する請求項1に記載の光学素子の製造方法。
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