JP2002055218A - 光学素子とその製造方法、液晶素子 - Google Patents

光学素子とその製造方法、液晶素子

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JP2002055218A
JP2002055218A JP2000240570A JP2000240570A JP2002055218A JP 2002055218 A JP2002055218 A JP 2002055218A JP 2000240570 A JP2000240570 A JP 2000240570A JP 2000240570 A JP2000240570 A JP 2000240570A JP 2002055218 A JP2002055218 A JP 2002055218A
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optical element
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photosensitive resin
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English (en)
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Yoshikatsu Okada
良克 岡田
Kenitsu Iwata
研逸 岩田
Junichi Sakamoto
淳一 坂本
Shoji Shiba
昭二 芝
Katsuhiko Takano
勝彦 高野
Takeshi Okada
岡田  健
Hiroshi Yanai
洋 谷内
Taketo Nishida
武人 西田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット方式による光学素子の製造方
法において、混色及び白抜けを防止する。 【解決手段】 感光性樹脂組成物層をパターン露光した
後、未露光部12の下層を残して現像し、フッ素化処理
を施した後に、該未露光部12の感光性樹脂組成物を除
去することによって、隔壁3の上面及び側面上部は撥イ
ンク性、側面下方及び支持基板1表面は親インク性とし
て、該隔壁3の開口部にインク7を付与して画素8を形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーテレビ、パ
ーソナルコンピュータ、パチンコ遊技台に使用されてい
るカラー液晶素子の構成部材であるカラーフィルタ、及
び、複数の発光層を備えたエレクトロルミネッセンス素
子といった光学素子を、インクジェット方式を利用して
製造する製造方法に関し、さらには、該製造方法により
製造される光学素子、及び該光学素子の一つであるカラ
ーフィルタを用いてなる液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータの発達、
特に携帯用パーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶
ディスプレイ、特にカラー液晶ディスプレイの需要が増
加する傾向にある。しかしながら、さらなる普及のため
にはコストダウンが必要であり、特にコスト的に比重の
重いカラーフィルタのコストダウンに対する要求が高ま
っている。
【0003】従来から、カラーフィルタの要求特性を満
足しつつ上記の要求に応えるべく、種々の方法が試みら
れているが、未だ全ての要求特性を満足する方法は確立
されていない。以下にそれぞれの方法を説明する。
【0004】第一の方法は染色法である。染色法は、先
ず透明基板上に染色用の材料である、水溶性の高分子材
料層を形成し、これをフォトリソグラフィ工程により所
望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染
色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。この工程を
3回繰り返すことにより、R(赤)、G(緑)、B
(青)の3色の着色部からなる着色層を形成する。
【0005】第二の方法は顔料分散法であり、近年最も
盛んに行われている。この方法は、先ず透明基板上に顔
料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニン
グすることにより、単色のパターンを得る。この工程を
3回繰り返すことにより、R、G、Bの3色の着色部か
らなる着色層を形成する。
【0006】第三の方法としては電着法がある。この方
法は、先ず透明基板上に透明電極をパターニングし、顔
料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して第一
の色を電着する。この工程を3回繰り返して、R、G、
Bの3色の着色部からなる着色層を形成し、最後に焼成
するものである。
【0007】第四の方法としては、熱硬化型の樹脂に顔
料を分散し、印刷を3回繰り返すことにより、R、G、
Bを塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより、着
色層を形成するものである。いずれの方法においても、
着色層の上に保護層を形成するのが一般的である。
【0008】これらの方法に共通している点は、R、
G、Bの3色を着色するために同一の工程を3回繰り返
す必要があり、コスト高になることである。また、工程
数が多い程、歩留まりが低下するという問題も有してい
る。さらに、電着法においては、形成可能なパターン形
状が限定されるため、現状の技術ではTFT型(TF
T、即ち薄膜トランジスタをスイッチング素子として用
いたアクティブマトリクス駆動方式)の液晶素子の構成
には適用困難である。
【0009】また、印刷法は解像性が悪いため、ファイ
ンピッチのパターン形成には不向きである。
【0010】上記のような欠点を補うべく、近年、イン
クジェット方式を利用したカラーフィルタの製造方法が
盛んに検討されている。インクジェット方式を利用した
方法は、製造プロセスが簡略で、低コストであるという
利点がある。
【0011】一方、インクジェット方式はカラーフィル
タの製造に限らず、エレクトロルミネッセンス素子の製
造にも応用が可能である。
【0012】エレクトロルミネッセンス素子は、蛍光性
の無機及び有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟
んだ構成を有し、上記薄膜に電子及び正孔(ホール)を
注入して再結合させることにより励起子を生成させ、こ
の励起子が失活する際の蛍光の放出を利用して発光させ
る素子である。このようなエレクトロルミネッセンス素
子に用いられる蛍光性材料を、例えばTFT等素子を作
り込んだ基板上にインクジェット方式により付与して発
光層を形成し、素子を構成することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、イン
クジェット方式は製造プロセスの簡略化及びコスト削減
を図ることができることから、カラーフィルタやエレク
トロルミネッセンス素子といった光学素子の製造へ応用
されている。しかしながら、このような光学素子の製造
において、インクジェット方式特有の問題として、「混
色」及び「白抜け」と言った問題がある。以下、カラー
フィルタを製造する場合を例に挙げて説明する。
【0014】「混色」は、隣接する異なる色の画素(着
色部)間においてインクが混ざり合うことにより発生す
る障害である。ブラックマトリクスを隔壁として、該ブ
ラックマトリクスの開口部にインクを付与して着色部を
形成するカラーフィルタの製造方法においては、ブラッ
クマトリクスの開口部の容積に対して、数倍〜数十倍の
体積を有するインクを付与する必要がある。インク中に
含まれる着色剤や硬化成分等の固形分濃度が高い場合、
即ち付与するインクの体積が比較的少ない場合において
は、ブラックマトリクスが十分に隔壁として機能し、該
ブラックマトリクスの開口部内にインクを保持すること
ができるため、付与されたインクがブラックマトリクス
を乗り越えて、隣接する異なる色の着色部にまで到達す
ることはない。しかしながら、インク中の固形分濃度が
低い場合、即ち多量のインクを付与する必要がある場合
には、隔壁となるブラックマトリクスを超えてインクが
あふれてしまうため、隣接する着色部間で混色が発生し
てしまう。特に、インクジェットヘッドのノズルより安
定して吐出可能なインクの粘度には限界があり、インク
中に含有される固形分の濃度にも限界があるため、混色
を回避するための技術が必要である。
【0015】そこで、着色部と隔壁との間におけるイン
クの濡れ性の差を利用して混色を防止する方法が提案さ
れている。例えば、特開昭59−75205号において
は、インクが目的領域外へ広がることを防止するため、
濡れ性の悪い物質で拡散防止パターンを形成する方法が
提案されているが、具体的な技術は開示されていない。
一方、特開平4−123005号においては、具体的な
手法として、撥水、撥油作用の大きなシリコーンゴム層
をパターニングして混色防止用の仕切壁とする方法が提
案されている。さらに、特開平5−241011号や特
開平5−241012号においても同様に、遮光層とな
るブラックマトリクス上にシリコーンゴム層を形成し、
混色防止用の隔壁として用いる手法が開示されている。
【0016】これらの方法によれば、隔壁の高さをはる
かに超える量のインクを付与した場合においても、隔壁
の表面層が撥インク性を示すためにインクがはじかれ、
隔壁を超えて隣接する着色部にまで及ぶことがなく、有
効に混色を防止することができる。
【0017】図3にその概念図を示す。図中、31は透
明基板、33は隔壁を兼ねたブラックマトリクス、36
はインクである。ブラックマトリクス33の上面が撥イ
ンク性を有する場合には、図3(b)に示すように、付
与されたインク36がブラックマトリクス33の開口部
中に保持され、隣接する着色部にまで達することはな
い。しかしながら、ブラックマトリクス33の上面の撥
インク性が低い場合には、図3(a)に示すように、付
与されたインク36がブラックマトリクス33上にまで
濡れ広がり、隣接する開口部に付与されたインクと混じ
り合ってしまう。
【0018】また、一般的にはシリコン化合物を用いる
よりも、フッ素化合物を用いる方がより優れた撥インク
性を得ることができる。例えば、特開2000−355
11号において、遮光部上にポジ型のレジストパターン
を形成し、さらに該パターン上に撥インク化処理剤を塗
布する方法が開示されており、撥インク化処理剤として
は、フッ素化合物を用いることが開示されている。しか
しながら、この方法の場合、遮光部上に設けられたポジ
型レジストパターンを着色部形成後に除去する必要があ
るが、レジストパターンを除去する際に画素の溶解、剥
離、膨潤といった問題を生じる場合がある。
【0019】また、樹脂層の表面をフッ素化する手法と
しては、特開平6−65408号にフッ素化合物の反応
ガスをプラズマ化して処理する方法が提案されている。
さらに、この技術をカラーフィルタに適用した例として
は、特開平11−271753号において、隔壁をイン
クに対して親和性を有する下層と、非親和性を有する上
層の多層構造とし、上層をインクに対して非親和性とす
る手法として、フッ素化合物を含むガスによりプラズマ
処理する方法が開示されている。
【0020】しかしながら、上述した手法はいずれも隔
壁を多層化するものであり、フォトリソグラフィ工程を
複数回実施する必要があることから、プロセスの複雑
化、コストアップ、ひいては歩留まり低下を招くという
問題がある。
【0021】一方、「白抜け」は、主に付与されたイン
クが隔壁によって囲まれた領域内に十分且つ均一に拡散
することができないことに起因して発生する障害であ
り、色ムラやコントラストの低下といった表示不良の原
因となる。
【0022】図4に、白抜けの概念図を示す。図中、図
3と同じ部材には同じ符号を付した。また、38は白抜
け部分である。
【0023】近年、TFT型液晶素子用のカラーフィル
タにおいては、TFTを外光から保護する目的で、或い
は、開口率を大きくして明るい表示を得る目的で、ブラ
ックマトリクス33の開口部形状が複雑になっており、
複数のコーナー部を有するものが一般的に使用されてい
るため、図4(a)に示すように、該コーナー部に対し
てインク36が十分に拡散しないという問題が発生す
る。また、ブラックマトリクス33を形成する際には、
一般的にレジストを用いたフォトリソグラフィ工程が使
用されており、レジストに含まれる種々の成分により透
明基板31の表面に汚染物が付着して、インク36の拡
散の妨げとなる場合がある。さらに、透明基板31の表
面に比べて、ブラックマトリクス33の側面の撥インク
性が極端に高い場合、図4(b)に示すように、ブラッ
クマトリクス33の側面でインク36がはじかれてしま
うため、インク36とブラックマトリクス33が接する
部分で色が薄くなるという問題が発生する場合もある。
【0024】このような混色や白抜けの問題を解決する
手法として、特開平9−203803号においては、ブ
ラックマトリクス(凸部)に囲まれた領域(凹部)が、
水に対して20°以下の接触角となるよう親インク化処
理された基板を用いることが提案されている。親インク
性を付与する方法としては、水溶性のレベリング剤や水
溶性の界面活性剤が例示されている。さらに、上述した
混色に対する問題を同時に解決するために、凸部の表面
を予め撥インク化処理剤で処理して撥インク性を付与す
る手法が開示されており、撥インク化処理剤としてフッ
素含有シランカップリング剤を用い、フッ素系の溶剤で
コートする方法が例示されている。また、この際、凸部
の表面層のみを選択的に撥インク化し、凸部の側面を撥
インク化しないための手法として、凸部自体がそのよ
うな性質を生じるよう2種類の材料を積層する、凸部
以外の部分をレジストで覆って、凸部の上面のみを撥イ
ンク化処理する、透明基板上にレジスト層を形成し、
全面を撥インク化処理した後、フォトリソ工程によりレ
ジスト層をパターニングして凸部を形成する、等の方法
が例示されている。
【0025】また、特開平9−230129号において
は、同様に、凹部を親インク化処理する方法として、エ
ネルギー線を照射する方法が開示されている。この場合
にも、凸部の表面層のみを撥インク化処理する方法とし
て、ガラス基板上に凸部形成用の感光性材料を塗布し、
全面を撥インク化処理剤にて処理した後、フォトリソグ
ラフィ工程により感光性材料をパターニングする手法が
例示されている。その後、エネルギー線の照射により凸
部と凹部を同時に、もしくはどちらかを選択的に親イン
ク化処理するものである。
【0026】しかしながら、これらの方法はいずれも凸
部の表面を撥インク化処理した後に凹部を親インク化処
理するものであることから、親インク化処理を行う際に
撥インク化処理された凸部の表面の撥インク性を低下さ
せてしまうという問題がある。そのため、透明基板表面
及びブラックマトリクスの側面においては十分な親イン
ク性を、ブラックマトリクスの上面においては十分な撥
インク性をそれぞれ得ることは困難である。
【0027】上記問題は、インクジェット方式によりエ
レクトロルミネッセンス素子を製造する場合にも同様に
生じる。即ち、エレクトロルミネッセンス素子におい
て、例えばR、G、Bの各光を発光する有機半導体材料
をインクとして用い、隔壁で囲まれた領域に該インクを
付与して画素(発光層)を形成する際に、隣接する発光
層間でインクが混じり合った場合、当該発光層では所望
の色、輝度の発光が得られないという問題が生じる。ま
た、単一色の発光層であっても、隔壁内に充填するイン
ク量を均一化しているため、隣接画素へインクが流入す
ると、インク量に不均一性が生じ、輝度ムラとして認識
され、問題となる。また、隔壁で囲まれた領域内に十分
にインクが拡散しなかった場合には、発光層と隔壁との
境界部分で十分な発光輝度が得られないという問題を生
じる。尚、以下の記述においては、便宜上、エレクトロ
ルミネッセンス素子を製造する場合においても、隣接す
る発光層間でのインクの混じり合いを「混色」、発光層
と隔壁の境界部でのインクの反発による発光輝度ムラの
発生を「白抜け」と記す。
【0028】本発明の課題は、カラーフィルタやエレク
トロルミネッセンス素子といった光学素子を、インクジ
ェット方式を利用して簡易なプロセスで安価に製造する
に際して、上記問題を解決し、信頼性の高い光学素子を
歩留まり良く提供することにある。具体的には、隔壁で
囲まれた領域内にインクを付与する際に、隣接する画素
間での混色を防止し、且つ、該領域内でインクを十分に
拡散させて白抜けのない画素を形成することにある。本
発明ではさらに、該製造方法によって得られた光学素子
を用いて、カラー表示特性に優れた液晶素子をより安価
に提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、支持基
板上に複数の画素と隣接する画素間に位置する樹脂組成
物からなる隔壁とを少なくとも有する光学素子の製造方
法であって、支持基板上にネガ型の感光性樹脂組成物層
を形成する工程と、上記感光性樹脂組成物層をパターン
露光する工程と、上記感光性樹脂組成物層の未露光部の
上層を現像除去する工程と、上記感光性樹脂組成物層に
フッ素化処理を施す工程と、上記感光性樹脂組成物層の
未露光部を完全に現像除去して隔壁を形成する工程と、
インクジェット方式により隔壁に囲まれた領域にインク
を付与して画素を形成する工程と、を有することを特徴
とする光学素子の製造方法である。
【0030】上記本発明は、上記感光性樹脂組成物層の
未露光部の上層を現像除去する工程において除去される
上層の厚さが、該感光性樹脂組成物層の膜厚の1〜30
%であること、上記フッ素化処理が、少なくともフッ素
原子を含有するガスを導入してプラズマ照射を行うプラ
ズマ処理であること、上記感光性樹脂組成物層が遮光剤
を含有すること、特に該遮光剤がカーボンブラックであ
ること、また、上記インクが少なくとも硬化成分、水、
有機溶剤を含有すること、上記インクが着色剤を含有
し、画素が着色部であるカラーフィルタを製造するこ
と、上記画素が発光層であるエレクトロルミネッセンス
素子を製造すること、を好ましい態様として含むもので
ある。
【0031】また本発明の第二は、支持基板上に複数の
画素と隣接する画素間に位置する隔壁とを少なくとも有
し、本発明の光学素子の製造方法により製造されたこと
を特徴とする光学素子である。
【0032】上記本発明の第二は、上記隔壁が遮光層で
あること、上記支持基板が透明基板であり、上記画素が
着色剤を含有するインクで形成された着色部であり、複
数色の着色部を備えたカラーフィルタであること、上記
着色部上に保護層を有すること、表面に透明導電膜を有
すること、上記画素が発光層であり、該発光層を挟んで
上下に電極を有するエレクトロルミネッセンス素子であ
ること、を好ましい態様として含むものである。
【0033】さらに本発明の第三は、一対の基板間に液
晶を挟持してなり、一方の基板が上記本発明の光学素子
の一態様であるカラーフィルタを用いて構成されたこと
を特徴とする液晶素子である。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の光学素子の製造方法は、
支持基板上に隔壁を形成する工程において、ネガ型の感
光性樹脂組成物を用い、現像時に未露光部を部分的に残
して隔壁の側面となる領域及び支持基板表面を保護した
状態で撥インク化処理を施し、その後、未露光部を完全
に現像除去して隔壁を形成し、インクジェット方式によ
りインクを付与して画素を形成することに特徴を有す
る。そのため本発明においては、インクを付与した際
に、隔壁上面及び側面上部の撥インク性によって、多量
のインクでも十分に保持して混色を防止する一方、隔壁
側面下方及び支持基板表面は親インク性が高く、速やか
にインクが濡れ広がり、白抜けが防止される。
【0035】尚、本発明において上記「インク」とは、
乾燥硬化した後に、例えば光学的、電気的に機能性を有
する液体を総称し、従来用いられていた着色材料に限定
されるものではない。
【0036】本発明の製造方法で製造される本発明の光
学素子としては、カラーフィルタ及びエレクトロルミネ
ッセンス素子が挙げられる。先ず、本発明の光学素子に
ついて実施形態を挙げて説明する。
【0037】図8に、本発明の光学素子の一実施形態で
あるカラーフィルタの一例の断面を模式的に示す。図
中、101は支持基板としての透明基板、102は隔壁
を兼ねたブラックマトリクス、103は画素である着色
部、104は必要に応じて形成される保護層である。本
発明のカラーフィルタを用いて液晶素子を構成する場合
には、着色部103上或いは、着色部103上に保護層
104を形成したさらにその上に、液晶を駆動するため
のITO(インジウム・チン・オキサイド)等透明導電
材からなる透明導電膜が形成されて提供される場合もあ
る。
【0038】図9に、図8のカラーフィルタを用いて構
成された、本発明の液晶素子の一実施形態の断面模式図
を示す。図中、107は共通電極(透明導電膜)、10
8は配向膜、109は液晶、111は対向基板、112
は画素電極、113は配向膜であり、図8と同じ部材に
は同じ符号を付して説明を省略する。
【0039】カラー液晶素子は、一般的にカラーフィル
タ側の基板101と対向基板111とを合わせ込み、液
晶109を封入することにより形成される。液晶素子の
一方の基板111の内側に、TFT(不図示)と画素電
極112がマトリクス状に形成されている。また、カラ
ーフィルタ側の基板101の内側には、画素電極112
に対向する位置に、R、G、Bが配列するように、カラ
ーフィルタの着色部103が形成され、その上に透明な
共通電極107が形成される。さらに、両基板の面内に
は配向膜108,113が形成されており、液晶分子を
一定方向に配列させている。これらの基板は、スペーサ
ー(不図示)を介して対向配置され、シール材(不図
示)によって貼り合わされ、その間隙に液晶109が充
填される。
【0040】上記液晶素子は、透過型の場合には、基板
111及び画素電極112を透明素材で形成し、それぞ
れの基板の外側に偏光板を接着し、一般的に蛍光灯と散
乱板を組み合わせたバックライトを用い、液晶化合物を
バックライトの光の透過率を変化させる光シャッターと
して機能させることにより表示を行う。また、反射型の
場合には、基板111或いは画素電極112を反射機能
を備えた素材で形成するか、或いは、基板111上に反
射層を設け、透明基板101の外側に偏光板を設け、カ
ラーフィルタ側から入射した光を反射して表示を行う。
【0041】また、図7に、本発明の光学素子の他の実
施形態である、有機エレクトロルミネッセンス素子(以
下、「EL素子」と記す)の一例の断面模式図を示す。
図中、91は支持基板である駆動基板、92は隔壁、9
3は画素である発光層、94は透明電極、96は金属層
である。この図では、簡略化のために一つの画素領域の
みを示している。
【0042】駆動基板91には、TFT(不図示)、配
線膜及び絶縁膜等が多層に積層されており、金属層96
及び発光層93毎に配置した透明電極94間に発光層単
位で電圧を印加可能に構成されている。駆動基板91は
公知の薄膜プロセスによって製造される。
【0043】本発明の有機EL素子の構造については、
少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極及
び陰極からなる電極間に、樹脂組成物からなる隔壁内に
少なくとも発光材料を充填されてなる構成であれば、特
に制限はなく、その構造は公知のものを採用することが
でき、また本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて各種
の改変を加えることができる。
【0044】その積層構造は、例えば、 (1)電極(陰極)/発光層/正孔注入層/電極(陽
極) (2)電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極(陰
極) (3)電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注入層
/電極(陰極) (4)電極(陽極または陰極)/発光層/電極(陰極ま
たは陽極) があるが、本発明は上記のいずれの構成の有機化合物層
を設けた積層構造体を有するEL素子に対しても適用す
ることができる。
【0045】上記(1)は2層構造、(3)は3層構造
(4)は単層構成と称されるものである。本発明の有機
EL素子はこれらの積層構造を基本とするが、これら以
外の(1)から(4)を組み合わせた構造やそれぞれの
層を複数有していてもよい。また、カラーフィルタと組
み合わせることによって、フルカラー表示を実現しても
良い。これらの積層構造からなる本発明の有機EL素子
の形状、大きさ、材質、製造方法等は該有機EL素子の
用途等に応じて適宜選択され、これらについては特に制
限はない。
【0046】本発明の有機EL素子の発光層に用いられ
る発光材料は特に限定されず、種々のものを適用するこ
とができる。具体的には、低分子蛍光体や高分子蛍光体
が好ましく、高分子蛍光体がさらに好ましい。
【0047】例えば、低分子有機化合物としては、特に
限定はないが、ナフタレン及びその誘導体、アントラセ
ン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチ
ン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色
素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯
体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン
及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘
導体等を用いることができる。具体的には、例えば、特
開昭57−51781号、特開昭59−194393号
公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能で
ある。
【0048】また、発光材料として使用可能な高分子有
機化合物としては、特に限定はないが、ポリフェニレン
ビニレン、ポリアリレン、ポリアルキルチオフェン、ポ
リアルキルフルオレン等を挙げることができる。
【0049】尚、本発明の有機EL素子に用いる高分子
蛍光体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体
であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分
子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であっ
てもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る観
点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯び
たランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体
が好ましい。また本発明の有機EL素子は、薄膜からの
発光を利用するので該高分子蛍光体は、固体状態で蛍光
を有するものが用いられる。
【0050】該高分子蛍光体に対する良溶媒としては、
クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラ
ヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。
高分子蛍光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれら
の溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0051】本発明の有機EL素子において、発光材料
を含む層と陰極との間にさらに電子輸送層を設ける場合
の電子輸送層中に使用する、或いは正孔輸送材料及び発
光材料と混合使用する電子輸送性材料は、陰極より注入
された電子を発光材料に伝達する機能を有している。こ
のような電子輸送性材料について特に制限はなく、従来
公知の化合物の中から任意のものを選択して用いること
ができる。
【0052】該電子輸送性材料の好ましい例としては、
ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン
誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシ
ド誘導体、複素環テトラカルボン酸無水物、或いはカル
ボジイミド等を挙げることができる。
【0053】さらに、フレオレニリデンメタン誘導体、
アントラキノジメタン誘導体及びアントロン誘導体、オ
キサジアゾール誘導体等を挙げることができる。また、
発光層を形成する材料として開示されているが、8−ヒ
ドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等も電子輸
送材料として用いることができる。
【0054】次に、本発明の一例である積層構造を有す
る有機EL素子の代表的な作製方法について述べる。陽
極及び陰極からなる一対の電極で、透明または半透明な
電極としては、例えば、透明ガラス、透明プラスチック
等の透明基板の上に、透明または半透明の電極を形成し
たものが用いられる。
【0055】本発明のEL素子において、発光層は一般
には適当な結着性樹脂と組み合わせて薄膜を形成する。
上記結着剤としては広範囲な結着性樹脂より選択でき、
例えばポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラ
ール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリ
ル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。これらは単独または共
重合体ポリマーとして1種または2種以上混合して用い
ても良い。陽極材料としては仕事関数がなるべく大きな
ものが良く、例えば、ニッケル、金、白金、パラジウ
ム、セレン、レニウム、イリジウムやこれらの合金、或
いは酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、ヨウ化銅が
好ましい。またポリ(3−メチルチオフェン)、ポリフ
ェニレンスルフィド或いはポリピロール等の導電性ポリ
マーも使用出来る。
【0056】一方、陰極材料としては仕事関数が小さな
銀、鉛、錫、マグネシウム、アルミニウム、カルシウ
ム、マンガン、インジウム、クロム或いはこれらの合金
が用いられる。
【0057】以下に、図面を参照して本発明の光学素子
の製造方法について説明する。
【0058】図1、図2は本発明の光学素子の製造方法
を模式的に示す工程図である。以下に各工程について説
明する。尚、以下の工程(a)〜(h)は図1、図2の
(a)〜(h)に対応する。また、図1、図2の各工程
において紙面左側の(a−1)〜(h−1)は上方より
見た平面模式図、紙面右側の(a−2)〜(h−2)は
(a−1)〜(h−1)のA−B断面模式図である。図
中、1は支持基板、2はネガ型の感光性樹脂組成物層、
3は隔壁、4は隔壁3の開口部、6インクジェットヘッ
ド、7はインク、8は画素、11はフォトマスク、12
は未露光部である。
【0059】工程(a) 支持基板1を用意する。支持基板1は、図8に例示した
カラーフィルタを製造する場合には透明基板101であ
り、一般にはガラス基板が用いられるが、液晶素子を構
成する目的においては、所望の透明性、機械的強度等の
必要特性を有するものであれば、プラスチック基板など
も用いることができる。
【0060】また、図7に例示したEL素子を製造する
場合には、支持基板1は透明電極94を形成した駆動基
板91であり、図7の如く当該基板側から発光を観察す
る場合には、駆動基板91にガラス基板などの透明基板
を用いる。
【0061】工程(b) 支持基板1上に、隔壁3を形成するためのネガ型の感光
性樹脂組成物層2を形成する。本発明において、隔壁3
を形成するために用いられるネガ型の感光性樹脂組成物
としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミ
ドイミドを含むポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂などの感光性樹脂
材料を用いることができるが、250℃以上の耐熱性を
有することが好ましく、その点から、エポキシ系樹脂、
アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられ
る。
【0062】また、かかる隔壁3を遮光層とする場合に
は、上記感光性樹脂組成物中に、遮光剤を分散せしめた
黒色樹脂組成物を用いて樹脂組成物層2を形成する。該
遮光剤としては、後述するように、フッ素化処理を施し
た際に隔壁3の上面により高い撥インク性が得られるこ
とから、カーボンブラックを用いることが望ましく、該
カーボンブラックとしては、チャネルブラック、ローラ
ーブラック、ディスクブラックと呼ばれているコンタク
ト法で製造されたもの、ガスファーネストブラック、オ
イルファーネストブラックと呼ばれているファーネスト
法で製造されたもの、サーマルブラック、アセチレンブ
ラックと呼ばれているサーマル法で製造されたものなど
を用いることができるが、特に、チャネルブラック、ガ
スファーネストブラック、オイルファーネストブラック
が好ましい。さらに必要に応じて、R、G、Bの顔料の
混合物などを加えても良い。また、一般に市販されてい
る黒色レジストを用いることもできる。必要に応じて高
抵抗化した遮光層を用いても良い。
【0063】感光性樹脂組成物層2は、スピンコート、
ロールコート、バーコート、スプレーコート、ディップ
コート、或いは印刷法等の方法により形成することがで
きる。
【0064】工程(c) 感光性樹脂組成物層2を、隔壁3のパターンに対応した
開口部を有するフォトマスク11を用いて露光する。本
発明にかかる隔壁3は、図8のカラーフィルタの場合に
はブラックマトリクス102に、図7のエレクトロルミ
ネッセンス素子の場合には隔壁92に相当する。該隔壁
3は、特にカラーフィルタを製造する場合には、図8の
102で示したように、隣接する画素間を遮光する遮光
層とすることが好ましく、その場合、図8の如くブラッ
クマトリクス102とするか、或いは、ブラックストラ
イプとすることもできる。また、EL素子を製造する場
合にも遮光層とすることが可能である。
【0065】工程(d) パターン露光した感光性樹脂組成物層2を現像する。こ
の時、露光部分は硬化して隔壁3となるが、未露光部分
12は上層のみを現像除去し、下層を残す。除去する上
層の厚さは、感光性樹脂組成物層2の厚さの1〜30%
が望ましい。ここで残された下層が、支持基板1の表面
及び隔壁3の側面の下方を後述する撥インク化処理から
保護する役割を果たす。
【0066】工程(e) 感光性樹脂組成物層2に対してフッ素化処理を施す。当
該処理によって、感光性樹脂組成物層2の表面、即ち隔
壁3の上面及び、先の工程で現像除去したことによって
露出している隔壁3の側面上部の撥インク性が増大す
る。また、隔壁3の側面下方及び支持基板1表面は上記
したように、現像時に除去されていない未露光部12の
感光性樹脂組成物によって保護されているため、撥イン
ク化処理されない。
【0067】本発明にかかるフッ素化処理としては、工
程が簡単であり樹脂組成物からなる隔壁3表面を良好に
フッ素化して撥インク性を増大させることができる方法
として、少なくともフッ素原子を含有するガスを導入し
てプラズマ照射を行うプラズマ処理が好ましく用いられ
る。
【0068】当該工程において用いられる、少なくとも
フッ素原子を含有するガスとしては、CF4、CHF3
26、SF6、C38、C58から選択されるハロゲ
ンガスを1種以上用いることが好ましい。特に、C58
(オクタフルオロシクロペンテン)は、オゾン破壊能が
0であると同時に、大気寿命が従来のガスに比べて(C
4:5万年、C48:3200年)0.98年と非常
に短い。従って、地球温暖化係数が90(CO2=2と
した100年積算値)と、従来のガスに比べて(C
4:6500、C48:8700)非常に小さく、オ
ゾン層や地球環境保護に極めて有効であり、本発明で使
用する上で望ましい。
【0069】さらに、導入ガスとしては、必要に応じて
酸素、アルゴン、ヘリウム等のガスを併用しても良い。
本工程においては、上記CF4、CHF3、C26、SF
6、C38、C58から選択されるハロゲンガスを1種
以上とO2との混合ガスを用いると、本工程においてフ
ッ素化処理される隔壁3表面の撥インク性の程度を制御
することが可能になる。但し、当該混合ガスにおいて、
2の混合比率が30%を超えるとO2による酸化反応が
支配的になり、撥インク性向上効果が妨げられるため、
また、O2混合比率が30%を超えると樹脂に対するダ
メージが顕著になるため、当該混合ガスを用いる場合に
はO2の混合比率が30%以下の範囲で使用する必要が
ある。
【0070】また、プラズマの発生方法としては、低周
波放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方式を用いる
ことができ、プラズマ処理の際の圧力、ガス流量、放電
周波数、処理時間等の条件は任意に設定することができ
る。
【0071】図5、図6に、かかるプラズマ処理工程に
用いることが可能なプラズマ発生装置の模式図を示す。
図中、51は上部電極、52は下部電極、53は被処理
基板、54は高周波電極である。当該装置は平行平板の
2極電極に高周波電圧を印加して、プラズマを発生させ
る。図5はカソードカップリング方式、図6はアノード
カップリング方式の装置を示し、どちらの方式において
も、圧力、ガス流量、放電周波数、処理時間等の条件に
よって、隔壁3表面の撥インク性を所望の程度とするこ
とができる。
【0072】図5、図6に示したプラズマ発生装置にお
いて、図5のカソードカップリング方式は処理時間を短
くすることが可能であり、当該処理工程に有利である。
また、図6のアノードカップリング方式では、必要以上
に支持基板1にダメージを与えることがない点で有利で
ある。よって、本工程に用いるプラズマ発生装置は、支
持基板1や隔壁3の材料に応じて選択すればよい。
【0073】工程(f) 工程(d)の現像工程において残されていた未露光部1
2の感光性樹脂組成物を完全に現像除去する。
【0074】これら一連の工程により、隔壁3の上面及
び側面上部のみが撥インク性を有し、開口部4に露出し
た支持基板1表面及び隔壁3の側面下方が親インク性を
有するマトリクスパターン基板を得ることができる。
【0075】工程(g) インクジェット記録装置を用いて、インクジェットヘッ
ド6より、インク7を隔壁3で囲まれた領域(開口部
4)に付与する。インクジェットとしては、エネルギー
発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット
(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジ
ェットタイプ等が使用可能である。また、インク7とし
ては、カラーフィルタの場合には硬化後にR、G、Bの
着色部を形成するように各色の着色剤を含むもの、EL
素子の場合には、硬化後に電圧印加によって発光する発
光層を形成する材料を用いる。いずれの場合も、インク
7は硬化成分、水、溶剤を少なくとも含むものが好まし
い。以下に、本発明の製造方法によってカラーフィルタ
を製造する場合に用いるインクの組成についてさらに詳
細に説明する。
【0076】〔1〕着色剤 本発明でインク中に含有させる着色剤としては、染料系
及び顔料系共に使用可能であるが、顔料を使用する場合
には、インク中で均一に分散させるために別途分散剤の
添加が必要となり、全固形分中の着色剤比率が低くなっ
てしまうことから、染料系の着色剤が好ましく用いられ
る。また、着色剤の添加量としては、後述する硬化成分
と同量以下であることが好ましい。
【0077】〔2〕硬化成分 後工程におけるプロセス耐性、信頼性等を考慮した場
合、熱処理或いは光照射等の処理により硬化し、着色剤
を固定化する成分、即ち架橋可能なモノマー或いはポリ
マー等の成分を含有することが好ましい。特に、後工程
における耐熱性を考慮した場合、硬化可能な樹脂組成物
を用いることが好ましい。具体的には、例えば基材樹脂
として、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、アミ
ド基等の官能基を有するアクリル樹脂、シリコーン樹
脂;またはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース等のセルロース誘導体或いはそれらの変性
物;またはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアセタール等のビニル系ポリマーが挙げ
られる。さらに、これらの基材樹脂を光照射或いは加熱
処理により硬化させるための架橋剤、光開始剤を用いる
ことが可能である。具体的には、架橋剤としては、メチ
ロール化メラミン等のメラミン誘導体が、また光開始剤
としては重クロム酸塩、ビスアジド化合物、ラジカル系
開始剤、カチオン系開始剤、アニオン系開始剤等が使用
可能である。また、これらの光開始剤を複数種混合し
て、或いは他の増感剤と組み合わせて使用することもで
きる。
【0078】〔3〕溶剤 本発明で使用されるインクの媒体としては、水及び有機
溶剤の混合溶媒が好ましく使用される。水としては種々
のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水
(脱イオン水)を使用することが好ましい。
【0079】有機溶剤としては、メチルアルコール、エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチル
アルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1
〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセ
トンアルコール等のケトン類またはケトアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポ
リアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレン
グリコール、チオジグリコール、へキシレングリコー
ル、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜4個
の炭素を含有するアルキレングリコール類;グリセリン
類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコール
モノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキル
エーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリ
ドン等の中から選択することが好ましい。
【0080】また、上記成分の他に、必要に応じて所望
の物性値を持つインクとするために、沸点の異なる2種
類以上の有機溶剤を混合して用いたり、界面活性剤、消
泡剤、防腐剤等を添加しても良い。
【0081】工程(h) 熱処理、光照射等必要な処理を施し、インク7中の溶剤
成分を除去して硬化させることにより、画素8を形成す
る。
【0082】さらに、カラーフィルタの場合には、前記
したように、必要に応じて保護層や透明導電膜を形成す
る。この場合の保護層としては、光硬化タイプ、熱硬化
タイプ、或いは光熱併用硬化タイプの樹脂材料、或い
は、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用
いることができ、カラーフィルタとした場合の透明性を
有し、その後の透明導電膜形成プロセス、配向膜形成プ
ロセス等に耐えうるものであれば使用可能である。ま
た、透明導電膜は、保護層を介さずに着色部上に直接形
成しても良い。また、EL素子の場合には、画素上に金
属層等必要な部材を形成する。
【0083】
【実施例】(実施例)ガラス基板を2%水酸化ナトリウ
ム水溶液にてアルカリ超音波洗浄し、次いでUVオゾン
処理を行った。洗浄後のガラス基板上に黒色感光性樹脂
組成物(新日鉄化学製「V−259 BKレジスト」)
をスピンコート法により膜厚2μmとなるよう塗布し
た。この基板を真空乾燥処理した後、ホットプレートを
用い、90℃で120秒間加熱処理し、レジストを仮硬
化させた。
【0084】DEEP−UV露光装置を使用し、所定の
パターンマスクを用いてプロキシミティ露光を行った。
続いて、無機アルカリ現像液(新日鉄化学製「V−24
01ID」5%水溶液)でシャワー現像を15秒間行
い、引き続き純水でリンス処理し、現像液を完全に除去
した。これにより、未露光部の黒色感光性樹脂組成物を
厚さ0.2μm分現像除去した。
【0085】この基板の上記感光性樹脂組成物層に対し
て、フッ素化処理として、平行平板型のプラズマ処理装
置を用いて、フッ素系ガス(CF4)流量を80scc
mに設定し、圧力8PaにてRF出力150Wで60秒
間プラズマ処理を施した。
【0086】上記プラズマ処理後、上記無機アルカリ現
像液でシャワー現像を60秒間行い、続いて純水でリン
ス処理し、未露光部の黒色感光性樹脂組成物を完全に除
去した。
【0087】得られたブラックマトリクス基板の純水に
対する接触角を測定したところ、 ブラックマトリクス上面:130° ガラス基板表面:15° であり、ブラックマトリクス上の撥インク性が十分に高
く、ガラス基板表面が親インク性の高い基板であった。
【0088】下記に示す組成からなるアクリル系共重合
体を熱硬化成分として用い、以下の組成にてR、G、B
の各インクを調製した。
【0089】硬化成分 メチルメタクリレート 50重量部 ヒドロキシエチルメタクリレート 30重量部 N−メチロールアクリルアミド 20重量部
【0090】Rインク C.I.アシッドオレンジ148 3.5重量部 C.I.アシッドレッド289 0.5重量部 ジエチレングリコール 30重量部 エチレングリコール 20重量部 イオン交換水 40重量部 上記硬化成分 6重量部
【0091】Gインク C.I.アシッドイエロー23 2重量部 亜鉛フタロシアニンスルホアミド 2重量部 ジエチレングリコール 30重量部 エチレングリコール 20重量部 イオン交換水 40重量部 上記硬化成分 6重量部
【0092】Bインク C.I.ダイレクトブルー199 4重量部 ジエチレングリコール 30重量部 エチレングリコール 20重量部 イオン交換水 40重量部 上記硬化成分 6重量部
【0093】インクジェット記録装置を用い、上記ブラ
ックマトリクス基板に対して、上記R、G、Bインクを
開口部1個あたり200〜800plの範囲で100p
lおきに量を変化させて付与した。次いで、90℃で1
0分間、引き続き230℃で30分間の熱処理を行って
インクを硬化させて着色部(画素)とし、インク付与量
の異なる7種類のカラーフィルタを作製した。
【0094】得られたカラーフィルタを光学顕微鏡で観
察したところ、全てのカラーフィルタにおいて、インク
はブラックマトリクスの開口部に均一に充填され、にじ
み、はみ出し、混色、白抜けは観察されなかった。その
後、保護層、及び透明導電膜を形成したが、密着性等に
何ら不具合は生じなかった。
【0095】(比較例)黒色感光性樹脂組成物層をパタ
ーン露光した後、現像処理によって未露光部の感光性樹
脂組成物を全て除去し、ブラックマトリクスを形成した
上でプラズマ処理を施した以外は、実施例1と同様にし
てカラーフィルタを作製した。
【0096】プラズマ処理後のブラックマトリクス基板
の純水に対する接触角は、 ブラックマトリクス上面:130° ガラス基板表面:5° であり、ブラックマトリクス上の撥インク性が十分に高
く、ガラス基板表面が親インク性の高い基板であった。
【0097】得られたカラーフィルタを光学顕微鏡で観
察したところ、全てのカラーフィルタにおいて、白抜け
が観察された。白抜けはインク付与量の多いカラーフィ
ルタほど顕著であり、これはブラックマトリクスの側面
の撥インク性が高いためであると考えられる。混色は観
察されなかった。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
混色や白抜けのない画素を備えた信頼性の高い光学素子
をインクジェット方式により簡易なプロセスによって歩
留まり良く製造することができ、着色部内で濃度ムラの
ないカラーフィルタ、発光層内で発光輝度ムラのないE
L素子を歩留まり良く提供することができる。よって、
上記カラーフィルタを用いて、カラー表示特性に優れた
液晶素子をより安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造方法の一実施形態の工
程図である。
【図2】本発明の光学素子の製造方法の一実施形態の工
程図である。
【図3】インクジェット方式による光学素子の製造方法
において発生する混色の概念図である。
【図4】インクジェット方式による光学素子の製造方法
において発生する白抜けの概念図である。
【図5】本発明の製造方法において用いうるプラズマ発
生装置の構成の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の製造方法において用いうるプラズマ発
生装置の他の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の光学素子の一実施形態であるエレクト
ロルミネッセンス素子の一例の断面模式図である。
【図8】本発明の光学素子の他の実施形態であるカラー
フィルタの一例の断面模式図である。
【図9】本発明の液晶素子の一実施形態の断面模式図で
ある。
【符号の説明】
1 支持基板 2 樹脂組成物層 3 隔壁 4 開口部 6 インクジェットヘッド 7 インク 8 画素 11 フォトマスク 12 未露光部 31 透明基板 33 ブラックマトリクス 36 インク 38 白抜け 51 上部電極 52 下部電極 53 被処理基板 54 高周波電極 91 駆動基板 92 隔壁 93 発光層 94 透明電極 96 金属層 101 透明基板 102 ブラックマトリクス 103 着色部 104 保護層 107 共通電極 108 配向膜 109 液晶 111 対向基板 112 画素電極 113 配向膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/10 H05B 33/12 B 33/12 33/14 A 33/14 B41J 3/04 101Z (72)発明者 坂本 淳一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 芝 昭二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 高野 勝彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岡田 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 谷内 洋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 西田 武人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 FB01 FB08 2H042 AA09 AA15 AA26 2H048 BA11 BA64 BB01 BB02 BB24 BB41 BB44 2H091 FA02Y FA35Y FB04 FC12 FC25 FC27 FD05 GA16 LA12 LA15 3K007 AB04 BA06 CA01 CB01 DA05 DB03 FA01 FA03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基板上に複数の画素と隣接する画素
    間に位置する樹脂組成物からなる隔壁とを少なくとも有
    する光学素子の製造方法であって、支持基板上にネガ型
    の感光性樹脂組成物層を形成する工程と、上記感光性樹
    脂組成物層をパターン露光する工程と、上記感光性樹脂
    組成物層の未露光部の上層を現像除去する工程と、上記
    感光性樹脂組成物層にフッ素化処理を施す工程と、上記
    感光性樹脂組成物層の未露光部を完全に現像除去して隔
    壁を形成する工程と、インクジェット方式により隔壁に
    囲まれた領域にインクを付与して画素を形成する工程
    と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記感光性樹脂組成物層の未露光部の上
    層を現像除去する工程において除去される上層の厚さ
    が、該感光性樹脂組成物層の膜厚の1〜30%である請
    求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記フッ素化処理が、少なくともフッ素
    原子を含有するガスを導入してプラズマ照射を行うプラ
    ズマ処理である請求項1または2に記載の光学素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 上記感光性樹脂組成物層が遮光剤を含有
    する請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記遮光剤がカーボンブラックである請
    求項4に記載の光学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記インクが少なくとも硬化成分、水、
    有機溶剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の光
    学素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記インクが着色剤を含有し、画素が着
    色部であるカラーフィルタを製造する請求項1〜6のい
    ずれかに記載の光学素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記画素が発光層であるエレクトロルミ
    ネッセンス素子を製造する請求項1〜6のいずれかに記
    載の光学素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 支持基板上に複数の画素と隣接する画素
    間に位置する隔壁とを少なくとも有し、請求項1〜6の
    いずれかに記載の光学素子の製造方法により製造された
    ことを特徴とする光学素子。
  10. 【請求項10】 上記隔壁が遮光層である請求項9に記
    載の光学素子。
  11. 【請求項11】 上記支持基板が透明基板であり、上記
    画素が着色剤を含有するインクで形成された着色部であ
    り、複数色の着色部を備えたカラーフィルタである請求
    項9または10に記載の光学素子。
  12. 【請求項12】 上記着色部上に保護層を有する請求項
    11に記載の光学素子。
  13. 【請求項13】 表面に透明導電膜を有する請求項11
    または12に記載の光学素子。
  14. 【請求項14】 上記画素が発光層であり、該発光層を
    挟んで上下に電極を有するエレクトロルミネッセンス素
    子である請求項9または10に記載の光学素子。
  15. 【請求項15】 一対の基板間に液晶を挟持してなり、
    一方の基板が請求項11〜13のいずれかに記載の光学
    素子を用いて構成されたことを特徴とする液晶素子。
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