JP4675569B2 - 高純度エチレングリコールの回収方法 - Google Patents

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Description

この発明は、使用済クーラントから高純度のエチレングリコールを回収する高純度エチレングリコールの回収方法に関する。
従来、例えば水冷エンジンの自動車では、エンジンを冷却するためにクーラントを循環させている。このクーラントには、寒冷時でも凍結せず、また容易に沸騰蒸発することがないように、エチレングリコールの水溶液に種々の防錆剤等を添加したものが使用されている。
このクーラントは、長時間使用していると、熱分解や溶存酸素による酸化などによって蟻酸、グリコール酸等の酸性不純物が蓄積し、また、これら酸性不純物によってエンジンやラジエータの材料が腐食されて、鉄、アルミニウム、鉛、錫、亜鉛、銅等の酸化物やイオン類が蓄積し劣化してくる。
そのためクーラントは定期的な交換が必要であり、ガソリンスタンド、カーショップ、自動車整備工場、運送業等から自動車の整備に伴って多量の使用済クーラントが発生する。この使用済クーラントは、そのほとんどが回収されることなく、大量の水で希釈して廃棄され、これが環境汚染を引き起こしていた。
それを避けるためには大規模な水処理か焼却等の廃棄処理が必要であるが、使用済クーラント中のエチレングリコールは回収すれば、再利用することが可能であるため、そのまま廃棄処分するのは資源の無駄使いだけでなく、不経済でもあり、環境負荷が小さく、効率的なリサイクル技術の開発が望まれている。
使用済クーラントのリサイクル法としては二通りの考え方があり、一つは、使用済クーラントから不純物を除去して、運転中の消耗や処理に伴う逸失分を補填し、成分を調整して再生クーラントとして回収する方法、もう一つはクーラントの主成分であるエチレングリコールを高純度エチレングリコールとして回収する方法である。
いずれの方法においても、フィルター等による固液分離、逆浸透膜や限外濾過膜等による膜分離、イオン交換樹脂等によるイオン交換、吸着剤による吸着及び蒸留分離が単独ないしはその組合せで用いられている。前者については、いくつかの提案がなされている。そのほとんどが、比較的小規模な装置によるものが多く、特開平06−207514号、特開平07−108141号、特開平07−108268号、特開平07−108267号、特開平06−234678号、特開平10−25256号等が挙げられる。
これらの方法は比較的簡便に対応できるものの、技術の普及という面でみると、使用済クーラントを再生クーラントとして回収するという方法においては、回収した再生クーラントそのものは販売することができないので、クーラント再生装置の販売という形での普及となる。
すなわち、自社の車のクーラント再生や顧客サービスとしてのクーラント再生としては活用できるが、運転や再生による添加剤やエチレングリコールの消耗分を添加調整するという高度な技術も必要であり、一般的に普及する技術とはいえない。しかも、これらクーラント再生装置からも水処理を必要とする廃液が発生する。したがって、より一般的、工業的な規模での使用済クーラントのリサイクルを考慮すると、高純度エチレングリコールまで精製する必要がある。
後者は上記に対応する技術であり、特開2003−126604号などが挙げられる。
また、産業分野は異なるが、同じく高純度エチレングリコールの回収という面では、ポリエチレンテレフタレート(PET)や酸化エチレンの製造工程からのエチレングリコールの回収技術としては、特公昭45−9926号、特公昭45−10324号、特開昭51−1403号、特開昭56−00401号、特開昭57−26631号等が開示されている。
特開平06−207514号公報 特開平07−108141号公報 特開平07−108268号公報 特開平07−108267号公報 特開平06−234678号公報 特開平10−25256号公報 特開2003−126604号公報 特公昭45−9926号公報 特公昭45−10324号公報 特開昭51−1403号公報 特開昭56−00401号公報 特開昭57−26631号公報
しかしながら、これらの方法は使用済クーラントの再生や高純度エチレングリコールの回収において最大の問題点である水処理について何ら触れられていない。すなわち、クーラントの主成分であるエチレングリコールは水溶性であり、低濃度であっても高いCOD(又はBOD)負荷を示す。例えば、1g/lのエチレングリコール水溶液は理論的には1290ppmのCOD負荷を示すため、水処理に多大な設備が必要となる。
一方で、これらの従来技術で使われている膜分離についてみると、膜分離では透過側と非透過側の液が発生するが、透過側の液はエチレングリコールを含む水溶液として回収・リサイクルされるが、非透過側の液は回収されずに廃液として排出される。さらに、一般に膜分離は回収率が悪いため、相当量の非透過液が発生する。
したがって、水処理への負荷が大きいだけでなく、エチレングリコールの回収率も低下するが、膜分離によって不純物濃度も上昇しているので、非透過液を使用済クーラント貯槽に戻して回収率を向上させることもできない。また、膜分離においてはしばしば膜の洗浄を行う必要があるが、この洗浄液にも多量のエチレングリコールが含まれ、その処分も考えなければならない。
イオン交換についても同様に、イオン交換樹脂の再生・洗浄時に多量のエチレングリコールを含む水溶液が発生するが、この排液の処理についても触れられていない。同じく蒸留によって水分を蒸発させる方法においても、留出した水分中には気液平衡の関係でエチレングリコールが含まれるが、この排液の処理についても触れられていない。クーラントには約70%の水分が含まれているので、その水処理が技術的・コスト的に大きな障害となっていた。
このことが工業的な規模で使用済クーラントのリサイクルが実現に至らなかった大きな理由であった。
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、通常の水処理を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールを回収することが可能な高純度エチレングリコールの回収方法を提供することを目的としている。
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、
未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
前記エチレングリコール留分から油分を油水分離する油水分離工程と、
前記油分を分離したエチレングリコール留分から、前記油水分離工程で分離できなかった微細な油分と不純物とを分離する膜分離工程と、
前記膜分離工程を透過したエチレングリコール留分から、有機及び無機イオン性不純物を除去するイオン交換工程と、
前記イオン交換処理後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
前記粗蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
前記膜分離工程から排出される前記油分と不純物の非透過液及び前記膜分離工程を洗浄する際に発生する洗浄液と、前記イオン交換工程においてイオン交換樹脂の再生または交換時に発生する廃液と、前記精密蒸留工程から発生する水留分とを前記未処理の使用済クーラントを貯める工程に戻し、
前記油水分離工程から発生する油分を含む廃液と、前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法である。
請求項2に記載の発明は、
未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
前記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
前記エチレングリコール留分から油分を油水分離する油水分離工程と、
前記油分を分離したエチレングリコール留分から、前記油水分離工程で分離できなかった微細な油分と不純物とを分離する膜分離工程と、
前記膜分離工程を透過したエチレングリコール留分から、有機及び無機イオン性不純物を除去するイオン交換工程と、
前記イオン交換処理後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
前記膜分離工程から排出される前記油分と不純物の非透過液及び前記膜分離工程を洗浄する際に発生する洗浄液と、前記イオン交換工程においてイオン交換樹脂の再生または交換時に発生する廃液とを前記未処理の使用済クーラントを貯める工程に戻し、
前記油水分離工程から発生する油分を含む廃液と、前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法である。
請求項3に記載の発明は、
未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
前記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
前記粗蒸留工程後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
前記粗蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
前記精密蒸留工程から発生する水留分を前記未処理の使用済クーラントを貯める工程に戻し、
前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液を燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法。
請求項4に記載の発明は、未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
前記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
前記粗蒸留工程後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液を燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法。
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
請求項1に記載の発明によれば、粗蒸留工程で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉に導入して加熱分解させ、膜分離工程から排出される油分と不純物の非透過液及び膜分離工程を洗浄する際に発生する洗浄液と、イオン交換工程においてイオン交換樹脂の再生や交換時に発生する廃液と、精密蒸留工程から発生する水を主成分とする留分とを未処理の使用済クーラントの貯槽に戻し、油水分離工程から発生する油分を含む廃液と、粗蒸留工程及び精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料化又は焼却処分することで、工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
請求項2に記載の発明によれば、粗蒸留工程及び精密蒸留工程で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉に導入して加熱分解させ、膜分離工程から排出される油分と不純物の非透過液及び膜分離工程を洗浄する際に発生する洗浄液と、イオン交換工程においてイオン交換樹脂の再生や交換時に発生する廃液とを未処理の使用済クーラントの貯槽に戻し、油水分離工程から発生する油分を含む廃液と、粗蒸留工程及び精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料化又は焼却処分することで、工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
請求項3に記載の発明によれば、粗蒸留工程で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉に導入して加熱分解させ、精密蒸留工程から発生する水を主成分とする留分を未処理の使用済クーラントの貯槽に戻し、粗蒸留工程及び精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液を燃料化又は焼却処分することで、工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
請求項4に記載の発明によれば、粗蒸留工程及び精密蒸留工程で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉に導入して加熱分解させ、粗蒸留工程及び精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液を燃料化又は焼却処分することで、工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
以下、この発明の高純度エチレングリコールの回収方法の実施の形態について説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明の用語はこれに限定されない。
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムの概略構成図である。
この第1の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムは、未処理の使用済クーラントの貯槽1、粗蒸留工程2、加熱分解炉3、油水分離を行なう遠心分離工程4、膜分離工程5、イオン交換工程6及び精密蒸留工程7とを有している。
未処理の使用済クーラントの貯槽1には、未処理の使用済クーラントが供給される。
粗蒸留工程2には、未処理の使用済クーラントの貯槽1から未処理の使用済クーラントの原液が供給され、この原液の使用済クーラントを蒸留によって水を主成分とする留分と、エチレングリコールを主成分とする留分と、蒸留残渣液(蒸留ボトム液)とに分ける。
加熱分解炉3には、粗蒸留工程2で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を冷却・凝縮することなく蒸気の状態で粗蒸留工程2から水を主成分とする留分が供給される。この加熱分解炉3では、蒸気の状態で導入する水を主成分とする留分を加熱して蒸発蒸気を分解する。
この第1の実施の形態では、粗蒸留工程2で蒸留によって使用済クーラントを水を主成分とする留分と、エチレングリコールを主成分とする留分と、蒸留残渣液(蒸留ボトム液)とに分離し、その際に蒸留によって蒸発した水を主成分とする留分を冷却・凝縮することなく、蒸気の状態で加熱分解炉3にて直接分解することを特徴としている。
これにより使用済クーラントの大部分(約70%程度)を占める水の大部分は通常の水処理をすることなく系外に排出することができる。具体的には、水を主成分とする留分の蒸留を常圧にて行う。減圧蒸留では蒸発した水を主成分とする留分を冷却・凝縮することなく直接加熱分解炉3に導入することが非常に難しいからである。
この粗蒸留工程2では、連続蒸留でも回分式蒸留でも適用可能である。連続蒸留の場合、以下の*1〜*3の3つの方法が挙げられるが、エチレングリコールを主成分とする留分の回収は、エチレングリコールの熱による変質を避けるため低温で蒸留することが望ましい。
したがって、*3の常圧蒸留と減圧蒸留を併用する二塔式が好ましい。
*1:一塔式で常圧蒸留を行い、塔頂から水を主成分とする留分を分離し、サイドカットでエチレングリコールを主成分とする留分を回収する。
*2:二塔式で常圧蒸留し、第一塔で水を主成分とする留分の分離し、第二塔でエチレングリコールを主成分とする留分の回収を行う。
*3:二塔式で、第一塔は常圧蒸留にて水を主成分とする留分を分離し、第二塔は減圧蒸留にてエチレングリコールを主成分とする留分の回収を行う。ただし、二塔式の場合、第二塔への導入温度を調整するため熱交換器ないしリボイラーが必要となる。
一方、回分式では水を主成分とする留分はエチレングリコールを主成分とする留分に先だって留出する。
したがって、水を主成分とする留分の蒸留が終了した時点で流路を切り替えてエチレングリコールを主成分とする留分の回収を行うこととなる。
その際に、両留分とも常圧蒸留で分離・回収する方法と、水を主成分とする留分を常圧蒸留で分離し、その後、流路を切り替えてエチレングリコールを主成分とする留分を減圧蒸留で回収する2つの方法が挙げられる。
この場合も、連続蒸留と同じようにエチレングリコールを主成分とする留分はできるだけ低温で回収することが望ましいが、常圧蒸留に引き続いて減圧蒸留を実施すると蒸留釜内の温度が高すぎるため突沸現象を引き起こし、エチレングリコールを主成分とする留分に多量の不純物が混入するので減圧度の制御が必要となる。この時点で、エチレングリコールを主成分とする留分中のエチレングリコール濃度は、70〜90%程度となる。
この粗蒸留工程2で発生する蒸留残渣液は燃料化又は焼却処理する。
遠心分離工程4には、粗蒸留工程2からエチレングリコールを主成分とする留分が供給される。この遠心分離工程4では、エチレングリコールを主成分とする留分から油分を遠心分離し、エチレングリコールを主成分とする留分から油分を除去する。通常、油分が使用済クーラントに混入されることはないが、例えばガソリンスタンド、整備工場、ディーラー、運送業等から排出される使用済クーラントにはどうしてもエンジンオイル等の油分が混入してしまう。
これらの油分は、その一部が粗蒸留工程2でミストとしてエチレングリコールを主成分とする留分に同伴するため後工程の負荷を軽減させるためにその除去が必要となる。この際、粗蒸留に換えて精密蒸留を行う方法も考えられるが、蒸留に大きな負荷がかかり、設備が多大なものとなる。また、使用済クーラントには多種多様な不純物が含まれているので、精密蒸留といえども一度の蒸留では使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収することは難しい。
この遠心分離工程4で発生する油分を含む液については、粗蒸留の蒸留残渣液と併せて燃料化又は焼却処分に供する。
膜分離工程5には、遠心分離工程4から油分を分離したエチレングリコールを主成分とする留分が供給され、膜分離工程5では油分を分離したエチレングリコールを主成分とする留分から、さらに微細な油分と不純物とを分離する。
この膜分離工程5では、分離除去が困難な微細な油粒子、分子サイズの大きい有機化合物及び一部のイオン性物質の分離除去を目的とする。一般に、膜分離には下記の二通りの使い方があるが、この実施の形態では、a)の方法を採用する。
a)精製・・・・膜を透過した液(以下、透過液と称する)が目的
b)濃縮・・・・膜を透過しない液(以下、非透過液と称する)が目的
前記したように、膜分離では膜を透過しない非透過液は原液よりも汚染度が上昇する。
したがって、直接使用済クーラントを膜分離装置にかけると非透過液は使用済クーラントよりも不純物濃度が上昇するため、非透過液は未処理の使用済クーラントの貯槽に戻すことことはできない。
しかしながら、この実施の形態では、使用済クーラントを粗蒸留にて蒸留し、エチレングリコールを主成分とする留分を遠心分離したものが膜分離への原液となっているため、膜分離の非透過液といえども使用済クーラントよりはるかに清浄度が高いので、非透過液を未処理の使用済クーラントの貯槽に戻すことができるのが特徴である。
これにより、膜分離工程5から発生する非透過液を通常の水処理にかける必要がなくなるだけでなく、膜分離の欠点であるエチレングリコールの回収率の低下も補償することが可能である。
具体的な膜の使用に当たっては、1段目で分離除去することも可能であるが、より好ましくは、1段目で微細な油粒子を2段目で分子サイズの大きな有機化合物及びイオン性物質を分離除去する方法が推奨される。
イオン交換工程6には、膜分離工程5を透過したエチレングリコールを主成分とする留分が供給され、このイオン交換工程6では膜分離工程5を透過したエチレングリコールを主成分とする留分から、有機及び無機イオン性不純物を除去する。
イオン交換工程6では、有機性・無機性イオン物質の分離除去を目的とする。特に、エチレングリコールや添加物の熱変質や分解で生成する低分子量の酸性・塩基性物質を分離除去する。具体的な使い方としては、混床方式と複床方式のどちらも可能であるが、混床方式の方が望ましい。
複床方式だと最初のイオン交換において、pHがどちらかに大きく振れるため交換効率が大きく影響される。混床方式だと近傍にカウンターイオンの交換樹脂が存在するため、イオン交換塔内のpHが安定し、良好な交換効率が得られる。
イオン交換工程6では、イオン交換樹脂の入れ替え時に発生する排液やイオン交換樹脂の再生時に発生する排液が相当量のエチレングリコールを含むので高いCODを示し、この処理に多大な水処理施設が必要となる。しかしながら、この実施の形態では、これらの排水を未処理の使用済クーラントへ戻すということで解決した。すなわち、この実施の形態では、システムの構成要素として濃縮分離機能を有する粗蒸留工程を持つため、これらの排液を未処理の使用済クーラントの貯槽へ戻すことで、全体システムへの負荷をほとんど増加せずに前記の問題を解決した。
精密蒸留工程7には、有機及び無機イオン性不純物を除去したエチレングリコールを主成分とする留分が供給される。この精密蒸留工程7では、イオン交換処理後のエチレングリコールを主成分とする留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製し、使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する。
この精密蒸留工程7では、最終工程として高純度のエチレングリコールを回収することを目的とする。その際、水を主成分とする留分と残渣液が発生するが、水を主成分とする留分は未処理の使用済クーラントの貯槽1に戻し、残渣液は燃料化又は焼却処分とする。具体的な方法としては、理論段数は少なくとも15段以上必要であるが、1塔式で分留する方法でも2塔式で水分を主成分とする留分と高純度エチレングリコールをそれぞれ分離回収する方法のどちらでも可能である。また、常圧蒸留でも減圧蒸留でも可能である。
さらに、2塔式では粗蒸留工程2と同様に第1塔を常圧蒸留して、水を主成分とする留分を加熱分解炉にて分解する方法も可能であるが、精密蒸留工程7が最終工程であることを考慮すると、当該工程ではなるべく低温で処理して回収物である高純度エチレングリコールの熱変質や分解を避けるため、全系を減圧で運転することが望ましい。
この実施の形態では、膜分離工程5から排出される油分と不純物の非透過液、及び膜分離工程5を洗浄する際に発生する洗浄液と、イオン交換工程6においてイオン交換樹脂の再生や交換時に発生する廃液と、精密蒸留工程7から発生する水を主成分とする留分とを未処理の使用済クーラントの貯槽1に戻し、この未処理の使用済クーラントの貯槽1から原液として粗蒸留工程2へ供給する。
また、遠心分離工程4から発生する油分を含む廃液と、粗蒸留工程2及び精密蒸留工程7から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料化又は焼却処分する。
このように、第1の実施の形態では、粗蒸留工程2で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉3に導入して加熱分解させている。
また、膜分離工程5から排出される油分と不純物の非透過液、及び膜分離工程5を洗浄する際に発生する洗浄液と、イオン交換工程6においてイオン交換樹脂の再生や交換時に発生する廃液と、精密蒸留工程7から発生する水を主成分とする留分とを未処理の使用済クーラントの貯槽1に戻し、使用済クーラントと混合して粗蒸留工程2へ送り、再処理させる。
また、遠心分離工程4から発生する油分を含む廃液と、粗蒸留工程2及び精密蒸留工程7から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料化又は焼却処分する。
この第1の実施の形態は、通常の水処理工程を必要としない使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であり、ここでいう通常の水処理工程というのは、中和、凝集沈殿、固液分離及び活性汚泥等によるCODやBODの処理等の一般の排水処理のことをいう。
この第1の実施の形態により工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
[第2の実施の形態]
図2は第2の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムの概略構成図である。
この第2の実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態と同様に構成されるが、精密蒸留工程7から発生する水を主成分とする留分を未処理の使用済クーラントの貯槽1に戻さないで、加熱分解炉3へ送り、この加熱分解炉3で加熱して蒸発蒸気を分解するようにしている。
このように、第2の実施の形態では、粗蒸留工程2で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉3に導入して加熱分解させ、また精密蒸留工程7で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉3に導入して加熱分解させる。
また、膜分離工程5から排出される油分と不純物の非透過液、及び膜分離工程5を洗浄する際に発生する洗浄液と、イオン交換工程6においてイオン交換樹脂の再生や交換時に発生する廃液とを未処理の使用済クーラントの貯槽1に戻し、使用済クーラントと混合して粗蒸留工程2へ送り、再処理させる。
また、遠心分離工程4から発生する油分を含む廃液と、粗蒸留工程2及び精密蒸留工程7から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料化又は焼却処分する。
この第2の実施の形態により工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
[第3の実施の形態]
図3は第3の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムの概略構成図である。
この第3の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムは、未処理の使用済クーラントの貯槽1、粗蒸留工程2、加熱分解炉3及び精密蒸留工程7とを有し、これらは図1に示す第1の実施の形態と同様に構成される。
この第3の実施の形態では、粗蒸留工程2で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉3に導入して加熱分解させ、精密蒸留工程7から発生する水を主成分とする留分を未処理の使用済クーラントの貯槽1に戻し、粗蒸留工程2及び精密蒸留工程7から発生する蒸留残渣液を燃料化又は焼却処分する。
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、使用済クーラントの性状が最悪の場合を想定したものであり、この第3の実施の形態では、回収される使用済クーラントの性状や粗蒸留工程2の運転状況によっては、粗蒸留工程2と精密蒸留工程7との間の工程を省略し、工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
[第4の実施の形態]
この第4の実施の形態は、第3の実施の形態と同様に構成されるが、精密蒸留工程7から発生する水を主成分とする留分を未処理の使用済クーラントの貯槽1に戻さないで、加熱分解炉3へ送り、この加熱分解炉3で加熱して蒸発蒸気を分解するようにしている。
このように、第4の実施の形態では、粗蒸留工程2で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉3に導入して加熱分解させ、また精密蒸留工程7で蒸留によって蒸発させた水を主成分とする留分を蒸気の状態で加熱分解炉3に導入して加熱分解させる。また、粗蒸留工程2及び精密蒸留工程7から発生する蒸留残渣液を燃料化又は焼却処分する。
この第4の実施の形態により工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
[実施例]
以下、第1の実施の形態の粗蒸留工程、遠心分離工程、膜分離工程、イオン交換工程及び精密蒸留工程の実施例を説明するが、この実施例は第2の実施の形態乃至第4の実施の形態にも同様に適用できる。
[粗蒸留工程]
攪拌機を装備し、伝熱面積16m 2 のジャケット付蒸留釜を回分式の蒸留装置に表1の組成をもつ使用済クーラント800Lを仕込み、0.3MPaの加圧水蒸気をジャケットに通じて常圧状態で50分間使用済クーラント中の水分を蒸発させた。常圧蒸留終了時の釜内の温度は108℃であり、常圧蒸留の間に蒸発する水分を主成分とする留分は蒸気の状態のまま直接加熱分解炉に導入して分解してから系外に排出させた。
常圧蒸留終了後、蒸発釜から蒸発する経路を切換え、ジャケットへ供給する加熱水蒸気を0.7MPaに上昇させ、0.013MPaにて20分間減圧蒸留を行い、エチレングリコールを主成分とする留分を回収した。回収したエチレングリコールを主成分とする留分の量は200Lであり、釜残液の量は50Lであった。回収したエチレングリコールを主成分とする留分の組成は表1に示す通りであった。
[遠心分離工程]
次いで、この回収したエチレングリコールを主成分とする留分100Lを回転数10,000rpm(8,200G)、送液量56L/hの条件で遠心分離装置を通して油水分離を行ったところ、処理後のエチレングリコールを主成分とする留分として99%以上を回収した。その時の処理後のエチレングリコールを主成分とする留分の組成は表1に示す通りであった。
[膜分離工程]
遠心分離装置による油水分離後の溶液34.26kgを分画分子量30,000の膜0.108m2によって、30℃、入口圧力10kg/cm2の条件下で膜分離を実施し、透過液約15.42kgを得た。その時の膜透過係数は、45L/m2・hであった。
上記の透過液14.46kgを分画分子量1,000の膜0.108m2を用いて上記と40℃、入口圧力10kg/cm2の同条件下で再度膜分離を行い透過液9.9Lを得た。その時の膜透過係数は25L/m2・hであり、その組成は表1に示した通りであった。
[イオン交換工程]
膜分離後の透過液6kgを5Lのイオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合床)を充填したイオン交換カラムに5L/hの流量(SV=1)で透過させ、処理液6kgを得た。その時の処理液の組成は表1に示した通りであった。
[精密蒸留工程]
イオン交換後の溶液1243gを内径40mmφ、充填高さ800mm×2、理論段数15の回分式精密蒸留装置に装入し、0.13MPaにて減圧蒸留を行った。塔頂温度が139℃になるまで留出液を初留(低沸成分)として抜き出し、塔頂温度がエチレングリコールの沸点となった後留出液を主留成分として抜き出した。その時の初留分、主留分(エチレングリコール)及び釜残液の量は、それぞれ178g、1020g、41gであった。また、主留分の組成は表1に示した通りであった。表1では、水分のみ重量%、その他はppmで表す。
表1
Figure 0004675569
使用済クーラントからの高純度エチレングリコールを回収することが可能な高純度エチレングリコールの回収方法に適用でき、工業的規模での高効率、高回収率かつ通常の水処理施設を必要としない使用済クーラントからの高純度エチレングリコールの回収システムが確立され、資源の節約並びに環境負荷低減に多大な貢献が期待できる。
第1の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムの概略構成図である。 第2の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムの概略構成図である。 第3の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムの概略構成図である。 第4の実施の形態の高純度エチレングリコールの回収方法を適用した処理システムの概略構成図である。
符号の説明
1 未処理の使用済クーラントの貯槽
2 粗蒸留工程
3 加熱分解炉
4 遠心分離工程
5 膜分離工程
6 イオン交換工程
7 精密蒸留工程

Claims (4)

  1. 未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
    前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
    記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
    前記エチレングリコール留分から油分を油水分離する油水分離工程と、
    前記油分を分離したエチレングリコール留分から、前記油水分離工程で分離できなかった微細な油分と不純物とを分離する膜分離工程と、
    前記膜分離工程を透過したエチレングリコール留分から、有機及び無機イオン性不純物を除去するイオン交換工程と、
    前記イオン交換処理後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
    前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
    前記粗蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
    前記膜分離工程から排出される前記油分と不純物の非透過液及び前記膜分離工程を洗浄する際に発生する洗浄液と、前記イオン交換工程においてイオン交換樹脂の再生または交換時に発生する廃液と、前記精密蒸留工程から発生する水留分とを前記未処理の使用済クーラントを貯める工程に戻し、
    前記油水分離工程から発生する油分を含む廃液と、前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法。
  2. 未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
    前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
    前記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
    前記エチレングリコール留分から油分を油水分離する油水分離工程と、
    前記油分を分離したエチレングリコール留分から、前記油水分離工程で分離できなかった微細な油分と不純物とを分離する膜分離工程と、
    前記膜分離工程を透過したエチレングリコール留分から、有機及び無機イオン性不純物を除去するイオン交換工程と、
    前記イオン交換処理後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
    前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
    前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
    前記膜分離工程から排出される前記油分と不純物の非透過液及び前記膜分離工程を洗浄する際に発生する洗浄液と、前記イオン交換工程においてイオン交換樹脂の再生または交換時に発生する廃液とを前記未処理の使用済クーラントを貯める工程に戻し、
    前記油水分離工程から発生する油分を含む廃液と、前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液とを併せて燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法。
  3. 未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
    前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
    前記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
    前記粗蒸留工程後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
    前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
    前記粗蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
    前記精密蒸留工程から発生する水留分を前記未処理の使用済クーラントを貯める工程に戻し、
    前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液を燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法。
  4. 未処理の使用済クーラントを貯める工程と、
    前記使用済クーラントを蒸留によって、前記使用済クーラントより水を多く含有する留分(以下、水留分と呼ぶ)と、エチレングリコールを70%以上含有する留分(以下、エチレングリコール留分と呼ぶ)と、蒸留残渣液とに分ける粗蒸留工程と、
    前記水留分を加熱して蒸発蒸気を分解する加熱分解工程と、
    前記粗蒸留工程後のエチレングリコール留分を蒸留によって水分と、エチレングリコールと、蒸留残渣液とに分離・精製する精密蒸留工程とによって構成され、
    前記使用済クーラントから高純度エチレングリコールを回収する方法であって、
    前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程で蒸留によって蒸発させた前記水留分を蒸気の状態で加熱分解させ、
    前記粗蒸留工程及び前記精密蒸留工程から発生する蒸留残渣液を燃料として用いる又は焼却処分することを特徴とする高純度エチレングリコールの回収方法。
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