JP4670943B2 - 監視装置、及び妨害検知方法 - Google Patents

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Description

本発明は、監視装置、及び妨害検知方法に関する。
近年、防犯意識の高まりと共に、様々な場所に防犯カメラ等の監視装置が設置されるようになってきた。例えば、住居や店舗の入り口、車庫や倉庫の庫内、さらには繁華街の街角にも監視装置が設置されていることがある。このような監視装置は、その用途や設置場所に応じて固定タイプのものと可変タイプのものとが使い分けられる。固定タイプの監視装置とは、内蔵されたカメラの向きが固定されているタイプのものである。一方、可変タイプの監視装置とは、その筐体全体又は内蔵されたカメラの向きが変更可能なタイプのものである。但し、実際には、固定タイプの監視装置にパン・チルト機構を搭載し、カメラの向きを旋回可能にしたものが可変タイプの監視装置として用いられることが多い。
周知の通り、監視装置を設置することで大きな防犯効果が得られる。しかし、監視装置に対してタンパリング行為が行われると、その防犯効果が失われてしまう。監視装置に対するタンパリング行為としては、例えば、監視装置の向きを変える行為、監視装置のカメラに覆いを掛けたり、スプレーを吹きかけて視界を遮断したりする行為がある。さらに、監視装置のカメラにズーム機構が搭載されている場合には、そのズーム機構に細工を行い、フォーカスが合わないようにするタンパリング行為が行われることもある。こうしたタンパリング行為に対抗するため、多くの監視装置には、タンパリング行為を検知して監視者に警告を発する機能が搭載されている。
タンパリング行為の検知技術に関し、例えば、下記の特許文献1には、撮影画像の輝度値に基づいてタンパリング行為を検知する方法が記載されている。同文献1に記載の方法は、各画素領域の輝度値と所定の輝度値とを比較し、所定の輝度値以上の輝度値を有する画素領域の数が所定数以上の場合にタンパリング行為の存在を検知するというものである。また、下記の特許文献2には、所定の基準画像が有する特徴量と撮影画像が有する特徴量とを比較し、その不一致度及び経時変化に基づいてタンパリング行為を検知する方法が記載されている。特に、同文献2に記載の方法は、両画像のエッジ強度の差分に基づいてタンパリング行為の存在を検知するというものである。
また、下記の特許文献3には、撮影画像に含まれる2〜5MHzの信号成分が減少したか否かを検出し、その検出結果に基づいてタンパリング行為を検知する方法が記載されている。さらに、下記の特許文献4には、撮影画像の平均輝度に対する各画素の偏差、及び背景画像に対する入力画像の差分が所定の閾値を越える画素領域を抽出し、その抽出領域の経時変化に基づいてタンパリング行為を検知する方法が記載されている。同文献4に記載の方法は、環境変化によりタンパリング行為の誤検出が発生する頻度を低減させる技術に関するものである。また、下記の特許文献5には、撮影画像の輝度値と基準画像の輝度値とを画素毎に比較し、その比較結果に基づいて撮影画像が突然に変化したか否かを検知する方法が記載されている。
特許第3910749号公報 特開2005−252479号公報 特開2001−238204号公報 特開2001−333417号公報 特開2008− 77517号公報
このように、監視装置におけるタンパリング行為の検知技術に関しては、積極的な研究開発が各所で進められている。しかしながら、上記の各文献に記載された方法は、監視装置が静止した状態で効果を発揮するものである。通常、可変タイプの監視装置は、所定のパン・チルト位置の間を移動する。なお、この移動動作のことをツアーと呼ぶことがある。移動中においては、監視装置により撮影動作が行われても、カメラの移動による撮影画像の乱れにより、撮影された画像からタンパリング行為を検知するのは困難である。
そのため、上記の各文献に記載されたタンパリング行為の検知方法を可変タイプの監視装置に適用する場合、これらの検知方法は、監視装置が所定位置で静止している間に実施される。そのため、可変タイプの監視装置がツアー動作を行っている最中にタンパリング行為が行われると、上記の各文献に記載された方法を用いても、そのタンパリング行為を検知することができない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ツアー動作中に行われたタンパリング行為を検知することが可能な、新規かつ改良された監視装置、及び妨害検知方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画像を撮影する撮像部と、複数の所定位置の間で前記撮像部の向きを旋回させる旋回部と、一の前記所定位置で撮影される画像系列に基づいて妨害行為を検知する妨害検知部と、前記撮像部の旋回前に撮影された画像を記録する過去画像記録部と、前記過去画像記録部により画像が記録された後で前記撮像部が旋回され、再び旋回前の所定位置に旋回された際、当該旋回前の所定位置で撮影された画像及び前記過去画像記録部により記録された画像を用いて当該旋回中の妨害行為を検知する旋回中妨害検知部と、を備える、監視装置が提供される。
また、前記妨害検知部は、前記一の所定位置で撮影された画像から高周波成分を抽出する高周波フィルタと、前記高周波フィルタにより抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合に妨害行為が存在すると判定する妨害行為判定部と、を含んでいてもよい。
また、前記妨害検知部は、前記一の所定位置で撮影される画像系列に基づいて動体が含まれる領域を検知する動体検知部をさらに含んでいてもよい。この場合、前記妨害行為判定部は、前記動体検知部により検知された領域に対応する前記高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合に妨害行為が存在すると判定する。
また、前記過去画像記録部は、前記妨害検知部で妨害行為の検知に用いる画像よりも低い解像度の画像に変換して記録するように構成されていてもよい。この場合、前記旋回中妨害検知部は、前記過去画像記録部により記録された低い解像度の画像を用いて前記撮像部の旋回中に行われる妨害行為を検知する。
また、前記旋回中妨害検知部は、前記旋回前の所定位置で再び撮影された画像と、前記過去画像記録部により記録された画像とを位置合わせした後で、当該両画像を比較して前記旋回中の妨害行為を検知するように構成されていてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像を撮影する撮像部と、前記撮像部により撮影された画像系列に基づいて動体を検知する動体検知部と、前記撮像部により撮影された画像から高周波成分を抽出する高周波フィルタと、前記高周波フィルタにより抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合、又は前記動体検知部により検知された動体の数が所定の閾値よりも多い場合に妨害行為が存在すると判定する妨害行為判定部と、を備える、監視装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の所定位置の間を旋回して画像を撮影することが可能な撮像部により、一の前記所定位置で画像が撮影されるステップと、前記一の所定位置で撮影される画像系列に基づいて妨害行為が検知される妨害検知ステップと、前記一の所定位置から他の前記所定位置に前記撮像部が旋回される場合、前記撮像部の旋回前に撮影された画像が記録される過去画像記録ステップと、前記過去画像記録ステップで画像が記録された後、前記他の所定位置に前記撮像部が旋回され、再び旋回前の所定位置に旋回された際、当該旋回前の所定位置で撮影された画像及び前記過去画像記録ステップで記録された画像に基づいて当該旋回中の妨害行為が検知される旋回中妨害検知ステップと、を含む、妨害検知方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像が撮影される撮像ステップと、前記撮像ステップで撮影された画像系列に基づいて動体が検知される動体検知ステップと、前記撮像ステップで撮影された画像から高周波成分が抽出される高周波成分抽出ステップと、前記高周波成分抽出ステップで抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合、又は前記動体検知ステップで検知された動体の数が所定の閾値よりも多い場合に妨害行為が存在すると判定される妨害行為判定ステップと、を含む、妨害検知方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の監視装置が備える各構成要素の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されうる。さらに、当該プログラムが記録されたコンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供されうる。
以上説明したように本発明によれば、ツアー動作中に行われたタンパリング行為を検知することが可能になる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する本発明の実施形態に関する説明の流れについて簡単に述べる。まず、図1を参照しながら、同実施形態に係る監視システム10の全体構成、及び設置形態について説明する。次いで、図2を参照しながら、同実施形態に係る監視システム10に含まれるIPカメラ12及びレコーダ16の装置構成について簡単に説明する。次いで、図3〜図5を参照しながら、同実施形態に係る固定タンパ検知装置100の機能構成について説明する。次いで、図6を参照しながら、同実施形態の一変形例に係る固定タンパ検知装置200の機能構成について説明する。
次いで、図7及び図8を参照しながら、同実施形態に係る可変タンパ検知装置300が解決しようとする課題について説明する。次いで、図9を参照しながら、同実施形態に係る可変タンパ検知装置300の機能構成について説明する。なお、ここで説明する可変タンパ検知装置300は、固定タンパ検知装置100、200にパン・チルト機構を組み合わせて可変タイプに変更され、さらに図7及び図8に示す課題を解決するために新たな工夫が施されたものである。次いで、図10を参照しながら、同実施形態に係る妨害検知方法について説明する。最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
(説明項目)
1:監視システム10の概要説明
2:固定タンパ検知装置100、200の機能構成について
2−1:固定タンパ検知装置100
2−2:(変形例)固定タンパ検知装置200
3:可変タンパ検知装置300の機能構成について
3−1:可変タイプの監視装置が抱える課題
3−2:可変タンパ検知装置300の機能構成
3−3:可変タンパ検知装置300による妨害検知方法
4:まとめ
<実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、監視装置が静止している状態で行われるタンパリング行為の検出精度を高める技術、及び監視装置の移動中に行われるタンパリング行為を検出する技術に関する。本実施形態においては、ズーム機構を細工してフォーカスをずらすタンパリング行為が行われた際に、そのタンパリング行為を高精度で検出する技術が提案される。さらに、本実施形態においては、監視装置の移動中にカメラの視界を塗料等で遮るタンパリング行為を検出する技術が提案される。
[1:監視システム10の概要説明]
まず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る監視システム10の構成について概略的に説明を行う。図1は、本実施形態に係る監視システム10の全体的なシステム構成例を示す説明図である。図2は、本実施形態の監視システム10に含まれるIPカメラ12、及びレコーダ16の装置構成例を示す説明図である。
(全体的な構成)
まず、図1を参照する。図1に示すように、監視システム10は、主に、IPカメラ12と、レコーダ16と、ネットワーク18とにより構成される。IPカメラ12は、監視領域の映像を撮影する撮像部14を有している。また、IPカメラ12は、ネットワーク18を介してレコーダ16に接続されている。さらに、IPカメラ12には、後述する各種のタンパ検知装置が搭載される。なお、図1の例では、カメラの向きをθ方向及びφ方向に旋回することが可能な可変タイプのIPカメラ12が示されているが、固定タイプの場合においても旋回機構を除いてシステムの構成はほぼ同じである。
上記のような監視システム10は、例えば、監視領域内に進入した物体を検知するために用いられる。この場合、例えば、IPカメラ12により監視領域内に進入した物体が検知されると、その物体の映像がネットワーク18を介して接続されたレコーダ16に記録される。また、物体の進入が検知されると、IPカメラ12から監視者にアラームが通知される。このような進入物体の検知は、進入物体に対応する画素領域(以下、物体領域)の輝度変化に基づいて行われる。この検知処理に用いられる方法としては、例えば、差異検知法や背景差分法等が用いられる。
上記の差異検知法とは、撮影された映像フレームのフレーム間差分を用いて物体領域を検知するというものである。差異検知法においては、まず、画素毎又は所定サイズの画素領域毎に、現在時刻に撮影されたフレームの輝度値と単位時間前に撮影されたフレームの輝度値との間の差分値が計算される。そして、算出された差分値が所定値以上の場合、その画素又は画素領域が物体領域であると判定される。このように、差異検知法においては、フレーム間差分値を用いて物体領域が検知される。一方、背景差分法は、物体を含まない画像を背景画像として記録しておき、監視時点の撮影画像と背景画像とを比較することで物体領域を検知するというものである。
しかしながら、IPカメラ12に対してタンパリング行為が行われ、撮像部14で映像の撮影が出来なくなると、監視領域内に進入した物体を検知することができない。例えば、IPカメラ12の向きが変えられたり、IPカメラ12自体が布なので覆われたり、或いは、撮像部14にスプレーで塗料が吹きかけられたり、撮像部14のフォーカスが変更されたりすると、IPカメラ12は、物体領域を検知することができなくなる。こうしたタンパリング行為に対抗するため、IPカメラ12には、タンパリング行為を検知するためのタンパ検知装置が設けられている。そして、タンパ検知装置によりタンパリング行為が検知されると、IPカメラ12からレコーダ16に対してアラートが発信される。
(個別の装置構成)
ここで、図2を参照する。図2には、タンパリング行為の検知処理に関するIPカメラ12、及びレコーダ16の装置構成が記載されている。図2に示すように、IPカメラ12は、撮像部14に設けられたレンズ31と、タンパ検知装置32と、通信部33とを有する。また、レコーダ16は、警告発信装置34と、パラメータ設定部35とを有する。
まず、レンズ31を用いて撮影された監視領域内の被写体像(以下、撮影画像)がタンパ検知装置32に入力される。タンパ検知装置32は、入力された撮影画像を用いてタンパリング行為を検知するための画像処理を実行する。タンパ検知装置32による画像処理は、例えば、IPカメラ12に搭載されたDSPやFPGA等により実行される。但し、上記のDSPとは、Digital Signal Processorの略である。また、上記のFPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略である。タンパ検知装置32でタンパリング行為が検知されると、通信部33を通じてアラートが発信される。このアラートは、イベント又はメタデータの形でレコーダ16に通知される。IPカメラ12からレコーダ16にアラートが通知されると、レコーダ16に設けられた警告発信装置34により監視者に警告が発信される。
なお、タンパ検知装置32によるタンパリング行為の検知処理(以下、タンパ検知処理)で用いられるパラメータは、レコーダ16の側から設定することが可能である。このパラメータの設定処理は、パラメータ設定部35により実行される。パラメータ設定部35は、例えば、タンパ検知処理を実行するか否かを設定するためのパラメータを設定することができる。さらに、パラメータ設定部35は、タンパ検知処理に用いる各種の閾値を示すパラメータを設定することができる。パラメータ設定部35で設定されたパラメータは、IPカメラ12の通信部33に送信され、通信部33を介してタンパ検知装置32に入力される。そして、タンパ検知装置32は、レコーダ16により設定されたパラメータに基づいてタンパ検知処理を実行する。
以上説明したように、監視システム10は、相互にネットワーク18を介して接続されたIPカメラ12及びレコーダ16で構成されており、タンパ検知処理及びその処理結果に関して相互に情報を交換することができる。監視システム10における本実施形態の特徴的部分は、タンパ検知装置32の機能にある。しかしながら、上記の説明においては、監視システム10の全体的なシステム構成を概略的に説明するに留めた。そこで、以下の説明においては、上記の監視システム10のシステム構成を念頭に置きながら、タンパ検知装置32として用いられる固定タンパ検知装置100、200、及び可変タンパ検知装置300の機能について詳細に説明する。
[2:固定タンパ検知装置100、200の機能構成について]
以下、本実施形態に係る固定タンパ検知装置100、200の機能構成について説明する。但し、固定タンパ検知装置200は、固定タンパ検知装置100の一変形例である。
(2−1:固定タンパ検知装置100)
まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る固定タンパ検知装置100の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る固定タンパ検知装置100の機能構成例を示す説明図である。
図3に示すように、固定タンパ検知装置100は、主に、画像変化検知部102と、フォーカス変化検知部104と、アラート発生部106とにより構成される。画像変化検知部102は、カメラの向きが動かされたり、視界が遮られたりするタンパリング行為を検知する手段である。なお、以下の説明において、画像変化検知部102によるタンパ検知のことを画像変化検知(Global Motion検知)と呼ぶ場合がある。一方、フォーカス変化検知部104は、入力画像の高周波成分を解析してズーム機構等に対するタンパリング行為を検知(Defocus検知)する手段である。また、アラート発生部106は、画像変化検知部102、及びフォーカス変化検知部104の結果出力に基づいてレコーダ16にアラートを発信する手段である。以下、画像変化検知部102、フォーカス変化検知部104、及びアラート発生部106の構成について、より詳細に説明する。
(画像変化検知部102)
画像変化検知部102は、動体検知部112と、動体カウンタ114とを有する。画像変化検知部102に画像が入力されると、動体検知部112は、入力画像を用いて動体検知処理を実行し、入力画像に含まれる動体領域を検知する。但し、動体領域とは、動体を含む画素単位又は所定サイズのブロック単位の画素領域を意味する。そして、動体検知部112による検知結果は、動体カウンタ114に入力される。動体カウンタ114は、動体検知部112による検知結果に基づいて動体領域の数をカウントする。動体カウンタ114によりカウントされた動体領域の数は、アラート発生部106に入力される。
(動体検知処理について)
ここで、動体検知部112による動体検知処理について、より詳細に説明する。動体検知部112には、時間的に連続する複数枚の画像で構成された時系列画像が入力される。そこで、動体検知部112は、これら複数枚の画像を比較して各画像間の差異を検出する。より具体的には、複数枚の画像に含まれる各画素又は所定サイズの各ブロックについて輝度値の差分が算出される。そして、動体検知部112は、算出した差分値が所定の閾値を越えるか否かを判定する。もし、差分値が所定の閾値を越えた場合、その差分値に対応する画素(以下、対象画素)又はブロック(以下、対象ブロック)は、動体のものであると判定される。一方で、差分値が所定の閾値を下回る場合、対象画素又は対象ブロックが動体のものではないと判定される。
(揺らぎ除去処理について)
なお、上記の動体検知処理において、木の揺れや水面の揺らぎが動体であると誤検出されることがある。こうした揺らぎの影響を除去するため、上記の差分値の時間的な変化量が参照されることがある。この方法を用いる場合には、所定時間継続して上記の差分値が所定の閾値を越えている場合に対象画像又は対象ブロックが動体のものであると判定される。一方、上記の差分値が所定の閾値を下回るか、上記の差分値が所定の閾値を越えている状態が所定時間継続していない場合、対象画像又は対象ブロックが動体のものではないと判定される。なお、ノイズ等に起因して瞬間的に輝度値が低下することによる影響を除去するため、瞬間的に上記の差分値が所定の閾値を下回る変化を無視する処理が行われてもよい。例えば、差分値の時間平均を用いる方法が考えられる。
(明るさ変動の抑制処理について)
また、上記の動体検知処理において、照明や天候の変化により画像の明るさが変化してしまい、動体領域の誤検出が発生してしまうことがある。このような誤検出を防止するには、例えば、動体検出処理に用いる参照画像の明るさを予め補正し、補正後の画像を用いて動体検知処理を実行する方法が考えられる。例えば、画像全体に明るさの変化が生じている場合、参照画像の輝度平均値が一致するように各参照画像の輝度値が補正される。また、画像の一部に明るさの変化が生じている場合、まず、複数画像の間で上記の差分値を計算する。このとき、明るさの変化が生じている画像の一部は、動体領域として誤検出される。そこで、下記の式(1)に基づいて動体領域間の正規化相関処理を実行する。
Figure 0004670943
…(1)
但し、Nは、上記の差分値計算により検出されたi番目の動体領域に関する正規化相関値を示す。また、Iciは、現在画像においてi番目の動体領域に含まれる画素の輝度値を表す。そして、Ipiは、過去画像において現在画像のi番目の動体領域と同じ位置にある画素の輝度値を表す。つまり、上記の式(1)により、相互に位置が対応する動体領域の変化に関する相関値が算出される。動体領域の中に実際に動体が含まれる場合、上記の相関は低くなる。一方、明るさ変化に起因して誤検知された動体領域の場合、上記の相関は高くなる。そこで、この方法を用いる場合、動体検知部112は、上記の差分値計算に加えて上記の相関計算を実行し、相関が低い画素領域を動体領域と判定すると共に、相関が高い画素領域を非動体領域と判定する。
(残像の除去処理について)
以上、動体検知部112による動体検知処理等について説明した。これらの処理に加え、上記の動体検知処理の差異に発生する残像の消去処理を組み合わせることもできる。ここで言う残像とは、被写体が移動する前後の時点に対応する2枚の画像について、移動前の位置Aと移動後の位置Bとがいずれの画像においても動体領域として検出されてしまう現象を言う。例えば、過去の画像でA地点に存在した物体が現在の時刻でB地点に移動した場合を考えてみよう。B地点において、過去の時刻では物体が存在せず、現在の時刻では物体が存在する。そのため、B地点が動体領域として検出される。一方、A地点において、過去の時刻では物体が存在し、現在の時刻では物体が存在しない。そのため、A地点も動体領域として検出される。つまり、A地点に物体の残像が残ってしまうのである。
このような残像除去機能を加える場合、動体検知部112の機能構成は、例えば、図4のように表現される。図4を参照すると、動体検知部112は、例えば、差分算出部121と、カウンタ122と、論理積算出部123と、背景画像記憶部124と、背景差分算出部125と、画像記憶部126とを有する。
まず、撮像部14から動体検知部112に画像が入力されると、その入力画像は、差分算出部121、及び背景差分算出部125に入力される。差分算出部121は、撮像部14から順次入力される画像を画像記憶部126に記録しつつ、入力される現在時刻の画像と画像記憶部126に記録された過去の画像とを比較して各画素又は各ブロックの輝度差分値を算出する。そして、差分算出部121で算出された輝度差分値は、カウンタ122に入力される。カウンタ122では、輝度差分値が所定の閾値を越えている時間がカウントされる。さらに、カウンタ122では、そのカウント値に基づいて輝度差分値が所定時間継続して所定の閾値を越える画素又はブロックが動体領域として検出される。カウンタ122による検出結果は、論理積算出部123に入力される。
一方、背景差分算出部125は、撮像部14から順次入力される画像を背景画像記憶部124に記録しつつ、入力される現在時刻の画像と背景画像記憶部124に記録された過去の画像とを比較して各画素又は各ブロックの輝度差分値を算出する。さらに、背景差分算出部125は、算出した輝度差分値に基づいて非動体領域を検出し、検出した非動体領域の画像を用いて動体領域を含まない背景画像を生成する。背景差分算出部125で生成された背景画像は、論理積算出部123に入力される。上記の通り、論理積算出部123には、動体領域の検知結果と背景画像とが入力される。そこで、論理積算出部123は、動体領域の検知結果と背景画像との差分による動体領域の検知結果の論理積を計算することで動体の残像を除去する。論理積算出部123から出力される動体領域の検知結果は、レコーダ16、及び動体カウンタ114に入力される。
以上、動体検知部112による動体検知処理等について説明した。
(ブロック分割された動体領域のカウント方法について)
次に、図5を参照しながら、動体カウンタ114による動体領域のカウント方法について説明する。上記の通り、動体検知部112からは、輝度差分値が所定の閾値を越える画素又は画素領域の情報が入力される。しかしながら、タンパ検知の目的においては、多くの場合、画素単位又は非常に小さい画素領域単位で動体領域の変化を監視する必要はない。そこで、動体カウンタ114は、所定サイズのブロック領域に画像領域を分割し、分割したブロック領域の単位で動体領域の数をカウントするように構成されていてもよい。この様子を例示したものが、図5である。
図5には、撮影画像の全体に対応する画像領域Aが示されている。また、画像領域Aは、複数のブロック領域A1に分割されている。さらに、画像領域Aには、動体Mが含まれている。この動体Mの位置は、動体検知部112で検出されたものである。また、図5には、動体Mの一部が含まれるブロック領域A1の拡大図が示されている。この拡大図には、ブロック領域A1が複数の画素P1で構成されていることが明示されている。図5の例では、1つのブロック領域A1が64個の画素P1で構成されている。図5の例において、ブロック領域A1の単位で動体領域の数をカウントすると、動体領域を含むブロック領域A1の数は6となる。一方、画素P1を単位として動体領域の数をカウントすると、図5の例においては32となる。
動体カウンタ114は、例えば、上記のようにしてブロック領域A1の単位、又は画素単位で動体領域の数をカウントする。さらに、動体カウンタ114は、カウントして得られた動体領域の数が所定の閾値を越えるか否かを判定する。もし、動体領域の数が所定の閾値(例えば、50%以上)を越える場合、動体カウンタ114は、Global Motion検知の結果としてタンパリング行為の存在をアラート発生部106に通知する。なお、動体カウンタ114による判定処理に用いられる閾値(以下、動体領域数閾値)についても、レコーダ16が有するパラメータ設定部35を通じて設定することが可能である。また、閾値の値は、設置場所や監視目的に依存して適宜変更される。
以上、画像変化検知部102の機能について詳細に説明した。次に、再び図3を参照しながら、フォーカス変化検知部104の機能について説明する。
(フォーカス変化検知部104)
フォーカス変化検知部104は、高周波フィルタ132と、高周波カウンタ134とを有する。フォーカス変化検知部104に画像が入力されると、高周波フィルタ132は、入力画像に含まれる高周波成分を抽出する。例えば、高周波フィルタ132の伝達関数HをZ変換で表現すると、下記の式(2)により表現される。但し、表記を簡単にするため、同式は1次元で表現されているが入力画像は2次元であるため、実際には同式を2次元に拡張したものが用いられる。
Figure 0004670943
…(2)
なお、ウェーブレット変換等の変換処理を用いて高周波成分を抽出するように高周波フィルタ132が構成されていてもよい。高周波フィルタ132で抽出された入力画像の高周波成分は、高周波カウンタ134に入力される。高周波カウンタ134においては、高周波フィルタ132を通過した高周波成分の画像全体で周波数成分の値が算出される。さらに、高周波カウンタ134は、算出した周波数成分の値が所定の閾値(以下、高周波閾値)を越える画素について、その画素の周波数成分の値を加算する。もし、加算処理により得られる加算値が所定の閾値(以下、高周波加算閾値)を下回る場合、高周波カウンタ134は、Defocus検知の結果としてタンパリング行為の存在をアラート発生部106に通知する。なお、上記の高周波閾値、及び高周波加算閾値は、レコーダ16が有するパラメータ設定部35を通じて設定することが可能である。
以上、フォーカス変化検知部104の機能について説明した。上記の通り、本実施形態においては、高周波フィルタ132で抽出される入力画像の高周波成分がタンパリング行為の判定処理に用いられる。Global Motion検知においても、ある程度はズーム機構等に対するタンパリング行為を検知することができる。但し、監視区域内で移動する人の存在は認識できるが、その人の顔までは認識できないといったレベルでフォーカスが変更された場合、このフォーカスの変化をGlocal Motion検知で検出することは難しい。しかし、上記のようにGlocal Motion検知を併用することで、上記のような比較的小さなフォーカスの変化も検出することが可能になり、タンパリング行為の検出精度が向上する。
(アラート発生部106)
次に、アラート発生部106について説明する。上記の通り、アラート発生部106には、画像変化検知部102によるGlocal Motion検知の結果、及びフォーカス変化検知部104によるDefocus検知の結果が入力される。アラート発生部106は、Global Motion検知の結果とDefocus検知の結果を総合的に判断し、レコーダ16に対してアラートを発信する。
例えば、アラート発生部106は、所定の期間内にGlocal Motion検知によるアラートが通知された回数(以下、GM通知回数)をカウントする。そして、アラート発生部106は、GM通知回数が所定の閾値(以下、GM通知回数閾値)を越えた場合にアラートを発信する。また、アラート発生部106は、所定の期間内にDefocus検知によるアラートが通知された回数(以下、DF通知回数)をカウントする。そして、アラート発生部106は、DF通知回数が所定の閾値(以下、DF通知回数閾値)を越えた場合にアラートを発信する。なお、アラート発生部106は、GM通知回数及びDF通知回数を共にカウントし、GM通知回数がGM通知回数閾値を越え、かつ、DF通知回数閾値がDF通知回数閾値を越えた場合にアラートを発信する構成でもよい。このように、アラートを発信する条件は適宜変更することが可能である。
上記の構成は、Global Motion検知と、Defocus検知とが個々に実行され、個々の結果又は両方の結果に基づいてアラートを発信するというものである。しかし、Glocal Motion検知とDefocus検知とを組み合わせることで、タンパリング行為の検知精度を高めたり、タンパ検知処理に要する処理負荷を低減させたりすることができる。そこで、このようなGlocal Motion検知とDefocus検知とを組み合わせる構成の一例について、図6を参照しながら説明する。
(2−2:(変形例)固定タンパ検知装置200)
図6には、本実施形態の一変形例に係る固定タンパ検知装置200の機能構成が例示されている。固定タンパ検知装置200は、上記の固定タンパ検知装置100の一部を変形したものである。従って、上記の固定タンパ検知装置100と実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。なお、上記の固定タンパ検知装置100との主な相違点は、動体検知部112による動体領域の検知結果がフォーカス変化検知部202に入力されている点、及びその検知結果を用いてDefocus検知が実行される点にある。以下、これらの相違点を中心に説明する。
まず、撮像部14から画像が入力されると、動体検知部112により動体検知処理が実行される。そして、動体検知部112で検知された動体領域の情報は、動体カウンタ114、及びフォーカス変化検知部202に入力される。従って、フォーカス変化検知部202には、撮像部14から画像が入力されると共に、動体検知部112から動体領域の情報が入力される。フォーカス変化検知部202に画像が入力されると、まず、高周波フィルタ212により入力画像の高周波成分が抽出される。そして、高周波フィルタ212で抽出された高周波成分の画像は、高周波カウンタ214に入力される。高周波カウンタ214は、動体検知部112から入力された動体領域の情報に基づき、高周波フィルタ212で抽出された高周波成分の画像の中で動体領域の画素について周波数成分の値を加算する。このとき、上記の高周波カウンタ134と同様に、高周波閾値を越える画素について、その画素の周波数成分の値が加算される。
多くの場合、監視領域内を撮影した撮影画像に含まれる高周波成分は、背景よりも、前景となる動体に多く含まれる。そのため、動体領域に注目してDefocus検知を実行することで、Defocus検知の精度を高めることができる。また、高周波成分の画像全体を参照せずに動体領域にだけ注目するため、処理すべき対象範囲が狭くなり、その分だけ処理負荷が低減される。上記の説明においては、入力画像全体に高周波フィルタ212を適用する構成が例示されたが、例えば、高周波フィルタ212を施す領域を動体領域に限定し、その出力結果を用いて高周波成分値の加算処理が実行されるように構成されていてもよい。この場合、高周波フィルタ212による処理負荷も低減される。
さて、高周波カウンタ214では、高周波成分の値が加算されると、その加算値に基づいてタンパリング行為の判定処理が実行される。もし、加算処理により得られる加算値が高周波加算閾値を下回る場合、高周波カウンタ214は、Defocus検知の結果としてタンパリング行為の存在をアラート発生部106に通知する。また、アラート発生部106には、動体カウンタ114からGlobal Motion検知の結果も入力される。そして、アラート発生部106は、Defocus検知及びGlobal Motion検知の結果に基づいてタンパリング行為の有無を判定し、その判定結果に応じてアラートを発信する。
以上、固定タンパ検知装置200の機能構成について説明した。上記の通り、動体検知結果を用いてDefocus検知処理を実行することで、Defocus検知処理の精度を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態は、Global Motion検知と、Defocus検知とを組み合わせてタンパ検知処理の精度を高める技術を提案するものである。但し、上記の技術は、固定タイプの監視装置、又は静止状態にある可変タイプの監視装置に対して好適に用いられるものである。以下では、可変タイプの監視装置を対象とし、移動中に行われるタンパリング行為を検知する技術について説明する。
[3:可変タンパ検知装置300の機能構成について]
以下、本実施形態に係る可変タンパ検知装置300の機能構成について説明する。ここでは、まず、可変タイプの監視装置が抱える課題について説明し、こうした課題を解決するために考案された本実施形態のアプローチについて説明する。また、可変タンパ検知装置300による妨害検知処理の流れについても説明する。
(3−1:可変タイプの監視装置が抱える課題)
まず、図7及び図8を参照しながら、可変タイプの監視装置が抱える課題について説明する。図7は、可変タイプの監視装置(例えば、IPカメラ12)が設置される環境の一例を示す説明図である。なお、図7に示すIPカメラ12は、図1に例示したIPカメラ12と同じものであり、θ方向及びφ方向に旋回可能であるものとする。また、図8は、可変タイプの監視装置に対して行われるタンパリング行為の一例を示す説明図である。
まず、図7を参照する。図7に示すように、IPカメラ12は、ハウジング20の内部に設置されることが多い。ハウジング20を設ける理由は、例えば、妨害者が直接IPカメラ12に触れることができないようにするためであったり、風雨による影響からIPカメラ12を守るためであったりする。実際、ハウジング20を設けることで、IPカメラ12の向きが意図的に変えられたり、ズーム機構に細工がされる危険性が低くなる。しかしながら、図8に示すように、IPカメラ12が旋回して一時的にIPカメラ12の監視範囲が変わると、その間、IPカメラ12の監視範囲外の領域は無防備になる。
図8には、IPカメラ12の監視範囲が変更された隙にスプレーを用いて変更前の監視範囲に塗料を吹きかけるタンパリング行為が一例として示されている。図8には、妨害行為が発生した時点S1の状況と、妨害行為の検知処理が開始される時点S2の状況とが示されている。時点S1において、IPカメラ12は、φ方向を向いており、φ方向を中心に所定幅の監視範囲を監視している。そのため、時点S1におけるIPカメラ12の監視範囲外にスプレーで塗料が吹きかけられ、ハウジング20の一部がマスクされても、その行為はIPカメラ12で撮影されない。そのため、監視者は、スプレー塗料によるタンパリング行為を知ることができない。
その後、IPカメラ12がΔφだけ旋回してφ+Δφ方向を向き、φ+Δφ方向に監視範囲が移動したものとする。このとき、φ+Δφ方向の監視範囲は、ハウジング20に吹きかけられたスプレー塗料でマスクされている。そのため、φ+Δφ方向の監視範囲内に存在する被写体は撮影されず、監視者は、その監視範囲内に物体が進入しても検知することができない。そこで、こうしたタンパリング行為を検知する手段が必要になる。タンパ検知技術としては、例えば、既に説明したGlobal Motion検知やDefocus検知等の技術がある。しかしながら、可変タイプの監視装置においては、IPカメラ12が静止状態にある場合に、これらの検知処理が機能する。つまり、既にマスクされた監視範囲の画像に基づいて検知処理が実行されるのである。
例えば、φ+Δφ方向にIPカメラ12が向いた状態でGlobal Motion検知が実行される。この場合、IPカメラ12は、ハウジング20に塗布されたスプレー塗料のマスクを撮影し、その撮影画像に含まれる各画素の差分値を算出する。しかし、ハウジング20に塗布されたスプレー塗料の画像は時間的に変化しないため、各撮影画像に対する差分値が所定の閾値を越えることがない。その結果、Global Motion検知による検知結果は、常に「タンパリング行為無し」となる。一方、ハウジング20にスプレー塗料が一様に塗布されている場合、その撮影画像には高周波成分がほとんど含まれないため、Defocus検知が有効である。しかしながら、スプレー塗料がまばらに塗布されていると、高周波閾値又は高周波加算閾値の設定値によってはDefocus検知でタンパリング行為の存在が検知できないこともある。
こうした理由から、可変タイプの監視装置として用いられるIPカメラ12において、IPカメラ12の移動中に行われるタンパリング行為を確実に検知する手段が求められている。そこで、本実施形態は、IPカメラ12の移動中に行われるタンパリング行為をより確実な方法で検知することが可能な手段を提案する。以下、当該手段の一例である可変タンパ検知装置300について説明する。
(3−2:可変タンパ検知装置300の機能構成)
まず、図9を参照しながら、本実施形態に係る可変タンパ検知装置300の機能構成について説明する。図9は、本実施形態に係る可変タンパ検知装置300の機能構成を示す説明図である。
なお、可変タンパ検知装置300は、IPカメラ12に搭載されるものである。また、IPカメラ12は、φ方向及びθ方向に旋回可能であると共に、撮像部14により実現されるズーム機能を有する。さらに、IPカメラ12は、ツアー機能を有する。ここで言うツアー機能とは、監視方向やズーム値(以下、監視条件)を所定時間毎に切り替え、複数の範囲を巡回的に監視する機能である。監視条件は、例えば、φ方向の角度、θ方向の角度、及びズーム値の組み合わせで表現され、予め複数の組み合わせが設定されている。このような組み合わせのことをプリセットポジションと呼ぶことがある。また、以下の説明において、各監視条件の間を巡回的に移動することを単にツアーと呼ぶことがある。
なお、各プリセットポジションにおける監視時間の長さやプリセットポジション間の移動速度は、自由に設定することが可能である。また、ツアーをどの時間帯に実行するか、或いは、どのような時間間隔でツアーを実行するか等についても、自由に設定することが可能である。通常、プリセットポジション間の移動は、IPカメラ12の旋回機構(及びズーム機構)で実現可能な最大速度に設定されることが多い。そのため、移動中に撮影された画像には、人間の目にも何が映っているのか判別がつかないほど、移動によるブラーが生じてしまう。このような移動中の画像に画像処理を施すのは難しいため、移動中はGlobal Motion検知やDefocus検知の機能が停止される。
図9に示すように、可変タンパ検知装置300は、固定タンパ検知装置302と、アラート発生部304と、画像記録部306と、ツアー間差異検知部308と、ツアー制御部310とを有する。さらに、可変タンパ検知装置300は、プリセットポジション設定部312と、光学系制御部314と、旋回制御部316とを有する。但し、固定タンパ検知装置302としては、既に説明した固定タンパ検知装置100、200が用いられる。
まず、あるプリセットポジション(以下、第1プリセットポジション)でIPカメラ12が静止すると、撮像部14から固定タンパ検知装置302、画像記録部306、及びツアー間差異検知部308に撮影画像が入力される。固定タンパ検知装置302は、上記のGlobal Motion検知、及びDefocus検知を実行し、その検知結果をアラート発生部304に入力する。画像記録部306は、プリセットポジション毎に所定のタイミングで撮影された画像を記録する。所定のタイミングは、例えば、IPカメラ12がプリセットポジションで静止した時点、又はIPカメラ12が次のプリセットポジションに移動する直前の時点等に設定される。もちろん、所定のタイミングは、IPカメラ12が静止してから所定時間経過後に設定されてもよい。
また、画像記録部306は、撮影画像を記録する際、その撮影画像の解像度を低減して記録するように構成されていてもよい。画像記録部306で記録される撮影画像は、監視範囲がマスクされるようなタンパリング行為を検知するために用いられる。そのため、画像記録部306で記録される撮影画像は、大まかな画像間の変化が識別できる程度の解像度があれば足りる。そこで、撮影画像のデータサイズを低減させるため、画像記録部306は、上記の通り、撮影画像の解像度を落として記録する。このようにして画像記録部306で記録された撮影画像は、ツアー間差異検知部308で用いられる。
ツアー間差異検知部308は、以前に第1プリセットポジションで撮影され、画像記録部306で記録された画像(以下、過去画像)と、現在の第1プリセットポジションで撮影された画像(以下、現在画像)とを比較する。もし、図8に例示したようなタンパリング行為が行われている場合、過去画像と現在画像とが相違するはずである。そこで、ツアー間差異検知部308は、過去画像の各画素値と現在画像の各画素値との間の差分値を算出し、その差分値が所定の閾値を越える場合にタンパリング行為有りと判定する。
但し、天候や照明状態の変化等による輝度変化の影響を除去するため、ツアー間差異検知部308は、こうした影響を受けにくい画像形態に過去画像及び現在画像を変換してから比較処理を実行する。例えば、ツアー間差異検知部308は、過去画像及び現在画像をエッジ画像に変換してから比較処理を実行する。また、IPカメラ12の旋回に伴い、過去画像の撮影位置と現在画像の撮影位置とにずれが発生してしまうことがある。こうした撮影位置のずれを補償するため、ツアー間差異検知部308は、スタビライズ処理により過去画像と現在画像とを位置合わせし、その後で比較処理を実行する。また、過去画像、現在画像と同時刻における、動体検知結果を保存しておき、動領域を比較に使わないようにすることで、頻繁に人通りがあるような場所における比較処理の精度向上を行なうことができる。なお、ツアー間差異検知部308による比較処理は、各プリセットポジションで少なくとも1度実行されればよい。また、比較処理が実行されるタイミングは、IPカメラ12がプリセットポジションに移動して撮像部14により撮影動作が開始された直後であることが好ましい。
ツアー間差異検知部308でタンパリング行為有りと判定されると、その判定結果はアラート発生部304に入力される。上記の通り、アラート発生部304には、ツアー間差異検知部308による検知結果の他に、固定タンパ検知装置302による検知結果が入力される。アラート発生部304は、固定タンパ検知装置302による検知結果、ツアー間差異検知部308による検知結果がタンパリング行為有りの場合、レコーダ16に対してアラートを発信する。上記の通り、固定タンパ検知装置302によるタンパ検知処理は、主にIPカメラ12の静止状態で発生するタンパリング行為を検知するものである。しかし、図8に例示したタンパリング行為の場合、Defocus検知により移動中のタンパリング行為を検知できる場合がある。そのため、固定タンパ検知装置302による検知結果とツアー間差異検知部308による検知結果とを組み合わせてタンパリング行為の有無を総合的に判定することで検知精度を高めることも可能になる。
さて、IPカメラ12のツアー機能は、実際には撮像部14の旋回機構及びズーム機構により実現される。そして、撮像部14の旋回機構及びズーム機構の制御処理は、可変タンパ検知装置300により実行される。以下、可変タンパ検知装置300の制御機能に関する構成要素について説明する。まず、IPカメラ12によるプリセットポジション間のツアー機能は、ツアー制御部310による制御処理に応じて実行される。ツアー制御部310は、所定のタイミングでプリセットポジションを指定し、そのプリセットポジションの識別情報(以下、プリセット値)をプリセットポジション設定部312に入力する。
なお、ツアー制御部310が指定するプリセットポジションの候補は、プリセットポジション設定部312に事前に設定されている。そのため、ツアー制御部310は、プリセットポジション設定部312が保持する候補を読み出し、その中から所定のタイミング毎に設定されたプリセットポジションを指定してプリセット値をプリセットポジション設定部312に入力する。また、ツアー制御部310は、プリセットポジション間を移動するタイミングの情報を画像記録部306、及びツアー間差異検知部308に入力する。画像記録部306は、ツアー制御部310から入力されるタイミングの情報に基づいて移動前に撮影された画像を記録する。また、ツアー間差異検知部308は、ツアー制御部310から入力されるタイミングの情報に基づいて移動後の撮影画像及び画像記録部306で記録された過去画像から移動中のタンパリング行為を検知する。
さて、ツアー制御部310からプリセット値が入力されると、プリセットポジション設定部312は、光学系制御部314、及び旋回制御部316に対し、プリセット値で指定されたプリセットポジションの情報を入力する。具体的には、光学系制御部314に対してプリセットポジションに設定されたズーム値が入力され、旋回制御部316に対してプリセットポジションに設定されたパン・チルト値(φ、θ)が入力される。プリセットポジション設定部312からズーム値が入力された光学系制御部314は、入力されたズーム値になるように撮像部14の光学系を制御する。一方、プリセットポジション設定部312からパン・チルト値が入力された旋回制御部316は、入力されたパン・チルト値になるように撮像部14の向きを旋回させる。
以上説明したように、可変タンパ検知装置300は、ツアー制御部310で撮像部14の旋回機構及びズーム機構を制御してプリセットポジション間のツアー制御を実現する。また、可変タンパ検知装置300は、画像記録部306、及びツアー間差異検知部308の機能により、ツアー間に行われたタンパリング行為を検知することができる。さらに、可変タンパ検知装置300は、固定タンパ検知装置302によりGlobal Motion検知及びDefocus検知を実行し、各プリセットポジションで静止中に行われるタンパリング行為を検知することができる。その結果、可変タンパ検知装置300を用いることで、移動中及び静止中に行われる各種のタンパリング行為を高精度に検知することができるため、高い防犯効果を実現することが可能になる。
(3−3:可変タンパ検知装置300による妨害検知方法)
次に、図10を参照しながら、本実施形態に係る可変タンパ検知装置300による妨害検知方法に関して一連の処理の流れを説明する。図10は、本実施形態に係る可変タンパ検知装置300による妨害検知方法に関する一連の処理の流れを示す説明図である。
まず、複数のプリセットポジションが設定される(S102)。なお、プリセットポジションの設定値は、プリセットポジション設定部312に設定される。次いで、ツアーの設定が行われる(S104)。このステップでは、ツアーの設定値として、各プリセットポジションを切り替えるタイミング、切り替える順番等の設定が行われる。なお、ツアーの設定値は、ツアー制御部310に設定される。次いで、ツアーが開始される(S106)。ツアーが開始されると、そのプリセットポジション(以下、第1プリセットポジション)において、固定タンパ検知装置302によりGlobal Motion検知及びDefocus検知が実行されると共に、画像記録部306により撮影画像が記録される。
プリセットポジションを移動すべきタイミングになると、ツアー制御部310等によりプリセットポジションの移動制御が実行される(S108)。IPカメラ12が次のプリセットポジション(以下、第2プリセットポジション)に移動するとツアー間差異検知部308は、第2プリセットポジションで以前に撮影された画像(以下、過去画像)が画像記録部306で記録されているか否かを確認する(S110)。過去画像が存在する場合、可変タンパ検知装置300は、ステップS120の処理に進行する。一方、過去画像が存在しない場合、可変タンパ検知装置300は、ステップS112の処理に進行する。
ステップS112の処理に進行した場合、固定タンパ検知装置302によりGlobal Motion検知及びDefocus検知の処理が実行される(S112)。次いで、固定タンパ検知装置302の検知結果において異常が認められたか否かが判断される(S114)。固定タンパ検知装置302により異常が検知された場合、可変タンパ検知装置300は、ステップS124の処理に進行する。一方、固定タンパ検知装置302により異常が検知されなかった場合、可変タンパ検知装置300は、ステップS116の処理に進行する。
ステップS116の処理に進行した場合、可変タンパ検知装置300は、ツアー制御部310により、次のプリセットポジションに移動するタイミングか否かを判断する(S116)。次のプリセットポジションに移動するタイミングである場合、可変タンパ検知装置300は、ステップS118の処理に進行する。一方、次のプリセットポジションに移動するタイミングでない場合、可変タンパ検知装置300は、再びステップS112の処理に進行する。ステップS118の処理に進行した場合、可変タンパ検知装置300は、画像記録部306により第2プリセットポジションにおける撮影画像を記録し、再びステップS108の処理に進行する(S118)。
さて、ステップS110の判断処理においてステップS120の処理に進行した場合、可変タンパ検知装置300は、ツアー間差異検知部308により、過去画像と現在画像とを比較し、両画像の差分に基づいてタンパ検知処理を実行する(S120)。次いで、ツアー間差異検知部308の検知結果が異常有りか否かが判定される(S122)。ツアー間差異検知部308により異常が検知された場合、可変タンパ検知装置300は、ステップS124の処理に進行する。一方、ツアー間差異検知部308により異常が検知されない場合、可変タンパ検知装置300は、再びステップS108の処理に進行する。ステップS124の処理に進行した場合、可変タンパ検知装置300は、アラート発生部304によりアラートを発信し(S124)、一連の処理を終了する。
以上、本実施形態に係る妨害検知方法について説明した。上記の通り、固定タンパ検知装置302によるタンパ検知処理と、ツアー間差異検知部308によるタンパ検知処理とが組み合わせて用いられることにより、各プリセットポジション及びツアー間におけるタンパリング行為を高精度に検知することができる。従って、種々のタンパリング行為に対して対抗することが可能になり、防犯効果を高めることが可能になる。
[4:まとめ]
最後に、本実施形態の監視装置が有する機能構成と、当該機能構成により得られる作用効果について簡単に纏める。
まず、本実施形態に係る監視装置の機能構成は次のように表現することができる。当該監視装置は、次のような撮像部、旋回部、妨害検知部、過去画像記録部、旋回中妨害検知部を有する。当該撮像部は、画像を撮影するためのものである。但し、この撮像部は、連続的に複数枚の画像を撮影することができる。つまり、撮像部は、静止画像だけでなく、動画像も撮影することができる。また、上記の旋回部は、複数の所定位置の間で前記撮像部の向きを旋回させるものである。ここで言う所定位置は、上記のプリセットポジションに対応し、例えば、当該プリセットポジションに含まれるパン・チルト値に相当する。従って、上記の撮像部の向きは、上記の旋回部の制御を受けて変更される。つまり、上記の監視装置は、ツアー機能を有する。
また、上記の妨害検知部は、一の前記所定位置で撮影される画像系列に基づいて妨害行為を検知するものである。つまり、上記の妨害検知部は、上記の撮像部が所定位置に向いている間に、監視範囲内で行われる妨害行為を検知するものである。なお、ここで言う画像系列とは、上記の撮像部により連続して撮影された複数枚の画像を意味している。また、上記の過去画像記録部は、前記撮像部の旋回前に撮影された画像を記録するものである。そして、上記の旋回中妨害検知部は、過去画像記録部で画像が記録された後、撮像部が旋回されて再び旋回前の所定位置に旋回された際に旋回前の所定位置で撮影された画像及び過去画像記録部で記録された画像を用いて当該旋回中の妨害行為を検知するものである。
上記のように、過去画像記録部で旋回前の画像を記録しておくことで、同じ所定位置で旋回前後の画像比較を行うことができるようになる。そのため、上記の旋回中妨害検知部のように、ある所定位置で過去画像記録部により記録された画像と、旋回後に再び同じ所定位置に戻った後で撮影された画像とを比較することで、旋回中に妨害行為が行われたか否かを判定することができるようになる。なお、過去画像記録部により画像が記録された後、どのように撮像部が旋回されたかは問わない点に注意されたい。
また、第1の所定位置で過去画像記録部により画像が記録された後で旋回し、第2及び第3の所定位置を巡回して再び第1の所定位置に戻る場合、旋回前の所定位置とは第1の所定位置である。例えば、第1→第2→第3→第1→第2→第1の順で所定位置を巡回したとしよう。この場合、上記の旋回中妨害検知部は、妨害行為の検知に用いる過去画像として、最初に記録された画像を用いてもよいし、4番目に経由した第1の所定位置で記録された画像を用いてもよい。もちろん、妨害行為の検知処理には、複数の過去画像が用いられてもよい。
また、上記の監視装置は、以下のように構成されていてもよい。例えば、前記妨害検知部は、次のような高周波フィルタ、及び妨害行為判定部を含むものであってもよい。当該高周波フィルタは、前記一の所定位置で撮影された画像から高周波成分を抽出するものである。また、上記の妨害行為判定部は、前記高周波フィルタにより抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合に妨害行為が存在すると判定するものである。
撮像部にズーム機構が搭載されている場合、このズーム機構が細工されてフォーカスがずらされると、監視範囲内に進入する動体を検知することが難しくなる。そこで、上記の高周波フィルタにより撮影画像の高周波成分を抽出し、撮影画像に含まれる高周波成分の量を監視することで、フォーカスの変化を検出することができるようになる。通常、フォーカスがずらされると、物体の輪郭がぼやけ、エッジ部分が不鮮明になる。つまり、画像に含まれる高周波成分の量が低下する。そこで、上記の妨害行為判定部のように高周波成分の値と所定の閾値とを比較することで、ズーム機構に対する妨害行為を精度良く検知することが可能になるのである。また、監視範囲が一様にマスクされた場合においても高周波成分の量が非常に低い値となる。そのため、上記のように高周波成分を妨害検知基準に用いることで、監視範囲を塗料でマスクするような妨害行為を検知することも可能になる。
また、前記妨害検知部は、前記一の所定位置で撮影される画像系列に基づいて動体が含まれる領域を検知する動体検知部をさらに含んでいてもよい。この場合、前記妨害行為判定部は、前記動体検知部により検知された領域に対応する前記高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合に妨害行為が存在すると判定する。つまり、この構成は、動体検知処理により得られる動体領域に注目するというものである。通常、高周波成分は、動体領域に多く含まれる。そのため、動体領域に含まれる高周波成分の量に基づいて妨害検知を行うことで検知精度を高めることができる。さらに、高周波フィルタ及び妨害行為判定部で処理する画像内の対象領域が狭まることで、当該処理に要する演算量を低減させることが可能になる。
また、前記過去画像記録部は、前記妨害検知部で妨害行為の検知に用いる画像よりも低い解像度の画像に変換して記録するように構成されていてもよい。この場合、前記旋回中妨害検知部は、前記過去画像記録部により記録された低い解像度の画像を用いて前記撮像部の旋回中に行われる妨害行為を検知する。このような構成にすることで、過去画像記録部により記録される過去画像のデータ量が低減され、過去画像を記録するための記憶領域が節約される。上記のように、過去画像記録部で記録される過去画像は、旋回前後の画像比較を行うために用いられる。この画像比較は、主に、旋回中に監視範囲が塗料でマスクされたり、監視範囲に覆いが被せられたりする行為を検出するために行われる。そのため、上記の画像比較処理に用いられる画像は、大まかに違いが判別できる程度のものであればよく、高い解像度が要求されるようなものではない。そのため、上記のように低解像度で過去画像を記録するように構成する方が好ましいのである。
また、前記旋回中妨害検知部は、前記旋回前の所定位置で撮影された画像と、前記過去画像記録部により記録された画像とを位置合わせした後で、当該両画像を比較して前記旋回中の妨害行為を検知するように構成されていてもよい。理想的には、撮像部の向きが所定位置に一致するように上記の旋回部によって旋回制御される。しかし、実際には、旋回前後で撮像部の向きが若干ずれてしまうことがある。このように、撮像部の向きがずれてしまうと、旋回前後の画像比較を行った場合に、誤検出が発生してしまう可能性がある。そこで、画像比較処理を実行する前段において、比較対象となる画像をそれぞれ位置合わせし、位置合わせ後の画像を用いて比較処理を行うことで、検出精度を高めることができるようになる。
また、上記の撮像装置による妨害検知処理は、次のように纏めることができる。当該妨害検知処理は、複数の所定位置の間を旋回して画像を撮影することが可能な撮像部により、一の前記所定位置で画像が撮影されるステップと、前記一の所定位置で撮影される画像系列に基づいて妨害行為が検知される妨害検知ステップと、前記一の所定位置から他の前記所定位置に前記撮像部が旋回される場合、前記撮像部の旋回前に撮影された画像が記録される過去画像記録ステップと、前記過去画像記録ステップで画像が記録された後、前記他の所定位置に前記撮像部が旋回され、再び旋回前の所定位置に旋回された際、当該旋回前の所定位置で撮影された画像及び前記過去画像記録ステップで記録された画像に基づいて当該旋回中の妨害行為が検知される旋回中妨害検知ステップと、を含むものである。このような構成にすることで、撮像部が所定位置で静止している際に行われた妨害行為だけでなく、撮像部の旋回中に行われた妨害行為をも精度良く検知することが可能になる。
また、上記の監視装置は、次のように構成することも可能である。当該監視装置は、次のような撮像部、動体検知部、高周波フィルタ、及び妨害行為判定部を有する。当該撮像部は、画像を撮影するものである。また、上記の動体検知部は、前記撮像部により撮影された画像系列に基づいて動体を検知するものである。上記の高周波フィルタは、前記撮像部により撮影された画像から高周波成分を抽出するものである。さらに、上記の妨害行為判定部は、前記高周波フィルタにより抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合、又は前記動体検知部により検知された動体の数が所定の閾値よりも多い場合に妨害行為が存在すると判定するものである。
上記の通り、撮像部にズーム機構が搭載されている場合、このズーム機構に細工がされ、監視行為が妨害されてしまうことがある。こうした妨害行為に対しても、ある程度は上記のGlobal Motion検知で検知することが可能である。しかしながら、フォーカスが大きくずらされてしまうと、Global Motion検知では上記の妨害行為を検知することが難しくなる。そこで、フォーカスの変化を検知して妨害行為と判定する手段が求められる。こうした要求に対し、上記の監視装置は、撮影画像に含まれる高周波成分を妨害検知の基準として利用し、ズーム機構へのタンパリング行為を検知する手段を有している。
具体的には、上記の高周波フィルタ、及び妨害行為判定部が、その手段の一例である。フォーカスがずらされると、被写体の輪郭がぼやけ、エッジ部分が不鮮明になる。つまり、撮影画像に含まれる高周波成分が少なくなる。そこで、上記の監視装置は、高周波フィルタにより撮影画像から高周波成分を抽出し、その高周波成分の量に基づいて妨害行為判定部で妨害行為の判定処理を実行する。その結果、Global Motion検知処理では検知が難しい妨害行為を精度良く検知することが可能になる。また、高周波成分に基づく妨害検知結果と、動体検知部による検知結果と組み合わせて用いることで、妨害行為の誤検出を低減させることが可能になる。
また、上記の監視装置による妨害検知処理は、次のように纏めることができる。当該妨害検知処理は、画像が撮影される撮像ステップと、前記撮像ステップで撮影された画像系列に基づいて動体が検知される動体検知ステップと、前記撮像ステップで撮影された画像から高周波成分が抽出される高周波成分抽出ステップと、前記高周波成分抽出ステップで抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合、又は前記動体検知ステップで検知された動体の数が所定の閾値よりも多い場合に妨害行為が存在すると判定される妨害行為判定ステップとを含むものである。このような構成にすることで、Global Motion検知では検知が難しいフォーカスの変化に関する妨害行為を高精度で検出することが可能になる。
(備考)
上記の旋回制御部316は、旋回部の一例である。上記の固定タンパ検知装置100、200は、妨害検知部の一例である。上記の画像記録部306は、過去画像記録部の一例である。上記のツアー間差異検知部308は、旋回中妨害検知部の一例である。上記の高周波カウンタ134、アラート発生部106は、妨害行為判定部の一例である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の一実施形態に監視システムのシステム構成例を示す説明図である。 同実施形態に係る監視システムの概略的な機能構成例を示す説明図である。 同実施形態に係る固定タンパ検知装置の機能構成例を示す説明図である。 同実施形態に係る動体検知部の詳細な構成例を示す説明図である。 同実施形態に係る動体領域のカウント方法を示す説明図である。 同実施形態に係る固定タンパ検知装置の一変形例を示す説明図である。 同実施形態に係るIPカメラの設置例を示す説明図である。 同実施形態に係る妨害検知方法により検知可能な妨害行為の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る可変タンパ検知装置の機能構成を示す説明図である。 同実施形態に係る妨害検知処理の流れを示す説明図である。
符号の説明
10 監視システム
12 IPカメラ
14 撮像部
16 レコーダ
18 ネットワーク
20 ハウジング
32 タンパ検知装置
33 通信部
34 警告発信装置
35 パラメータ設定部
100 固定タンパ検知装置
102 画像変化検知部
104 フォーカス変化検知部
106 アラート発生部
112 動体検知部
114 動体カウンタ
121 差分算出部
122 カウンタ
123 論理積算出部
124 背景画像記憶部
125 背景差分算出部
126 画像記憶部
132 高周波フィルタ
134 高周波カウンタ
200 固定タンパ検知装置
202 フォーカス変化検知部
212 高周波フィルタ
214 高周波カウンタ
300 可変タンパ検知装置
302 固定タンパ検知装置
304 アラート発生部
306 画像記録部
308 ツアー間差異検知部
310 ツアー制御部
312 プリセットポジション設定部
314 光学系制御部
316 旋回制御部

Claims (4)

  1. 画像を撮影する撮像部と、
    複数の所定位置の間で前記撮像部の向きを旋回させる旋回部と、
    前記一の所定位置で撮影された画像から高周波成分を抽出する高周波フィルタ、及び前記高周波フィルタにより抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合に妨害行為が存在すると判定する妨害行為判定部を有する妨害検知部と、
    前記撮像部の旋回前に撮影された画像を記録する過去画像記録部と、
    前記過去画像記録部により画像が記録された後で前記撮像部が旋回され、再び旋回前の所定位置に旋回された際、当該旋回前の所定位置で撮影された画像及び前記過去画像記録部により記録された画像を位置合わせした後で、両画像を比較して前記旋回中の妨害行為を検知する旋回中妨害検知部と、
    を備える、
    監視装置。
  2. 前記妨害検知部は、前記一の所定位置で撮影される画像系列に基づいて動体が含まれる領域を検知する動体検知部をさらに含み、
    前記妨害行為判定部は、前記動体検知部により検知された領域に対応する前記高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合に妨害行為が存在すると判定する、
    請求項に記載の監視装置。
  3. 前記過去画像記録部は、前記妨害検知部で妨害行為の検知に用いる画像よりも低い解像度の画像に変換して記録し、
    前記旋回中妨害検知部は、前記過去画像記録部により記録された低い解像度の画像を用いて前記撮像部の旋回中に行われる妨害行為を検知する、
    請求項1に記載の監視装置。
  4. 複数の所定位置の間を旋回して画像を撮影することが可能な撮像部により、一の前記所定位置で画像が撮影されるステップと、
    前記撮像ステップで撮影された画像から高周波成分が抽出される高周波成分抽出ステップと、
    前記高周波成分抽出ステップで抽出された高周波成分の値が所定の閾値よりも低い場合に妨害行為が存在すると判定される妨害行為判定ステップと、
    前記撮像部の旋回前に撮影された画像が記録される過去画像記録ステップと、
    前記過去画像記録ステップで画像が記録された後前記撮像部が旋回され、再び旋回前の所定位置に旋回された際、当該旋回前の所定位置で撮影された画像及び前記過去画像記録ステップで記録された画像を位置合わせした後で、両画像を比較して前記旋回中の妨害行為が検知される旋回中妨害検知ステップと、
    を含む、
    妨害検知方法。
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