JP4670591B2 - 音楽素材編集方法及び音楽素材編集システム - Google Patents
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Description
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、楽曲の創作に用いる音楽素材を纏めたデータベースより、ユーザのイメージに最もマッチする音楽素材を迅速且つ確実に抽出できるような仕組みを提供することを目的とする。
本願発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、複数の楽器パートからなる合奏曲の創作を行う各ユーザに対して以下の2つのサービスを提供することを特徴とする。
(1)音楽素材収録サービス
このサービスは、各種楽器から得た比較的短いフレーズの楽音(以下、この楽音を「音楽素材」と呼ぶ)のデータファイルとそれらの音楽素材毎に指定された属性(ジャンル、雰囲気、楽器種別など)の登録要求を各ユーザから受け付け、それらのデータファイルと属性とを纏めてサーバ装置のデータベースに蓄積するサービスである。
(2)音楽素材編集サービス
このサービスは、楽曲の創作を行うユーザから検索キーとなる属性の指定を受け付けてその属性を有する音楽素材をデータベースから検索し、検索された音楽素材をユーザの編集操作に従って連結し及びミキシングしていくことによってオリジナルの合奏曲を創作させるサービスである。
ハードディスク15は、音楽素材データベース15a、属性管理データベース15b、及び音楽素材管理プログラム15cを記憶する。
ピースファイル及びコネクトファイルは、冒頭に示した音楽素材収録サービス及び音楽素材編集サービスを利用する端末装置20からの要求に応じて生成されるが、その生成手順の詳細は後の動作説明の項で説明する。
音楽素材管理プログラム15cは、本実施形態に特有の機能をCPU11に付与するプログラムである。
ハードディスク29は、音楽素材編集プログラム29aを記憶する。このプログラム29aは、本実施形態に特徴的な機能をCPU21に付与するプログラムである。
本実施形態の動作は、音楽素材収録処理と音楽素材編集処理とに大別することができる。ユーザが自らの端末装置20を起動すると、CPU21は、メインメニュー画面をコンピュータディスプレイ25に表示させる。この画面の上段には「利用するサービスを選択してください」という内容の文字列が表示され、その下には、「音楽素材収録サービス」、「音楽素材編集サービス」と夫々記したボタンが表示される。そして、「音楽素材収録サービス」のボタンが選択されると音楽素材収録処理が、「音楽素材編集サービス」のボタンが選択されると音楽素材編集処理が夫々実行される。
メインメニュー画面の「音楽素材収録サービス」と記したボタンが選択されると、端末装置20のCPU21は、ユーザID入力画面をコンピュータディスプレイ25に表示させる(S100)。ユーザID入力画面の上段には、「ユーザIDを入力してください」という文字列が表示され、その下には、ユーザIDの入力欄が表示される。この画面を参照したユーザは、自らのユーザIDを入力欄に入力する。
メッセージを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、素材入力要求画面の表示データを端末装置20へ送信する(S120)。
表示データを受信した端末装置20のCPU21は、素材入力要求画面をコンピュータディスプレイ25に表示させる(S130)。この画面の上段には、「音楽素材のオーディオ信号を入力してください」という内容の文字列が表示される。
画面を参照したユーザは、自らが所有する楽器のうちの1つを端末装置20のオーディオインターフェース27に接続する。そして、自らが創作する合奏曲で登場する音楽素材、或いは自身や他のユーザの創作する合奏曲で頻繁に登場するであろう汎用性の高い音楽素材をその楽器を用いて演奏する。
オーディオ信号の供給が止まると、CPU21は、RAM22に記憶されたオーディオ信号の再生時間長を計測し、その再生時間長を表す再生時間長データを生成してRAM22に記憶する(S150)。例えば、計測した再生時間長が1小節分の長さであれば「1小節」を表す再生時間長データが生成され、1/2小節分であれば「1/2小節」を表す再生時間長データが生成されることになる。
音楽素材データ、再生時間長データ、及びユーザIDを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、新たな素材IDを生成する(S170)。
CPU11は、端末装置20から受信した音楽素材データ、再生時間長データ、及びユーザIDと、ステップ170で生成した素材IDとを含んだ新たなピースファイルを生成する(S180)。
CPU11は、ステップ190で追加したレコードの「素材識別子」のフィールドにステップ170で生成した素材IDを記憶し、また、そのレコードの「ピースファイル」のフィールドにステップ180で生成したピースファイルを記憶する(S200)。更に、ステップ190で追加したレコードの「コネクトファイル」のフィールドに「Null」のデータを記憶する(S210)。なお、後述する音楽素材編集処理においては、新たに生成したコネクトファイルがこの「コネクトファイル」のフィールドに記憶される一方で、「ピースファイル」のフィールドに「Null」のデータが記憶されることになる。
表示データを受信した端末装置20のCPU21は、属性入力要求画面をコンピュータディスプレイ25に表示させる(S230)。この画面の上段には、「収録した音楽素材の属性を入力してください」という内容の文字列が表示される。その下には、音楽素材のジャンルを入力する第1属性入力欄、雰囲気を入力する第2属性入力欄、楽器種別を入力する第3属性入力欄が表示される。
属性が属性入力要求画面に入力されると、端末装置20のCPU21は、入力されたジャンルを表す第1属性データ、雰囲気を表す第2属性データ、及び楽器種別を表す第3属性データを音楽素材管理サーバ装置10へ送信する(S240)。
属性データを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、属性管理データベース15bに新たなレコードを追加する(S250)。
CPU11は、ステップ170で生成した素材IDを所定の雛形に埋め込んで得たピースファイル登録完了通知画面の表示データを端末装置20へ送信する(S270)。
「別の音楽素材を登録する」のボタンが選択されると、ステップ130に戻り、CPU21は、素材入力要求画面をコンピュータディスプレイ25に表示させる。
「メインメニューに戻る」のボタンが選択されると、CPU21は、メインメニュー画面をコンピュータディスプレイ25に再び表示させる。
各ユーザが音楽素材収録サービスを通じて自らが収録した音楽素材をその属性と対応付けて登録して行くことにより、多種多様な属性を持つ音楽素材が音楽素材管理サーバ装置10の音楽素材データベース15aに蓄積され、更に、それらの検索キーとなる属性データが属性管理データベース15bに登録されることになる。
メインメニュー画面の「音楽素材編集サービス」と記したボタンが選択されると、端末装置20のCPU21は、ユーザID入力画面をコンピュータディスプレイ25に表示させる(S300)。この画面を参照したユーザは、自らのユーザIDを入力欄に入力する。
メッセージを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、編集画面の表示データを端末装置20へ送信する(S320)。
図9は、編集画面である。
編集画面の上段には音楽素材提示欄50が設けられ、画面の下段には音楽素材合成欄60が設けられている。音楽素材提示欄50には、属性を検索キーとして検索された複数の音楽素材の素材IDがリストとして表示されるようになっている。また、この提示欄の右端には素材IDの表示範囲を上下に移動させるためのスクロールバー51が設けられている。音楽素材合成欄60は第1トラック61と第2トラック62の2つのトラックを有している。これらのトラックの各々には、ユーザの操作に従って音楽素材提示欄50から選択された音楽素材の素材IDを内包するバー(以下、このバーを「素材IDバー」と呼ぶ)が入力されるようになっている。また、音楽素材合成欄60の下端には、トラックの表示範囲を左右に移動させるためのスクロールバー63が設けられている。更に、音楽素材合成欄60の右側には、「合成」及び「再生」と夫々記したボタンが表示されている。
このダブルクリック操作が行われると、端末装置20のCPU21は、属性入力画面を編集画面上の別ウィンドウとして表示させる(S340)。
図10は、属性入力画面である。
属性入力画面の上段には、「音楽素材の検索キーとする属性を入力して下さい。」という内容の文字列が表示される。その下には、ジャンル属性入力欄81、雰囲気属性入力欄82、及び楽器種別属性入力欄83が表示される。
属性入力画面が表示されると、ユーザは、音楽素材の検索キーとする属性を同画面の一つ以上の入力欄に入力する。
属性データを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、それらの属性データと属性管理データベース15bの各レコードの「第1属性(ジャンル)」、「第2属性(雰囲気)」、「第3属性(楽器種別)」のフィールドの記憶内容とを順次照合することによって、端末装置20から受信したものとの共通性がより高い属性データを記憶した所定数(例えば「10」)のレコードを特定する(S360)。
CPU11は、ステップ360で特定した各レコードの「素材識別子」のフィールドに記憶された素材IDを読み出し、それらの素材IDを端末装置20へ送信する(S370)。
音楽素材提示欄50に素材IDが表示されると、ユーザは、その提示欄の任意の素材IDにマウスポインタを置いてマウス24の左ボタンをドラッグし、マウスポインタを音楽素材合成欄60のトラックに移動させてドロップする。
素材IDを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、その素材IDを「素材識別子」のフィールドに記憶したレコードを音楽素材データベース15aから特定する(S400)。
CPU11は、ステップ400で特定したレコードの「コネクトファイル」のフィールドに記憶されたファイルに含まれる再生時間長データを抽出し、再生時間長データが記憶されてない場合には、更に「ピースファイル」のフィールドに記憶されたファイルに含まれる再生時間長データを抽出し、その再生時間長データを端末装置20へ送信する(S410)。
編集画面の音楽素材合成欄60に素材IDバーが表示された後、ユーザが再びダブルクリック操作を行うと、ステップ340乃至ステップ380の一連の処理が繰り返され、ユーザの入力した各種属性を検索キーとして検索された所定数の音楽素材の素材IDが音楽素材提示欄50に表示される。また、検索結果として音楽素材提示欄50に表示された素材IDの一つについてドラックアンドドロップ操作を行うと、ステップ390乃至ステップ430の処理が繰り返され、音楽素材合成欄60のトラックに新たな素材IDバーが順次形成されていく。
この図において、1回目の操作では、検索キーを「ドラム」とする検索を行った後、その検索の結果として音楽素材提示欄50に表示された各素材IDの中から素材ID「A」をドラッグして第1トラック61の先頭の位置でドロップしている。これにより、「ドラム」の属性と対応付けられていた音楽素材の一つが、1/2小節の長さに相当する横幅の素材IDバー「A」として第1トラック61に形成される。
2回目の操作では、検索キーを変えた再検索を行わないまま、音楽素材提示欄50に表示された各素材IDの中から素材ID「B」をドラックして第1トラック61の素材IDバー「A」の右隣の位置でドロップしている。これにより、「ドラム」の属性と対応付けられれていた別の音楽素材の一つが、1/2小節の長さに相当する横幅の素材IDバー「B」として素材IDバー「A」の右隣に形成される。
3回目の操作では、検索キーを「ギター」とする検索を行った後、その検索の結果として音楽素材提示欄50に表示された各素材IDの中から素材ID「C」をドラッグして第2トラック62の先頭の位置でドロップしている。これにより、「ギター」の属性と対応付けられていた音楽素材の一つが、1小節の長さに相当する横幅の素材IDバー「C」として第2トラック62に形成される。
以降の説明では、図11における素材IDバー「A」と素材IDバー「B」の関係のように、連続して演奏されるべき音楽素材の素材IDを音楽素材合成欄60の同じトラックに並べるドラッグアンドドロップ操作を適宜「連結編集操作」と呼び、素材IDバー「A」及び「B」と素材IDバー「C」の関係のように、同時期に並行して演奏されるべき音楽素材の素材IDを音楽素材合成欄60の別々のトラックに並置するドラッグアンドドロップ操作を適宜「ミキシング編集操作」と呼ぶ。
図6において、「再生」のボタンが選択されると、後述する再生処理がサブルーチンとして実行される。
また、「合成」のボタンが選択されると、端末装置20のCPU21は、音楽素材合成欄60の各トラックに形成された素材IDの配列をシーケンスデータ化して素材合成管理データを生成する(図7のS440)。
CPU21は、ステップ440で生成した素材合成管理データ、ステップ450で生成した再生時間長データ、及びユーザIDを音楽素材管理サーバ装置10へ送信する(S460)。
素材合成管理データ、再生時間長データ、及びユーザIDを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、新たな素材IDを生成する(S470)。
続いて、CPU11は、音楽素材データベース15aに新たなレコードを追加する(S490)。
CPU11は、ステップ490で追加したレコードの「素材識別子」のフィールドにステップ470で生成した素材IDを記憶すると共に、そのレコードの「コネクトファイル」のフィールドにステップ480で生成したコネクトファイルを記憶する(S500)。更に、ステップ490で追加したレコードの「ピースファイル」のフィールドに「Null」のデータを記憶する(S510)。
表示データを受信した端末装置20のCPU21は、属性入力要求画面をコンピュータディスプレイ25に表示させる(S530)。この画面の上段には、「合成した音楽素材の属性を入力してください」という内容の文字列が表示される。その下には、音楽素材のジャンルを入力する第1属性入力欄、雰囲気を入力する第2属性入力欄、楽器種別を入力する第3属性入力欄が表示される。
属性が属性入力要求画面に入力されると、端末装置20のCPU21は、入力されたジャンルを表す第1属性データ、雰囲気を表す第2属性データ、及び楽器種別を表す第3属性データを音楽素材管理サーバ装置10へ送信する(S540)。
CPU11は、ステップ550で追加したレコードの「素材識別子」のフィールドにステップ470で生成した素材IDを記憶すると共に、「第1属性(ジャンル)」、「第2属性(雰囲気)」、及び「第3属性(楽器種別)」のフィールドに端末装置20から受信した各属性データを夫々記憶する(S560)。
CPU11は、ステップ470で生成した素材IDを所定の雛形に埋め込んで得たコネクトファイル登録完了通知画面の表示データを端末装置20へ送信する(S570)。
図12は、編集画面を介した操作の一例を示す図である。
なお、ここでの説明は、「ドラム」の属性と対応付けられた1/4小節分の音楽素材「A」と「B」のピースファイル、「ギター」の属性と対応付けられた1/4小節分の音楽素材「C」、「D」、「E」の音楽素材のピースファイル、「バス」の属性と対応付けられた1/2小節分の音楽素材「F」と「G」のピースファイル、及び「キーボード」の属性と対応付けられた2小節分の音楽素材「H」のピースファイルが音楽素材データベース15aに蓄積されているものとして行う。
2回目の操作(連結編集操作)において、ユーザは、「ギター」の楽器種別属性を検索キーとする検索を行った後、その検索結果の中から選んだ音楽素材「C」と「D」の素材IDバーを「C」→「C」→「C」→「D」の順番で第1トラック61に形成させてから「合成」のボタンを選択している。これにより、素材IDを「CCCD」と1列に並べた素材合成管理データを含むコネクトファイルが新たに生成され、素材ID「J」と対応付けて音楽素材データベース15aに蓄積される。
4回目の操作(連結編集操作及びミキシング編集操作)において、ユーザは、「ドラム」の楽器種別属性を検索キーとする検索を行った後、その検索結果の中から選んだ音楽素材「I」の素材IDバーを「I」→「I」の順番で第1トラック61に形成させ、更に「バス」の楽器種別属性を検索キーとする検索を行った後、その検索結果の中から選んだ音楽素材「F」と「G」の素材IDバーを「F」→「F」→「F」→「G」の順番で第2トラック62に形成させてから「合成」のボタンを選択している。これにより、素材IDを「II」と「FFFG」の2列に配列した素材合成管理データを含むコネクトファイルが新たに生成され、素材ID「L」と対応付けて音楽素材データベース15aに蓄積される。
6回目の操作(ミキシング編集操作)において、ユーザは、「キーボード」、「ドラム」、及び「バス」の楽器種別属性を検索キーとする検索を行った後、その検索結果の中から選んだ音楽素材「M」の素材IDバーを第1トラック61に形成させ、更に、「ギター」の楽器種別属性を検索キーとする検索を行った後、その検索結果の中から選んだ音楽素材「J」と「K」の素材IDバーを「J」→「K」の順番で第2トラック62に形成させてから「合成」のボタンを選択している。これにより、素材IDを「M」と「JK」の2列に配列した素材合成管理データを含むコネクトファイルが新たに生成され、素材ID「N」と対応付けて音楽素材データベース15aに蓄積される。
なお、この例では、6回の操作のすべてにおいて楽器種別属性のみを検索キーとした音楽素材の検索を行っているが、ジャンル属性や雰囲気属性を検索キーとすることによって更なる絞り込み検索を行うことも可能である。
ステップ330で表示された編集画面の「再生」のボタンが選択されると、端末装置20のCPU21は、同画面の音楽素材合成欄60に入力されている各素材IDの配列を示す素材合成管理データを生成し、生成した素材合成管理データを音楽素材管理サーバ装置10へ送信する(S600)。
素材合成管理データを受信した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、ユーザIDをRAM12に記憶すると共にマルチトラックシーケンス領域をRAM12の一部に確保する(S610)。このマルチトラックシーケンス領域は、第1乃至第4の4つのトラックを有するバッファである。
CPU11は、ステップ620でマルチトラックシーケンス領域に書込まれた一連の素材IDのうちの1つを処理対象として特定する(S630)。
続いて、音楽素材データベース15aに記憶されたレコードの中から「素材識別子」のフィールドがステップ630で特定した素材IDと合致するレコードを特定する(S640)。
ステップ650においてピースファイルが記憶されていると判断したCPU11は、そのピースファイルに含まれる音楽素材データを読み出し、ステップ630で特定した素材IDと置き換える(S660)。
ステップ660を実行したCPU11は、ステップ630に戻り、別の素材IDを処理対象として以降の処理を実行する。
CPU11は、ステップ670で読み出した素材合成管理データが素材IDの1つの配列を表すものであるかそれとも2つの配列を表すものであるか判断する(S680)。
ステップ680において素材合成管理データが素材IDの1つの配列を表すものであると判断したCPU11は、その配列をステップ630で特定した素材IDと置き換える(S690)。つまり、処理対象として特定された1つの音楽素材の素材IDから、その音楽素材を得るべく連結編集された複数の音楽素材の素材IDの配列を復元する。
ステップ690又はステップ700を実行したCPU11は、マルチトラックシーケンス領域の各トラックに書込まれた素材IDの全てが音楽素材データに置き換えられたか判断する(S710)。
ステップ710において、素材IDの一部が音楽素材データに置き換えられていないと判断したCPU11は、ステップ630に戻り、その素材IDを処理対象として特定してから以降の処理を実行する。
CPU11は、ステップ720で特定したトラックに書込まれている一又は複数の音楽素材データを、その音楽素材データをデコードして得たオーディオ信号と置き換える(S730)。
ステップ730を実行したCPU11は、トラックに書込まれた全ての音楽素材データがオーディオ信号と置き換えられたか判断する(S740)。
ステップ740において、トラックに書込まれた全ての音楽素材データがオーディオ信号に置き換えられたと判断したCPU11は、第1トラック以外のトラックに書き込まれているオーディオ信号を第1トラックへミキシングする(S750)。
端末装置20のCPU21は、音楽素材管理サーバ装置10から受信した音楽素材データをRAM22に記憶する(S770)。
CPU11は、RAM22に記憶した音楽素材データをエンコードして得たオーディオ信号をスピーカ28へ供給する(S780)。これにより、合奏曲の楽音がスピーカ28から放音される。
図15及び図16は、素材合成管理データが音楽素材管理サーバ装置10へ送信されてから新たなピースファイルが得られるまでのマルチトラックシーケンス領域の状態の遷移を示す図である。
なお、ここでの説明は、図12に示す5回目の操作(ミキシング編集操作)を行った段階で「再生」のボタンが選択され、素材ID「H」と「L」を2列に配列した素材合成管理データが音楽素材管理サーバ装置10へ送信されているものとして行う。
その後、素材ID「H」及び「L」を処理対象としてステップ630以降の処理が実行されることになるが、素材ID「H」は、対応するピースファイルを有しているので、ステップ650の判断結果は「YES」となり、ステップ660にてそのピースファイルに含まれる音楽素材データhと置き換えられることになる(状態2)。
一方、素材ID「L」は、対応するピースファイルを有していないので、ステップ650の判断結果は「NO」となり、対応するピースファイルが見つかるまでステップ670以降のループが繰り返されることになる。各ループが実行された状態を詳述すると、まず、第2トラックの素材ID「L」が素材ID「II」に置き換えられ、空きトラックである第3トラックに素材ID「FFFG」が書込まれる(状態3)。
そして、最終的には、素材ID「A」に対応するコネクトファイルの音楽素材データa及び素材ID「B」に対応するコネクトファイルの音楽素材データbが第2トラックへ「aaabaaab」の順番で書込まれ、また、素材ID「F」に対応するコネクトファイルの音楽素材データf及び素材ID「G」に対応するコネクトファイルの音楽素材データgが第3トラックに「fffg」の順番で書込まれることになる(図16の状態5)。
素材IDの全てが音楽素材データに置き換えられると、ステップ720乃至ステップ740にてそれらの音楽素材データがエンコードされたオーディオ信号と置き換えられ(状態6)、更にステップ750では、全てのトラックのオーディオ信号が第1トラックにミキシングされる(状態7)。
そして、第1トラックにミキシングされた1チャネルのオーディオ信号がピースファイルの音楽素材データとして端末装置20へ送信され、同装置20のスピーカ28から3トラック分の楽音が同時期に放音されることになる。
本願発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態の音楽素材編集サービスにおいては、編集画面の別ウィンドウとして表示される属性入力画面の各入力欄にユーザが属性を入力すると、その属性を検索キーとして音楽素材の検索が行われるようになっていた。これに対し、本実施形態では、ユーザが自らの楽器により演奏したフレーズそのものを検索キーとして音楽素材の検索を行う。
本実施形態に係る音楽素材編集システムは、音楽素材管理サーバ装置10の属性管理データベース15bのデータ構造を除いて、第1実施形態と同様のハードウェア構成となっている。
本実施形態の動作は、音楽素材収録処理と音楽素材編集処理とに大別することができる。
図18は、本実施形態の音楽素材収録処理を示すフローチャートである。図においては、ステップ260を実行した後の内容が図5と異なる。
図に示すステップ260にて属性データを記憶した音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、ステップ160にて端末装置20から送信されてきた音楽素材データが表すオーディオ信号に所定の解析処理を施すことにより、そのオーディオ波形の特徴を表す特徴パラメータを取得する(S261)。
続いて、CPU11は、ステップ250にて追加したレコードの「第4属性(波形特徴)」のフィールドへステップ261で取得した特徴パラメータを記憶する(S262)。
特徴パラメータが記憶された後、図5に示すステップ270以降と同様の処理が実行される。
図6に示すステップ340において、音楽素材管理サーバ装置10のCPU11は、属性入力画面を編集画面上の別ウィンドウとして表示させるが、この属性入力画面には、「音楽素材の検索キーとする属性を入力して下さい。」という内容の文字列に加えて、「実際の演奏音を検索キーとする場合は、オーディオインターフェースに接続した楽器から演奏音を入力してください。」という内容の文字列が表示される。
属性入力画面を参照したユーザは、音楽素材の検索キーとする属性を同画面の一つ以上の入力欄に入力するか、オーディオインターフェース27に接続した楽器を演奏することにより、検索キーとなる演奏音を入力する。
入力欄に属性が入力されると、図6に示すステップ350以降と同様の処理が実行される。
一方、演奏音が入力されると、端末装置20のCPU21は、その演奏音のオーディオ信号をエンコードして得た音楽素材データを音楽素材管理サーバ装置10へ送信する(S351)。
続いて、CPU11は、ステップ352で取得した特徴パラメータと属性管理データベース15bの各レコードの「第4属性(波形特徴)」のフィールドの記憶内容とを順次照合することによって、検索キーとして演奏された演奏音の波形の特徴により近い特徴パラメータを記憶した所定数(例えば「10」)のレコードを特定する(S361)。
レコードが特定されると、図7に示すステップ370以降と同様の処理が実行され、検索キーとして入力された演奏音により近い音楽素材が検索結果として提示されることになる。
本実施形態は、種々の変形実施が可能である。
第1実施形態では、ジャンル、雰囲気、楽器種類の3つの属性を検索キーとして音楽素材の検索が行われるようになっていたが、拍子、テンポ、スケール、小節数などの他の属性を検索キーとして検索を行えるようにしてもよい。
上記実施形態では、編集画面の音楽素材合成欄60が第1トラック61と第2トラック62の2つのトラックを有していたが、より多くのトラックを設けてもよい。この変形例によれば、より多くの音楽素材の素材IDの並びをミキシング編集操作によって一度に合成することができる。また、音楽素材管理サーバ装置10のRAM12に確保されるマルチトラックシーケンス領域は4つのトラックを有していたが、より多くのトラック数を有していてもよい。
上記実施形態の音楽素材収録サービスにおいては、端末装置20のオーディオインターフェース27と接続した楽器をユーザ自らが演奏することによって音楽素材のオーディオ信号を取得していたが、オーディオインターフェース27に音源を接続し、その音源を制御することによって音楽素材のオーディオ信号を取得してもよい。
上記実施形態の再生処理では、マルチトラックシーケンス領域の各トラックに書込まれた音楽素材データをオーディオ信号に置き換えた後、それらのオーディオ信号を第1トラックにミキシングしてから端末装置20へ提供していたが、端末装置20が2つのチャネルのオーディオ信号を処理可能であれば、2つのチャネルのオーディオ信号にミキシングしてから端末装置20へ提供してもよい。或いは、マルチトラックシーケンス領域の各トラックに書き込まれている音楽素材データの楽器パートを端末装置20にまず提示し、それらのうちからユーザが選択した2つの楽器パートのオーディオ信号だけを端末装置20へ提供するようにしてもよい。
上記実施形態は、複数のユーザによる利用を想定して音楽素材管理サーバ装置10をネットワーク30上に設置し、そのサーバ装置がユーザの端末装置20からの要求に応じて音楽素材収録サービスと音楽素材編集サービスの両サービスを提供する態様を説明したが、スタンドアロンのコンピュータ装置によってこれらの両サービスを提供してもよい。
第2実施形態では、楽器の楽音そのものを検索キーとして音楽素材の検索を行っていたが、人間の発した音声を検索キーとして音楽素材の検索を行なってもよい。
Claims (3)
- 音楽素材の素材識別子と、その音楽素材のオーディオ信号を表す音楽素材データとを夫々含んだ各ピースファイルを記憶すると共に、合奏曲の一部又は全部の演奏区間に相当する時間長の間に続けて又は並行して演奏する音楽素材を取り纏めて得た音楽素材の素材識別子と、その音楽素材の演奏内容を、前記続けて又は並行して演奏する各音楽素材の素材識別子より成る一つ又は複数の列として表した素材合成管理データとを夫々含んだ各コネクトファイルを記憶するファイル記憶手段と、
前記ピースファイルおよび前記コネクトファイルの各々に含まれる素材識別子と、前記素材識別子が示す音楽素材の属性を表す属性データとを対応付けて記憶した属性記憶手段と、
操作子と
を備えるシステムを用いた音楽素材編集方法であって、
音楽素材の検索キーとする一又は複数の属性を前記操作子の操作に従って入力する検索キー入力工程と、
前記検索キー入力工程にて入力された属性と共通の属性を表す属性データと対応付けて前記属性記憶手段に記憶された素材識別子を読み出し、読み出した素材識別子を検索結果として出力する検索工程と、
前記出力された各素材識別子の中から、ある時間長の間に続けて又は連続して演奏させる複数の音楽素材の素材識別子を前記操作子の操作に従って選択すると共に、選択した複数の音楽素材を取り纏めて得られる音楽素材の属性を前記操作子の操作に従って入力する音楽素材合成指示工程と、
前記音楽素材合成指示工程にて選択された複数の音楽素材を取り纏めることによって得られる音楽素材に固有の素材識別子と、当該選択された複数の素材識別子を一つ又は複数の列として表す素材合成管理データとを生成し、生成した素材識別子及び素材合成管理データを含んだ新たなコネクトファイルを前記ファイル記憶手段に記憶するコネクトファイル蓄積工程と、
前記生成した素材識別子と前記入力された属性を表す属性データとを対応付けて前記属性記憶手段に記憶する属性登録工程と、
再生の対象とする音楽素材を前記操作子の操作に従って選択する再生対象選択工程と、
前記再生対象選択工程にて選択した音楽素材の素材識別子を含むコネクトファイルを前記ファイル記憶手段から読み出し、読み出したコネクトファイルに含まれる素材合成管理データが表す一連の素材識別子の各々と対応付けて前記ファイル記憶手段に記憶されたピースファイルを読み出す読出工程と、
前記読出工程にて読み出したピースファイルに含まれる音楽素材データの各々が表すオーディオ信号を連結し、ミキシングし、又はその双方を行うことによって得たオーディオ信号を出力する信号出力工程と
を有し、
前記読出工程においては、前記素材合成管理データに前記コネクトファイルに含まれる素材識別子が存在する場合には、さらに、当該素材識別子が含まれるコネクトファイルの素材合成管理データが表す一連の素材識別子の各々と対応付けて前記ファイル記憶手段に記憶されたピースファイルを読み出す
ことを特徴とする音楽素材編集方法。 - 請求項1に記載の音楽素材編集方法において、
前記属性データは、音楽素材の属性の一つであるオーディオ波形の特徴を表すデータであり、
前記検索キー入力工程は、
音楽素材のキーとする音声又は楽音を所定の収音デバイスを介して入力する工程を有し、
前記検索工程は、
前記入力された音声又は楽音のオーディオ波形の特徴を解析し、その解析の結果に近い属性データと対応付けて前記属性記憶手段に記憶された素材識別子を読み出す工程を有する
音楽素材編集方法。 - 音楽素材の素材識別子と、その音楽素材のオーディオ信号を表す音楽素材データとを夫々含んだ各ピースファイルを記憶すると共に、合奏曲の一部又は全部の演奏区間に相当する時間長の間に続けて又は並行して演奏する音楽素材を取り纏めて得た音楽素材の素材識別子と、その音楽素材の演奏内容を、前記続けて又は並行して演奏する各音楽素材の素材識別子より成る一つ又は複数の列として表した素材合成管理データとを夫々含んだ各コネクトファイルを記憶するファイル記憶手段と、
前記ピースファイルおよび前記コネクトファイルの各々に含まれる素材識別子と、前記素材識別子が示す音楽素材の属性を表す属性データとを対応付けて記憶した属性記憶手段と、
操作子と、
音楽素材の検索キーとする一又は複数の属性を前記操作子の操作に従って入力する検索キー入力手段と、
前記検索キー入力手段が入力した属性と共通の属性を表す属性データと対応付けて前記属性記憶手段に記憶された素材識別子を読み出し、読み出した素材識別子を検索結果として出力する検索手段と、
前記出力した各素材識別子の中から、ある時間長の間に続けて又は連続して演奏させる複数の音楽素材の素材識別子を前記操作子の操作に従って選択すると共に、選択した複数の音楽素材を取り纏めて得られる音楽素材の属性を前記操作子の操作に従って入力する音楽素材合成指示手段と、
前記音楽素材合成指示手段が選択した複数の音楽素材を取り纏めることによって得られる音楽素材に固有の素材識別子と、当該選択された複数の素材識別子を一つ又は複数の列として表す素材合成管理データとを生成し、生成した素材識別子及び素材合成管理データを含んだ新たなコネクトファイルを前記ファイル記憶手段に記憶するコネクトファイル蓄積手段と、
前記生成した素材識別子と前記入力された属性を表す属性データとを対応付けて前記属性記憶手段に記憶する属性登録手段と、
再生の対象とする音楽素材を前記操作子の操作に従って選択する再生対象選択手段と、
前記再生対象選択手段が選択した音楽素材の素材識別子を含むコネクトファイルを前記ファイル記憶手段から読み出し、読み出したコネクトファイルに含まれる素材合成管理データが表す一連の素材識別子の各々と対応付けて前記ファイル記憶手段に記憶されたピースファイルを読み出す読出手段と、
前記読出手段にて読み出したピースファイルに含まれる音楽素材データの各々が表すオーディオ信号を連結し、ミキシングし、又はその双方を行うことによって得たオーディオ信号を出力する信号出力手段と
を備え、
前記読出手段においては、前記素材合成管理データに前記コネクトファイルに含まれる素材識別子が存在する場合には、さらに、当該素材識別子が含まれるコネクトファイルの素材合成管理データが表す一連の素材識別子の各々と対応付けて前記ファイル記憶手段に記憶されたピースファイルを読み出す
ことを特徴とする音楽素材編集システム。
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