JP4669198B2 - 漬物の製造方法および抗微生物性組成物 - Google Patents

漬物の製造方法および抗微生物性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漬物の製造方法および漬物をはじめとする各種食品の鮮度保持剤として有用な抗微生物性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、漬物はその加工技術の発展などに伴い、専業メーカーにおいて大量に工場生産されており、主原料となる野菜類の消費量が増大傾向にある。野菜類の収穫量は天候などによっても左右されるものであるため、その供給は必ずしも安定であるとは言い難い。このため、きゅうりなどの夏野菜の漬物については、年間を通じて夏野菜を栽培することができる台湾やタイなどの東南アジア諸国から塩蔵野菜を輸入し、これを利用して生産されるようになってきている。塩蔵の為に使用される塩の添加量は野菜の種類や貯蔵期間によっても異なるが、一般に微生物の増殖による腐敗を防止して保存安定性を確保する観点から高い塩度に調整するためにその量は大量である。従って、漬物の製造工程における塩抜き工程においては、大がかりな装置と大量の水を必要としている。
【0003】
また、消費者の健康志向の高まりから、低塩化された漬物、すなわち、一夜漬などの浅漬の消費量が増大している。浅漬の生産量は全漬物生産量の1/3を占めるまでに至っているが、浅漬の製造においては、微生物対策を主とした品質保持が最も大きな課題となっている。浅漬製品の変敗現象として、酸敗、白濁、袋の膨張などがあるが、これらは乳酸菌や酵母などの微生物の増殖に起因している。従って、浅漬の製造においてはこれらの微生物の増殖をいかに抑制するかが重要である。
【0004】
一方、浅漬の製造においてはやっかいな乳酸菌や酵母も発酵漬物をはじめとするその他の漬物の製造においては独特の発酵風味を醸し出すための重要な役割を担っている。しかしながら、発酵が進み過ぎると酸味が強くなるとともに香りも変化して品質の低下を招くことになる。
【0005】
以上のように、漬物の製造における微生物対策は、漬物の種類に応じて微生物の活動をいかに制御するかということが肝要であり、この微生物対策を簡易かつ確実に実施することができる方法が待ち望まれている。
【0006】
ところで、従来から、わさびの成分であるイソチオシアン酸アリル(以下、AITともいう)は、大腸菌や酵母などに対して優れた抗菌作用を示し、食品鮮度保持剤として有用であることが知られている。しかしながら、AITは、特有の刺激臭を有し、揮発性が高く、取り扱いが困難な油性液体である。従って、漬物の製造における微生物対策にAITを使用するためには、AITを含有する組成物製剤は、水溶解性に優れ、かつ、簡便に使用できるものでなければならない。特開平6−192018号公報には、AITと多価アルコールと界面活性剤とからなる抗微生物性組成物が開示されており、この組成物を使用して漬物の処理を行うことが記載されている。しかしながら、この組成物は粉末形態であるので、水溶解性の点において必ずしも満足できるものではないし、所望量のAITを調味材などに溶解させるためにはその都度、組成物の計量を必要とするので、作業性の点において改善の余地があった。
【0007】
また、漬物をはじめとする各種食品の鮮度保持において、AIT単独での抗菌スペクトルで十分な抗菌効果を得ることができる場合もあるが、そうでない場合もある。このような場合を考慮すれば、抗菌スペクトルの拡大を図るため、AITと各種の抗菌成分を組み合わせて使用することが望ましい。
【0008】
ホップ抽出物に抗菌作用があることは古くから知られているところであり、ホップ抽出物はビールに独特の苦味を与えると共に、ビール中の微生物の発育抑制にも働いているとも言われている。ホップ抽出物の抗菌性は、通常はホップの苦味成分であるアルファ酸(フムロン)とベータ酸(ルプロン)により得られ、ベータ酸はアルファ酸よりも乳酸菌などに対して優れた抗菌作用を示すが、ホップ抽出物単独での抗菌スペクトルは必ずしも満足できるものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記の如き事情に鑑み、漬物の製造工程において、微生物対策を簡易かつ確実に実施し、優れた品質の漬物を安定に製造する方法を提供すること、従来のAITとホップ抽出物の各々が有する問題点を一掃した食品鮮度保持剤などとして有用な抗微生物性組成物を提供することなどを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑みてなされた本発明の漬物の製造方法は、請求項1記載の通り、漬物を製造するためのいずれかの工程において、AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有し、さらに界面活性剤と水が加えられて水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤を使用することを特徴とする
た、請求項記載の製造方法は、請求項記載の製造方法において、前記ホップ抽出物が液状または臨界状態の二酸化炭素抽出により得られたものであることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、野菜類を塩蔵する工程において、塩水に前記抗微生物性組成物製剤を添加することを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、野菜類を調味材に漬け込む工程において、調味材に前記抗微生物性組成物製剤を添加することを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項記載の製造方法において、漬物が浅漬であることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、漬物を小分容器に小分けする工程において、小分け前の漬物に前記抗微生物性組成物製剤を添加した後に小分けすることおよび/または小分け後の漬物に前記抗微生物性組成物製剤を添加することを特徴とする。
また、本発明の抗微生物性組成物は、請求項記載の通り、AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
また、請求項記載の抗微生物性組成物は、請求項記載の抗微生物性組成物において、前記ホップ抽出物が、液状または臨界状態の二酸化炭素抽出により得られたものであることを特徴とする。
また、請求項記載の抗微生物性組成物は、請求項記載の抗微生物性組成物において、さらに界面活性剤と水が加えられ、水中油型製剤化または油中水型製剤化されていることを特徴とする。
また、本発明の食品鮮度保持剤は、請求項10記載の通り、請求項記載の抗微生物性組成物からなることを特徴とする。
また、本発明の食品の鮮度保持方法は、請求項11記載の通り、請求項記載の抗微生物性組成物を食品に添加することを特徴とする。
【0011】
なお、特開平6−153882号公報には、ホースラディッシュ(別名わさび大根または西洋わさび)から抽出・製造された抗菌性物質とホップ抽出物を組み合わせて食品用保存剤として使用することが記載されている。しかしながら、この公報に記載された抗菌性物質は、ホースラディッシュに含まれる酵素を失活させた状態あるいは酵素作用を阻害した状態で抽出・製造される結晶状の物質であり、油性液体であるAITとはおよそ異なるものであり、AITとホップ抽出物とを組み合わせた抗微生物性組成物やその用途は未だ知られていない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の漬物の製造方法は、漬物を製造するためのいずれかの工程において、AITを有効成分として含有し、さらに界面活性剤と水が加えられて水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤を使用することを特徴とするものである。前記抗微生物性組成物製剤は、それ自体が所定量のAITを含有する液状製剤であるので、水溶解性の点において優れるとともに、所望量のAITを調味材などに容易に溶解することができるので、作業性にも優れるものである。
【0013】
抗微生物性組成物製剤の有効成分であるAITは、天然品、合成品を問わない。また、例えば、AITを含む精油、例えば、ワサビやカラシからの抽出物や粗精製物であってもよい。ただし、漬物という食品に添加される点に鑑みれば、AITは天然品を使用することが望ましい。なお、AITを合成する場合、その合成法については特段の限定はないが、ヨウ化アリルまたは臭化アリルとチオシアン酸ナトリウムとをエタノール中で加熱反応させて合成する方法が一般的である。
【0014】
ここで使用することのできる界面活性剤は、用途に合わせ、HLB値1〜20のものから自由に選択される。代表的な界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。ここでいう脂肪酸とは、一般に脂肪酸と総称されるもの(直鎖状脂肪酸・分岐鎖状脂肪酸、飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸)をすべて示し、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ラウリン酸などが例示される。また、リン脂質、例えば、大豆レシチンや卵黄レシチンなどの各種レシチン、水素添加リン脂質、ソルビタンモノオレエートポリオキシエチレン(例えば、商品名:Tween80)などを界面活性剤として使用してもよい。
【0015】
AITを有効成分として含有し、さらに界面活性剤と水が加えられて水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤はそれ自体公知の製剤であり、例えば、特開平6−47272号公報や特開平6−303952号公報に記載されている。
【0016】
本発明の漬物の製造方法における適用対象となる漬物とは、副食物としてそのまま摂食される既製食品であって、きゃべつ、白菜、野沢菜、ほうれん草、玉葱、もやし、ふき、らっきょう、にんにく、れんこん、大根、かぶ、人参、ごぼう、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、きゅうり、なす、うり、青梅の他、各種果実やきのこや海藻など(以下、野菜類という)を主原料として、塩、しょう油、みそ、かす、こうじ、酢、ぬか(米ぬか、ふすまなど)、からし、もろみ、その他の調味材に漬け込んだものをいう。漬物には、漬け込み後に熟成させて塩やアルコールや酸などにより保存性を持たせたものや一夜漬などの浅漬のように保存性に乏しいものがある。
【0017】
漬物は使用する調味材による分類をすれば、塩を主とした調味材に漬け込んだ塩漬(らっきょう塩漬、つぼ漬、梅漬、野沢菜漬など)、しょう油を主とした調味材に漬け込んだしょう油漬(福神漬、高菜漬、朝鮮漬など)、みそを主とした調味材に漬け込んだみそ漬(山菜みそ漬、大根みそ漬など)、かすを主とした調味材に漬け込んだかす漬(奈良漬、わさび漬など)、こうじを主とした調味材に漬け込んだこうじ漬(べったら漬、三五八漬など)、食酢、梅酢または有機酸を主とした調味材に漬け込んだものでpH4.0以下の酢漬(千枚漬、らっきょう漬、はりはり漬など)、ぬかを主とした調味材に漬け込んだぬか漬(たくあん漬など)、からし粉を主とした調味材に漬け込んだからし漬(なすからし漬、ふきからし漬など)、しょう油またはみそのもろみを主とした調味材に漬け込んだもろみ漬(こなすもろみ漬、きゅうりもろみ漬など)の他、すぐき漬やサワークラウトなどのような上記以外の漬物(発酵漬物を含む)に分類される。
【0018】
AITを有効成分として含有し、さらに界面活性剤と水が加えられて水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤は、漬物の製造工程において微生物対策を必要とする種々の工程において添加しうる。抗微生物性組成物製剤の具体的な使用方法としては、該製剤を塩蔵用の塩水や各種調味材に分散させて使用する方法、該製剤を水に分散させて調製した分散液を野菜類に噴霧する方法、この分散液で野菜類を洗浄する方法などが挙げられる。このような使用方法の場合、AITを含有する溶液中のAIT濃度は、大腸菌などに対して十分な抗菌性を発揮させるとともに、漬物に過度にAIT特有の刺激臭や辛味などが付着しないようにとの観点から1ppm〜500ppmとなるように調整して用いることが望ましい。なお、抗微生物性組成物製剤を調味材に添加して使用する場合、調味材が漬物とともに消費者に摂食されることから、調味材中のAIT濃度は、その上限値をできるだけ低くすることが望ましく、150ppm以下とするのがよい。
【0019】
例えば、野菜類を塩蔵する工程において、塩水に抗微生物性組成物製剤を添加する態様の場合、塩の添加量を少なくしても抗微生物性組成物製剤の作用により微生物の増殖を効果的に抑制することができるので充分な保存安定性を確保することができる。従って、塩抜き工程において、大がかりな装置と大量の水を必要とせずとも塩抜きを容易に行うことができる。
【0020】
また、野菜類を調味材に漬け込む工程において、調味材に抗微生物性組成物製剤を添加する態様の場合、浅漬の製造においては、使用する調味材に予め抗微生物性組成物製剤を添加しておくことにより、酵母などの微生物の増殖に起因した酸敗、白濁、袋の膨張などの変敗現象を確実に防止することができる。その他の漬物の製造においては、適度な発酵が進んだ時点で調味材に抗微生物性組成物製剤を添加することにより、発酵が進み過ぎるのを抑制し、酸味が強くなり過ぎたり香りが変化して品質が低下することを防ぐことができる。
【0021】
また、漬物を小分容器に小分けする工程において、小分け前の漬物に前記抗微生物性組成物製剤を添加した後に小分けする態様および/または小分け後の漬物に前記抗微生物性組成物製剤を添加する態様の場合、小分け後の発酵を抑制することで、酸味が強くなり過ぎたり香りが変化して品質が低下することを防ぐことができる。
【0022】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物も漬物の製造における微生物対策において有用である。前述のように、AITとホップ抽出物とを組み合わせた抗微生物性組成物やその用途は未だ知られていないので、この抗微生物性組成物はそれ自体新規の組成物であり、本発明の一部を構成する。
【0023】
ここで、抗微生物性組成物の有効成分として使用されるAITについては、前述の通りである。
【0024】
また、抗微生物性組成物の有効成分として使用されるベータ酸含有ホップ抽出物を得る方法としては、液状または臨界状態の二酸化炭素抽出による方法を採用することが望ましい(この方法は自体周知の方法であるが、必要ならば特開昭61−1374号公報や特開平6−240288号公報を参照のこと)。この方法によれば、一般にベータ酸を50重量%以上含有するホップ抽出物(残部はホップ樹脂やホップ精油である)を効率よく得ることができる。この方法で得られる抽出物は市販もされている。このような市販品としては、例えば、イングリッシュ ホップ プロダクツ リミテッド(ENGLISH HOP PRODUCTS LIMITED)社製のイーエッチピー ベースエクストラクト(EHP BASE EXTRACT:商品名)がある。なお、ベータ酸含有ホップ抽出物を得る方法は上記の方法に限定されるものではなく、例えば、冷水や熱水で抽出する方法、エーテルやエタノールやアセトンやクロロホルムや酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出する方法、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムや炭酸アンモニウムやリン酸ナトリウムなどのアルカリ性水溶液で抽出する方法などであってもよい。
【0025】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物との配合割合は、重量比で5:1〜1:1であることが望ましい。このような配合割合とすることで、AITとベータ酸含有ホップ抽出物の各々にその抗菌性を遺憾なく発揮させることができるとともに、有機溶媒を用いることなくベータ酸含有ホップ抽出物をAITに溶解させることができ、均一な溶液状態の抗微生物性組成物を得ることができる。AITはエタノールとの反応性を有するので、本発明の抗微生物性組成物においてはエタノールを有機溶媒として多量に用いることは必ずしも望ましくない。上記の配合割合は、AITとベータ酸含有ホップ抽出物の各々にその抗菌性を遺憾なく発揮させることができる数値であるとともに、製剤化にも適した優れた数値である。
【0026】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物は、上記の配合割合とすることで、均一な溶液状態の組成物となるので、任意の製剤形態で食品鮮度保持剤などとして供することができるが、取り扱いの容易性や、汎用性の観点からは、この抗微生物性組成物にさらに界面活性剤と水を加え、水中油型製剤化または油中水型製剤化して実用に供することが望ましい。
【0027】
ここで使用することのできる界面活性剤については、前述の通りである。
【0028】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物を水中油型製剤とする方法について以下に説明する。
【0029】
水中油型製剤化においては、抗微生物性組成物1重量部に対し、水は1重量部〜100重量部、望ましくは4重量部〜20重量部使用される。界面活性剤はそのHLB値が8〜16のものが好適に用いられ、その配合量は抗微生物性組成物1重量部に対し、0.01重量部〜1重量部、望ましくは0.02重量部〜0.5重量部である。
【0030】
製剤化は、例えば、ホモジナイザーやホモミキサーを用い、自体周知の方法で乳化することにより行えばよい。
【0031】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物を油中水型製剤とする方法について以下に説明する。
【0032】
油中水型製剤化においては、抗微生物性組成物100重量部に対し、水は1重量部〜100重量部、望ましくは4重量部〜40重量部使用される。界面活性剤はそのHLB値が1〜4のものが好適に用いられ、その配合量は抗微生物性組成物100重量部に対し、1重量部〜100重量部、望ましくは4重量部〜40重量部である。抗微生物性組成物を油中水型製剤とする際には、乳化安定剤としてマルトースやソルビトールなどの糖類、アラビアガムやカルボキシメチルセルロースなどの増粘剤を配合させることが望ましい。その配合量は、糖類の場合、抗微生物性組成物100重量部に対し、1重量部〜100重量部、望ましくは10重量部〜50重量部である。また、増粘剤の場合、本発明の抗微生物性組成物100重量部に対し、0.01重量部〜10重量部、望ましくは0.1重量部〜5重量部である。
【0033】
製剤化は、例えば、ホモジナイザーやホモミキサーを用い、自体周知の方法で乳化することにより行えばよい。
【0034】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物は、乳酸菌や大腸菌などの菌類の増殖を効果的に抑制する食品鮮度保持剤として、前述の如き漬物の他、例えば、穀類や野菜などを主原料とした惣菜類(佃煮など)、かまぼこやちくわなどの水産練製品、水産珍味、ソーセージやベーコンやハンバーグやミートボールなどの畜肉製品、麺類、各種ソースや調味液などの食品を対象にして用いられる。
【0035】
特に、この抗微生物性組成物を水中油型製剤化や油中水型製剤化して用いる場合、その使用方法としては、例えば、該製剤を水に分散させて分散液とし、これを食品原料の混合段階で添加したり、食品を加熱成形した後に噴霧したり、調味材に添加したり、分散液に食品を浸漬したり、分散液で食品を洗浄したりして用いる方法が挙げられる。この場合、分散液は、分散液中のAIT濃度とベータ酸含有ホップ抽出物濃度が各々0.1ppm〜1000ppmとなるように調整して用いることが望ましい。AITの場合、濃度が下限未満であると、大腸菌などに対する十分な抗菌性を発揮しない恐れがあり、上限を超えると、食品にAIT特有の刺激臭や辛味などが付着する恐れがあるからである。また、ベータ酸含有ホップ抽出物の場合、濃度が下限未満であると、乳酸菌などに対する十分な抗菌性を発揮しない恐れがあり、上限を超えると、食品にホップ特有の苦味などが付着する恐れがあるからである。
【0036】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物を漬物の製造に適用するに際しての適用対象となる漬物については、前述の通りである。
【0037】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物は、漬物の製造工程において微生物対策を必要とする種々の工程において添加しうる。抗微生物性組成物を水中油型製剤化や油中水型製剤化して用いる場合、その使用方法としては、該製剤を塩蔵用の塩水や各種調味材に分散させて使用する方法、該製剤を水に分散させて調製した分散液を野菜類に噴霧する方法、この分散液で野菜類を洗浄する方法などが挙げられる。このような使用方法の場合、AITとベータ酸含有ホップ抽出物を含有する溶液中のAIT濃度とベータ酸含有ホップ抽出物濃度は、AITについては大腸菌などに対して十分な抗菌性を発揮させるとともに、漬物に過度にAIT特有の刺激臭や辛味などが付着しないようにとの観点から、また、ベータ酸含有ホップ抽出物については乳酸菌などに対して十分な抗菌性を発揮させるとともに、漬物に過度にホップ特有の苦味などが付着しないようにとの観点から、各々1ppm〜500ppmとなるように調整して用いることが望ましい。なお、抗微生物性組成物を調味材に添加して使用する場合、調味材が漬物とともに消費者に摂食されることから、調味材中のAIT濃度とベータ酸含有ホップ抽出物濃度はその上限値をできるだけ低くすることが望ましく、各々150ppm以下とするのがよい。
【0038】
AITとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物を使用すれば、ベータ酸含有ホップ抽出物が、乳酸菌などに対して優れた抗菌効果を示すので、AITの酵母などに対する優れた抗菌効果とともに、乳酸菌や酵母などの微生物の増殖に起因した酸敗、白濁、袋の膨張などの変敗現象を確実に防止することができる。また、乳酸菌の嫌気性下での発酵に基づく袋の膨張による商品価値の低下を防ぐことができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の記載に何ら限定されるものではない。
【0040】
実施例1:
A.AITを含有する水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤の調製
AIT含有量94重量%のカラシ油5重量部、精製ヤシ油(日清製油株式会社製)1重量部、市販大豆レシチン(レシチン含有量50重量%)2重量部、HLB値15の界面活性剤(ショ糖パルミチン酸エステル)としてリョートーシュガーエステルP−1570(商品名:三菱化成食品株式会社製)1重量部をホモジナイザーを用いて水91重量部に対して乳化し、水中油型製剤を得た。この製剤は白色の溶液で、室温で20日間放置した後にも層分離などは認められず、極めて安定な製剤であった。また、この製剤1重量部を水100重量部に添加懸濁させたところ、均一に分散した。
【0041】
B.漬物製造時における抗微生物性組成物製剤の添加効果
甘酢らっきょう漬の製造において、調味液(食酢(酸5重量%)500ml、水1400ml、砂糖250g、塩15g、グルタミン酸ナトリウム3gから調製したもの)に上記のAで調製した抗微生物性組成物製剤を添加しないもの、その濃度が0.01重量%、0.02重量%、0.04重量%となるように微生物性組成物製剤を添加したもの各々に、水にさらして塩抜きした塩蔵らっきょうを漬け、スチロール容器に小分けして室温で保存し、産膜酵母の発生状況を肉眼で観察した。結果を表1に示す。表1から明らかなように、上記のような酸度の低い調味液であっても、微生物性組成物製剤を添加することで産膜酵母の発生を効果的に抑制でき、漬物の保存期間が延長された。
【0042】
【表1】
Figure 0004669198
【0043】
実施例2:AITとベータ酸含有ホップ抽出物の抗菌効果
乳酸菌(Lactobacillus plantarum)、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、産膜酵母(Hansenula anomala)に対するAITとベータ酸含有ホップ抽出物の抗菌作用を以下のようにして調べた。なお、ベータ酸含有ホップ抽出物は、イングリッシュ ホップ プロダクツ リミテッド(ENGLISH HOP PRODUCTS LIMITED)社製のイーエッチピー ベースエクストラクト(EHP BASE EXTRACT:商品名)を用いた。
【0044】
(方法)
AITの10ppm溶液(A試料2)、20ppm溶液(A試料3)、40ppm溶液(A試料4)、80ppm溶液(A試料5)を0.1%Tween80溶液を用いて調製した(A試料1はAIT0ppm溶液、即ち、0.1%Tween80溶液)。また、ベータ酸含有ホップ抽出物の5ppm溶液(H試料2)、10ppm溶液(H試料3)、20ppm溶液(H試料4)、40ppm溶液(H試料5)を0.1%Tween80溶液を用いて調製した(H試料1はベータ酸含有ホップ抽出物0ppm溶液、即ち、0.1%Tween80溶液)。
ブレインハートインフュージョン液体培地(BHI培地)8mlを充填した試験管を滅菌した後、上記のA試料とH試料を種々の組み合わせで各々1mlづつ試験管に添加し、培地と混合し、各種試験菌液0.1ml(103cfu)を培地に接種し、30℃で培養した後(培養時間は各試験菌の最適増殖時間として表2のように設定)、培地の660nmの濁度を測定することにより、AITとベータ酸含有ホップ抽出物の試験菌に対する抗菌作用(増殖阻害率)を評価した(但し、産膜酵母試験系においてはBHI培地の代りにYM液体培地を使用)。
【0045】
【表2】
Figure 0004669198
【0046】
(結果)
表3に乳酸菌に対する抗菌作用を示す。表3から明らかなように、H試料4とH試料5を用いた場合、A試料のAIT含有率の如何に関わらず、ほぼ完全な抗菌作用を示した。H試料2とH試料3を用いた場合、A試料のAIT含有率が高くなればなるほど抗菌作用が高まり、A試料とH試料の併用効果が認められた。
【0047】
【表3】
Figure 0004669198
【0048】
大腸菌に対しては、A試料3以上のAIT含有率があればH試料のベータ酸含有ホップ抽出物含有率の如何に関わらず、完全な抗菌作用を示した。黄色ブドウ球菌に対しては、A試料4以上のAIT含有率があればH試料のベータ酸含有ホップ抽出物含有率の如何に関わらず、完全な抗菌作用を示した。産膜酵母に対しては、A試料2以上のAIT含有率があればH試料のベータ酸含有ホップ抽出物含有率の如何に関わらず、完全な抗菌作用を示した。
【0049】
実施例3:AITとベータ酸含有ホップ抽出物を含有する水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤の調製
AIT5重量部、ベータ酸含有ホップ抽出物2.5重量部、HLB値15の界面活性剤(ショ糖ステアリン酸エステル)としてリョートーシュガーエステルS−1570(商品名:三菱化成食品株式会社製)1重量部をホモジナイザーを用いて水91.5重量部に対して乳化し、水中油型製剤を得た。この製剤は肌色がかった白色の溶液で、室温で20日間放置した後にも層分離などは認められず、極めて安定な製剤であった。また、この製剤1重量部を水100重量部に添加懸濁させたところ、均一に分散した。
【0050】
実施例4:AITとベータ酸含有ホップ抽出物を含有する油中水型製剤化された抗微生物性組成物製剤の調製
AIT33.5重量部、ベータ酸含有ホップ抽出物16.5重量部、HLB値2の界面活性剤(ショ糖パルミチン酸エステル)としてリョートーシュガーエステルP−270(商品名:三菱化成食品株式会社製)15重量部、乳化安定剤としてマルトース20重量部、水15重量部を混合し、ホモミキサーを用いて攪拌することで油中水型製剤を得た。この製剤は、黄色がかった白色のクリーム状物で、室温で20日間放置した後にも層分離などは認められず、極めて安定な製剤であった。また、この製剤1重量部を水100重量部に添加懸濁させたところ、均一に分散した。
【0051】
実験例5:実施例3の抗微生物性組成物製剤のうどんに対する鮮度保持効果
水道水370mlに抗微生物性組成物製剤(0.2ml、0.4ml、0.6ml)と食塩10gを懸濁溶解させ、これに小麦粉1000gを加え、混合機を用いて20分間混合し、めん帯を調製した。調製されためん帯を室温で2時間熟成した後、さらに圧延して3mm幅に切り出してうどんを得た。得られたうどんをポリエチレンアルミ袋に入れてヒートシールして密封し、30℃で保存して袋の膨張具合を観察した。結果を表4に示す。表4から明らかなようにうどんに抗微生物性組成物製剤を添加することで抗菌作用が発揮され、微生物の活動による袋の膨張を効果的に抑制することができた。
【0052】
【表4】
Figure 0004669198
【0053】
実験例6:野菜類を塩蔵する工程における実施例3の抗微生物性組成物製剤の添加効果(きゅうりの塩蔵)
きゅうりをよく水洗いした後、きゅうりと同重量の各種の濃度の塩水に抗微生物性組成物製剤を各種の濃度になるように分散させてきゅうりの塩蔵を室温で行い、保存期間中の塩水の一般生菌数を標準寒天培地を使用して測定した(食品衛生検査指針の方法に準じて測定。以下同じ)。結果を表5に示す。表5から明らかなように、5重量%濃度の塩水であっても抗微生物性組成物製剤を添加することで微生物の増殖を効果的に抑制することができることがわかった。また、10重量%濃度の塩水であっても抗微生物性組成物製剤を0.2重量%添加することで、通常、塩蔵に使用されている20重量%濃度の塩水とほぼ同様の微生物増殖抑制効果を示し、抗微生物性組成物製剤を0.4重量%添加することで、20重量%濃度の塩水よりも優れた微生物増殖抑制効果を示すことがわかった。以上の結果から、抗微生物性組成物製剤を塩水に添加することで塩蔵に使用する塩の添加量を大幅に低減できることがわかった。
【0054】
【表5】
Figure 0004669198
【0055】
実験例7:野菜類を調味材に漬け込む工程における実施例3の抗微生物性組成物製剤の添加効果(きゅうりの浅漬)
きゅうりをよく水洗いした後、きゅうりと同重量の5重量%濃度の塩水にきゅうりを漬け込み、室温で5時間下漬けを行った。柔軟になったきゅうりをきゅうりと同重量の調味液(塩2重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%含有溶液)に抗微生物性組成物を各種の濃度になるように分散させたものとともにポリエチレン製袋に入れて10℃で保存し、菌増殖による調味液の濁りを光の透過度(OD660nm)で測定した。結果を表6に示す。一般に浅漬においては商品価値を保つためには調味液の濁りが光の透過度において70%以上必要といわれている。表6から明らかなように、抗微生物性組成物を添加しない場合、4日目には70%以上の光の透過度を保てなくなったが、抗微生物性組成物を添加することにより、保存期間を添加量に応じて延長することができることがわかった。なお、抗微生物性組成物の添加による食味への影響は全くなかった。
【0056】
【表6】
Figure 0004669198
【0057】
実験例8:野菜類を調味材に漬け込む工程における実施例3の抗微生物性組成物の添加効果(白菜の浅漬)
外葉を取り除き、四つ切にした白菜をよく水洗いした後、白菜と同重量の5重量%濃度の塩水に白菜を漬け込み、室温で5時間下漬けを行った。その後、水切りした白菜を白菜と同重量の調味液(塩2重量%、グルタミン酸ナトリウム0.1重量%含有溶液)に抗微生物性組成物を各種の濃度になるように分散させたものとともにポリエチレン製袋に入れて10℃で保存し、菌増殖による調味液の濁りを光の透過度(OD660nm)で測定した。結果を表7に示す。また、調味液の一般生菌数を標準寒天培地を使用して測定した結果を表8に、乳酸菌数をMRS寒天培地を使用して測定した結果を表9に、真菌数をPDA寒天培地を使用して測定した結果を表10にそれぞれ示す。表7〜表10から明らかなように、抗微生物性組成物を添加することで調味液の濁りと微生物の増殖を効果的に抑制することができ、保存期間を延長することができることがわかった。
【0058】
【表7】
Figure 0004669198
【0059】
【表8】
Figure 0004669198
【0060】
【表9】
Figure 0004669198
【0061】
【表10】
Figure 0004669198
【0062】
実験例9:漬物を小分容器に小分けする工程における実施例3の抗微生物性組成物の添加効果(きゅうりしょう油漬の小分け)
よく水洗いした塩蔵きゅうりを細切りにし、5時間流水にさらして塩抜きした。塩抜きしたきゅうりを遠心脱水機で充分脱水し、これを調味液(しょう油67重量%、グルタミン酸ナトリウム0.3重量%、コハク酸ナトリウム0.03重量%含有溶液)に漬け込んできゅうりしょう油漬を製造した。このきゅうりしょう油漬を市販のプラスチック製のカップ(容量300mlの蓋付カップ)に小分けするに際し、このカップに各種の容量の抗微生物性組成物を添加して15℃で保存し、産膜酵母の発生状況とカップの膨張状況を肉眼で観察した。結果を表11と表12に示す。表11と表12から明らかなように、水中油型製剤を添加しない場合、4日後から産膜酵母の発生が見られ、7日後にはカップの膨張が認められたのに対し、抗微生物性組成物を添加することでこれらを効果的に抑制することができ、保存期間を延長することができることがわかった。
【0063】
【表11】
Figure 0004669198
【0064】
【表12】
Figure 0004669198
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、大腸菌や酵母などに対して優れた抗菌作用を示すAITを有効成分として含有し、さらに界面活性剤と水が加えられて水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤を漬物を製造するためのいずれかの工程において添加することにより、漬物の製造工程における微生物対策を簡易かつ確実に実施することができ、優れた品質の漬物を安定に製造することができる方法が提供される。
また、本発明によれば、大腸菌や酵母などに対して優れた抗菌作用を示すAITと乳酸菌などに対して優れた抗菌作用を示すベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有する抗微生物性組成物が提供される。AITとベータ酸含有ホップ抽出物との配合割合を調整することで、有機溶媒を用いることなくベータ酸含有ホップ抽出物をAITに溶解させることができ、均一な溶液状態の抗微生物性組成物を得ることができる。従って、この抗微生物性組成物は、優れた安定性を有し、水に均一に分散する水中油型製剤や油中水型製剤を容易に得ることができるので、取り扱いが容易で汎用性の高い食品鮮度保持剤などとして用いることができる。

Claims (11)

  1. 漬物を製造するためのいずれかの工程において、イソチオシアン酸アリルとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有し、さらに界面活性剤と水が加えられて水中油型製剤化された抗微生物性組成物製剤を使用することを特徴とする漬物の製造方法
  2. 前記ホップ抽出物が液状または臨界状態の二酸化炭素抽出により得られたものであることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  3. 野菜類を塩蔵する工程において、塩水に前記抗微生物性組成物製剤を添加することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. 野菜類を調味材に漬け込む工程において、調味材に前記抗微生物性組成物製剤を添加することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  5. 漬物が浅漬であることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  6. 漬物を小分容器に小分けする工程において、小分け前の漬物に前記抗微生物性組成物製剤を添加した後に小分けすることおよび/または小分け後の漬物に前記抗微生物性組成物製剤を添加することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  7. イソチオシアン酸アリルとベータ酸含有ホップ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗微生物性組成物。
  8. 前記ホップ抽出物が、液状または臨界状態の二酸化炭素抽出により得られたものであることを特徴とする請求項記載の抗微生物性組成物。
  9. さらに界面活性剤と水が加えられ、水中油型製剤化または油中水型製剤化されていることを特徴とする請求項記載の抗微生物性組成物。
  10. 請求項記載の抗微生物性組成物からなることを特徴とする食品鮮度保持剤。
  11. 請求項記載の抗微生物性組成物を食品に添加することを特徴とする食品の鮮度保持方法。
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