JP5719572B2 - 酸性調味料 - Google Patents

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Description

本発明は、ドレッシングなどの酸性調味料に関する。
ドレッシングなどの酸性調味料においては、酢酸などの制菌作用により一般的な汚染微生物の増殖による食品変敗は制御されている。しかし、このような低pH環境下でも、稀に細菌により変敗する場合がある。とりわけラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)に代表される酢酸耐性乳酸菌は、耐熱・耐塩・好酢酸性の性質を持ち、調味料の風味、外観などの変化を引き起こすことから調味料業界において重要危害菌として警戒されている(非特許文献1)。
酢酸耐性乳酸菌の増殖は、通常、加熱殺菌、特数値(塩分濃度、酢酸濃度)において制御可能であることが知られているが、近年、酸性調味料における消費者の嗜好性の多様化が進み、特に酸味及び塩味の少ないマイルドな風味を求める風潮が高まっており、特数値が緩和され内容液の耐菌性が低下しているため、低酸味の調味料での酢酸耐性乳酸菌の増殖を抑制することが一層重要となる。
一方、微生物による食品の汚染や変質防止を目的として、抗菌性物質が広く使用されている。このような抗菌性物質としては、例えば、ソルビン酸、安息香酸、ε−ポリリシン、カテキン、キトサン、チアミンラウリル硫酸塩、香辛料抽出物、各種精油(成分)などが知られている。特に食品においては高い安全性が求められており、消費者のニーズとして健康志向の観点からも天然系のものが好まれる。
例えば、キトサンは、エビ、カニなどの甲殻類に含まれるキチンを脱アセチル化して得られる多糖類であり、細菌などに対し優れた抗菌作用を発揮することから広く利用されている。キトサンは、酢酸を配合したマヨネーズ中のラクトバチルス・フルクチボランスに対し抗菌作用を発揮することも報告されている(非特許文献2)。
また、キトサンとチアミンラウリル硫酸塩、さらに可溶化成分として乳酸、酢酸ナトリウム及びエチルアルコールを配合した食品保存用水溶液組成物が、米飯における一般菌数、酵母及び大腸菌数の増殖を抑制することが報告されている(特許文献1)。
特開平11−206356号公報
食品の腐敗変敗防止対策ハンドブック(株式会社サイエンスフォーラム) Journal of Food Protection,Vol.63,No.2,2000:202−209
しかし、抗菌性物質には、苦味やエグ味、渋味を呈するものが多く、たとえ酢酸耐性乳酸菌の増殖抑制作用を有する抗菌性物質であっても酸性調味料の風味を損なうものは使用できないか、使用できても配合量は制限されざるを得ないという問題がある。実際、前記キトサンも独特な不快な呈味を有するため、非特許文献2のように多量のキトサンを添加した場合はマヨネーズの風味が損なわれてしまい、さらには乳化安定性にも悪影響が生じることが判明した。
これまでに酸性調味料の風味を損なうことなく、酢酸耐性乳酸菌を抗菌できる抗菌性物質は知られていない。
そこで、本発明は、酢酸耐性乳酸菌の増殖などが抑制され、風味の良好な酸性調味料に関する。
本発明者は、上記課題について検討したところ、酸性調味料にキトサン及びチアミンラウリル硫酸塩をそれぞれ特定量配合すれば、酸性調味料の風味を損なうことなく、酢酸耐性乳酸菌を抗菌できることを見出した。
すなわち、本発明は、キトサン0.006〜0.054質量%及びチアミンラウリル硫酸塩0.03〜0.06質量%を含有する酸性調味料を提供するものである。
本発明によれば、酸味及び塩味の少ない酸性調味料であっても、酢酸耐性乳酸菌の抗菌が可能であり、酸性調味料の風味、外観などの変敗を防ぐことができる。また、本発明の酸性調味料は、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩の不快な呈味を感じず、風味良好である。
本発明で用いられるキトサンとしては、特に制限されず、カニやエビの甲殻類、昆虫などの外骨格、イカや貝類などの有機骨格、キノコ類やカビなどの細胞壁などに含まれるキチンをアルカリ・酸処理、酵素処理など公知の方法(例えば、内田泰著,“キチン,キトサンの抗菌性”,フードケミカル,No.2,p22(1988))にて脱Nアセチル化したもの、さらに酸、酵素などで加水分解した低分子キトサン、キトサンオリゴ糖などを用いることができる。また、キトサンは、水溶性ものが好ましい。
キトサンの脱Nアセチル化度は50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。また、キトサンの重量平均分子量は、400,000以下、より1,000〜100,000、更に2,000〜50,000、より更に3,000〜20,000であるのが、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果及び酸性調味料の風味維持の点から好ましい。
キトサンは、「ハイシャンKG」(アサマ化成(株))などの市販品を用いることもできる。
酸性調味料中のキトサンの含有量は、0.006〜0.054質量%(以下、単に「%」とする)であるが、より0.012〜0.054%、更に0.018〜0.054%、より更に0.03〜0.054%、殊更0.03〜0.042%であるのが酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果及び酸性調味料の風味維持の両面から好ましい。
本発明で用いられるチアミンラウリル硫酸塩は、ビタミンB1誘導体の一種であり、ビタミンB1(チアミン)にラウリル硫酸がモル比1:2の比率で結合した化合物である。
本発明では、チアミンラウリル硫酸塩製剤として、「ビタゲン(登録商標)AS5」(田辺三菱製薬(株))、「デイプラス(登録商標)V」(上野製薬)、「トップサラダビタミンDL5」(奥野製薬工業(株))などの市販品を用いることができる。
酸性調味料中のチアミンラウリル硫酸塩の含有量は、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果の点から0.03〜0.06%であるが、より0.03〜0.05%、更に0.035〜0.05%であるのが、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果及び酸性調味料の風味維持の点から好ましい。
本発明の酸性調味料におけるキトサンとチアミンラウリル硫酸塩の質量比は、酢酸耐性乳酸菌に対する制菌効果の点から、3:1〜1:15、より2:1〜1:10、更に2:1〜1:3が好ましい。
なお、本発明において「抗菌」とは、微生物を死滅させる「殺菌」、「滅菌」、微生物の発生、発育、増殖を抑える「静菌」、「制菌」等いずれの概念も含む語である。
本発明における酸性調味料は、水相部のみからなるもの、水相部と油相部を含有する非乳化型のもの(分離型)、水中油型の乳化物からなる乳化型のもの、又は水中油型の乳化物に油相を積層した分離型のものが挙げられる。特に、嗜好性、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果の点から分離型が好ましい。
酸性調味料において、油相部と水相部の質量比率は、5/95〜60/40であることが好ましく、より10/80〜55/45、更に10/85〜35/65であることが酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果及び風味の点から好ましい。
ここで、油相部を形成する油相成分としては、食用油脂が主成分であり、例えば、動物油及び/又は植物油、並びにこれらを原料として加水分解後にグリセリンとエステル化反応した油脂、エステル交換油、水素添加油等が挙げられる。動物油としては、例えば牛脂、豚脂、魚油等が挙げられ、植物油としては、例えば大豆油、パーム油、パーム核油、綿実油、落花生油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油、米油等が挙げられる。
食用油脂は、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールのいずれか1種以上を含むものとする。油脂は、ジアシルグリセロールを15%以上含むことが、生理効果の点から好ましい。油脂中のジアシルグリセロール含有量は、より15〜95%、更に35〜95%、より更に50〜95%、殊更70〜93%とすることが、同様の点から好ましい。また、トリアシルグリセロールを4.9〜84.9%、より4.9〜64.9%、更に6.9〜39.9%、より更に6.9〜29.9%含有するのが生理効果、油脂の工業的生産性、外観の点で好ましい。また、モノアシルグリセロールの含有量は2%以下、より0.01〜1.5%であるのが好ましく、遊離脂肪酸(塩)の含有量は3.5%以下、より0.01〜1.5%であるのが風味等の点で好ましい。
油脂を構成する脂肪酸は、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、60〜100%が不飽和脂肪酸であることが好ましく、より好ましくは70〜100%、更に75〜100%、より更に80〜98%であるのが外観、油脂の工業的生産性の点で好ましい。不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、さらに16〜22であるのが生理効果の点から好ましい。
また、油脂を構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の含有量は40%以下であることが好ましく、より好ましくは0〜30%、更に0〜25%、より更に2〜20%であるのが、外観、生理効果、油脂の工業的生産性の点で好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、特に16〜22のものが好ましい。
ジアシルグリセロールを含有する油脂の起源としては、前記と同様の動物性、植物性の食用油脂を挙げることができる。またこれらの油脂を分別、混合したもの、水素添加や、エステル交換反応などにより脂肪酸組成を調整したものも原料として利用できるが、水素添加していないものが、油脂を構成する全脂肪酸中のトランス不飽和脂肪酸含量を低減させる点から好ましい。
ジアシルグリセロールを含有する油脂は、上述した油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、油脂とグリセリンとのエステル交換反応(グリセロリシス)等により得ることができる。これらの反応はアルカリ触媒等を用いた化学反応でも行うことができるが、1,3−位選択的リパーゼ等を用いて酵素的に温和な条件で反応を行うのが、風味等の点で好ましい。
本発明の酸性調味料においては、その他の成分として、野菜類、果実類、水、食酢、食塩、醤油、香辛料、糖、蛋白質素材、有機酸、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、動植物エキス、発酵調味料、酒類、増粘剤、安定剤、乳化剤、着色料等の各種食品素材又は添加剤等を使用することができる。また、これらは、必要に応じて成形加工したものを使用してもよい。
本発明の酸性調味料のpH(酸性調味料が油相部を有する場合は水相部のpH、20℃)は、5.5以下であることが保存性の点から好ましい。特に耐酢酸性が高いことが知られているラクトバチルス・フルクチボランスに対する抗菌効果を考慮すると、pHは4.1以下、更に2.5〜4.1、より更に3.5〜4.1、殊更3.5〜3.9の範囲が好ましい。この範囲にpHを低下させるためには、食酢、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸;リン酸等の無機酸等の酸味料を使用することができる。特に、保存性を良くする点、及び調味料製造直後の具材の風味を維持する点から食酢、クエン酸を用いることが好ましい。食酢は、穀物酢、りんご酢、ビネガー類等様々な種類を用いることができる。
食酢の含有量は、酸性調味料中に3〜30%、より4〜26%、更に5〜20%であることが好ましい。また、酢酸の含有量は0.6〜2.5%が好ましく、より0.8〜1.6%が好ましい。
本発明の酸性調味料の酸度(酸性調味料が油相部を有する場合は水相部の酸度)は、0.15〜10%、より0.25〜6%、更に0.3〜3%であることが風味の点から好ましい。なお、「酸度」とは、測定の対象となる液体を0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで滴定を行い、その終点の滴定量から次の式(1)により算出したもの(食酢の日本農林規格(平成9年9月3日農林水産省告示第1381号)を参考に酢酸相当酸度の質量%を導出したもの)をいう。
酸度=(a×v×f)/w×100 (1)
(a:0.1mol/Lの水酸化ナトリウム1mLに相当する酢酸量0.006g、v:0.1mol/Lの水酸化ナトリウムの使用量(mL)、f:0.1mol/Lの水酸化ナトリウムの力価、w:試料採取量(g))
酸度は、酢酸の他、グルコン酸、クエン酸等の各種有機酸のいずれを使用した場合でも、これら全ての酸を酢酸換算して得た値の試料質量中の百分率で表したものである。
また、食塩の含有量は、酸性調味料(酸性調味料が油相部を有する場合は水相部)中に2.6%以上、より2.6〜15%、更に2.6〜11%、より更に3〜4.7%、殊更3.5〜4.7%であることが風味の点、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果の点から好ましい。
食塩としては、並塩、天日塩、岩塩等様々な種類のものを用いることができ、その一部を塩化カリウムや硫酸マグネシウム等に置き換えたものも用いることができる。
本発明の酸性調味料は、特に制限されず、常法に準じて調製できるが、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌効果及び溶解性の点から、水相部と油相部を含有する場合はキトサンは水相部に、チアミンラウリル硫酸塩は油相部にそれぞれ添加するのが好ましい。
また、水相部は安全性の面から加熱殺菌することが好ましい。殺菌方法としては、一般に用いられている方法が使用可能である。具体的には、ヒーター加熱方式、高周波電磁誘導加熱方式、チューブ式高温加熱方式などの方法が利用可能である。
後記実施例に示すように、本発明の酸性調味料においては、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を併用することによって、キトサン単独、チアミンラウリル硫酸塩単独では全く効果が認められなかった低濃度においても酢酸耐性乳酸菌に対して優れた抗菌作用を示す。ここで酢酸耐性乳酸菌とは、Lactobacillus属に属するラクトバチルス・フルクチボランス(L. fructivorans)、ラクトバチルス・ブチネリ(L. buchneri)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・パラカセイ(L.paracasei)などが挙げられる。
また、本発明の酸性調味料は、耐酢酸性の性質を有するカビ、酵母などの真菌、細菌などの酢酸耐性微生物に対しても優れた抗菌作用を有する。酢酸耐性微生物としては、具体的に耐酢酸性酵母Zygosaccharomyces bailii、耐酢酸性カビMoniliella acetoabutansなどが挙げられる。
本発明の酸性調味料としては、例えば、各種ドレッシング類、各種つゆ類、各種たれ類、各種ソース類などの酸性液体調味料が挙げられる。なかでも、各種ドレッシング類であることが好適である。ドレッシング類としては、半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシング、ドレッシングタイプ調味料、サラダ用調味料が挙げられる。
〔酸度の測定〕
上記「食酢の日本農林規格(平成9年9月3日農林水産省告示第1381号)」に基づき酢酸相当酸度の質量%を導出した。
〔NaCl濃度の測定〕
モール法により測定した。試料をメスフラスコに秤量し、蒸留水を加えて定容としたものを試料溶液とした。試料溶液をメスピペットを用いて三角フラスコにとり、指示薬として1.0%クロム酸カリウム溶液を加え、0.1mol/L硝酸銀溶液で褐色ビュレットを用いて滴定し、液の色が微橙色になる点を終点とした。
NaCl濃度は下記の計算式で算出した。
NaCl濃度(%)=0.00585×A×F/W×100
A: 0.1mol/L硝酸銀溶液の滴定量(mL)
F:0.1mol/L硝酸銀溶液の力価
W:試料採取量(mL)
〔pHの測定〕
pHは、試料の品温を20℃にした後、(株)堀場製作所製pHメーター(F−22)を使用し測定した。
〔油脂のグリセリド組成〕
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
〔油脂の脂肪酸組成〕
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
実施例1
(1)酸性調味料の調製
水相部の原料を表1に示した量で配合し、撹拌混合(ホモディスパー:特殊機化工業製)して均一に溶解した。そこにキトサン製剤を加えさらに撹拌混合して溶解して水相部を調製した。次に、調製した水相部を常温から加熱して80℃に到達してから4分間保持することにより殺菌処理を行った後、常温まで冷却した。
次いで、表1に示した量のチアミンラウリル硫酸塩をジアシルグリセロール(DAG)脱臭油に添加し、攪拌混合しながら60℃まで加温し、チアミンラウリル硫酸塩を完全に溶解させたあと、常温まで冷却し油相部を調製した。
容器に水相部:油相部を7:3の割合で充填することにより液状の分離型酸性調味料(試験例1−6)を調製した。なお、表1記載のキトサン製剤中のキトサン含量は6質量%であった。また、キトサンの脱Nアセチル化度は80〜90%であり、重量平均分子量はおよそ10,000であった。
Figure 0005719572
(2)接触試験
試験菌として、酢酸耐性乳酸菌の中で特に耐酢酸性が高いことが知られているラクトバチルス・フルクチボランス JCM1117株を用いた。
ラクトバチルス・フルクチボランス JCM1117株はMRS寒天培地(OXOID)、30℃で嫌気的に3日間培養した。培養した菌体を生理食塩水に1056cfu/mlになるように調整して菌液とした。なお、菌の最終濃度103cfu/mlとなるように分離型酸性調味料100gに上記菌液を1ml接種し、30℃で60日間好気的に保存し菌の挙動を確認した。菌数測定は、保存後の調味料を強攪拌して系内を均一化した後、生理食塩水で希釈し、MRS寒天培地(OXOID社製)に塗抹して測定した。菌濃度として1オーダー以上の増殖が確認された場合を「増殖」、1オーダー未満の増殖が確認された場合を「非増殖」と判断した。結果を表2に示す。
Figure 0005719572
表2から明らかなように、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を特定量配合した試験例1−4では、酢酸耐性乳酸菌の増殖が見られず、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌作用が認められた。これに対し、pHが高い試験例5及び6ではキトサン及びチアミンラウリル硫酸塩の配合濃度が試験例1−4と同じであったが、酢酸耐性乳酸菌増殖が認められた。
実施例2
実施例1と同様にして、表3に示した配合で液状の分離型酸性調味料(試験例7−10)を調製した。
Figure 0005719572
調製したそれぞれの分離型酸性調味料(試験例7−10)について実施例1と同様に、接触試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005719572
表4から明らかなように、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を特定量配合した試験例8及び9では、酢酸耐性乳酸菌の増殖が見られず、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌作用が認められた。これに対し、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を配合しなかった試験例7では、酢酸耐性乳酸菌増殖が認められた。また、酸性調味料のpHが高い試験例10では酢酸耐性乳酸菌増殖が認められた。
実施例3
(1)酸性調味料の調製
表5に示す濃度になるようにキトサン及びチアミンラウリル硫酸塩の配合量をかえた以外は表1の試験例1の調味料と同様の組成で液状の分離型酸性調味料(試験例11−27)を調製した。
調製したそれぞれの分離型酸性調味料(試験例11−27)について実施例1と同様に、接触試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 0005719572
表5から明らかなように、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を特定量配合した試験例12〜17では、酢酸耐性乳酸菌の増殖が見られず、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌作用が認められた。これに対し、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を配合しなかった試験例11では、酢酸耐性乳酸菌増殖が認められた。また、キトサン又はチアミンラウリル硫酸塩を単独で特定濃度配合した試験例18〜23では、酢酸耐性乳酸菌増殖が認められた。単独での配合で酢酸耐性乳酸菌増殖が認められた濃度以下のキトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を併用した試験例24〜27では酢酸耐性乳酸菌の増殖が見られず、酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌作用が認められた。
実施例4
(1)酸性調味料の調製
水相部の原料を表6に示した量で配合し、撹拌混合(ホモディスパー:特殊機化工業製)して均一に溶解した。そこにキトサン製剤を加えさらに撹拌混合して溶解して水相部を調製した。次に、調製した水相部を常温から加熱して80℃に到達してから4分間保持することにより殺菌処理を行った後、常温まで冷却した。
次いで、表6に示した量のチアミンラウリル硫酸塩をジアシルグリセロール(DAG)脱臭油に添加し、攪拌混合しながら60℃まで加温し、チアミンラウリル硫酸塩を完全に溶解させたあと、常温まで冷却し油相部を調製した。
水相部と油相部を7:3の割合で混合し、乳化機(T.K.ホモディスパー2.5型:プライミクス(株))を用いて乳化型の酸性調味料(試験例28−34)を調製した。
Figure 0005719572
(2)接触試験
試験菌として、ラクトバチルス・ブチネリJCM1115株、ラクトバチルス・ブレビス JCM1059株、ラクトバチルス・プランタラム JCM1149株、ラクトバチルス・パラカセイ 土壌単離株の4菌種を用いた。
菌はMRS寒天培地(OXOID)、30℃で嫌気的に3日間培養した。培養した菌体を4菌株の菌数が均等になるように混合し、生理食塩水に合計菌数が1056cfu/mlになるように調整して菌液とした。菌の最終濃度103cfu/mlとなるように乳化型酸性調味料100gに上記菌液を1ml接種し、30℃で60日間好気的に保存し菌の挙動を確認した。菌数測定は、保存後の調味料を強攪拌して系内を均一化した後、生理食塩水で希釈し、MRS寒天培地(OXOID社製)に塗抹して測定した。菌濃度として1オーダー以上の増殖が確認された場合を「増殖」、1オーダー未満の増殖が確認された場合を「非増殖」と判断した。結果を表7及び8に示す。
Figure 0005719572
Figure 0005719572
表7から明らかなように、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を特定量配合した試験例28−32ではいずれも酢酸耐性乳酸菌に対する抗菌作用が認められ、これに対し、表8に示されるように、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を配合しなかった試験例33、チアミンラウリル硫酸塩の配合量が少なかった試験例34では、酢酸耐性乳酸菌増殖が認められた。
実施例5
(1)酸性調味料の調製
市販のノンオイルドレッシングに、表9に示す濃度になるようにキトサン、チアミンラウリル硫酸塩及びDAG脱臭油を特定量配合し、分離型酸性調味料(試験例35−40)を調製した。
Figure 0005719572
(2)官能評価
市販レタス40gに、分離型酸性調味料を15gかけ、パネル3名による食味試験を行い、協議により評価を決定した。
評価は、以下に示す基準に従って行った。すなわち、無添加のものと風味上差がない場合は○(合格)、風味に差があるが許容できる場合は△(合格)、風味上許容できない場合は×(不合格)とした。結果を表10に示す。
Figure 0005719572
表10から明らかなように、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を酢酸耐性乳酸菌を抗菌できる濃度範囲で配合した試験例35−38では風味上問題がなかった、これに対し、キトサン及びチアミンラウリル硫酸塩を高濃度配合した試験例39及び40は、苦渋みがあり風味上許容できるものではなかった。

Claims (6)

  1. 油相部と水相部を含む酸性調味料であって、水相部にキトサン0.006〜0.054質量%及び油相部にチアミンラウリル硫酸塩0.03〜0.06質量%を含有する酸性調味料。
  2. 油相部と水相部の質量比率が、5/95〜60/40である請求項1記載の酸性調味料。
  3. 水相部のpHが4.1以下である請求項1又は2記載の酸性調味料。
  4. 水相部に食塩を3.5〜15質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の酸性調味料。
  5. 水相部に食塩を4〜15質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の酸性調味料。
  6. ドレッシング類である請求項1〜のいずれか1項記載の酸性調味料。
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