JP2005097171A - 食品用殺菌剤組成物及び食品の製造方法 - Google Patents

食品用殺菌剤組成物及び食品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005097171A
JP2005097171A JP2003332878A JP2003332878A JP2005097171A JP 2005097171 A JP2005097171 A JP 2005097171A JP 2003332878 A JP2003332878 A JP 2003332878A JP 2003332878 A JP2003332878 A JP 2003332878A JP 2005097171 A JP2005097171 A JP 2005097171A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thiamine
food
weight
lauryl sulfate
sulfate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003332878A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3514752B1 (ja
Inventor
Koichi Yoshimura
幸市 吉村
Kozo Yoshida
耕造 吉田
Koji Sugi
康二 杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHINKO SCIENCE Corp KK
Original Assignee
SHINKO SCIENCE Corp KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SHINKO SCIENCE Corp KK filed Critical SHINKO SCIENCE Corp KK
Priority to JP2003332878A priority Critical patent/JP3514752B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3514752B1 publication Critical patent/JP3514752B1/ja
Publication of JP2005097171A publication Critical patent/JP2005097171A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/90Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in food processing or handling, e.g. food conservation

Landscapes

  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】 少量の使用で幅広い抗菌スペクトルを有し、保存安定性に優れた食品用殺菌剤組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の食品用殺菌剤組成物は、エチルアルコール又は酢酸を含む水溶液に、チアミンセチル硫酸塩及びチアミンラウリル硫酸塩が溶解している。食品用殺菌剤組成物に含まれるチアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩との比率は、例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1の範囲である。食品用殺菌剤組成物の好ましい態様としては、チアミンセチル硫酸塩及びチアミンラウリル硫酸塩を合わせて1〜65重量%、エチルアルコール又は酢酸を20〜95重量%含んでいる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食品用殺菌剤組成物、及びこれを利用した食品の製造方法に関する。
チアミンラウリル硫酸塩は、ビタミンB1補給の栄養強化剤として各種食品に使用されているが、界面活性基を持ち、制菌作用、特に酵母に対して優れた抗菌力を有するため、日持ち向上剤としても使用されている。チアミンラウリル硫酸塩は水への溶解性が0.025%(20℃)であり水に対する溶解性が非常に低い上、界面活性基を持つがゆえに、食品に添加した際に発泡したり、また種々の菌の増殖が抑制される濃度まで添加すると結晶が析出したり、チアミン特有の臭気が生じ、商品価値を下げる要因となるなど使用上の問題がある。
一般に、チアミンラウリル硫酸塩の結晶からなる製剤は、チアミンラウリル硫酸塩の結晶自体の分散性が低いことから、水分の多い食品に対する分散性向上のためにプロピレングリコールなどの溶剤や乳化剤等が添加されている。しかし、昨今の食品安全意識の向上によりこれら溶剤の商品への表示が敬遠される嫌いがあり、あまり好ましくない。このようなチアミンラウリル硫酸塩の物性や作業性を考慮すると、チアミンラウリル硫酸塩の液体製剤として提供することが好ましい。
前記液体製剤として、チアミンラウリル硫酸塩と特定の成分からなる水性溶液組成物が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、チアミンラウリル硫酸塩、酢酸、及び水を特定の割合で混合した水性溶液が、また、特許文献2には、エチルアルコール、水、チアミンラウリル硫酸塩、炭酸アルカリ又は炭酸水素アルカリを特定の割合で含む液状殺菌剤が開示されている。これらの溶液によれば低温保存時におけるチアミンラウリル硫酸塩の析出を防ぐことが記載されている。しかし、チアミンラウリル硫酸塩単独ではカビに対しては殺菌作用が弱く、より多様な菌に対する抗菌活性を得るためには多量のチアミンラウリル硫酸塩が必要となる。他の液体製剤として、含水エチルアルコールにポリリジン及びビタミンB1エステルを添加した高塩分含有食品保存剤が開示されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3には、ポリリジンの抗菌力を利用して塩分含量の高い食品に発生する耐塩性微生物に対して抗菌性が発揮されることが記載されている。これらに対して、より多様な食品に使用でき、しかも少量の使用で広範囲に抗菌性を発揮しうる液体製剤が求められていた。
一方、チアミンセチル硫酸塩は、チアミンラウリル硫酸塩と同様、食品の栄養強化剤として用いられているが、チアミンセチル硫酸塩の水への溶解性は0.008%(20℃)であって疎水性が著しく高く、食品に均一に分散させることが難しいため、チアミンラウリル硫酸塩に比べて市場での消費量は極僅かである。
特許第2654522号公報 特開2000−178107号公報 特許第3158610号公報
本発明の目的は、少量の使用で幅広い抗菌スペクトルを有し、保存安定性に優れた食品用殺菌剤組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、食品に添加した際に食品本来の風味や外観を損なうことなく、食品の品質を長期にわたり保持することができる食品用殺菌剤組成物及びこれを用いた食品の製造方法を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩を併用することにより、相乗的効果が得られて少量の使用でも多様な微生物に対して高い抗菌力が発揮されること、及び低温時にもチアミン誘導体の結晶析出を防止して優れた保存安定性が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、エチルアルコール又は酢酸を含む水溶液に、チアミンセチル硫酸塩及びチアミンラウリル硫酸塩が溶解した食品用殺菌剤組成物を提供する。前記チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩との比率は、例えば前者/後者(重量比)=1/99〜99/1の範囲である。また、本発明の食品用殺菌剤組成物は、例えば、チアミンセチル硫酸塩及びチアミンラウリル硫酸塩を合わせて1〜65重量%、エチルアルコール又は酢酸を20〜95重量%含んでいる。
本発明は、また、上記の食品用殺菌剤組成物を食品に添加する工程を含む食品の製造方法を提供する。
なお、以下、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩とを総じて「チアミン誘導体」と称する場合がある。
本発明の食品用殺菌剤組成物によれば、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩を併用するため、これらの相乗効果により少量のチアミン誘導体で幅広い抗菌スペクトルを示すことができ、さらに低温保存時のチアミン誘導体の結晶析出を防ぐことができる。このような食品用殺菌剤組成物を用いて製造された食品は、品質を長期に亘り保持することができる。
本発明の食品用殺菌剤組成物は、エチルアルコール又は酢酸を含む水溶液に、チアミンセチル硫酸塩及びチアミンラウリル硫酸塩が溶解している。本発明の食品用殺菌剤組成物の主な特徴は、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩を併用する点にある。チアミンラウリル硫酸塩は、Debaryomyces属、Saccharomyces属などの酵母に対して特に高い抗菌活性を有している。本発明者らは、チアミンラウリル硫酸塩と同様に界面活性基を有するチアミンセチル硫酸塩の抗菌作用について検討したところ、チアミンセチル硫酸塩が抗菌性を有すること、Aspergillus属、Penicillium属などのカビに対して特に高い抗菌活性を有することを見いだした。
上記知見に基づき、さらに研究を進めた結果、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩とを組み合わせて用いると、カビや酵母などの真菌類に対し幅広い抗菌スペクトルが得られ、さらに真菌類以外の他の微生物に対しても優れた抗菌性を有し、しかもこれら2種のチアミン誘導体の相乗的効果により高い抗菌活性が発揮されること、また、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩とを併用することによりチアミンセチル硫酸塩の水性溶媒に対する溶解度が向上することが判明した。本発明の食品用殺菌剤組成物は、このようなチアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩とを組み合わせて含んでいるため、少量の使用で幅広い抗菌スペクトルを有する。
チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩との比率[前者/後者(重量比)]は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択できるが、通常1/99〜99/1、好ましくは2/98〜90/10、より好ましくは3/97〜30/70、特に5/95〜25/75程度である。チアミンセチル硫酸塩の割合が大きすぎるとチアミン誘導体の溶解性が低下しやすく、小さすぎると抗菌作用の相乗効果が得られにくい。
チアミンセチル硫酸塩の含有量は、食品用殺菌剤組成物に対して、例えば0.1〜64.1重量%、好ましくは0.5〜48.5重量%、より好ましくは1〜28重量%、特に1〜6重量%程度である。チアミンラウリル硫酸塩の含有量は、食品用殺菌剤組成物に対して、例えば0.9〜64.9重量%、好ましくは1.5〜49.5重量%、より好ましくは2〜29重量%、特に1〜15重量%程度である。
チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩とを総じたチアミン誘導体の含有量は、食品用殺菌剤組成物に対して、例えば1〜65重量%、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜25重量%、特に2〜21重量%程度である。チアミン誘導体の含有量が少なすぎると輸送費等経済性の点で不利となり、多すぎるとチアミン誘導体が溶解しにくくなる。
上記チアミン誘導体は、エチルアルコール又は酢酸を含む水溶液に溶解している。本発明においては、溶剤としてエチルアルコールと酢酸を併用してもよい。エチルアルコール又は酢酸を含む水溶液によれば、水に対して難溶性を示すチアミンラウリル硫酸塩を容易に溶解でき、より著しい疎水性を示すチアミンセチル硫酸塩をも十分に溶解することができる。
溶剤としてエチルアルコールを含む水溶液の例では、チアミン誘導体の溶解性は水性溶液中のエチルアルコール濃度の上昇に伴って向上し、具体的には、水溶液中のエチルアルコール含量が50重量%付近におけるチアミンセチル硫酸塩の溶解度は1.4、70重量%付近では5.3(最大値)、95重量%付近では2.5を示す。チアミンラウリル硫酸塩については、エチルアルコール含量が60重量%付近で溶解度62.5で最大値を示す。本発明においては、チアミン誘導体の溶解性、エチルアルコールが有する発火性、燃焼性に伴う取扱上の観点から、食品用殺菌剤組成物のエチルアルコール含有量は、例えば20〜95重量%、好ましくは25〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%、特に50〜60重量%程度である。
一方、溶剤として酢酸を含む水溶液の例では、水溶液中の酢酸含量が95重量%付近においてチアミンセチル硫酸塩の溶解度は6.0で最大値を示し、チアミンラウリル硫酸塩については95重量%付近で溶解度15で最大値を示す。本発明においては、チアミン誘導体の溶解性、組成物のpHの変動、酢酸の氷結回避の点、発火性、燃焼性に伴う取扱上の観点から、酢酸の含有量は、食品用殺菌剤組成物に対して、例えば20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、好ましくは35〜85重量%程度である。
また、チアミンセチル硫酸塩単独の水性溶媒に対する溶解度は著しく低いが、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩とを併用し、溶剤としてエチルアルコール又は酢酸を用いることにより、チアミンセチル硫酸塩の水性溶媒に対する溶解度を向上でき、溶液に溶解した状態で長期間保存することができる。
食品用殺菌剤組成物の好ましい態様は、チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩とを合わせたチアミン誘導体を1〜65重量%、エチルアルコール又は酢酸を20〜95重量%、より好ましくは前者を2〜50重量%、後者を25〜90重量%含んでいる。
本発明の食品用殺菌剤組成物は、上記の特性を損なわない範囲で、他の成分、例えば、酸、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコール、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、消泡剤等を含んでもよい。酸には、塩酸、硫酸等の無機酸;クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、フィチン酸、乳酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸及びこれらの塩等が含まれ、これらの添加により組成物のpHを調整できる。チアミン誘導体の溶解性を向上させるため、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸などの脂肪酸からなるグリセリン脂肪酸エステル;カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪酸からなるショ糖脂肪酸エステルなどを利用できる。多価アルコールには、プロピレングリコール、グリセリンなどが含まれ、これらの添加により結晶析出の防止効果が得られる。炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩や、炭酸アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩や、炭酸水素アンモニウム等を用いることにより、チアミン誘導体の析出を抑制しうる。取扱時の発泡を抑制するためには、酢酸ナトリウム、グリセリンなどの消泡剤を利用できる。
エチルアルコール又は酢酸、水、チアミンセチル硫酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、及び必要に応じて他の成分を所定量配合し、撹拌、混合してチアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩を溶解させることにより、本発明の食品用殺菌剤組成物が得られる。なお、各成分の配合や混合の順序は特に限定されない。
こうして得られる食品用殺菌剤組成物は、単独で、又はその他の公知の食品添加剤と組み合わせて、飲食物や調理器具などの殺菌剤や制菌剤、食品の日持ち向上剤等として利用できる。
本発明の食品の製造方法は、上記本発明の食品用殺菌剤組成物を食品に添加する工程を含んでいる。
食品用殺菌剤組成物が添加される食品としては、例えば、サラダ、卵焼き、フライ食品、和え物、鶏から揚げ、煮物等の総菜類;パン、米飯、味付け米飯などの主食類;蒲鉾、竹輪等の水産練り製品;梅干し、たくあん、生姜、ラッキョウ、野沢菜等の漬物類;ハム、ソーセージ等の畜肉練り製品;あん、ジャム、バター、チーズ、和菓子、洋菓子等の嗜好品;生麺、ゆで麺等の麺類;ソース、醤油等の調味料;スープ類等が挙げられる。
食品用殺菌剤組成物を食品に添加する方法としては、特に制限はなく、本発明の食品用殺菌剤組成物を必要に応じて希釈又は濃縮して直接食品に添加する方法、直接食品に練り込む方法、食品に噴霧する方法や、食品用殺菌剤組成物に食品を浸漬する方法などが挙げられる。食品用殺菌剤組成物の食品への添加時期も特に制限はなく、食品の加工前、加工中、加工後の何れであってもよい。
食品への食品用殺菌剤組成物の添加量は、所望の抗菌活性が得られ、且つ食品の風味等を損なわない範囲から適宜選択でき、食品に対するチアミン誘導体の最終濃度が、例えば10〜500ppm、好ましくは30〜400ppm、より好ましくは40〜300ppm程度となる範囲である。
本発明の食品の製造方法によれば、食品用殺菌剤組成物を食品に添加する工程を含むため、食品本来の風味や外観を損なうことがなく、低温保存時にも品質を安定に維持でき、食品の日持ちを向上することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例1、4及び評価試験に使用したSMA培地、PDA培地、及びデスオキシコーレイト培地は、以下に示す成分組成を有している。
SMA培地(培地1L中):
酵母エキス2.5g、トリプトン5.0g、ブドウ糖1.0g、寒天15.0g
PDA培地(培地1L中):
バレイショ浸出液200.0g、ブドウ糖20.0g、寒天15.0g
デスオキシコーレイト培地(培地1L中):
ペプトン10.0g、乳糖10.0g、デスオキシコール酸ナトリウム1.0g、塩化ナトリウム5.0g、リン酸2カリウム2.0g、クエン酸鉄アンモニウム2.0g、中性紅0.033g、寒天15.0g
参考例1
日本化学療法学会MIC測定法に従い、チアミンセチル硫酸塩の最小発育阻止濃度(MIC)を、接種菌量106cfu/mlの条件下、pHを4〜7に調整した各培地について測定した。その結果を表1に示す。表中、「−」は、菌の発育が認められなかったことを示し、数値の単位は「重量%」を示す。
Figure 2005097171
表1に示されるように、チアミンセチル硫酸塩は種々の微生物に対して抗菌性を有するが、特にカビに対して優れた抗菌作用を発揮する。
実施例1
チアミンセチル硫酸塩(C)、チアミンラウリル硫酸塩(L)、又はこれらの1:9(重量比)混合物(C+L)からなるチアミン誘導体10重量%、エタノール54重量%、及び水36重量%の割合で混合、溶解した各液体製剤を、添加後のチアミン誘導体の濃度(重量ppm)が表2に示される値となるようにPDA培地に添加して、4種の菌の培養液(Deb.:Debaryomyces hansenii, Sac.:Saccharomyces cerevisiae, Asp.:Aspergillus niger, Pen.:Penicillium citrinum)を各培地に一定量植菌した後、35℃で48時間保存し、生菌数を測定した。これらの結果を表2に示す。表中、数値は培地1g当たりの生菌数を示し、「−」は陰性を意味している。
Figure 2005097171
表2に示されるように、チアミンラウリル硫酸塩は酵母に、チアミンセチル硫酸塩はカビに対してそれぞれ特に高い殺菌作用を示した。また、これらを組み合わせて用いた場合には、相乗的効果により抗菌作用が著しく向上した。
実施例2
チアミンセチル硫酸塩1重量%、チアミンラウリル硫酸塩9重量%、エタノール54重量%、及び水36重量%の割合で混合、撹拌して、チアミン誘導体が完全に溶解した透明の水溶液を得た。この水溶液を、4℃に設定した低温恒温室中に保管したところ、保管1ヶ月後も、濁りや沈殿がなく透明であり、安定な水溶液状態を維持していた。
実施例3
チアミンセチル硫酸塩2重量%、チアミンラウリル硫酸塩8重量%、エタノール54重量%、及び水36重量%の割合で混合、撹拌して、チアミン誘導体が完全に溶解した透明の水溶液を得た。この水溶液を、4℃に設定した低温恒温室中に保管したところ、保管1ヶ月後も、濁りや沈殿がなく透明であり、安定な水溶液状態を維持していた。
実施例4
チアミンセチル硫酸塩(C)、チアミンラウリル硫酸塩(L)、又はこれらの1.7:8.3(重量比)混合物(C+L)からなるチアミン誘導体10重量%、酢酸75重量%、及び水15重量%の割合で混合、溶解した各液体製剤を、添加後のチアミン誘導体の濃度(重量ppm)が表3に示される値となるようにPDA培地へ添加して、4種の菌の培養液(Deb.:Debaryomyces hansenii, Sac.:Saccharomyces cerevisiae, Asp.:Aspergillus niger, Pen.:Penicillium citrinum)を各培地に一定量植菌した後、35℃で48時間保存し、生菌数を測定した。これらの結果を表3に示す。表中、数値は培地1g当たりの生菌数を示し、「−」は陰性を意味している。
Figure 2005097171
表3に示されるように、チアミンラウリル硫酸塩は酵母に、チアミンセチル硫酸塩はカビに対してそれぞれ特に高い殺菌作用を示した。また、これらを組み合わせて用いた場合には、相乗的効果により抗菌作用が著しく向上した。
実施例5
チアミンセチル硫酸塩1.7重量%、チアミンラウリル硫酸塩8.3重量%、酢酸75重量%、及び水15重量%の割合で混合、撹拌して、チアミン誘導体が完全に溶解した透明の水溶液を得た。この水溶液を、4℃に設定した低温恒温室中に保管したところ、保管1ヶ月後も、濁りや沈殿がなく透明であり、安定な水溶液状態を維持していた。
実施例6
チアミンセチル硫酸塩1.4重量%、チアミンラウリル硫酸塩8.6重量%、酢酸75重量%、及び水15重量%の割合で混合、撹拌して、チアミン誘導体が完全に溶解した透明の水溶液を得た。この水溶液を、4℃に設定した低温恒温室中に保管したところ、保管1ヶ月後も、濁りや沈殿がなく透明であり、安定な水溶液状態を維持していた。
実施例7
チアミンセチル硫酸塩1.25重量%、チアミンラウリル硫酸塩8.75重量%、酢酸75重量%、及び水15重量%の割合で混合、撹拌して、チアミン誘導体が完全に溶解した透明の水溶液を得た。この水溶液を、4℃に設定した低温恒温室中に保管したところ、保管1ヶ月後も、濁りや沈殿がなく透明であり、安定な水溶液状態を維持していた。
実施例8
チアミンセチル硫酸塩1.1重量%、チアミンラウリル硫酸塩8.9重量%、酢酸75重量%、及び水15重量%の割合で混合、撹拌して、チアミン誘導体が完全に溶解した透明の水溶液を得た。この水溶液を、4℃に設定した低温恒温室中に保管したところ、保管1ヶ月後も、濁りや沈殿がなく透明であり、安定な水溶液状態を維持していた。
実施例9
チアミンセチル硫酸塩1重量%、チアミンラウリル硫酸塩9重量%、酢酸75重量%、及び水15重量%の割合で混合、撹拌して、チアミン誘導体が完全に溶解した透明の水溶液を得た。この水溶液を、4℃に設定した低温恒温室中に保管したところ、保管1ヶ月後も、濁りや沈殿がなく透明であり、安定な水溶液状態を維持していた。
(評価試験)
エタノール溶剤における抗菌性の評価
鶏モモ肉、牛蒡、人参、椎茸、油揚げ、醤油、味醂、酒等を加えた味付け米飯に、実施例2及び3のチアミン誘導体の水溶液を0.1重量%、又は0.2重量%添加した食品添加物入り米飯を得た。これらを官能試験したところ、味は良好であり、不快臭は一切認められなかった。上記の食品添加物入り米飯を各々弁当箱に詰めて30℃で保存した。24時間ごとに4日間サンプルを採取し、SMA培地を用いて一般生菌数を、PDA培地を用いてカビ・酵母数を、デスオキシコーレイト培地を用いて大腸菌数を、それぞれ測定した。なお、生菌数の測定は、サンプルを培地に添加し、SMA培地では37℃で48時間、PDA培地では25℃で5日間、デスオキシコーレイト培地では35℃で24時間保存した後に行った。これらの結果を表4に示す。表中、数値は味付け米飯1g当たりの生菌数を表しており、「−」は陰性を示し、使用量の下欄(換算値)には、味付け米飯におけるチアミン誘導体の含有量(チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩の総量)を示す。
Figure 2005097171
表4に示されるように、チアミン誘導体の水溶液を添加しない場合は、24時間経過後の食品において微生物の繁殖が見られるが、チアミン誘導体が100ppm含まれている食品は72時間(3日)経過後まで、200ppmのときは96時間(4日)経過後も微生物の繁殖が抑制されており、良好な日持ち安定性を有していた。
酢酸溶剤における抗菌性の評価
また、下準備したむきえび、かんぴょう、人参、干し椎茸、あなごを砂糖、醤油で煮汁がなくなるまで煮た材料を、寿司酢を混ぜたご飯に加え、実施例5〜9のチアミン誘導体の水溶液を0.1重量%、又は0.2重量%添加した食品添加物入り米飯を得た。これらを官能試験したところ、味は良好であり、不快臭は一切認められなかった。上記の食品添加物入り米飯を各々弁当箱に詰めて30℃で保存した。24時間ごとに4日間サンプルを採取し、SMA培地を用いて一般生菌数を、PDA培地を用いてカビ・酵母数を、デスオキシコーレイト培地を用いて大腸菌数を、それぞれ測定した。なお、生菌数の測定は、サンプルを培地に添加し、SMA培地では37℃で48時間、PDA培地では25℃で5日間、デスオキシコーレイト培地では35℃で24時間保存した後に行った。これらの結果を表5に示す。表中、数値は具入り酢飯1g当たりの生菌数を表しており、「−」は陰性を示し、使用量の下欄(換算値)には、味付け米飯におけるチアミン誘導体の含有量(チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩の総量)を示す。
Figure 2005097171
表5に示されるように、チアミン誘導体の水溶液を添加しない場合は、24時間経過後の食品において微生物の繁殖が見られるが、チアミン誘導体が100ppm含まれている食品は72時間(3日)経過後まで、200ppmのときは96時間(4日)経過後も微生物の繁殖が抑制されており、良好な日持ち安定性を有していた。

Claims (4)

  1. エチルアルコール又は酢酸を含む水溶液に、チアミンセチル硫酸塩及びチアミンラウリル硫酸塩が溶解した食品用殺菌剤組成物。
  2. チアミンセチル硫酸塩とチアミンラウリル硫酸塩との比率が、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1の範囲である請求項1記載の食品用殺菌剤組成物。
  3. チアミンセチル硫酸塩及びチアミンラウリル硫酸塩を合わせて1〜65重量%、エチルアルコール又は酢酸を20〜95重量%含む請求項1又は2記載の食品用殺菌剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の食品用殺菌剤組成物を食品に添加する工程を含む食品の製造方法。
JP2003332878A 2003-09-25 2003-09-25 食品用殺菌剤組成物及び食品の製造方法 Expired - Lifetime JP3514752B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003332878A JP3514752B1 (ja) 2003-09-25 2003-09-25 食品用殺菌剤組成物及び食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003332878A JP3514752B1 (ja) 2003-09-25 2003-09-25 食品用殺菌剤組成物及び食品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3514752B1 JP3514752B1 (ja) 2004-03-31
JP2005097171A true JP2005097171A (ja) 2005-04-14

Family

ID=32064557

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003332878A Expired - Lifetime JP3514752B1 (ja) 2003-09-25 2003-09-25 食品用殺菌剤組成物及び食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3514752B1 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007137874A (ja) * 2005-10-19 2007-06-07 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有粉末製剤、およびチアミンラウリル硫酸塩の水への溶解度を高める方法
JP2007295898A (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有液状製剤
JP2007297355A (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有水溶液製剤
JP2008179575A (ja) * 2007-01-25 2008-08-07 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有粉末製剤
JP2010051259A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Mizkan Nakanos:Kk 分離型液状調味料
JP2011046651A (ja) * 2009-08-27 2011-03-10 Hakuto Co Ltd 抗菌組成物及びその抗菌組成物を含有する化粧料

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006149261A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Mitsukan Group Honsha:Kk 褐藻類の調味方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007137874A (ja) * 2005-10-19 2007-06-07 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有粉末製剤、およびチアミンラウリル硫酸塩の水への溶解度を高める方法
JP2007295898A (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有液状製剤
JP2007297355A (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有水溶液製剤
JP2008179575A (ja) * 2007-01-25 2008-08-07 Okuno Chem Ind Co Ltd チアミンラウリル硫酸塩含有粉末製剤
JP2010051259A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Mizkan Nakanos:Kk 分離型液状調味料
JP2011046651A (ja) * 2009-08-27 2011-03-10 Hakuto Co Ltd 抗菌組成物及びその抗菌組成物を含有する化粧料

Also Published As

Publication number Publication date
JP3514752B1 (ja) 2004-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5096313B2 (ja) 食品用日持向上剤
Smith et al. Food additives data book
JP2006149384A (ja) 加工食品の製造方法
JP4669198B2 (ja) 漬物の製造方法および抗微生物性組成物
JP3514752B1 (ja) 食品用殺菌剤組成物及び食品の製造方法
JP6619561B2 (ja) 肉類及び魚介類の品質向上剤、並びに肉類及び魚介類の品質向上方法
JPH07313129A (ja) 食品の鮮度保持剤
US6602532B2 (en) Process of preserving food and food preservative
JP6368969B2 (ja) チアミン類の塩の呈味改善方法、ならびに食品添加剤の製造方法および食品添加剤
JPH11206356A (ja) 食品保存用水溶液組成物及びその製造方法
JP5693930B2 (ja) 抗菌剤組成物
JP2007222044A (ja) 食品用日持向上剤
JP2007063149A (ja) 抗菌剤
JP5466329B1 (ja) 水産練り製品の製造方法、水産練り製品および保存性向上剤
JP5172653B2 (ja) 食品用日持ち向上剤および日持ち向上方法
JP5260855B2 (ja) 食品保存剤および食品の保存方法
JP4467921B2 (ja) 米飯用製剤組成物
JP2000270821A (ja) 食品保存剤
JPH02135080A (ja) 食品殺菌保存剤
JPH07250658A (ja) 抗菌剤
JPH0421608A (ja) 抗菌剤
JP4748677B2 (ja) チアミンラウリル硫酸塩含有液状製剤
JPH0541969A (ja) 食品用保存剤
JPH048273A (ja) 食品用日持ち向上剤
JP2004250396A (ja) 防カビ剤、防カビ用組成物、及び防カビ性飲食物、並びに飲食物の保存性向上方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20031224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3514752

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090123

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100123

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110123

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120123

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130123

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130123

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term