JP4668427B2 - 自動曲げシステム及びこのシステムのためのマニピュレータ - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、協働する一対の曲げツールを有する自動曲げプレスと、作業空間内において動作可能で且つ互いに独立する少なくとも2つのテイクアップ部材を受けるようになっているツールホルダが設けられたヘッドを有する自動マニピュレータとを備えた自動曲げシステムに関する。
【0002】
背景技術
この種の従来の曲げシステムにおいて、マニピュレータは、一片のシートメタルを曲げプレスに供給するようにプログラムされている。この場合、曲げプレスは、曲げサイクル中においてシート片を保持して移動させるとともに、曲げサイクルの終端でシート片を解放する。一片のシートメタルの曲げサイクルは、一般に、シートが垂直に積み重ねられたパックから1枚のシートを拾い上げる工程を備えている。大抵の場合、この動作を行なうために、吸引吸着盤を有するテイクアップ部材が使用される。任意の他のタイプのテイクアップ部材は、パックからの1枚のシートの拾い上げを極めて複雑にする。特に、シート片が小さい場合、シート片をその縁部に沿ってテイクアップ部材により保持しなければならない場合、吸着盤の弾性によってシート片の所望の正確な位置決めができない場合において、吸引吸着盤を有するテイクアップ部材は、曲げサイクル中にシートを保持するのに適さないことがある。
【0003】
そのため、例えば吸引吸着盤を有するテイクアップ部材およびグリッパによって形成される2つの別個のテイクアップ部材を備えたヘッドを有する自動曲げシステムのマニピュレータが既に製造されている。同一のヘッド上に配置された2つ以上のテイクアップ部材を使用する場合に生じ得る問題の1つは、そのようなテイクアップ部材が動作中に互いに干渉し、あるいは、そのようなテイクアップ部材が動作中にマニピュレータの一部または曲げプレスの一部と干渉する危険性である。
【0004】
また、この種の知られたマニピュレータは、ヘッドの回転を制御する専用の第1のモータと、ツールホルダの回転を制御する専用の第2のモータとを備えている。このような解決策は、特にマニピュレータの作業プログラムが第1および第2の軸の同時使用を与えない場合には、利用可能なモータの能力を最大限に利用できない。
【0005】
発明の開示
本発明の目的は、簡単且つコンパクトな構造を有するとともに、最大の自由度をもって動作でき、テイクアップ部材との干渉を防止できる、説明の冒頭で規定したタイプの曲げシステムを提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、モータの能力を最良の方法で利用できるとともに、これを他の状態でも実現でき、小型で安価なモータの使用を可能とする前述したタイプのマニピュレータを提供することである。
【0007】
請求項1に記載の発明にあっては、自動曲げシステムであって、互いに協働する一対の曲げツール(48,50)を有する自動曲げプレス(46)と、作業空間内において動作可能で且つ互いに独立する少なくとも2つのテイクアップ部材(32,34,38,42)を受けるようになっているツールホルダ部材(29)を備えたヘッド(26)を有する自動マニピュレータ(10)と、を備えた自動曲げシステムにおいて、ヘッド(26)は第1の軸(28)を中心に回転可能であり、ツールホルダ部材(29)には、前記第1の軸の両側に配置され且つ第1の軸(28)と直交する共通の第2の軸(36)を中心に回転可能な2つのツール取付座部(30)が設けられていて、ヘッド(28)は、フォーク状アーム(18)によって支持されるとともに、前記アームの2つの分岐部間で回転可能であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の自動曲げシステムにおいて、前記取付座部(30)は、各ツール(32,34)を着脱可能に保持するようになっていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明にあっては、請求項1に記載の自動曲げシステムにおいて、前記テイクアップ部材の少なくとも1つ(32,34,38)は、それ自身の回転軸(36)と平行な平面に沿って一片のシートメタルを取り上げるために設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明にあっては、請求項1に記載の自動曲げシステムにおいて、前記テイクアップ部材の少なくとも1つ(42)は、それ自身の回転軸(36)と直交する平面に沿って一片のシートメタル(44)を取り上げるために設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明にあっては、請求項1に記載の自動曲げシステムにおいて、前記フォーク状アーム(18)は、ヘッドの回転軸(28)と平行な軸(20)を中心に回転可能な支持部(22)と、ヘッド(26)の回転軸(28)と直交する軸(25)を中心に支持部(22)に対して回転可能なフォーク状部(24)とを備えていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明にあっては、請求項5に記載の自動曲げシステムにおいて、マニピュレータ(10)は、第1の軸(16)を中心に回転可能な第1のアーム(12)を支持するベース(14)を備え、前記フォーク状アーム(18)は、第1のアーム(12)に装着されるとともに、第1の軸(16)と平行な第2の軸(20)を中心に回転可能であることを特徴とする。
【0009】
前述した解決策によって、両方のモータの動力は、ヘッドまたはツールホルダを動作させるために使用でき、あるいは、ヘッドとツールホルダとの間で分配され得る。各モータが各軸に対して専用のものである場合には、本発明による解決策によって、モータの能力を、それらが単独で駆動される時に各軸に利用可能な動力を変化することなく、半分にできる。また、歯車支持部材およびロードベアリング部品の特定の配置により、独立に動作できる2つの異なるテイクアップツールの接続を許容する非常にコンパクトなヘッドの製造が可能になる。
【0010】
発明を実施するための最良の形態
本発明の特徴および利点は、添付図面を参照しながら、全く限定的ではない以下の実施形態の詳細な説明に従って明らかになる。
【0011】
図1に示されるように、参照符号10は、第1のアーム12を備えたマニピュレータであり、第1のアーム12は、ベース14に装着され且つ水平軸16を中心に回転できる。第2のアーム18は、第1のアーム12によって支持されており、第1の軸16と平行な第2の軸20を中心に回転できる。第2のアーム18は、ベース部22とフォーク状アーム24とを備えている。ベース部22は、軸20を中心に回転可能にアーム12に接続されている。一方、フォーク状アーム24は、ベース部22に装着され、第2の軸20と直交する軸25を中心に回転できる。フォーク状アーム24の端部にはヘッド26が装着されており、このヘッド26は、軸25と直交する軸28を中心に回転できる。マニピュレータ10は、軸16,20,25,28を中心とする単一部材の回転を制御するための数値制御されたモータ(図示せず)を備えており、これにより、ヘッド26を、所定の作業空間内において、任意の地点に且つ任意の方向で位置決めすることができる。ヘッド26は、互いに正反対の2つの取付座部30を有するツールホルダ29を支持している。図1には、一方の取付座部だけが図示されている。図2および図3に示されるように、ヘッド26の取付座部30は、各テイクアップ部材(取り上げ部材)32,34を受けるようになっている。図示の実施形態において、テイクアップ部材32はグリッパ(把持部)によって形成され、テイクアップ部材34は、吸引吸着盤を有するテイクアップ装置によって形成されている。
【0012】
図6および図7に示されるように、テイクアップ部材32,34が正反対の位置に配置されているため、動作中にテイクアップ部材同志が干渉することはない。また、アーム18のフォーク状アーム24の形状により、非作動位置にあるテイクアップ部材とアーム18との干渉が回避される。ツールホルダ29は、ヘッド26の回転軸28と直交する軸36(図1)を中心に回転可能にヘッド26に接続されている。好ましい実施形態において、ヘッド26およびツールホルダ29の両者の回転を制御するための機構は、「エピサイクロイド歯車装置を有するヘッドを備えたマニピュレータ」と題する本出願人による同時係属の特許出願に詳細に開示されている。動作中、テイクアップ部材32,34は、ツールホルダ29に固定されるとともに、軸36を中心に一体で回転する。また、ヘッド26内には、圧縮流体をグリッパ32およびテイクアップ部材34に供給するためのパイプが配置されている。吸着盤テイクアップ部材には、ベンチュリーの原則に基づくそれ自体公知の手段、例えば、流体圧を使用して吸着盤の保持状態を規定する負圧を形成する手段が設けられている。
【0013】
テイクアップ部材32,34は、異なるタイプのテイクアップ部材と交換するために、ヘッド26から取り外すことができる。例えば、図4は、ヘッド26がテイクアップフレーム38を支持している場合を示しており、テイクアップフレーム38は、回転軸36と平行な平面に沿って一片のシートメタル40を取り上げるように配置されている。図5は、ヘッド26が吸着盤テイクアップフレーム42を支持している場合を示しており、吸着盤テイクアップフレーム42は、回転軸36と直交する平面に沿って一片のシートメタル44を取り上げる。
【0014】
図6から図9は、先に開示したマニピュレータ10と、互いに協働する曲げツール48,50を備えた自動曲げプレス46とを有する一体型曲げシステムを示している。マニピュレータ10のベース14はガイド52に沿ってスライド可能に装着されており、ガイド52は、ビーム54によって支持されるとともに、ツール48,50によって規定される曲げ面と平行に延びている。
【0015】
図9に示されるように、本発明に係るマニピュレータ10は、パック58からシート56を持ち上げるために吸着盤テイクアップ部材34を使用することができる。また、図7に示されるように、吸着盤テイクアップ部材34は、一片のシートメタル56を曲げプレス46に与えるために使用することができる。シート片56に関する1つの曲げサイクル中において、マニピュレータ10は、シート片56を保持するピックアップ部材を交換することができる。吸着盤テイクアップ部材34に代えてグリッパ32を使用するため、一片のシートメタル56は、曲げプレス46の曲げツール48,50間に一時的に保持される。シート片が曲げツールによって保持されている間、吸着盤テイクアップ部材34の動作が停止されるとともに、グリッパ32を取り上げ位置へと移動させるためにヘッド26が軸28を中心に回転され、その後、シート片56がグリッパ32によって把持される。テイクアップ部材に関して曲げられるシート片の位置を変更する必要がある場合には、同じ手順が行なわれる。図6は、一片のシートメタル56がグリッパ32によって保持された曲げシステムの動作状態を示している。また、図8に概略的に示されるように、グリッパ32は、曲げサイクルの最後において一片のシートメタル56を収納装置60内に解放するために使用できる。
【0016】
以下、図10から図14を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0017】
本発明の主な特徴は、第1の軸28を中心とするヘッド26の回転および軸36を中心とするツールホルダ29の回転の制御方法にある。
【0018】
図10に示されるように、フォーク状アーム(フォーク状部)24は、2つの電動機126’,126”が収容されるベース124を有している。モータ126’,126”は、アーム24の各分岐部130’,130”内で延びる各歯付きベルト128’,128”を駆動する。
【0019】
図11および図12に示されるように、歯付きベルト128’,128”は、各減速ユニット136’,136”の入力部材134’,134”に固定された各プーリ132’,132”と協働する。減速ユニット136’,136”は、通常、市販されている産業ロボット用の減速装置である。減速ユニット136’,136”の外側ハウジングは、フォーク状アーム24の2つの分岐部130’,130”の端部に固定されている。減速ユニット136’,136”はそれぞれ出力部材140’,140”を有しており、出力部材140’,140”は、軸28を中心に回転できるとともに、減速ユニット136’,136”の内側に配置されてベアリング(図示せず)によって支持されている。出力部材140’,140”は、軸28と同軸で且つ軸28を中心に回転可能な傘歯車142’,142”に固定されている。
【0020】
図11および図12に示されるように、ヘッドは、軸28と同軸な一対のシャフト112b’,112b”が固定される中心体112aを備えている。ヘッドは、傘歯車142’,142”の内側に配置された一対のローラベアリング144’,144”により、軸28を中心に回転可能に支持されている。ヘッドの中心体112aは、中空であるとともに、両端部にフランジ116b、116c(図12)が設けられたシャフト116aによって形成されるツールホルダ29を内側で支持している。フランジ116bはシャフト116aと一体に形成され、フランジ116cはネジ結合によってシャフト116aに固定されている。フランジ116bには、両方の傘歯車142’,142”と噛み合う遊星歯車146が固定されている。ツールホルダ29は、軸36を中心にヘッドに対して回転できるとともに、一対のベアリング148’,148”によって支持されている。ベアリング148’は、中心体112aとフランジ116cとの間に配置されており、一方、ベアリング148”は、中心体112aと遊星歯車146との間に配置されている。シャフト116aは、図13に152,154で示される一対のツールの各取付部が挿入固定される座部150’,150”をその両端部に有している。図13に示される実施形態において、ツール152は吸着盤テイクアップ部材によって形成され、ツール154はグリッパによって形成されている。
【0021】
ツールホルダ29は、ツール152,154を直角に位置決めし且つツールをツールホルダ29に回転可能に接続するために役立つピン156’,156”をその両端部に有している。また、図示のヘッド・ツールホルダ組立体には、ツールホルダ29の接続座部150’,150”に圧縮流体を供給するための手段が設けられている。特に図12に示されるように、そのような手段は一対の回転空気マニホールド158’,158”を備えており。回転空気マニホールド158’,158”は、アーム24に固定されたマニホールド部材160’,160”を、ヘッド26のシャフト112b’,112b”の内側で延びる各パイプ162’,162”に接続する。パイプ162’,162”は、ヘッド26の中心体112aとツールホルダ29のシャフト116aとの間に配置された第2の回転空気マニホールド164に接続されている。回転マニホールド158’,158”,164は、それ自体知られた方法で、互いにOリングによって分離された複数の環状溝によって形成されている。パイプ166’,166”は、シャフト116aの内側に形成されるとともに、ツール152,154に圧縮流体を供給する。
【0022】
図14は、本発明に基づく動作原理を概略的に示している。2つの傘歯車142’,142”は、互いに別個のモータによってそれぞれ回転駆動される。これら2つの傘歯車142’,142”は、その中でヘッド26が遊星キャリアを形成するエピサイクロイド歯車の入力部材を形成する。遊星歯車146は、両方の入力歯車142’,142”に噛み合うとともに、ツールホルダを形成するシャフト29に回転可能に接続される。図14から分かるように、2つの入力歯車142’,142”が同じ速度で反対方向に回転すると、ヘッド26は静止したまま保持され、ツールホルダ29が軸36を中心に回転する。逆に、歯車142’,142”が同じ速度で同じ方向に回転すると、歯車146およびツールホルダ29は軸36を中心に回転せず、ヘッド26が軸28を中心に回転する。2つの歯車142’,142”が異なる速度で回転駆動されると、軸28を中心とするヘッド26の回転と、軸36を中心とするツールホルダ29の回転とが同時に得られる。したがって、2つの軸が単独で駆動される場合には、2つのモータ126’,126”の動力の合計と等しい動力を各軸28または36に集中させることができる。また、2つの軸28,36が同時に駆動される場合、全動力は、軸の回転速度に比例して分配される。
【0023】
無論、本発明の原理を同一に維持したまま、以下の請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、先に説明して図示した構成や実施形態の内容を大きく変化させても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る曲げシステムに使用される自動マニピュレータの斜視図である。
【図2】 図1のマニピュレータの異なった動作状態を示す斜視図である。
【図3】 図1のマニピュレータの異なった動作状態を示す斜視図である。
【図4】 図1のマニピュレータの異なった動作状態を示す斜視図である。
【図5】 図1のマニピュレータの異なった動作状態を示す斜視図である。
【図6】 一片のシートメタルの曲げ操作を実行する本発明に係る曲げシステムを示す斜視図である。
【図7】 一片のシートメタルの曲げ操作を実行する本発明に係る曲げシステムを示す斜視図である。
【図8】 一片のシートメタルのピックアップおよび解放操作を行なっている本発明に係る曲げシステムを示す斜視図である。
【図9】 一片のシートメタルのピックアップおよび解放操作を行なっている本発明に係る曲げシステムを示す斜視図である。
【図10】 図1のX−X線に沿う拡大部分断面図である。
【図11】 図10の矢印XIで示された部分の拡大図である。
【図12】 図11のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】 2つのツールを備えたヘッドを示す図12と同様の断面図である。
【図14】 本発明に係るヘッドの動作原理を示す図である。
Claims (6)
- 互いに協働する一対の曲げツール(48,50)を有する自動曲げプレス(46)と、
作業空間内において動作可能で且つ互いに独立する少なくとも2つのテイクアップ部材(32,34,38,42)を受けるようになっているツールホルダ部材(29)を備えたヘッド(26)を有する自動マニピュレータ(10)と、
を備えた自動曲げシステムにおいて、
ヘッド(26)は第1の軸(28)を中心に回転可能であり、ツールホルダ部材(29)には、前記第1の軸の両側に配置され且つ第1の軸(28)と直交する共通の第2の軸(36)を中心に回転可能な2つのツール取付座部(30)が設けられていて、
ヘッド(28)は、フォーク状アーム(18)によって支持されるとともに、前記アームの2つの分岐部間で回転可能であることを特徴とする自動曲げシステム。 - 前記取付座部(30)は、各ツール(32,34)を着脱可能に保持するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の曲げシステム。
- 前記テイクアップ部材の少なくとも1つ(32,34,38)は、それ自身の回転軸(36)と平行な平面に沿って一片のシートメタルを取り上げるために設けられていることを特徴とする請求項1に記載の曲げシステム。
- 前記テイクアップ部材の少なくとも1つ(42)は、それ自身の回転軸(36)と直交する平面に沿って一片のシートメタル(44)を取り上げるために設けられていることを特徴とする請求項1に記載の曲げシステム。
- 前記フォーク状アーム(18)は、ヘッドの回転軸(28)と平行な軸(20)を中心に回転可能な支持部(22)と、ヘッド(26)の回転軸(28)と直交する軸(25)を中心に支持部(22)に対して回転可能なフォーク状部(24)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の曲げシステム。
- マニピュレータ(10)は、第1の軸(16)を中心に回転可能な第1のアーム(12)を支持するベース(14)を備え、前記フォーク状アーム(18)は、第1のアーム(12)に装着されるとともに、第1の軸(16)と平行な第2の軸(20)を中心に回転可能であることを特徴とする請求項5に記載の曲げシステム。
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