JP4666829B2 - 担持金属の微粒子化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、担体に担持してなる担持金属において、粒子径の大きくなった金属を溶解回収して、再度、微粒子を調製することなく、金属成分を担体中で微粒子化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
担持金属は、触媒反応などでは、使用するにつれて金属成分のシンタリングが起こり、金属粒子が大きくなることは避けられない。
大きくなった金属粒子を小さくする方法としては、金属成分を担体から溶解回収し、精製して、再度調製することで微粒子化する方法が行われている。
また、これまでは、金属のシンタリングによる粒子成長を抑制するための手段はいろいろ検討されてきている。
【0003】
「触媒劣化メカニズムと防止対策」(出版社;技術情報協会、1995年)には、シンタリングを抑制するには、▲1▼第2成分を添加する、▲2▼担体を選定して担体との結合を強める、また▲3▼イオン交換法によって担持して担体との結合を強めるなどの対策が記載されている。
第2成分を添加して抑制する例としては、石油のリホーミング反応で白金/アルミナ触媒にレニウムを、及び/又はアンモニア合成反応で鉄触媒にアルミナを、及び/又は低温COシフト反応で銅に酸化亜鉛/酸化クロムを、添加してシンタリングを防止している。
担体を選定して担体との結合を強める場合、例えば、チタニア>アルミナ>シリカの順に結合が強いことが知られている。
イオン交換法によって担持して担体との結合を強める場合、例えば、シリカアルミナなどの固体酸に白金を陽イオンとして担持すると分散度が高まり、シンタリングが防止される。
【0004】
上記のようにシンタリング防止対策は数多く行われているが、大きくなった金属粒子を、再び、微粒子化するような試みはなされていなかった。
即ち、担体中でエネルギー的に安定な大きな金属粒子から、再度、不安定な小粒子へと戻すことは非常に困難であると考えられていた。
従来技術では、担持金属を溶解、回収して、再度調製を行い、微粒子化させるため、工程とコストが多く掛かってしまう状況にあり、経済性に優れた容易な担持金属の微粒子化方法が待ち望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、レニウムのうち少なくとも1つを担体に担持してなる担持金属において、粒子径の大きくなった金属を溶解回収して、再度、微粒子を調製することなく、担体中で容易に微粒子化させる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の通りのものである。
(1)パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、レニウムの中の少なくとも1つを担体に担持してなる担持金属において、該金属を担体中で小さくする方法であって、処理前後の金属の粒子径比D1/D2≧1.1(D1;処理前金属粒子径、D2;処理後金属粒子径)であり、且つ微粒子化処理後に金属の90%以上が担体中に残存する微粒子化方法において、乾燥した金属を担持した担体に少なくとも担持金属のモル量以上の塩素化合物を含む溶液をVa/V0=0.5〜1.5(Va;塩素化合物を含む溶液の容量、V0;金属を担持した担体の細孔容積)となる量を含浸し乾燥した後に、酸素を含む雰囲気下、120〜600℃の範囲内で焼成し、還元することを特徴とする、担持金属の微粒子化方法である。
(2)担体に担持してなる担持金属がパラジウムであって、含浸条件が少なくとも担持パラジウムのモル量以上の塩素化合物を含む溶液を含浸してなることを特徴とする、(1)に記載の微粒子化方法である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明によれば、担体中で何らかの理由で粒子径の大きくなった金属を取り出すことなく担体中で微粒子化することができるため、従来のように金属を溶解回収して、再度、微粒子を調製する必要がない。
そのため、金属の溶解回収工程や新たな担体も不要であり、調製コストが大幅に削減できる。
そこで、超音波は局所的には数千度の熱を与え、接着剤を用いない樹脂の融着方法;ホモジナイザーとしての利用など、特異的な現象を利用した技術が知られているために、大きくなって安定な金属粒子に、超音波による物理的な力を加えてみた。しかし、担持金属では全く微粒子化効果が見られなかった。
【0008】
微粒子が成長する過程は系の持つエネルギーが安定化する方向であり、大きな粒子が小さくなる方向は、安定な状態から不安定な状態に逆行することになる。
従って、金属の状態のままでは微粒子化することは非常に難しいと考えた。
そこで、金属の価数を変え、金属粒子をイオン化して、担体の細孔内で原子レベルの距離を移動させ、原子レベルで再配列させることができれば、担体中で微粒子化でき得るという、これまでには考えられなかった新たな方法を試みた。
まずは、担持金属を焼成して酸化物の形にしてから還元する方法を試みた。
焼成温度100〜600℃では微粒子化効果は見られなかった。さらに、900℃までの高温範囲での焼成温度での検討を行ったが、シンタリングで金属粒子径が大きくなることはあっても、微粒子化するような効果は見られなかった。
【0009】
単に、金属を担持サイトで焼成して金属の価数を変えるだけでは微粒子化は難しいことが分かり、金属の原子レベルでの溶融による移動を組み合わせることが必要と推定した。
そこで、一旦、金属を細孔内で溶融させることが必要と考え、金属を溶かすために酸成分の添加を検討した。
塩化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩など様々な酸成分を試行錯誤した結果、粒子径の大きくなった金属を塩素化合物溶液を含浸することによって、担体中に溶融塩の形で溶解していると推定される現象を見出した。
その後、担体との相互作用等によって担体内で塩が分断された後に、焼成、還元過程で、酸化物等から金属に還元され、微粒子化されるものと推定される。
【0010】
塩素化合物溶液量が金属を担持した担体の細孔容積より過剰の場合は、金属の一部が担体外にあふれ出すため、処理後の担体中の金属残存率が悪くなってしまう。
逆に、溶液量が細孔容積よりも極端に少ない場合には、細孔内への塩素化合物の分散度合いが不十分となり、微粒子化が十分に進行しなくなると推定している。そのため、含浸する塩素化合物溶液量が非常に重要である。
以上の経緯を経て、塩素化合物量、塩素化合物溶液量、焼成条件等の最適化の検討を種々行い、本発明を完成させるに至った。
【0011】
以下、本発明の構成を具体的に説明する。
本発明で用いられる担体としては、細孔を有しているものであれば結晶性化合物、非結晶性化合物を問わずに原理的に適用可能であり、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、結晶性メタロシリケート、マグネシア、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア、水酸化マグネシウム、チタニア、シリカ−チタニア、ジルコニア、シリカ−ジルコニア、チタニア−ジルコニア、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、ランタニア、セリア、活性炭、ベントナイト、ボ−キサイト、珪藻土、シリコンカ−バイド、ゼオライト、アルミン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、その他の多孔性の複合酸化物などが挙げられる。また、スチレン−ジビニルベンゼン型多孔性イオン交換樹脂、その他の多孔性ポリマーも担体として用いることができる。
【0012】
中でも、本発明の適用に効果的なものとしては、細孔容積が比較的大きな材料であり、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、アルミン酸マグネシウム、活性炭などの1nm〜数百nmの細孔を有する材料である。
担体の細孔容積は、大きすぎると担体中の金属と塩素化合物との接触確率が小さくなり、微粒子化が不十分となる。また、金属の担体外への溶出も懸念されるため、0.1〜3.0cm3/g、好ましくは0.2〜1.5cm3/gのものが適している。
金属を担持した担体の形態は、粒子、ペレット、ハニカム状など様々な形態、大きさに適用できる。
粒状担体の具体的なサイズとして、担体の粒子径は、サブミクロン〜数ミリの幅広い範囲で適用できる。
【0013】
しかし、サブミクロンの極端に小さすぎるサイズでは金属の溶出が増大する危険性がある。一方、数ミリの大きいサイズの担体では金属成分の担持分布が不均一になるため、微粒子化効果も不均一になる場合がある。
そのため、担体の粒子径は、好ましくは5μm〜500μm、より好ましくは10μm〜300μmである。
ここに挙げたサイズは、ハニカム状担持体の表面からの厚みにも同様に適用して行うことができる。
【0014】
本発明の微粒子化処理を行うことが可能な金属担持量は、担体重量に対して0.1〜25重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。担持金属には、異種元素として鉛、ビスマス、水銀、タリウム、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、マンガン、銀、アンチモン、スズ、金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素等を含んでも構わない。
本発明は、担体に担持された粒子径の大きくなった金属を溶解回収して、再度、微粒子を調製することなく、担体中で微粒子化する方法であって、乾燥した金属を担持した担体に塩素化合物溶液を含浸し乾燥後、焼成、還元して微粒子化させる方法である。
【0015】
以下に本発明について具体的な例を用いて詳細に説明する。
本発明は、塩素化合物を含浸して金属を溶融塩と推定される形態にするところが特徴である。
用いる塩素化合物としては、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ラジウムなどのアルカリ土類金属の塩化物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウムなどのアルカリ金属の塩化物;塩化ランタン、塩化セリウム、塩化プラセオジム、塩化ネオジム、塩化プロメチウム、塩化サマリウム、塩化ユーロピウム、塩化イッテルビウム、塩化ルテチウムなどの希土類金属の塩化物;塩化スカンジウム、塩化イットリウム、塩化アルミニウム;クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、塩化ビニル、1,1,1,−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化ビニリデン、塩化アリル、クロロ酢酸、クロロプレン等の有機塩化物;塩酸等を用いることができる。処理に用いる溶媒の種類によって、これらの中から選定して用いる。
特に、操作の容易な水を溶媒として用いる場合は、アルカリ土類金属類が好ましく、さらに好ましくは塩化マグネシウムを用いると良い。
【0016】
塩素化合物を含浸する前処理として、まず、金属を担持した担体を乾燥し、担体細孔内の水分等を除去する。
一般的な操作に要する時間から、処理が可能な担持金属の粒子径範囲は、1nm〜数百nmの広い範囲で適用できる。
粒子径が数百nmより大きい場合、微粒子化を促進するための時間がかかりすぎる。また、微粒子効果が小さくなる。
その粒子径範囲として、好ましくは2nm〜100nm、より好ましくは4nm〜50nmの範囲である。
【0017】
次いで、塩素化合物溶液を金属を担持した担体に含浸する。
この際、少なくとも担持金属モル量以上に相当する塩素化合物を、溶解できうる少量の溶媒に溶解させた溶液をゆっくりと添加し、金属を担持した担体をかき混ぜるなど、均一に塩素化合物を分散させて細孔に含浸させた後、乾燥処理を施す。
含浸させる塩素化合物溶液の量は、処理後の担体中の金属残存量が90%以上となるように、Va/V0=0.5〜1.5(Va;塩素化合物を含む溶液の容量、V0;金属を担持した担体の細孔容量)の範囲内で調節する。
【0018】
Va/V0が0.5より小さい場合は、処理後の担体中の金属残存量は90%以上で問題ないが、微粒子化度合いが悪くなり、処理前後の金属の粒子径比D1/D2(D1;処理前金属粒子径、D2;処理後金属粒子径)が1.1未満となり好ましくない。
Va/V0が1.5より大きい場合は、微粒子化の観点からは問題ないが、処理後の担体中の金属残存量が90%未満となってしまう。
Va/V0が好ましくは0.8〜1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1の範囲である。
この方法により、金属の担体外への溶出を10%以下に抑え、担体細孔内での金属成分の微粒子化が可能になる。
【0019】
処理前後の金属の粒子径比D1/D2(D1;処理前金属粒子径、D2;処理後金属粒子径)であるが、担体中の金属の粒子径が2倍になった時に再微粒子化すると仮定した場合、D1/D2≧1.1であり、好ましくは≧1.2、より好ましくは≧1.5である。
D1/D2が2を越えても、つまり、処理後の金属粒子径が調製時のフレッシュな担持金属の金属粒子径より小さくなっても全く構わない。
【0020】
焼成工程においては、酸素を含む雰囲気下で焼成を行う。
酸素濃度は特に限定されるものではなく、0.001〜100容量%の範囲内が、焼成時間の短縮と操作性から好ましくは0.1〜50容量%の範囲内、さらに好ましくは操作の容易な空気中で焼成することができる。
焼成温度は担持金属成分や担持量、処理量によって異なるため限定されるものではないが、120〜600℃の範囲内で焼成を行うのがよい。
焼成温度は、好ましくは120〜450℃、より好ましくは150〜400℃、さらに好ましくは150℃〜350℃の範囲の温度である。
範囲内の最低温度より低い場合は、微粒子化の効果が小さく、金属粒子径は変化しない場合が多い。また、600℃を越えた場合は、担持金属種のシンタリングが起こるため、粒子径が逆に大きくなる傾向が見られる。
焼成時間は、担持金属量、処理量、酸素濃度、焼成温度等によって異なるが、通常0.1〜48時間、好ましくは0.2〜24時間である。
高い酸素濃度ほど短時間で焼成を実施できる。
【0021】
担体としてスチレン−ジビニルベンゼン型多孔性イオン交換樹脂やその他の多孔性ポリマーを用いた場合は、焼成条件が異なる。
有機化合物は高温で焼成すると燃えて炭になってしまうため、酸素濃度と焼成温度の管理が必要である。
酸素濃度は、0.001〜10容量%、好ましくは0.1〜5容量%である。焼成温度は、120〜200℃、好ましくは120〜180℃である。焼成時間は、担持金属量、処理量、酸素濃度、焼成温度等によって異なるが、通常1〜48時間、好ましくは2〜24時間である。
低酸素濃度で、時間をかけて行うのが好ましい。
【0022】
還元は常法に従って実施することができる。
酸化された金属イオンを0価の金属の状態に戻すため、焼成担持金属を水に分散し、ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、NaBH4もしくは分子状水素を吹き込む等で還元する。
この時の温度は特に限定されるものではないが、10〜200℃、好ましくは20〜160℃の範囲内で行う。
メタノール等のアルコール類を還元剤として用いることもできる。
或いは、焼成担持金属を気相中で分子状水素やアルコールで還元してもよい。気相水素還元温度は金属によって異なるので、特に限定されるものではないが、100〜600℃が好ましいが、より好ましくは200〜400℃である。
【0023】
ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、メタノール、もしくは分子状水素の使用量は、一般的には、金属担持量に対し0.1〜100倍モル、実用的には0.5〜10倍モルが使用される。また、この量を越えても特に問題はない。
また、還元剤と同時に苛性ソーダなどのアルカリを加えておくと還元がより容易に進行する。通常、アルカリの量は還元剤に対し1/100〜等モル程度である。
上記、各工程にて処理を施すことにより、粒子径の大きな金属成分が担体中で微粒子化される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に実施例及び比較例によって、本発明をより具体的に説明する。
(1)金属粒子径の測定;
金属粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した。
使用装置は日立製HF−2000である。測定条件は、加速電圧200kV、撮影倍率200,000倍、写真倍率1,500,000倍とした。
金属粒子径は、TEM像から観察された金属粒子を50点抽出し、平均粒子径として求めた。
(2)金属を担持した担体の細孔容積(V0 )の測定;
細孔容積は、ユアサアイオニクス製3検体全自動ガス吸着測定装置「オートソーブ−3B」を用いて測定した。
前処理として、測定サンプルを105℃に加熱し、真空度5mmTorr以下になるまで真空脱気した後、吸着ガスとして窒素を用いて、液体窒素下で測定を実施した。
【0025】
【実施例1】
パラジウムの粒子径が8nmで、細孔容量が0.3cm3/g、担体粒子径が60μmである担持金属Pd3Pb1.95/SiO2−Al2O3−MgO(Pd,Pbの右肩の数字は、担体100重量部当たりの重量部を表す)200g(パラジウム含有量0.056モル)を真空乾燥機で80℃、6時間乾燥実施後、塩化マグネシウム六水和物50.2g(塩化マグネシウム量0.247モル)を水0.033dm3に溶解した液をゆっくりと噴霧しながら金属を担持した担体をかき混ぜ、塩化マグネシウムを均一に担体中に吸収させた。Va/V0=1.08(Va;50.2/1.57+33=65cm3、塩化マグネシウム六水和物の比重1.57g/cm3、V0;200×0.3=60cm3)となる。
【0026】
次いで、エバポレーターで減圧乾燥し、水分を除去し、空気中で300℃で2時間焼成処理を行った。次いで、水0.42dm3を90℃に加温したところに焼成担持金属を投入し、そこへ、ヒドラジン1水和物8.5gを含む水溶液を滴下しながら還元処理を1時間行った。最後に、ろ過、水洗を行い、処理担持金属を得た。
パラジウム粒子径は4.7nmとなった。D1/D2=1.70であり、担体中のパラジウム残存量は98%であった。処理前後の金属粒子のTEM写真を図1、図2に示した。これらは、何枚も撮影したTEM写真の中の1枚である。
【0027】
【比較例1】
実施例1の含浸させる塩化マグネシウム六水和物量を5g(塩化マグネシウム量0.025モル)とし、塩化マグネシウムを溶解する水量を0.01dm3とした以外は、実施例1と同様の操作で微粒子化処理を実施した。
Va/V0=0.22(Va;5/1.57+10=13.2cm3、塩化マグネシウム六水和物の比重1.57g/cm3、V0;200×0.3=60cm3)である。
パラジウム粒子径は7.8nmとなった。D1/D2=1.03であった。担体中のパラジウム残存量は99.5%であった。
【0028】
【比較例2】
実施例1で焼成温度を650℃とした以外は、実施例1と同様の操作で微粒子化処理を実施した。
パラジウム粒子径は8.5nmとなった。D1/D2=0.94であった。担体中のパラジウム残存量は98%であった。
【比較例3】
実施例1で焼成温度を100℃とした以外は、実施例1と同様の操作で微粒子化処理を実施した。パラジウム粒子径は8nmと変化なかった。
D1/D2=1.00であった。担体中のパラジウム残存量は98%であった。
【0029】
【比較例4】
実施例1で塩化マグネシウムを含浸後に焼成処理を行わない以外は、実施例1と同様の操作で微粒子化処理を実施した。
パラジウム粒子径は8nmと変化なかった。D1/D2=1.00であった。担体中のパラジウム残存量は97%であった。
【比較例5】
実施例1で塩化マグネシウム六水和物50.2gを水0.07dm3に溶解した以外は、実施例1と同様の操作で微粒子化処理を実施した。
Va/V0=1.70(Va;50.2/1.57+70=102cm3、塩化マグネシウム六水和物の比重1.57g/cm3、V0;200×0.3=60cm3)である。
パラジウム粒子径は4.9nmとなった。D1/D2=1.63であった。担体中のパラジウム残存量は86%であった。
【0030】
【実施例2】
実施例1で塩化マグネシウム六水和物13.76g(0.068モル)を水0.025dm3に溶解した以外は、実施例1と同様の操作で微粒子化処理を実施した。
Va/V0=0.56(Va;13.76/1.57+25=33.8cm3、塩化マグネシウム六水和物の比重1.57g/cm3、V0;200×0.3=60cm3)である。
パラジウム粒子径は7.1nmとなった。D1/D2=1.13であった。担体中のパラジウム残存量は99%であった。
【0031】
【実施例3】
パラジウム粒子径が12nmで、細孔容量が1.5cm3/g、担体粒子径が300μmである担持金属Pd10/活性炭(Pdの右肩の数字は、担体100重量部当たりの重量部を表す)200g(パラジウム含有量0.188モル)を乾燥後、塩化マグネシウム六水和物336.3g(塩化マグネシウム量1.654モル)を水0.22dm3に溶解した液をゆっくりと噴霧しながら金属を担持した担体をかき混ぜ、塩化マグネシウムを均一に担体中に吸収させた。Va/V0=1.45(Va;336.3/1.57+220=434cm3、塩化マグネシウム六水和物の比重1.57g/cm3、V0;200×1.5=300cm3)となる。次いで、エバポレーターで減圧乾燥し、水分を除去して、5%酸素/窒素で300℃で2時間焼成処理を行った。次いで、水0.42dm3を90℃に加温したところに焼成担持金属を投入し、そこへ、ヒドラジン1水和物28.2gを含む水溶液を滴下しながら還元処理を1時間行った。最後に、ろ過、水洗を行い、処理担持金属を得た。
パラジウム粒子径は6.7nmとなった。D1/D2=1.79であった。担体中のパラジウム残存量は91%であった。
【0032】
【実施例4】
ルテニウム粒子径が13nmであり、細孔容量が0.23cm3/g、担体粒子径が120μmである担持金属Ru5/SiO2(Ruの右肩の数字は、担体100重量部当たりの重量部を表す。)200g(ルテニウム含有量0.099モル)を乾燥後、塩化マグネシウム六水和物40.3g(塩化マグネシウム量0.198モル)を水0.027dm3に溶解した液をゆっくりと噴霧しながら金属を担持した担体をかき混ぜ、塩化マグネシウムを均一に担体中に吸収させた。Va/V0=1.15(Va;40.3/1.57+27=52.7cm3、塩化マグネシウム六水和物の比重1.57g/cm3、V0;200×0.23=46cm3)となる。次いで、エバポレーターで減圧乾燥し、水分を除去して、空気中で550℃で2時間焼成処理を行った。次いで、400℃で水素還元を3時間行い、処理担持金属を得た。ルテニウム粒子径は10.5nmとなった。D1/D2=1.24であった。担体中のルテニウム残存量は97%であった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、レニウムのうち少なくとも1つを担体に担持してなる担持金属において、粒子径が大きくなった金属を溶解回収して、再度、微粒子を調製することなく、担体中で容易に微粒子化させることができるため、工程、コストを削減することができ、操作性、経済性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理前の担持金属の微細構造を示すTEM写真(倍率150万倍)である。
【図2】処理後の担持金属の微細構造を示すTEM写真(倍率150万倍)である。
Claims (2)
- パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、レニウムの中の少なくとも1つを担体に担持してなる担持金属において、該金属を担体中で小さくする方法であって、処理前後の金属の粒子径比D1/D2≧1.1(D1;処理前金属粒子径、D2;処理後金属粒子径)であり、且つ微粒子化処理後に金属の90%以上が担体中に残存する微粒子化方法において、乾燥した金属を担持した担体に少なくとも担持金属のモル量以上の塩素化合物を含む溶液をVa/V0=0.5〜1.5(Va;塩素化合物を含む溶液の容量、V0;金属を担持した担体の細孔容積)となる量を含浸し乾燥した後に、酸素を含む雰囲気下、120〜600℃の範囲内で焼成し、還元することを特徴とする、担持金属の微粒子化方法。
- 担体に担持してなる担持金属がパラジウムであって、含浸条件が少なくとも担持パラジウムのモル量以上の塩素化合物を含む溶液を含浸してなることを特徴とする、請求項1記載の微粒子化方法。
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