JP5840475B2 - 多孔質酸化物被覆粒子、担持触媒およびこれらの製造方法 - Google Patents

多孔質酸化物被覆粒子、担持触媒およびこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は多孔質酸化物被覆粒子、担持触媒およびこれらの製造方法に関する。
担体に金属粒子を担持させてなる排ガス浄化等のために用いる触媒として、従来、種々のものが提案されている。例えば担体物質(例えばアルミナ、ゼオライトなど)に、活性金属と呼ばれる各種金属粒子(例えばPt(白金)、Pd(パラジウム)、Cu(銅)など)を担持させてなるものが提案されている。
また、担体に金属粒子を担持させて金属粒子担持触媒を製造する方法も、従来、種々のものが提案されている。例えば担持させる金属を溶解した溶液中に担体物質を投入して、当該担体物質上に金属粒子を析出させる方法や、コロイド状の微小な粒子を分散させた金属粒子分散液に担体物質を投入して金属粒子を担持させる方法が挙げられる。
例えば特許文献1には、金属酸化物などからなる微小な担体粒子の表面に、触媒活性をもつ微小な金属粒子を析出させる方法において、前記担体を合成する少なくとも一つの原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を、前記原料に照射し前記担体粒子を析出させる工程と、析出した前記担体粒子と触媒活性をもつ前記金属粒子を析出するための前記原料とに、同時に、前記原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を照射し、前記金属粒子を前記担体粒子の表面に析出させる工程と、析出した前記金属粒子を選別補収する工程とからなることを特徴とする触媒の製造方法が記載されている。
特許文献2には、金属粒子及び/または金属化合物粒子が、該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護する数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物と共に固体担体に吸着担持されてなり、該高分子化合物及び該固体担体の少なくとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さないことを特徴とする金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持複合体が記載されている。また、その製造方法として、分散媒、金属粒子及び/又は金属化合物粒子及び保護コロイド粒子作用を持つ数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物を含み、該粒子が該分散媒中に分散してコロイド粒子を形成し、且つ該高分子が該粒子に吸着して保護コロイド粒子として該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護してなるコロイド粒子分散液を提供し、該コロイド粒子分散液と固体担体とを接触させ、該高分子化合物および該固体担体の少なくとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さず、かくして、該高分子化合物で保護された該粒子が該固体担体に吸着されてなる粒子担持複合体を形成し、そして得られた複合体を該分散媒から単離することを特徴とする金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持複合体の製造方法が記載されている。
特許文献3には、金属含有イオン及び該金属含有イオンの還元により生成する金属粒子が担持される担体を含む溶液中にプロパルギルアルコールを加え、該金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を該担体上に担持した後、該担体を水素ガスを含有する還元性ガス中で熱処理して、該担体上の金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を金属含有コロイド粒子に還元することを特徴とする高分散金属含有コロイド粒子担持触媒の製造方法が記載されている。
特許文献4には、担体となる固体物質の存在下、金属の化合物またはイオンを含有した還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させるか、或いは、金属の化合物またはイオンを含有した、還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させた後に、担体となる固体物質を存在させることを特徴とする、金属含有コロイド粒子を表面に付着させた金属含有コロイド粒子付着担体の製造方法が記載されている。
特許文献5には、周期表第4周期から第6周期の2B族、3B族、4B族、5B族、6B族及び第4周期8族の少なくとも1種の第二元素と金とを含有する金属粒子が析出担持法により担体上に担持された金属粒子担持体が記載されている。また、その製造方法として金及びその化合物の少なくとも1種ならびに第二元素及びその化合物の少なくとも1種を含む担体を熱処理することを特徴とする製造方法が記載されている。
このような従来の金属粒子担持触媒は、使用を続けると金属粒子が融着や凝集、粒子成長を起こし、その結果、触媒活性の低下や、寿命が短くなる問題が生じていた。このような問題は、高温下で使用すると特に顕著になる。
これに対して高分子電解質型燃料電池(PEFC)電極用触媒が提案された。特許文献6には、白金族金属を含有するナノ粒子の表面に、無機酸化物からなる多孔質物質を有していることを特徴とする表面修飾化金属ナノ粒子が記載されており、このようなナノ粒子はナノ粒子同士が凝集するなどすることが顕著に抑制され、その活性が持続し、それを利用して触媒を製造して優れた性質を持つ高分子電解質燃料電池を提供できると記載されている。
なお、特許文献6には、多孔質の孔径について、燃料が金属ナノ粒子表面に拡散できる大きさであれば特に制限はないと記載されているものの、具体的な大きさについては全く記載されていない。
また、特許文献6には、多孔質の膜厚について、金属ナノ粒子同士の接触が防止できる厚さであれば特に制限はないが、燃料の金属ナノ粒子表面への拡散や、酸化反応で生じた電子の担持体への導電を阻害しない厚さであることが好ましい、と記載されており、具体的には、おおよそ0.5〜2nmの極薄のシリカ層が記載され、さらに、2つの実施例として、多孔質の膜厚がいずれも1nm程度であったことが記載されているのみである。
特開昭61−268359号公報 特開平5−293383号公報 特開平6−31181号公報 特開2003−13105号公報 特開2003−053188号公報 特開2005−276688号公報
特許文献6に記載の表面修飾化ナノ粒子について、上記のように記載されていることから判断すると、この表面修飾化ナノ粒子は高分子電解質燃料電池電極用触媒としても用いることを前提としているので、多孔質の層の厚さは、燃料が金属ナノ粒子表面へ拡散し、また、電子が導電する程度に薄くする必要があり、逆にいれば、その程度にまで多孔質の層が薄いので、多孔質の層の細孔は必須ではないと考えられる。
また、上記のように特許文献6には多孔質の孔径の大きさについて、具体的な記載はないので、本発明者は、特許文献6の実施例1に記載されているように、金属微粒子表面をアミノシランで処理し、ついで水ガラスで処理する方法によって、金属微粒子の表面をシリカで覆った表面修飾化金属ナノ粒子を製造し、そのシリカの層を観察した。その結果、細孔はほとんど存在せず、わずかに存在する場合がある細孔についても、その孔径は著しく小さい(おおむね1nm以下)ことを確認した。また、得られた表面修飾化金属ナノ粒子の触媒活性を測定したところ、極めて低いことを確認した。
このように特許文献6に記載の表面修飾化金属ナノ粒子における多孔質の層には細孔がほぼ存在しておらず、触媒活性も低いものであった。一方、特許文献1〜5のような触媒は、活性は高かったとしても、使用により凝集等が起こるので寿命が短かった。
このように従来、活性が高く、かつ寿命が長くて使用してもその活性が長期間維持される触媒は存在しなかった。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。
すなわち、活性が高く、使用してもその活性が長期間維持される担持触媒、その一部を構成し得る多孔質酸化物被覆粒子およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(12)である。
(1)金属コア粒子と、その表面の少なくとも一部についた多孔質酸化物層とを有し、
前記多孔質酸化物層の主成分がシリカ系酸化物であり、
前記多孔質酸化物層が有する細孔の平均細孔径が0.2nm超8nm未満であり、
親水性を備える、多孔質酸化物被覆粒子。
(2)前記多孔質酸化物層の厚さの平均値が2nm超である、上記(1)に記載の多孔質酸化物被覆粒子。
(3)前記細孔の容積が0.01〜0.5ml/gである、上記(1)または(2)に記載の多孔質酸化物被覆粒子。
(4)比表面積が100〜1000m2/gである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子。
(5)前記多孔質酸化物層が、第3周期〜第6周期の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つである元素群ωを含み、ケイ素(Si)と元素群ωとの合計モル量に対する元素群ωのモル量の比(元素群ω/(元素群ω+Si)×100)が、0.05〜10%である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子。
(6)前記金属コア粒子が、第4周期遷移元素、第5周期遷移元素、白金、金、オスミウムおよびイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子が担体の表面に担持している担持触媒。
(8)金属コア粒子が分散したコロイド溶液を得るコロイド調整工程と、
ケイ素を含む溶液[α]およびアルカリに溶解する無機物であるアルカリ可溶無機物を含む溶液[β]を用意し、アルカリ性に調整した前記コロイド溶液へ、前記溶液[α]および前記溶液[β]を添加して、前記金属コア粒子の表面の少なくとも一部がケイ素および前記アルカリ可溶無機物に由来する成分を含むシェル層で被覆された未処理コアシェル型粒子が分散している分散液(X)を得る添加工程と、
前記分散液(X)へ酸またはアルカリを添加して、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の少なくとも一部を前記シェル層から分離して、前記シェル層の少なくとも一部に細孔を形成し、金属コア粒子の表面の少なくとも一部にシリカ系酸化物を主成分とする多孔質酸化物層がついている多孔質酸化物被覆粒子が分散している分散液(Y)を得る細孔形成工程と
を備える、多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
(9)前記添加工程が、
添加されるケイ素のSiO2換算のモル量に対する、添加される前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量の比(アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量(mol)/ケイ素のSiO2換算のモル量(mol))が0.25以下となるように、アルカリ性に調整した前記コロイド溶液へ、前記溶液[α]および前記溶液[β]を添加して、前記分散液(X)を得る工程である、上記(8)に記載の多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
(10)前記アルカリ可溶無機物が、第3周期〜第6周期の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含むオキソ酸の、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩である、上記(8)または(9)に記載の多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
(11)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子が得られる、上記(8)〜(10)のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
(12)上記(8)〜(11)のいずれかに記載の製造方法に、さらに、前記多孔質酸化物被覆粒子を担体の表面に担持させる工程を備える、担持触媒の製造方法。
本発明によれば、活性が高く、使用してもその活性が長期間維持される担持触媒、その一部を構成し得る多孔質酸化物被覆粒子およびそれらの製造方法を提供することができる。
本発明について説明する。
本発明は、金属コア粒子と、その表面の少なくとも一部についた多孔質酸化物層とを有し、前記多孔質酸化物層の主成分がシリカ系酸化物であり、前記多孔質酸化物層が有する細孔の平均細孔径が0.2nm超0.8nm未満である、多孔質酸化物被覆粒子である。
このような多孔質酸化物被覆粒子を、以下では「本発明の被覆粒子」ともいう。
また、本発明は、本発明の被覆粒子が担体の表面に担持している担持触媒である。
このような担持触媒を、以下では「本発明の担持触媒」ともいう。
本発明の担持触媒は、例えばHC(炭化水素)分解システム(例えば自動車等の排ガス浄化用の三元触媒や、揮発性有機化合物(VOC)の分解)、高濃度硝酸分解システム(例えば、硝酸性窒素を還元して窒素を生成する処理)、水素化反応システムにおいて利用する触媒として好適である。
<金属コア粒子>
初めに、本発明の被覆粒子における金属コア粒子について説明する。
本発明の被覆粒子における金属コア粒子は触媒能を備える金属であれば特に限定されず、第4周期遷移元素、第5周期遷移元素、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)からなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とするものであることが好ましく、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir、Cu、AuおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とするものであることがより好ましい。
ここで第4周期遷移元素とは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuを意味する。また、第5周期遷移元素とは、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、PdおよびAgを意味する。
また、ここで「主成分」とは、含有率が70質量%以上であることを意味する。すなわち、金属コア粒子における第4周期遷移元素(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu)、第5周期遷移元素(Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag)、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)の合計含有率が70質量%以上であることが好ましい。この含有率は80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、100質量%である、すなわち、金属コア粒子が実質的に第4周期遷移元素、第5周期遷移元素、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)からなる群から選ばれる少なくとも1つからなることがさらに好ましい。ここで「実質的になる」とは、原料や製造過程から不可避的に含まれる不純物は含まれ得るが、それ以外は含まないことを意味する。なお、特に断りがない限り、本発明の説明において「主成分」および「実質的になる」は、このような意味で用いるものとする。
金属コア粒子が、第4周期遷移元素、第5周期遷移元素、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)からなる群から選ばれる2つ以上の元素を含むと、金属コア粒子が化学的に安定化する傾向があるので好ましい。金属コア粒子はPd−Pt(PdおよびPtを含むことを意味する。以下、同様。)、Pd−Ag、Pd−Au、Pd−Cu、Pt−Ag、Pt−Au、Pt−Cu、Pt−Ru、Au−Ag、Au−Ruという組成であることが好ましい。また、さらにSnを含み、Ag−Pd−Sn、Pd−Cu−Snという組成であることが好ましい。
金属コア粒子が、第4周期遷移元素、第5周期遷移元素、白金(Pt)、金(Au)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)以外に含んでもよい成分として、Sn、La、Ce、Prが挙げられる。
本発明における金属コア粒子が含有する成分(組成)の測定方法について説明する。
金属コア粒子が含有する成分(組成)は、金属コア粒子、本発明の被覆粒子または本発明の担持触媒を600℃で焼成し、残渣をアルカリ溶融剤によって溶融した後、28質量%塩酸または硝酸水溶液によって溶解し、得られた溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えば、SPS1200A、セイコー電子株式会社製)を用いて測定するものとする。また、金属コア粒子と多孔質酸化物層に同一元素が含まれる場合は、本発明の被覆粒子または本発明の担持触媒についてEDXによる面分析(元素分布分析)を行い、金属コア粒子および多孔質酸化物層におけるその元素の存在比率を求め、得られた存在比率と上記のICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いた各成分の組成とから、金属コア粒子を構成する成分の含有率を算出して求めるものとする。
金属コア粒子の一次粒子の平均粒子径は特に限定されないが、0.5〜100nmであることが好ましく、1〜50nmであることがより好ましく、1〜40nmであることがより好ましく、1〜20nmであることがより好ましく、1〜15nmであることがさらに好ましい。このような範囲であると容易に製造することができ、また、粒子径が大きすぎる場合と比較して、本発明の被覆粒子を担体に担持してなる本発明の担持触媒の触媒能が高くなるからである。
ここで、金属コア粒子の一次粒子の平均粒子径は、画像解析法によって測定される値を意味するものとする。画像解析法とは、走査型電子顕微鏡を用いて、金属コア粒子を倍率30万倍で写真撮影し、得られた写真から任意に100個の金属コア粒子を選び、各々の投影面積円相当径を測定して粒度分布を求め、それより平均粒子径(メジアン径)を算出して求める方法である。
金属コア粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、四面体状(三角錐型)、六面体状(立方体状または直方体状。以下「角状」ともいう。)、八面体状、不定形が挙げられる。
金属コア粒子は、上記のような平均粒子径の一次粒子が数個(例えば4〜30個)、数珠状に連結した鎖状粒子を形成していることが好ましい。
金属コア粒子の形状や態様は、上記のように、金属コア粒子の一次粒子の平均粒子径を測定する場合と同様に、走査型電子顕微鏡を用いて金属コア粒子を倍率30万倍で写真撮影することで、確認することができる。
<多孔質酸化物層>
次に、本発明の被覆粒子における多孔質酸化物層について説明する。
本発明の被覆粒子における多孔質酸化物層は、前記金属コア粒子の表面の少なくとも一部についている。本発明の被覆粒子は、金属コア粒子の全表面に多孔質酸化物層がついている、すなわち、金属コア粒子が多孔質酸化物層で覆われている態様であることが好ましい。
多孔質酸化物層はシリカ系酸化物を主成分とするものである。すなわち、多孔質酸化物層におけるシリカ系酸化物の含有率が70質量%以上であり、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、100質量%である(多孔質酸化物層はシリカ系酸化物から実質的なる)ことがさらに好ましい(ここで「実質的になる」の意味は前述の通りである)。
また、ここでシリカ系酸化物とは、Siを含む化合物またはSi単体を意味するものとする。シリカ系酸化物として、例えばSiO2やSiが挙げられ、また、他の元素(例えばAl、Zrなど)が含まれる複合酸化物が挙げられる。
また、多孔質酸化物層におけるシリカ(SiO2)の含有率は、85質量%以上であること好ましく、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。
ここで、多孔質酸化物層におけるシリカの含有率は、次に説明する方法で本発明の被覆粒子に含有されるケイ素(Si)の含有率を測定した後、このSiの全量がSiO2として多孔質酸化物層に含有されるとして算出して求めるものとする。
多孔質酸化物層に含有されるケイ素(Si)の含有率は、本発明の被覆粒子を600℃で焼成し、残渣をアルカリ溶融剤によって溶融した後、28質量%塩酸または硝酸水溶液によって溶解し、得られた溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えばSPS1200A、セイコー電子株式会社製)を用いて測定するものとする。
また、多孔質酸化物層が、第3周期〜第6周期の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つである元素群ωを含み、ケイ素(Si)と元素群ωとの合計モル量に対する元素群ωのモル量の比(元素群ω/(元素群ω+Si)×100)が、0.05〜10%であることが好ましい。
ここで元素群ωは1つの元素であってもよく、この場合、元素群ωはその1つの元素を意味する。元素群ωが2つ以上の元素の場合、元素群ωのモル量はそれらの元素の合計のモル量を意味するものとする。また、元素群ωは、Siは含まないものとする。
元素群ωは、第3周期〜第6周期の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素ではあるが、なかでもアルカリ金属、アルカリ土類元素、遷移元素、12族元素(Zn、CdおよびHg)、13族元素(Al、Ga、InおよびTl)、14族元素(Ge、SnおよびPb)、ならびに15族元素(P、As、SbおよびBi)であることが好ましく、Al、ZrまたはTiであることがより好ましい。
このように、多孔質酸化物層がシリカのみからなるのではなく、少量の特定の元素(元素群ω)を含む場合、本発明の被覆粒子が担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されることを、本発明者は見出した。また、前記多孔質酸化物層が、第3周期〜第6周期の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つである元素群ωを含み、ケイ素(Si)と元素群ωとの合計モル量に対する元素群ωのモル量の比(元素群ω/(元素群ω+Si)×100)が、0.05〜10%であり、さらに、多孔質酸化物層が実質的にシリカ系酸化物(複合酸化物)からなると、このような効果がより高まるので好ましい。
また、この比(元素群ω/(元素群ω+Si)×100)の上限は5%であることが好ましく、4%であることがより好ましく、3%であることがさらに好ましく、下限は0.1%であることが好ましく、0.2%であることがより好ましく、0.25%であることがさらに好ましい。上記の効果がより高まるからである。
ここで、多孔質酸化物層におけるSiおよび元素群ωのモル量は、本発明の被覆粒子または本発明の担持触媒を600℃で焼成し、残渣をアルカリ溶融剤によって溶融した後、28質量%塩酸または硝酸水溶液によって溶解し、得られた溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えばSPS1200A、セイコー電子株式会社製)を用いて含有率を測定し、それより換算して求めるものとする。また、金属コア粒子と多孔質酸化物層に同一元素が含まれる場合は、本発明の被覆粒子または本発明の担持触媒についてEDXによる面分析(元素分布分析)を行い、金属コア粒子および多孔質酸化物層におけるその元素の存在比率を求め、得られた存在比率と上記のICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いた各成分の組成とから、多孔質酸化物層に含まれる成分の含有率を算出し、それより換算して求めるものとする。
多孔質酸化物層は、ケイ素とケイ素以外の原子とが酸素を介在して交互に結合した構造、すなわち、ケイ素原子の4つの結合手に酸素原子が結合し、この酸素原子にケイ素以外の原子が結合した構造が主になっていると、本発明者は推定している。また、多孔質酸化物層の最表面部には水酸基(OH基)が存在していて、これが本発明の被覆粒子を親水性にしているものと、本発明者は推定している。
多孔質酸化物層は、平均細孔径が0.2nm超8nm未満である細孔が形成されているものである。このような範囲内であると本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性が高く、使用してもその活性が長期間維持される。多孔質酸化物層に形成されている細孔の平均細孔径が大きすぎると、本発明の担持触媒の寿命が短くなる傾向があり、逆に平均細孔径が小さすぎると、本発明の担持触媒の活性が低くなる傾向がある。
平均細孔径は0.4〜5nmであることが好ましく、0.8〜2.0nmであることがより好ましく、0.8〜1.0nmであることがさらに好ましい。
ここで、多孔質酸化物層が有する細孔径の平均(平均細孔径)は、次に示す窒素吸着法[1]で測定して得た値を意味するものとする。
窒素吸着法[1]について説明する。
まず、測定対象物を乾燥させたもの(0.2g)を試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に吸着させて窒素吸着・脱着等温線を得る。そして、得られた窒素吸着・脱着等温線を用いてBJH(Barret-Joyner-Halenda)法により、試料の細孔径分布曲線を得て、その曲線に現れるメソ孔(粒子表面の細孔)側およびマクロ孔(粒子間細孔)側のピークのうち、メソ孔側のピークの細孔径を平均細孔径として求める。このような窒素吸着法は、例えば従来公知の細孔分布測定装置(例えば、日本ベル社製、BELSORP−mini(II))を用いて行うことができる。
本発明において多孔質酸化物層の細孔径の平均値(平均細孔径)は、特に断りがない限り、ここに示した窒素吸着法[1]によって測定した値を意味するものとする。
また、多孔質酸化物層は、細孔の容積が、本発明の被覆粒子の単位質量に対して0.01〜0.5ml/gであることが好ましく、0.05〜0.4ml/gであることがより好ましく、0.07〜0.3ml/gであることがさらに好ましい。このような範囲内であると、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されるので好ましい。多孔質酸化物層に形成されている細孔の容積が大きすぎると、本発明の担持触媒の寿命が短くなる傾向があり、逆に細孔の容積が小さすぎると、本発明の担持触媒の活性が低くなる傾向がある。
ここで、多孔質酸化物層が有する細孔の容積は、次に示す窒素吸着法[2]で測定して得た値を意味するものとする。
窒素吸着法[2]について説明する。
まず、測定対象物を乾燥させたもの(0.2g)を試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に吸着させて窒素吸着・脱着等温線を得る。そして、得られた窒素吸着・脱着等温線における相対圧P/P0の値が0.4〜1.0の範囲に現れる、IUPACで規定されるIVヒステリシス曲線におけるメソ孔側部分の積算値を求め、これを細孔の容積として得る。このような窒素吸着法は、例えば従来公知の細孔分布測定装置(例えば、日本ベル社製、BELSORP−mini(II))を用いて行うことができる。
本発明において多孔質酸化物層の細孔の容積は、特に断りがない限り、ここに示した窒素吸着法[2]によって測定した値を意味するものとする。
また、多孔質酸化物層の厚さは特に限定されないが、平均値が2nm超であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。また、多孔質酸化物層の厚さは、その平均値が50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがより好ましく、25nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。このような範囲内であると、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されるので好ましい。多孔質酸化物層の厚さが厚過ぎると、本発明の担持触媒の活性が低くなる傾向があり、逆に薄すぎると、本発明の担持触媒の寿命が短くなる傾向がある。
ここで多孔質酸化物層の厚さは、走査型電子顕微鏡を用いて、本発明の被覆粒子を倍率30万倍で写真撮影し、得られた写真から任意に100個の本発明の被覆粒子を選び、各々の本発明の被覆粒子において多孔質酸化物層の厚さを数箇所測定し平均して、その1つの本発明の被覆粒子における多孔質酸化物層の厚さとし、それら100個のデータを単純平均することで、その試料(本発明の被覆粒子の群)における多孔質酸化物層の厚さとする。
多孔質酸化物層は、上記のような平均径および容積の細孔を有し、上記のような厚さを有するものであることが好ましいが、多孔質酸化物の厚さと細孔径の平均径および容積とのバランスが適していると、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されることを、本発明者は見出した。
具体的には、多孔質酸化物層が有する細孔の平均細孔径が0.4〜5nmであり、細孔の容積が0.07〜0.30ml/gであり、さらに、多孔質酸化物層の厚さが4〜30nmであると、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されるものになる。
<本発明の被覆粒子>
本発明の被覆粒子は、親水性を備える。したがって、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒は、例えば水中での化学反応を促進するための触媒として好ましく用いることができる。
本発明の被覆粒子は親水性であるので接触角が小さい。具体的には、本発明の被覆粒子における接触角は1〜30度程度となり、1〜25度となることが好ましく、1〜20度となることがより好ましい。接触角の上限は16度であることが好ましく、14度であることがより好ましく、12度であることがさらに好ましい。接触角の下限は2度であることが好ましく、3度であることがより好ましく、5度であることがさらに好ましい。
なお、接触角は、本発明の被覆粒子の1gを200℃で乾燥させた後、直径1cm、高さ5cmのセルに入れ、50kgfの荷重でプレスして成型物を得て、得られた成型物の表面に水を一滴たらして測定して得た値を意味するものとする。
本発明の被覆粒子の比表面積は特に限定されないが、100〜1000m2/gであることが好ましく、130〜900m2/gであることがより好ましく、150〜800m2/gであることがさらに好ましい。このような範囲内であると、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されるので好ましい。比表面積が大きすぎると、本発明の担持触媒の活性が低くなる傾向があり、逆に小さすぎると、本発明の担持触媒の寿命が短くなる傾向がある。
なお、比表面積は、次に示す窒素吸着法[3](BET法)で測定して得た値を意味するものとする。
窒素吸着法[3]について説明する。
まず、測定対象物(ここでは本発明の被覆粒子)を乾燥させたもの(0.2g)を試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料の温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、試料の比表面積を測定する。窒素吸着法(BET法)は、例えば従来公知の表面積測定装置を用いて行うことができる。
本発明において比表面積は、特に断りがない限り、ここに示した窒素吸着法[3](BET法)によって測定した値を意味するものとする。
本発明の被覆粒子は、前記金属コア粒子の表面の少なくとも一部に、前記多孔質酸化物層がついたものである。
本発明の被覆粒子において、金属コア粒子および多孔質酸化物層の質量比は特に限定されないが、金属コア粒子の質量に対する多孔質酸化物層の質量の比(多孔質酸化物層の質量/金属コア粒子の質量)が、0.1〜5000であることが好ましく、0.5〜3000であることが好ましく、1〜2000であることがさらに好ましい。このような範囲内であると、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されるので好ましい。
ここで、本発明の被覆粒子における金属コア粒子および多孔質酸化物層の質量は、本発明の被覆粒子または本発明の担持触媒を600℃で焼成し、残渣をアルカリ溶融剤によって溶融した後、28質量%塩酸または硝酸水溶液によって溶解し、得られた溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えばSPS1200A、セイコー電子株式会社製)を用いて含有率を測定し、それより算出して求めるものとする。また、金属コア粒子と多孔質酸化物層に同一元素が含まれる場合は、本発明の被覆粒子または本発明の担持触媒についてEDXによる面分析(元素分布分析)を行い、金属コア粒子および多孔質酸化物層におけるその元素の存在比率を求め、得られた存在比率と上記のICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いた各成分の組成とから、多孔質酸化物層に含まれる成分の含有率を算出し、それより求めるものとする。
本発明の被覆粒子の平均粒子径(メジアン径)は特に限定されないが、1〜500nmが好ましく、2〜100nmがより好ましく、3〜50nmがさらに好ましい。
ここで本発明の被覆粒子の平均粒子径は、測定対象物(ここでは本発明の被覆粒子)をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液へ添加し、超音波分散および攪拌によって分散させて、透過率が70〜90%となるように調節した後、従来公知のレーザ散乱法(例えばHORIBA LA−950V2)を用いて粒度分布を測定し算出した値を意味するものとする。
次に、本発明の担持触媒について説明する。
本発明の担持触媒は、本発明の被覆粒子が担体の表面に担持しているものである。
担体は、前記金属コア粒子が担持可能なものであれば特に限定されず、例えば、Si、Al、C、Ti、ZrおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分として含む無機系担体が挙げられる。
担体が含んでもよいその他の成分として、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類、遷移金属(例えばLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo)が挙げられる。
また、担体は非晶質であっても、晶質であってもよく、合成物質、天然鉱物のいずれであってもよい。
また、Si、Al、C、Ti、ZrおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む無機系担体は、その元素の酸化物からなること好ましく、複合酸化物であってもよい。このような無機系担体として、例えば、シリカ粒子(メソポーラスシリカ、シリカライト)、シリカ−アルミナ粒子、アルミナ粒子(活性アルミナ粒子)、カーボン粒子、活性炭(ヤシガラ系、フェノール樹脂系、塩基性など)、ゼオライト粒子(Y型、A型、モルデナイト型、ZSM−5型など、天然物でも合成物でもよい)、セリア(酸化セリウム)粒子、カオリン粒子、スメクタイト粒子、バーミキュライト粒子、雲母片、チタニアおよびジルコニアが挙げられる。
また、担体の形状は特に限定されず、例えば球状や不定形であってよい。
また、担体の平均粒子径(メジアン径)は特に限定されないが、10nm〜100mmが好ましく、12nm〜50mmがより好ましく、15nm〜10mmがより好ましく、20nm〜5mmがさらに好ましい。
ここで担体の平均粒子径は、測定対象物(ここでは担体)をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液へ添加し、超音波分散および攪拌によって分散させて、透過率が70〜90%となるように調節した後、従来公知のレーザ散乱法(例えばHORIBA LA−950V2)を用いて粒度分布を測定し算出した値を意味するものとする。
また、担体の比表面積は特に限定されないが、1〜2000m2/gであることが好ましく、5〜1800m2/gであることがより好ましく、10〜1500m2/gであることがさらに好ましい。
なお、ここで担体の比表面積は、前述の本発明の被覆粒子の比表面積と同様に、窒素吸着法[3](BET法)で測定して得た値を意味するものとする。
本発明の担持触媒は、このような担体の表面の少なくとも一部に本発明の被覆粒子が担持しているものである。
本発明の担持触媒が含む前記金属コア粒子の量は特に限定されないが、100質量部の担体に対して、0.01〜100質量部であることが好ましく、0.1〜50質量部であることがより好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることがさらに好ましい。担体に対して金属コア粒子の量が少なすぎると触媒能が低くなる傾向があり、逆に多すぎるとコストが高まる割には触媒能が高くならない傾向があるからである。
ここで、本発明の担持触媒が含む前記金属コア粒子の量は、本発明の担持触媒を600℃で焼成し、残渣をアルカリ溶融剤によって溶融した後、28質量%塩酸または硝酸水溶液によって溶解し、得られた溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(例えばSPS1200A、セイコー電子株式会社製)を用いて金属コア粒子を構成する成分の含有率を測定して求めるものとする。また、金属コア粒子と多孔質酸化物層に同一元素が含まれる場合は、本発明の担持触媒についてEDXによる面分析(元素分布分析)を行い、金属コア粒子および多孔質酸化物層におけるその元素の存在比率を求め、得られた存在比率と上記のICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いた各成分の組成とから、金属コア粒子を構成する成分の含有率を算出して求めるものとする。
また、本発明の担持触媒において、本発明の被覆粒子は、担体の単位面積(1m2)あたり、102〜1017個/m2担持していることが好ましく、103〜1015個/m2担持していることがより好ましい。担体に対して本発明の被覆粒子の量が少なすぎると触媒能が低くなる傾向があり、逆に多すぎるとコストが高まる割には触媒能が高くならない傾向があるからである。
ここで、担体に担持している本発明の被覆粒子の個数は、走査型電子顕微鏡を用いて、本発明の担持触媒を倍率30万倍で写真撮影し、得られた写真から肉眼によって、または読取装置を用いて担持個数を測定する。
また、本発明の担持触媒の比表面積は特に限定されないが、1〜2000m2/gであることが好ましく、5〜1800m2/gであることがより好ましく、10〜1500m2/gであることがさらに好ましい。
なお、ここで本発明の担持触媒の比表面積は、前述の本発明の被覆粒子の比表面積と同様に、窒素吸着法[3](BET法)で測定して得た値を意味するものとする。
前述のように本発明の被覆粒子が親水性であるため、本発明の担持触媒も、その表面が親水性になり易い。
また、本発明の担持触媒の平均粒子径(メジアン径)は特に限定されないが、10nm〜100mmが好ましく、12nm〜50mmがより好ましく、15nm〜10mmがより好ましく、20nm〜5mmがさらに好ましい。
ここで本発明の担持触媒の平均粒子径は、100μm未満のものは、測定対象物(本発明の担持触媒)をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液へ添加し、超音波分散および攪拌によって分散させて、透過率が70〜90%となるように調節した後、従来公知のレーザ散乱法(例えばHORIBA LA−950V2)を用いて粒度分布を測定し算出した値を意味するものとする。100μm以上のものの平均粒子径は、ガラス板上に本発明の担持触媒を置き、顕微鏡で任意の100個について投影面積円相当径を測定し、求めた粒度分布から算出した値を意味するものとする。
次に、本発明の被覆粒子の製造方法について説明する。
本発明の被覆粒子の製造方法は特に限定されないが、次に説明する本発明の被覆粒子の好適製造方法によって製造することが好ましい。
本発明の被覆粒子の好適製造方法は、金属コア粒子が分散したコロイド溶液を得るコロイド調整工程と、ケイ素を含む溶液[α]およびアルカリに溶解する無機物であるアルカリ可溶無機物を含む溶液[β]を用意し、アルカリ性に調整した前記コロイド溶液へ、前記溶液[α]および前記溶液[β]を添加して、前記金属コア粒子の表面の少なくとも一部がケイ素および前記アルカリ可溶無機物に由来する成分を含むシェル層で被覆された未処理コアシェル型粒子が分散している分散液(X)を得る添加工程と、前記分散液(X)へ酸またはアルカリを添加して、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の少なくとも一部を前記シェル層から分離して、前記シェル層の少なくとも一部に細孔を形成し、金属コア粒子の表面の少なくとも一部にシリカ系酸化物を主成分とする多孔質酸化物層がついている多孔質酸化物被覆粒子が分散している分散液(Y)を得る細孔形成工程とを備える、多孔質酸化物被覆粒子の製造方法である。
<コロイド調整工程>
初めに、本発明の被覆粒子の好適製造方法におけるコロイド調整工程について説明する。
コロイド調整工程は、金属コア粒子が分散したコロイド溶液を得る工程である。
例えば、溶液中で特定の金属イオンを還元することで、金属コア粒子が分散したコロイド溶液を得ることができる。また、溶液中で特定の金属イオンを還元する方法として、特定の金属イオンと還元剤とを溶液中で接触させる方法が挙げられる。ここで特定の金属イオンは、金属コア粒子を構成することになる金属の化合物(金属塩等)を溶媒に溶解して得ることができる。
また、特定の金属イオンと還元剤とを溶液中で接触させる場合、溶液中に、合わせて錯化安定剤を添加することが好ましい。還元後に得られる粒子が均一でかつ安定な粒子が調製できるためである。
このような金属の化合物(金属塩等)として、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、クエン酸パラジウム、酢酸パラジウムが挙げられる。このような化合物を溶媒に溶解すると、特定の金属イオンとしてパラジウムイオンが得られ、これと還元剤とを溶液中で接触させることでパラジウムを含む金属コア粒子が分散したコロイド溶液が得られる。
また、金属の化合物(金属塩等)として、塩化白金酸、塩化白金(IV)酸カリウム、塩化白金(IV)酸ナトリウム、テトラニトロ白金(II)カリウム、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸ナトリウム水和物、ジニトロジアンミン白金硝酸、ジニトロジアンミン白金アンモニア、テトラアンミンジクロロ白金水和物が挙げられる。このような化合物を溶媒に溶解すると、特定の金属イオンとして白金イオンが得られ、これと還元剤とを溶液中で接触させることで白金を含む金属コア粒子が分散したコロイド溶液が得られる。
また、金属の化合物(金属塩等)として、硝酸銀、硫酸銀が挙げられる。このような化合物を溶媒に溶解すると、特定の金属イオンとして銀イオンが得られ、これと還元剤とを溶液中で接触させることで銀を含む金属コア粒子が分散したコロイド溶液が得られる。
また、金属の化合物(金属塩等)として、塩化金酸、亜硫酸金ナトリウム、シアン化金カリウム、シアン化金ナトリウムが挙げられる。このような化合物を溶媒に溶解すると、特定の金属イオンとして金イオンが得られ、これと還元剤とを溶液中で接触させることで金を含む金属コア粒子が分散したコロイド溶液が得られる。
また、金属の化合物(金属塩等)として、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅が挙げられる。このような化合物を溶媒に溶解すると、特定の金属イオンとして銅イオンが得られ、これと還元剤とを溶液中で接触させることで銅を含む金属コア粒子が分散したコロイド溶液が得られる。
さらに、金属の化合物(金属塩等)として、硫酸第二鉄、酢酸第一鉄が挙げられる。このような化合物を溶媒に溶解すると、特定の金属イオンとして鉄イオンが得られ、これと還元剤とを溶液中で接触させることで鉄を含む金属コア粒子が分散したコロイド溶液が得られる。
また、金属イオンを得るために、金属コア粒子を構成することになる金属の化合物(金属塩等)を溶解するために用いる溶媒は、その化合物と反応しないものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類、ケトン類、アミド類、エーテル類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、スルホキシド類、ピロリドン類などが挙げられる。
また、還元剤としては、アルコール、ヒドラジン、蟻酸、ホルムアルデヒド、ヒドロキノン、過塩素酸、硫酸第一鉄、水素化ホウ素ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウムなどが挙げられる。
このような還元剤を金属イオンを含む溶液へ添加することで、金属イオンと還元剤とを溶液中で接触させることができる。また、還元剤を予め溶媒に溶解して溶液とし、この溶液と金属イオンを含む溶液とを混合することでも、金属イオンと還元剤とを溶液中で接触させることができる。還元剤を予め溶解する溶媒は、上記の金属コア粒子を構成することになる金属の化合物(金属塩等)を溶解する溶媒と同様であってよい。
金属イオンの還元は、溶液を攪拌しながら、還元剤を前記溶液に添加することにより行うことが好ましい。
また、ここで金属イオンと還元剤との量比は特に限定されないが、金属イオン100質量部に対して、還元剤が10質量部〜500質量部であることが好ましく、50〜300質量部であることがより好ましい。
また、金属イオンと還元剤とを溶液中で接触させた後、必要に応じて、分散剤や界面活性剤(例えば、ポリビニルピロリドン、アミノシラン、ポリカルボン酸、有機酸など)を添加することが好ましい。金属コア粒子が凝集し難くなるからである。
また、金属イオンと還元剤とを溶液中で接触させた後、限外濾過器などを用いて洗浄して、未反応金属イオンや還元剤を取り除くことが好ましい。
また、金属イオンと還元剤とを溶液中で接触させた後、塩酸等の酸を加えて余分な塩を溶解し、その後、イオン交換樹脂等を用いて脱塩することが好ましい。
また、コロイド調整工程は、例えば、金属イオンを含む溶液と溶剤とを混合する方法であってもよい。このような方法によっても、金属コア粒子が分散したコロイド溶液を得ることができる。
ここで溶剤としては、モノエチレングリコール、メタノール、エタノール、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、水等が挙げられる。
金属イオンを含む溶液を、好ましくは錯化安定剤を加えた後、上記のような溶剤に添加し、好ましくは5〜200℃で攪拌混合することで、金属コア粒子が分散したコロイド溶液を得ることができる。ここで錯化安定剤として、ポリビニルピロリドン、アミノシラン、ポリカルボン酸、有機酸などを用いることができる。
得られたコロイド溶液における固形分の濃度は0.5〜40質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。
<添加工程>
次に、本発明の被覆粒子の好適製造方法における添加工程について説明する。
添加工程では、初めにケイ素を含む溶液[α]と、アルカリに溶解する無機物であるアルカリ可溶無機物を含む溶液[β]とを用意する。
ケイ素を含む溶液[α]としては、珪酸塩を含む水溶液と珪酸液とが挙げられる。
そして、珪酸塩を含む水溶液としては、アルカリ金属珪酸塩、アンモニウム珪酸塩、有機塩基の珪酸塩が挙げられ、例えばこれらの中の2以上を含んでもよい。
ここでアルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウムが挙げられる。また、アンモニウム珪酸塩としては、第4級アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウム塩など)、具体的には第4級アンモニウム水酸化物が挙げられる。また、有機塩基の珪酸塩としては、アミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)を珪酸液に添加して得られる化合物が挙げられる。
また、珪酸液としては、酸性珪酸液を用いることができる。酸性珪酸液は、珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂で処理すること等によって、アルカリを除去して得ることができる。酸性珪酸液としてはpH2〜4、SiO2換算の濃度が約7質量%以下のものが好ましい。
ケイ素を含む溶液[α]における固形分濃度は特に限定されないが、ケイ素を含む溶液[α]が、珪酸塩を含む水溶液または珪酸液である場合、固形分濃度は0.1〜10質量%であることが好ましく、1質量%程度であることがより好ましい。
添加工程では、このような溶液[α]と、アルカリ可溶無機物を含む溶液[β]とを用意する。アルカリ可溶無機物は、アルカリに溶解する無機物を意味する。
アルカリ可溶無機物としては、第3周期〜第6周期の元素(好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類元素、遷移元素、12族元素(Zn、CdおよびHg)、13族元素(Al、Ga、InおよびTl)、14族元素(Ge、SnおよびPb)、ならびに15族元素(P、As、SbおよびBi)、より好ましくはAl、Zr、Ti、B、Sn、Ce、P、Sb、Mo、ZnおよびW)からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含むオキソ酸の、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩が挙げられる。具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウム等が挙げられる。
アルカリ可溶無機物を含む溶液[β]における固形分濃度は特に限定されないが、アルカリ可溶無機物の濃度が0.1〜10質量%であることが好ましく、1質量%程度であることがより好ましい。
添加工程では、上記のようなケイ素を含む溶液[α]とアルカリ可溶無機物を含む溶液[β]とを用意した後、これらをアルカリ性に調整した前記コロイド溶液へ添加する。前記コロイド溶液は、溶液[α]と溶液[β]とを添加する前に、具体的にはpHが9〜13、好ましくは10〜12、より好ましくは10.5程度のアルカリ性に調整する。
また、上記のようなケイ素を含む溶液[α]とアルカリ可溶無機物を含む溶液[β]とをアルカリ性に調整した前記コロイド溶液へ添加する際には、添加されるケイ素のSiO2換算のモル量に対する、添加される前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量の比(アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量(mol)/ケイ素のSiO2換算のモル量(mol))が0.25以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.17以下となるようにして、溶液[α]と溶液[β]とを前記コロイド溶液へ添加することが好ましい。
ここで、溶液[α]と溶液[β]とを同時前記コロイド溶液へ添加することが好ましい。また、溶液[α]と溶液[β]とを少しずつ交互に前記コロイド溶液へ添加することも好ましい。
ここで、前記アルカリ可溶無機物に由来する成分とは、アルカリ可溶無機物がアルカリ溶液に溶解した際に生じるイオンに含まれるシェル層を形成する成分を意味し、例えばアルカリ可溶無機物がオキソ酸の塩である場合、オキソ酸イオンを構成する元素を意味する。より具体的には、例えばアルカリ可溶無機物がアルミン酸ナトリウムである場合、アルカリ溶液に溶解してアルミン酸を生じ、アルミニウムがシェル層を形成する成分に相当するので、アルカリ可溶無機物に由来する成分はアルミニウムとなる。
また、前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量とは、前記アルカリ可溶無機物に由来する成分が、単独で、かつその最も一般的な酸化物の態様で全量が存在していると仮定して換算したモル量を意味する。例えばアルカリ可溶無機物がアルミン酸ナトリウムである場合、上記のようにこれに由来する成分はアルミニウムであるので、これが単独で、かつ最も一般的な酸化物の態様(Al23)で全量が存在していると仮定して、算出したモル量を意味する。溶液[β]が前記アルカリ可溶無機物に由来する成分を2種類以上含んでいる場合は、各々が単独で、かつその最も一般的な酸化物の態様で全量が存在していると仮定して換算した後、各元素の酸化物換算のモル量を合計し、溶液[β]に含まれる、前記コロイド溶液へ添加される前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量とする。
このような特定の比率で前記コロイド溶液へ添加すると、前記金属コア粒子の表面の少なくともケイ素および前記アルカリ可溶無機物に由来する成分を含むシェル層で被覆された未処理コアシェル型粒子が分散している分散液(X)が得られる。
シリカやアルカリ可溶無機物は、各々ではアルカリ溶液中で高い溶解度を備えているものの、アルカリ溶液中に共存した場合、各々に由来する成分(珪酸イオンおよびオキソ酸イオン等(例えばアルミン酸イオン))の溶解度が低下し、双方の酸化物や双方を含む複合酸化物が前記金属コア粒子の表面へ析出して成長することを、本発明者は見出した。
溶液[α]と溶液[β]とを前記コロイド溶液へ添加する際は、前記コロイド溶液および前記コロイド容器へ溶液[α]および/または溶液[β]の少なくとも一部を添加した反応液を好ましくは60〜100℃、より好ましくは90℃程度に保温する。
また、反応液を攪拌しながら溶液[α]と溶液[β]とを添加することが好ましい。
また、溶液[α]と溶液[β]との添加は好ましくは1〜10時間、より好ましくは6時間程度の時間をかけてゆっくりと行うことが好ましい。
溶液[α]および溶液[β]の合計量と前記コロイド溶液との混合比は特に限定されないが、混合する前記コロイド溶液に含まれる固形分の質量に対する、混合する前記溶液[α]および前記溶液[β]に含まれる固形分の合計の固形分の比(溶液[α]および溶液[β]に含まれる固形分の合計質量/コロイド溶液に含まれる固形分の質量)が、0.1〜5000であることが好ましく、0.5〜3000であることがより好ましく、1〜2000であることがより好ましく、1〜1000であることがより好ましく、1〜500であることがより好ましく、1〜100であることがさらに好ましい。このような範囲内であると、本発明の被覆粒子を担体に担持した本発明の担持触媒の活性がより高く、使用してもその活性がより長期間維持されるので好ましい。
上記のようにケイ素を含む溶液[α]とアルカリ可溶無機物を含む溶液[β]とを前記コロイド溶液へ添加して、未処理コアシェル型粒子が分散している分散液(X)を得た後、限外濾過器などを用いて洗浄して、未反応の珪酸などを取り除くことが好ましい。
<細孔形成工程>
次に、本発明の被覆粒子の好適製造方法における細孔形成工程について説明する。
細孔形成工程では、添加工程で得られた分散液(X)へ酸またはアルカリを添加して、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の少なくとも一部を前記シェル層から分離する。
ここで酸またはアルカリは、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の少なくとも一部を溶解することで、前記シェル層から分離できるものであれば特に限定されない。
溶解する対象であるアルカリ可溶無機物に由来する成分の種類にもよるが、酸としては塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や有機酸を用いることができる。また、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムを用いることができる。
分散液(X)への酸またはアルカリの添加量は特に限定されない。溶解する対象であるアルカリ可溶無機物に由来する成分の種類にもよるが、酸を添加する場合であれば、分散液(X)のpHが1.5程度となるように添加することが好ましい。
分散液(X)へ酸またはアルカリを添加した後、溶液を攪拌すると、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の少なくとも一部が溶解し、前記シェル層から分離しやすいので好ましい。
分散液(X)へ酸またはアルカリを添加して、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物の少なくとも一部を前記シェル層から分離した後、中性に調整し、限外濾過器などを用いて洗浄して、余分なシリカ成分、アルカリ可溶無機物由来の成分などを取り除くことが好ましい。
このようにして、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物の少なくとも一部を前記シェル層から分離して、前記シェル層の少なくとも一部に細孔を形成し、金属コア粒子の表面の少なくとも一部にシリカ系酸化物を主成分とする多孔質酸化物層がついている多孔質酸化物被覆粒子が分散している分散液(Y)を得ることができる。
次に、本発明の担持触媒の製造方法について説明する。
本発明の担持触媒の製造方法は特に限定されないが、上記の本発明の被覆粒子の好適製造方法に、さらに、前記分散液(Y)に分散している前記多孔質酸化物被覆粒子を担体の表面に担持させる工程を備える製造方法であることが好ましい。
この工程では、まず、従来公知の製造方法で前述の担体を得た後、担体の表面に前記分散液(Y)に分散している前記多孔質酸化物被覆粒子を担持させる。
例えば従来公知の担持法を用いて前記多孔質酸化物被覆粒子を担体の表面に担持させることができる。例えば、前記担体を分散させた分散液と分散液(Y)とを混合し、その後、乾燥し、焼成することで得ることができる。例えば、具体的には、前記担体を分散させた分散液へ分散液(Y)を添加して攪拌混合し、その後、従来公知の乾燥機を用いて80〜200℃の温度で0.5〜50h乾燥させた後、従来公知の焼成炉を用いて、空気中にて、300〜700℃の温度で0.5〜10h焼成して得ることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<測定方法および評価方法>
実施例および比較例で行った各種測定方法および評価方法を説明する。
[1]金属コア粒子の平均粒子径(メジアン径)の測定方法
画像解析法によって平均粒子径を測定した。すなわち、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−5500)を用いて、試料(金属コア粒子、多孔質酸化物被覆粒子または担持触媒)を倍率30万倍で写真撮影し、得られた写真から任意に100個の金属コア粒子を選び、各々の投影面積円相当径を測定して粒度分布を求め、それより平均粒子径(メジアン径)を算出した。
[2]多孔質酸化物層の厚さの測定方法
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−5500)を用いて、試料(多孔質酸化物被覆粒子)を倍率30万倍で写真撮影し、得られた写真から任意に100個の多孔質酸化物被覆粒子を選び、各々の多孔質酸化物被覆粒子において多孔質酸化物層の厚さを数箇所測定し平均して、その1つの多孔質酸化物被覆粒子における多孔質酸化物層の厚さとし、それら100個のデータを単純平均することで、その試料(多孔質酸化物被覆粒子の群)における多孔質酸化物層の厚さとした。
[3]金属コア粒子、シェル層および多孔質酸化物層の組成分析方法
試料(金属コア粒子、多孔質酸化物被覆粒子または未処理コアシェル型粒子)を600℃で焼成し、残渣をアルカリ溶融剤によって溶融した後、28質量%塩酸または硝酸水溶液によって溶解した。そして、得られた溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(SPS1200A、セイコー電子株式会社製)によって組成を測定した。
[4]多孔質酸化物層の細孔径の平均値の測定方法
細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP mini)を用いて、窒素吸着法[1]によって、多孔質酸化物層の細孔の径の平均値(平均細孔径)を測定した。
窒素吸着法[1]は次の方法である。
まず、測定対象物を乾燥させたもの(0.2g)を試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に吸着させて窒素吸着・脱着等温線を得た。そして、得られた窒素吸着・脱着等温線を用いてBJH(Barret-Joyner-Halenda)法により、試料の細孔径分布曲線を得て、その曲線に現れるメソ孔(粒子表面の細孔)側およびマクロ孔(粒子間細孔)側のピークのうち、メソ孔側のピークの細孔径を平均細孔径として求めた。
[5]多孔質酸化物層の細孔の容積の測定方法
細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP mini)を用いて、窒素吸着法[2]によって、多孔質酸化物層の細孔の容積を測定した。
窒素吸着法[2]は次の方法である。
まず、測定対象物を乾燥させたもの(0.2g)を試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に吸着させて窒素吸着・脱着等温線を得た。そして、得られた窒素吸着・脱着等温線における相対圧P/P0の値が0.4〜1.0の範囲に現れる、IUPACで規定されるIVヒステリシス曲線におけるメソ孔側部分の積算値を求め、これを細孔の容積として得た。
[6]多孔質酸化物被覆粒子の比表面積の測定方法
表面積測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製、マルチソーブ12型)を用いて、窒素吸着法[3](BET法)によって、多孔質酸化物被覆粒子の比表面積を測定した。
窒素吸着法[3]は次の方法である。
まず、測定対象物(多孔質酸化物被覆粒子)を乾燥させたもの(0.2g)を試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させた。次に、上記混合ガスを流しながら試料の温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、試料の比表面積を測定した。
[7]多孔質酸化物被覆粒子のぬれ性(接触角)の測定方法
多孔質酸化物被覆粒子の1gを200℃で乾燥させた後、直径1cm、高さ5cmのセルに入れ、50kgfの荷重でプレスして成型物を得て、得られた成型物の表面に水を一滴たらして接触角を測定した。
[8]触媒性能評価方法(触媒の活性および寿命の測定)
内径が30mmのガラス管内に、内径21mmの別のガラス管を挿通させた二重式ガラス反応管を用意し、内側のガラス管内に、その流路の一部を塞ぐように担持触媒を充填した。ここで充填した担持触媒の質量は、それに含まれる金属コア粒子の質量が0.002gとなる質量とした。
このような二重式ガラス反応管の内側のガラス管と外側のガラス管との間に40℃の温水を循環させて、内側のガラス管内の温度を一定に保った。その後、内側のガラス反応管内へ一方端部から混合ガスを422ml/minで導入した。そして、充填した担持触媒と接触した後の、他方端部から排出される排出ガスにおけるエチレン(C24)およびエタン(C26)の濃度をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。測定は1時間に1回行い、最長で48時間行った。なお、内側のガラス反応管内へ導入した混合ガスは、N2:H2:C22=400:10:12(体積比)のものである。
そして、測定した排出ガス中のエチレン(C24)およびエタン(C26)の濃度から生成率を求めた。生成率は下記式で求め、この式から求められる当初の生成率(混合ガスの導入を始めて数分が経過して排出ガスの組成が安定した際に測定した生成率)を触媒活性とし、この触媒活性に対して生成率が3%低下した時間を寿命とした。
生成率=排出ガス中のエチレンおよびエタンの時間当たりのモル量(mol/min)の合計/混合ガス中のアセチレンの時間当たりのモル量(mol/min)×100
<担体の調整方法>
次に、担体が分散した懸濁液の調整方法を説明する。
[合成例A]
活性炭懸濁液の調製方法
活性炭(味の素ファインテクノ株式会社製、商品名:CL−K、粒度:0.5mm〜1.7mm、ヨウ素吸着量1,550mg/g)を純水に分散させ、活性炭濃度が10質量%の活性炭懸濁液(A)を調製した。
[合成例B]
活性アルミナ懸濁液の調製方法
活性アルミナ(和光純薬社製、型番:596−15865、比表面積250m2/g、粒子径50μm)を純水に分散させ、活性アルミナ濃度が10質量%の活性アルミナ懸濁液(B)を調製した。
<金属コア粒子の調整方法>
次に、金属コア粒子が分散したコロイド溶液の調整方法を説明する。
[合成例1]
Pdコロイド溶液の調整方法
クエン酸水溶液(濃度30質量%)219gに、還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gに室温で添加し、充分に混合することによりPd粒子が分散した分散液を得た。そして得られた分散液を、限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて洗浄(脱塩等)し、濃縮し、Pd濃度が3質量%のPd分散液を得た。
得られたPd分散液を1000倍程度希釈し、その一部のPd粒子をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、その平均粒子径を前述の方法(走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた写真から求める方法)で測定したところ、2nmであった。なお、走査型電子顕微鏡による観察により、Pd粒子は球形であることを確認した。
次に、得られたPd分散液100gに1体積%の塩酸を1g添加し、1時間攪拌後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、SANUPC)を10g入れ、脱塩を行った。脱塩後、遠心分離機(G=8000)を用いて粗大粒子のカットを行い、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)を用いてPd濃度を測定した。そして、Pd濃度が2.5質量%となるように調整したPdコロイド溶液を得た。
得られたコロイド溶液の物性等を第1表に示す。
[合成例2]
Pd−Ptコロイド溶液の調整方法
硝酸パラジウム(II)水和物22.5g(パラジウム金属換算で9g)と、塩化白金酸6水和物25g(白金金属換算で9g)とを純水16,000gに溶解して金属塩水溶液を得た。そして、得られた金属塩水溶液に、錯化安定剤として5.0質量%のクエン酸3ナトリウム水溶液1,660gと、還元剤として0.1質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液140gとを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌混合して、水にPd−Pt微粒子が分散した分散液を得た。そして得られた分散液を、限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて洗浄(脱塩等)し、濃縮し、Pd−Pt濃度(PdおよびPt合計濃度)が3質量%のPd−Pt分散液を得た。
得られたPd−Pt分散液を1000倍程度希釈し、その一部のPd−Pt粒子をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、その平均粒子径を前述の方法(走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた写真から求める方法)で測定したところ、2nmであった。なお、走査型電子顕微鏡による観察により、Pd−Pt粒子は球形であることを確認した。
次に、得られたPd−Pt分散液100gに1体積%の塩酸を5g添加し、1時間攪拌後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、SANUPC)を10g入れ、脱塩を行った。脱塩後、遠心分離機(G=8000)を用いて粗大粒子のカットを行い、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)を用いてPd−Pt濃度を測定した。そして、Pd−Pt濃度(PdおよびPt合計濃度)が2.5質量%となるように調整したPd−Ptコロイド溶液を得た。
得られたコロイド溶液の物性等を第1表に示す。
[合成例3]
鎖状Ag−Pdコロイド溶液の調整方法
クエン酸水溶液(濃度30質量%)219gに、還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸銀水溶液(濃度10質量%)80gに室温で添加した後、さらに得られた421gの溶液を硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gに室温で添加し、充分に混合することによりAg−Pd粒子が分散した分散液を得た。そして得られた分散液を、限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて洗浄(脱塩等)し、濃縮し、Ag−Pd濃度(AgおよびPd合計濃度)が3質量%のAg−Pd分散液を得た。
得られたAg−Pd分散液を1000倍程度希釈し、その一部のAg−Pd粒子をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、その平均粒子径を前述の方法(走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた写真から求める方法)で測定したところ、4nmであった。なお、走査型電子顕微鏡による観察により、Ag−Pd粒子は鎖状であることを確認した。
次に、得られたAg−Pd分散液100gに1体積%の塩酸を0.5g添加し、1時間攪拌後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、SANUPC)を10g入れ、脱塩を行った。脱塩後、遠心分離機(G=8000)を用いて粗大粒子のカットを行い、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)を用いてAg−Pd濃度を測定した。そして、Ag−Pd濃度(AgおよびPd合計濃度)が2.5質量%となるように調整したAg−Pdコロイド溶液を得た。
得られたコロイド溶液の物性等を第1表に示す。
[合成例4]
角状Pdコロイド溶液の調整方法
硝酸パラジウム(II)水和物22.5g(パラジウム金属換算で9g)を純水200gに溶解して得た金属塩水溶液に、錯化安定剤として濃度1.0質量%のポリビニルピロリドン(分子量550000)エチレングリコール溶液を50gを添加し混合した。そして、得られた溶液を、溶剤としてのモノエチレングリコール1800gへ加え、窒素雰囲気下、150℃で6時間攪拌混合して、Pd粒子が分散したPd分散液を得た。
得られたPd分散液を1000倍程度希釈し、その一部のPd粒子をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、その平均粒子径を前述の方法(走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた写真から求める方法)で測定したところ、15nmであった。なお、走査型電子顕微鏡による観察により、Pd粒子は角状であることを確認した。
次に、得られたPd分散液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮した後、遠心分離機(G=8000)を用いて粗大粒子のカットを行い、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)を用いてPd濃度を測定した。そして、Pd濃度が2.5質量%となるように調整した角状Pdコロイド溶液を得た。
得られたコロイド溶液の物性等を第1表に示す。
[合成例5]
Pd−Auコロイド溶液の調整方法
硝酸パラジウム(II)水和物22.5g(パラジウム金属換算で9g)を純水100gへ溶解して溶液を得た。また、塩化金(III)酸4水和物18.8g(金金属換算で9g)を純水100gに溶解して溶液を得た。そして、各々の溶液に、錯化安定剤として濃度5.0質量%のポリビニルピロリドン(関東化学製、K−30、分子量40000)水溶液を50gずつ添加し、混合した。そして、2つの溶液を、共に、溶剤としてのモノエチレングリコール1800gへ加え、窒素雰囲気下、100℃で6時間攪拌混合して、Pd−Au粒子が分散したPd−Au分散液を得た。
得られたPd−Au分散液を1000倍程度希釈し、その一部のPd−Au粒子をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、その平均粒子径を前述の方法(走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた写真から求める方法)で測定したところ、10nmであった。なお、走査型電子顕微鏡による観察により、Pd−Au粒子は球状であることを確認した。
次に、得られたPd−Au分散液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮した後、遠心分離機(G=8000)を用いて粗大粒子のカットを行い、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)を用いてPd濃度を測定した。そして、Pd−Au濃度(PdおよびAuの合計濃度)が2.5質量%となるように調整したPd−Auコロイド溶液を得た。
得られたコロイド溶液の物性等を第1表に示す。
[合成例6]
Pd−Cuコロイド溶液の調整方法
クエン酸水溶液(濃度30質量%)219gに、還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gに室温で添加した後、さらに硝酸銅水溶液(濃度20質量%)10gを添加し、充分に混合することにより、Pd−Cu粒子が分散した分散液を得た。そして得られた分散液を、限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて洗浄(脱塩等)し、濃縮し、Pd−Cu濃度(PdおよびCu合計濃度)が2.5質量%のPd−Cu分散液を得た。
得られたPd−Cu分散液を1000倍程度希釈し、その一部のPd−Cu粒子をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、その平均粒子径を前述の方法(走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた写真から求める方法)で測定したところ、2nmであった。なお、走査型電子顕微鏡による観察により、Pd−Cu粒子は球状であることを確認した。
次に、得られたPd−Cu分散液100gに1体積%の塩酸を0.5g添加し、1時間攪拌後、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、SANUPC)を10g入れ、脱塩を行った。脱塩後、遠心分離機(G=8000)を用いて粗大粒子のカットを行い、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)を用いてPd−Cu濃度を測定した。そして、Pd−Cu濃度(PdおよびCu合計濃度)が2.5質量%となるように調整したPd−Cuコロイド溶液を得た。
得られたコロイド溶液の物性等を第1表に示す。
<実施例1>
合成例1で得られたPdコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にポリビニルピロリドン(PVP)(関東化学社製、K−30、分子量40000)を1g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Pdコロイド溶液(1−1)を得た。このような処理を行うことで、Pd粒子の凝集を抑制できる。
次に、安定化Pdコロイド溶液(1−1)に1質量%のNaOHを添加してpHを10.5に調整し、pHが調整された安定化Pdコロイド溶液(1−2)を得た。
そして、1質量%の珪酸ナトリウム水溶液36kg(SiO2換算で360g分)と、1質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4kg(Al23換算で40g分)とを用意し、これらを同時に、少しずつ、6時間かけて、安定化Pdコロイド溶液(1−2)へ添加した。ここで2つの水溶液の少なくとも一部を安定化Pdコロイド溶液(1−2)へ添加した溶液を反応液ともいう。また、2つの水溶液を添加している間、反応液は90℃に保持した。なお、2つの水溶液を添加した直後に反応液のpHが12.5へ上昇したが、その後はほとんど変化しなかった。
2つの水溶液の全量を添加した後、得られた反応液を室内で放冷することで室温まで冷却し、その後、限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて洗浄し、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(1−3)を得た。ここで未処理コアシェル型粒子は、Pdを金属コア粒子とし、その表面にケイ素およびアルミニウムを含むシェル層を備えるものである。
次に、得られた分散液(1−3)に塩酸を添加してpHを1.5に調整した後、充分に攪拌した。このような処理を行うことでシェル層から少なくとも一部のアルミニウムが分離され、シェル層に細孔が形成される。その後、NaOHを添加してpHを7に調整し、限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて、余分なシリカ成分、アルミナ成分および塩等を分離し、金属濃度(Pd濃度)が2.5質量%の多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(1−4)を得た。得られた多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(1−4)の組成は、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)を用いて測定した。
そして、得られた分散液(1−4)を1000倍程度希釈し、その一部をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、分離し、前述の方法で、多孔質酸化物被覆粒子における多孔質酸化物層の組成、厚さ、細孔の径の平均値(平均細孔径)および細孔容積、比表面積、接触角ならびに金属コア粒子の平均粒子径を測定した。
測定結果を第1表に示す。
次に、合成例Aで調製した10質量%の活性炭懸濁液(A)990gに、分散液(1−4)40gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(1−5)を得た。担持触媒(1−5)は、多孔質酸化物被覆粒子が活性炭に担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(1−5)に担持している金属コア粒子の平均粒子径を前述の方法(走査型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、得られた写真から求める方法)で測定した。
また、前述の触媒性能評価方法に基づいて、得られた担持触媒(1−5)の性能を評価した。また、担持触媒(1−5)を500℃で3時間、焼成したものについても、同様に性能を評価した。さらに、担持触媒(1−5)を500℃で3時間、焼成したものについて、金属コア粒子の平均粒子径を測定した。
測定結果を第1表に示す。
<実施例2>
実施例1と同様にして、pHが調整された安定化Pdコロイド溶液(1−2)を得た。
そして、1質量%の珪酸ナトリウム水溶液243kg(SiO2換算で2430g分)と、1質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液27kg(Al23換算で270g分)とを用意し、これらを同時に、少しずつ、6時間かけて、安定化Pdコロイド溶液(1−2)へ添加した。ここで2つの水溶液の少なくとも一部を安定化Pdコロイド溶液(1−2)へ添加した溶液を反応液ともいう。また、2つの水溶液を添加している間、反応液は90℃に保持した。なお、2つの水溶液を添加した直後に反応液のpHが12.5へ上昇したが、その後はほとんど変化しなかった。
その後は実施例1と同様の操作を行って、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(2−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(2−4)、担持触媒(2−5)を得た。そして、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<実施例3>
実施例1と同様にして、pHが調整された安定化Pdコロイド溶液(1−2)を得た。
そして、1質量%の珪酸ナトリウム水溶液1710kg(SiO2換算で17100g分)と、1質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液190kg(Al23換算で1900g分)とを用意し、これらを同時に、少しずつ、6時間かけて、安定化Pdコロイド溶液(1−2)へ添加した。ここで2つの水溶液の少なくとも一部を安定化Pdコロイド溶液(1−2)へ添加した溶液を反応液ともいう。また、2つの水溶液を添加している間、反応液は90℃に保持した。なお、2つの水溶液を添加した直後に反応液のpHが12.5へ上昇したが、その後はほとんど変化しなかった。
その後は実施例1と同様の操作を行って、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(3−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(3−4)、担持触媒(3−5)を得た。そして、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<実施例4>
合成例2で得られたPd−Ptコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にポリ塩化アルミ(PAC)(多木化学社製:タキバイン#1000)を0.1g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Pd−Ptコロイド溶液(4−1)を得た。このような処理を行うことで、Pd−Pt粒子の凝集を抑制できる。
次に、安定化Pd−Ptコロイド溶液(4−1)に1質量%のKOHを添加してpHを12.5に調整し、pHが調整された安定化Pd−Ptコロイド溶液(4−2)を得た。
そして、1質量%の珪酸水溶液75kg(SiO2換算で750g分)と、1質量%のジルコニウム塩(第一稀元素社製、ジルコゾールAC−7)水溶液25kg(ZrO2換算で250g分)とを用意し、これらを同時に、少しずつ、6時間かけて、安定化Pd−Ptコロイド溶液(4−2)へ添加した。ここで2つの水溶液の少なくとも一部を安定化Pd−Ptコロイド溶液(4−2)へ添加した溶液を反応液ともいう。また、2つの水溶液を添加している間、反応液は90℃に保持した。なお、2つの水溶液を添加した直後から添加が終わるまで、反応液のpHは12.5からほとんど変化しなかった。
その後、実施例1と同様の操作を行って、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(4−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(4−4)を得た。これらについて、実施例1と同様の測定を行った。
次に、合成例Bで調製した10質量%の活性アルミナ懸濁液(B)970gに、分散液(4−4)120gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(4−5)を得た。担持触媒(4−5)は、多孔質酸化物被覆粒子が活性炭に担持しているものである。
そして、担持触媒(4−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<実施例5>
合成例2で得られたPd−Ptコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にカチオン性界面活性剤(センカ社製、KHE−1000)を0.1g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Pd−Ptコロイド溶液(5−1)を得た。このような処理を行うことで、Pd−Pt粒子の凝集を抑制できる。
その後は実施例4と同様の操作を行って、pHが調整された安定化Pd−Ptコロイド溶液(5−2)、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(5−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(5−4)、担持触媒(5−5)を得た。そして、実施例4と同様に、実施例1と同様の測定を行った。
なお、実施例4と同様に、安定化Pd−Ptコロイド溶液(5−2)へ珪酸水溶液とジルコニウム塩水溶液とを添加した直後から添加が終わるまで、反応液のpHは12.5からほとんど変化しなかった。
測定結果を第1表に示す。
<実施例6>
合成例3で得られた鎖状Ag−Pdコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にポリビニルピロリドン(PVP)(関東化学社製、K−30、分子量40000)を1g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Ag−Pdコロイド溶液(6−1)を得た。このような処理を行うことで、Ag−Pd粒子の凝集を抑制できる。
次に、安定化Ag−Pdコロイド溶液(6−1)に1質量%のNaOHを添加してpHを10.5に調整し、pHが調整された安定化Ag−Pdコロイド溶液(6−2)を得た。
そして、1質量%の珪酸ナトリウム水溶液7.2kg(SiO2換算で72g分)と、1質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液0.8kg(Al23換算で8g分)とを用意し、これらを同時に、少しずつ、6時間かけて、安定化Ag−Pdコロイド溶液(6−2)へ添加した。ここで2つの水溶液の少なくとも一部を安定化Ag−Pdコロイド溶液(6−2)へ添加した溶液を反応液ともいう。また、2つの水溶液を添加している間、反応液は90℃に保持した。なお、2つの水溶液を添加した直後に反応液のpHが12.5へ上昇したが、その後はほとんど変化しなかった。
その後、実施例1と同様の操作を行って、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(6−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(6−4)を得た。これらについて、実施例1と同様の測定を行った。
次に、合成例Bで調製した10質量%の活性アルミナ懸濁液(B)970gに、分散液(6−4)120gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(6−5)を得た。担持触媒(6−5)は、多孔質酸化物被覆粒子が活性炭に担持しているものである。
そして、担持触媒(6−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<実施例7>
合成例4で得られた角状Pdコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にポリビニルピロリドン(PVP)(関東化学社製、K−30、分子量40000)を0.3g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化角状Pdコロイド溶液(7−1)を得た。このような処理を行うことで、角状Pd粒子の凝集を抑制できる。
次に、安定化角状Pdコロイド溶液(7−1)に1質量%のNaOHを添加してpHを10.5に調整し、pHが調整された安定化角状Pdコロイド溶液(7−2)を得た。
そして、1質量%の珪酸ナトリウム水溶液0.9kg(SiO2換算で9g分)と、1質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液0.1kg(Al23換算で1g分)とを用意し、これらを同時に、少しずつ、6時間かけて、安定化角状Pdコロイド溶液(7−2)へ添加した。ここで2つの水溶液の少なくとも一部を安定化角状Pdコロイド溶液(7−2)へ添加した溶液を反応液ともいう。また、2つの水溶液を添加している間、反応液は90℃に保持した。なお、2つの水溶液を添加した直後に反応液のpHが12.5へ上昇したが、その後はほとんど変化しなかった。
その後は実施例6と同様の操作を行って、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(7−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(7−4)、担持触媒(7−5)を得た。そして、実施例6と同様に、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<実施例8>
合成例5で得られたPd−Auコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にポリビニルピロリドン(PVP)(関東化学社製、K−30、分子量40000)を0.3g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Pd−Auコロイド溶液(8−1)を得た。このような処理を行うことで、Pd−Au粒子の凝集を抑制できる。
次に、安定化Pd−Auコロイド溶液(8−1)に1質量%のNaOHを添加してpHを10.5に調整し、pHが調整された安定化Pd−Auコロイド溶液(8−2)を得た。
そして、その後は実施例7と同様の操作を行って、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(8−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(8−4)、担持触媒(8−5)を得た。そして、実施例6と同様に、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<実施例9>
合成例6で得られたPd−Cuコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にポリビニルピロリドン(PVP)(関東化学社製、K−30、分子量40000)を1g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Pd−Cuコロイド溶液(9−1)を得た。このような処理を行うことで、Pd−Cu粒子の凝集を抑制できる。
次に、安定化Pd−Cuコロイド溶液(9−1)に1質量%のNaOHを添加してpHを10.5に調整し、pHが調整された安定化Pd−Cuコロイド溶液(9−2)を得た。
そして、その後は実施例1と同様の操作を行って、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(9−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(9−4)、担持触媒(9−5)を得た。そして、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<実施例10>
合成例1で得られたPdコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にアミノシラン(信越化学社製、KBM−903)を1g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Pdコロイド溶液(10−1)を得た。このような処理を行うことで、Pd粒子の凝集を抑制できる。
その後は実施例1と同様の操作を行って、pHが調整された安定化Pdコロイド溶液(10−2)、固形分濃度が5質量%の未処理コアシェル型粒子が分散した分散液(10−3)、多孔質酸化物被覆粒子を含む分散液(10−4)、担持触媒(10−5)を得た。そして、実施例1と同様の測定を行った。
なお、実施例1と同様に、珪酸ナトリウム水溶液とアルミン酸ナトリウム水溶液とを添加した直後に反応液のpHが12.5へ上昇したが、その後はほとんど変化しなかった。
測定結果を第1表に示す。
<比較例1>
実施例1と同様にして、安定化Pdコロイド溶液(1−1)を得た。
そして、合成例Aで調製した10質量%の活性炭懸濁液(A)990gに、安定化Pdコロイド溶液(1−1)100gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(RF1−5)を得た。担持触媒(RF1−5)は、金属コア粒子が活性炭に担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(RF1−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<比較例2>
合成例Aで調製した10質量%の活性炭懸濁液(A)990gに、合成例1で得られたPdコロイド溶液40gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(RF2−5)を得た。担持触媒(RF2−5)は、金属コア粒子が活性炭に担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(RF2−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<比較例3>
実施例4と同様にして、安定化Pd−Ptコロイド溶液(4−1)を得た。
そして、合成例Bで調製した10質量%の活性アルミナ懸濁液(B)970gに、安定化Pd−Ptコロイド溶液(4−1)300gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(RF3−5)を得た。担持触媒(RF3−5)は、金属コア粒子が活性アルミナに担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(RF3−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<比較例4>
実施例5と同様にして、安定化Pd−Ptコロイド溶液(5−1)を得た。
そして、合成例Bで調製した10質量%の活性アルミナ懸濁液(B)970gに、安定化Pd−Ptコロイド溶液(5−1)300gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(RF4−5)を得た。担持触媒(RF4−5)は、金属コア粒子が活性アルミナに担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(RF4−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<比較例5>
実施例6と同様にして、安定化Ag−Pdコロイド溶液(6−1)を得た。
そして、合成例Bで調製した10質量%の活性アルミナ懸濁液(B)970gに、安定化Ag−Pdコロイド溶液(6−1)300gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(RF5−5)を得た。担持触媒(RF5−5)は、金属コア粒子が活性アルミナに担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(RF5−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<比較例6>
実施例7と同様にして、安定化角状Pdコロイド溶液(7−1)を得た。
そして、合成例Bで調製した10質量%の活性アルミナ懸濁液(B)970gに、安定化角状Pdコロイド溶液(7−1)300gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(RF6−5)を得た。担持触媒(RF6−5)は、金属コア粒子が活性アルミナに担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(RF6−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<比較例7>
合成例1で得られたPdコロイド溶液をメタノールで希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。そして、得られた溶液にアミノシラン(信越化学社製、KBM−903)を1g添加し、その後、1時間攪拌して、安定化Pdコロイド溶液(RF7−1)を得た。このような処理を行うことで、Pd粒子の凝集を抑制できる。
次に、SiO2換算で1.43kg分の正珪酸エチルを少しずつ、6時間かけて、安定化Pdコロイド溶液(RF7−1)へ添加した。また、この溶液を添加している間、安定化Pdコロイド溶液(RF7−1)は40℃に保持した。
2つの水溶液の全量を添加した後、得られた反応液を室内で放冷することで室温まで冷却し、その後、限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて洗浄し、金属濃度(Pd濃度)が2.5質量%の未処理コアシェル型粒子を含む分散液(RF7−4)を得た。
そして、得られた分散液(RF7−4)におけるPd粒子を1000倍程度希釈し、その一部をコロジオン膜にのせ、乾燥させ、未処理コアシェル型粒子におけるシェル層(コアとしてのPd粒子を覆う層)の組成、厚さ、細孔の径の平均値(平均細孔径)および細孔容積、比表面積、接触角ならびに金属コア粒子の平均粒子径を測定した。
測定結果を第1表に示す。なお、ここでの測定結果は、実施例と対比するため、第1表の多孔質酸化物微粒子についての測定結果を示す欄に示した。
次に、合成例Aで調製した10質量%の活性炭懸濁液(A)990gに、分散液(RF7−4)40gを添加し、10分間、攪拌した。そして得られた混合液を105℃で24時間乾燥させることにより、担持触媒(RF7−5)を得た。担持触媒(RF7−5)は、未処理コアシェル型粒子が活性炭に担持しているものである。
このようにして得られた担持触媒(RF7−5)について、実施例1と同様の測定を行った。
測定結果を第1表に示す。
<比較例8>
合成例1で得られたPdコロイド溶液を純水で希釈して1質量%とした溶液を1kg得た。
次に、Pdコロイド溶液に1質量%のNaOHを添加してpHを10.5に調整し、pHが調整されたPdコロイド溶液(RF8−2)を得た。
そして、1質量%の珪酸ナトリウム水溶液36kg(SiO2換算で360g分)と、1質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4kg(Al23換算で40g分)とを用意し、これらを同時に、少しずつ、6時間かけて、Pdコロイド溶液(RF8−2)へ添加した。ここで2つの水溶液の少なくとも一部をPdコロイド溶液(RF8−2)へ添加した溶液を反応液ともいう。また、2つの水溶液を添加している間、反応液は90℃に保持した。なお、2つの水溶液を添加した直後に反応液のpHが12.5へ上昇したが、その後はほとんど変化しなかった。
2つの水溶液の全量を添加した後、得られた反応液を室内で放冷することで室温まで冷却したところ、溶液内で粒子が凝集しており、以降の処理は不可能であった。
Figure 0005840475
Figure 0005840475
第1表の触媒性能評価より、すべての実施例における担持触媒は、500℃焼成後であっても活性が高く、寿命も長いことがわかる。また、500℃焼成の前後における金属コア粒子の平均粒子径を対比すると、変化がないことがわかる。
これに対して、比較例における担持触媒は、500℃焼成前の活性はある程度高いものの、500℃焼成後の活性は極端に低くなった。また、寿命については、500℃焼成前であっても短く、500℃焼成後の場合は極端に短くなった。また、比較例1〜6の場合、500℃焼成後の金属コア粒子の平均粒子径は、500℃焼成前に比べると100倍程度にまで大きくなった。これは比較例1〜6は実施例の担持触媒が備える多孔質酸化物層を有さないため、金属コア粒子同士が凝集したためと考えられる。
実施例1と比較例1との相違点は、実施例1の金属コア粒子は多孔質酸化物層で被覆されているのに対して、比較例1の金属コア粒子は被覆されていない点である。第1表の触媒性能評価の活性および寿命を比較すると、実施例1と比較例1とでは大きな違いがあることがわかる。また、実施例1の場合、500℃焼成前後で金属コア粒子の平均粒子径は変化していないが、比較例1の場合、500℃焼成前に比べて500℃焼成後は、平均粒子径が極端に大きくなっており、凝集したものと考えられる。
実施例1と比較例2との相違点は、実施例1の金属コア粒子は多孔質酸化物層で被覆されているのに対して、比較例1の金属コア粒子は被覆されていない点と、比較例1では合成例1で得られたPdコロイド溶液を純水で希釈した溶液に、ポリビニルピロリドン(PVP)を添加していない点とである。したがって比較例1の場合、Pdコロイド溶液中のPd粒子が凝集しやすい。
そして、第1表の触媒性能評価の活性および寿命ならびに500℃焼成前後の平均粒子径を比較すると、実施例1と比較例1との対比結果と同様に、大きな違いがあることがわかる。
実施例4と比較例3との相違点、実施例5と比較例4との相違点、実施例6と比較例5との相違点、および実施例7と比較例6との相違点は、実施例4、5、6および7の金属コア粒子は多孔質酸化物層で被覆されているのに対して、比較例3、4、5および6の金属コア粒子は被覆されていない点である。
そして、第1表の触媒性能評価の活性および寿命ならびに500℃焼成前後の平均粒子径を比較すると、実施例1と比較例1との対比結果と同様に、大きな違いがあることがわかる。
比較例7は、Pdからなる金属コア粒子の表面をシリカで被覆したものであり、その被覆した層に細孔は形成されていない点で実施例とは相違する。この場合、担持触媒の寿命は実施例と同程度となるものの、活性が非常に低くなった。特に500℃焼成後の活性は極端に低くなった。
比較例8は、合成例1で得られたPdコロイド溶液を十分に分散させないで、Pd粒子の表面にシリカおよびアルミナからなる層を形成したものである。この場合、粒子同士が凝集してしまい、その後の処理が困難となることがわかった。

Claims (11)

  1. 金属コア粒子と、その表面の少なくとも一部についた多孔質酸化物層とを有し、
    前記多孔質酸化物層の主成分がシリカ系酸化物であり、前記多孔質酸化物層が、第3周期〜第6周期の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つである元素群ωを含み、ケイ素(Si)と元素群ωとの合計モル量に対する元素群ωのモル量の比(元素群ω/(元素群ω+Si)×100)が0.05〜10%であり、
    前記多孔質酸化物層が有する細孔の平均細孔径が0.4〜5nmであり、
    親水性を備えて接触角が1〜16度である、多孔質酸化物被覆粒子。
  2. 前記多孔質酸化物層の厚さの平均値が2nm超である、請求項1に記載の多孔質酸化物被覆粒子。
  3. 前記細孔の容積が0.01〜0.5ml/gである、請求項1または2に記載の多孔質酸化物被覆粒子。
  4. 比表面積が100〜1000m2/gである、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子。
  5. 前記金属コア粒子が、第4周期遷移元素、第5周期遷移元素、白金、金、オスミウムおよびイリジウムからなる群から選ばれる少なくとも1つを主成分とする、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子が担体の表面に担持している担持触媒。
  7. 金属コア粒子が分散したコロイド溶液を得るコロイド調整工程と、
    ケイ素を含む溶液[α]およびアルカリに溶解する無機物であるアルカリ可溶無機物を含む溶液[β]を用意し、アルカリ性に調整した前記コロイド溶液へ、前記溶液[α]および前記溶液[β]を添加して、前記金属コア粒子の表面の少なくとも一部がケイ素および前記アルカリ可溶無機物に由来する成分を含むシェル層で被覆された未処理コアシェル型粒子が分散している分散液(X)を得る添加工程と、
    前記分散液(X)へ酸またはアルカリを添加して、前記シェル層に含まれる前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の少なくとも一部を前記シェル層から分離して、前記シェル層の少なくとも一部に細孔を形成し、金属コア粒子の表面の少なくとも一部にシリカ系酸化物を主成分とし平均細孔径が0.4〜5nmである細孔を有する多孔質酸化物層がついている多孔質酸化物被覆粒子が分散している分散液(Y)を得る細孔形成工程と
    を備える、多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
  8. 前記添加工程が、
    添加されるケイ素のSiO2換算のモル量に対する、添加される前記アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量の比(アルカリ可溶無機物に由来する成分の酸化物換算のモル量(mol)/ケイ素のSiO2換算のモル量(mol))が0.25以下となるように、アルカリ性に調整した前記コロイド溶液へ、前記溶液[α]および前記溶液[β]を添加して、前記分散液(X)を得る工程である、請求項7に記載の多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
  9. 前記アルカリ可溶無機物が、第3周期〜第6周期の元素からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含むオキソ酸の、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩である、請求項7または8に記載の多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
  10. 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子が得られる、請求項7〜9のいずれかに記載の多孔質酸化物被覆粒子の製造方法。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法に、さらに、前記多孔質酸化物被覆粒子を担体の表面に担持させる工程を備える、担持触媒の製造方法。
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