JP5530074B2 - 複合体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属粒子とメソポーラス材料との複合体およびその製造方法に関する。
メソポーラスシリカに代表されるメソポーラス材料は、直径1−50nmの細孔を有する材料である。代表的なメソポーラスシリカは、大きさの揃った直径数ナノメートルで円筒状の均質な細孔が、ハチの巣のように規則的に並んだ構造を有している。このような細孔(ナノ空間)を有する材料と触媒活性をもつ材料を組み合わせることにより高性能な触媒となることが期待される。
特許文献1には、メソポーラスシリカのような多孔体の細孔表面に、二酸化チタンのような光触媒活性をもつ光触媒物質と、有機基とが固定されている光触媒複合体が開示されている。この場合、光触媒物質の粒子径は、当然にメソポーラスシリカの細孔径より小さくなる。
一方、酸化チタンの微結晶粒子をメソポーラスシリカに直接埋め込んだ新しい複合体触媒の合成も検討されている(非特許文献1)。この場合、メソポーラスシリカと、その細孔径より大きい酸化チタンが複合化されたことになる。そして、この複合体触媒は、ノニルフェノールを高速かつ分子選択的に分解することができる。通常の酸化チタンは、分子選択性を示さないことから、メソポーラスシリカとの複合化によって分子選択的な吸着機能を示した結果と考えられる。
特開2005−270734号公報 K.Inumaru et al, Chem.Commun.,(2005)2131
しかしながら、金属粒子をメソポーラスシリカ等のメソポーラス材料に直接埋め込んだ複合体は、非特許文献1のような方法で得ることは困難であった。金属粒子は、触媒として、例えば、自動車の排ガス浄化用をはじめとする環境保全用途、石油精製、石油化学、医薬、香料、食品などの化学用途等様々な目的に使用されている。化学用途では、水素化、脱水素、酸化、カルボニル化、ヒドロホルミル化等の各種化学反応により、様々な化合物が合成されている。工業的に確率できたものも多いが、中には開発途上のものも多く、工業化に向けての開発が進められている。基質選択性が必要な場合、逐次反応や副反応が起きる場合、触媒を改良しても難しい場合もあり、メソポーラス材料などで反応場を制御することで可能になることが考えられる。
そこで、本発明は、金属粒子の表面がメソポーラス材料で被覆されている複合体を提供することを目的とする。
本発明は、金属粒子の表面がメソポーラス材料で被覆されている複合体の製造方法であって、金属原料に有機酸を接触させる工程と、前記有機酸を接触させた前記金属原料の表面にメソポーラス材料を生成させる工程とを有する複合体の製造方法である。
本発明によれば、金属粒子の表面がメソポーラス材料で被覆されている複合体を提供できる。
<複合体>
本発明の複合体は、金属粒子の表面がメソポーラス材料で被覆されている複合体である。本発明の複合体は、金属粒子の表面の一部がメソポーラス材料で被覆されていなくても構わないが、金属粒子の表面が、実質的に完全にメソポーラス材料で被覆されていることが好ましく、完全にメソポーラス材料で被覆されていることが好ましい。
金属粒子を構成する金属の例としては、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金が挙げられる。なかでも、貴金属であるルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金が好ましい。金属は、1種でもよく、2種以上でもよい。
貴金属粒子を用いた場合には、貴金属以外に他の元素を含有していてもよい。他の元素の例としては、アンチモン、タリウム、鉛、テルル、ビスマス等の卑金属元素が挙げられる。他の元素は、1種でもよく、2種以上でもよい。貴金属粒子に含まれる元素のうち、貴金属が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
金属粒子は、質量あたりの表面積を大きくすることで触媒活性が高まることから、金属粒子の平均粒径は小さいほうが好ましく、具体的には5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、1000nm以下がさらに好ましく、500nm以下が特に好ましい。また、金属粒子の安定性を高める観点から、金属粒子の平均粒径はメソポーラス材料の細孔直径より大きいことが好ましく、具体的には3nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましく、100nm以上が特に好ましい。なお、平均粒径とは、メディアン径を意味する。この平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)などにより測定することができる。
メソポーラス材料の例としては、メソポーラスシリカ、メソポーラスアルミナ、メソポーラスチタニア、メソポーラスジルコニアが挙げられる。なかでも、合成が容易なメソポーラスシリカが好ましい。メソポーラス材料は、1種でもよく、2種以上でもよく、2種以上の複合材料でもよい。
複合材料中の金属粒子の含有率は、触媒機能を十分に発揮させるためには多いほうが好ましく、一方、材料費の観点からは少ないほうが好ましい。具体的には0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましく、60質量%以上が最も好ましい。また、複合材料中の金属粒子の安定性を高める観点から、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下が特に好ましく、70質量%以下が最も好ましい。
複合材料の細孔特性に関しては、形成するメソポーラス材料の細孔特性を制御することで適宜調整することができる。複合材料の比表面積は、10m2/g〜500m2/gが好ましく、50m2/g〜100m2/gがより好ましい。複合材料の細孔容積は、0.1ml/g〜2.0ml/gが好ましく、0.2ml/g〜1.5ml/gがより好ましい。複合材料の細孔直径(メソポーラス材料の細孔直径)は、1〜50nmが好ましく、2〜10nmがより好ましい。これらの細孔特性は、窒素ガス吸着法により得られたデータをBJHプロットすることで算出できる。
本発明の複合体においては、金属粒子の結晶相の変化(相転移)・粒子成長・金属粒子間の融合・表面積の低下などが抑制され、金属粒子の安定化を図ることができる。この技術は、金属粒子を使用するあらゆる分野で利用することができる。特に、活性成分である金属粒子の安定化が重要な触媒分野で好適に利用することができる。
<複合体の製造方法>
以上のような複合体の製造方法は、金属原料に有機酸を接触させる工程と、有機酸を接触させた金属原料の表面にメソポーラス材料を生成させる工程とにより好適に製造できる。このように、金属原料に有機酸を接触させた後にメソポーラス材料を生成させることで、金属粒子の表面にメソポーラス材料が被覆されやすくなり、金属粒子の表面全体がメソポーラス材料で完全に被覆されている複合体が得られやすくなる。
金属原料としては、複合体を構成する金属粒子自体もしくはその分散液、または金属の塩もしくは酸化物等を用いることができる。金属の塩の例としては、金属のハロゲン化物、金属の有機酸塩、金属の無機酸塩、金属錯体が挙げられる。金属のハロゲン化物を構成するハロゲン元素の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。金属の有機酸塩を構成する有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸が挙げられる。金属の無機酸塩を構成する無機酸の例としては、硫酸、硝酸、炭酸が挙げられる。金属錯体の例としては、アンミン錯体、アセチルアセトナト錯体が挙げられる。なかでも、金属のハロゲン化物、金属の無機酸塩が好ましく、金属の無機酸塩がより好ましく、金属の硝酸塩がさらに好ましい。
有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、フェノール類、チオール類等を用いることができる。カルボン酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸;乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ基含有カルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。スルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸が挙げられる。フェノール類の例としては、フェノール、クレゾール、ピクリン酸、ナフトール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロールが挙げられる。チオール類の例としては、ベンゼンチオールが挙げられる。なかでも、カルボン酸、スルホン酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素数が8〜16のカルボン酸がさらに好ましく、カプリン酸、ラウリン酸が特に好ましく、ラウリン酸が最も好ましい。有機酸は、1種でもよく、2種以上でもよい。
金属原料に有機酸を接触させる方法としては、金属原料が溶媒に溶解または分散した溶液または分散液に、有機酸を添加して混合すればよい。金属原料に有機酸を接触させることで、有機酸が金属原料と相互作用をして、金属原料がメソポーラス材料で被覆されやすくなる。金属原料と有機酸との混合は、例えば、40〜70℃で、1〜48時間程度行うことができる。この混合が長い程、より多くの有機酸が金属原料と相互作用をして、金属原料がメソポーラス材料でより被覆されやすくなる。
溶媒としては、水または有機溶媒を用いることができる。有機溶媒の例としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類:ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシドが挙げられる。有機溶媒は、1種でもよく、2種以上でもよい。2種以上の有機溶媒を用いる場合、その溶媒は均一な状態であることが好ましいが、不均一な状態であっても差し支えない。
また、水と有機溶媒の混合溶媒を用いることもできる。混合溶媒に含まれる有機溶媒は、アルコール類、ケトン類が好ましい。混合溶媒中の水の含有率は、2〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。混合溶媒は、均一な状態であることが好ましいが、不均一な状態であっても差し支えない。
有機酸を接触させた金属原料の表面にメソポーラス材料を生成させる方法としては、金属原料に有機酸を接触させた後の溶液または分散液中で、メソポーラス材料が生成する反応を行えばよい。メソポーラス材料が生成する反応としては、界面活性剤を鋳型としたゾルゲル法を利用することができる。この方法では、界面活性剤の種類を変更することで、細孔の大きさ、形状、充填構造を制御することができる。
界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができるが、カチオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
カチオン系界面活性剤の例としては、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩が挙げられる。好ましくは、下記一般式(1)で表されるアルキル第4級アンモニウム塩である。
(R1NR23 2+- (1)
式(1)において、R1はCn2n+1または(CH2mp2p+1、R2はメチル、エチルまたはベンジル、R3はメチルまたはエチル、Xはハロゲンまたは水酸基、nは8〜20の整数、mは2〜6の整数、pは2〜18の整数である。Xのハロゲンとしては、塩素または臭素原子が好ましい。
アルキル第4級アンモニウム塩の例としては、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、3−パーフルオロオクチルプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−パーフルオロオクチルプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、3−パーフルオロヘキシルプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、6−パーフルオロオクチルヘキシルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
溶媒中の界面活性剤の濃度は、使用した溶媒における臨界ミセル濃度以上の濃度であればよく、0.0001mol/l以上が好ましく、0.001mol/l以上がより好ましい。界面活性剤を臨界ミセル濃度以上の濃度で溶媒に溶解させると、ミセルを形成し、さらにそのミセルが充填構造となり、メソポーラスシリカの構造が生成する。多孔体原料が共存する場合は、臨界ミセル濃度以下でもメソポーラスシリカが生成する場合があるので、適宜適当な濃度が選択される。
界面活性剤のミセルを膨張させる物質(以下、膨張剤)を添加することで、より大きな細孔のメソポーラス材料を得ることができる。膨張剤を添加する時期は、メソポーラス物質の固体成分が生成する前であればよく、界面活性剤の添加の前後がより好ましい。膨張剤は、あらかじめ溶媒に溶解もしくは分散した状態で加えてもよく、または直接合成溶液に加えてもよい。
膨張剤としては、ミセルの疎水部に侵入するため疎水性をもつ物質が好ましく、なかでも、芳香族化合物、炭化水素化合物、疎水基の大きいアルコール等がより好ましく、メシチレン、炭素数2〜20のアルカン、炭素数4以上のアルコールが特に好ましい。炭素数2〜20のアルカンとしては、例えばn−トリデカンが挙げられる。添加する膨張剤の量は、メソポーラス構造を破壊する量より少なければよく、界面活性剤に対し1000重量%以下が好ましく、5〜200重量%がより好ましい。
次いで、当該ミセルが存在する状態で、溶媒中にメソポーラス材料の原料を加え、必要に応じて触媒を加えることで、ミセルの隙間でゾルゲル反応が進行し、メソポーラス材料のゲル骨格が生成する。メソポーラス材料の原料を加える前の溶媒のpHは、メソポーラス材料を合成するのに適したpHであれば特に限定されない。メソポーラスシリカは酸性、塩基性のどちらでも合成可能であるが、酸性であればpH4以下が好ましく、pH3以下がより好ましい。塩基性での合成では、pH9以上が好ましく、pH10以上がより好ましい。pHは、例えば、塩酸、硝酸、硫酸などの酸性化合物、または、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性化合物を加えることによって調節することができる。pHを調節する時期は、多孔体が固体成分として析出する前であればよい。多孔体の形成は、例えば、20〜80℃で、2〜10時間程度行うことができる。あるいは、オートクレーブを用いて100〜200℃で行うこともできる。
メソポーラス材料の原料としては、メソポーラス材料を構成する元素(酸素以外の元素)のアルコキシド等を用いることができる。例えばメソポーラスシリカを生成させる場合には、その原料として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を用いることができる。メソポーラス材料の原料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
メソポーラス物質の生成反応を行った後に焼成することで、膨張剤や鋳型として用いた界面活性剤を分解除去して、メソポーラス材料が得られる。焼成は、例えば、300〜600℃で、2〜10時間程度行うことができる。焼成は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行ってもよく、空気、酸素等の酸化性ガス中で行ってもよい。また、溶媒抽出で膨張剤や鋳型として用いた界面活性剤を除去してもよい。溶媒抽出は、例えば、20〜90℃、10分〜96時間、1〜10回の抽出で行うことができる。また、抽出溶媒としては、例えば、イオン交換水、アルコール、エーテル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒のほか、超臨界二酸化炭素など抽出力の強い溶媒が使用できる。溶媒抽出は単独で行ってもよいが、その後に焼成を行ってもよい。これにより、外部から金属または金属原料に到達するメソ孔を有するメソポーラス材料を得ることができる。
金属原料として、金属粒子分散液、金属塩または金属酸化物を用いた場合、その表面にメソポーラス材料を生成させた後、その金属塩または金属酸化物を還元する。こうすることで、金属粒子の表面がメソポーラス材料で被覆されている複合体が得られる。金属原料として金属粒子自体を用いた場合にも、この還元を行ってもよい。
還元に用いる還元剤としては、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、蟻酸、蟻酸の塩、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキセン、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクロレイン、メタクロレイン等を用いることができる。なかでも、水素が好ましい。還元剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
<パラジウム粒子の水分散液の調製>
88質量%吉草酸水溶液50gに酢酸パラジウム1.0549g(Pdで0.5g相当)を完全に溶解し、この溶解液をオートクレーブに入れ、窒素でパージした後、プロピレンを0.6MPa導入し、室温で24時間攪拌した。圧を抜き中のスラリーを遠心分離し、50%アセトン水溶液で吉草酸のにおいがなくなるまで置換して、以下の実施例使用するパラジウム粒子の水分散液を得た。
<実施例1>
パラジウム粒子の水分散液14.2g(Pdで0.17g相当)に、カプリン酸5.95mgを溶解させ、55℃で約2時間攪拌した。一方で、界面活性剤としてのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.0808gを、イオン交換水4.32gに加温しながら溶解させた。この溶液に、上記のカプリン酸を溶解させたパラジウム粒子の水分散液を添加し、さらにアンモニア水を加えてpHを11.8に調整した。
得られた分散液を激しく攪拌しながら、テトラエトキシシラン0.317gを一気に加えて、1時間攪拌した。生成物を濾過し、イオン交換水で洗浄した後、一晩70℃で乾燥した。そして、その生成物を540℃で6時間焼成して界面活性剤を除去した。その後、N2/H2ガスを用いて水素還元を行った。ガス流量は、N2ガス180ml/min、H2ガス20ml/minとした。また、温度は、室温から300℃まで1.5時間かけて昇温し、300℃で3時間保持した後、室温まで放冷した。
以上の方法により実施例1の複合体(Pd含有率:65質量%)を得た。実施例1の複合体の細孔特性を測定した結果を表1に示し、TEM測定結果を図1に示す。
<実施例2>
カプリン酸5.95mgの代わりに、ラウリン酸3.03mgを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の複合体(Pd含有率:65質量%)を得た。実施例2の複合体の細孔特性を測定した結果を表1に示し、TEM測定結果を図2に示す。
<実施例3>
パラジウム粒子水分散液9.23g(Pdで0.17g相当)に、カプリン酸2.81mgを溶解させ、55℃で約36時間攪拌した。一方で、界面活性剤としてのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.0811gを、イオン交換水4.52gに加温しながら溶解させた。この溶液に、上記のカプリン酸を溶解させたパラジウム粒子の水分散液を添加した後、30分間超音波処理を行い、さらにアンモニア水を加えてpHを11.8に調整した。
その後は実施例1と同様にして、実施例3の複合体(Pd含有率:65質量%)を得た。実施例3の複合体の細孔特性を測定した結果を表1に示し、XRD測定結果を図3に示す。
<実施例4>
カプリン酸2.81mgの代わりに、ラウリン酸2.81mgを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4の複合体(Pd含有率:65質量%)を得た。実施例4の複合体の細孔特性を測定した結果を表1に示し、XRD測定結果を図4に示す。
<比較例1>
カプリン酸を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の複合体(Pd含有率:65質量%)を得た。比較例1の複合体の細孔特性を測定した結果を表1に示し、TEM測定結果を図5に示す。
金属原料に有機酸を接触させた実施例1〜4では、パラジウム粒子の表面がメソポーラスシリカで被覆されている複合体が得られた。それに対し、金属原料に有機酸を接触させなかった比較例1では、パラジウム粒子の表面にメソポーラスシリカで被覆されていない箇所が見られた。
実施例1の複合体のTEM測定結果である。 実施例2の複合体のTEM測定結果である。 実施例3の複合体のXRD測定結果である。 実施例4の複合体のXRD測定結果である。 比較例1の複合体のTEM測定結果である。

Claims (2)

  1. 金属粒子の表面がメソポーラス材料で被覆されている複合体の製造方法であって、金属原料に有機酸を接触させる工程と、前記有機酸を接触させた前記金属原料の表面にメソポーラス材料を生成させる工程とを有する複合体の製造方法。
  2. 前記金属原料として、金属粒子分散液、金属塩または金属酸化物を用い、前記メソポーラス材料が表面に生成している前記金属原料を還元する工程を有する請求項1に記載の複合体の製造方法。
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