JP2006182593A - 金属粒子を内包する構造体の製造方法、及びメソポーラス物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 細孔内に金属粒子を内包する構造体、およびメソポーラス物質を作製するための製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、重合反応開始部位を有する金属粒子に、前記開始部位から疎水性高分子を形成し、前記疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成し、前記金属粒子表面に共重合体を形成した金属粒子を用意する工程と、前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程とを備える金属粒子を内包する構造体の製造方法を提供するものである。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明は、重合反応開始部位を有する金属粒子に、前記開始部位から疎水性高分子を形成し、前記疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成し、前記金属粒子表面に共重合体を形成した金属粒子を用意する工程と、前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程とを備える金属粒子を内包する構造体の製造方法を提供するものである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、バイオセンサ等に使用される金属粒子を内包したナノメートルスケールの周期構造を有する構造体の製造方法に関する。
規則的周期構造を有するメソ構造体、及びメソポーラス物質の細孔内に金属粒子を含有させる方法に関してはいくつかの報告がなされている。その多くは、メソポーラス物質を鋳型として金属イオンをその細孔内に導入し、還元反応などを施すことによって、金属イオンより金属粒子を合成するというものである。特許文献1には、キュービック構造、又は三次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜を作製後、この膜と所定の金属のイオンを含有する溶液とを接触させることにより細孔内に金属イオンを導入し、還元反応によって金属粒子を形成させたことが報告されている。
一方で、金属粒子と界面活性剤との複合体からメソ構造体を作製する技術に関しても、報告がなされている。非特許文献1には、金粒子表面とアルキルチオールとを反応させて作製した疎水性金粒子とアルキルアンモニウム系界面活性剤との複合体を鋳型として、金粒子を含有するメソ構造体を作製したことが報告されている。
特開2004−099386号公報
Science誌第304巻第567頁
しかしながら、上記の報告には改良すべき点があった。
先ず、金属イオンを含有する溶液にメソポーラス物質を接触させ、後に還元することによって細孔内に金属粒子を内包させるメソ構造体に関しては、細孔内での均一な粒子形成が難しく、局所的には金属粒子が形成されるが、構造体の細孔全体にわたって金属粒子を形成させることが困難であった。また、表面にアルキル基を有する金粒子と界面活性剤との複合体によって形成されるメソ構造体に関しては、用いる金粒子の粒径を変化させることで構造体の細孔径を制御しているが、この方法で得られる構造体の細孔径は最大でも8nm程度であり、得られる構造体の細孔径のサイズは、金粒子の粒径によって限定されるものであった。
本発明は上述の内容に鑑みなされたもので、
本発明は、金属粒子を内包する構造体の製造方法において、
重合反応開始部位を有する金属粒子に、前記開始部位から疎水性高分子を形成し、前記疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成し、前記金属粒子表面に共重合体を形成した金属粒子を用意する工程と、
前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程とを備える金属粒子を内包する構造体の製造方法を提供するものである。
本発明は、金属粒子を内包する構造体の製造方法において、
重合反応開始部位を有する金属粒子に、前記開始部位から疎水性高分子を形成し、前記疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成し、前記金属粒子表面に共重合体を形成した金属粒子を用意する工程と、
前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程とを備える金属粒子を内包する構造体の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、重合反応開始部位を有する金属粒子に、前記開始部位から疎水性高分子を形成し、前記疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成し、前記金属粒子表面に共重合体を形成した金属粒子を用意する工程と、
前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程と、
構造体から前記共重合体を除去する工程を備える金属粒子を内包したメソポーラス物質の製造方法を提供するものである。
前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程と、
構造体から前記共重合体を除去する工程を備える金属粒子を内包したメソポーラス物質の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、重合反応開始部位を有する金属粒子に、前記開始部位から疎水性高分子を形成し、前記疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成し、前記金属粒子表面に共重合体を形成した金属粒子を用意する工程と、
前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程とから形成された構造体と、
前記構造体に光を照射するための発光部と、
前記構造体からの反射光を受光するための受光部とを備えるセンサを提供するものである。
前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程とから形成された構造体と、
前記構造体に光を照射するための発光部と、
前記構造体からの反射光を受光するための受光部とを備えるセンサを提供するものである。
本発明によれば、金属粒子表面から疎水性を有する高分子を成長させ、次にその高分子の末端に親水性を有する高分子を形成させることで、両親媒性を有する共重合体を表面に有する金属粒子を合成し、この共重合体を表面に有する金属粒子を鋳型に用いることにより、構造体の鋳型の断面直径や孔径を制御することが可能になる。
図1は、両親媒性ブロック共重合体が表面から成長している金属粒子11を示す模式図である。この粒子は、金属粒子12の表面上に形成された疎水性高分子部位13、および親水性高分子部位14からなる。また、図2は、両親媒性ブロック共重合体が表面から成長している金属粒子11を用いて作製した構造体21及びメソポーラス物質(又は孔を有する構造体)22の構造を示す模式図である。
本発明において、構造体とは、両親媒性を有する共重合体を表面に有する金属粒子と、その周囲に形成された無機物を成分とする化合物により形成されている構造体のことをいう。ここでは、両親媒性ブロック共重合体を含んだ状態を「構造体」という。そして、この構造体から有機成分のみを除去することによって得られる構造体を、「金属粒子を内包したメソポーラス物質」という。ここで、「メソポーラス」とは,IUPACにより定義された,平均直径2nmから50nmのメソ領域の径を有する孔(又は細孔)を指し,また,ガス吸着法により得られる吸着等温線からBerret−Joyner−Halenda(BJH)法等により評価される孔径分布(又は細孔径分布)において,60%以上の細孔が10nmの幅を持つ範囲に含まれることを特徴とする。10nmの幅を持つ範囲とは,例えば,5nmから15nmのように,最小値と最大値の差が10nmである範囲を示す。
図3は本発明における金属粒子を内包する構造体及びメソポーラス物質の製造方法を示す工程図である。第3図において、工程Aは、重合反応開始部位を有する金属粒子を調製する工程、工程Bは該粒子から疎水性高分子を成長させる工程、工程Cは該疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成させる工程、工程Dは親水性高分子を表面に有する金属粒子を用いて構造体を作製する工程、工程Eは高分子を除去して、金属粒子を内包するメソポーラス物質を作製する工程、を示す。
以下各工程について詳細に説明する。
(工程A:金属粒子の調製方法)
最初に、表面に重合反応開始部位を有する金属粒子の作製方法について説明する。
最初に、表面に重合反応開始部位を有する金属粒子の作製方法について説明する。
本発明における、金属粒子を内包する構造体、及びメソポーラス物質を作製するために用いる金属粒子には特に限定はなく、目的の構造体、もしくはメソポーラス物質の中で、金属の状態を保てるものであればどんなものでもよく、Fe,Pt,Cu,Au,Ag等が考えられる。例として、金粒子を用いる場合について説明する。
まず、重合反応開始部位を有する金粒子を作製する。粒子の作製方法には、あらかじめ作製した金粒子の表面を、重合反応開始部位を有する化合物によって修飾する方法と、金粒子を作製する際に重合反応開始部位を有する化合物を混合しておく方法とがあるが、重合反応開始部位を有する金粒子が得られる方法であれば、特にこれらの方法に限るものではない。
また、用いる化合物は、重合反応開始部位と、金属との化学結合のための反応部位を共に有しているものであれば、特に制限は無い。具体的には、重合開始部位として化合物の末端にハロゲン基を有し、金属粒子表面との反応部位としてチオール基やジスルフィド基を有するものが好ましい。
(工程B:金属粒子表面への疎水性高分子の調製方法)
続いて、この金属粒子表面上の重合反応開始部位から疎水性高分子を成長させる。
続いて、この金属粒子表面上の重合反応開始部位から疎水性高分子を成長させる。
疎水性高分子の成長反応をリビング重合等で行うことにより、金属粒子表面に形成される疎水性高分子の膜厚を制御することができる。そして、目的の構造体が必要とするナノ空間のサイズに応じて、膜厚は最適化することができる。
以下、原子移動ラジカル重合を用いて作製した疎水性高分子−金属粒子複合体の場合を例にとって説明するが、本発明はそれに制限されるものではない。
反応容器に、重合反応開始部位を有する金属粒子、銅錯体、モノマーを入れ、重合操作を行う。反応条件は、真空下もしくは窒素雰囲気下において、20〜80℃であることが好ましい。ただし、この範囲外の条件であっても、目的の疎水性高分子が金属粒子表面上に形成できる範囲であれば用いることが可能である。
用いる銅錯体は、臭化銅/2,2’−ビピリジン、臭化銅/1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、塩化銅/2,2’−ビピリジン、塩化銅/1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン等が好ましいが、重合反応を進行させるものであれば、特に制限は無い。モノマーには、メチルメタクリレート等が好ましく用いられるが、高分子形成時に疎水性を示すモノマーであれば、これらに限定されるものではない。
(工程C:親水性高分子の調製方法)
次に、工程Bで作製した疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成させる。親水性高分子を形成させる方法には、疎水性高分子の末端反応基から親水性高分子を成長させる方法や、あらかじめ合成しておいた分子量制御された親水性高分子を疎水性高分子の末端と反応させる方法とがある。本発明においては、そのどちらでも良好に適用可能である。
次に、工程Bで作製した疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成させる。親水性高分子を形成させる方法には、疎水性高分子の末端反応基から親水性高分子を成長させる方法や、あらかじめ合成しておいた分子量制御された親水性高分子を疎水性高分子の末端と反応させる方法とがある。本発明においては、そのどちらでも良好に適用可能である。
疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成させる際に、リビング重合等を用いることにより、金属粒子表面に形成される共重合体の膜厚を制御することができる。そして、目的の構造体が必要とするナノ空間のサイズに応じて、膜厚は最適化することができる。つまり、目的のナノ空間を有する構造体、及びメソポーラス物質を自在に作製することが可能となる。
疎水性高分子の末端から親水性高分子を成長させる方法としては、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等があるが、目的の親水性高分子が得られれば、これらに限定されるものではない。
これらの反応に用いられる親水性高分子は、アクリルアミド誘導体やポリエチレンオキシド等が好ましく用いられるが、高分子形成時に親水性を示すモノマーであれば、これらに限定されるものではない。
(工程D:親水性高分子を表面に有する金属粒子を用いて構造体を作製する工程)
目的とする構造体は、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金属粒子と細孔壁を形成する無機物を成分とする化合物の前駆体と加水分解触媒とを含む溶液を加熱処理することによって得ることが可能である。
目的とする構造体は、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金属粒子と細孔壁を形成する無機物を成分とする化合物の前駆体と加水分解触媒とを含む溶液を加熱処理することによって得ることが可能である。
細孔壁を形成する無機物を成分とする化合物として使用できる材料には、無機酸化物や有機無機ハイブリッド化合物などがあるが、目的の構造体を形成可能であれば、どのようなものでもよい。例示すると、無機酸化物では、酸化ケイ素や酸化チタンなどが用いられる。その際、用いるアルコキシドには、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等が良好に用いられる。
加水分解触媒には、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等が用いられるが、塩酸が最も一般的に使用される。またアルカリとしてはアンモニアが一般的に使用される。
また、反応溶液を石英基板などに塗布することによって、構造体膜を形成させることも可能である。基板上で両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金属粒子と無機物を主成分とする化合物の前駆体が、自己集合により規則的に配列することによって、構造体膜が形成される。膜の作製方法としては、キャスト法、ディップコート法、スピンコート法が有効である。また、スプレーコート法やインクジェット法等、基板上に反応溶液を塗布できる方法であればこれに限らない。
反応溶液中の両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金属粒子の濃度、触媒の濃度、無機物を成分とする化合物前駆体の濃度は、形成される構造に大きく影響を与える。さらに、膜を作製する時には、膜が連続でなくなることがある。
反応溶液中で、加水分解反応と縮合重合反応とが起こり、その反応により構造体や構造体膜が形成される。
(工程E:高分子を除去して、金属粒子を内包するメソポーラス物質を作製する工程)
以上のようにして作製した構造体から、必要に応じて両親媒性ブロック共重合体のみを除去し、金属粒子を内包するメソポーラス物質とする。有機成分の除去方法には、種々の方法があるが、細孔内に金属粒子を内包した状態を維持し、かつその細孔構造を破壊せずに有機成分を除去できる方法であればどのような方法でも使用することが可能である。
以上のようにして作製した構造体から、必要に応じて両親媒性ブロック共重合体のみを除去し、金属粒子を内包するメソポーラス物質とする。有機成分の除去方法には、種々の方法があるが、細孔内に金属粒子を内包した状態を維持し、かつその細孔構造を破壊せずに有機成分を除去できる方法であればどのような方法でも使用することが可能である。
最も一般的に用いられる方法は、酸素を含んだ雰囲気中で焼成する方法である。例えば、形成した構造体を550℃において空気中で10時間焼成することによって、細孔内に金属粒子を内包し、かつ細孔構造を保持したままで完全に有機成分を除去することが可能である。
焼成以外の方法で有機成分を除去する方法として、溶剤による抽出や超臨界状態の流体による除去が知られている。また、焼成、抽出以外の方法として、オゾン酸化による除去も可能である。細孔内に金属粒子を内包し、かつ細孔構造(孔を有する構造)が維持される方法であれば、上記の方法に限定されず、どのような除去方法も用いることが可能である。
金属を内包する構造体、およびメソポーラス物質の形態観察には、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡が使用される。走査型電子顕微鏡像の観察を行う場合には、金属の蒸着を施さずに低加速電圧で行うことが好ましい。
以下、実施例を用いてさらに詳しく本発明を説明するが、本発明は実施例に記述されたものに限定されるわけではない。
本実施例は、ナノメートルスケールサイズの金粒子表面を、重合反応開始部位を有する化合物によって修飾した後、原子移動ラジカル重合を用いてポリメチルメタクリレート(PMMA)を形成させ、さらに、分子量の制御されたポリエチレンオキシド(PEO)と反応させることで、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金粒子を作製し、これを用いてシリカメソ構造体、及び、金粒子を内包するメソポーラスシリカを作製した例である。
まず、2nmの粒径を有する金粒子の表面修飾を行った。ブロモドデカンチオールのエタノール溶液20mLに金粒子100mgを浸漬させることで、金粒子の表面に重合反応開始部位を導入した。次に、開始剤を表面に有する金粒子50mg、メチルメタクリレート5g、2−ブロモ酪酸エチル32mg、スパルテイン120mg、アニソール10gの混合液を、臭化銅35mgの入ったガラス管の中に加え、その溶液を凍結融解法により脱気した後、封管した。重合反応は、40度で10時間行った。重合終了後、アセトン/水系を用いた沈殿分別法により、PMMAがグラフトされた金粒子を回収した。
次に、PMMAグラフト金粒子に末端がアミノ基で修飾されたPEOを反応させ、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金粒子の合成を行った。PMMAグラフト金粒子50mgとアミノ基末端を有するPEO200mg、水素化ナトリウム50mg、tetra−n−butylammonium Iodide10mgをテトラヒドロフランに溶解させ、20時間還流することで合成を行った。沈殿分別法により、PEO−PMMAグラフト金粒子を回収した。
このようにして作製したPEO−PMMAグラフト金粒子を用いてシリカメソ構造体の作製を行った。純水4gにPEO−PMMAグラフト金粒子0.5gを加え、さらに2M塩酸15gを加えて室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン1.25gを加えて、室温でさらに20時間撹拌した後、40度で48時間静置し、粉末を回収した。
透過型電子顕微鏡観察の結果、径が10nmの細孔構造を有するシリカメソ構造体が形成されており、また、その細孔内には金粒子が内包されていることが確認された。
続いて、この構造体を空気中で焼成して金粒子表面のPMMAとPEOを除去した。昇温速度2℃/分で550℃まで昇温し、10時間保持した後、室温まで降温させた。焼成後の構造体中には有機成分が残存していないことが、赤外吸収スペクトル等によって確認された。
透過型電子顕微鏡観察の結果、焼成処理後も、径が9nm程度の細孔構造を有するメソポーラスシリカが確認され、また、その細孔内には2nmの粒径を有する金粒子が内包されていることが確認できた。
以上の結果から、本実施例では、ナノメートルスケールサイズの金粒子表面を、重合反応開始部位を有する化合物によって修飾した後、原子移動ラジカル重合を用いてPMMAを形成させ、さらに、分子量の制御されたPEOと反応させることで、ブロック共重合体を表面に有する金粒子を作製し、これを用いてシリカメソ構造体、及び、全ての細孔内に金粒子を内包するメソポーラスシリカを作製できることが確認された。
本実施例は、ナノメートルスケールサイズの金粒子合成時に、重合反応開始部位を有する化合物を混合しておくことで、重合反応開始部位を含有する金粒子を作製した後、原子移動ラジカル重合を用いてPMMAを形成させ、さらに、分子量の制御されたPEOと反応させることで、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金粒子を作製し、これを用いて、スピンコート法によりシリカメソ構造体膜、及び、金粒子を内包するメソポーラスシリカ膜を作製した例である。
まず、2nmの粒径を有する金粒子の調製を行った。沸騰した純水500mLの中に、純水8mLに溶解したクロロ金酸(HAuCl4、75mg)を加えて激しく撹拌した。そこへ、純水8mLに溶解したクエン酸ナトリウム250mgを加えた。5分間激しく撹拌した後、反応液を氷水で冷やし、その中へテトラヒドロフラン170mLに溶解したブロモドデカンチオールを加え、12時間室温で撹拌した。生成した金粒子を遠心分離機にて回収し、洗浄し、乾燥させた。次に、開始剤を表面に有する金粒子50mg、メチルメタクリレート5g、2−ブロモ酪酸エチル32mg、スパルテイン120mg、アニソール10gの混合液を、臭化銅35mgの入ったガラス管の中に加え、その溶液を凍結融解法により脱気した後、封管した。重合は40度で10時間行った。重合終了後、アセトン/水系を用いた沈殿分別法により、PMMAがグラフトされた金粒子を回収した。
次に、PMMAグラフト金粒子に末端がアミノ基で修飾されたPEOを反応させ、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金粒子の合成を行った。PMMAグラフト金粒子50mgとアミノ基末端を有するPEO200mg、水素化ナトリウム50mg、tetra−n−butylammonium Iodide10mgをテトラヒドロフランに溶解させ、20時間還流することで合成を行った。沈殿分別法により、PEO−PMMAグラフト金粒子を回収した。
このようにして作製したPEO−PMMAグラフト金粒子を用いてシリカメソ構造体膜の作製を行った。純水14gにPEO−PMMAグラフト金粒子0.4gを加え、さらに0.07M塩酸1.4mLを加えて室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン1.4gを加えて、室温でさらに1−3時間撹拌した後、石英基板上にスピンコーティングによってこの溶液を塗布し、乾燥させ、金粒子を内包するシリカメソ構造体膜を作製した。スピンコーティングは、回転数:2000rpm、回転時間:20secに調製した。
続いて、この膜を空気中で焼成して金粒子表面のPMMAおよびPEOを除去した。昇温速度2℃/分で550℃まで昇温し、10時間保持した後、室温まで降温させた。焼成後の膜中には有機成分が残存していないことが、赤外吸収スペクトル等によって確認された。
透過型電子顕微鏡観察の結果、焼成処理後も、径が10nm程度の細孔構造を有するメソポーラスシリカが確認され、また、その細孔内には金粒子が内包されていることが確認された。
以上の結果から、本実施例では、ナノメートルスケールサイズの金粒子合成時に、重合反応開始部位を有する化合物を混合しておくことで、重合反応開始部位を含有する金粒子を作製した後、原子移動ラジカル重合を用いてPMMAを形成させ、さらに、分子量の制御されたPEOと反応させることで、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金粒子を作製し、これを用いて、スピンコート法によりシリカメソ構造体膜、及び、全ての細孔内に金粒子を内包するメソポーラスシリカ膜を作製できることが確認された。
本実施例は、ナノメートルスケールサイズの銀粒子表面を、重合反応開始部位を有する化合物によって修飾した後、原子移動ラジカル重合を用いてポリメチルメタクリレート(PMMA)を形成させ、さらに、分子量の制御されたポリエチレンオキシド(PEO)と反応させることで、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する銀粒子を作製し、これを用いてシリカメソ構造体、及び、銀粒子を内包するメソポーラスシリカを作製した例である。
まず、5nmの粒径を有する銀粒子の表面修飾を行った。ブロモドデカンチオールのエタノール溶液20mLに銀粒子100mgを浸漬させることで、銀粒子の表面に重合反応開始部位を導入した。次に、開始剤を表面に有する銀粒子50mg、メチルメタクリレート5g、2−ブロモ酪酸エチル32mg、スパルテイン120mg、アニソール10gの混合液を、臭化銅35mgの入ったガラス管の中に加え、その溶液を凍結融解法により脱気した後、封管した。重合反応は、40度で10時間行った。重合終了後、アセトン/水系を用いた沈殿分別法により、PMMAがグラフトされた銀粒子を回収した。
次に、PMMAグラフト銀粒子に末端がアミノ基で修飾されたPEOを反応させ、表面に親水基を有する界面活性剤の合成を行った。PMMAグラフト銀粒子50mgとアミノ基末端を有するPEO200mg、水素化ナトリウム50mg、tetra−n−butylammonium Iodide10mgをテトラヒドロフランに溶解させ、20時間還流することで合成を行った。沈殿分別法により、PEO−PMMAグラフト銀粒子を回収した。
このようにして作製したPEO−PMMAグラフト銀粒子を用いてシリカメソ構造体の作製を行った。純水4gにPEO−PMMAグラフト銀粒子0.5gを加え、さらに2M塩酸15gを加えて室温で撹拌した。この溶液にテトラエトキシシラン1.25gを加えて、室温でさらに20時間撹拌した後、40度で48時間静置し、粉末を回収した。
透過型電子顕微鏡観察の結果、径が10nmの細孔構造を有するシリカメソ構造体が形成されており、また、その細孔内には銀粒子が内包されていることが確認された。
続いて、この構造体を空気中で焼成して銀粒子表面のPMMAとPEOを除去した。昇温速度2℃/分で550℃まで昇温し、10時間保持した後、室温まで降温させた。焼成後の構造体中には有機成分が残存していないことが、赤外吸収スペクトル等によって確認された。
透過型電子顕微鏡観察の結果、焼成処理後も、径が10nm程度の細孔構造を有するメソポーラスシリカが確認され、また、その細孔内には5nmの粒径を有する銀粒子が内包されていることが確認できた。
以上の結果から、本実施例では、ナノメートルスケールサイズの銀粒子表面を、重合反応開始部位を有する化合物によって修飾した後、原子移動ラジカル重合を用いてPMMAを形成させ、さらに、分子量の制御されたPEOと反応させることで、両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金属粒子を作製し、これを用いてシリカメソ構造体、及び、全ての細孔内に金属粒子を内包するメソポーラスシリカを作製できることが確認された。
バイオセンサへの応用を具体的に記載する。ここでは、実施例1の構造体を例に説明するが、実施例2、3の構造体又はメソポーラス物質でも応用が可能である。
実施例1で得られた構造体を置くステージと前記ステージ上にある構造体に光を照射するための発光手段と前記構造体から反射してくる光を受光するため受光手段とを備え、前記構造体に光を当て、前記構造体から反射してくる光を受光しその光の強弱を見ることにより、構造体に付着したものを検出する。例えば、金表面に抗体を付着させておき、タンパク質等の抗原が前記抗体に付着したときの表面の散乱状態の情報を得ることにより、検出する。
本発明にかかる構造体は、その細孔内にたんぱく質などを担持することで、バイオセンサ等に応用が可能である。
11 両親媒性ブロック共重合体を表面に有する金属粒子
12 金属粒子
13 疎水性高分子
14 親水性高分子
21 金属粒子を内包する構造体
22 金属粒子を内包するメソポーラス物質
12 金属粒子
13 疎水性高分子
14 親水性高分子
21 金属粒子を内包する構造体
22 金属粒子を内包するメソポーラス物質
Claims (5)
- 金属粒子を内包する構造体の製造方法において、
重合反応開始部位を有する金属粒子に、前記開始部位から疎水性高分子を形成し、前記疎水性高分子の末端から親水性高分子を形成し、前記金属粒子表面に共重合体を形成した金属粒子を用意する工程と、
前記表面に共重合体を形成した金属粒子と無機物を成分とする化合物の前駆体とを含む溶液から加水分解反応と縮合重合反応とにより構造体を形成する工程とを備えることを特徴とする金属粒子を内包する構造体の製造方法。 - 前記無機物が、Si、Sn、Tiの何れかであることを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
- 前記金属粒子が、Fe、Pt、Cu、Au、Agの何れかであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか記載の構造体の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか記載の構造体から前記共重合体を除去する工程を備えたことを特徴とする金属粒子を内包したメソポーラス物質の製造方法。
- 請求項4記載の孔を有する構造体と、
前記構造体に光を照射するための発光部と、
前記構造体からの反射光を受光するための受光部とを備えたことを特徴とするセンサ。
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JP2009173478A (ja) * | 2008-01-22 | 2009-08-06 | Toyota Central R&D Labs Inc | 微粒子充填メソポーラス体及びその製造方法 |
JP2009242170A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Hiroshima Univ | 複合体およびその製造方法 |
WO2017014186A1 (ja) * | 2015-07-17 | 2017-01-26 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 多孔質シリカ、及びそれを含む消臭剤 |
JP2017128484A (ja) * | 2016-01-21 | 2017-07-27 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 多孔質シリカの製造方法、及び、多孔質シリカ、消臭剤 |
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2004
- 2004-12-27 JP JP2004376369A patent/JP2006182593A/ja not_active Withdrawn
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