JP4663183B2 - Tabテープキャリアの反り防止方法及びtabテープキャリア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、ICチップ等のデバイスを実装するためのTAB(Tape Automated Bonding)テープキャリアおよびその反り防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の電子機器に搭載される部品にTABテープキャリアを使用することが多くなっている。このTABテープキャリア上にICチップを実装する際に、リードフレーム用の実装装置を転用し、この実装装置にてリードフレームの場合と同様にパッケージングを行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、リードフレームは、金属板であるため剛性があり、反りを生じることはほとんど無く、平らなままであるが、TABテープキャリアは、フィルム基材が主にポリイミドフィルムであり、銅箔との複合材料で構成されている。そのため、TABテープキャリアは、剛性がなく、ICチップを実装する以前、例えば材料購入の段階で既に反りを生じていたり、製造工程の途中で反りを生じたりすることがある。
【0004】
材料購入の段階で反りが生じる原因は、例えばフィルム基材に接着剤が塗布されているものでは、フィルム基材と接着剤との間で、またはフィルム基材に接着剤を介して銅箔が貼着されているものでは、フィルム基材と接着剤と銅箔との間で、伸び縮みの量が異なることにある、と考えられる。
【0005】
製造工程の途中で反りが生じる原因は、例えば製造工程で加熱した後の、フィルム基材、接着剤、銅箔間の収縮率に違いがあること、が考えられる。
【0006】
図4は従来のTABテープキャリアの裏面図、図5は図4のX−X線断面図を示し、1はフィルム基材、2はパーホレーション、3は1つの回路基板形成部(二点鎖線で囲む部分)、4はその回路基板形成部ごとに設けられた小孔、5は接着剤、6は接着剤5にてフィルム基材1の表面に接着された銅箔である。TABテープキャリアの反りは、例えば図5に図示するフィルム基材1の表面が凹面となるように生ずることが多い。
【0007】
TABテープキャリアに反りが生じていると、実装装置にテープキャリアを搬送する場合、テープキャリアの両端を搬送レールで支える方式では、その搬送レールから脱落するとか、マガジンへのテープキャリアの収納が困難になるとか、などの問題があった。
【0008】
また、TABテープキャリア上にICチップを実装する場合、ダイボンドフィルム(両面接着テープ)にてICチップとテープキャリアを接続するが、テープキャリアに反りが生じていると、ダイボンドフィルムとテープキャリアとの間、またはダイボンドフィルムとICチップとの間にて気泡が生ずる。この気泡が、パッケージに熱が加わったときに膨張し、パッケージの破壊を招くことがあった。
【0009】
さらに、TABテープキャリアのコスト低減には、その幅員の拡幅化が欠かせないが、拡幅化に伴いテープキャリアの反りが大きくなる傾向となり、拡幅化の妨げとなっていた。
【0010】
従来は、TABテープキャリアの反りを、種々の方法にて矯正していたが、満足した結果が得られなかった。
【0011】
そこで、この発明の第1の目的は、TABテープキャリア上にICチップを実装する以前における、TABテープキャリアの反り防止方法を提供することにある。
【0012】
この発明の第2の目的は、TABテープキャリア上にICチップを実装する以前における、反りのないTABテープキャリアを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、TABテープキャリアの反り防止方法において、フィルム基材にスリットを設けた後、フィルム基材に接着剤を介して銅箔を貼着して、スリットを銅箔で被われた凹部として形成し、その凹部内の銅箔にめっきして凹部に反り防止材を充填する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、TABテープキャリアの反り防止方法において、フィルム基材に接着剤を介して銅箔を貼着した後、フィルム基材と接着剤をエッチングして、銅箔で被われた凹部を形成し、その凹部内の銅箔にめっきして凹部に反り防止材を充填する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、請求項1または2に記載のTABテープキャリアの反り防止方法において、凹部をフィルム基材の長さ方向に等間隔に設け、各凹部に反り防止材を充填する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、請求項1、2または3に記載のTABテープキャリアの反り防止方法において、凹部をフィルム基材の幅方向に長く形成する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、上述した第2の目的を達成すべく、TABテープキャリアにおいて、銅箔で被われた凹部が、フィルム基材の長さ方向に等間隔に設けられ、各凹部内の銅箔にめっきして凹部に反り防止材が充填されている、ことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、上述した第2の目的を達成すべく、請求項5に記載のTABテープキャリアにおいて、凹部が、フィルム基材の幅方向に長く形成されている、ことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明によるTABテープキャリアの斜視図、図2は図1の裏面図、図3は図1におけるY−Y線断面図である。ポリイミドまたはエポキシ等によるフィルム基材1には、パーホレーション2、回路基板形成部3(二点鎖線で囲む部分)が設けられている。
【0023】
また、フィルム基材1の表面には、接着剤5を介して銅箔6が貼着されている。その銅箔6の一部で、回路基板形成部3には、エッチングにより回路パターン10が形成されている。その回路パターン10の表面には、電子部品例えばICチップ11が実装され、回路パターン10と導通されている。
【0024】
回路基板形成部3に設けられた小孔4には、導電物が充填されスルーホール9が形成されている。そのスルーホール9および回路パターン10を介して、フィルム基材1の表面のICチップ11は、フィルム基材1の裏面に接続される他の電子部品と導通される。
【0025】
フィルム基材1には、銅箔6で被われた凹部7が、回路基板形成部3を形成しない部分で、フィルム基材1の幅方向に長い矩形状をして、フィルム基材の長さ方向に等間隔に設けられている。
【0026】
そして、その凹部7には、反り防止材8が充填されている。その反り防止材8は、フィルム基材1よりも剛性が高い材質であり、フィルム基材1の反りを防止する材料で、凹部7内の銅箔6にめっきして充填する。反り防止材8として銅やニッケル等の金属を用いる場合には、銅箔6にめっきして簡単に凹部7に充填できる。もちろん、めっきを行うに際しては、銅箔6により形成した回路パターン10と、めっきにより充填した反り防止材8が接触しないように工夫する必要がある。
【0027】
なお、本実施例の凹部7は、フィルム基材1の幅方向に長く形成したが、TABテープキャリアに生じる反りに応じて、フィルム基材の長さ方向に長く形成しても良い。
【0028】
上記したTABテープキャリアを製造するには、例えば先ず、接着剤5が付着したフィルム基材1にパーホレーション2、小孔4および凹部7となるスリットをパンチングして設ける。そのスリットは、例えばフィルム基材1の長さ方向に等間隔に設け、フィルム基材1の幅方向に長い矩形状をしている。次に、フィルム基材1に接着剤5を介して銅箔6を貼着して、銅箔6で被われた凹部7を形成する。
【0029】
または、例えば先ず、接着剤5を介して銅箔6が貼着したフィルム基材1にパーホレーション2の孔をパンチングして設ける。次に、フィルム基材1と接着剤5をエッチングして除去し、銅箔6で被われた小孔4および凹部7を形成する。
【0030】
次いで、銅箔6をエッチングして、回路基板形成部3の銅箔6には、回路パターン10を形成するとともに、スリットを被う銅箔6は、矩形状のスリット7よりやや大きめに残す。次に、銅箔6にめっきして凹部7に反り防止材8を充填する。また、小孔4に導電物を充填してスルーホール9を形成する。次いで、回路パターン10の接続部分にめっきを施し、その後回路パターン10の接続部分以外にソルダーレジスト印刷を行う。次いで、回路基板形成部3にICチップ11を実装して後、TABテープキャリアより、回路基板形成部3を打ち抜いて、パッケージを得る。その後、パッケージのスルーホール9と、他の電子部品例えばプリント基板の接点とを接続する。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明は、TABテープキャリアのフィルム基材に、銅箔で被われた凹部を形成し、その凹部に反り防止材を充填するので、ICチップ等の実装工程前におけるテープキャリアの反りを防止できる。したがって、次のような効果を奏する。
【0032】
▲1▼ リードフレーム用の実装装置を用いても、搬送レールから脱落するとか、マガジンへのテープキャリアの収納が困難になることがない。
▲2▼ ダイボンドフィルムを用いてテープキャリア上にICチップを搭載する場合、ダイボンドフィルムとテープキャリアとの間、またはダイボンドフィルムとICチップとの間に気泡が生じない。
▲3▼ テープキャリアを拡幅化してコスト低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるTABテープキャリアの斜視図である。
【図2】図1の裏面図である。
【図3】図1におけるY−Y線断面図である。
【図4】従来のTABテープキャリアの裏面図である。
【図5】図4のX−X線断面図である。
【符号の説明】
1 フィルム基材
2 パーホレーション
3 回路基板形成部
4 小孔
5 接着剤
6 銅箔
7 凹部
8 反り防止材
9 スルーホール
10 回路パターン
11 ICチップ
Claims (6)
- TABテープキャリアのフィルム基材にスリットを設けた後、フィルム基材に接着剤を介して銅箔を貼着して、前記スリットを銅箔で被われた凹部として形成し、その凹部内の銅箔にめっきして前記凹部に反り防止材を充填することを特徴とする、TABテープキャリアの反り防止方法。
- TABテープキャリアのフィルム基材に接着剤を介して銅箔を貼着した後、フィルム基材と接着剤をエッチングして、銅箔で被われた凹部を形成し、その凹部内の銅箔にめっきして前記凹部に反り防止材を充填することを特徴とする、TABテープキャリアの反り防止方法。
- 前記凹部を前記フィルム基材の長さ方向に等間隔に設け、各凹部に反り防止材を充填することを特徴とする、請求項1または2に記載のTABテープキャリアの反り防止方法。
- 前記凹部を前記フィルム基材の幅方向に長く形成することを特徴とする、請求項1、2または3に記載のTABテープキャリアの反り防止方法。
- 銅箔で被われた凹部が、フィルム基材の長さ方向に等間隔に設けられ、各凹部内の銅箔にめっきして前記凹部に反り防止材が充填されていることを特徴とする、TABテープキャリア。
- 前記凹部が、前記フィルム基材の幅方向に長く形成されていることを特徴とする、請求項5に記載のTABテープキャリア。
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