JP4663086B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等の作像プロセスによりトナー像を記録材に転写方式または直接方式で形成し、そのトナー像を定着装置により加熱定着する画像形成装置に関し、特に定着の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式、静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成装置では、感光体上に静電潜像を形成し、潜像を現像剤を用いて現像してトナー像として可視化し、このトナー像を紙などの記録材上に転写し、その後、トナー像が転写された記録材を、定着装置に設けられた定着ローラと加圧ローラとで形成されるニップ部を通過させることにより、トナー像を記録材に永久画像として加熱定着している。
【0003】
近年、特にスタンバイ時に定着装置に電力を供給せず、消費電力を極力抑えた定着方法、詳しくは加熱ヒータ部と加圧ローラ間に薄いフィルムを介して記録材上のトナー像を定着するフィルム加熱方式の定着方法が、特開昭63−313182号、特開平2−157878号、特開平4−44075号、特開平4−204980号などに提案されている。
【0004】
フィルム加熱方式の定着装置は、図2に示されるように、耐熱性のステイホルダー(支持体)12にヒータ11を固定し、そのヒータ11の外側に耐熱性樹脂の円筒状の薄肉のフィルム(定着フィルム)13を配置し、弾性を有する加圧ローラ20をフィルム13を介してヒータ11に圧接して、フィルム13と加圧ローラ20との間に所定の幅のニップ部を形成している。ヒータ11は通電により加熱され、そのヒータ温度をヒータ11の背面に設置されたサーミスタ等の温度検知手段14で検知して、画像形成装置の図示しない制御部(エンジンコントローラ)にフィードバックすることにより、ヒータ11を所定の定着温度に温度調節している。
【0005】
トナー像を定着するには、ヒータ11を定着温度に温調し、定着フィルム13を矢印方向に回転させ、その状態で定着フィルム13と加圧ローラ20との定着ニップ部へトナー像を担持した記録材Pを導入する。記録材Pは、定着フィルム13の面に密着し、そのフィルム13と一所に定着ニップ部を挟持搬送され、定着ニップ部を通過する間に、記録材およびその上のトナー像がヒータ11により定着フィルム13を介して加熱されて、トナー像が記録材に定着される。定着ニップ部を通過した記録材は、定着フィルム13の面から剥離して搬送される。
【0006】
このようなフィルム加熱方式の定着装置を用いたプリンター、複写機等の画像形成装置は、定着装置の加熱効率や立ち上がりの速さが高いことにより、待機中の予備加熱の不要化や待ち時間の短縮化など、従来の熱ローラ等による定着装置を用いた場合に比べて多くの利点を有している。
【0007】
このフィルム加熱方式を採用した画像形成装置は、図3に示すように、各部が電気的に制御されている。まず始めに使用者が、パーソナルコンピュータ等の外部情報機器50において、文書や図、画像などのプリント目的の原稿(電子原稿)を作成し、その作成された電子原稿をプリントする指示を外部情報機器50から発信すると、電子原稿の画像データは画像形成装置52の画素情報変換部(ビデオコントローラ)51に送られる。ビデオコントローラ51は、送られた画像データを画像展開してビデオ信号に変換する。画像展開が終了すると、ビデオコントローラ51はエンジンコントローラ53に対してプリント動作を開始する信号(プリント信号)を送るとともに、画像のビデオ信号を送信する。
【0008】
エンジンコントローラ53は、プリント信号を受け取ると、感光ドラムに書き込むための走査露光装置54を立ち上げる指令と、定着装置58に送電を開始し、ヒータが定着可能温度に達するように立ち上げる指令を出す。これらの走査露光装置54や定着装置58がそれぞれ所定の回転数および温度に立ち上がったところで、給紙部56、搬送部57が動作して記録材の搬送が開始され、現像・転写部55での画像形成プロセスを経て、定着装置58で記録材に転写されたトナー像の加熱定着を行い、一連のプリント動作が完了する。
【0009】
ここで、使用者がプリント開始の指示を出してから、プリント動作が完了するまでの各段階の中で待ち時間(ウエイトタイム)となる時間は、ビデオコントローラ51において画像展開に要する時間と、画像形成装置52の立ち上げ時間、そして給紙動作が始まってからの画像形成プロセス(プリント動作)の時間を加えたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の方法によってプリント動作を行う場合、画像形成装置内の画素情報変換部(ビデオコントローラ)で画像展開を行った後、画像形成装置制御部(エンジンコントローラ)にプリント信号を出してからエンジンの立ち上げを行い、プリント動作を開始するので、画像形成装置使用時の待ち時間が長かった。
【0011】
すなわち、使用者が外部情報機器においてプリント開始の指示を出してから、プリント動作が開始するまでには、画像展開時間と装置立ち上げ時間に分けられる待ち時間が存在する。ここで、立ち上げ開始を指示するプリント信号をエンジンコントローラが受け取るのは、ビデオコントローラで画像展開が終了した後であり、したがって画像展開が行われている間は、エンジンは一切の動作を行っていないことになる。
【0012】
近年のパーソナルコンピュータの高性能化にともなうインターネットの普及や、デジタルカメラなどの画像情報を記録する端末機器の発達により、使用者がパーソナルコンピュータ上で作成する原稿は、写真やグラフィック等が含まれる複雑なものが多くなってきており、それらの画像データ量は非常に多くなってきている。このようなデータ量の大きい画像をプリントしようとした場合、ビデオコントローラでの画像展開処理に多くの時間を要してしまい、結果として使用者の待ち時間は長くなる一方である。
【0013】
そこで、上記の問題点を改善するには、画像展開に多くの時間を要するような場合でも、その時間中に画像形成装置のエンジン部を立ち上げておき、いつでもプリント動作が可能な状態にしておけば、画像展開が終了しプリント信号を受けると同時にプリント動作を開始することができる。つまり、これまで立ち上げにかかっていた時間を短縮することが可能となり、使用者がこれまで待ち時間に対して感じていたストレスを少しでも軽減することができる。
【0014】
しかしながら、このように予め画像形成装置のエンジン部を画像展開中に立ち上げておくことは、定着装置のヒータを通常のタイミングより早いタイミングで通電開始することになる。画像展開時間に定着装置が定着可能温度に達すれば、エンジンコントローラがプリント信号を受けるまでヒータは、目標定着温度を維持したまま待機することになる。画像展開時間が長ければ、定着装置は非常に長い時間高温で待機しなければならず、ヒータの熱は直接定着ニップ部で加圧ローラに伝達するために、加圧ローラの温度が通常の立ち上げを行う場合よりも非常に高温になることが懸念される。
【0015】
加圧ローラが昇温すればニップ部内の温度が高くなり、このニップ部を記録材(紙)が通過するとき、記録材に含まれている水分は加熱されて蒸発し、水蒸気となって外部に放出される。加圧ローラの温度が高い場合、水蒸気は非常に高い圧力で放出されるため、記録材と加圧ローラ間に水蒸気の層ができ、記録材と加圧ローラ間の摩擦力が小さくなる。記録材は、加圧ローラとの摩擦力によって従動搬送されることを考えると、摩擦力が極度に小さくなれば、記録材は加圧ローラに対して滑って搬送することが不可能となり、定着装置においてスリップによる紙づまり(ジャム)を起こす。
【0016】
この他にも、ニップ部内の温度が高温になりすぎるため、トナーが記録材に固着されず、溶けて定着フィルム側に付着しオフセットする(高温オフセット)。
【0017】
このように、従来は、以上のような問題を生じるために、画像展開中に定着装置を立ち上げてプリント時間を短縮することが容易ではなかった。
【0018】
従って、本発明の目的は、装置のエンジン部を予め立ち上げておき、画像展開終了と同時にプリント動作が開始できるようにし、かつ定着装置で記録材のスリップや高温オフセットが起こらないように加圧ローラの昇温を抑制することを可能とした画像形成装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、第一の態様によれば、受信した画像情報を展開処理して画像信号に変換する画素情報変換手段と、前記画素情報変換手段により変換された前記画像信号に基づいて記録材に形成したトナー像を、加熱ヒータを内蔵した加熱部材と加圧部材が互いに圧接して形成された定着ニップ部において記録材に加熱定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記画素情報変換手段からの信号に応じて画像形成動作を制御する制御手段と、
前記加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段と、を有し、
前記画素情報変換手段は、前記画像情報の展開処理を終了する以前に、前記画像形成装置の制御手段に対して前記定着手段の前記加熱ヒータを立ち上げるプレヒート信号を送信し、
前記制御手段は、前記プレヒート信号に応じて前記加熱ヒータを立ち上げて、前記画素情報変換手段による前記画像情報の展開処理が終了するまでは、記録材に前記トナー像を加熱定着するための目標温度よりも低い待機温度で前記加熱ヒータの温度を制御し、
前記温度検知手段によって、前記プレヒート信号に応じた前記加熱ヒータの立ち上げの直前に検知した検知温度に応じて、前記待機温度を変化させる、
ことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の第二の態様によれば、受信した画像情報を展開処理して画像信号に変換する画素情報変換手段と、前記画素情報変換手段により変換された前記画像信号に基づいて記録材に形成したトナー像を、加熱ヒータを内蔵した加熱部材と加圧部材が互いに圧接して形成された定着ニップ部において前記トナー像を記録材に加熱定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記画素情報変換手段からの信号に応じて画像形成動作を制御する制御手段と、
前記加圧部材の表面温度を検知する温度検知手段と、を有し、
前記画素情報変換手段は、前記画像情報の展開処理を終了する以前に、前記画像形成装置の制御手段に対して前記定着手段の前記加熱ヒータを立ち上げるプレヒート信号を送信し、
前記制御手段は、前記プレヒート信号に応じて前記加熱ヒータを立ち上げて、前記画素情報変換手段による前記画像情報の展開処理が終了するまでは、記録材に前記トナー像を加熱定着するための目標温度よりも低い待機温度で前記加熱ヒータの温度を制御し、
前記温度検知手段によって、前記プレヒート信号に応じた前記加熱ヒータの立ち上げの直前に検知した検知温度に応じて、前記加熱ヒータの待機温度を変化させる、
ことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の第三の態様によれば、受信した画像情報を展開処理して画像信号に変換する画素情報変換手段と、前記画素情報変換手段により変換された前記画像信号に基づいて記録材に形成したトナー像を、加熱ヒータを内蔵した加熱部材と加圧部材が互いに圧接して形成された定着ニップ部において前記トナー像を記録材に加熱定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記画素情報変換手段からの信号に応じて画像形成動作を制御する制御手段を有し、
前記画素情報変換手段は、前記画像情報の展開処理を終了する以前に、前記制御手段に対して前記定着手段の前記加熱ヒータを立ち上げるプレヒート信号を送信し、前記画像情報の展開処理の終了後に、前記制御手段に対してプリント信号を送信し、
前記制御手段は、前記プレヒート信号に応じて前記加熱ヒータを立ち上げて、前記画像情報の展開処理中に前記定着手段によって前記トナー像を記録材に加熱定着する際の定着温度よりも高い目標温度になるように制御し、前記加熱ヒータを前記高い目標温度に立ち上げた後、前記プリント信号を受信するまでの間に、所定期間毎に前記高い目標温度から前記定着温度に向けて段階的に下げるように制御する、
ことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0020】
本発明によれば、前記加熱部材が、前記定着ニップ部で前記加圧部材と圧接して移動可能なフィルムと、前記定着ニップ部で前記フィルムの内側に配置された前記フィルムに接触するヒータとを備えて構成される。前記加圧部材が弾性ローラからなる。前記フィルムが円筒体に形成され、前記弾性ローラの回転により従動して回転する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0023】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略図である。
【0024】
図1に示すように、画像形成装置は、像担持体としてドラム状電子写真感光体、すなわち感光ドラム1を備え、感光ドラム1は、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料の層をアルミニウムやニッケル等のシリンダ状の基板上に形成してなっており、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0025】
感光ドラム1は、その回転過程で、接触帯電手段である帯電ローラ2により表面を一様に帯電され、ついで図示しない画素情報変換手段(ビデオコントローラ)によって画像展開されたビデオ信号に基づいてON/OFF制御されたレーザービーム3による走査露光が施され、感光ドラム1の表面に静電潜像が形成される。この走査露光装置は、ポリゴンミラーの回転により、ポリゴンミラーに反射するレーザ光を走査するスキャナユニットからなる。
【0026】
感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置4によって現像剤(トナーまたはトナー+キャリア)を用いて現像され、トナー像として可視化される。感光ドラム1上に得られたトナー像は、給紙カセット9または図示しない給紙トレイから供給して、レジストローラ30により所定のタイミングで感光ドラム1に搬送された記録材P上に転写ローラ5により転写される。このとき、転写ローラ5の手前前方の先端センサ8で給紙カセット9から供給された記録材P先端の通過を検知して、感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録材の先端の書き出し位置(転写開始位置)が合致するように、記録材の感光ドラム1への搬送タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材は、感光ドラム1と転写ローラ5との間に一定の加圧力で挟持搬送されながらトナー像を転写される。
【0027】
トナー像が転写された記録材は定着装置6へ搬送され、トナー像が永久画像として定着される。定着が終了した記録材は、耐熱性の定着排紙ガイドに案内されて、排紙ローラおよび排紙コロに挟持搬送され、排出トレイ上に排出される。一方、感光ドラム1上に残存した転写残りトナーは、クリーニング装置7により感光ドラム1の表面から除去される。
【0028】
本実施例における定着装置の概略構成を図2に示す。図2に示すように、定着装置6は加熱部材10と加圧ローラ20とを備え、その加熱部材10をフィルム加熱方式として、加熱部材10の熱容量をできる限り小さく抑えることにより、クイックスタート性を満足させている。
【0029】
加熱部材10は、耐熱性樹脂で形成された円筒状の薄肉のフィルム(定着フィルム)13内に、図示しない支持部材により耐熱性のステイホルダー(支持体)12を配置し、そのホルダー12の加圧ローラ20側の部分に加熱ヒータ11を保持してなっている。ヒータ11の定着ニップ部とは反対側の背面には、ヒータ11の温度検知手段14、たとえばサーミスタが設けられている。加圧ローラ20は弾性ローラからなり、定着フィルム13を介して加熱ヒータ11に圧接することにより、定着フィルム13と加圧ローラ20との間に所定の幅でニップ部を形成している。
【0030】
記録材Pの搬送方向に関して、定着ニップ部の前方、後方には、それぞれ入り口ガイド14、出口ガイド16が設置され、出口ガイド16の後方には定着排紙手段を構成するローラ17、コロ18が配置されている。
【0031】
定着フィルム13は、加圧ローラ20の回転力により、定着ニップ部においてヒータ11の面に密着して摺動しつつ、矢印の方向に回転移動される。定着フィルム13に駆動手段を設けて、定着フィルム13を能動回転することもできる。定着フィルム13は円筒状とされているが、エンドレスベルト状もしくはロール巻きの有端ウエブ状の部材としてもよい。
【0032】
ヒータ11を定着温度に温調し、定着フィルム13を矢印方向に回転させ、その状態でトナー像を担持した記録材Pを入り口ガイド15を経て、定着フィルム13と加圧ローラ20との定着ニップ部に導入すると、記録材Pは定着フィルム13の面に密着し、その定着フィルム13と一所に定着ニップ部を挟持搬送され、定着ニップ部を通過する間に、記録材およびその上のトナー像がヒータ11により定着フィルム13を介して加熱されて、トナー像が記録材に定着される。定着ニップ部を通過した記録材は、定着フィルム13の面から剥離して、出口ガイド16、排紙ローラ17、排紙コロ18を経て搬送される。
【0033】
加熱手段としてのヒータ11には、一般にセラミックヒータが使用される。たとえばアルミナ等の電気絶縁性、良熱伝導性、低熱容量のセラミック基板の一方の定着フィルム13と対面する側の面に、基板長手方向(図の紙面に垂直な方向)に沿って銀パラジューム(Ag/Pb)、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等で形成し、さらにその抵抗層形成面を薄いガラス保護層で覆った形態をとる。
【0034】
このヒータ11の通電発熱抵抗層に図示しない給電装置から給電部を介して通電することにより通電発熱抵抗層が発熱して、セラミック基板およびガラス保護層を含むヒータ全体が急速に温度上昇する。このヒータ11の昇温がヒータ背面の温度検知手段(サーミスタ)14により検知されて、図示しない通電制御部へフィードバックされる。温度検知手段14によるヒータの温度検知は、搬送可能な全ての記録材が通過するヒータの幅方向領域をカバーしている。
【0035】
通電制御部は、温度検知手段14で検知されたヒータ温度が、所定の定着温度にほぼ維持されるように、通電発熱抵抗層に対する給電を制御する。制御方法としては、印加する電圧の波数の増減を制御する波数制御方式、電圧の各位相角から電圧を印加する位相制御方式等がある。これらの制御方式によってヒータ11は、所定の定着温度に加熱、温調される。
【0036】
定着フィルム13は、定着ニップ部においてヒータ11の熱を効率よく記録材Pに与えることができるよう、厚さを20〜70μmとかなり薄くしている。この定着フィルム13は、フィルム基層、プライマー層および離型性層の3層構成とされており、フィルム基層をヒータ側、離型性層を加圧ローラ側にして使用する。
【0037】
フィルム基層は、定着フィルム全体の引裂強度等の機械的強度を保つための層で、ヒータ11のガラス保護層と同様、高い絶縁性を持たされており、絶縁性の高いポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等からなり、耐熱性、高弾性をも有している。プライマー層は、フィルム基層と離型性層との接着層で、厚さ2〜6μm程度の薄い層に形成されている。離型性層は、定着フィルムに対するトナーオフセット防止層であり、PFA、PTFE、EEP等のフッ素樹脂を厚さ10μm程度に被覆して形成してある。
【0038】
ステイホルダー12は、たとえば耐熱性プラスチックより形成され、ヒータ11を保持するとともに定着フィルム13の搬送ガイドも兼ねている。ステイホルダー12は、図示しない支持部材で支持して定着フィルム13の円筒内に不動に配置されている。
【0039】
加圧ローラ20は弾性ローラとされ、アルミニウム等の金属製の芯金21の周囲に、シリコーンゴムあるいはシリコーンスポンジ等の弾性層22を設け、その上にPFA、PTFE、FEP等のフッ素系樹脂層を離型性層23として形成してなっている。加圧ローラ20を所定の加圧力によって定着フィルム13を介してヒータ11に加圧することにより、定着フィルム13と加圧ローラ20との間に記録材上のトナー像を加熱定着するのに必要な定着ニップ部が形成される。
【0040】
弾性を有する加圧ローラ20を加圧すると、加熱手段のセラミックヒータ11が高い剛性を有しているので、加圧ローラ20がヒータ11の扁平下面にならって圧接部で扁平になって、所定幅の定着ニップ部を形成し、定着ニップ部のみを加熱することで、クイックスタートの加熱定着が実現される。
【0041】
フィルム加熱方式を採用した画像形成装置は、前記したように、図3に示すように、各部が電気的に制御されている。再度述べれば、まず始めに使用者が、パーソナルコンピュータ等の外部情報機器50において、文書や図、画像などのプリント目的の原稿(電子原稿)を作成し、その作成された電子原稿をプリントする指示を外部情報機器50から発信すると、電子原稿の画像データは画像形成装置52の画素情報変換部(ビデオコントローラ)51に送られる。ビデオコントローラ51は、送られた画像データを画像展開してビデオ信号に変換する。画像展開が終了すると、ビデオコントローラ51はエンジンコントローラ53に対してプリント動作を開始する信号(プリント信号)を送るとともに、画像のビデオ信号を送信する。
【0042】
エンジンコントローラ53は、プリント信号を受け取ると、感光ドラムに書き込むための走査露光装置54を立ち上げる指令と、定着装置58(図1の定着装置6)に送電を開始し、ヒータが定着可能温度に達するように立ち上げる指令を出す。これらの走査露光装置54や定着装置58がそれぞれ所定の回転数および温度に立ち上がったところで、給紙部56(図1の給紙カセット6および図示しない給紙トレイ)、搬送部57が動作して記録材の搬送が開始され、現像・転写部55(図1の現像器4および転写ローラ5)での画像形成プロセスを経て、定着装置58で記録材に転写されたトナー像の加熱定着を行い、一連のプリント動作が完了する。
【0043】
本実施例における加熱ヒータ11の温調制御方式の一つの例を以下に示す。
【0044】
フィルム加熱方式の定着装置では、加圧部材の加圧ローラ20の表面温度によって加熱手段であるヒータ11の温調温度を変化させている。ヒータ11の通電発熱抵抗層への通電が行われない状態(スタンバイ状態)が長く続いた場合には、加圧ローラ20は十分に冷えた状態になっており、したがって、トナー像を加熱定着する際には、加熱部材10から与える熱量を主に利用する。一方、加熱定着の動作がしばらく続いた後等には、加圧ローラの表面は十分に加熱された状態にあり、したがって加熱部材10からの熱量だけでなく、加圧ローラ20からの熱量もトナー像の定着に必要な熱量として利用することができる。
【0045】
つまり、加圧ローラ20が冷えた状態からの加熱定着に比べ、加熱部材10から記録材に与える熱量を小さく抑えることができる。逆に小さく抑えないと、記録材上のトナー像に過剰な熱量を与えることになり、高温オフセット等の弊害を発生してしまう。したがって、加熱部材10のヒータ11の温調温度は、加圧ローラ20の昇温状態に応じて逐次変化させる必要がある。この温調制御の一例を図4に示す。
【0046】
図4において、横軸は加圧ローラが冷えた状態から連続定着を開始したときの通紙枚数、すなわち定着枚数を示し、縦軸はヒータの制御温度、すなわち定着温調温度を示す。加圧ローラ20が冷えた状態のときに、画像形成装置で画像形成が行われた場合、図4の1枚目に相当する210℃の温調温度で温度検知手段14によりヒータ11の温度を一定に保つように制御する。連続して画像を加熱定着する場合、定着枚数に応じて徐々に加圧ローラの表面温度が高くなるので、図では20枚ごとにヒータ11の温調温度を5℃づつ低下させて185℃まで降下させている。
【0047】
また加圧ローラ20がある程度暖められた状態から加熱定着を開始する場合には、画像形成装置にプリント信号が入力されたときの温度検知手段14の検知温度に応じて、ヒータ11の制御温度を決定する。この方法は、ヒータ11、フィルム13等の熱容量が非常に小さいことと、スタンバイ時にヒータ11の通電発熱抵抗層への通電をシャットダウンしていることにより、温度検知手段14の検知温度が、ヒータより熱容量の大きい加圧ローラの温度に収束することから可能になる。
【0048】
たとえばプリント開始時(通電発熱抵抗層への通電開始時)の温度検知手段14の検知温度が50〜70℃の場合には、図4の21枚目に相当する205℃から、検知温度が70〜90℃の場合には、図4の41枚目に相当する200℃から、温調制御を開始する。これにより、加圧ローラ20の加熱具合に応じて最適なヒータ温度制御が可能になる。
【0049】
さて、使用者が外部情報機器のパーソナルコンピュータよりプリント開始信号を出してから、プリント動作が完了するまでの時間を、以下の(1)、(2)の2つの方法について比較した。
【0050】
(1)従来のプリント動作制御に従った場合:ビデオコントローラで画像展開した後に、プリント信号をエンジンコントローラ送ってから定着装置の立ち上げ動作を開始する場合。(2)定着装置を予め立ち上げておく場合:ビデオコントローラにおいて画像展開を始める前に定着装置の立ち上げを行い、画像展開終了後にプリント信号を受けて直ぐにプリント信号を開始する場合。
【0051】
(2)の制御はつぎのようにして行った。まず、図3のパソコン50が画像形成装置のビデオコントローラ51に画像データを送ると、ビデオコントローラ51は画像展開を始める前に、エンジンコントローラ53に対してエンジン部の定着装置58を立ち上げる信号(プレヒート信号)を送る。エンジンコントローラ53は、プレヒート信号を受けると直ちに定着装置58の立ち上げを開始する。その後、画像展開の終了後にプリント信号およびビデオ信号を受け取りプリント動作を開始する。またこの定着装置の立ち上がり時間は、上記したように加圧ローラが十分に冷えた状態(コールド状態)から立ち上がった場合の時間であり、以下に述べる立ち上がり時間は、特に断らない限り、このコールド状態から行った時間を示す。
【0052】
今、画像展開に10秒の時間を要する電子原稿のプリントをパソコンから指示したとき、プリントの開始指示から動作完了までに要する時間と上記(1)、(2)の制御との関係を図5、図6に模式的に示した。図5〜6には、定着装置ヒータの設定温度を時間軸に対して併記してある。図中、プリント動作中の表示のある区間は、画像形成装置のエンジン部がプリント動作を行っている時間のことである。
【0053】
本実施例では、記録材Pの先端が図1の給紙カセット9の出口位置Aに位置したとき、プリント動作を開始したので、記録材Pの給紙開始から、記録材が定着装置6を通ってプリント動作が終了するまでに約5.5秒の時間を要した。図5、6から明らかなように、(1)の通常の立ち上げを行った場合は、プリント終了までに21.5秒かかり、(2)のプレヒートを行った場合は、プリント終了までに15.5秒かかり、したがって(2)では、定着装置の立ち上げ時間の6秒だけ、プリント動作が早く終了することがわかる。このように、画像展開と同時に定着装置をプレヒートしておけば、定着装置の立ち上げに要する時間分だけ、待ち時間を短縮することが可能になる。
【0054】
しかし、図5と図6の定着装置設定温度のグラフを比較すれば明らかなように、(2)のプレヒートを行う場合は、定着装置立ち上がり後に目標定着温度に保持する待機時間が存在する。図6の場合、目標定着温度の高温で4秒間待機する。この間、ヒータは高温で加圧ローラを加熱し続けることになる。
【0055】
実際に記録材が定着装置に入る瞬間に加圧ローラが何度まで昇温しているかについて、(1)と(2)の場合で比較した。目標定着温度を220℃に設定したとき、(1)の通常の立ち上げに従った場合は95℃であったのに対し、(2)のプレヒートした場合は125℃まで昇温した。つまり、図6の4秒間の待機時間で加圧ローラは30℃昇温することになる。この温度は、加圧ローラが室温の状態(コールド状態)から立ち上げたときの温度である。
【0056】
さらに200枚の連続プリントを行った後、加圧ローラが熱い状態のまま、改めて(2)の方法で立ち上げると、加圧ローラは165℃まで昇温した。この温度は、(1)の通常の立ち上げ方法では到達しないほど高い加圧ローラ温度である。しかも、この温度では高温オフセットが生じており、画像形成装置の画像品質としては許容できない。また画像展開時間がこれより長くなれば、加圧ローラがさらに昇温する恐れもあり、高温オフセットのみらならず、記録材の紙種や含水状態によっては、記録材から放出される水蒸気が原因となって、スリップによる紙づまりが発生してしまう場合も考えられる。
【0057】
そこで、本発明では、このような加圧ローラの過剰な昇温を防ぐために、以下のように立ち上げ方に改良を加えた。図6において、プリント動作中で示した区間は、プリント信号を受けた後にエンジン部がプリント動作を行っている区間であるが、このプリント動作を分割すると、(a)記録材が給紙カセットや給紙トレイから給紙され、転写部においてトナー像を定着され、その後、定着装置に到達するまでの区間と、(b)記録材が定着装置に入り、加熱定着される区間とに分けることができる。本実施例の画像形成装置の場合、(a)の区間に要する時間は、給紙場所や記録材サイズによっても異なるが約3.5秒、(b)の区間に要する時間は約2秒弱である。
【0058】
少なくとも記録材が定着装置に来たときに、定着装置が目標定着温度に達していればよいと考えられるので、(a)の給紙時間中は目標温度に達していなくても問題はなく、記録材が定着装置に到達するまでは、ヒータの立ち上げ時間として使うことができる。ここで、ヒータの立ち上がり速度が1℃あたり30msec要するとすると、(a)の区間の3.5秒間のうちの3秒間を使うと、その時間内に3秒×(1℃/0.03秒)=100℃だけヒータ温度を立ち上げることが可能である。
【0059】
具体的には、プレヒート信号を受けて定着装置を立ち上げた後、プリント信号を受けるまでは、目標定着温度−100℃の温度で待機しておけば、その後の給紙動作中の立ち上げで目標温度に到達することになる。図7に、プレヒート中は、待機温度=目標定着温度−100℃で待機させ、プリント信号を受けてから1℃/30msecの昇温速度で立ち上げる場合の温調制御についての概略を示す。
【0060】
この方法によって制御を行えば、画像展開中も比較的低温で待機できるので、待機中の加熱による加圧ローラの過剰昇温を防ぐことができる。図5、図6と同じ条件で加圧ローラの温度を比較したところ、記録材が定着装置に入る直前では約95℃の温度を示しており、図5の通常の立ち上げ時のときとほとんど変わらない温度に維持でき、また連続プリント後の加圧ローラ温度が暖まっている状態から立ち上げた場合でも、加圧ローラ温度は140℃であり、高温オフセットやスリップ等の問題が発生することはなかった。
【0061】
つぎに、図7における待機温度について考えてみる。待機温度は、加圧ローラの昇温を抑えるにはできるだけ低い方が望ましい。ところが、待機温度が低すぎれば、待機後、プリント信号を受けて再び定着温度まで、ヒータを立ち上げる際、温度検知手段14の応答性が悪いなどの場合、電力のオーバーシュートにより、実際の定着温度が目標温度よりも高くなってしまう恐れがある。あるいは電力不足によりヒータが目標定着温度まで立ち上がらないケースもある。このようなことを考えれば、待機温度はなるべく高温にし、待機後の再立ち上げでは、できるだけ電力の投入量が少なくなるような設計が望まれる。
【0062】
そこで、待機温度を(目標定着温度−100℃)〜(目標定着温度−30℃)まで変化させ、そのときの加圧ローラ温度を測定し、また水蒸気発生による紙のスリップ(紙づまり)や高温オフセットが発生しないかどうかを調べる定着実験を行った。実験は、連続プリント後の加圧ローラが暖まった状態から行った。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1の結果から、待機温度を目標定着温度−40℃より高く設定すると、加圧ローラの昇温は160℃を超えてしまい、スリップが発生している。つまり加圧ローラが160℃を超えるような設定では、紙からの水蒸気発生が盛んになり、スリップが発生するものと考えられる。スリップが発生しないようにするためには、加圧ローラ温度が160℃以下になるように、待機温度を目標定着温度−50℃以下に設定しなければならない。
【0065】
また本装置の場合、待機温度が目標定着温度−100℃であっても、先に述べたような電力のオーバーシュートや電力不足によって目標定着温度に達しないなどの不都合は生じなかったので、実際には待機温度を低くしても問題はないと考えられる。これは、加圧ローラが十分に暖まった状態(約120℃)からスタートしているため、待機後からの再立ち上げ時に大きな電力を必要としないからであると思われる。
【0066】
一方で、コールド状態(加圧ローラ温度が室温)や、加圧ローラ温度がたとえば約80℃のように少し暖まっている状態では、待機温度を目標定着温度−100℃と設定すれば、画像形成装置の使用環境が低温などの場合に、電力不足によって目標定着温度に達しないケースも存在する。このような状況に鑑み、加圧ローラの昇温状態によって、待機温度を(目標定着温度−50℃)〜(目標定着温度−100℃)の間で可変にするような制御を行った。
【0067】
本実施例で使用した画像形成装置は、加圧ローラの温度を検知する手段を具備していない。そこで、前述したように、スタンバイ時には温度検知手段14による検知温度が熱容量の大きい加圧ローラ20の温度にほぼ収束することを利用して、定着装置立ち上げ直前の検知手段14の検知温度によって、待機温度を変える制御を行った。制御の具体例を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
特に待機温度が目標定着温度−100℃の場合で、かつ目標定着温度が200℃以下になるような場合は、待機温度が100℃以下になるので、実質的には待機中はヒータに全く電力を投入しないことになる。表2に示すような制御を行うことによって、画像形成装置の使用環境によらずに、待機後の再立ち上げ時に確実に目標定着温度まで到達させることが可能となる。さらに加圧ローラが暖まった状態での立ち上げ時の電力投入量も最小限に抑えることができるので、スリップや高温オフセットの問題になるようなことはない。
【0070】
また本実施例では、温度検知手段14の出力に応じて待機時間を変化させたが、加圧ローラに表面温度の検知手段が設置されている場合は、その検知温度を使用すればよく、同様な効果を得ることができる。
【0071】
以上説明したように、本実施例では、ビデオコントローラ、パソコンなど外部情報機器からの画像データをビデオ信号に画像展開する前に、エンジンコントローラに画像形成装置のエンジン部を立ち上げるプレヒート信号を発信し、画像展開中に定着装置を立ち上げておくようにしたので、待ち時間を短縮することが可能となる。また画像展開中は可能な限り目標定着温度よりも低い温度に待機させることにより、プレヒートによる加圧ローラの過剰昇温を防止することも可能となり、高温オフセットやスリップ等の問題を防ぐことができる。
【0072】
以上の実施例では、特に熱容量の小さい薄肉の定着フィルムを使用するフィルム加熱方式の定着装置について適用した場合を示した。本発明はこれに限られず、定着ローラなどの定着部材の弾性ゴム層の肉厚を薄くするなどにより、従来よりも定着部材の熱容量を小さくして、定着温度までの立ち上がりを早くした熱ローラ方式の定着装置にも適用することができ、同様な効果を有する。
【0073】
実施例2
本発明の他の実施例について説明する。
【0074】
本実施例に関する画像形成装置および定着装置の構成は、実施例1の図1、図2と同様であるので説明を省略する。
【0075】
本実施例でも、プリント中の待ち時間短縮のために、実施例1と同様、ビデオコントローラは画像展開前にエンジンコントローラに対してプレヒート信号を発信し、画像展開中に定着装置を立ち上げるようにする。
【0076】
本実施例では、プレヒート中の加圧ローラの過剰昇温によって生じる高温オフセットやスリップ等の問題を回避するために、プレヒートしながら待機する時間の長さに応じて、目標定着温度を下げる方法をとる。つまり、プレヒートによる加圧ローラの昇温に応じて、トナー像の定着に適切な温度まで定着温度を下げる。
【0077】
具体的には図8に示すように、プリント開始の指示によりエンジンコントローラがプレヒート信号を受け、定着装置を立ち上げる。このとき定着装置は目標定着温度まで一気に立ち上がってしまう。定着装置が所望の温度まで立ち上がれば、図8に示すように、ある一定のインターバルごとに定着温度を下げて待機する。画像展開が終了してプリント信号を受けるまでこの動作を行う。
【0078】
実施例1で説明したように、本実施例で使用した画像形成装置は、プリント開始時に温度検知手段14の検知温度に応じて目標定着温度を変化させている。連続プリント後などに再びプリントを行うときは、加圧ローラが暖まった状態にあり、温度検知手段14が高い温度を検知するため、目標定着温度は低い温度に設定する制御を行っている。このような場合、本実施例の制御にしたがって待機中の温度を下げれば、トナー像の定着が不可能な温度まで下げられてしまう恐れがある。すなわち、図6の温調制御のグラフにおいて最も低い定着温度を下回ってしまう。
【0079】
したがって、このような問題を避けるために、プレヒート中の待機時間が長くなっても、規定の定着温度以下に下がらないように制御する必要がある。本実施例の図8に示す立ち上げ方法に従うと、実施例1の方法(図7)と比べて画像展開中の待機温度は明らかに高く、そのために加圧ローラの昇温は実施例1の場合よりも高い温度まで上昇する。実際に加圧ローラの温度を測定しながら、実施例1と同じ条件に従ってプリントを行えば、実施例1の場合よりも加圧ローラの温度は高く推移し、1枚目の記録材が定着装置に到達するときには105℃まで昇温した(実施例1では95℃)。
【0080】
しかしながら、図5の制御にしたがって定着温度を待機中に下げない場合(125℃)に比べれば、加圧ローラ温度は低い。また連続プリント後の暖まっている状態では、加圧ローラ温度はプレヒートによって約150℃まで昇温するが、実施例1の表1に示したように160℃以下の温度に保たれており、プリントを行っても高温オフセットやスリップ等の問題は発生しないので、実用上問題ないと考えられる。
【0081】
さらに実施例1のように、画像展開中に低い温度で待機すると、目標定着温度までの温度差が大きいために、その後の給紙中に再び目標温度まで立ち上げる際は、ヒータに通電する電力量を多くして昇温速度を早くしなければならない。このようなケースでは、温度検知手段(サーミスタ)14の応答性が悪ければ、電力がオーバーシュートしてしまい、実際の温度が目標温度よりも高くなってしまう場合が多い。外部電源からの電圧が不安定な地域では電力不足のため、給紙中の短時間では目標温度に到達できない恐れもある。
【0082】
それに対し、本実施例のように、一旦高い温度に立ち上げた後、徐々に定着温度を下げれば、温調のコントロールを容易に行うことができる。またプリント信号を受けた時点で、定着可能温度に達しているため、プリント信号受信時にカセット位置(図1の位置A)から給紙を開始する必要はなく、その時点で図1のプレフィード位置B(レジストローラ30の位置)まで予め待機中に記録材を進めておけば、給紙カセット−プレフィード位置間の搬送に要する時間(本実施例は約1.7秒)だけ、プリント時間を短縮することができる(図8の破線に従う)。
【0083】
以上述べたように、本実施例においても、画像展開中に定着装置を立ち上げて待機しておくことで、待ち時間の短縮が可能となる。さらに待機時間に応じて定着温度を下げることで、加圧ローラの過剰昇温を抑えることができ、また高温オフセットやスリップ等の問題も防止することができる。
【0084】
本実施例でも、特に熱容量の小さい薄肉の定着フィルムを使用するフィルム加熱方式の定着装置について適用した場合を示したが、本発明は、定着ローラなどの定着部材の弾性ゴム層の肉厚を薄くするなどにより、従来よりも定着部材の熱容量を小さくして、定着温度までの立ち上がりを早くした熱ローラ方式の定着装置にも適用することができ、同様な効果を有する。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、定着装置の立ち上げに要する時間による待ち時間を短縮でき、定着時の高温オフセットやスリップによる紙詰まりを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置された定着装置を示す断面図である。
【図3】図1の画像形成装置の各部の電気的制御を示す模式図である。
【図4】図2の定着装置で行われる温調制御方式の一つの例を示す説明図である。
【図5】従来の定着装置立ち上げ制御によるプリントに要する時間と温調制御との関係を示す説明図である。
【図6】画像展開前の定着装置立ち上げ制御によるプリントに要する時間と温調制御との関係を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施例での画像展開前の定着装置立ち上げ制御によるプリントに要する時間と温調制御との関係を示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施例での画像展開前の定着装置立ち上げ制御によるプリントに要する時間と温調制御との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
6 定着装置
9 給紙カセット
10 加熱部材
11 加熱ヒータ
12 ステイホルダー
13 定着フィルム
14 温度検知手段(サーミスタ)
20 加圧ローラ
50 外部情報機器(パーソナルコンピュータ)
51 画素情報変換手段(ビデオコントローラ)
53 画像形成装置制御部(エンジンコントローラ)
56 給紙部
58 定着装置
P 記録材
Claims (6)
- 受信した画像情報を展開処理して画像信号に変換する画素情報変換手段と、前記画素情報変換手段により変換された前記画像信号に基づいて記録材に形成したトナー像を、加熱ヒータを内蔵した加熱部材と加圧部材が互いに圧接して形成された定着ニップ部において記録材に加熱定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記画素情報変換手段からの信号に応じて画像形成動作を制御する制御手段と、
前記加熱ヒータの温度を検知する温度検知手段と、を有し、
前記画素情報変換手段は、前記画像情報の展開処理を終了する以前に、前記画像形成装置の制御手段に対して前記定着手段の前記加熱ヒータを立ち上げるプレヒート信号を送信し、
前記制御手段は、前記プレヒート信号に応じて前記加熱ヒータを立ち上げて、前記画素情報変換手段による前記画像情報の展開処理が終了するまでは、記録材に前記トナー像を加熱定着するための目標温度よりも低い待機温度で前記加熱ヒータの温度を制御し、
前記温度検知手段によって、前記プレヒート信号に応じた前記加熱ヒータの立ち上げの直前に検知した検知温度に応じて、前記待機温度を変化させる、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 受信した画像情報を展開処理して画像信号に変換する画素情報変換手段と、前記画素情報変換手段により変換された前記画像信号に基づいて記録材に形成したトナー像を、加熱ヒータを内蔵した加熱部材と加圧部材が互いに圧接して形成された定着ニップ部において前記トナー像を記録材に加熱定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記画素情報変換手段からの信号に応じて画像形成動作を制御する制御手段と、
前記加圧部材の表面温度を検知する温度検知手段と、を有し、
前記画素情報変換手段は、前記画像情報の展開処理を終了する以前に、前記画像形成装置の制御手段に対して前記定着手段の前記加熱ヒータを立ち上げるプレヒート信号を送信し、
前記制御手段は、前記プレヒート信号に応じて前記加熱ヒータを立ち上げて、前記画素情報変換手段による前記画像情報の展開処理が終了するまでは、記録材に前記トナー像を加熱定着するための目標温度よりも低い待機温度で前記加熱ヒータの温度を制御し、
前記温度検知手段によって、前記プレヒート信号に応じた前記加熱ヒータの立ち上げの直前に検知した検知温度に応じて、前記加熱ヒータの待機温度を変化させる、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 受信した画像情報を展開処理して画像信号に変換する画素情報変換手段と、前記画素情報変換手段により変換された前記画像信号に基づいて記録材に形成したトナー像を、加熱ヒータを内蔵した加熱部材と加圧部材が互いに圧接して形成された定着ニップ部において前記トナー像を記録材に加熱定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記画素情報変換手段からの信号に応じて画像形成動作を制御する制御手段を有し、
前記画素情報変換手段は、前記画像情報の展開処理を終了する以前に、前記制御手段に対して前記定着手段の前記加熱ヒータを立ち上げるプレヒート信号を送信し、前記画像情報の展開処理の終了後に、前記制御手段に対してプリント信号を送信し、
前記制御手段は、前記プレヒート信号に応じて前記加熱ヒータを立ち上げて、前記画像情報の展開処理中に前記定着手段によって前記トナー像を記録材に加熱定着する際の定着温度よりも高い目標温度になるように制御し、前記加熱ヒータを前記高い目標温度に立ち上げた後、前記プリント信号を受信するまでの間に、所定期間毎に前記高い目標温度から前記定着温度に向けて段階的に下げるように制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記加熱部材が、前記定着ニップ部で前記加圧部材と圧接して移動可能なフィルムと、前記定着ニップ部で前記フィルムの内側に配置された前記フィルムに接触するヒータとを備えて構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
- 前記加圧部材が弾性ローラからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
- 前記フィルムが円筒体に形成され、前記弾性ローラの回転により従動して回転することを特徴とする請求項5の画像形成装置。
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