JP4662401B2 - 印字方法およびサーマルプリンタ - Google Patents

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    • B41J2/355Control circuits for heating-element selection
    • B41J2/36Print density control

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  • Electronic Switches (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、印字データの誤差拡散処理を行なうことにより、サーマルプリントヘッドを用いて印字される画像の質を高めるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、サーマルプリンタは、主走査方向に並ぶ複数の発熱領域を備えたサーマルプリントヘッドを具備しており、上記各発熱領域を選択的に発熱させることにより、感熱タイプの記録紙には直接的に、また非感熱タイプの記録紙にはインクリボンを介して所望の画像を印字できるようになっている。このサーマルプリンタは、たとえばインクジェットプリンタと比べると、プリントヘッドを小型かつ軽量にすることができ、さらにはそのメンテナンスも容易であるなどの利点を有している。
【0003】
一方、近年では、印字データの疑似中間調処理の手法として、ディザ法に代わり、誤差拡散法が多く用いられるようになってきている。ディザ法は、面積階調法の1つであって、複数の印字ドットを含むマトリクスを設定し、このマトリクス中における表示ドット(たとえば黒のドット)と非表示ドット(たとえば白のドット)との割合を調整することにより、擬似的に画像の濃度を変える手法である。このディザ法においては、常に、1つのドットが1画素とされ、非表示ドットの画素が多数発生する場合があるため、画像の解像度が低くなる欠点がある。これに対し、誤差拡散法では、その具体的な内容は後述するが、上記欠点を解消し、ディザ法よりも画質を高めることが可能である。
【0004】
従来においては、サーマルプリンタとしても、誤差拡散法を用いたものがある。ただし、この従来のサーマルプリンタにおいては、たとえばインクジェットプリンタにおいて用いられているような多値の誤差拡散処理とは異なり、2値の誤差拡散処理がなされていたに過ぎないのが実情であった。すなわち、従来の誤差拡散法を用いたサーマルプリンタにおいては、1画素を1つのドットにより構成しており、誤差拡散処理に用いられる印字出力レベルとしては、注目画素を1と0(たとえば黒と白)のうちのいずれかとする2種類の印字出力レベルしか設けられていなかった。
【0005】
なお、2値の誤差拡散処理は、たとえば中間階調の第1の注目画素を所定の閾値と比較してその白黒を判断し、仮にそれを白色とした場合には、この第1の注目画素については元のデータよりも明るくしたことになる。したがって、そのときの閾値との差(誤差)を、次の第2の注目画素の白黒を判断するときに反映させることにより、第2の注目画素の階調または閾値を第2の注目画素が黒色に判断され易い値とする。このように、注目画素の白黒を判定する場合には、その判定の際に発生する誤差を次々と隣の画素や次のラインの画素に割り振っていき、一定サイズのエリアの画素をトータルとしてみた場合には、上記した誤差が無いようにする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のサーマルプリンタおよびこれを用いた印字方法では、2値の誤差拡散処理がなされているに過ぎない。誤差拡散法においては、多値にするほど中間調表現をきめ細かくすることが可能である。したがって、このような観点からすれば、上記従来の手段においては、印字画像の質を高める上で未だ改善の余地がある。
【0007】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、サーマルプリンタにおいて多値の誤差拡散処理が行なえるようにし、質の高い印字画像が得られるようにすることをその課題としている。
【0008】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本願発明の第1の側面によって提供される印字方法は、主走査方向に並ぶ、2つずつがそれぞれ同一の出力レベルで発熱させられる複数の発熱領域を備えたサーマルプリントヘッドを使用し、印字データの注目画素についての印字出力レベルを誤差拡散処理によって決定しながら、この印字出力レベルに基づいて上記各発熱領域の発熱を制御することにより、記録紙に印字ドットを記録する、印字方法であって、上記記録紙に印字される画像の1画素は、主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第1の2つの印字ドットと、上記記録紙が副走査方向に上記第1の2つの印字ドットの中心間距離に相当するピッチで送られながら主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第2の2つの印字ドットからなる4つの印字ドットにより構成し、かつ、上記誤差拡散処理に用いられる複数の印字出力レベルとしては、上記1画素を構成する4つの印字ドットのすべてが同一とされる第1の表示態様に対応する印字出力レベルに加え、副走査方向に並ぶ上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットどうしが相違する第2の表示態様に対応する印字出力レベルをさらに設けることを特徴としている。
【0010】
本願発明の第2の側面によって提供されるサーマルプリンタは、主走査方向に並ぶ、2つずつがそれぞれ同一の出力レベルで発熱させられる複数の発熱領域が形成されたサーマルプリントヘッドを具備しており、かつ印字データの注目画素についての印字出力レベルを誤差拡散処理によって決定しながら、この印字出力レベルに基づいて上記各発熱領域の発熱を制御することにより、記録紙に印字ドットを記録するように構成された、サーマルプリンタであって、上記記録紙に印字される画像の1画素は、主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第1の2つの印字ドットと、上記記録紙が副走査方向に上記第1の2つの印字ドットの中心間距離に相当するピッチで送られながら主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第2の2つの印字ドットからなる4つの印字ドットにより構成されるようにし、かつ、上記誤差拡散処理に用いられる複数の印字出力レベルとしては、上記1画素を構成する4つの印字ドットのすべてが同一とされる第1の表示態様に対応する印字出力レベルに加え、副走査方向に並ぶ上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットどうしが相違する第2の表示態様に対応する印字出力レベルがさらに設けられていることを特徴としている。
【0011】
本願発明においては、上記印字ドットとしては、上記記録紙に色彩を付す表示ドットと、上記記録紙に色彩を付さない非表示ドットとがあり、上記第1の表示態様は、上記1画素を構成する4つの印字ドットの全てを非表示ドットとする態様、およびそれら4つの印字ドットの全てを同一サイズの表示ドットとする態様を含んでいる構成とすることができる。また、上記第2の表示態様は、上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットの一方を表示ドットとするとともに他方を非表示ドットとする態様、および/または上記1画素を構成する4つの印字ドットの全てを表示ドットとし、かつ上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットのサイズを相違させる態様を含んでいる構成とすることもできる。
【0012】
本願発明においては、次のような効果が得られる。
【0013】
第1に、記録紙に印字される1画素の表示態様としては、1画素を構成する4つの印字ドットのそれぞれが同一とされる第1の表示態様に加えて、副走査方向に並ぶ第1の2つの印字ドットと第2の2つの印字ドットどうしが相違する第2の表示態様が設けられることとなり、1画素ごとに濃淡を表現することが可能となる。また、このようなことにより、印字データの誤差拡散処理としては、従来よりも種類が多い印字出力レベルを利用した多値の誤差拡散処理を実行することが可能となる。したがって、2値の誤差拡散処理しかなされていなかった従来のサーマルプリンタによる印字方法と比較すると、疑似中間調表現をよりきめ細かく行なうことが可能となり、印字画像の質を高めることができる。
【0014】
第2に、1画素を構成する印字ドット数を増やす手段として、本願発明においては、記録紙に対する印字を副走査方向において回にわたって印字するようにしている。このため、主走査方向における発熱領域の数をあえて増加させる必要はない。発熱領域の数が増加すると、それら発熱領域の発熱制御を行なうのに利用されるICチップの増加またはIC回路が複雑となり、サーマルプリンタのコストが高くなるといった不利を生じる。これに対し、本願発明によれば、そのような不利を極力生じないようにし、小型かつ軽量で、製造コストを安価にできるというサーマルプリンタの利点をそのまま活かすことができる。
【0017】
本願発明の他の好ましい実施の形態においては、上記複数の発熱領域は、互いに隣り合う2つの発熱領域の主走査方向の合計の幅よりも各発熱領域の副走査方向の幅の方が小さくされている。このような構成によれば、1画素の副走査方向の幅が主走査方向の幅と比べて極端に大きくなることを防止し、または抑制し、各画素の微小化を図ることが可能となる。
【0018】
本願発明の他の好ましい実施の形態においてはモノクロ用またはカラー用の熱転写用インクリボンが装着されている。このような構成によれば、非感熱タイプの記録紙への印字が可能となる。
【0019】
本願発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0021】
図1は、本願発明に係るサーマルプリンタの要部構造を示している。図2〜図4は、図1に示すサーマルプリンタに組み込まれたサーマルプリントヘッドを示している。なお、本実施形態については、説明を簡単にするため、モノクロ画像を印字する場合を一例として説明する。
【0022】
図1によく表われているように、本実施形態のサーマルプリンタPは、サーマルプリントヘッドAと、このサーマルプリントヘッドAの発熱抵抗体5に対向するプラテンローラ70と、記録紙Kを搬送するための一対の搬送ローラ71と、インクリボン8を巻き取るための一対の軸80a,80bと、サーマルプリントヘッドAに各種の信号やデータを送信する制御回路9とを具備して構成されている。
【0023】
記録紙Kとしては、たとえば非感熱タイプのロール紙が用いられている。この記録紙Kは、巻取ロールRから繰り出されると、インクリボン8と重なるようにしてプラテンローラ70と発熱抵抗体5との間を通過し、その後一対の搬送ローラ71によって所定の排紙口(図示略)に搬送されるようになっている。インクリボン8は、感熱タイプであり、軸80aから繰り出されることによってプラテンローラ70と発熱抵抗体5との間を通過すると、その後は軸80bに巻き取られるようになっている。
【0024】
図2〜図4によく表われているように、サーマルプリントヘッドAは、いわゆる厚膜型であり、後述する発熱領域50のサイズに関する構造を除けば、それ以外の基本的な構造は、既存の厚膜型サーマルプリントヘッドと同様である。すなわち、サーマルプリントヘッドAは、基板10の表面(上面)上に、グレーズ層11、共通電極3ならびに複数の個別電極4、発熱抵抗体5、および保護層12が順次積層して設けられた構成を有している。複数の発熱領域50は、発熱抵抗体5によって構成されている。なお、図2および図3においては、保護層12の図示を省略している。基板10上には、1または複数の駆動ICチップ2も搭載されている。
【0025】
基板10は、たとえばアルミナセラミック製の絶縁基板であり、一定方向に長い矩形状を有している。グレーズ層11は、蓄熱層としての役割および共通電極3や個別電極4が形成される面を滑らかにする役割を果たし、ガラスを主成分としている。保護層12は、発熱抵抗体5、共通電極3、および個別電極4を被覆して保護する部分であり、たとえばガラスペーストを印刷焼成することにより形成されている。共通電極3および各個別電極4は、銅などの導体膜からなる。共通電極3は、正の電圧が印加される端子部30aを有するコモンライン部30と、このコモンライン部30の基板長手方向に延びる直線部分から基板10の幅方向(短手方向)に櫛歯状に突出する複数の延出部31とを有している。各個別電極4の一端部は、互いに隣接する延出部31どうしの間に進入している。
【0026】
駆動ICチップ2は、制御回路9から送信されてくる印字データに基づいて各発熱領域50の発熱を制御するための回路が内部に造り込まれたものである。この駆動ICチップ2に設けられている複数の電極20は、ワイヤWを介して複数の個別電極4の他端部と電気的に接続されており、駆動ICチップ2は各個別電極4を選択的にグランド接続する機能を有している。
【0027】
発熱抵抗体5は、たとえば酸化ルテニウムを導体成分とする厚膜抵抗ペーストを印刷・焼成することによって形成されたものであり、共通電極3の各延出部31と各個別電極4の一端部とを一連に跨ぐようにして基板10の長手方向に延びている。この発熱抵抗体5のうち、共通電極3の1つの延出部31と1つの個別電極4との間に挟まれている部分が、1単位の発熱領域50である。
【0028】
図3において、1つの個別電極4(4a)をグランド接続すると、発熱抵抗体5のうち、この個別電極4(4a)とこれを挟む一対の延出部31(31a,31b)との間の2つの発熱領域50(50a,50b)に電流が流れ、これら2つの発熱領域50(50a,50b)が同時に発熱する。各発熱領域50が発熱する場合、それらの中央部分が最もその発熱温度が高くなり、所定温度以上の略円形状の発熱ドットDが形成される。この発熱ドットDの径は、発熱領域50への入力エネルギが多くなるほど大きくなり、このサーマルプリンタPにおいては、各発熱領域50への入力エネルギ量が複数段階に変更できるようになっている。各発熱領域50の副走査方向の幅S1は、互いに隣り合って同時に発熱可能な2つの発熱領域50の主走査方向の合計幅S2よりも小さくされており、たとえば幅S2の1/2とされている。
【0029】
制御回路9は、たとえば256階調を有する印字データの誤差拡散処理を実行し、かつその処理を終えた印字データを駆動ICチップ2に送信するように構成されている。また、このサーマルプリンタPにおいては、記録紙Kを副走査方向に送りながら記録紙Kに画像を印字する場合、その画像の1画素は、記録紙Kへの印字が1ライン目と2ライン目との2回にわたってなされることによって、主走査方向および副走査方向のそれぞれに2つずつ並ぶ計4つの印字ドットによって構成されるようになっている。制御回路9は、そのようなことを実現する処理も実行するように構成されている。
【0030】
次に、上記したサーマルプリンタPを用いた印字方法の一例について、制御回路9によって実行される処理の具体的な内容と併せて説明する。
【0031】
まず、制御回路9によって実行される印字データの誤差拡散処理は、多値の誤差拡散処理とするようにされており、この処理に用いられる複数の印字出力レベルとしては、図5(a)〜(i)に示すように、1画素を9種類の態様で表示可能なレベル0からレベル8までの計9段階の印字出力レベルが設けられている。レベル0は、1ライン目と2ライン目とのいずれにおいても印字ドットdを非表示ドット(白のドット)とするレベルである。レベル1〜4は、2ライン目の印字ドットdを非表示ドットとする一方、1ライン目の印字ドットdを表示ドット(黒のドット)とし、かつその表示ドットの大きさを徐々に大きくしていくレベルである。レベル5〜8は、1ライン目および2ライン目の印字ドットdのいずれをも表示ドットとし、かつ2ライン目の印字ドットdの径を徐々に大きくしていくレベルである。レベル0とレベル8との表示態様は、1ライン目と2ライン目とのそれぞれの印字ドットとが同一となっており、本願発明でいう第1の表示態様の例に相当する。レベル1〜レベル7の表示態様は、1ライン目と2ライン目との印字ドットの種類またはサイズが相違しており、本願発明でいう第2の表示態様の例に相当する。
【0032】
印字ドットdの径は、発熱領域50の発熱ドットDの径に対応し、これらのドット径は、各個別電極4をグランド接続するために制御回路9からICチップ7に送信されるパルス信号の幅を変更することにより制御することができる。上記パルス信号の幅を大きくするほど、上記ドット径は大きくなる。
【0033】
上記した印字ドットdを1ライン目と2ライン目とにそれぞれ記録させる場合の記録紙Kの送りピッチp1については、図3に示した互いに隣り合って同時に発熱する2つの発熱領域50の中心間距離S3と略同一とする。このようにすれば、1画素を構成する4つの印字ドットdのそれぞれの中心間距離が主走査方向および副走査方向に等しくなり、図5(i)に示したレベル8の表示態様の場合に、各画素を画像の表現に好適な正方形に近い形態にし、記録画像の主走査方向および副走査方向への解像度を均一にすることかできる。また、図3を参照して説明したように、各発熱領域50の副走査方向の幅S1が2つの発熱領域50の主走査方向のトータルの幅S2の略1/2とされていることも、各画素を正方形に近い形態とするのに役立つのに加え、各画素が副走査方向に大きな幅にならないようにして、各画素の微小化を図ることにも役立つ。
【0034】
印字データの注目画素を上記した9段階の印字出力レベルのいずれにするかの判断を行なうための閾値としては、8つの閾値が設けられている。具体的には、図6に示すように、印字データの白から黒までの濃度レベルが0〜255までの256階調である場合、上記レベル0と上記レベル1とを区切る第1閾値は「28」、上記レベル1と上記レベル2とを区切る第2閾値は「56」といったふうに、256の階調を9つの印字出力レベルに区分するための所定の閾値が定められている。もちろん、それら閾値の具体的な数値はこれに限定されるものではない。
【0035】
制御回路9で実行される多値誤差拡散処理は、具体的には、次のような手順で行なわれる。
【0036】
まず、印字データの第1の注目画素の階調が、たとえば「20」であるとすると、この第1の注目画素は、図6から明らかなように、第1閾値よりも小さいため、その印字出力レベルはレベル0とされる。したがって、この第1の注目画素は、図5(a)に示した白の画素として記録紙Kに記録される。
【0037】
上記第1の注目画素は、実際には階調が「20」であるにも拘わらず、記録紙Kには階調が「0」の白色として表現されており、階調「20」の分だけ実際の階調よりも白色とされている。このため、実際の階調と印字画像の画素の階調との間には、誤差が発生していることとなる。したがって、この階調の誤差量「20」については、上記第1の注目画素の近傍の複数の画素が黒色寄りになり易いように、それら複数の画素に対して所定の割合で振り分ける。この振り分けは、たとえば図7に示すように、注目画素(第1の注目画素)と同一ラインおよびその次の2つのラインに位置する上記注目画素の近傍の計10個の画素に対して行い、かつその振り分けの割合は、同図に示す数値の比率とする。同図に記入されている数値「7」「3」「2」「5」「7」「5」「2」「1」「2」「3」「2」「1」の合計は「40」であるから、たとえば注目画素(第1の注目画素)の次に位置する第2の注目画素の階調は、上記誤差量「20」の7/40に相当する量、すなわち20×(7/40)=3.5だけ増やされる。
【0038】
印字データの第2の注目画素の実際の階調が、たとえば「26」である場合、これに上記の値「3.5」が加えられることにより、この第2の注目画素の階調は「29.5」となり、上記第1閾値を超える。したがって、この第2の注目画素の印字出力レベルは、レベル1として決定される。このため、この第2の注目画素は、図5(b)に示す表示態様の画素として、記録紙Kに記録される。このレベル1の濃度は、たとえば上記第1閾値の階調「28」に相当するように設定されている。このため、上記第2の注目画素は、29.5−28=1.5に相当する誤差量だけ、記録紙Kには白色寄りに記録されていることとなる。この誤差量は、図7を参照して説明したのと同様な手法で第3の注目画素を含む他の複数の画素に振り分けていく。このように、印字データの階調の誤差を後段の画像の階調に振り分け(拡散させ)ながら、各注目画素の印字出力レベルを決定していく。すると、一定面積を占める複数の画素をトータルとしてみた場合には、階調の誤差が無いものとなる。
【0039】
本実施形態においては、図5に示したように、画素単位で9段階の濃淡を表現することが可能であり、記録画像は画素単位での解像度となる。また、上記した9値の誤差拡散処理によれば、2値の誤差拡散処理と比べて疑似中間調表現をよりきめ細かく行なうことができ、一定以上の距離を隔てて記録画像を見た場合には極めて多くの階調数に見えることとなる。したがって、サーマルプリントヘッドAの複数の発熱領域50の主走査方向の配列ピッチをさほど小さくしなくても、解像度が高い中間調表現に優れた質の高い記録画像を得ることができる。このことは、製造コストの易いサーマルプリントヘッドAを用いた場合であっても、質の高い画像を印字することが実現されることを意味する。
【0040】
本願発明は、上記実施形態の内容に限定されない。本願発明に係るサーマルプリンタの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。また、本願発明に係る印字方法の各処理の具体的な構成も種々に変更自在である。
【0041】
たとえば、上記実施形態においては、1画素に9段階の濃淡を付すことができるようにしているが、本願発明はこれに限定されない。本願発明においては、1画素の濃淡は、それよりも多く、あるいは少なくされていてもかまわない。1画素に3段階の濃淡を付せば、3値の誤差拡散処理を行なうことができ、従来の2値の誤差拡散処理よりも優れた画質の記録画像を得ることが可能であり、本願発明ではこのように構成することもできる。
【0043】
本願発明は、モノクロ画像の印字に限らず、カラー画像の印字にも適用することができる。シアン、マゼンタ、イエローの3色の印字ドットを混合させることによってカラー画像を得る場合、それら各色の印字ドットを記録する手法は、上記したモノクロ画像の印字の場合と同様である。また、本願発明においては、インクリボンを用いることなく、感熱タイプの記録紙に直接印字を行なわせる構成とすることもできる。
【0044】
本願発明でいうサーマルプリントヘッドとは、印字専用のヘッドとして構成されているものに限らず、たとえば画像を読み取るための読み取りヘッドと一体化されたものとして構成されていてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るサーマルプリンタの要部構造を示す側面図である。
【図2】図1に示すサーマルプリンタに組み込まれたサーマルプリントヘッドの要部平面図である。
【図3】図2の要部拡大平面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】(a)〜(i)は、複数の印字出力レベルに対応する印字ドットの表示態様を示す説明図である。
【図6】印字データの印字出力レベルを決定するのに用いられる閾値の具体例を示す説明図である。
【図7】誤差拡散処理の手法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
A サーマルプリントヘッド
P サーマルプリンタ
K 記録紙
d 印字ドット
3 共通電極
4 個別電極
8 インクリボン
9 制御回路
50 発熱領域

Claims (6)

  1. 主走査方向に並ぶ、2つずつがそれぞれ同一の出力レベルで発熱させられる複数の発熱領域を備えたサーマルプリントヘッドを使用し、印字データの注目画素についての印字出力レベルを誤差拡散処理によって決定しながら、この印字出力レベルに基づいて上記各発熱領域の発熱を制御することにより、記録紙に印字ドットを記録する、印字方法であって、
    上記記録紙に印字される画像の1画素は、主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第1の2つの印字ドットと、上記記録紙が副走査方向に上記第1の2つの印字ドットの中心間距離に相当するピッチで送られながら主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第2の2つの印字ドットからなる4つの印字ドットにより構成し、かつ、
    上記誤差拡散処理に用いられる複数の印字出力レベルとしては、上記1画素を構成する4つの印字ドットのすべてが同一とされる第1の表示態様に対応する印字出力レベルに加え、副走査方向に並ぶ上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットどうしが相違する第2の表示態様に対応する印字出力レベルをさらに設けることを特徴とする、印字方法。
  2. 主走査方向に並ぶ、2つずつがそれぞれ同一の出力レベルで発熱させられる複数の発熱領域が形成されたサーマルプリントヘッドを具備しており、かつ印字データの注目画素についての印字出力レベルを誤差拡散処理によって決定しながら、この印字出力レベルに基づいて上記各発熱領域の発熱を制御することにより、記録紙に印字ドットを記録するように構成された、サーマルプリンタであって、
    上記記録紙に印字される画像の1画素は、主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第1の2つの印字ドットと、上記記録紙が副走査方向に上記第1の2つの印字ドットの中心間距離に相当するピッチで送られながら主走査方向に並んで同一出力レベルで印字される第2の2つの印字ドットからなる4つの印字ドットにより構成されるようにし、かつ、
    上記誤差拡散処理に用いられる複数の印字出力レベルとしては、上記1画素を構成する4つの印字ドットのすべてが同一とされる第1の表示態様に対応する印字出力レベルに加え、副走査方向に並ぶ上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットどうしが相違する第2の表示態様に対応する印字出力レベルがさらに設けられていることを特徴とする、サーマルプリンタ。
  3. 上記印字ドットとしては、上記記録紙に色彩を付す表示ドットと、上記記録紙に色彩を付さない非表示ドットとがあり、
    上記第1の表示態様は、上記1画素を構成する4つの印字ドットの全てを非表示ドットとする態様、およびそれら4つの印字ドットの全てを同一サイズの表示ドットとする態様を含んでいる、請求項2に記載のサーマルプリンタ。
  4. 上記第2の表示態様は、上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットの一方を表示ドットとするとともに他方を非表示ドットとする態様、および/または上記1画素を構成する4つの印字ドットの全てを表示ドットとし、かつ上記第1の2つの印字ドットと上記第2の2つの印字ドットのサイズを相違させる態様を含んでいる、請求項3に記載のサーマルプリンタ。
  5. 上記複数の発熱領域は、互いに隣り合う2つの発熱領域の主走査方向の合計の幅よりも各発熱領域の副走査方向の幅の方が小さくされている、請求項2ないし4のいずれかに記載のサーマルプリンタ。
  6. モノクロ用またはカラー用の熱転写用インクリボンが装着されている、請求項2ないしのいずれかに記載のサーマルプリンタ。
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