JP4660800B2 - 無電解金メッキ浴 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無電解金メッキ浴に関して、浴の安定性及びメッキ皮膜の外観に優れたものを提供する。
【0002】
【発明の背景】
従来、電子部品の電気接点部分には、耐食性が良好で電気的特性に優れた貴金属による表面被覆が施されることが多く、工業的には、金の電気メッキが多く採用されている。
しかしながら、電気メッキでは、微細で複雑な形状の部品、或は、高密度実装化に伴う設計上の制約がある箇所や電気的に孤立した微細部分には、均一な厚みで金メッキ皮膜を形成することは困難であった。
これに対して、無電解メッキでは、通電することなくメッキ皮膜を形成でき、微細で複雑な形状の部品や電気的に孤立した部分などにも支障なく皮膜を形成できる利点がある。
【0003】
上記無電解メッキは、さらに置換メッキと還元メッキの2方式に分類することができる。即ち、置換メッキ方式は、浴中の金属と被メッキ物(素地)の金属との酸化還元電位の差異によって、素地金属が浴中に溶出する際に浴中の金属イオンが金属となって析出する方式であり、還元メッキ方式は還元剤の働きでメッキ浴中の金属イオンを析出させる方式である。
【0004】
【従来の技術】
(1)従来技術1(特開平2−107780号公報)
チオ硫酸、亜硫酸、或はこれらの塩等の金の錯化剤と、次亜リン酸塩、水素化ホウ素化合物、チオ尿素、ボラン類などの還元剤と、素地から溶出したCu2+、Ni2+、Fe2+等の不純物イオンに対して錯体形成するエチレンジアミン等のポリアミン類、EDTAなどのポリカルボン酸類などの隠蔽錯化剤とを含有する無電解金メッキ浴が開示されている。
【0005】
(2)従来技術2(特開平5−156460号公報)
塩化金酸ナトリウムなどの可溶性金塩と、メルカプトコハク酸とを含有する置換金メッキ浴が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
基本的に、金は酸化還元電位が貴に大きく傾いているため、金メッキ浴は分解し易く、金イオンを浴中で安定化させることは容易でないうえ、還元剤が含有された浴ではなおさら不安定になり易い。
実際にも、上記従来技術1の亜硫酸塩やチオ硫酸塩を各々単独で使用すると上記安定化作用は充分ではなく、浴から得られるメッキ皮膜には色調ムラが発生するという問題がある。
一方、従来技術2のメルカプトコハク酸は浴の安定作用が認められるが、コスト高である。
【0007】
本発明は、上記従来技術1〜2とは異なる別種の化合物を用いて、浴の安定性に優れ、良好な外観の皮膜が得られる金メッキ浴を新たに開発することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、先に、特願平10−367107号(以下、先行技術という)で、隠蔽錯化剤と両性界面活性剤などの特定の界面活性剤との存在下に、2,2′−ジベンゾチアゾリルジスルフィド、2,2′−ジピリジルジスルフィド、2,2′−ジチオジアニリン、2−エチルチオアニリンなどの分子内に1個以上の塩基性窒素原子を有する芳香族スルフィド系化合物などを含有する置換金メッキ浴を提案した。この場合、一つの注目点は、当該スルフィド系化合物が、メルカプタン類である従来技術2のメルカプトコハク酸とは、含イオウ化合物に属する点で共通することである。
【0009】
そこで、本発明者らは、上記先行技術で提案した芳香族スルフィド系化合物を出発点として、他のスルフィド系化合物を広く研究した結果、モノ又はジスルフィド結合の両側或は片側に隣接してオキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシ(ヒドロキシプロピレン)基を単数又は繰り返し分子内に有する特定のオキシアルキレン型脂肪族スルフィド系化合物を金メッキ浴に含有させると、置換型、還元型を問わずに浴の安定性が有効に高まること、また、メッキ浴から得られる金皮膜の外観も良好に向上することを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明1は、モノ又はジスルフィド結合の両側或は片側に隣接してオキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシ(ヒドロキシプロピレン)基を単数又は繰り返し分子内に有するオキシアルキレン型脂肪族スルフィド系化合物を錯化剤として含有する無電解金メッキ浴である。
【0011】
本発明2は、上記本発明1において、さらに、還元剤を含有することを特徴とする無電解金メッキ浴である。
【0012】
本発明3は、上記本発明1又は2において、さらに、オキシカルボン酸、アミン系化合物、含窒素複素環式化合物、アンモニウム化合物よりなる群から選ばれた隠蔽錯化剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする無電解金メッキ浴である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定の脂肪族スルフィド系化合物を含有する無電解金メッキ浴であり、置換型、還元型の両方式の金メッキ浴を包含する。
金の供給源としての可溶性金塩はメッキ浴中に1価、或は3価の金イオンを供給可能な金塩であり、具体的には、塩化金酸カリウム、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸アンモニウム、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金ナトリウム、亜硫酸金アンモニウム、チオ硫酸金カリウム、チオ硫酸金ナトリウム、チオ硫酸金アンモニウムなどが挙げられる。
当該可溶性金塩の浴中への含有量は金属換算で0.001〜20g/Lであり、好ましくは0.5〜10g/Lである。
【0014】
脂肪族スルフィド系化合物においては、次の(a)〜(b)の化合物が、メッキ浴中で金イオンに錯化してこれを安定化する作用を示す。
(a)オキシアルキレン型スルフィド系化合物
モノ又はジスルフィド結合の両側或は片側に隣接してオキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシ(ヒドロキシプロピレン)基を単数又は繰り返し分子内に有するスルフィド系化合物。
(b)カルボン酸型スルフィド系化合物
モノ又はジスルフィド結合の両側或は片側のアルキレン鎖にカルボキシル基を有するスルフィド系化合物。
この場合、上記カルボン酸型化合物(b)も有効であるが、本発明で特定された脂肪族スルフィド系化合物はオキシアルキレン型脂肪族スルフィド系化合物(a)である。
【0015】
上記(a)のオキシアルキレン型スルフィド系化合物としては、次のものなどが挙げられる。
(1)H−(OCH2CH2)3−S−(CH2CH2O)3−Hで表されるビス(トリエチレングリコール)チオエーテル
(2)H−(OCH2CH2)6−S−(CH2CH2O)6−Hで表されるビス(ヘキサエチレングリコール)チオエーテル
(3)H−(OCH2CH2)10−S−(CH2CH2O)10−Hで表されるビス(デカエチレングリコール)チオエーテル
(4)H−(OCH2CH2)12−S−(CH2CH2O)12−Hで表されるビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル
(5)H−(OCH2CH2)15−S−(CH2CH2O)15−Hで表されるビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル
(6)H−(OCH2CH2)20−S−(CH2CH2O)20−Hで表されるビス(イコサエチレングリコール)チオエーテル
(7)H−(OCH2CH2)30−S−(CH2CH2O)30−Hで表されるビス(トリアコンタエチレングリコール)チオエーテル
(8)H−(OCH2CH2)40−S−(CH2CH2O)40−Hで表されるビス(テトラコンタエチレングリコール)チオエーテル
(9)H−(OCH2CH2)50−S−(CH2CH2O)50−Hで表されるビス(ペンタコンタエチレングリコール)チオエーテル
(10)HOCH2CH2−S−CH2CH2OHで表される2,2′−チオジグリコール
(11)HOCH2CH2CH2−S−CH2CH2CH2OHで表される3,3′−チオジプロパノール
(12)H−(OCH2CH2)5−S−S−(CH2CH2O)5−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシペンタエトキシ)ジスルフィド
(13)H−(OCH2CH2)12−S−S−(CH2CH2O)12−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシドデカエトキシ)ジスルフィド
(14)H−(OCH2CH2)20−S−S−(CH2CH2O)20−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシイコサエトキシ)ジスルフィド
(15)H−(OCH2CH2)50−S−S−(CH2CH2O)50−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシペンタコンタエトキシ)ジスルフィド
(16)H−(OCH2CH(OH)CH2)8−S−(CH2CH(OH)CH2O)8−Hで表されるビス(オクタグリセロール)チオエーテル
(17)H−(OC36)5−(OC24)15−S−(C24O)15−(C36O)5−Hで表されるビス(ペンタデカエチレングリコールペンタプロピレングリコール)チオエーテル
(18)H−OCH2CH(OH)CH2−(OC24)10−S−(C24O)10−CH2CH(OH)CH2O−Hで表されるビス(デカエチレングリコールモノグリセロール)チオエーテル
(19)H−(OC24)10−(OC36)3−S−(C36O)3−(C24O)10−Hで表されるビス(トリプロピレングリコールデカエチレングリコール)チオエーテル
(20)H−(OC36)5−(OC24)15−S−S−(C24O)15−(C36O)5−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシペンタプロポキシペンタデカエトキシ)ジスルフィド
(21)H−OCH2CH(OH)CH2−(OC24)10−S−S−(C24O)10−CH2CH(OH)CH2O−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシモノグリセロキシデカエトキシ)ジスルフィド
(22)H−(OC24)20−(OC36)5−S−S−(C36O)5−(C24O)20−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシイコサエトキシペンタプロポキシ)ジスルフィド
(23)H−(OC24)5−S−CH2CH2−S−(C24O)5−Hで表されるS,S′−ビス(ペンタエチレングリコール)エチレンジチオエーテル
(24)H−(OC24)15−S−CH2CH2−S−(C24O)15−Hで表されるS,S′−ビス(ペンタデカエチレングリコール)エチレンジチオエーテル
(25)H−(OC24)30−S−CH2CH2CH2−S−(C24O)30−Hで表されるS,S′−ビス(トリアコンタエチレングリコール)プロピレンジチオエーテル
(26)H−(OC36)3−(OC24)20−S−CH2CH2−S−(C24O)20−(C36O)3−Hで表されるS,S′−ビス(トリプロピレングリコールイコサエチレングリコール)エチレンジチオエーテル
(27)H−(OCH2CH2)2−S−(CH2CH2O)2−Hで表されるビス(ジエチレングリコール)チオエーテル
(28)HOCH2CH(OH)CH2−S−CH2CH(OH)CH2OHで表されるビス(モノグリセロール)チオエーテル
(29)H−(OCH2CH(OH)CH2)3−S−(CH2CH(OH)CH2O)3−Hで表されるビス(トリグリセロール)チオエーテル
(30)H−(OCH2CH2)41−S−S−(CH2CH2O)41−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシヘンテトラコンタエトキシ)ジスルフィド
(31)H−(OC36)5−(OC24)20−S−S−(C24O)20−(C36O)5−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシペンタプロポキシイコサエトキシ)ジスルフィド
(32)H−(OCH2CH(OH)CH2)3−S−S−(CH2CH(OH)CH2O)3−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシトリグリセロキシ)ジスルフィド
(33)H−(OCH2CH(OH)CH2)10−S−S−(CH2CH(OH)CH2O)10−Hで表されるビス(ω−ヒドロキシデカグリセロキシ)ジスルフィド
(34)HOCH2CH2−S−CH2CH2−S−CH2CH2OHで表されるS,S′−ビス(モノエチレングリコール)エチレンジチオエーテル
(35)H−(OC24)10−S−C36−S−(OC24)10−Hで表されるS,S′−ビス(デカエチレングリコール)プロピレンジチオエーテル
(36)H−(OCH2CH2)5−S−CH2CH(OH)CH2−S−(CH2CH2O)5−Hで表されるS,S′−ビス(ペンタエチレングリコール)−2−ヒドロキシプロピレンジチオエーテル
(37)H−(OC36)2−S−CH2CH(OH)CH2−S−(C36O)2−Hで表されるS,S′−ビス(ジプロピレングリコール)−2−ヒドロキシプロピレンジチオエーテル
(38)H−(OCH2CH2)20−S−CH2CH2−S−(CH2CH2O)20−Hで表されるS,S′−ビス(イコサエチレングリコール)エチレンジチオエーテル
(39)CH3−S−CH2CH2OHで表される2−(メチルチオ)エタノール
【0016】
上式(1)〜(9)では、モノスルフィド結合の両側の隣接位置にオキシエチレン基(C24O)の繰り返しを分子内に有し、上式(10)〜(11)では、モノスルフィド結合の両側の隣接位置にオキシエチレン基又はオキシプロピレン基(C36O)を単数分子内に有する。
上式(12)〜(15)では、ジスルフィド結合の両側の隣接位置にオキシエチレン基の繰り返しを分子内に有し、上式(16)では、モノスルフィド結合の両側の隣接位置にオキシ(ヒドロキシプロピレン)基(CH2CH(OH)CH2O)の繰り返しを分子内に有する。
上式(17)では、モノスルフィド結合の両側の隣接位置にオキシエチレン基の繰り返しとオキシプロピレン基の繰り返しを分子内に有し、上式(20)では、ジスルフィド結合の両側の隣接位置にオキシエチレン基の繰り返しとオキシプロピレン基の繰り返しを分子内に有し、上式(21)では、ジスルフィド結合の両側の隣接位置にオキシエチレン基の繰り返しとオキシ(ヒドロキシプロピレン)基の繰り返しを分子内に有する。
上式(23)〜(25)では、分子内に2個のモノスルフィド結合が含まれ、各モノスルフィド結合の一方にはオキシエチレン基が、他方にはエチレン基又はプロピレン基が結合する。
上式に列挙した化合物はモノ又はジスルフィド結合を中心に左右対称の分子構造が多いが、本発明のオキシアルキレン型スルフィド系化合物では、左右が異なる分子構造の化合物でも差し支えなく、例えば、上式(39)に示すように、モノ又はジスルフィド結合の片側にアルキル基などが結合しても良い。
【0017】
本発明の脂肪族スルフィド系化合物は、前述の通り、上記(a)のオキシアルキレン型脂肪族スルフィド系化合物である。
また、前述の通り、金メッキ浴を安定にするには、これ以外にも、前記(b)に示すカルボン酸型スルフィド系化合物が有用である。
カルボン酸型スルフィド系化合物としては、2,2′−チオジグリコール酸(HOOCCH2−S−CH2COOH)、2,2′−チオジプロピオン酸(HOOCCH2CH2−S−CH2CH2COOH)などが挙げられる。
【0018】
上記脂肪族スルフィド系化合物は単用又は併用でき、中でも、2,2′−チオジグリコール、ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル、ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル、2−(メチルチオ)エタノールなどが好ましい。
当該脂肪族スルフィド系化合物の浴中での含有量は0.01〜500g/L、好ましくは1〜300g/Lである。
また、当該脂肪族スルフィド系化合物は、公知の金の錯化剤、例えば、亜硫酸塩やチオ硫酸塩などと複用しても良いことはいうまでもない。
【0019】
本発明の無電解金メッキ浴には、本発明3に示すように、隠蔽錯化剤を添加することができる。一般に、金メッキは銅、ニッケル、パラジウムなどの素地金属上に施すが、メッキ作業中に素地金属が浴中に不純物イオンとして溶出した場合に、上記隠蔽錯化剤はこれらを隠蔽或は封鎖する機能があるため、金メッキ浴の安定性をより一層向上することが期待できる。
上記隠蔽錯化剤はオキシカルボン酸、アミン系化合物、含窒素複素環式化合物、アンモニウム化合物、或はアンモニアなどであり、オキシカルボン酸としては、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸などが挙げられる。
上記アミン系化合物は、アミノ酢酸、アミノプロピオン酸、アミノ吉草酸、アミノ酸などのアミノカルボン酸系化合物、エチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール類などの化合物を包含する概念である。
【0020】
上記アミン系化合物のうちのアミノカルボン酸系化合物の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA・2Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、メタフェニレンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N′,N′−四酢酸、ジアミノプロピオン酸、グルタミン酸、オルニチン、システイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンなどが挙げられる。
上記アミン系化合物のうちのポリアミン類、モノアミン類、アミノアルコール類などの具体例としては、エチレンジアミンテトラメチレンリン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸、アミノトリメチレンリン酸五ナトリウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0021】
上記含窒素複素環式化合物としては、1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、2,2′−ビピリジル、2,2′,2′′−テルピリジル、ピリジンなどが挙げられる。
上記アンモニウム化合物はアンモニウム塩とアルキル(又はアリール)アンモニウム塩を包含する概念である。
当該アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、リン酸アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウムなどが挙げられる。
上記アルキル(又はアリール)アンモニウム塩は、アンモニウムイオン(NH4 +)の水素原子が1〜4個のアルキル基(及び/又はアリール基)で置換された第1〜第4アルキル(又はアリール)アンモニウム塩をいい、例えば、メチルアンモニウム塩([CH3NH3+Cl-)、ジプロピルアンモニウム塩([(C37)2NH22SO4)、トリエチルアンモニウム塩([(C25)3NH]+CH3SO4 -)、トリメチルベンジルアンモニウム塩([(CH3)3N(CH265)]+OH-)、ドデシルジメチルベンジルアンモニウム塩([(CH3)2(C1225)N(CH265)]+Cl-)、ヘキサデシルピリジニウム塩([(C55N)−C1633+-)、オクチルアミンアセテートなどが挙げられる。
【0022】
上記隠蔽錯化剤は単用又は併用することができ、その添加量は0.001〜200g/Lであり、好ましくは0.01〜100g/Lである。
【0023】
また、本発明の無電解金メッキ浴は、前述したように、置換型、還元型を問わずに適用できる。従って、本発明2のように、浴中に還元剤を含有することができる。
上記還元剤は、次亜リン酸又はその塩、亜リン酸又はその塩、アミンボラン類、水素化ホウ素化合物、チオ尿素又はその誘導体、ヒドラジン類、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸又はその塩、グリオキシル酸又はその塩などである。
上記次亜リン酸塩としては次亜リン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、或はアンモニウム塩などが挙げられる。
上記アミンボラン類としては、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、イソプロピルアミンボラン、モルホリンボランなどが挙げられる。
上記水素化ホウ素化合物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどが挙げられる。
上記チオ尿素誘導体としては、1,3―ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素(例えば、1,3―ジエチル―2―チオ尿素)、N,N′―ジイソプロピルチオ尿素、アリルチオ尿素、アセチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3―ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジド、S−メチルイソチオ尿素硫酸塩、トリブチルチオ尿素、塩酸ベンジルイソチオ尿素、1,3−ジブチルチオ尿素、1−ナフチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1−フェニルチオ尿素、1−メチルチオ尿素などが挙げられる。
上記ヒドラジン類としては、ヒドラジン水和物、硫酸ヒドラジン、マレイン酸ヒドラジン又はこれらの塩、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ヒドロキシアミンなどが挙げられる。
【0024】
上記還元剤は単用又は併用でき、その添加量は0.001〜150g/Lであり、好ましくは1〜80g/Lである。
【0025】
本発明の金メッキ浴には、さらに、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤などの各種添加剤を含有することができる。
上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが使用できる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸などの各種の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などの各種塩基を使用できる。
上記緩衝剤としては、塩化アンモニウム、グリシン、ホウ酸類、リン酸類などが使用できる。
【0026】
【作用】
Lewis酸・塩基錯体の安定性については、ハード・ソフトな酸・塩基という一般的、且つ定性的な概念(即ち、HSAB原理)が知られている(ハード・ソフト・酸・塩基概念の有機化学への応用;有機合成化学 第33巻第11号(1975)参照)。例えば、電気陰性度が大きく分極率が低く、原子価電子を強く保持する性質の塩基をハード塩基といい、逆に、電気陰性度が小さく分極率が高く、原子価電子を比較的弱く保持する性質の塩基をソフト塩基という。ハード塩基はハード酸に配位してより安定な錯体を形成し、また、ソフト塩基はソフト酸に配位してより安定な錯体を形成する。
この場合、Lewis酸の性質を有する金イオンはソフト酸に分類でき、本発明の脂肪族スルフィド系化合物はソフト塩基に分類できることから、金メッキ浴中では、当該脂肪族スルフィド系化合物は金イオンに有効に配位して安定化に資すると推定できる。即ち、オキシアルキレン型脂肪族スルフィド系化合物では、スルフィド基のイオウ原子とオキシアルキレン基の酸素原子の相乗的な電子供与機能によって、金イオンへの錯化作用がより促進されると推測することができる。
また、本発明の脂肪族スルフィド系化合物は、オキシアルキレン鎖の繰り返しによって溶解性に優れるため、メッキ時の操作性が良好になる。
【0027】
【発明の効果】
(1)後述の試験例に示すように、本発明の無電解金メッキ浴は、特定の脂肪族スルフィド系化合物を錯化剤として含有するため、メッキ後の分解がなく浴安定性に優れる。例えば、金の錯化剤として多用される亜硫酸塩又はチオ硫酸塩を単用した場合、或は、還元剤の存在下でこれらを併用した場合には、メッキ後に浴が分解するのに比べると、本発明の脂肪族スルフィド系化合物は、亜硫酸塩とチオ硫酸塩を併用した場合と遜色がないか、それ以上に優れた安定効果を発揮することができる。
また、一般に、無電解金メッキ浴では、還元剤を含有した還元型メッキ浴はこれを含有しない置換浴より不安定になり易いが、本発明の脂肪族スルフィド系化合物を使用すると、還元浴、置換浴を問わず、メッキ後の分解を円滑に抑止できる。
しかも、冒述の従来技術2のメルカプトコハク酸と本発明の脂肪族スルフィド系化合物とは含イオウ化合物に属する点で共通するが、実施例1〜15と比較例2との対比でも明らかなように、メッキ浴の安定性の点で本発明の脂肪族スルフィド系化合物はメルカプトコハク酸と同様の水準を確保できる。
【0028】
(2)上記(1)に述べたように、金メッキ浴が安定であることから、後述の試験例でも示すように、浴から得られた金メッキ皮膜は色調が均一で、皮膜外観は実用水準以上のレベルを保持できる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の無電解金メッキ浴の実施例を順次述べるとともに、メッキ後の各金浴の安定性、メッキ浴から得られる金皮膜外観の各種試験例を説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0030】
下記の実施例1〜は置換型の金メッキ浴例、実施例9〜13は還元型の金メッキ浴例であり、実施例5は本発明の脂肪族スルフィド系化合物同士の併用例、その他の実施例1〜6〜13は本発明の脂肪族スルフィド系化合物の単用例である。
また、比較例1は金錯化剤としてチオ硫酸塩を単用した置換金メッキ浴の例、比較例2は前記従来技術2に準拠して、メルカプトコハク酸を使用した置換金メッキ浴の例、比較例3はチオ硫酸塩と亜硫酸塩を併用した置換金メッキ浴の例、比較例4はチオ硫酸塩と亜硫酸塩を併用した還元型メッキ浴の例である。
【0032】
実施例1
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 5.0g/L
2,2′−チオジグリコール 12.5g/L
水酸化ナトリウムでpH6.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.04μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0033】
実施例2
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 3.0g/L
2−(メチルチオ)エタノール 10.0g/L
クエン酸3ナトリウム 40.0g/L
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.1g/L
水酸化ナトリウムでpH6.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.02μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0034】
実施例3
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 2.0g/L
ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル 80.0g/L
水酸化ナトリウムでpH5.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.04μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0035】
実施例4
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 2.0g/L
ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル 100.0g/L
クエン酸3ナトリウム 45.0g/L
塩酸でpH5.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.03μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0036】
実施例5
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 2.0g/L
2,2′−チオジグリコール 10.0g/L
ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル 70.0g/L
ポリエチレングリコール(PEG1000) 0.1g/L
塩酸でpH4.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.04μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0037】
実施例6
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 3.0g/L
2,2′−チオジグリコール酸 10.0g/L
ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル 40.0g/L
クエン酸3ナトリウム 50.0g/L
塩酸でpH5.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.05μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0038】
実施例7
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 5.0g/L
ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル 40.0g/L
亜硫酸ナトリウム 5.0g/L
クエン酸3ナトリウム 40.0g/L
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 0.05g/L
塩酸でpH7.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.03μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0039】
実施例8
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 4.0g/L
2,2′−チオジグリコール 10.0g/L
チオ硫酸ナトリウム 8.0g/L
リンゴ酸2ナトリウム 50.0g/L
塩酸でpH5.0に調整
上記置換金メッキ浴を用いて、後述の条件下(A)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.05μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0041】
実施例9
下記の組成で還元型金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 4.0g/L
2,2′−チオジグリコール 12.5g/L
次亜リン酸ナトリウム 8.0g/L
α−ナフトールポリエトキシレート(EO15) 0.1g/L
水酸化ナトリウムでpH6.0に調整
上記還元型金メッキ浴を用いて、後述の条件下(B)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.06μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0042】
実施例10
下記の組成で還元型金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 5.0g/L
2−(メチルチオ)エタノール 10.0g/L
クエン酸3ナトリウム 40.0g/L
グリオキサル酸1水和物 8.0g/L
塩酸でpH5.0に調整
上記還元型金メッキ浴を用いて、後述の条件下(B)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.08μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0043】
実施例11
下記の組成で還元型金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 3.0g/L
ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル 80.0g/L
アスコルビン酸ナトリウム 20.0g/L
オクチルアミンポリエトキシレート(EO8) 0.1g/L
水酸化ナトリウムでpH4.0に調整
上記還元型金メッキ浴を用いて、後述の条件下(B)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.06μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0044】
実施例12
下記の組成で還元型金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 5.0g/L
ビス(ペンタデカエチレングリコール)チオエーテル 100.0g/L
チオ尿素 5.0g/L
クエン酸3ナトリウム 45.0g/L
塩酸でpH5.0に調整
上記還元型金メッキ浴を用いて、後述の条件下(B)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.10μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0045】
実施例13
下記の組成で還元型金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸ナトリウム 3.0g/L
ビス(ドデカエチレングリコール)チオエーテル 95.0g/L
酒石酸ナトリウム2水和物 25.0g/L
水酸化ナトリウムでpH6.0に調整
上記還元型金メッキ浴を用いて、後述の条件下(B)で金メッキを施した結果、得られた金メッキ皮膜は0.07μmの膜厚を有し、均一な色調で良好な外観を呈した。
【0046】
《比較例1》
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸カリウム 1.0g/L
チオ硫酸ナトリウム 10.0g/L
水酸化ナトリウムでpH6.0に調整
【0047】
《比較例2》
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸カリウム 4.0g/L
メルカプトコハク酸 7.5g/L
塩酸でpH1.5に調整
【0048】
《比較例3》
下記の組成で置換金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸カリウム 10.0g/L
亜硫酸ナトリウム 25.0g/L
チオ硫酸ナトリウム 60.0g/L
塩化アンモニウム 10.0g/L
【0049】
《比較例4》
下記の組成で還元型金メッキ浴を建浴した。
塩化金(III)酸カリウム 10.0g/L
亜硫酸ナトリウム 25.0g/L
チオ硫酸ナトリウム 60.0g/L
チオ尿素 8.0g/L
塩化アンモニウム 10.0g/L
【0050】
[メッキ条件]
(1)条件A:25×25mmの銅板に無電解ニッケルを5μmの厚みで施し、この試験片を上記実施例1〜及び比較例1〜3の各置換金メッキ浴に浸漬して、60℃、10分の条件で金メッキを行った。
(2)条件B:25×25mmの銅板に無電解ニッケルを5μmの厚みで施し、さらに、上記実施例1の浴を用いて置換金メッキを施した後、この試験片を上記実施例9〜13及び比較例4の各還元型金メッキ浴に浸漬して、60℃、10分の条件で金メッキを行った。
【0051】
そこで、上記無電解金メッキ浴を用いてメッキ処理を実施した場合、処理前後のメッキ浴の変化に基づいて浴の安定性を評価した。
《無電解金メッキ浴の安定性試験例》
即ち、上記実施例1〜13及び比較例1〜4の各無電解金メッキ浴を用いて無電解メッキを行い、メッキ後の無電解浴の分解の有無で安定性を目視評価した。
評価基準は次の通りである。
○:メッキの前後、或はメッキ中に浴変化がなく、透明な状態を保持して分解現象が認められなかった。
×:メッキ後の浴に濁り、沈殿が生じ、或はメッキ容器の内周縁に金が析出して、浴の分解現象が認められた。
【0052】
図1の左欄はその試験結果を示す。
実施例1〜13の各無電解メッキ浴は、置換型、還元型を問わずに分解せず、いずれも安定であった。比較例3は金の錯化剤として実用度の高いチオ硫酸塩と亜硫酸塩を併用した置換金メッキ浴であり、比較例2は冒述の従来技術2に準拠した例であるが、実施例1〜13の各金メッキ浴は、浴安定性の面でこれらの比較例3又は2に遜色のない結果を示した。
特に、還元剤を含有した還元型の金メッキ浴は不安定になり易く、比較例3と比較例4の安定性の対比はこの傾向を裏付けるが、実施例9〜13の還元型金メッキ浴は、実施例1〜の置換金メッキ浴と同様に分解することがなかった。従って、本発明の脂肪族スルフィド系化合物を用いた無電解金メッキ浴は、置換型はもとより、還元型であっても優れた浴安定性を発揮し、この点では、チオ硫酸塩と亜硫酸塩を併用した還元型金メッキ浴(比較例4)より優位であることが窺える。
【0053】
《金メッキ皮膜の外観試験例》
上記実施例1〜13及び比較例1〜4の各無電解金メッキ浴を用いて、前記条件A〜Bで金メッキを実施して、得られた金メッキ皮膜の外観の良否を目視評価した。
評価基準は次の通りである。
○:皮膜の色調にムラがなく均一であった。
×:皮膜の色調に濃淡のムラがあり、均一でなかった。
尚、メッキ皮膜の膜厚は、各メッキ浴の実施例中で既述した。
【0054】
図1の右欄はその試験結果を示す。
実施例1〜13の各無電解メッキ浴から得られた金皮膜は、いずれも均一な色調で良好な皮膜外観を呈した。これは前記試験例での浴安定性結果とも良く合致している。
即ち、実施例1〜13から得られたメッキ皮膜の外観は、チオ硫酸塩と亜硫酸塩を併用した置換金メッキ浴である比較例3より得られた皮膜外観と遜色がないことから、実用レベル、或はそれ以上の皮膜外観を確保できることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜13並びに比較例1〜4の各無電解金メッキ浴の浴安定性、皮膜外観の各試験結果を示す図表である。

Claims (3)

  1. モノ又はジスルフィド結合の両側或は片側に隣接してオキシエチレン基、オキシプロピレン基又はオキシ(ヒドロキシプロピレン)基を単数又は繰り返し分子内に有するオキシアルキレン型脂肪族スルフィド系化合物を錯化剤として含有する無電解金メッキ浴。
  2. さらに、還元剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の無電解金メッキ浴。
  3. さらに、オキシカルボン酸、アミン系化合物、含窒素複素環式化合物、アンモニウム化合物よりなる群から選ばれた隠蔽錯化剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解金メッキ浴。
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