JP4660748B2 - 蛍光x線分析方法および蛍光x線分析装置 - Google Patents

蛍光x線分析方法および蛍光x線分析装置 Download PDF

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Description

この出願の発明は、蛍光X線分析方法とそのための装置に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、一つの基板上に形成された複数の試料、例えば、コンビナトリアル材料合成法により基板上に合成または調製された無機化合物、半導体、金属等のコンビナトリアル試料を蛍光X線法により分析するための方法であって、異なる試料領域から発せられる蛍光X線を同時に検出し、該試料領域について、同時に構造や組成の分析を行うことを可能にする分析方法と、そのための装置に関するものである。
近年、電子デバイスに用いる半導体材料や無機酸化物などの開発において、有用な新規物質・材料の探索を効率的に行うために、コンビナトリアル材料合成法が盛んに行われている。これは、一枚の微小基板上に組成、温度など合成条件の異なる物質(試料)を並行して同時に合成し、その中から必要とする材料や特性の優れた物質を拾い出す手法であり、今後の発展が期待されている。このようなコンビナトリアル材料合成法としては、具体的には、複数種の原料の供給と基板上でのマスクの移動とを制御しながらコンビナトリアル材料を作製し、組成傾斜をつけた多元系試料を合成する方法などが例示される。
このようにしてコンビナトリアル材料合成法で合成を行うと、従来に比べ、短時間で、非常に効率的に、多数の合成条件の物質を作製することができる。
しかし、コンビナトリアル材料合成法によって作製された試料も、その評価は依然として従来法により行われており、合成条件の異なる各々の部分について個別に評価しているため、長時間を要するという問題があった。したがって、せっかく高速で合成を行っても評価が追いついていなかったのが実情である。
特開2000−55842 E. D. Isaacs et al., Applied Physics Letters, 1998, Vol. 73, No. 13, 1820-1822 Kenji Sakurai et al., Analytical Chemistry, Vol. 75, 355-359
一方、蛍光X線分析法は、物質の組成を解明でき、蛍光XAFS法と呼ばれるX線吸収スペクトルを蛍光X線強度により間接的に測定する手法を用いれば、構成元素の電子状態や局所的原子配列までもがわかることから、材料評価においては非常に重要である。しかし、蛍光X線分析法は、一般に、均一な組成や一様な構造をもつ均質物質について行われることが前提となっており、狭い領域で組成や構造が変化しているような対象にはそのままでは適用できない。
そこで材料表面の組成分布等を観察する場合には、いわゆる走査型の蛍光X線分析法として、X線ビームや電子ビームを照射し、この照射位置を材料表面に対して走査しながら蛍光X線を観測することによりマッピングする方法が行われてきた。前記のコンビナトリアル試料の蛍光X線を用いた評価についても、シンクロトロン放射光を小さいビームサイズに集光させて基板上の特定の試料部分のみを照射し、分析することが試みられている(例えば、非特許文献1)。
しかし、このような走査型蛍光X線分析法では、やはり基板上に形成された複数の試料をすべて評価するには長時間を要し、能率が悪くなるという問題があった。また、時間が
掛かることにより測定条件や環境が変化し、分析条件が変動する恐れがあるという問題もあった。
一方、この出願の発明者らは、これまでに、物質表面に存在する元素の位置的な分布を高精度でかつ短時間に撮像、分析できるX線撮像分析方法と装置を提供しており(特許文献1)、試料またはビームを走査することなく蛍光X線のイメージングが実現されることを見出している。しかし、コンビナトリアル材料のように一つの基板上に形成された複数の試料を短時間で同時に測定する方法については、明らかにされていなかったのが実情である。
そこで、この出願の発明は以上のとおりの事情に鑑み、一つの基板上に形成された複数の試料の蛍光X線法による分析・評価を迅速に行うことが可能で、基板上に集積した全試料を同条件で同時分析できる蛍光X線分析方法と、そのための装置を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、一つの基板上に形成された複数の試料について同時に蛍光X線分析を行う方法であって、複数の試料が形成された基板表面に対し、次式(I)

(ただし、hは試料の基板からの高さを表し、lは入射X線ベクトルを基板面上に投影したベクトルに沿って測った試料間の距離を表す)
を満たす値以上で、次式(II)

(ただし、Hは入射X線のビーム幅を示し、Lは最もX線源に近い側にある試料のX線源に近い側の基板側端部から最もX線源から離れた側にある試料のX線源から離れた側の基板側端部までの距離を表し、hは試料の基板からの高さを表す)を満たす値以下の入射角θでX線を照射し、各試料領域から発生した蛍光X線を、少なくとも各試料領域に照準を合わせた個別の検出部が集合して構成される検出手段により同時に検出することを特徴とする蛍光X線分析方法(請求項1)を提供し、X線の入射角θは、基板に対して0.1〜5°とすること(請求項2)や、X線は、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板上に形成された複数の試料を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のものとすること(請求項3)や、一つの基板上に形成された複数の試料を、コンビナトリアル材料合成法により形成されたコンビナトリアル試料とすること(請求項4)や、検出手段は、少なくとも、基板に近接して配置された検出部と、基板と該検出部との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための角度発散制限手段とから構成されること(請求項5)や、角度発散制限手段は、少なくとも、1つ1つが各試料領域に一対一で照準を合わせている個別のコリメータの集合体により構成されること(請求項6)や、検出部を、一次元または二次元検出器とすること(請求項7)などもその態様として提供する。
また、この出願の発明は、少なくとも、X線源と、複数の試料が形成された基板を固定でき、かつX線源からのX線を基板表面に照射する際の入射角と入射方向を調節できる試料台と、各試料領域から発生した蛍光X線を検出できる、各試料領域に照準を合わせた個別の検出部が集合して構成される検出手段を有し、前記X線源から、一つの基板上に形成された複数の試料について、前記基板表面に対し、式(I)を満たす値以上で、式(II)を満たす値以下の入射角θでX線を照射し、各試料領域から発生した蛍光X線を、前記検出手段が同時に検出することを特徴とする蛍光X線分析装置(請求項8)をも提供し、X線源を、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板上に形成された複数の試料を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のX線を照射でき、エネルギー領域を変動させることができるものとすること(請求項9)や、検出手段を、少なくとも、基板に近接して配置された検出部と、基板と該検出部との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための角度発散制限手段とから構成されるものとすること(請求項10)や、角度発散制限手段は、少なくとも、1つ1つが各試料領域に一対一で照準を合わせている個別のコリメータの集合体により構成されるものとすること(請求項11)や、検出手段を、一次元または二次元検出器とすること(請求項12)などをその態様としている。
なお、「狭いエネルギー幅のX線」とは、XAFS観察等において十分な分解能のスペクトルが得られるようなエネルギー幅のX線のことであり、たとえば図9のマンガンの例では3d遷移金属のK吸収端におけるXANESやEXAFSの場合は典型的には1〜20keV程度のエネルギー幅である。
この出願の発明の蛍光X線分析方法では、一つの基板上に形成された複数の試料、例えばコンビナトリアル試料について、同時に、並行して蛍光X線分析を行うことが可能となる。また、基板に対する照射X線の入射角を調整することにより、基板上の広い面積を照射することができると同時に、照射されたX線が試料中に十分な浸入深さをもって入り込むこともでき、試料表面だけでなく、試料低部に存在する元素をも励起して蛍光X線を発生させることが可能となる。また、照射X線に対して、各試料領域が互いの陰にならないように基板を設置すれば、より簡便かつ確実に試料低部に存在する元素を励起して蛍光X線を発生させることができる。また、この出願の発明の蛍光X線分析方法では、X線の光路を妨げることなく、検出手段を試料に近接させることができることから、複数の試料の蛍光X線分析を精度高く同時に行うことが可能となる。さらに、検出手段が、基板と検出部との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための角度発散制限手段を有し、該角度発散制限手段を、1つ1つが各試料領域に一対一で照準を合わせている個別のコリメータの集合体により構成すると、検出X線強度が著しく向上し、撮像時間が大幅に短縮され信頼性の高い蛍光X線情報を得ることが可能となる。
この出願の発明は、上記のとおり、一つの基板上に形成された複数の試料の蛍光X線分析において、異なる試料領域から発生する蛍光X線を同時に検出することを可能とするものである。
この出願の発明者らは、X線の入射角を基板に対して浅い角度とすれば、基板上の広い面積を照射することができることに着目した。そして、鋭意研究により、この出願の発明の蛍光X線分析方法を見出した。
具体的には、基板上の各試料にX線を照射し、各試料から発せられる蛍光X線を、基板に近接して配置された、各試料領域に照準を合わせた個別の検出部が集合して構成される検出手段によって検出することにより、一つの基板上に形成された複数の試料について蛍光X線分析を行うことが可能となる。したがって、X線の光路を妨げることなく、検出手段を物質に近接させる上でも、照射されるX線の入射角はなるべく浅いことが望ましい。
しかし、このとき入射角があまり小さい場合には、基板上に形成された複数の試料のうち、入射X線のX線源から離れた側(以下、下流側にある試料の基板側端部(以下、低部がよりX線源に近い側(以下、上流側にある試料の陰となり、低部付近の元素からの蛍光X線を観測することができなくなる。そのため、照射するX線の入射角を適度な大きさのものとする必要もある。入射角を適度な大きさのものにすると、照射されたX線が試料中に十分な浸入深さをもって入り込むことができるという効果も合わせて発生し、試料表面はもとより、試料低部に存在する元素をも励起して蛍光X線を発生させることが可能となる。
図1〜2にこの出願の発明の蛍光X線分析方法における照射X線の入射角θを説明する概略模式図を示した。蛍光X線は、X線を基板上に照射したとき試料に含まれる各元素が励起されて発生するものであるが、この出願の発明の蛍光X線分析方法では、入射角、つまり照射X線(1)の基板(2)に対する角度(θ)を、次のとおりの範囲のものに規定する。
すなわち、入射角(θ)を、次式(I)

の関係を満たす値以上とすることにより、基板(2)上に形成された複数の試料(31, 32,
33)の表面(41)だけでなく、低部(42)も照射することが可能となるのである。
上記の式(I)において、hは図1に示されるとおり、試料(31, 32, 33)の基板(2)
からの高さを表し、lは入射X線(1)ベクトルの基板上投影ベクトルの方向の試料(31,
32, 33)間の距離を表す。θが上記の式を満たす値より小さい場合には、入射X線(1)に対して下流側の試料(例えば33)がその上流側の試料(例えば32)の陰になり、十分にX線(1)が照射されない。例えば、試料(例えば33)の低部(42)についての蛍光X線
分析が不可能となる。
また、入射角(θ)は、次式(II)

の関係を満たす値以下とすることにより、幅の狭い入射X線によっても基板上の試料全体を照射することが可能となる。上記式(II)において、Hは式(II)の条件が満たされている状態を表す図2に示されるとおり、入射X線(1)の幅を示し、Lは最も上流側にある試料(31)の基板側端部(以下、最低部(311)から最も下流側にある試料(33)のX線源から離れた側の基板側端部(以下、下流側端部(332)までの距離を表し、hは試料の基板からの高さを表す。θが上記の式を満たす値より大きい場合には、試料全体の領域よりも入射X線の照射領域が小さくなり、すべての試料についてX線を完浴させることができなくなる。
したがって、θとしては、上記の式(I)の関係を満たす値以上としつつ、上記の式(II)の関係を満たす値以下とする。また、式(I)と式(II)の両者を同時に満たすようなθとするため、試料の構造から式(I)によって一義的に求まるθを式(II)に代入してHを求め、このHを実現するよう、入射X線の幅を調整してもよい。
なお、上記の式(II)において、Hは、図2におけるH1とH2の和として表されており、展開すると次式(II')

となり、θを算出することができる。θは上記の条件を満足することが必要であり、具体的なθの値としては、例えば0.1〜5°とすることができる。
この出願の発明の蛍光X線分析方法において、測定対象となる「一つの基板上に形成された複数の試料」としては、コンビナトリアル材料合成法によって形成されたコンビナトリアル材料が好ましく挙げられる。具体的には、図1〜2に模式的に示されるように、基板(2)上で高さを持つ試料(31, 32, 33)が挙げられるが、試料(31, 32, 33)ごとに
高さが異なっていたり、各試料の表面に凹凸があって、高さ(厚さ)が一定でないようなものであってもよい。試料(31, 32, 33)の高さ(h)が各々の試料(31, 32, 33)や試料(31, 32, 33)の部位によって大きく異なる場合には、各々の試料(31または32または33)または部位について、h、各試料や各部分と下流試料の上流端との基板上での距離l、H、H2(図3において、各試料や各部分から最も下流側にある試料(33)の下流側端部(332)までの距離をmとするとH2=(h−m・tanθ)・cosθ)を求め、得られた
θの下限値から上限値の間で入射角(θ)を決定すればよい。
この出願の発明の蛍光X線分析方法において、使用される基板(2)は、とくに限定さ
れないが、試料(31, 32, 33)の調製方法等に応じて耐熱性の高いものや試料(31, 32, 33)との整合性のよいものを選択することが望ましい。具体的には、アルミナ、合成石英ガラス、サファイア基板、シリコンウェハ等が例示される。例えば、MBE法などによるエピタキシャル成長によって半導体デバイス、人工格子等を作製する場合には、結晶方位が揃って成長するように、同種材料のものや、結晶格子の類似したものを選択すればよい。
この出願の発明の蛍光X線分析方法では、さらに、X線(1)が試料(31, 32, 33)の
低部(42)をも照射するようにするためには、入射X線のベクトル方向に対して、各試料領域(34)(図6参照)が互いの陰にならないように基板(2)を設置することが望まし
い。つまり、図4はこの出願の発明の蛍光X線分析装置の一例を示した概略模式図であるが、図4における複数の試料(例えば31, 32, 33)が形成された基板(2)を、図5に示
されるように、入射X線(1)のベクトル方向に対して下流側にある試料(32, 33)が、
上流側にある試料(31)の陰とならないように配置することにより、すべての試料(3)
の全部位に対してX線(1)を確実に照射し、蛍光X線を発生させることが可能になるの
である。
例えば、各試料(31, 32, 33)は、図6に示されるように、次式(III)

の関係を満たす半径rの円内に設け、X線(1)の入射方向については、基板(2)上の試
料領域(30)に対して前記の式(III)および次式(IV)

の関係を満たす角度ψで照射されるようにすることが考慮される。
この出願の発明の蛍光X線分析方法は、一つの基板(2)上に形成された複数の試料(
例えば31, 32, 33)、例えば前記のコンビナトリアル試料について、その構成元素からの蛍光X線を観測することにより定性分析を行うことができ、かつ発せられる蛍光X線の強度を測定することにより定量分析を行い、構成元素の含有量や含有比を求めることもできる。すなわち、一つの基板(2)上に形成された複数の試料(3)に対し、同時に組成分析をすることができるのである。このとき、任意の元素からの蛍光X線を観測する場合には、照射するX線(1)は、その元素の吸収端(吸収スペクトルにおいて、内殻電子が光電
子として飛び出していくのに必要なエネルギーの下限)より高いエネルギーを有するものでなければならない。また、試料中に複数の元素が含まれる場合には、吸収端の高エネルギー側と低エネルギー側のX線を照射して発生する蛍光X線を観測し、演算を行うことによって目的の元素についての定性分析、定量分析が可能となる。
さらに、この出願の発明の蛍光X線分析方法では、検出部(71)としてX線直接検出型の電荷結合素子(CCD)を用いることにより、蛍光X線エネルギーを選別して元素を識別することができる。蛍光X線によって電荷結合素子内で発生する電荷量は、X線のエネルギーにより異なることから、蛍光X線の単一光子を検出するとともに、そのエネルギーを選別すれば元素別に蛍光X線強度を観測することができるのである。
したがって、この出願の発明の蛍光X線分析方法では、例えば、合成条件の異なるコンビナトリアル試料について、蛍光X線を観測し、各々の試料(3)について定性分析、定
量分析、組成分析を同時に行うことが可能となる。
また、この出願の発明の蛍光X線分析方法では、一つの基板(2)上に形成された複数
の試料(3)、例えばコンビナトリアル材料について、それを構成する元素の吸収端を含
むエネルギー領域で照射されたX線のエネルギーに対する蛍光X線強度を測定し、X線吸収微細構造スペクトルを同時に得ることもできる。X線吸収微細構造(XAFS)は、X線吸収スペクトルにおいて、各元素に特有の吸収端付近から高エネルギー側にわたって現れる微細構造であり、このうち原子の吸収端のごく近傍の微細構造、すなわちX線吸収端近傍微細構造(XANES)に着目すると、当該原子の電子状態や価数、電子配置と結合の対称性の情報などを得ることができる。
また、吸収端より数十eV以上高エネルギー側で現れる微細構造、すなわち広域X線吸収微細構造からは、当該原子の周囲における原子種と原子の数、原子間距離とを決定できる。いずれも、X線回折を観測できないような非晶質物質や微粒子などについて構造決定ができるという特徴をもっている。この出願の発明の蛍光X線分析方法では、一つの基板(2)上に形成された複数の試料(3)について同時に測定された蛍光X線強度から、特定の試料(例えば31)に対応する信号部分を抽出し、その強度の照射X線エネルギーに対する変化をグラフ化することにより、蛍光X線吸収微細構造(蛍光XAFS)スペクトルが得られるのである。したがって、この出願の発明の蛍光X線分析方法をコンビナトリアル試料に適用することにより、合成条件の異なる各試料(3)について、蛍光XAFSスペ
クトルが得られ、各試料毎の構成元素の電子状態、価数、構成元素周りの局所構造等を同
時に分析することが可能となる。
さらに、この出願の発明の蛍光X線分析方法では、検出手段(7)は、少なくとも、各
試料領域(例えば31, 32, 33)に照準を合わせた個別の検出部(71)が集合して構成されるものであるが、検出手段(7)は、さらに、基板(2)に近接して配置された検出部(71)と、基板(2)と該検出部(71)との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための
角度発散制限手段(8)とから構成されるものとすることが好ましい。
検出部(71)および角度発散制限手段(8)を試料(3)に近接させた状態とは、照射するX線(1)の入射光路を妨げない範囲で可能な限り近い状態を指し、そのような状態と
することによって、試料(3)上の任意の位置から全方向に発散する蛍光X線の発生位置
を特定し、その位置からの角度発散を抑制することにより、蛍光X線の広がりを抑えることができるとともに、十分な強度を確保することができる。よって一つの基板(2)上に
形成された複数の試料(3)について、各々分析をすることができるようになる。より近
接した配置をとることにより、蛍光X線検出効率および位置分解能がともに向上する。
このとき、検出部(71)と試料(3)との距離は、例えば0.5〜5mm等にすること
ができる。このような配置をとる場合、試料を照射するX線(1)は、その隙間を通すよ
うに前記の式(I)および(II)の条件を満たす浅い入射角(θ)で照射しなければならなくなるが、前記のとおり、X線(1)を浅い角度で基板試料に入射させると、X線(1)の光軸方向については基板(2)上で広がり、ビーム断面の幅が狭いX線を用いても、基
板上の広い面積を一度に照射、励起することができる。例えば、100μmの幅の入射X線が基板に対し10mrad(約0.57°)の入射角で入射したときには、基板(2)
上では10mm幅に広がる。したがって、約10mmのコンビナトリアル試料全面を照射することができる。
さらに、この出願の発明の蛍光X線分析方法において、検出手段(7)は、各試料領域
(3)に照準を合わせた個別の検出部(71)が集合して構成されたものであるが、このと
き検出部は一次元または二次元検出器であってよい。
検出部(71)として二次元検出器を用いる場合には、平面状のコンビナトリアル試料に対し、平面状に構成した角度発散制限手段(8)を介して平面的な二次元検出器を設置で
きる。したがって、試料(3)と角度発散制限手段(8)の隙間にX線(1)を通しつつも
、無駄な間隔を開けることなく接近させることができる。各試料領域に照準を合わせた個別の検出部(71)が集合して構成された二次元検出器としては電荷結合素子(CCDカメラ)が例示され、この場合の検出部(71)は複数の画素ということになる。それら個別の検出部(71)が集合していることにより、各々の検出部(71)が、それぞれが異なる試料領域(3)からの蛍光X線を観測し、基板(2)上の複数の試料(3)について同時に分析
することが可能となる。
電荷結合素子は、素子の1画素のサイズが数μmから数十μm程度であり、分解能に優れており、素子全体のサイズ(一回に撮像できる画像のサイズ)は数〜十数mm角程度である。例えば、一つの基板(2)上に形成された複数の試料としてコンビナトリアル試料
を用いる場合、コンビナトリアル試料の基板(2)サイズは合成作業時の扱いやすさから
、数〜十数mm角程度であることから、CCDカメラは観察領域サイズとして好ましい。
なお、電荷結合素子としてX線直接検出型のものを用いると、蛍光X線の単一光子を検出して、そのエネルギーを選別できることから、元素別の蛍光X線強度を観測することも可能となり好ましい。他に、二次元検出器としては、イメージングプレートやマルチワイヤX線検出器等も考慮される。
一方、角度発散制限手段(8)としては、例えば微細管や管状のコリメータが例示され
る。検出部(71)が集合して構成される二次元検出器等のものに組み合わせる場合には、微細管集合体を採用できる。この微細管集合体は、例えばX線を遮断できるような素材(ガラス板等)に精密に規則正しく穴あけ加工が施されてなるもの、あるいは微細なパイプが規則正しく配列され一体化されてなるガラス等の板とすることができる。このような微細管集合体は、一般に「コリメータ板」や「キャピラリプレート」として知られているが、蛍光X線の角度発散を制限するという機能を有しているものであれば、様々な公知の手段またはその機能を有するように新たに作製された手段を角度発散制限手段(8)として
用いることができる。
さらに、この出願の発明では、個別の検出手段(7)が、基板(2)上の複数の試料(3
)の試料分布に対応する角度発散制限レベルや分解能、素子サイズ、配列を特別に有するものであってもよい。
角度発散制限手段(8)によって決まる蛍光X線像の分解能は次のように計算される。
角度発散制限手段(8)が、例えば内径6μmで長さ1mmの微細管である場合、蛍光X
線の角度発散は6/1000rad(ラジアン)という制限になる。また、試料(3)表
面(41)と検出素子間の距離が仮に3mmであるとすると、像の分解能は、角度発散と(試料表面−検出素子間距離)の積になるので、18μmとなる。しかし、例えば1mmサイズの試料領域(例えば31)において合成条件が均一であり、その条件の異なる試料(例えば31, 32, 33)が1mm間隔で配列してなるコンビナトリアル試料であれば、十数μmという分解能はオーバースペックで、実際には、少なくとも各試料ユニットを区別し、各々からの信号を個別の信号として観測できるような構造であれば十分である。すなわち、例えば角度発散制限手段(8)が微細管集合体である場合、一つの試料(例えば31)から
発生した蛍光X線を、一つまたは少数の特定の微細管で受け止めれば十分で無駄がなく、外部に発散しないよう抑制し、かつ別の試料(例えば32)からの蛍光X線も混入しないよう抑制するような角度発散制限手段(8)を設ければよいのである。
コンビナトリアル試料の評価としては1mm等の分解能で分析ができれば十分評価ができる場合もあり、そのようなときには、例えば角度発散制限手段(8)として内径300
μm、長さ1mmの微細管を選択すると、試料表面−検出素子間距離が3mmのときに分解能は約0.9mmになる。特にコンビナトリアル試料が相互に独立・分離した試料ユニットから構成されているときは、互いの間の距離より小さい分解能があれば、分離した信号観察が可能となることから、その範囲の分解能で十分である。
さらに、コンビナトリアル試料上の試料分布に合わせて、コンビナトリアル試料上で評価したい間隔ごとに1つ1つ微細管や管状のコリメータを配列させたり、コンビナトリアル試料上の試料(3)の配列に合わせて、各試料(例えば31, 32, 33)各々の直上に1つ
1つ、微細管や管状のコリメータを配置・配列させて、各々の試料(例えば31, 32, 33)のみを見込むように設置することもできる。
検出部(71)が二次元検出器によるものであれば、それ自身の素子サイズ等により決まる撮像分解能を、試料にあわせて選択したり、0次元(位置分解能をもたない)検出器、例えば、適切な受光窓サイズを持つシンチレーションカウンターや半導体検出器を複数配列させて、二次元検出器として取り扱うこともできる。このときの配列はコンビナトリアル試料上の試料(3)の配列に合わせて、最適な位置関係に調節することができる。
一般的に信号の検出において、分解能を向上させることは検出効率を低下させることになり、角度発散制限手段(8)においても、厳しい角度発散制限は、その制限によって排
除される蛍光X線成分が増えることを意味するため、必要以上の角度発散制限は、単なる蛍光X線信号のロスにつながる。したがって、可能な限り基板(2)上の試料(3)の分布に合わせた分解能を選択することにより、検出器に届く有効な蛍光X線も増え、蛍光X線観測効率の面からも好ましい。
ここで、特に好ましい角度発散制限手段(8)を用いた例を示す。
この例では、検出手段(7)を構成する角度発散制限手段(8)として、コンビナトリアル試料上の試料(3)の配列に合わせて、試料(3)各々の直上に1つ1つ、各々の試料(3)の領域のみを見込むようにコリメータを配置させたものを用いる。ここで1つのコリメータは1本の管状になっている。よって角度発散制限手段(8)は試料(3)の数だけの管状コリメータの集合体であり、一つの試料(3)から発生した蛍光X線を、1つのコリメータで受け、外部に発散しないように抑制し、かつ別の試料(3)からの蛍光X線も混入しないように抑制するような角度発散制限手段(8)になっている。
このような角度発散制限手段(8)とした結果、検出部(71)へ到達する蛍光X線の強
度は格段に向上し、蛍光X線画像を撮像するのに要する時間が大幅に短縮される。そして、コンビナトリアル試料のような微小量の試料からも精度良く観測可能な蛍光X線を検出部(71)へ到達させることができ、十分な強度の信頼性が高い蛍光X線情報を得ることができるようになる。
この出願の発明では、また、以上のとおりの蛍光X線分析方法により、一つの基板(1
)に形成された複数の試料(3)の蛍光X線分析を同時に行うための蛍光X線分析装置を
も提供する。このような装置は、具体的には、少なくとも(a)X線源(5)と、(b)
複数の試料(3)が形成された一つの基板(2)を固定でき、かつX線源(5)からのX線
(1)を基板(2)表面に照射する際の入射角(θ)と入射方向(ψ)を調節できる試料台(6)と、(c)各試料(3)から発生した蛍光X線を検出でき、各試料(3)に照準を合
わせた個別の検出部(71)が集合して構成される検出手段(7)、を有するものである。
また、X線源(5)を、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板(2)上に形成された複数の試料(3)を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のX線(1)を照射でき、エネルギー領域を変動させることができるものとすることにより、前記のとおりに、試料(3)中に含まれる目的元素についての定性分析、定量分析および試料の組成分析を
同時に行うことが可能となり、さらには、蛍光XAFSによる各試料毎の構成元素の電子状態、価数、構成元素周りの局所構造等を同時に分析することも可能となる。
この出願の発明の蛍光X線分析装置において、検出手段(7)は、さらに、基板(2)に近接して配置された検出部(71)と、基板(2)と該検出部(71)との間にあり、蛍光X
線の角度発散を制限するための角度発散制限手段(8)とから構成される前記のものが好
ましく、検出部(71)は、一次元または二次元検出器であってもよい。
以上より、この出願の発明の蛍光X線分析方法は、コンビナトリアル試料上の各試料部分を個別にターゲットとして、分析を行う従来の方法に比べ、同時分析による測定時間の短縮、効率化という点で優れている。また、複数の試料(3)を同時に分析するため、試
料領域(30)における測定条件が平等となる利点もある。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
<実施例1>
図4は、この出願の発明の蛍光X線分析装置の一例を示した概略模式図である。
図4の蛍光X線分析装置では、Si(111)二結晶モノクロメータ(51)により単色化し、幅0.6mm×長さ20mmの入射スリット(52)を通過させたX線(1)を、基
板(2)上に作製したコンビナトリアル試料(3)に対し、約3.5°の入射角(θ)で照射した。
厚さ1mm、直径25mmのガラス板に、穴径6μmφの穴が規則正しく二次元的に開けられ、有効径20mmにおける開孔率が55%以上となっているガラス製コリメータ板(8)を内蔵したCCDカメラ(7)を、コンビナトリアル試料(3)の鉛直方向真上に設
置した。コンビナトリアル試料(3)またはCCDカメラ(7)の高さを調節することにより、入射X線(1)が試料(3)を照射できる程度の隙間はあけつつ、CCDカメラ(7)
の受光窓をコンビナトリアル試料(3)に極力近接させることができた。なお、CCDカ
メラ(7)の構成要素でありX線検出部の役割をする電荷結合素子(71)のサイズは8m
m角で、画素数は1000×1000とした。
コンビナトリアル試料は、平板状アルミナ基板上において、8.5mm角の領域内に3×3の配列でマンガンとコバルトからなる合成条件の異なる試料がユニット(ピクセル)状に並んだものとした(図7)。
この試料(3)について、上記の蛍光X線分析装置を用いて、高エネルギー加速器研究
機構放射光実験施設BL−16A1の放射光を用いて分析を行った。入射X線のエネルギーを6.57keVとし、CCDカメラ(7)により1秒の露光時間で撮像した。
図8に示されるように、コンビナトリアル試料に対応する8mm角領域について、各試料ユニットからの蛍光X線が観測された。
さらに、モノクロメータ(51)を調整し、マンガンのK吸収端と、コバルトのK吸収端のそれぞれについて、吸収端の上と下のエネルギーにおける蛍光X線を各々観測し、各試料ユニットからの蛍光X線強度を積算した。
図8のCの正方形枠内部について、CCDの各ピクセルにおけるカウント数を合計し、結果を表1に示した。なお、表1最下段のジャンプは、それぞれマンガン、コバルトからのK蛍光線の強度とみなした。
しかし、コバルトから発生したK蛍光線は、マンガンのK吸収端より高いエネルギーをもつため、一部は試料中に共存するマンガンに吸収されて弱くなったことが確認された。精密な定量分析をするには厳密な補正が必要となるが、コバルトとマンガンのジャンプの比は、0.63/0.35=1.8となった。コバルトからの蛍光線がマンガンに吸収され、その分弱く観測されていることも考慮すれば、マンガン:コバルトの組成は、ほぼ1:2であることが示唆された。したがって、得られたコンビナトリアル材料のおおよその組成比を求めることができた。
<実施例2>
実施例1のコンビナトリアル試料について、図1の蛍光X線分析装置を用いて、蛍光X線強度の入射X線エネルギー依存性を調べた。
モノクロメータの角度を走査することにより、入射X線のエネルギーをマンガンK吸収端の下から上まで変化させ、1秒の露光時間で蛍光X線強度を測定した。
図8におけるLL、UL、UR、LR、Cの各領域について蛍光X線強度を積分し、入射X線エネルギーを横軸、蛍光X線強度を規格化したものを縦軸として、各領域についてのXANESスペクトルを得た(図9)。吸収端のエネルギーやスペクトル形状から、マンガンの価数や化学状態が確認された。
以上より、硝酸濃度が高い場合には、220℃で加熱しても(LR)、350℃で加熱しても(UR)、マンガンの価数は大きくなることが明らかになった。一方、硝酸を添加しない場合や、硝酸濃度が薄い場合には220℃(LL)や285℃(C)の加熱ではマンガンの価数は大きくならないが、硝酸を添加しない場合でも350℃で加熱すれば(UL)マンガンの価数は大きくなることが示された。
なお、この測定に要した時間は13分程度で、通常のXAFSスペクトルを1試料について測定するのに要する時間と同等であった。しかし同時に9試料についてのスペクトルを得ることができたことから、トータルでは大幅な時間短縮が実現された。
<実施例3>
図10、図11に示すように、コンビナトリアル試料基板(2)と近接するように、内
径2mmの穴を開けた厚さ1mmのコリメータ板A(81)と、それに近接するように、内径1.5mmの穴を開けた厚さ1mmのコリメータ板B(82)を設け、各試料(3)から
の蛍光X線を2枚のコリメータ板A(81)、B(82)の一対の穴で受けて検出部(71)に到達せしめるようにした(2枚のコリメータ板を近接して並べることで、各々の試料に対向するコリメータが単純な環状構造になっている1枚の厚いコリメータ板を置いたときと
同様の角度発散制限効果が現れている)。
高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設BL−4Aの偏向電磁石からのX線を、Si(111)二結晶モノクロメータ(51)により9.3keVに単色化し、幅0.6mm×長さ20mmの入射スリット(52)を通過させて基板(2)上の銅箔試料に照射し、上
記コリメータ板A(81)、B(82)を介して1000×1000画素の電荷結合素子(71)を有するCCDカメラ(7)によって蛍光X線を観測した。1つの試料(3)からの蛍光X線信号に相当するものとして、コリメータ板A(81)、B(82)の穴の形状を反映した円形状の蛍光X線スポットがCCD上のイメージとして観測され、円形内の3000個の
ピクセルについてX線強度を調べた。
その結果、撮像時間が0.25秒、1ピクセルあたりの平均カウント数が15837、1ピクセル・1秒あたりの平均カウント数が63348となり、撮像時間が大幅に短縮さ
れ、かつ十分な強度の信頼性の高い蛍光X線情報が得られた。
以上詳しく説明したとおり、この発明によって、一つの基板に形成された複数の試料からの蛍光X線を並行して観測し、高精度かつ短時間に合成条件の異なる試料について、組成や元素の化学状態、構造を同時に分析することのできる、新しい蛍光X線分析方法とそのための装置が提供される。
この蛍光X線分析方法や装置を用いることにより、コンビナトリアル材料合成法における材料評価が高速に進むようになり、その結果、合成と評価がともに効率的になって多数の系や物質をスクリーニングできるようになる。したがって、コンビナトリアル材料合成法のいっそうの発展を図ることができる。
この出願の発明の蛍光X線分析方法における照射X線の入射角(θ)の下限値を説明する概略模式図である。 この出願の発明の蛍光X線分析方法における照射X線の入射角(θ)の上限値を説明する概略模式図である。 この出願の発明の蛍光X線分析方法において、試料の高さが一定でない場合の照射X線の入射角(θ)を説明する概略模式図である。 この出願の発明の蛍光X線分析装置の一例を示した要部構成図である。 この出願の発明の蛍光X線分析方法における、試料の設置方法の一例を示した概略模式図である。 この出願の発明の蛍光X線分析方法における、試料の設置方法と照射X線の入射方向(ψ)の一例を示した概略模式図である。 この発明の実施例1において、作製されたコンビナトリアル試料を示した写真に代わる図である。 この発明の実施例1において、6.57keVの単色X線を入射して得られた蛍光X線像を示した図である。 この発明の実施例2において、コンビナトリアル試料の各試料ユニットからの蛍光X線積分強度をマンガンK吸収端付近で測定したXANESスペクトルである。 この発明の実施例3において、角度発散制限手段に用いたコリメータ板を示した図である。 この発明の実施例3における入射X線、試料を有する基板、角度発散制限手段、蛍光X線および検出部を示した概略模式図である。
符号の説明
1 X線
11 入射X線ベクトル
2 基板
3 試料
30 試料領域
31 試料(上流側)
311 最低部
32 試料(中央付近)
33 試料(下流側)
331 最頂部
332 下流側端部
34 各試料領域
41 表面
42 低部
5 X線源
51 二結晶モノクロメータ
52 入射スリット
6 試料台
7 検出手段、CCDカメラ
71 検出部、電荷結合素子
8 角度発散制限手段、コリメータ板
81、82 コリメータ板

Claims (12)

  1. 一つの基板上に形成された複数の試料について同時に蛍光X線分析を行う方法であって、複数の試料が形成された基板表面に対し、次式(I)

    (ただし、hは試料の基板からの高さを表し、lは入射X線ベクトルを基板面上に投影したベクトルに沿って測った試料間の距離を表す)を満たす値以上で、次式(II)

    (ただし、Hは入射X線のビーム幅を示し、Lは最もX線源に近い側にある試料のX線源に近い側の基板側端部から最もX線源から離れた側にある試料のX線源から離れた側の基板側端部までの距離を表し、hは試料の基板からの高さを表す)を満たす値以下の入射角θでX線を照射し、各試料領域から発生した蛍光X線を、少なくとも各試料領域に照準を合わせた個別の検出部が集合して構成される検出手段により同時に検出することを特徴とする蛍光X線分析方法。
  2. X線の入射角θは、基板に対して0.1〜5°とする請求項1の蛍光X線分析方法。
  3. X線は、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板上に形成された複数の試料を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のものとする請求項1または2のいずれかの蛍光X線分析方法。
  4. 一つの基板上に形成された複数の試料は、コンビナトリアル材料合成法により形成されたコンビナトリアル試料とする請求項1ないし3のいずれかの蛍光X線分析方法。
  5. 検出手段は、少なくとも、基板に近接して配置された検出部と、基板と該検出部との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための角度発散制限手段とから構成される請求項1ないし4のいずれかの蛍光X線分析方法。
  6. 角度発散制限手段は、少なくとも、1つ1つが各試料領域に一対一で照準を合わせている個別のコリメータの集合体により構成される請求項5の蛍光X線分析方法。
  7. 検出部は、一次元または二次元検出器である請求項5または6の蛍光X線分析方法。
  8. 少なくとも、X線源と、複数の試料が形成された基板を固定でき、かつX線源からのX線を基板表面に照射する際の入射角と入射方向を調節できる試料台と、各試料領域から発生した蛍光X線を検出できる、少なくとも各試料領域に照準を合わせた個別の検出部が集合して構成される検出手段を有し、
    前記X線源から、一つの基板上に形成された複数の試料について、前記基板表面に対し、次式(I)

    (ただし、hは試料の基板からの高さを表し、lは入射X線ベクトルを基板面上に投影したベクトルに沿って測った試料間の距離を表す)を満たす値以上で、次式(II)

    (ただし、Hは入射X線のビーム幅を示し、Lは最もX線源に近い側にある試料のX線源に近い側の基板側端部から最もX線源から離れた側にある試料のX線源から離れた側の基板側端部までの距離を表し、hは試料の基板からの高さを表す)を満たす値以下の入射角θでX線を照射し、各試料領域から発生した蛍光X線を、前記検出手段が同時に検出することを特徴とする蛍光X線分析装置。
  9. X線源は、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板上に形成された複数の試料を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のX線を照射でき、エネルギー領域を変動させることができるものとする請求項8の蛍光X線分析装置。
  10. 検出手段は、少なくとも、基板に近接して配置された検出部と、基板と該検出部との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための角度発散制限手段とから構成される請求項8または9の蛍光X線分析装置。
  11. 角度発散制限手段は、少なくとも、1つ1つが各試料領域に一対一で照準を合わせている個別のコリメータの集合体により構成される請求項10の蛍光X線分析装置。
  12. 検出部は、一次元または二次元検出器である請求項10または11の蛍光X線分析装置。
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