JP4660748B2 - 蛍光x線分析方法および蛍光x線分析装置 - Google Patents
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掛かることにより測定条件や環境が変化し、分析条件が変動する恐れがあるという問題もあった。
を満たす値以上で、次式(II)
33)の表面(41)だけでなく、低部(42)も照射することが可能となるのである。
からの高さを表し、lは入射X線(1)ベクトルの基板上投影ベクトルの方向の試料(31,
32, 33)間の距離を表す。θが上記の式を満たす値より小さい場合には、入射X線(1)に対して下流側の試料(例えば33)がその上流側の試料(例えば32)の陰になり、十分にX線(1)が照射されない。例えば、試料(例えば33)の低部(42)についての蛍光X線
分析が不可能となる。
高さが異なっていたり、各試料の表面に凹凸があって、高さ(厚さ)が一定でないようなものであってもよい。試料(31, 32, 33)の高さ(h)が各々の試料(31, 32, 33)や試料(31, 32, 33)の部位によって大きく異なる場合には、各々の試料(31または32または33)または部位について、h、各試料や各部分と下流試料の上流端との基板上での距離l、H、H2(図3において、各試料や各部分から最も下流側にある試料(33)の下流側端部(332)までの距離をmとするとH2=(h−m・tanθ)・cosθ)を求め、得られた
θの下限値から上限値の間で入射角(θ)を決定すればよい。
れないが、試料(31, 32, 33)の調製方法等に応じて耐熱性の高いものや試料(31, 32, 33)との整合性のよいものを選択することが望ましい。具体的には、アルミナ、合成石英ガラス、サファイア基板、シリコンウェハ等が例示される。例えば、MBE法などによるエピタキシャル成長によって半導体デバイス、人工格子等を作製する場合には、結晶方位が揃って成長するように、同種材料のものや、結晶格子の類似したものを選択すればよい。
低部(42)をも照射するようにするためには、入射X線のベクトル方向に対して、各試料領域(34)(図6参照)が互いの陰にならないように基板(2)を設置することが望まし
い。つまり、図4はこの出願の発明の蛍光X線分析装置の一例を示した概略模式図であるが、図4における複数の試料(例えば31, 32, 33)が形成された基板(2)を、図5に示
されるように、入射X線(1)のベクトル方向に対して下流側にある試料(32, 33)が、
上流側にある試料(31)の陰とならないように配置することにより、すべての試料(3)
の全部位に対してX線(1)を確実に照射し、蛍光X線を発生させることが可能になるの
である。
料領域(30)に対して前記の式(III)および次式(IV)
例えば31, 32, 33)、例えば前記のコンビナトリアル試料について、その構成元素からの蛍光X線を観測することにより定性分析を行うことができ、かつ発せられる蛍光X線の強度を測定することにより定量分析を行い、構成元素の含有量や含有比を求めることもできる。すなわち、一つの基板(2)上に形成された複数の試料(3)に対し、同時に組成分析をすることができるのである。このとき、任意の元素からの蛍光X線を観測する場合には、照射するX線(1)は、その元素の吸収端(吸収スペクトルにおいて、内殻電子が光電
子として飛び出していくのに必要なエネルギーの下限)より高いエネルギーを有するものでなければならない。また、試料中に複数の元素が含まれる場合には、吸収端の高エネルギー側と低エネルギー側のX線を照射して発生する蛍光X線を観測し、演算を行うことによって目的の元素についての定性分析、定量分析が可能となる。
量分析、組成分析を同時に行うことが可能となる。
の試料(3)、例えばコンビナトリアル材料について、それを構成する元素の吸収端を含
むエネルギー領域で照射されたX線のエネルギーに対する蛍光X線強度を測定し、X線吸収微細構造スペクトルを同時に得ることもできる。X線吸収微細構造(XAFS)は、X線吸収スペクトルにおいて、各元素に特有の吸収端付近から高エネルギー側にわたって現れる微細構造であり、このうち原子の吸収端のごく近傍の微細構造、すなわちX線吸収端近傍微細構造(XANES)に着目すると、当該原子の電子状態や価数、電子配置と結合の対称性の情報などを得ることができる。
クトルが得られ、各試料毎の構成元素の電子状態、価数、構成元素周りの局所構造等を同
時に分析することが可能となる。
試料領域(例えば31, 32, 33)に照準を合わせた個別の検出部(71)が集合して構成されるものであるが、検出手段(7)は、さらに、基板(2)に近接して配置された検出部(71)と、基板(2)と該検出部(71)との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための
角度発散制限手段(8)とから構成されるものとすることが好ましい。
することによって、試料(3)上の任意の位置から全方向に発散する蛍光X線の発生位置
を特定し、その位置からの角度発散を抑制することにより、蛍光X線の広がりを抑えることができるとともに、十分な強度を確保することができる。よって一つの基板(2)上に
形成された複数の試料(3)について、各々分析をすることができるようになる。より近
接した配置をとることにより、蛍光X線検出効率および位置分解能がともに向上する。
ができる。このような配置をとる場合、試料を照射するX線(1)は、その隙間を通すよ
うに前記の式(I)および(II)の条件を満たす浅い入射角(θ)で照射しなければならなくなるが、前記のとおり、X線(1)を浅い角度で基板試料に入射させると、X線(1)の光軸方向については基板(2)上で広がり、ビーム断面の幅が狭いX線を用いても、基
板上の広い面積を一度に照射、励起することができる。例えば、100μmの幅の入射X線が基板に対し10mrad(約0.57°)の入射角で入射したときには、基板(2)
上では10mm幅に広がる。したがって、約10mmのコンビナトリアル試料全面を照射することができる。
(3)に照準を合わせた個別の検出部(71)が集合して構成されたものであるが、このと
き検出部は一次元または二次元検出器であってよい。
きる。したがって、試料(3)と角度発散制限手段(8)の隙間にX線(1)を通しつつも
、無駄な間隔を開けることなく接近させることができる。各試料領域に照準を合わせた個別の検出部(71)が集合して構成された二次元検出器としては電荷結合素子(CCDカメラ)が例示され、この場合の検出部(71)は複数の画素ということになる。それら個別の検出部(71)が集合していることにより、各々の検出部(71)が、それぞれが異なる試料領域(3)からの蛍光X線を観測し、基板(2)上の複数の試料(3)について同時に分析
することが可能となる。
を用いる場合、コンビナトリアル試料の基板(2)サイズは合成作業時の扱いやすさから
、数〜十数mm角程度であることから、CCDカメラは観察領域サイズとして好ましい。
る。検出部(71)が集合して構成される二次元検出器等のものに組み合わせる場合には、微細管集合体を採用できる。この微細管集合体は、例えばX線を遮断できるような素材(ガラス板等)に精密に規則正しく穴あけ加工が施されてなるもの、あるいは微細なパイプが規則正しく配列され一体化されてなるガラス等の板とすることができる。このような微細管集合体は、一般に「コリメータ板」や「キャピラリプレート」として知られているが、蛍光X線の角度発散を制限するという機能を有しているものであれば、様々な公知の手段またはその機能を有するように新たに作製された手段を角度発散制限手段(8)として
用いることができる。
)の試料分布に対応する角度発散制限レベルや分解能、素子サイズ、配列を特別に有するものであってもよい。
角度発散制限手段(8)が、例えば内径6μmで長さ1mmの微細管である場合、蛍光X
線の角度発散は6/1000rad(ラジアン)という制限になる。また、試料(3)表
面(41)と検出素子間の距離が仮に3mmであるとすると、像の分解能は、角度発散と(試料表面−検出素子間距離)の積になるので、18μmとなる。しかし、例えば1mmサイズの試料領域(例えば31)において合成条件が均一であり、その条件の異なる試料(例えば31, 32, 33)が1mm間隔で配列してなるコンビナトリアル試料であれば、十数μmという分解能はオーバースペックで、実際には、少なくとも各試料ユニットを区別し、各々からの信号を個別の信号として観測できるような構造であれば十分である。すなわち、例えば角度発散制限手段(8)が微細管集合体である場合、一つの試料(例えば31)から
発生した蛍光X線を、一つまたは少数の特定の微細管で受け止めれば十分で無駄がなく、外部に発散しないよう抑制し、かつ別の試料(例えば32)からの蛍光X線も混入しないよう抑制するような角度発散制限手段(8)を設ければよいのである。
μm、長さ1mmの微細管を選択すると、試料表面−検出素子間距離が3mmのときに分解能は約0.9mmになる。特にコンビナトリアル試料が相互に独立・分離した試料ユニットから構成されているときは、互いの間の距離より小さい分解能があれば、分離した信号観察が可能となることから、その範囲の分解能で十分である。
1つ、微細管や管状のコリメータを配置・配列させて、各々の試料(例えば31, 32, 33)のみを見込むように設置することもできる。
除される蛍光X線成分が増えることを意味するため、必要以上の角度発散制限は、単なる蛍光X線信号のロスにつながる。したがって、可能な限り基板(2)上の試料(3)の分布に合わせた分解能を選択することにより、検出器に届く有効な蛍光X線も増え、蛍光X線観測効率の面からも好ましい。
度は格段に向上し、蛍光X線画像を撮像するのに要する時間が大幅に短縮される。そして、コンビナトリアル試料のような微小量の試料からも精度良く観測可能な蛍光X線を検出部(71)へ到達させることができ、十分な強度の信頼性が高い蛍光X線情報を得ることができるようになる。
)に形成された複数の試料(3)の蛍光X線分析を同時に行うための蛍光X線分析装置を
も提供する。このような装置は、具体的には、少なくとも(a)X線源(5)と、(b)
複数の試料(3)が形成された一つの基板(2)を固定でき、かつX線源(5)からのX線
(1)を基板(2)表面に照射する際の入射角(θ)と入射方向(ψ)を調節できる試料台(6)と、(c)各試料(3)から発生した蛍光X線を検出でき、各試料(3)に照準を合
わせた個別の検出部(71)が集合して構成される検出手段(7)、を有するものである。
また、X線源(5)を、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板(2)上に形成された複数の試料(3)を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のX線(1)を照射でき、エネルギー領域を変動させることができるものとすることにより、前記のとおりに、試料(3)中に含まれる目的元素についての定性分析、定量分析および試料の組成分析を
同時に行うことが可能となり、さらには、蛍光XAFSによる各試料毎の構成元素の電子状態、価数、構成元素周りの局所構造等を同時に分析することも可能となる。
線の角度発散を制限するための角度発散制限手段(8)とから構成される前記のものが好
ましく、検出部(71)は、一次元または二次元検出器であってもよい。
料領域(30)における測定条件が平等となる利点もある。
図4は、この出願の発明の蛍光X線分析装置の一例を示した概略模式図である。
板(2)上に作製したコンビナトリアル試料(3)に対し、約3.5°の入射角(θ)で照射した。
置した。コンビナトリアル試料(3)またはCCDカメラ(7)の高さを調節することにより、入射X線(1)が試料(3)を照射できる程度の隙間はあけつつ、CCDカメラ(7)
の受光窓をコンビナトリアル試料(3)に極力近接させることができた。なお、CCDカ
メラ(7)の構成要素でありX線検出部の役割をする電荷結合素子(71)のサイズは8m
m角で、画素数は1000×1000とした。
機構放射光実験施設BL−16A1の放射光を用いて分析を行った。入射X線のエネルギーを6.57keVとし、CCDカメラ(7)により1秒の露光時間で撮像した。
実施例1のコンビナトリアル試料について、図1の蛍光X線分析装置を用いて、蛍光X線強度の入射X線エネルギー依存性を調べた。
<実施例3>
図10、図11に示すように、コンビナトリアル試料基板(2)と近接するように、内
径2mmの穴を開けた厚さ1mmのコリメータ板A(81)と、それに近接するように、内径1.5mmの穴を開けた厚さ1mmのコリメータ板B(82)を設け、各試料(3)から
の蛍光X線を2枚のコリメータ板A(81)、B(82)の一対の穴で受けて検出部(71)に到達せしめるようにした(2枚のコリメータ板を近接して並べることで、各々の試料に対向するコリメータが単純な環状構造になっている1枚の厚いコリメータ板を置いたときと
同様の角度発散制限効果が現れている)。
記コリメータ板A(81)、B(82)を介して1000×1000画素の電荷結合素子(71)を有するCCDカメラ(7)によって蛍光X線を観測した。1つの試料(3)からの蛍光X線信号に相当するものとして、コリメータ板A(81)、B(82)の穴の形状を反映した円形状の蛍光X線スポットがCCD上のイメージとして観測され、円形内の3000個の
ピクセルについてX線強度を調べた。
れ、かつ十分な強度の信頼性の高い蛍光X線情報が得られた。
11 入射X線ベクトル
2 基板
3 試料
30 試料領域
31 試料(上流側)
311 最低部
32 試料(中央付近)
33 試料(下流側)
331 最頂部
332 下流側端部
34 各試料領域
41 表面
42 低部
5 X線源
51 二結晶モノクロメータ
52 入射スリット
6 試料台
7 検出手段、CCDカメラ
71 検出部、電荷結合素子
8 角度発散制限手段、コリメータ板
81、82 コリメータ板
Claims (12)
- 一つの基板上に形成された複数の試料について同時に蛍光X線分析を行う方法であって、複数の試料が形成された基板表面に対し、次式(I)
(ただし、hは試料の基板からの高さを表し、lは入射X線ベクトルを基板面上に投影したベクトルに沿って測った試料間の距離を表す)を満たす値以上で、次式(II)
(ただし、Hは入射X線のビーム幅を示し、Lは最もX線源に近い側にある試料のX線源に近い側の基板側端部から最もX線源から離れた側にある試料のX線源から離れた側の基板側端部までの距離を表し、hは試料の基板からの高さを表す)を満たす値以下の入射角θでX線を照射し、各試料領域から発生した蛍光X線を、少なくとも各試料領域に照準を合わせた個別の検出部が集合して構成される検出手段により同時に検出することを特徴とする蛍光X線分析方法。 - X線の入射角θは、基板に対して0.1〜5°とする請求項1の蛍光X線分析方法。
- X線は、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板上に形成された複数の試料を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のものとする請求項1または2のいずれかの蛍光X線分析方法。
- 一つの基板上に形成された複数の試料は、コンビナトリアル材料合成法により形成されたコンビナトリアル試料とする請求項1ないし3のいずれかの蛍光X線分析方法。
- 検出手段は、少なくとも、基板に近接して配置された検出部と、基板と該検出部との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための角度発散制限手段とから構成される請求項1ないし4のいずれかの蛍光X線分析方法。
- 角度発散制限手段は、少なくとも、1つ1つが各試料領域に一対一で照準を合わせている個別のコリメータの集合体により構成される請求項5の蛍光X線分析方法。
- 検出部は、一次元または二次元検出器である請求項5または6の蛍光X線分析方法。
- 少なくとも、X線源と、複数の試料が形成された基板を固定でき、かつX線源からのX線を基板表面に照射する際の入射角と入射方向を調節できる試料台と、各試料領域から発生した蛍光X線を検出できる、少なくとも各試料領域に照準を合わせた個別の検出部が集合して構成される検出手段を有し、
前記X線源から、一つの基板上に形成された複数の試料について、前記基板表面に対し、次式(I)
(ただし、hは試料の基板からの高さを表し、lは入射X線ベクトルを基板面上に投影したベクトルに沿って測った試料間の距離を表す)を満たす値以上で、次式(II)
(ただし、Hは入射X線のビーム幅を示し、Lは最もX線源に近い側にある試料のX線源に近い側の基板側端部から最もX線源から離れた側にある試料のX線源から離れた側の基板側端部までの距離を表し、hは試料の基板からの高さを表す)を満たす値以下の入射角θでX線を照射し、各試料領域から発生した蛍光X線を、前記検出手段が同時に検出することを特徴とする蛍光X線分析装置。 - X線源は、単色または狭いエネルギー幅を有し、一つの基板上に形成された複数の試料を構成する元素の吸収端を含むエネルギー領域のX線を照射でき、エネルギー領域を変動させることができるものとする請求項8の蛍光X線分析装置。
- 検出手段は、少なくとも、基板に近接して配置された検出部と、基板と該検出部との間にあり、蛍光X線の角度発散を制限するための角度発散制限手段とから構成される請求項8または9の蛍光X線分析装置。
- 角度発散制限手段は、少なくとも、1つ1つが各試料領域に一対一で照準を合わせている個別のコリメータの集合体により構成される請求項10の蛍光X線分析装置。
- 検出部は、一次元または二次元検出器である請求項10または11の蛍光X線分析装置。
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