JP2004239802A - X線分析装置及びx線分析方法 - Google Patents

X線分析装置及びx線分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2次元X線検出手段を用いて集中法の測定を行うことができるX線分析装置を提供する。
【解決手段】X線源6、試料S0を支持する試料台8及び2次元X線検出器2を集中法光学系の条件を満足するように配設して成る集中法光学系4と、試料S0を中心軸θを中心に回転させて試料S0に対するX線の入射角度θを変化させる装置9と、回転中心軸θに平行に2次元X線検出器2を移動させる装置12と、試料S0から見て2次元X線検出器2の前方位置に配設されると共に回転中心軸θと直交し入射X線の中心光軸を含む平面と交わる線上にスリット13を備えたマスク3とを有するX線分析装置1である。マスク3を外し、さらに集中法光学系4を平行ビーム光学系に代えれば、平行ビーム法の測定を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線を用いて試料を分析するX線分析装置及びX線分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、微小試料又は試料の微小部分に平行X線ビームを照射すると共に、この微小試料等で回折したX線を2次元X線検出器によって検出するようにしたX線分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このX線分析装置によれば、2次元X線検出器によってデバイ環を直接に観測することにより、試料の粒径や配向等を評価したり、単結晶や配向が強い多結晶や非晶質を簡単に識別したりすることができ、その他、SC(Scintillation Counter)等といった0次元X線検出器や、PSPC(Position Sensitive Proportional Counter)等といった1次元X線検出器等といったカウンタを用いた測定では行うことのできない種々の測定を行うことができる。
【0003】
上記のような平行X線ビームを用いた測定の他に、集中法光学系を用いたX線測定も従来から広く知られている。この集中法は、例えば、試料に発散ビームを当てるための発散スリットと、試料で回折したX線が集中する焦点円(集中円と呼ばれることもある)上の点状領域に配置された受光スリットと、この受光スリットの後方位置に配置された0次元X線検出器とから成る光学系によって達成できる(例えば、特許文献2参照)。また、この集中法では、回折角度2θを測角するため、試料は自らを通る軸線、いわゆるθ軸線を中心として回転、いわゆるθ回転する。
【0004】
集中法に基づくX線分析装置は、上記の平行ビーム法に比べて、分解能が良く、且つ回折X線の強度が強い等といった長所を有する。このため、この集中法は、比較的大きな試料、例えば面積20mm×10mm程度の粉末試料を測定対象とする測定を行うために広く用いられている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−146871号公報
【特許文献2】
特開平9−229879号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、2次元X線検出器及び平行X線ビームを用いたX線測定と、集中法光学系を用いたX線測定とは、それぞれに長所を有し、従来は、必要に応じてそれらの装置を使い分けて使用していた。しかしながら、このような測定形態を採用する場合は、2個分の装置を用意しなければならないので経費が高くなるという問題があった。また、作業が非常に不便であるという問題もあった。
【0007】
この問題に接し、発明者は、2次元X線検出器に対して集中法光学系を用いることができるようになれば、平行ビーム法に基づくX線測定と集中法に基づくX線測定とを容易に選択的に行うことができることに想到した。しかしながら、これを実現することは以下の理由により、非常に難しかった。
【0008】
すなわち、単に2次元X線検出器の前に集中法光学系を配設して、さらに、試料をθ回転させて集中法の測定を行うだけでは、2次元X線検出器は目標とする回折強度データのみならず、その他の不要なX線も拾ってしまい、それ故、実用できるS/N比の良いデータを得ることは到底できなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、2次元X線検出器を用いて集中法に基づいた測定を行うことができるようにすること、ひいては、2次元X線検出器を共通のX線検出器として平行ビーム法と集中法との両方に基づいた測定を行うことができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係るX線分析装置は、X線を発生するX線源、試料を支持する試料支持手段及び試料からのX線を検出する2次元X線検出手段を集中法光学系の条件を満足するように配設して成る集中法光学系と、前記試料又は前記X線源を該試料の表面を通る回転の中心軸を中心に回転させてX線の該試料に対する入射角度を変化させる手段と、前記回転の中心軸に平行に前記2次元X線検出手段を移動させる手段と、前記試料から見て前記2次元X線検出手段の前方位置に配設されると共に前記回転の中心軸と直交し入射X線の中心光軸を含む平面と交わる線上にスリットを備えたマスクとを有することを特徴とする。
【0011】
この構成において、「集中法光学系の条件」とは、焦点円上に在る光源から焦点円上の他の点に在る試料へ発散X線ビームを照射でき、該試料で回折されて焦点円上のさらに他の点に集中するX線を検出できるようにX線検出器を配設することである。
【0012】
このX線分析装置によれば、スリットを備えたマスクを2次元X線検出手段のX線受光面の前に配設したので、2次元X線検出手段を用いて集中法のX線測定を行うことができる。また、このマスクを2次元X線検出手段の前から取り除き、さらに集中法光学系を平行ビーム法光学系に交換すれば、平行ビーム法のX線測定を行うことができる。つまり、2次元X線検出手段を共通のX線検出手段として、集中法及び平行ビーム法を必要に応じて簡単に選択して実施できる。
【0013】
なお、2次元X線検出手段としては、X線検出面に蓄積性蛍光体を一様な厚さで形成して成る検出器プレートや、X線検出面にCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)を平面的にマトリクス状に配列して成るCCDX線検出器等を用いることができる。
【0014】
ここで、蓄積性蛍光体とは、X線が当った所にエネルギを蓄積でき、さらにその所に輝尽励起光、例えばレーザ光が当ったときには、蓄積されたエネルギが光として外部へ放出される性質を有する物質である。
【0015】
上記構成のX線分析装置は、前記試料に入射するX線を発散ビームと平行ビームとの間で切換えることのできるX線ビーム切換え手段を有することが望ましい。このようなX線ビーム切換え手段は、例えば、発散スリットとコリメータを差し替えて取り付けることのできる台によって構成できる。この台をX線光学系の所定位置に配設しておき、必要に応じて、発散スリットとコリメータとを入れ替えることにより、使用するX線ビームの種類を変えることができる。
【0016】
上記構成のX線分析装置は、前記マスクが前記試料から見て前記2次元X線検出手段の前方に配置される第1位置と、前記2次元X線検出手段の前方に配置されない第2位置との間で前記マスクが移動できるように該マスクを支持するマスク支持手段を有することが望ましい。
【0017】
こうすれば、マスクを用いる集中法と、マスクを用いない平行ビーム法とを簡単に選択できる。ここで、マスク支持手段としは、例えば、マスクを着脱可能に支持できる枠部材や、マスクを支持した状態で平行移動や旋回移動できるアーム部材等を用いることができる。
【0018】
上記構成のX線分析装置において、前記試料に対する前記X線の入射角度の変化と、前記2次元X線検出手段の平行移動とは、互いに同期することが望ましい。ここで「同期」というのは、試料に対するX線入射角度が変化するときに、その角度変化に応じて、2次元X線検出手段が移動するということである。
【0019】
上記構成のX線分析装置において、前記2次元X線検出手段のX線受光面は、試料へ入射するX線の入射角度を変化させるための試料又はX線源の回転の中心軸を中心とする円筒形状であることが望ましい。こうすれば、2次元X線検出手段の受光面の検出位置と回折角度2θとの対応関係が単純になるので、2次元X線検出手段に蓄積されたエネルギ潜像を読み取る際の読取り処理を簡単にすることができる。
【0020】
次に、本発明に係るX線分析方法は、2次元X線検出手段を用いたX線分析方法であって、(a)X線源から出たX線を発散ビーム又は平行ビームのいずれかの形で試料へ入射し、(b)前記発散ビームを用いる場合は、次の工程、すなわち、▲1▼前記試料又は前記X線源を該試料の表面を通る回転の中心軸を中心に回転させて、前記試料へ入射するX線の入射角度を変化させ、▲2▼前記回転の中心軸と直交し入射X線の中心光軸を含む平面と交わる線上にスリットが位置するように前記2次元X線検出器の前にマスクを配設し、さらに▲3▼前記試料に対するX線の入射角度の変化に同期して前記2次元X線検出手段を前記回転の中心軸に平行に移動させる工程を有することを特徴とする。
【0021】
このX線分析方法によれば、スリットを備えたマスクを2次元X線検出手段のX線受光面の前に配設したので、2次元X線検出手段を用いて集中法のX線測定を行うことができる。また、このマスクを2次元X線検出手段の前から取り除き、さらに集中法光学系を平行ビーム法光学系に交換すれば、平行ビーム法のX線測定を行うことができる。つまり、2次元X線検出手段を共通のX線検出手段として、集中法及び平行ビーム法を必要に応じて簡単に選択して実施できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るX線分析装置及びX線分析方法を一実施形態を挙げて説明する。図1は、本発明に係るX線分析装置の一実施形態を示している。このX線分析装置1は、2次元X線検出手段としての検出器プレート2と、その検出器プレート2のX線受光面の前に配設されたマスク3と、そのマスク3の前に配設された集中法光学系4と、検出器プレート2を矢印Aのように図の上下方向へ平行移動させる検出器移動装置12とを有する。
【0023】
マスク3はスリット13を有し、X線はこのスリット13を通過するが、それ以外の部分ではマスク3によってその通過が阻止される。このマスク3は、マスク支持手段としての支持枠22に取り外し可能に支持されている。このマスク3を支持枠22から取り外せば、検出器プレート2のX線受光面の全体を開放できる。なお、検出器プレート2のX線受光面の全面には蓄積性蛍光体が一様な厚さで層として形成されている。
【0024】
集中法光学系4は、X線を発生するX線源6と、粉末試料S0が詰め込まれた試料ホルダ7と、試料ホルダ7が取り付けられた試料台8と、試料台8をθ軸線を中心として回転させるθ回転駆動装置9と、X線源6から発散するX線を試料S0へ導く発散スリット11とを有する。発散スリット11はX線ビーム切換え手段としての台21によって支持されている。発散スリット11は台21から取外すことができ、その後に、図2に示すように他の光学要素、例えばコリメータ16を装着することができる。
【0025】
試料S0へ入射するX線の入射角度θを変化させる場合には、θ回転駆動装置9によって試料S0をθ軸線を中心として適宜の角度だけ回転させる。このとき、X線源6から試料S0へ入射する発散X線ビームの中心を通りθ軸線に直交する平面を以下X線入射面と呼ぶことにする。
【0026】
マスク3は検出器プレート2の受光面に平行に配置され、スリット13はX線源6の高さとほぼ同じ幅(すなわち、同じ高さ)で検出器プレート2の受光面と同心の帯状に設けられている。スリット13は、マスク3が上記のX線入射面と直交する線上に設けられている。
【0027】
θ軸線は、検出器プレート2に対して略平行に延びる軸線であり、検出器プレート2の平行移動方向Aは、θ軸線と平行である。また、検出器プレート2のX線受光面はθ軸線を中心として円筒形状に湾曲している。
【0028】
X線源6は、例えば、通電によって発熱して熱電子を放出するフィラメント(図示せず)と、そのフィラメントに対向して配設されたターゲット(図示せず)によって構成される。フィラメントから放出された熱電子が衝突するターゲット表面上の領域がX線焦点であり、このX線焦点からターゲットを構成する材料に対応した波長のX線が発生する。
【0029】
X線焦点は、一般にターゲット上で長方形状に形成され、この長方形状の長手方向からX線を取り出せば長さの長い断面形状のX線ビーム、いわゆるラインフォーカスのX線ビームを取り出すことができる。一方、長方形状のX線焦点の短辺方向からX線と取り出せば、正方形又は円形に近い断面形状のX線ビーム、いわゆるポイントフォーカスのX線ビームを取り出すことができる。ポイントフォーカスとラインフォーカスは、X線源6を含むX線発生装置の向きを変えることによって切換えることができる。図1では、X線源6からラインフォーカスのX線を取り出すようにしている。
【0030】
粉末試料S0の面積は、例えば、縦×横=10mm×20mm程度の大きさに形成されている。また、θ回転駆動装置9は、例えば、回転角度を高精度に制御可能なモータと、そのモータの回転動力を試料台8に伝達する動力伝達手段とを有する駆動構造によって構成できる。なお、前記モータは、例えば、パルスモータ、サーボモータ等によって形成できる。また、前記動力伝達手段は、例えばウオームギヤとウオームホイールとの組み合わせによって構成できる。
【0031】
集中法光学系4を用いたこのX線分析装置1は、例えば次のように動作する。すなわち、θ回転駆動装置9によって試料S0をθ軸線を中心として回転、いわゆるθ回転させ、さらに、検出器移動装置12によって検出器プレート2を矢印A方向へθ回転に同期させて平行移動させながら、X線源6から発散して発散スリット11によって制限されたX線を試料S0に照射する。
【0032】
試料S0にX線が入射するとき、このX線と試料S0内の結晶格子面との間でブラッグの回折条件が満足されると、試料S0でX線が回折される。試料S0へ入射するX線の入射角度がθのときに、その試料S0でX線が回折される場合には、この回折X線は回折角度2θの焦点円上の領域に集中する。
【0033】
マスク3に形成されたスリット13はθ軸線に対して直角方向に延びており、試料S0でX線が回折される場合には、その回折X線がスリット13を通過して検出器プレート2のX線受光面を露光し、その部分の蓄積性蛍光体内にエネルギ潜像が形成される。この場合、回折X線以外の不要な散乱線等はマスク3によって制限されて検出器プレート2には達しない。検出器プレート2はθ回転に同期して矢印A方向へ平行移動するので、検出器プレート2上における回折X線による有効な露光領域は、図1において斜線で示す領域Qのようになる。
【0034】
ここで、領域Qは回折角度2θの1点だけでなく、2θの方向、すなわちθ軸線に直角な方向、すなわちスリット13の延びる方向の範囲内で所定の幅を持っている。今、この幅を2θ±αとすれば、検出器プレート2は回折角度2θの近傍において集中条件を満足した回折X線のデータをこの2θ±αの範囲内で拾うことができ、その結果、回折X線を十分な強度で捉えることができる。このため、S/N比が改善され且つ高速の測定を行うことができる。このαは広い方が効率が良いが、広すぎるとデータの分解能を下げることになる。
【0035】
この場合、θ回転は連続的に、例えば、1/1000度〜1/100度程度のステップ間隔で連続的に回転し、検出器プレート2はそれに同期して、矢印A方向へ平行移動する。この場合の検出器プレート2の移動速度は、記録される軌跡Qの角度βを決める。角度βが大きいほどデータの分離が良くなり、S/N比を上げられるので、角度βは可能な範囲で大きくとることが望ましい。
【0036】
目的とする回折角度の測定領域2θ0〜2θ1の間で測定が終了すると、検出器プレート2は、図示しない読取り装置の所定位置に装着され、読取り処理を受ける。この場合、読取り装置によって読み取られた情報に関しては、露光領域Q内における矢印Aで示す縦方向が同一の回折線情報となり、この縦方向のデータを積分することにより、1つの回折角度の回折線強度情報が得られる。
【0037】
以上により、比較的面積の大きい粉末試料S0に対する、集中法光学系を用いたX線測定を行うことができる。従来、2次元X線検出手段である検出器プレート2を用いて集中法光学系の測定を行うことは非常に難しかったが、本実施形態のように、スリット13を備えたマスク13を検出器プレート2の前に配設すると共に、検出器プレート2を矢印A方向へ平行移動させ、さらに、所定領域Qの領域内のデータを矢印Aで示す縦方向に積分することにより、2次元X線検出手段を用いて集中法の測定を行うことが可能となった。
【0038】
なお、この場合、2次元X線検出手段は回折角度2θの近傍領域±αの範囲内の回折X線情報をも拾うことができるので、十分な強度の回折X線情報を捉えることができ、従って、高速の測定が可能となる。
【0039】
次に、本実施形態では上記の集中法の測定に代えて、平行ビーム法を用いたX線測定を行うことができる。その場合には、例えば、X線分析装置1を図2に示すような光学系配置とする。なお、この平行ビーム法を用いたX線測定は、例えば微小試料S1又は試料の微小部の測定に用いられる。
【0040】
図1に示したX線分析装置1を図2に示す構成とする際には、例えば、次のように処理される。すなわち、まず、マスク3を支持枠22(図1参照)から取り外して検出器プレート2のX線受光面の全面を開放する。また、台21から発散スリット11を取り外し、それに代えてコリメータ16を台21に取り付ける。また、試料台8から試料ホルダ7(図1参照)を取り外し、それに代えて微小試料S1を取り付ける。検出器プレート2には、検出器移動装置12が接続されるが、平行ビーム法の測定の場合にはこの検出器移動装置12は作動させない。すなわち、検出器プレート2は一定位置に静止保持される。
【0041】
平行ビーム光学系14は、図1の集中法光学系4の場合と同じ位置に在る試料台8と、X線源6と、平行ビーム形成手段としてのコリメータ16と、試料台8をθ軸線を中心として回転させるθ回転駆動装置9とによって構成される。
【0042】
X線源6は、図1の集中法光学系4で用いたX線源6と同じX線源を用いることができる。但し、図2に示す場合は、X線焦点からのX線の取り出し方を変更することにより、ポイントフォーカスのX線を取り出すようにしている。X線源6から発散するX線は、コリメータ16によって微小断面の平行X線ビームに成形されて微小試料S1へ照射される。
【0043】
平行ビーム光学系14を用いたこのX線分析装置1は、例えば次のように動作する。すなわち、検出器プレート2を一定位置に静止保持した状態で、θ軸線を中心として試料S1を連続回転させて測定を行う。
【0044】
そして、X線源6からX線を発生し、そのX線をコリメータで平行ビームに成形して微小試料S1へ照射する。このとき、試料S1に入射するX線と結晶格子面との間でブラッグの回折条件が満足されると、試料S1でX線が回折され、この回折X線が検出器プレート2の蓄積性蛍光体面を露光してその部分にエネルギ潜像を形成する。こうして、例えば、試料S1に関するデバイ環を検出器プレート2によって2次元的に直接に観測できる。
【0045】
以上のように、本発明に係るX線分析装置1によれば、X線検出手段として2次元X線検出器である検出器プレート2を同じ位置に配設しておいて、図1のマスク3を使用するか、あるいは使用しないかを選択すること、及び図1の集中法光学系4を用いるか、あるいは図2の平行ビーム光学系14を用いるかを選択することにより、集中法光学系のX線測定と平行ビーム光学系のX線測定のいずれかを簡単に選択して実行できる。
【0046】
このとき、図1の集中法光学系4と図2の平行ビーム光学系14は、かなりの要素を共通に使用できるので、それぞれの光学系を別々に用意する場合に比べて、経費が非常に安くなる。
【0047】
また、本実施形態のX線分析装置1では、スリット13を備えたマスク3を検出器プレート2の前に配設するようにしたので、集中法光学系4に対してX線検出器として2次元X線検出器を用いることが可能となり、従って、X線分析装置の共通化を簡単に行えるようになった。
【0048】
図3は、本発明に係るX線分析装置の他の実施形態を示している。この実施形態は図1に示したX線分析装置1を図の上方から見た場合に相当している。ここに示すX線分析装置31は、集中法光学系34の中に湾曲結晶モノクロメータ35を設けたことが図1の集中法光学系4と異なっている。なお、集中法光学系34において集中法光学系4と同じ構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0049】
本実施形態のように試料S0に対して入射側にモノクロメータを配置すれば、すなわちインシデントモノクロメータを配置すれば、X線源6から発生する連続X線から特性X線を取り出して試料S0へ供給できるので、余計な散乱X線を除去することができ、それ故、正確な測定を行うことができる。
【0050】
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0051】
例えば、図1において、マスク3を支持する手段は、支持枠22以外に任意に構造とすることができる。また、図1で発散スリット11を支持し、図2でコリメータ16を支持する共通の台21は、任意の構造とすることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、スリットを備えたマスクを2次元X線検出手段のX線受光面の前に配設したので、2次元X線検出手段を用いて集中法のX線測定を行うことができる。また、このマスクを2次元X線検出手段の前から取り除き、さらに集中法光学系を平行ビーム法光学系に交換すれば、平行ビーム法のX線測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線分析装置を集中法光学系で使用する場合の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るX線分析装置を平行ビーム光学系で使用する場合の実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るX線分析装置の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1:X線分析装置、2:検出器プレート(2次元X線検出手段)、3:マスク、4:集中法光学系、6:X線源、7:試料ホルダ、8:試料台、11:発散スリット、13:スリット、14:平行ビーム光学系、16:コリメータ、21:台(X線ビーム切換え手段)、22:支持枠、31:X線分析装置、34:集中法光学系、35:湾曲モノクロメータ、S0:粉末試料、S1:微小試料、Q:露光領域

Claims (6)

  1. X線を発生するX線源、試料を支持する試料支持手段及び試料からのX線を検出する2次元X線検出手段を集中法光学系の条件を満足するように配設して成る集中法光学系と、
    前記試料又は前記X線源を該試料の表面を通る回転の中心軸を中心に回転させてX線の該試料に対する入射角度を変化させる手段と、
    前記回転の中心軸に平行に前記2次元X線検出手段を移動させる手段と、
    前記試料から見て前記2次元X線検出手段の前方位置に配設されると共に前記回転の中心軸と直交し入射X線の中心光軸を含む平面と交わる線上にスリットを備えたマスクと
    を有することを特徴とするX線分析装置。
  2. 請求項1において、前記試料に入射するX線を発散ビームと平行ビームとの間で切換えることのできるX線ビーム切換え手段を有することを特徴とするX線分析装置。
  3. 請求項2において、前記マスクが前記試料から見て前記2次元X線検出手段の前方に配置される第1位置と、前記2次元X線検出手段の前方に配置されない第2位置との間で前記マスクが移動できるように該マスクを支持するマスク支持手段を有することを特徴とするX線分析装置。
  4. 請求項1から請求項3の少なくともいずれか1つにおいて、前記試料に対する前記X線の入射角度の変化と、前記2次元X線検出手段の平行移動とは、互いに同期することを特徴とするX線分析装置。
  5. 請求項1から請求項4の少なくともいずれか1つにおいて、前記2次元X線検出手段のX線受光面は、前記回転の中心軸を中心とする円筒形状であることを特徴とするX線分析装置。
  6. 2次元X線検出手段を用いたX線分析方法であって、
    X線源から出たX線を発散ビーム又は平行ビームのいずれかの形で試料へ入射し、
    前記発散ビームを用いる場合は、次の工程、すなわち
    前記試料又は前記X線源を該試料の表面を通る回転の中心軸を中心に回転させて、前記試料へ入射するX線の入射角度を変化させ、
    前記回転の中心軸と直交し入射X線の中心光軸を含む平面と交わる線上にスリットが位置するように前記2次元X線検出器の前にマスクを配設し、さらに
    前記試料に対するX線の入射角度の変化に同期して前記2次元X線検出手段を前記回転の中心軸に平行に移動させる
    工程を有することを特徴とするX線分析方法。
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