JPH0627056A - 物質組成及び構造分析方法 - Google Patents

物質組成及び構造分析方法

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JPH0627056A
JPH0627056A JP18249092A JP18249092A JPH0627056A JP H0627056 A JPH0627056 A JP H0627056A JP 18249092 A JP18249092 A JP 18249092A JP 18249092 A JP18249092 A JP 18249092A JP H0627056 A JPH0627056 A JP H0627056A
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ray
rays
incident
fluorescent
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JP18249092A
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Tadao Katsuragawa
忠雄 桂川
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不純物等がどの位置にあるかといった点も含
めて物質表層の組成を分析し得るとともに、その構造を
も分析し得るようにすること。 【構成】 試料11表面にこの試料11の臨界角に近い
視斜角θでX線12を入射させ、入射されたX線12の
吸収によって試料11から発生する蛍光X線(又は2次
電子線)13を2次元検出器14により検出すること
で、試料11最表面の組成に関して位置情報も含めて超
微量分析可能とし、同時に、深さ方向の分析も可能と
し、試料11最表面の原子的構造に関する情報も得られ
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物質の表面分析に適し
た物質組成及び構造分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年にあっては各種機能を持たせたデバ
イス材料等の研究・開発が盛んであり、材料表面の組成
ないしは構造分析が重要となっている。
【0003】ここに、このような材料表面の組成の分析
に適したものの代表として、全反射蛍光X線測定法があ
り、これを利用した各種装置が市販されている。これ
は、図6(a)に示すようにある試料1表面に対してX
線2を臨界角θc よりも大きな角度θで入射させると試
料1中に入り込むが、θ=θc 又はθ<θc なる角度関
係で入射させると同図(b)(c)に示すように全反射さ
れることを利用したものである。即ち、図7に示すよう
にX線2を試料1表面に対して全反射する角度θ(臨界
角θc よりも小さい角度)で入射させ、入射されたX線
2によって試料1から発生する蛍光X線3を検出器4で
分光することにより元素の定性を測定し、蛍光X線3の
強度を測定することにより定量を測定するようにしたも
のである。測定元素の範囲は、B(硼素)〜U(ウラ
ン)と広範囲である。
【0004】この全反射蛍光X線測定法の特徴は、X線
2が全反射するので試料1の表面に関して数10Å程度
なる最表面の情報が得られること、及び、〜0.01pp
b (濃度)、〜0.1pg(絶対量)と、微元素を検出で
きることである。また、非破壊測定法であることや、標
準試料を用いれば、膜厚の測定を迅速に行えるといった
特徴を持つ。よって、材料の表面組成の分析に関して、
この方法による分析装置の需要は多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、全反射蛍光X
線測定法による場合、第1に、試料1面上の空間分解能
がない(若しくは、不十分である)という欠点がある。
即ち、X線2は試料1表面に対してスレスレの角度で照
射されるので、試料1面上で広がりを持つものとなる。
ここに、幅方向に関しては絞ることができるが、面上の
長手方向(X線入射方向)には絞れない。よって、均一
な物質構造からの蛍光X線3による組成分析の場合であ
ればよいが、ある箇所(点)に不純物の塊があるような
場合にはこれを平均値化して評価してしまうものとな
る。また、検出器4も空間分解能はなく全ての蛍光X線
3をカウントするものである。即ち、全照射表面におけ
る平均的な蛍光X線強度しか測定し得ないものである。
ちなみに、試料1は単結晶のように常に均一であるとは
限らず、粒塊があったり、偏析、ボイド、異物、空孔等
が存在する場合のほうが多いといえるので、不純物の箇
所を特定できないのでは、不十分である。
【0006】第2に、全反射蛍光X線測定法は表面構造
を評価するためのものではないという欠点がある。即
ち、Siウエハ表層の数原子層の原子配列に関する構造
情報を解析することはできないものである。
【0007】ちなみに、物質の構造解析に関しては、X
AFS(X-ray Absorption FineStructure) 法が
ある(EXAFS法やXANES法も含まれる)。この
場合、材料が結晶でも非晶質のものでも(結晶の場合に
はX線回折があるので、非晶質のもののほうが適す
る)、その原子間距離や配位数、原子価等を求めること
ができる。この方法は、主として、数10μmの厚さの
材料に対してX線を入射させ、その透過X線を検出する
ことにより解析するようにしているが、近年では、材料
表面スレスレにX線を入射させ、材料表面から反射され
る反射X線を用いて分析評価するものも提案されてい
る。
【0008】しかし、これらの方法は試料表面が一面均
一であるとみなしているものであり、前述したように、
現実的には、不純物等が混入している場合のほうが多い
点を考えると、構造分析に関しても不十分といえる。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、試料表面にこの試料の臨界角に近い視斜角でX線を
入射させ、入射されたX線の吸収によって前記試料から
発生する蛍光X線又は2次電子線を2次元検出器により
検出するようにした。
【0010】この際、請求項2記載の発明では、2次元
検出器を試料表面の真上に位置させて検出するように
し、請求項3記載の発明では、2次元検出器を試料表面
の入射X線の入射方向線上からシフトさせた斜め上方に
位置させて検出するようにした。
【0011】また、請求項4記載の発明では、試料から
発生する蛍光X線又は2次電子線を拡大鏡により拡大し
て2次元検出器に導くようにした。
【0012】さらに、請求項5記載の発明では、試料に
入射させるX線のエネルギーを分光器により順次変化さ
せ、変化した各エネルギーに対応して2次元検出器から
得られる蛍光X線又は2次電子線の像の変化の様子を3
次元情報として収集し、この像に関する強度情報から前
記試料最表面の微小部分毎の原子又は電子構造の面分布
を求めるようにした。
【0013】
【作用】請求項1ないし3記載の発明においては、X線
を試料表面に対してその臨界角に近い視斜角で入射させ
て、試料から発生する蛍光X線又は2次電子線を2次元
検出器により2次元的に検出することにより、試料最表
面の組成に関して位置情報も含めて超微量分析可能とな
り、同時に、深さ方向の分析もでき、試料最表面の原子
的構造に関する情報も得られるものとなる。
【0014】この際、請求項4記載の発明においては、
X線照射により試料から発生する蛍光X線又は2次電子
線を拡大鏡で拡大して2次元検出器で検出するので、微
小部からの情報を詳細に区別し得るものとなり、高分解
能な面分布分析が可能となる。
【0015】また、請求項5記載の発明においては、X
線を試料表面に対してその臨界角に近い視斜角で入射さ
せるが、その際のエネルギーを分光器により順次変化さ
せて、各エネルギー毎に試料面に関する2次元像情報を
収集することにより、3次元情報として処理し得るもの
となり、試料表面に関する2次元同時の原子ないし電子
構造の解析や、深さ方向の構造解析が高い空間分解能に
して迅速に行い得るものとなる。
【0016】
【実施例】本発明の第一の実施例を図1及び図2を参照
して説明する。本実施例は、特に不純物等の存在箇所を
も特定し得る表面組成の分析を可能にし得る点を重視し
たものであり、試料11表面に対してこの試料11の臨
界角に近い視斜角θでX線12を入射させ、入射された
このX線12の吸収によって前記試料11から発生する
蛍光X線(又は、2次電子線)13を試料11の真上に
位置させた2次元検出器14によって2次元的に検出す
るようにしたものである。
【0017】ここに、入射させるX線12としては、連
続X線(白色X線)でもよいが、連続X線とした場合に
は、試料11表面から発生する蛍光X線13のエネルギ
ーを検知し得るエネルギー分解能を持つことが2次元検
出器14に要求される。入射させるX線12として結晶
により分光させた特定X線(分光器で任意波長のX線を
選択できる)を用いるものとし、例えば、約9.1ke
VのX線とすれば、試料表面のCu成分から発生する蛍
光X線13を検出し得るものとなる。この際、2次元検
出器14はPSD(半導体位置検出素子)とMCP(マ
イクロチャネルプレート)とにより構成されたものであ
るので、蛍光X線13を発する箇所をも特定し得るもの
となる。具体的には、50μm位の空間分解能が得られ
る。この時、試料11の表面と2次元検出器14とは近
いほうがよく、具体的には、0.01mm〜1mm程度
がよい。また、2次元検出器14が試料11に近いの
で、空気中であっても構わないが、2次元検出器14や
検出感度の点からは真空中のほうが望ましい。ちなみ
に、空気中であれば、蛍光X線13中の波長の長いもの
は空気中で吸収されてしまうからである。また、X線1
2には平行性が要求される。これは、余り広がりを持つ
ものでは、試料11の最表面分析が不可となってしまう
からである。
【0018】さらに、入射させるX線12の波長が変わ
った場合には、分光して入射させるX線の視斜角も変化
させるのがよい。即ち、X線12の視斜角(入射角)と
蛍光強度との間には図2に示すような関係があることが
分かっているので、試料11の臨界角より少し小さい角
度とするのがよい。ちなみに、市販の測定装置中には、
試料に対してスレスレ入射と広角入射とを切換え自在と
し、広角入射の場合にはX線を100μm径位に絞れる
ようにしたものもある。このようなX線を用いて試料表
面上を走査させれば2次元情報となるが、図2中の右縦
軸に示すように、X線は角度によって広角になると試料
中に深く入り込み、最表面から得られる情報とは異なっ
てしまう。この時には全反射ではないので、従来技術で
述べた特徴もなくなってしまう。よって、2次元検出器
14を用いて試料11の最表面情報(視斜角θを少し大
きくすれば、深さ方向の組成分析も可能)を均一にし
て、走査なしに瞬時に2次元的に検出し得る本実施例方
式とは異なる。また、2次元検出器14に得られた2次
元情報はCRT画面上等にそのまま表示させたり、拡大
表示させることも可能であり、さらには、このように情
報を保存し、又は、加工処理することも可能となる。
【0019】2次元検出器14として、具体的に、浜松
ホトニクス株式会社製のPIAS−TIを用いれば、超
高感度フィルムのさらに100倍以上の感度で測定可能
となる。さらに、X線12によって試料11から励起さ
れた2次電子線も検出できるので、2次電子線を用いた
分析も可能となる。この他、2次元検出器14としては
種々のものを用い得るが、蛍光X線に対してはイメージ
ングプレート、X線HARP(High gain Avalanche
Rushing amorphous Photoconductor)、2次電子線に
対してはCCD等がよい。
【0020】本発明の第二の実施例を図3を参照して説
明する。前記実施例で示した部分と同一部分は同一符号
を用いて示す(以下の実施例でも同様とする)。本実施
例は、特に物質表層の構造に関する分析を重視したもの
であり、試料11表面に対してこの試料11の臨界角に
近い視斜角θでX線12を入射させ、入射されたこのX
線12の吸収によって前記試料11から発生する蛍光X
線(又は、2次電子線)13を2次元検出器14によっ
て2次元的に検出するが、上から見た様子を示す図3の
ように、この2次元検出器14を試料11表面の入射X
線12の入射方向線φ上から横方向にシフトさせた斜め
上方に位置させたものである。
【0021】ここに、入射させるX線12としては、前
記実施例と同様に連続X線(白色X線)でもよいが、単
色X線のほうが解析上は好ましい。2次元検出器14の
位置としては、入射X線12が直接入らないように(蛍
光X線や2次電子線が吸収又は散乱しないように)入射
方向線φ上からずらして配置させるのがよい。検出器は
2次元検出器が好ましいが、1次元のもの(例えば、P
SPC=1次元比例計数管)を入射X線12に対して平
行に配設させてもよい。装置全体は空気中でもよいが、
本実施例の場合も真空中のほうが好ましい。特に、2次
電子線の検出も行う場合には、真空中でなければならな
い。
【0022】本実施例方式により試料11の表面の原子
構造を評価できる理由について説明する。試料11表面
を伝搬する入射X線12(例えば、9keVのX線とす
る)は、試料表面のCu原子を励起し、蛍光X線や2次
電子線を発生させる。この際、Cu原子が規則性を持っ
て配列していれば、これらは干渉し、2次元検出器14
はこれに伴う強度の2次元的(1次元的)振動を検出す
るので、これを解析することにより原子構造を分析し得
ることになる。また、原子配列の規則性が近接原子にし
か認められない場合には、解析手法を変更すればよい。
また、X線12の照射面積を考えた場合、余り広い面積
に渡って照射すると、不均一な試料11の場合、得られ
る情報のS/Nが悪くなるので、前記実施例の場合より
も一層幅が狭くなるように絞ってX線12を照射するの
がよい。ただし、このX線12に関して、その平行性や
単色性が、より重要である点には変わりない。
【0023】なお、X線12に代えて、電子線を試料1
1に入射させるようにしてもよいが、電子線の場合、物
質との相互作用が大きく表面情報を得るには余り好まし
くないので、X線12を用いるほうが好ましい。X線1
2は放射光であってもよい。
【0024】このような実施例に基づく具体例を説明す
る。まず、X線12の発生源として縦型ローターゲット
(Cu)を用いた。電圧×電流は40kV×60mAと
した。発生したX線12についてモノクロメータを用い
て分光し、9.1keVのエネルギーで、10mm×
0.1mmサイズのビームとした。また、試料11には
Siウエハ上に真空蒸着法により成膜したAl‐Cu
(1atm%) の膜を用いた。その膜厚は500Å、サイ
ズは約20×20mm2 とした。X線12は試料11表
面にAlの臨界角に近い視斜角θ=0.23°で入射さ
せるものとした。さらに、2次元検出器14には浜松ホ
トニクス株式会社製のPIAS−TIを用い、試料11
との距離を1mmに設定し、試料11とともに真空中に
配置させた。測定時間は約1分間とし、試料11中の原
子、特にCuからの蛍光X線及び2次電子線を2次元検
出器14で計測したものである。得られた2次元画像に
よれば、所々に数百μm程度の大きさのCuの粒子状の
塊(点)が観察されたものである。ついで、モノクロメ
ータを用いてX線12のエネルギーを7.1keVとし
10分間計測したところ、5ppm のFeが試料11中に
存在することが確認できたものである。また、2次元検
出器14を試料11の最表面から発生しその表面上をス
レスレに伝搬する蛍光X線及び2次電子線を2次元的に
検出し得るように配置し直して検出したところ、その画
像上には、干渉によると考えられる濃淡が観察されたも
のである。
【0025】このようにして、これらの実施例によれ
ば、X線12を試料11表面に対してその臨界角に近い
視斜角で入射させ、試料11表面から発生する蛍光X線
又は2次電子線を2次元検出器14によって高感度に2
次元で検出できるため、試料11の最表面の組成をその
位置情報を含めて超微量分析することができ、また、試
料11の最表面の原子的構造に関する情報も得られるも
のとなる。
【0026】さらに、本発明の第三の実施例を図4を参
照して説明する。本実施例にあっても試料11表面に対
してその臨界角付近の視斜角θでX線12を入射させる
のは同様である。これにより、比較的大面積に渡って均
一に蛍光X線や2次電子線を励起させることができる。
この際、X線12の視斜角θを少し変化させれば、試料
11表面や、表面より僅かに深い部分まで連続的に励起
させることができ、深さ方向の違いを分析し得ることも
前述した実施例と同様である。
【0027】このような基本方式を前提に、本実施例で
は、X線照射により励起されて微小部から出てくる蛍光
X線や2次電子線による像を拡大して検出し得るように
したものである。ここに、単純には、図1に対比させて
示す図4のように、2次元検出器14を試料11表面か
ら離して設置すれば試料11表面からの拡大像が得られ
ると考えられる。しかし、試料11から2次元検出器1
4を離すと、検出対象となる蛍光X線や2次電子線の強
度が低下し、また、2次元検出器14が離れるほどその
1点に対して試料11表面の複数点からの情報が入り込
む形となり像が益々ボケたものとなってしまう。
【0028】そこで、本実施例では、試料11表面と2
次元検出器14との間に拡大鏡(図示せず)を介在させ
ることにより、2次元検出器14によって像をボケるこ
となく拡大して検出し得るようにしたものである。
【0029】試料11表面から発生するのは蛍光X線や
2次電子線であるが、このような蛍光X線や電子線を拡
大するための拡大鏡は現に開発・市販されているので、
それらを利用すればよい。特に、電子線に対しては電子
顕微鏡(SEM)があり、最近では、数10Åまで分解
能が向上しているので好適である。X線に対しては数μ
mの2点を区別できる。何れにしても、電子線に関して
はその平均自由行程が短かすぎるので真空中とする必要
がある。ちなみに、電子線に対しては一般的な拡大鏡で
よく、例えば磁界によって電子線を曲げる電子レンズで
あってもよい。上記のSEMとの違いは、励起源が電子
でなくX線であること、及び、SEMの場合には入射さ
せる電子線を走査させる必要があるが、本実施例では走
査を要しないことである。
【0030】なお、X線12に関して走査は要しない
が、その視斜角θやエネルギーは変化させる場合があ
る。即ち、X線12の視斜角θを変えると、試料11中
に入り込む深さが異なるので、深さ方向の分析ができ、
また、X線12のエネルギーを変えると臨界角が異なっ
てくるので視斜角θも変えなくてはならないが、これに
応じて励起し得る原子も異なってくるので、発生する蛍
光X線、2次電子線、さらには、オージェ電子の面分布
も異なってくる。よって、X線12のエネルギーを変え
ることにより試料11における元素分布を測定し得るも
のとなる。さらには、試料11から発生する電子のエネ
ルギーを計測(具体的には、拡大鏡透過後の電子をCM
A等のエネルギー分析器に入れて計測すればよい)すれ
ば、XPS(X-ray Photoelctron Spectroscopy)と
しても利用し得るものとなる。
【0031】X線用の拡大鏡としては、 Wolterミラ
ー、回転楕円面ミラー、K‐Bミラー、ゾーンプレー
ト、多層膜K‐Bミラー等を用いた光学系構成としても
よい。2次元検出器14としては前述した実施例のもの
と同様なものを用いればよい。
【0032】ところで、本実施例の対象となる試料11
としては完全単結晶のような均一なものである必要はな
く(このようなものであれば、従来法で済む)、一般に
各種の欠陥や付着物を含み得る1μm以下の膜厚に形成
された各種薄膜に適用し得るものであり、このような試
料11に対して簡便にして大面積に渡って測定し得るこ
とは重要である。また、本実施例では、励起源をX線1
2とするが、2次元検出器14で検出するのは蛍光X線
又は2次電子線、或いは、オージェ電子や紫外線である
ので、試料11における組成分布のみならず、表面の原
子構造や電子構造をも、XPSやAESのように分析・
評価し得るものとなる。
【0033】さらに、X線12は試料11表面に対して
スレスレの視斜角θで入射するので、試料上方から入射
させる場合に比して励起効率(X線12の利用効率)が
よく、さらには、X線12として放射光を用いれば強度
が強いので一層高感度な分析が可能となる。
【0034】つぎに、本発明の第四の実施例を図5を参
照して説明する。本実施例は、従来の全反射蛍光X線分
析法や全反射蛍光EXAFS法等が試料表面を均一とみ
なし、全領域を1つとして分析・評価したことによる欠
点を解消するようにしたものである。即ち、前述したよ
うに試料は、一般に、単結晶のように常に均一であると
は限らず、粒界があったり、偏析、ボイド、異物、空孔
等が存在する場合のほうが多く、このような点を含めて
材料の最表面の構造を知ることが重要となっている点を
考慮し、これに対応できるようにしたものである。ここ
に、試料11の最表面とは1原子層のこともあれば、1
00Å程度の膜厚分に渡ることもある。
【0035】まず、従来の全反射蛍光X線分析法等によ
る場合、試料を均一なものとし1つの面として評価する
に当り、評価面積としては種々のケースが考えられ、μ
2オーダのものからmm2 オーダのものまであり、前
述したようにX線を試料表面に臨界角程度の視斜角で入
射させた場合、そのX線をいくら絞っても試料面上では
広がってしまうため、同一試料面上の異なる箇所を同時
に分析・評価するのに適していないといえる訳である
が、本実施例では、逆に、入射させたX線12が試料1
1表面上で広がりを持つことを利用するようにしたもの
である。即ち、入射させるX線12はエネルギーによっ
て異なるものの、図5に示すように、視斜角θが臨界角
θc の場合には均質に入ることもなく、また、反射もし
ないので、試料11表面上を広がる。もっとも、実際に
は臨界角θc でも表面から数10Å程度まではしみ込ん
でいる。この臨界角θc は、原子番号をZ、質量をA、
密度をρ、X線の波長をλとした時、 θc =√(5.4×1010・Z・ρ・λ2/A) で示すように、X線12の波長が長く(エネルギーが小
さく)なると、大きくなるので、エネルギーを変えた場
合、視斜角θを変えないと全反射角度とはならない。本
実施例にあっても、このように試料12面上で広がるこ
とを前提とするものであり、試料11表面にX線12を
入射させた場合に最表層の原子が励起されて出射する蛍
光X線や2次電子線に関して、2次元情報を得る方法と
しては、前述した各実施例方式があり、本実施例でも前
述した各実施例方式をベースとする。
【0036】このような基本方式に加えて、本実施例で
は、試料11に入射させる励起用のX線12のエネルギ
ーを分光器により変化させるようにしたものであり、試
料11の調べたい原子の吸収端エネルギーE0 より少し
低いところからE0 +1keV位までの範囲で変化させ
るものとした。この範囲において、0.5〜10eV位
のステップで変化させる。この時、試料11に対するX
線12の視斜角も各エネルギー毎に試料面の臨界角とほ
ぼ同じになるように変化される。各測定毎の各入射エネ
ルギーに対応する蛍光X線、2次電子線の強度を計数
し、3次元的情報として収集し、これらの点毎にEXA
FSを解析する。以後の手順は、従来一般の方法で処理
すればよい。この解析の結果、例えば粒界では原子間距
離が大きくなっていたりすることが判る。また、原子間
距離をマッピングすることもできる。
【0037】ところで、本実施例の場合も、励起用に用
いるX線12には平行性が良好であることが要求され
る。即ち、X線が広がっている場合には、臨界角を設定
することができないので、X線にSOR(放射光)を用
いるとか、X線源と試料11との間の距離を長くすると
か、例えばチャネルカット分光器を多段に利用するとい
うように分光器を工夫するといった対応が必要といえ
る。この場合には、視斜角を制御すれば、試料11中に
入り込む深さが異なるので、深さ方向の情報解析も可能
となる。
【0038】また、空気中の場合、X線12の波長が短
くなると吸収が大きくなり、かつ、出射する電子を検出
してしまうこともあるので、装置としては真空中に配設
することが必要である。
【0039】本実施例に対応する具体例を説明する。ま
ず、X線12の発生源としてローターゲット(Cu)を
用いた。電圧×電流は40kV×60mAとした。発生
したX線12についてチャネルカットしたSi(11
1)のモノクロメータを(+,+)配置でセットし、分
光するようにした。エネルギーはCuの吸収端を考慮
し、8.5keVから10keVまでをモノクロメータ
の角度を変えることにより2eVのステップで変化させ
た。この分光器(モノクロメータ)のエネルギー分解能
は約1eVであった。また、試料11に対するX線12
の照射ビームサイズは10mm×0.1mmサイズとし
た。また、試料11にはSiウエハ上にスパッタリング
法により作製したAl‐Cu(1atm%) の膜を用い
た。その膜厚は500Å、サイズは約20×20mm2
とした。X線12は試料11表面にAlの臨界角に近い
視斜角θ=0.23°で入射させるものとした。さら
に、2次元検出器14には浜松ホトニクス株式会社製の
PIAS−TIを用い、試料11に接触しない範囲で最
近接(0.1mm位の間隔で)させて配設し、試料11
とともに真空中に配置させた。測定時間は約1分間と
し、試料11中の原子、特にCuからの蛍光X線及び2
次電子線を2次元検出器14で計測したものである。得
られた2次元画像によれば、所々に数百μm程度の大き
さのCuの粒子状の塊(点)が観察されたものである。
ついで、モノクロメータを用いてX線12のエネルギー
を2eVのステップで変化させ、2eVステップ毎の強
度情報を収集し、ついで、粒子毎に強度データをEXA
FS解析した。試料11の位置と粒子の原子間距離の関
係を調べたところ、中心程、原子間距離は小さくなって
いたことが確認された。また、粒子サイズが小さい程、
最近接原子間距離が大きくなっていたことが確認され
た。
【0040】このようにして、本実施例によれば、X線
12を試料11表面に対してエネルギーを順次可変させ
ながら全反射するように入射させ、各エネルギー毎に試
料11面上から2次元情報を得ることにより、3次元情
報として収集・解析するので、2次元像の各点に対応し
た原子・電子構造情報が得られることになり、よって、
従来法では得られなかった、材料の2次元同時の原子・
電子構造解析や、深さ方向の構造解析が、高い空間分解
能にして迅速に可能となる。
【0041】
【発明の効果】請求項1ないし3記載の発明によれば、
試料表面にこの試料の臨界角に近い視斜角でX線を入射
させ、入射されたX線の吸収によって前記試料から発生
する蛍光X線又は2次電子線を2次元検出器により検出
するようにしたので、試料最表面の組成に関して位置情
報も含めて超微量分析することができ、同時に、深さ方
向の分析もできるため、試料最表面の原子的構造に関す
る情報も得ることができる。
【0042】また、請求項4記載の発明によれば、X線
照射により試料から発生する蛍光X線又は2次電子線を
拡大鏡で拡大して2次元検出器で検出するようにしたの
で、微小部からの情報を詳細に区別し得る分析も可能と
なり、高分解能な面分布分析を行うことができる。
【0043】さらに、請求項5記載の発明によれば、X
線を試料表面に対してその臨界角に近い視斜角で入射さ
せるが、その際のエネルギーを分光器により順次変化さ
せて、各エネルギー毎に試料面に関する2次元像情報を
収集することにより、3次元情報として処理し得るもの
としたので、試料表面に関する2次元同時の原子ないし
電子構造の解析や、深さ方向の構造解析を、高い空間分
解能にして迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を概念的に示す構成図で
ある。
【図2】試料に対する視斜角に応じた蛍光強度及び入り
込み深さを示す特性図である。
【図3】本発明の第二の実施例を概念的に示す平面構成
図である。
【図4】本発明の第三の実施例を説明するために想定し
た構成図である。
【図5】本発明の第四の実施例を説明するための全反射
入射の様子を示す説明図である。
【図6】視斜角と臨界角との関係を示す説明図である。
【図7】従来の全反射蛍光X線分析法を概念的に示す構
成図である。
【符号の説明】 11 試料 12 X線 13 蛍光X線又は2次電子線 14 2次元検出器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面にこの試料の臨界角に近い視斜
    角でX線を入射させ、入射されたX線の吸収によって前
    記試料から発生する蛍光X線又は2次電子線を2次元検
    出器により検出するようにしたことを特徴とする物質組
    成及び構造分析方法。
  2. 【請求項2】 2次元検出器を試料表面の真上に位置さ
    せて検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載
    の物質組成及び構造分析方法。
  3. 【請求項3】 2次元検出器を試料表面の入射X線の入
    射方向線上からシフトさせた斜め上方に位置させて検出
    するようにしたことを特徴とする請求項1記載の物質組
    成及び構造分析方法。
  4. 【請求項4】 試料から発生する蛍光X線又は2次電子
    線を拡大鏡により拡大して2次元検出器に導くようにし
    たことを特徴とする請求項1,2又は3記載の物質組成
    及び構造分析方法。
  5. 【請求項5】 試料に入射させるX線のエネルギーを分
    光器により順次変化させ、変化した各エネルギーに対応
    して2次元検出器から得られる蛍光X線又は2次電子線
    の像の変化の様子を3次元情報として収集し、この像に
    関する強度情報から前記試料最表面の微小部分毎の原子
    又は電子構造の面分布を求めるようにしたことを特徴と
    する請求項1,2,3又は4記載の物質組成及び構造分
    析方法。
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