JP4660014B2 - ロープ - Google Patents

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    • D07B2201/20Rope or cable components
    • D07B2201/2001Wires or filaments
    • D07B2201/2009Wires or filaments characterised by the materials used

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、機械的特性に優れると共に耐水性、耐熱性、耐湿熱特性及び耐摩耗性に優れる、ポリケトン繊維を用いたロープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ロープ用の繊維として、麻等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、塩化ビニリデン繊維、塩化ビニル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維が用いられてきた。ロープに用いられる繊維には、使用時に負荷が掛かった際にも破断しないだけの強度が必要とされるが、これらの汎用繊維は強度が十分ではなく、結果として、繊度の大きい繊維を用い、ロープの径を太くすることにより強力を持たせてきていた。
【0003】
しかし、径の大きなロープでは、ロープの質量が重くなり、取り扱い性、耐久性が悪くなる、ロープが剛直となり取り扱い性、操作性が悪くなる、などの問題があった。また、鋼線を用いると強度が高くなるためにロープの径を小さくすることができるものの、ロープ質量が重くなる、耐水性が悪く錆が生じる、という問題があった。
したがって、高強度で細い繊度の繊維からなり、軽量で、柔軟で、取り扱い性に優れたロープが要求されている。
【0004】
これらの要求を受けて、近年、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維を用いたロープが提案されている(特開昭62−149992号公報、特開昭62−57993号公報等)。しかしながら、ポリエチレン繊維は融点が低く、ロープと金属、ロープとロープ間の摩擦による発熱によって繊維が融着したり、染色が困難であるという問題がある。ポリビニルアルコール繊維は耐水性、特に耐湿熱性が悪く、水を含んだ状態で日光等によって加熱されると強度が著しく低下するという問題がある。アラミド繊維は強度には優れるものの、耐摩耗性が悪く表面が容易に毛羽立ち、ロープ表面に樹脂を塗工して改質する際には樹脂との接着性が悪いという問題がある。
【0005】
以上のように、これまでのロープにおいて、機械的特性に優れ、耐熱性、耐湿熱性、耐摩耗性、樹脂接着性の全ての面で優れたロープは知られていない。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の問題点を解決し、機械的特性、耐熱性、耐湿熱性に優れたロープを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繰り返し単位の90質量%以上が式(1)に示す1−オキソトリメチレンであり、結晶化度が50%以上、かつ、結晶配向度が90%以上であるポリケトン繊維を50質量%以上含むことを特徴とするロープである。
【0008】
【化2】
Figure 0004660014
【0009】
本発明のロープを構成する繊維の少なくとも一部、あるいは全部に用いられるポリケトン繊維を構成するポリマーは、オレフィンと一酸化炭素が共重合したポリケトンであり、具体的には、エチレンと一酸化炭素が結合した1−オキソトリメチレン繰り返し単位が90質量%以上からなるポリケトンである。繰り返し単位中の1−オキソトリメチレンの割合は、多ければ多いほど高融点、高力学物性をもった繊維が得られるため、95質量%以上であることが好ましく、より好ましくは97質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
必要に応じて、プロペン、ヘキセン等の、エチレン以外のオレフィンやメチルメタクリレート、アリルスルホン酸ナトリウム等の不飽和炭化水素を有する化合物を共重合してもよい。
【0010】
本発明のロープは、50質量%以上がポリケトン繊維で構成されている。ポリケトン繊維の割合が50質量%未満であると、高強度、高耐熱性、高耐水性、高耐湿熱性の全てを兼ね備えたロープを得ることができない。ロープ中のポリケトン繊維の割合が多いほど力学特性・熱特性に優れるロープが得られるため、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上がポリケトン繊維で構成されている。
【0011】
本発明のロープの強度は、好ましくは0.5GPa以上、より好ましくは0.8GPa、最も好ましくは1GPa以上である。ロープ強度が高いほど、使用するロープの量を低減できて、細径化、軽量化が可能となる。
本発明のロープの破断エネルギーは、好ましくは2.5GPa・%以上、より好ましくは4GPa・%以上、最も好ましくは6GPa・%以上である。ロープの破断エネルギーは、高いほど高負荷下にあっても破断が起こらず、安定な使用が可能となる。
【0012】
本発明において、ポリケトン繊維の融点は、高いほど耐熱性に優れるため、好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、最も好ましくは260℃以上である。ポリケトン繊維の耐湿熱特性としては、120℃、100%湿度下で30分の過酷な湿熱処理を行っても十分な強度を維持することが望ましく、湿熱処理前後の繊維の強度保持率としては、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
【0013】
本発明のロープに用いられるポリケトン繊維は、細繊度であっても必要、かつ、十分な強力を発現するために、結晶化度は50%以上、かつ、結晶配向度は90%以上であることが必要である。
結晶化度は結晶構造の量比を表す構造パラメーターであり、この値が高いほどポリケトン繊維は高強度、高寸法安定性、高耐熱性、高耐薬品性になる。結晶化度は、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上である。
【0014】
結晶配向度は、繊維中の分子鎖が繊維軸方向に配列する規則性の度合いを表す構造パラメーターであり、結晶配向度は、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。
ロープを構成するポリケトン繊維の強度は、高いほど高強度のロープが得られるため、好ましくは10cN/dtex以上、より好ましくは13cN/dtex以上、最も好ましくは15cN/dtex以上である。
【0015】
ポリケトン繊維の弾性率も高いほど力学的寸法安定性に優れるロープが得られるため、好ましくは200cN/dtex以上、より好ましくは300cN/dtex以上、最も好ましくは400cN/dtex以上である。
本発明のロープに用いるポリケトン繊維の繊度やフィラメント数には特に制限はないが、強度の観点からは単糸繊度は0.5〜5dtexが好ましい。必要に応じて、単糸繊度は10dtex以上であってもよい。また、長繊維であっても短繊維であってもよく、繊維の断面形態も丸断面であっても楕円、三角、アルファベット型等の異形断面であってもよい。
【0016】
本発明のロープ及びロープに用いるポリケトン繊維は、平滑性向上、耐摩耗性向上、耐候性向上、熱安定性向上、機能性付与、形態保持等の目的で油剤、平滑剤、顔料、樹脂、隠蔽剤、艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、可塑剤、防炎剤、防腐剤、抗菌剤、防汚剤等のポリケトン繊維以外の成分を含有していてもよい。特に、ポリケトン繊維を撚糸してロープとする際には、繊維に油剤を付与すると、繊維/繊維間の摩擦による毛羽や糸切れが大幅に抑制できるため非常に効果的である。本発明に使用できる油剤の種類は特に制限はなく、例えば、特願2000−19995号に記載の油剤を使用することができる。繊維/繊維間の摩耗抑制の観点からは分子量が200〜10000が好ましく、エーテル基及び/又はエステル基を有する化合物を10〜99質量%の範囲で含有する油剤が好適に用いられる。油剤の付着量は、ポリケトン繊維に対して0.1〜10質量%が好ましい範囲である。
【0017】
ロープを屋外で長期間使用する際には、ポリケトン繊維内部に紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を配合すること、及び、繊維あるいはロープに樹脂を被覆することが有効である。
本発明のロープに含まれるポリケトン繊維に配合可能な紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン系化合物やベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、修酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物パラアミノ安息香酸、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物等の従来公知の化合物を使用することができる。これら紫外線吸収剤の量はポリケトン繊維に対して、0.01〜3質量%が好適である。
【0018】
ヒンダードアミン系光安定剤は、例えば、アデカスタブ(登録商標)LA−77(旭電化(株)社製)、Tinuvin(登録商標)144(チバスペシャリティケミカルス(株)社製)等、従来公知の安定剤が使用可能である。ヒンダードアミン系光安定剤の量はポリケトン繊維に対して0.01〜3質量%が好ましい。紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤は併用して添加することがより好適であり、この場合、両者の合計でポリケトン繊維に対して0.02〜5質量%とすることが好ましい。
【0019】
ロープあるいはポリケトン繊維に被覆する樹脂の組成は特に制限はなく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等の従来公知の樹脂を用いることができる。これら樹脂は必要に応じて複数種類混合して、あるいは、複数種類の樹脂を積層して被覆して用いてもよい。
【0020】
特に、これらロープを被覆する樹脂に紫外線遮蔽剤(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム等)を配合したものは、ロープの耐光性が向上し、さらに長期間での屋外使用が可能となり好ましい。これらロープに塗布する樹脂の量は、ポリケトン繊維に対して0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
ロープに紫外線遮蔽性の高い有機・無機の塗料を塗布することもロープの耐久性向上に効果的であり、金属塗料が特に効果的である。
【0021】
本発明のロープの構造としては、撚り合わせロープ(三つ打ち、四つ打ち、六つ打ち、バラ打ち)、網索ロープ、延縄等が挙げられる。撚り合わせてロープとする際には、ポリケトン繊維間の平滑性向上のために上述の油剤が付与されたロープが特に好ましい。撚り合わせる際のポリケトン繊維の撚糸数は、撚糸数が少ないほど高強力のロープが得られ、撚糸数が多いほど耐疲労性に優れるロープが得られるので、用途に応じて随時設定することが必要である。
【0022】
本発明のロープには、目的に応じてポリケトン繊維以外の繊維素材を混用することができる。混用可能な繊維については特に制限はなく、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリベンザゾール繊維、アラミド繊維、羊毛、ポリアクリロニトリル繊維、セルロース繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、金属繊維などの従来公知の繊維を使用することができ、必要に応じて、これらの繊維の中から複数種類の繊維を複合して用いてもよい。
【0023】
本発明のロープに用いられる繊維材料は、無撚糸であっても、仮撚り、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工などの加工を施した加工糸を用いてもよい。複数種の繊維を混用する場合、その方法についても特に制限はなく、異なる種類の繊維を用いたり、必要に応じて、複数種の繊維を仮撚りなどの加工を施して混繊糸としたり、また、同一種の繊維であっても熱的・機械的特性の異なる繊維、あるいは繊度やフィラメント数の異なる繊維、又は長繊維のフィラメントと短繊維の紡績糸などを複合して用いてもよい。
【0024】
本発明のロープは、リフト用ロープ、牽引ロープ、気球、荷役用ロープ、登山ロープ、アンカー、船舶繋留ロープ、曳航ロープ、支柱線などの多岐の用途分野に用いることができる。
【0025】
ポリケトン繊維は紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤の使用、樹脂や塗料の被覆等の耐候性対策、防腐剤や抗菌剤等の生物分解対策を行わない場合、屋外に放置しておくと太陽光及び微生物により分解される特性を有している。この特性は、焼却や埋め立て等の特別な廃棄処分を行わずとも比較的短時間のうちに地球環境に戻すことが可能であることを意味し、地球温暖化やダイオキシン問題、埋め立て地問題等の現代の環境問題に対しても有用な特性である。この特性は、ポリケトン繊維により構成される繊維製品全てに備わった特性であり、本発明のロープにおいても、合成繊維や合成樹脂を含まないロープであれば太陽光の当たる屋外(好ましくは土壌上)にそのまま廃棄することができる。
【0026】
この場合、対環境性の観点から、ポリケトン繊維中に含まれる触媒金属(PdやNi)の量を好ましくは100ppm以下、より好ましくは10pm以下にする。ハロゲン化亜鉛溶液を溶剤とする湿式紡糸法によりポリケトン繊維を製造する場合、ポリケトン繊維中に残存する金属(Zn)の量を好ましくは100ppm以下、より好ましくは10pm以下にする。
本発明のロープ及びロープに用いるポリケトン繊維の製造法については特に制限はなく、従来公知の方法により製造することができる。
繰り返し単位中の1−オキソトリメチレンの割合が95質量%以上のポリケトンを用いる場合には、湿式紡糸法によりポリケトン繊維を製造するのが好ましい。
【0027】
濃厚金属塩溶液を溶剤とする湿式紡糸法を例にポリケトン繊維の製造法、及びポリケトン繊維を用いた本発明のロープの製造法を以下に説明する。
ポリケトン繊維の製造に用いるポリケトンの極限粘度は3〜20が好ましい。溶剤はハロゲン化亜鉛単独あるいはハロゲン化亜鉛とその他の塩との複合塩の溶液が用いられる。ポリケトンを濃度0.005〜70質量%になるように溶剤に溶解し、ポリケトンドープを準備する。
【0028】
このドープを紡糸口金から吐出して、凝固浴中で吐出されたドープを繊維状に凝固させる。吐出時のドープ温度は50〜150℃、凝固浴の温度は、−100℃〜100℃の範囲が一般的である。凝固浴の組成はどのようなものであってもよいが、水溶液が好ましい。
凝固浴を出た凝固糸は、水もしくは硫酸、塩酸、リン酸等の酸性水溶液により、凝固糸中に残存する金属の残量が、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、最も好ましくは0ppmになるまで繰り返し洗浄することが好ましい。
【0029】
こうして凝固された実質的に金属塩を含まない繊維を乾燥することにより、ポリケトン未延伸糸が得られる。乾燥温度は好ましくは100℃〜260℃である。
このようにして得られた未延伸糸を引き続き熱延伸を行うが、本発明のロープに使用可能な結晶化度50%以上、かつ、結晶配向度90%以上の結晶構造を有するポリケトン繊維を得るには、延伸条件の選定が重要である。
【0030】
具体的には、(ポリケトン繊維の融点−50℃)〜(ポリケトン繊維の融点)の温度で、得られた未延伸糸を好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上、最も好ましくは15倍以上の倍率の延伸を行うことが重要である。延伸は1段延伸であっても多段延伸であってもよく、多段延伸を行う場合には延伸温度を徐々に高くしていくことが好ましい。
このようにして得られた複数本のポリケトン繊維に撚りを加えてロープとする。撚り数、撚り構造は用途、目的に応じて適宜選定される。一般的には、複数本のポリケトン繊維を引き揃えてストランドとした後に下撚りを行って下撚り糸とし、複数本の下撚り糸を撚り合わせて下撚りとは逆方向に上撚りを加えてロープとする。この際、ロープに加える撚り数としては3〜1000回/mとすることが好適である。用途によっては、得られたロープを更に複数本合わせて下撚り/上撚りを加えたロープとしてもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明を、実施例により具体的に説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
本発明に用いられる各測定値の測定方法は次の通りである。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる値である。
Figure 0004660014
式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及びヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間である。Cは上記100ml中のグラム単位による溶質質量値である。
(2)繊維中のパラジウム、亜鉛含有量
高周波プラズマ発光分光分析により、公知の方法を用いて測定する。
【0032】
(3)繊維の強度、弾性率
JIS−L−1013に基づいて測定する。
弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値である。
【0033】
(4)結晶化度
示差熱測定装置Pyris1(商標;パーキンエルマー社製)を用いて下記条件で測定を行う。サンプルは糸長を5mmに切断した短繊維を用いる。
サンプル質量: 1mg
測定温度 : 30℃→300℃
昇温速度 : 20℃/分
雰囲気 : 窒素、流量=200mL/分
得られる吸発熱曲線において200〜300℃の範囲に観測される最大の吸熱ピークの面積から計算される熱量ΔH(J/g)より結晶化度を下記式により算出する。
結晶化度 = ΔH/225 × 100 (%)
【0034】
(5)結晶配向度
株式会社リガク社製イメージングプレートX線回折装置、RINT(登録商標)2000を用いて下記の条件で繊維の回折像を取り込む、
X線源 : CuKα線
出力 : 40KV 152mA
カメラ長 : 94.5mm
測定時間 : 3分
得られた画像の2θ=21°付近に観察される(110)面を円周方向にスキャンして得られる強度分布の半値幅Hから結晶配向度を下記式により算出する。
結晶配向度=[(180−H)/180]×100(%)
【0035】
(6)融点
(4)で得られる吸発熱曲線の200〜300℃の範囲に観測される最大の吸熱ピークのピークトップ温度を融点とする。
(7)ロープ径、ロープ断面積
光学顕微鏡を用いて10本のロープの直径を測定し、その平均をロープ径D(mm)とし、ロープ断面積はπD2/4(mm2)として計算する。
(8)ロープ強度、破断エネルギー
ロープの荷重−伸び曲線を測定し、最大点荷重をロープ断面積で除してロープ強度(GPa)を求め、荷重−伸び曲線の面積とロープ断面積から破断エネルギー(GPa・%)を求める。
【0036】
(9)湿熱強度保持率
湿度100%、温度120℃のオートクレーブ中にロープを投入し30分間処理する。処理後の強度を(2)の方法に準じて測定し、処理前のロープ強度をT、処理後のロープ強度をTsとして、下式より湿熱強度保持率Rsを求める。
Rs = [Ts/T] × 100 (%)
【0037】
(10)樹脂付着率
ロープ1mを105℃で5時間加熱した後に絶乾質量W1(g)を計量する。次いで、ロープを1mm長に細断して、ヘキサフルオロイソプロパノールにて攪拌下で60℃、2時間溶解する。溶解後ろ過し、得られた残さを105℃で5時間加熱処理した後に質量W2(g)を精秤し、下式から樹脂付着率を求める。
樹脂付着率 = [W2/W1]×100 (%)
【0038】
【実施例1】
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.9、Pd含有量=30ppmのポリケトンを、塩化カルシウム40質量%/塩化亜鉛22質量%を含有する水溶液に添加し、ポリマー濃度7質量%のドープを得た。得られたドープを80℃に加温し、−2℃の水からなる凝固浴に押し出し凝固糸条とした。このポリケトン凝固糸を濃度2質量%の塩酸水溶液で洗浄、さらに水で仕上げ洗浄した。得られた凝固糸を簡易脱水した後、熱安定剤、光安定剤を含浸せしめ、引き続き225℃で1分間の定長乾燥を行い未延伸糸を得た。用いた安定剤を表1に示す。
【0039】
この未延伸糸を、225℃で1段目(7倍)の延伸を行った後に、引き続き240℃で2段目(1.8倍)、さらに258℃で3段目(1.33倍)の延伸を行った。次いで、仕上げ剤を付与し1670dtex/1000フィラメントのポリケトン繊維を得た。仕上げ剤は以下の組成のものを用いた。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(質量%比)。
【0040】
仕上げ剤の付与率は3質量%(対ポリケトン繊維)であった。
このポリケトン繊維は、結晶化度が70%、結晶配向度が98.5%であり、発達した結晶構造を有していた。繊維の引っ張り強度は16.8cN/dtex、弾性率は432cN/dtexであり、極めて優れた力学特性を有するものであった。
このポリケトン繊維10本を合糸してストランドとして、リング撚糸機(カジ鉄工社製)を用い、Z方向に77回/mの下撚りし、さらにこの撚糸ストランド3本を合糸してS方向に45回/mの上撚りをして2.9mm径のロープを得た。本実施例に用いたポリケトン繊維の特性を、以下に記載する実施例2〜4及び比較例1、2に用いた繊維の特性と併せて表2にまとめて示す。得られたロープの特性を実施例2〜4及び比較例1、2の結果と併せて表3に示す。
【0041】
【実施例2】
実施例1で用いたポリケトン繊維3本を合糸してストランドとし、リング撚糸機(カジ鉄工社製)を用い、Z方向に90回/mの下撚りし、さらにこの撚糸ストランド3本を合糸してS方向に69回/mの上撚りをしてロープストランドとし、さらにこのロープストランドをZ方向に14回/mの下撚りし、さらにこの撚糸ストランド3本を合糸してS方向に16回/mの上撚りをして径11.5mmのロープとした。
【0042】
【実施例3】
実施例1で調製したロープにジアリルフタレート樹脂(ダイソーダップ(登録商標)、ダイソー(株)社製)を塗布した。樹脂付着率は7.3%であった。接着性は良好で、ロープの曲げ及び圧縮に対して樹脂の剥離はなかった。
【0043】
【実施例4】
実施例1で調製したロープに平均粒径0.25μmの酸化チタン微粒子を20質量%含有するジアリルフタレート樹脂(ダイソーダップ(登録商標)、ダイソー(株)社製)を塗布した。樹脂付着率は15.5%であった。接着性は良好でロープの曲げ及び圧縮に対して樹脂の剥離はなかった。
このロープをフェードメーター(カーボンアーク灯、60℃)で240時間照射後の強度は0.87GPaであり、実用上十分な強度を有していた。
【0044】
【比較例1】
公知の溶融紡糸法により製造したナイロン66繊維(1500dtex/250フィラメント)を用いて、実施例1と同様にしてナイロン66繊維のみからなるロープを作製した。このロープの強度はポリケトン繊維のそれに比べて大きく劣っており、特に湿熱処理によって強度が大幅に低下した。
【0045】
【比較例2】
重合度7000のポリビニルアルコールを濃度7質量%となるようジメチルスルホキシドに溶解し、冷メタノールを凝固浴として常法に従い紡糸、乾燥、延伸を行い、繊度355dtex/250fの延伸糸を得た。この繊維50本を合糸してストランドとして、実施例1と同じ条件で下撚り、上撚りを加えロープを得た。ロープの機械的特性はポリケトン繊維を用いたものと同等であったが、湿熱処理により強度が大きく低下した。
【0046】
【表1】
Figure 0004660014
【0047】
【表2】
Figure 0004660014
【0048】
【表3】
Figure 0004660014
【0049】
【発明の効果】
本発明のロープは、優れた強度特性を有するためにロープの軽量化やより高強度が要求される用途分野での使用が可能である。また、高い融点を有しており高温環境での使用が可能である。さらに、湿熱による物性低下がなく、水中及び高湿環境での使用が可能である。樹脂との接着性も良好で樹脂加工も容易であり、ロープに樹脂加工を施すことによってより耐候性の優れたロープが得られる。

Claims (6)

  1. 繰り返し単位の90質量%以上が式(1):
    Figure 0004660014
    に示す1−オキソトリメチレンであるポリケトン繊維を50質量%以上含むロープであって、
    下記(a)〜(c):
    (a):該ポリケトン繊維の結晶化度が50%以上であること、
    (b):該ポリケトン繊維の結晶配向度が90%以上であること、及び
    (c):油剤が該ポリケトン繊維に対して0.1〜10質量%の量で付着しており、該油剤がエーテル基及び/又はエステル基を有する分子量200〜10000の化合物を10〜99質量%の範囲で含有すること、
    の要件を満足し、
    該ロープに加えられた撚り数が3〜1000回/mである、ロープ。
  2. 繰り返し単位の100質量%が1−オキソトリメチレンであり、結晶化度が60%以上、かつ、結晶配向度が95%以上のポリケトン繊維を50質量%以上含む請求項1記載のロープ。
  3. ロープの強度が0.8GPa以上、かつ、破断エネルギーが4GPa・%以上である請求項1又は2記載のロープ。
  4. ポリケトン繊維の強度が10cN/dtex以上、弾性率が200cN/dtex以上、かつ、ロープ中のポリケトン繊維の割合が80質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のロープ。
  5. リケトン繊維に対して、合計で0.02〜5質量%の紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のロープ。
  6. ロープが樹脂加工されている請求項1〜のいずれか1項に記載のロープ。
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