JP2007023452A - 開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維 - Google Patents
開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】薄く、軽量で、かつ均一な厚みを有するシート状の補強材を提供することのできる、開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維を提供する。
【解決手段】高機能繊維の表面に無機微粉末を1.5〜14mg/m2の範囲で付着させ、かつ繊維の交絡数が10個/m以下である実質的に無撚の、開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維。
【選択図】なし
【解決手段】高機能繊維の表面に無機微粉末を1.5〜14mg/m2の範囲で付着させ、かつ繊維の交絡数が10個/m以下である実質的に無撚の、開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維。
【選択図】なし
Description
本発明は、開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維に関するものである。さらに詳しくは、高機能繊維の表面に無機微粒子の粉末を付着させた、複数のマルチフィラメントを容易に、かつ均一に開繊、または数本のマルチフィラメントの糸状を容易に引き揃えることが可能で、しかも、高性能の製品を得ることができる高機能繊維に関するものである。
高機能繊維は、その高い強度、弾性率などの機能性を活かして種々の補強材料や、防護材料として多用されている。近年、これら用途において、補強材の軽量化、簿葉化、さらには、厚みの均一性が一層求められてきている。特に、多条の繊維を一方向に引き揃えたシート状物(以下「UDシート」と略す)や、該シート状物に樹脂などを含浸させた補強シート用途では、さらなるシートの簿葉化と同時に厚みの均一性が強く求められている。これらの要求に対して、マルチフィラメントをモノフィラメントレベルにまで均一に開繊させると同時に多条のマルチフィラメント間に隙間が発生しないように均一に引き揃えることが有効である。そこで、マルチフィラメントを開繊させる方法として、特許文献1(特公昭37−4993号公報)、特許文献2(特開昭57−89635号公報)では、マルチフィラメントを帯電列的に異なる物質に接触させる方法や、鉛を主体とする金属からなる摩擦体を用いる方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、高機能繊維自体が摩擦などにより損傷してしまうため、優れた機械特性が低下するため好ましくない。
これに対して、特許文献3(特開平5−311562号公報)では、マルチフィラメントを帯電させた後に、エアガンに導入し、エアガンに送り込まれる高圧エアーが噴出する際のエアーの拡散作用により開繊させる方法が提案されている。しかしながら、この方法では、高機能繊維のフィラメントの直線性が低下するため、補強効果が低下するので好ましくない。
かかる摩擦などによる繊維の損傷に対する問題を改善し、優れた開繊性を得るために、特許文献4(特開2004−162186号公報)では、帯電防止剤を含有する油剤を繊維重量に対して1.1%以下付着させることが提案されている。しかしながら、この方法では、マルチフィラメントを構成するフィラメント数が多くなった場合、マルチフィラメントの断面に対する中央部分に油剤の付着斑が生じ易くなる。このため、モノフィラメント間およびフィラメントと摩擦体などとの摩擦にバラツキが生じ易いため、引き揃え性が不十分と成り易く、直線性も低下するため優れた補強効果が得られないという問題がある。
このように、複数のマルチフィラメントを同時に開繊または引き揃えることのできる開繊性または引き揃え性に優れ、しかも良好な補強効果を有する高性能な製品を提供することができる高機能繊維は未だ提案されていないのが実情である。
かかる摩擦などによる繊維の損傷に対する問題を改善し、優れた開繊性を得るために、特許文献4(特開2004−162186号公報)では、帯電防止剤を含有する油剤を繊維重量に対して1.1%以下付着させることが提案されている。しかしながら、この方法では、マルチフィラメントを構成するフィラメント数が多くなった場合、マルチフィラメントの断面に対する中央部分に油剤の付着斑が生じ易くなる。このため、モノフィラメント間およびフィラメントと摩擦体などとの摩擦にバラツキが生じ易いため、引き揃え性が不十分と成り易く、直線性も低下するため優れた補強効果が得られないという問題がある。
このように、複数のマルチフィラメントを同時に開繊または引き揃えることのできる開繊性または引き揃え性に優れ、しかも良好な補強効果を有する高性能な製品を提供することができる高機能繊維は未だ提案されていないのが実情である。
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的とするところは、薄く、軽量で、かつ均一な厚みを有するシート状の補強材を提供することのできる、開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維を提供することにある。
本発明の上記目的は、「高機能繊維表面に無機微粉末を1.5〜14mg/m2の範囲で付着させ、かつ繊維の交絡数が10個/m以下である実質的に無撚の、開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維」により達成される。
本発明の高機能繊維は、その単位表面積あたり0.4〜15mg/m2の範囲で無機微粉末が付着しているので、開繊工程のガイドなどによる摩擦によって繊維が損傷するのを防ぐことにより、優れた機能を維持することができる。また、繊維間に無機微粉末が介在しているために、繊維間の接触面積が小さく、容易にモノフィラメントレベルにまで開繊することができ、さらには、繊維の交絡が少なく実質的に無撚であることによって、引き揃え性に優れているので、厚みが均一で、軽量かつ薄葉化可能なシート状などの補強材を提供することができ、その工業的価値は極めて大である。
本発明で使用する高機能繊維とは、切断強度が13cN/dTex以上、好ましくは17.5cN/dTex以上、特に好ましくは24.5cN/dTex以上であることが、各種樹脂などの補強材としての十分な補強効果を得るために必要である。上記切断強度が13cN/dTex未満の場合には、製品重量対比の補強効果が不十分となり、得られる各種樹脂との複合体の強度が不十分となるので好ましくない。なお、上限は特に規定する必要はないが、あまりに切断強度を高くしすぎると、後加工工程での工程安定性が低下しやすいので、40.0cN/dTex以下とするのが好ましい。
また、本発明で使用する高機能繊維の初期モジュラスは、300cN/dTex以上、好ましくは400cN/dTex以上、特に好ましくは500cN/dTex以上であることが、得られる複合体に十分な剛性や寸法安定性を付与するために必要である。上記初期モジュラスが300cN/dTex未満の場合には、補強効果が不十分となって得られる複合体(製品)の剛性を十分に高めることができず、また、製品の寸法安定性も不十分となるので好ましくない。なお、初期モジュラスの上限も特に規定する必要はないが、大きくなりすぎると、得られる複合体(製品)の靭性が低下する原因となるので、2,000cN/dTex以下とするのが望ましい。
本発明にかかる高機能繊維は、上記物性を満足していれば、その繊維を構成するポリマーは特に限定する必要はなく、任意のポリマーからなるものであってよい。例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾール繊維、高強力ポリエチレン繊維、高強力ポリビニルアルコール繊維、全芳香族ポリエステル繊維などをあげることができる。なかでも、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維などのパラ系芳香族ポリアミド繊維は、耐熱性や耐フィブリル性にも優れているので特に好ましい。
高機能繊維の表面には、無機微粉末を1.5〜14mg/m2の割合で付着させる必要がある。さらに好ましくは、2.5〜10mg/m2の範囲である。無機微粉末の付着量が1.5mg/m2未満である場合には、繊維間に介在する無機微粉末の数が著しく減少するため、繊維間の接触面積が大きくなることから開繊性が悪化すると同時に、摩擦体あるいはガイド類との摩擦により繊維が損傷し、毛羽が発生し易くなるため好ましくない。一方、無機微粉末の付着量が14mg/m2を超える場合には、繊維間に存在する該無機微粉末が開繊工程などの後加工時に滑落し、スカムなどの問題が生じ易くなるため好ましくない。
本発明に用いられる無機微粉末の平均粒径は、単繊維間に十分拡散させて単繊維表面に均一に付着させるためにできるだけ小さいことが好ましく、10μm以下、特に5μm以下であることが繊維間に均一に分散するため好ましい。平均粒径が10μmを超える場合には、繊維間に均一に分散させることが困難になるため好ましくない。なお、無機粉末の平均粒径の下限値は、0.1μm、好ましくは0.5μmである。
本発明で有効に使用できる無機微粉末は数多く存在するが、高温での熱延伸かつ/または熱処理時の熱的安定性および粒度分布の面から、珪酸化合物が好適である。なかでも、無水珪酸アルミニウム、アルミノ珪酸ナトリウムから選ばれた1種または2種の混合物が好適である。
繊維にこれらの無機微粉末を塗布する方法としては、予め無機微粉末を水などの分散媒に分散させた分散浴を用意し、繊維を分散浴に浸漬させた後乾燥を行うのが好ましい。なお、無機微粉末の分散を均一に行うために有機または無機の分散助剤を分散浴中に添加したり、あるいは、糸条の集束性を向上させるために帯電防止剤や増粘剤を併用してもよい。
次に、本発明における繊維の交絡数は、10個/m以下、さらに好ましくは5個/m以下とすることが必要である。繊維の交絡数が10個/mを超える場合には、開繊性が低下し、多条のマルチフィラメント間に隙間が発生したり、引き揃え性が低下してフィラメントの直線性が低下したりするので好ましくない。
本発明の高機能繊維における交絡数を10個/m以下にするには、例えば無機微粉末を除去した後の、インターレースノズルを用いた交絡処理における圧空量を適宜調整すれば良い。
また、本発明のマルチフィラメント(高機能繊維)は、実質的に無撚であることが必要である。マルチフィラメントが撚りを有している場合には、開繊性が低下すると同時に、引き揃え性が低下して複数のマルチフィラメントの隣り合う糸条間に隙間が生じ易く、均一性が損なわれるので好ましくない。
本発明の高機能繊維における交絡数を10個/m以下にするには、例えば無機微粉末を除去した後の、インターレースノズルを用いた交絡処理における圧空量を適宜調整すれば良い。
また、本発明のマルチフィラメント(高機能繊維)は、実質的に無撚であることが必要である。マルチフィラメントが撚りを有している場合には、開繊性が低下すると同時に、引き揃え性が低下して複数のマルチフィラメントの隣り合う糸条間に隙間が生じ易く、均一性が損なわれるので好ましくない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中、%および部は重量基準である。
また、実施例における評価項目は、下記方法により評価した。
(1)繊度、切断強度、切断伸度、弾性率
JIS−L1013に準拠して測定した。
(2)平均粒径
無機微粒子を1%となるように純水に分散させて均一なスラリー状とした後に、島津製作所社製のLAZER DIFFRACTION PARTICLE SIZE ANALYZER SALD−200Vを用いて平均粒径を求めた。
(3)無機微粉末の付着量(DPU-1)
試料を約3gサンプリングし、次いで、120℃で1時間乾燥した後に重量A(g)を精秤し、次いで、この試料を800℃の焼却炉中で完全に灰化させ、灰化後の灰分重量B(g)を測定し、次式で計算した。
付着量(%)={B/(A−B)}×100
(4)無機微粉末の付着量(DPU-2)
上記方法により得られた無機微粉末の付着量の%をD(%)、単糸の繊度をS(dtex)、単糸フィラメントの半径をR(μm)として、次式で計算した。
付着量(mg/m2)=(S×D×10)/(2×R×3.14×10−2)
(5)交絡数(IL)
ROTHSCHILD Electronic Tensiometer Entanglement Tester R2070を用いて、自動的に1m当りの交絡点数を各水準でサンプル数n=10として測定し,平均値を交絡数とした。
(6)開繊性
図1に示すように、ボビン(1)に巻かれたマルチフィラメント(4)を3m/minの速度で引出し、上下に配置した梨地の固定棒ガイド(2a〜f)を通過させ、2本の棒ガイド2eと2f間との間の張力が3.0g/dtexとなるように調節して巻き取った。棒ガイド(2e)ガイドの上側を通過する際のマルチフィラメントの繊維幅を測定し、開繊性とした。
なお、実施例中、%および部は重量基準である。
また、実施例における評価項目は、下記方法により評価した。
(1)繊度、切断強度、切断伸度、弾性率
JIS−L1013に準拠して測定した。
(2)平均粒径
無機微粒子を1%となるように純水に分散させて均一なスラリー状とした後に、島津製作所社製のLAZER DIFFRACTION PARTICLE SIZE ANALYZER SALD−200Vを用いて平均粒径を求めた。
(3)無機微粉末の付着量(DPU-1)
試料を約3gサンプリングし、次いで、120℃で1時間乾燥した後に重量A(g)を精秤し、次いで、この試料を800℃の焼却炉中で完全に灰化させ、灰化後の灰分重量B(g)を測定し、次式で計算した。
付着量(%)={B/(A−B)}×100
(4)無機微粉末の付着量(DPU-2)
上記方法により得られた無機微粉末の付着量の%をD(%)、単糸の繊度をS(dtex)、単糸フィラメントの半径をR(μm)として、次式で計算した。
付着量(mg/m2)=(S×D×10)/(2×R×3.14×10−2)
(5)交絡数(IL)
ROTHSCHILD Electronic Tensiometer Entanglement Tester R2070を用いて、自動的に1m当りの交絡点数を各水準でサンプル数n=10として測定し,平均値を交絡数とした。
(6)開繊性
図1に示すように、ボビン(1)に巻かれたマルチフィラメント(4)を3m/minの速度で引出し、上下に配置した梨地の固定棒ガイド(2a〜f)を通過させ、2本の棒ガイド2eと2f間との間の張力が3.0g/dtexとなるように調節して巻き取った。棒ガイド(2e)ガイドの上側を通過する際のマルチフィラメントの繊維幅を測定し、開繊性とした。
(7)スカム
開繊性を評価すると同様の条件で10分間マルチフィラメントを巻き取り、棒ガイドを目視で観察し、スカムの付着状況から判断した。棒ガイドにスカムが発生していない場合を良(○)、スカムが付着している場合を不可(×)と判断した。
(8)製品品位
開繊性を評価すると同様の条件で30分間マルチフィラメントを巻き取り、該巻き取られたサンプルの表面を目視で観察し、毛羽の有無から判断した。毛羽の発生がない場合を良(○)、毛羽が発生している場合を不可(×)と判断した。
(9)引き揃え性
図2に示すように、ボビン(5)に巻かれた原糸サンプル(1,670dtex/1000fil)のマルチフィラメント5本にそれぞれ引出し張力を180g加えて、合糸ガイド(6)で合わせて合糸サンプルとした後にワインダー(7)にて200m/minの速度で巻き取った。得られた5本の合糸サンプルを600mmの長さにカットして上端を固定して吊り下げ、下端に10gの加重を加えて1分間放置した。放置した後に、上端から300mmの中央部を鋏にてカットし、その端部を目視にて観察する。合糸された各々原糸サンプル毎に識別が不可能である場合を良(○)、1本でも原糸サンプルが識別することが可能な場合を不可(×)と判断した。
開繊性を評価すると同様の条件で10分間マルチフィラメントを巻き取り、棒ガイドを目視で観察し、スカムの付着状況から判断した。棒ガイドにスカムが発生していない場合を良(○)、スカムが付着している場合を不可(×)と判断した。
(8)製品品位
開繊性を評価すると同様の条件で30分間マルチフィラメントを巻き取り、該巻き取られたサンプルの表面を目視で観察し、毛羽の有無から判断した。毛羽の発生がない場合を良(○)、毛羽が発生している場合を不可(×)と判断した。
(9)引き揃え性
図2に示すように、ボビン(5)に巻かれた原糸サンプル(1,670dtex/1000fil)のマルチフィラメント5本にそれぞれ引出し張力を180g加えて、合糸ガイド(6)で合わせて合糸サンプルとした後にワインダー(7)にて200m/minの速度で巻き取った。得られた5本の合糸サンプルを600mmの長さにカットして上端を固定して吊り下げ、下端に10gの加重を加えて1分間放置した。放置した後に、上端から300mmの中央部を鋏にてカットし、その端部を目視にて観察する。合糸された各々原糸サンプル毎に識別が不可能である場合を良(○)、1本でも原糸サンプルが識別することが可能な場合を不可(×)と判断した。
実施例1〜3、比較例1〜2
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」という)112.9部、パラフェニレンジアミン 1.506部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル 2.789部を常温下で反応容器に入れ、窒素中で溶解した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド 5.658部を添加した。最終的に85℃で60分間反応させ、透明の粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムを含有するNMPスラリー 9.174部を添加し、中和反応を行った。得られたポリマーの対数粘度は3.33であった。
得られたポリマー溶液を用い、孔径0.3mm、孔数1,000の紡糸口金からNMP30%の凝固浴(水溶液)に押し出し湿式紡糸した。紡糸口金面と凝固浴との距離は10mmとした。紡糸口金から紡出された繊維を水洗し、絞りローラに通して表面付着水を除去し、無機微粉末として、平均粒径が2.1μmであるアルミノ珪酸ナトリウムの微粉末を用いて水系分散浴に約1秒間浸漬し、次いで絞りローラに通し、無機微粉末液の付着した糸を得た。引き続いて該糸を表面温度が200℃の乾燥ローラを用いて完全に乾燥させた後、530℃で10倍に熱延伸した。
得られた延伸糸に、まずシャワー水量10L/分で水を吹き付けて、延伸糸を十分に湿潤させた。次いで、スリットを有するエアーノズルから100L/分の空気流を噴射させて無機微粉末を除去した。これらの操作を数回繰り返し、乾燥させた後に一般的に用いられるインターレースノズルを用いて表1記載の交絡数となるようにノズルに供給される圧空量を調整し、交絡処理を施してから500m/分の速度で巻き取った。得られた繊維のフィラメント数は1,000本、繊度は1,670dtexであった。評価結果を表1に示す。
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」という)112.9部、パラフェニレンジアミン 1.506部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル 2.789部を常温下で反応容器に入れ、窒素中で溶解した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド 5.658部を添加した。最終的に85℃で60分間反応させ、透明の粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムを含有するNMPスラリー 9.174部を添加し、中和反応を行った。得られたポリマーの対数粘度は3.33であった。
得られたポリマー溶液を用い、孔径0.3mm、孔数1,000の紡糸口金からNMP30%の凝固浴(水溶液)に押し出し湿式紡糸した。紡糸口金面と凝固浴との距離は10mmとした。紡糸口金から紡出された繊維を水洗し、絞りローラに通して表面付着水を除去し、無機微粉末として、平均粒径が2.1μmであるアルミノ珪酸ナトリウムの微粉末を用いて水系分散浴に約1秒間浸漬し、次いで絞りローラに通し、無機微粉末液の付着した糸を得た。引き続いて該糸を表面温度が200℃の乾燥ローラを用いて完全に乾燥させた後、530℃で10倍に熱延伸した。
得られた延伸糸に、まずシャワー水量10L/分で水を吹き付けて、延伸糸を十分に湿潤させた。次いで、スリットを有するエアーノズルから100L/分の空気流を噴射させて無機微粉末を除去した。これらの操作を数回繰り返し、乾燥させた後に一般的に用いられるインターレースノズルを用いて表1記載の交絡数となるようにノズルに供給される圧空量を調整し、交絡処理を施してから500m/分の速度で巻き取った。得られた繊維のフィラメント数は1,000本、繊度は1,670dtexであった。評価結果を表1に示す。
本発明の高機能繊維は、繊維間に無機微粉末が介在しているために、繊維間の接触面積が小さく、容易にモノフィラメントレベルにまで開繊することができ、さらには、繊維の交絡が少なく実質的に無撚であることによって、引き揃え性に優れているので、厚みが均一で、軽量かつ薄葉化可能なシート状などの補強材のほか、一方向強化複合材などの用途に有用である。
1:評価サンプル
2a〜2f:棒ガイド
3:巻き取りボビン
4:走行糸
5:原糸サンプル
6:合糸ガイド
7:合糸サンプル
8:走行糸
2a〜2f:棒ガイド
3:巻き取りボビン
4:走行糸
5:原糸サンプル
6:合糸ガイド
7:合糸サンプル
8:走行糸
Claims (4)
- 高機能繊維の表面に無機微粉末が1.5〜14mg/m2の範囲で付着しており、かつ繊維の交絡数が10個/m以下で実質的に無撚の、開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維。
- 高機能繊維がパラ型全芳香族コポリアミドである請求項1に記載の開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維。
- 無機微粉末の平均粒径が10μm以下である請求項1記載の開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維。
- 無機微粉末が、無水珪酸アルミニウムおよび/またはアルミノ珪酸ナトリウムを含む請求項1〜3いずれかに記載の開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維。
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---|---|---|---|
JP2005210728A JP2007023452A (ja) | 2005-07-21 | 2005-07-21 | 開繊性または引き揃え性に優れた高機能繊維 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008138334A (ja) * | 2006-12-05 | 2008-06-19 | Teijin Techno Products Ltd | 繊維強化樹脂製歯車 |
JP2017186700A (ja) * | 2016-04-06 | 2017-10-12 | 株式会社アドマテックス | 易開繊性繊維材料及びその製造方法 |
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JP2005002517A (ja) * | 2003-06-13 | 2005-01-06 | Teijin Techno Products Ltd | 熱可塑性合成繊維の製造方法 |
JP2005015931A (ja) * | 2003-06-24 | 2005-01-20 | Teijin Techno Products Ltd | 加工性に優れた全芳香族ポリアミド繊維 |
-
2005
- 2005-07-21 JP JP2005210728A patent/JP2007023452A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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