JP4659415B2 - 摺動部材および樹脂塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、基材の摩耗を防止できる被膜が形成された摺動部材およびその被膜を形成し得る樹脂塗料組成物に関する。
相手材と摩擦しつつ当接する摺動部材としては、従来より種々のものが知られている。1例として、基材の表面は、潤滑機能を付与する固体潤滑剤と、補強剤の硬質粒子と、これら固体潤滑剤および硬質粒子を基材に固着させる樹脂バインダーと、を配合した被膜層を形成し、該被膜層によって摺動部材の耐摩耗性や摩擦係数の向上を図る方法がある。
ポリアミドイミド(以下、PAIと略称する。)樹脂にエポキシ樹脂とアルミナなどの硬質粒子およびポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する。)樹脂などの固体潤滑剤を配合することにより、ピストンスカートなどの過酷な使用条件でも高い耐摩耗性を示す表面被膜層が知られている(特許文献1)。
また、PAI樹脂に含油したマイクロカプセルを配合することにより、ピストンスカートなどの過酷な使用条件でも高い耐摩耗性を示す表面被膜層が知られている(特許文献2)。
また、PTFE樹脂と膨張化黒鉛を焼結金属に含浸焼成し、シリコーン油などの潤滑油を後含浸して含油樹脂被覆材料とすることにより高い耐摩耗性を示す表面被膜層が知られている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献1記載の表面被膜は、固体潤滑方式であるため摺動面での密着性および耐摩耗性が不足するので、摩擦係数の低減および耐摩耗性の向上を図る必要がある。
また、特許文献2記載の表面被膜は、マイクロカプセルを配合した塗布液を塗布してから焼成を行なうため、マイクロカプセルの外壁と、マイクロカプセルに内包されている油とが耐える程度の焼成温度しか適用できない。よって、ポリイミド(以下、PIと略称する。)樹脂やPTFE樹脂などの耐熱樹脂は使用できないという欠点がある。また、マイクロカプセルは高価であり、コスト面で使用上の問題がある。
また、特許文献3記載の表面被膜は、膨張化黒鉛を使用して気孔を形成し、潤滑油を後含浸させるが、膨張化黒鉛は耐摩耗性が低いため、被膜の耐摩耗性もその分だけ減殺され低くなるという問題がある。
特開2004−149622号公報 特開2002−069473号公報 特開2003−214431号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、摺動面への潤滑油供給を十分に行ない、良好な油膜を形成し、被膜層の摩耗量を十分に低いレベルに抑制できる表面被膜を有する摺動部材およびその被膜を形成し得る樹脂塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明の摺動部材は、基材の表面の少なくとも摺動部分に表面被膜が形成されている摺動部材であって、上記表面被膜が多孔質樹脂被膜であり、上記多孔質樹脂被膜は、樹脂と、有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれた少なくとも一つの気孔形成材と、硬質粒子とを含む被覆層とした後、上記気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂および硬質粒子を溶解しない抽出溶媒を用いて上記被覆層から上記気孔形成材を抽出して得られる連通孔を有し、その連通孔率が 10%以上であり、該多孔質樹脂被膜内に上記気孔形成材の未抽出分が残存していることを特徴とする。
上記連通孔に潤滑油が含浸されてなることを特徴とする。
本発明の樹脂塗料組成物は、樹脂と、気孔形成材と、硬質粒子とが配合されてなる、上記気孔形成材の未抽出分が残存する多孔質樹脂被膜を形成するための樹脂塗料組成物であって、上記気孔形成材は、塗膜形成後に、上記気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂および硬質粒子を溶解しない抽出溶媒により抽出される物質であり、有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする。
本発明に係る摺動部材は、10%以上の連通孔率を有する多孔質樹脂被膜が表面に形成され、該多孔質樹脂被膜が、連通孔を介して潤滑油の含浸と、摺動面への潤滑油の供給とを可能にするため、摺動部材表面の潤滑性を長期間保持できる。また、摺動部材の形状を変更することなく摺動部材の被膜層の変更のみで摺動部材摺動面に良好な油膜を形成し、摺動部材の寿命を延ばすことができる。
潤滑油は、摺動部材に練り込まれるのではなく、上記連通孔に含浸されることにより、該連通孔を介して摺動面への該潤滑油の流動性が確保されるため、摺動面で潤滑油が消費されると、含浸された潤滑油が連通孔を経て常に摺動面に供給されるので、含浸されている潤滑油全量の 60 %以上が潤滑油として利用可能となる。
なお、潤滑油として利用可能とは、該潤滑油が上記多孔質樹脂表面に滲み出し可能であり、各用途および使用条件において摺動面へ潤滑性を付与できることをいう。
本発明に係る樹脂塗料組成物は、10%以上の連通孔率を有する多孔質樹脂被膜を形成する成分を配合してなるので、摺動部材の表面に上記摺動部材表面被膜を形成することが可能である。
本発明の摺動部材は、10%以上の連通孔率を有する多孔質樹脂からなる表面被膜を有する。この表面被膜は潤滑油を含浸することができる。
以下、連通孔率に続いて本発明の樹脂塗料組成物を構成する樹脂、気孔形成材および硬質粒子について説明し、次に樹脂溶媒、抽出溶媒、多孔質樹脂被膜形成方法および摺動部材表面被膜について説明する。
内部に気孔を有する多孔質体材料の連通孔率について考える場合、多孔質体材料が1個の球体が集まった複数個の球体の集合体と、個々の球体間の間隙に存在する空間である気孔とからなると考えると、球体を点接触により最も密に充填する形態として面心立方格子、六方最密充填があり、それらの充填率は、(球の体積÷外接立方体の体積)÷(正三角形の高さ÷底辺)÷(正四面体の高さ÷一辺)で計算され、共に 74%である。(100−充填率)として定義される連通孔率としては 26%になる。
以上の計算は、同一サイズの球体を考えた場合であるが、複数のサイズの球体を充填した場合は、六方最密充填よりも充填率は大きくなり、連通孔率は小さくなる。
また、粉末状の球体樹脂粒子を圧縮成形した後に焼結する場合、点接触はあり得ず、球体樹脂粒子は変形して面接触する。このため、六方最密充填よりも充填率はより大きくなり、連通孔率はより小さくなる。このため従来の焼結樹脂成形体の連通孔率は 20%程度が限界となっている。また被膜とした場合、樹脂成分が気孔形成材内部に入り込む可能性があるため、連通孔率はさらに小さくなる。
本発明における連通孔率は、樹脂成形体において相互に連続している気孔の総体積が樹脂成形体の体積に占める割合をいう。
具体的には、連通孔率は数1内の式(1)に示す方法で算出した。
Figure 0004659415
上記、数1において、各符号の意味を以下に示す。
V;焼成された洗浄前成形体の体積
ρ;焼成された洗浄前成形体の密度
W;焼成された洗浄前成形体の重量
V1;樹脂粉末の体積
ρ1;樹脂粉末の密度
W1;樹脂粉末の重量
V2;気孔形成材の体積
ρ2;気孔形成材の密度
W2;気孔形成材の重量
V3;洗浄後の多孔質樹脂の体積
W3;洗浄後の多孔質樹脂の重量
V'2;洗浄後に多孔質樹脂に残存する気孔形成材の体積
本発明においては、以下に述べる製造方法により、10%以上、好ましくは 20%以上、より好ましくは 30%〜70%の連通孔率を有する多孔質樹脂被膜が得られる。10%未満では油潤滑による特徴的な優れた摺動特性を示すことができない。本発明の摺動部材表面被膜に用いられる多孔質樹脂被膜は、膜厚が数 10μm から数 100μm であり、気孔の大きさと同水準の厚みであることから、10%程度の少ない連通孔率でも表面から連通させることができる。なお、潤滑剤が希薄な使用条件で優れた摺動特性を発揮するためには、30%以上の連通孔率を有することが好ましい。
本発明の樹脂塗料組成物に使用できる樹脂としては、摺動部材の高温下での使用時に熱劣化することのない耐熱性と、潤滑性に優れた樹脂であれば使用することができる。具体的には、PI系樹脂、PTFE樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂などを挙げることができる。
これらの中でも、特にPI系樹脂およびPTFE樹脂からなる樹脂混合物に後述の硬質粒子および気孔形成材を配合した樹脂塗料組成物が、耐摩擦摩耗特性に優れた摺動部材表面被膜を形成するのに好適である。
本発明に使用することのできるPI系樹脂とは、分子内に少なくともイミド結合を有する樹脂であって、摺動部材の高温下での使用時に熱劣化することなく、PTFE樹脂と硬質粒子とを結着するとともに、摺動部材表面との接着性に優れた樹脂であれば使用することができる。たとえばPI樹脂、PAI樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステルアミドイミド樹脂等を挙げることができる。これらPI系樹脂の中で、PI樹脂およびPAI樹脂が好適である。また、イミド結合またはアミド結合とが芳香族基を介して結合している芳香族系PI樹脂または芳香族系PAI樹脂が特に好ましい。芳香族系樹脂であると、PTFE樹脂と硬質粒子との結着性に優れ、かつ得られる被膜層の耐熱性が優れる。PI樹脂は、酸二無水物とジアミンとをN-メチル-2- ピロリドン(NMP)やジメチルアセトアミド(DMAC)等の非プロトン系極性溶媒中で開環重付加反応により得られるPI樹脂前駆体のポリアミドカルボン酸を加熱脱水閉環することなどにより得られる。耐摩耗性・非粘着性コーティング剤における樹脂成分としては、ポリアミドカルボン酸の状態であっても、またPI樹脂の状態であっても、さらにはこれらが混在している状態であっても使用することができる。
PAI樹脂は、分子内にイミド結合とアミド結合とを有する樹脂である。また、芳香族系PAI樹脂のイミド結合は、ポリアミド酸などの前駆体であっても、また閉環したイミド環であってもよく、さらにはそれらが混在している状態であってもよい。このような芳香族系PAI樹脂は、芳香族第一級ジアミン、たとえばジフェニルメタンジアミンと芳香族三塩基酸無水物、たとえばトリメリット酸無水物のモノまたはジアシルハライド誘導体から製造されるPAI樹脂、芳香族三塩基酸無水物と芳香族ジイソシアネート化合物、たとえばジフェニルメタンジイソシアネートとから製造されるPAI樹脂などがあり、さらに、アミド結合に比べてイミド結合の比率を大きくしたPAI樹脂として、芳香族、脂肪族または脂環族ジイソシアネート化合物と芳香族四塩基酸二無水物および芳香族三塩基酸無水物とから製造されるPAI樹脂等があり、いずれのPAI樹脂であっても使用することができる。
また、PI樹脂と、PAI樹脂とを併用することもできる。
本発明に使用できるPI樹脂およびPAI樹脂は、後述のPTFE樹脂、気孔形成材および硬質粒子を配合しやすい樹脂溶液が好ましい。また、PAI樹脂を粉末として使用することもできる。
本発明に使用することのできるPTFE樹脂は、−CF2 CF2 −の繰り返し単位より構成され、融点が 327℃であり、約 340〜 380℃で溶融粘度が約1010〜1011Pa・s と高く、融点をこえても流動し難く、優れた耐熱性により、内燃機関のピストンのように高温雰囲気下にさらされるような摺動部材にも好適である。PTFE樹脂の市販品としては、フルオンL169、同170、同171(以上、英国アイ・シー・アイ社製商品名)、ポリフロンM15、ルブロンL−2、同L−5、同LD−1(以上、ダイキン工業社製商品名)、テフロン7J、同TLP−10、同TLP−10F−1(以上、デュポン社製商品名)、フルオンG163(旭硝子社製商品名)等を挙げることができる。また、未成形のPTFE樹脂よりも一度焼成したPTFE樹脂を粉砕した再生PTFE樹脂を用いることや、再生PTFE樹脂に代え、もしくは再生PTFE樹脂とともに、未成形のPTFE樹脂にγ線照射処理をして低分子量化したPTFE樹脂粉末を使用することができる。γ線照射処理をした市販の潤滑剤用PTFE樹脂としては、喜多村社製商品名、KT400Hを例示することができる。
PTFE樹脂の形態は、成形用の粉末であってもよく、また、いわゆる固体潤滑剤の微粉末であってもよい。その平均粒径は 0.1〜20μm 、好ましくは 0.2〜10μmの範囲である。平均粒径がこの範囲内にあると、樹脂塗料組成物中で凝集などを起こさず、また塗布、乾燥、焼成後の塗膜および被覆層の平滑性が維持される。
本発明に使用できるPTFE樹脂の配合割合は、樹脂塗料組成物の固形分に対して、1 体積%〜60 体積%、好ましくは 5 体積%〜30 体積%とする。1 体積%未満では効果はなく、60 体積%をこえると所望の機械的強度が得られない。
本発明に使用できる気孔形成材としては、樹脂の焼成温度よりも高い融点を有し、該樹脂および硬質粒子とともに配合されて被覆層とされた後、その樹脂および硬質粒子を溶解しないで気孔形成材を溶解する抽出溶媒を用いて被覆層から溶解されて抽出できる物質であれば使用できる。
気孔形成材は、無機塩化合物、有機塩化合物、またはこれらの混合物であることが好ましく、特に洗浄抽出工程が容易となる水溶性物質であることが好ましい。また、アルカリ性物質、好ましくは防錆剤として使用できる弱アルカリ性物質が好ましい。弱アルカリ塩としては、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、無機アルカリ金属塩、無機アルカリ土類金属塩などが挙げられる。未抽出分が脱落したときも、比較的軟らかく、転動面やすべり面を損傷し難いことから、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩を用いることが好ましい。なお、これらの金属塩は1種または2種以上混合して用いてもよい。また、抽出溶媒として安価な水を使用することができ、気孔形成時における廃液処理などが容易となることから水溶性の弱アルカリ塩を使用することが好ましい。
また、焼成時における気孔形成材の溶融を防止するため、気孔形成材は使用する樹脂の焼成温度よりも高い融点の物質を使用する。
本発明に好適に用いることができる水溶性有機アルカリ金属塩としては、安息香酸ナトリウム(融点 430℃)、酢酸ナトリウム(融点 320℃)またはセバシン酸ナトリウム(融点 340℃)、コハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。融点が高く、多種の樹脂に対応でき、かつ水溶性が高いという理由から、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムまたはセバシン酸ナトリウムが特に好ましい。
無機アルカリ金属塩としては、例えば、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明に使用できる気孔形成材の平均粒径は 1〜500μmに管理することが好ましい。より好ましくは 1〜200μm、さらにより好ましくは 1〜40μmの範囲である。
本発明に使用できる気孔形成材の配合割合は、樹脂粉末、気孔形成材および硬質粒子を含めた全量に対して、10 体積%以上、好ましくは 20 体積%以上、より好ましくは 30 体積%〜70 体積%とする。
抽出溶媒による気孔形成材の抽出後、被覆層に残存する気孔形成材は微量であるので、気孔形成材の体積が略連通孔の体積になると考えると、気孔形成材の配合割合が、10 体積%未満では油潤滑による特徴的な優れた摺動特性を示すことができない。また、潤滑剤が希薄な使用条件で優れた摺動特性を発揮するためには、 30 体積%〜70 体積%の気孔形成材を配合することが好ましい。
本発明に使用できる硬質粒子は、摺動部材の表面被膜となる多孔質樹脂の弾性率を向上させて接触面積を小さくすることによって潤滑油の介在性を向上させる目的で配合される。また、多孔質樹脂被膜の耐摩耗性を向上させる目的で配合される。
本発明に使用できる硬質粒子の添加量は、樹脂、気孔形成材を含めた全量に対して、1〜60 体積%が好ましく、望ましくは 3〜30 体積%である。1 体積%未満では効果はなく、60 体積%をこえると塗装性が悪い。
本発明に使用できる硬質粒子の形状としては、燃焼法等で製造される球状のものが相手材への攻撃性も低く、また、塗料の増粘も小さく、最も望ましい。気相成長で製造される塊状が次によい。次いで破砕法で製造される破砕粉が好ましい。
本発明に使用できる樹脂溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メチルイソピロリドン(MIP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)等の非プロトン系極性の樹脂溶媒などを使用することができる。これらの樹脂溶媒は、非プロトン系極性成分を必須成分として含むことが好ましい。また、非プロトン系極性溶媒と他の樹脂溶媒とを併用することができる。
本発明に使用できる抽出溶媒は、上記気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂および硬質粒子を溶解しない抽出溶媒であり、例えば、水、および水と相溶できるアルコール系、エステル系、ケトン系溶媒などを用いることができる。これらの中で、樹脂および気孔形成材の種類によって上記条件に従い適宜選択される。また、これらの抽出溶媒は1種または2種以上を混合し使用してもよい。廃液処理などが容易、安価などの利点から水を用いることが好ましい。
本発明の樹脂塗料組成物を得る方法として以下の方法が挙げられる。
(1)PI系樹脂を樹脂溶媒に溶解してなる樹脂ワニスに、気孔形成材および硬質粒子を配合して、均一に撹拌する方法。
(2)PTFE樹脂粉末、気孔形成材および硬質粒子を抽出溶媒に配合し、撹拌して気孔形成材を溶解させると共にPTFE樹脂粉末および硬質粒子を分散させた後、抽出溶媒を除去して気孔形成材配合物を得る。次いで、この気孔形成材配合物を樹脂ワニスに配合して、均一に撹拌する方法。
(3)PI系樹脂粉末、気孔形成材および硬質粒子を抽出溶媒に配合し、撹拌して気孔形成材を溶解させると共にPI系樹脂粉末および硬質粒子を分散させた後、抽出溶媒を除去して気孔形成材配合物を得る。次いで、この気孔形成材配合物を樹脂溶媒に配合して、均一に撹拌する方法。
(4)PI系樹脂粉末、気孔形成材および硬質粒子を樹脂溶媒に配合して、均一に撹拌する方法。
(5)PI系樹脂粉末、気孔形成材および硬質粒子を樹脂溶媒に配合して、均一に撹拌した後、樹脂溶媒を除去して粉砕し、粉体の樹脂塗料組成物とする方法。
上記樹脂塗料組成物において、硬質粒子は必要に応じて配合される。また、耐摩擦摩耗特性を向上させる目的でPTFE樹脂粉末を上記樹脂塗料組成物に配合することもできる。
上記方法において、気孔形成材を抽出溶媒に溶解させると共に他の成分を溶解または分散させる方法としては、液中混合できる方法であれば特に限定されるものではなく、ボールミル、超音波分散機、ホモジナイザー、ジューサーミキサー、ヘンシェルミキサーなどが例示できる。また、分散液の分離を抑えるために少量の界面活性剤を添加することも有効である。なお、混合時においては、混合により気孔形成材が完全に溶解するよう抽出溶媒量を確保する。
また、抽出溶媒を除去する方法としては、加熱蒸発、真空蒸発、窒素ガスによるバブリング、透析、凍結乾燥などの方法を用いることができる。手法が容易で、設備が安価であることから加熱蒸発により抽出溶媒の除去を行なうことが好ましい。
本発明の樹脂塗料組成物における固形分濃度は、5 重量%〜50 重量%、好ましくは 5 重量%〜40 重量%、より好ましくは 5 重量%〜30 重量%である。固形分濃度が 5 重量%未満であると、過剰な樹脂溶媒分の処理工程が増えるため工程上不利となる。固形分濃度が 50 重量%をこえると、固形分量が多すぎることとなり、スプレーガン等の霧化手段においてノズルの液づまりの原因となりやすくなる。
本発明の樹脂塗料組成物を摺動部材の外周面に塗布する方法は、ディッピング法、ローラ塗布法、刷毛塗り法、スプレー塗布法、印刷塗布法など種々の方法を採用することができる。これらの方法の中でも、摺動部材に対する塗膜の膜厚の精度が要求される場合には、霧状の塗布液を摺動部材外周面の一部に吹き付けることのできるスプレー塗布法が好ましい。
本発明の樹脂塗料組成物を塗布された摺動部材から樹脂溶媒を除去する方法としては、加熱蒸発、真空蒸発、窒素ガスによるバブリング、透析、凍結乾燥などの方法を用いることができる。手法が容易で、設備が安価であることから加熱蒸発を行なう乾燥による樹脂溶媒の除去を行なうことが好ましい。乾燥温度は、5℃〜100℃の範囲で 10 分〜2 時間保持させることが好ましい。これにより、焼成後被覆層となる塗膜の発泡などを抑えることができる。
乾燥された塗膜は次に、焼成される。焼成温度は、使用する気孔形成材の融点未満の温度であって、150℃〜450℃の温度範囲が適当である。気孔形成材として安息香酸ナトリウム(融点 430℃)を使用する場合の焼成温度は 150℃〜430℃未満である。 150℃未満であると結着性樹脂などの硬化反応が進行しない場合が多い。また、焼成は、たとえば 80℃〜130℃〜180℃というように数段階に分け、30 分〜240 分の範囲内で 30 分〜120 分ごとに徐々に焼成温度まで昇温させることが好ましい。これにより、結着性樹脂などの硬化反応が徐々に確実に進行し、均一な密着強度を有する被覆層を形成することができる。また、被覆層にちぢみ、しわ、わき、われ等の発生を防ぐこともできる。焼成時の最高温度の保持時間は、15〜60 分、好ましくは 30〜45 分の範囲であればよい。最高温度の保持時間が 15 分未満では結着性樹脂などの硬化反応が不十分で、60 分をこえると摺動部材基材への熱的影響が心配され、また焼成設備の消費電力量も多くなる。さらに製造工程の時間も長くなり、コストが高くなり好ましくない。
焼成工程後の冷却は、焼成工程時と逆の段階を経て冷却してもよく、また 60〜180 分程度の時間をかけて連続的に徐冷してもよい。このように徐冷することにより被覆層と摺動部材基材とが互いに均一に精度よく収縮し、精度の高い摺動部材を得ることができる。合計の焼成時間としては約 2〜10 時間に調整すればよい。
本発明の摺動部材表面に形成される多孔質樹脂被膜は、上記被覆層中に含まれる気孔形成材を溶解し、かつ樹脂および硬質粒子を溶解しない抽出溶媒を用いて被覆層を洗浄することにより気孔形成材を抽出して得られる。例えば、焼成温度X℃の樹脂Aに、このX℃より高い融点Y℃を有する水溶性粉末Bを配合して、X℃で焼成して被覆層とした後、該被覆層を水で洗浄することにより水溶性粉末Bを抽出して多孔質樹脂被膜が得られる。この抽出処理を行なうことにより、気孔形成材が充填されていた部分が溶解され、抽出溶媒の除去および乾燥後、気孔形成材が充填されていた部分に気孔が形成されて多孔質樹脂被膜が得られる。
このようにして得られた摺動部材基材への被膜層の層厚は、 5〜50μm が好ましい。さらに好ましくは 10〜30μm である。被膜層の層厚が薄すぎると相手材との間隙が広がることによる摺動時の異音や振動を十分に抑えることができず、厚すぎると被膜層の密着性が劣るおそれがある。
摺動部材表面に形成される表面被膜は、上記多孔質樹脂被膜にあらかじめ潤滑油を含浸させた状態で使用することができる。
含浸させることができる潤滑油としては、例えば、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油等の鉱油、ポリブデン、ポリαオレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、リン酸エステル、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等、一般に使用されている潤滑油であれば特に限定することなく使用できる。
上記潤滑油には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、極圧剤、酸化防止剤、防錆剤、流動点降下剤、無灰系分散剤、金属系清浄剤、界面活性剤、摩耗調整剤などを配合できる。酸化防止剤としては、フェノ一ル系、アミン系、イオウ系などを単独または、混合して使用できる。
特に潤滑油が含浸された多孔質樹脂被膜から供給される潤滑油は長期にわたり酸化劣化しないことが望まれるので、上記のような酸化防止剤を配合することが好ましい。
含浸方法としては、多孔質樹脂被膜の内部まで含浸できる方法であればよい。潤滑油が満たされた含浸槽に多孔質樹脂被膜を浸漬した後、減圧して含浸する減圧含浸が好ましい。また、高粘度のシリコーン油などを用いる場合、加圧含浸することができる。これらを組み合わせた加圧減圧含浸としてもよい。
本発明の摺動部材表面に形成される被膜は、10%以上の表面連通孔を有する多孔質樹脂被膜であるので、表面の気孔の窪みによるディンプル効果で油膜が形成されやすく、また摺動部材の潤滑油が使用中に材料内に侵入しているので、起動時の無潤滑状態となる場合でも、良好な油膜を形成することができる。また、初期の摺動特性が重要となる場合にはあらかじめ潤滑油を含浸しておくとより好ましい結果が得られる。
実施例1
固形分体積比 70 : 10 : 20 でPAI樹脂ワニス(日立化成工業(株)製HPC−4250−30)、球状アルミナ(アドマテックス(株)製アドマファインAQ−502)、気孔形成材である安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)をミキサーにて 5 分間混合して得た樹脂塗量組成物を、φ33 mm×6 mm のSUS304円盤にディッピング法にて塗布し、乾燥( 100℃×30 分間)させ、焼成( 180℃×1 時間)し、膜厚 50μm の気孔形成材含有塗膜を得た。その後、気孔形成材含有塗膜を 80℃の温水で超音波洗浄器にて洗浄し気孔形成材を溶出させ、乾燥し、連通孔率 38%の多孔質樹脂被膜試験片を得た。
実施例2
固形分体積比 70 : 10 : 20 でPAI樹脂ワニス(日立化成工業(株)製HPC−4250−30)、球状アルミナ(アドマテックス(株)製アドマファインAQ−502)、気孔形成材である安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)をミキサーにて 5 分間混合して得た樹脂塗量組成物を、φ33 mm×6 mm のSUS304円盤にディッピング法にて塗布し、乾燥( 100℃×30 分間)させ、焼成( 180℃×1 時間)し、膜厚 50μm の気孔形成材含有塗膜を得た。その後、気孔形成材含有塗膜を 80℃の温水で超音波洗浄器にて洗浄し気孔形成材を溶出させ、乾燥し、連通孔率 38%の多孔質樹脂被膜含有体とした後、オートマチックトランスミッション油(昭和シェル石油(株)製デキシロン2)を真空含浸法にて含浸し、多孔質樹脂被膜試験片を得た。
実施例3
固形分体積比 60 : 10 : 10 : 20 でPAI樹脂ワニス(日立化成工業(株)製HPC−4250−30)、PTFE樹脂(スリーエム(株)製ホスタフロンTF9207)、球状アルミナ(アドマテックス(株)製アドマファインAQ−502)、気孔形成材である安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)をミキサーにて 5 分間混合して得た樹脂塗量組成物を、φ33 mm×6 mm のSUS304円盤にディッピング法にて塗布し、乾燥( 100℃×30 分間)させ、焼成( 180℃×1 時間)し、膜厚 50μm の気孔形成材含有塗膜を得た。その後、気孔形成材含有塗膜を 80℃の温水で超音波洗浄器にて洗浄し気孔形成材を溶出させ、乾燥し、連通孔率 38%の多孔質樹脂被膜試験片を得た。
実施例4
固形分体積比 60 : 10 : 10 : 20 でPAI樹脂ワニス(日立化成工業(株)製HPC−4250−30)、PTFE樹脂(スリーエム(株)製ホスタフロンTF9207)、球状アルミナ(アドマテックス(株)製アドマファインAQ−502)、気孔形成材である安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)をミキサーにて 5 分間混合して得た樹脂塗量組成物を、φ33 mm×6 mm のSUS304円盤にディッピング法にて塗布し、乾燥( 100℃×30 分間)させ、焼成( 180℃×1 時間)し、膜厚 50μm の気孔形成材含有塗膜を得た。その後、気孔形成材含有塗膜を 80℃の温水で超音波洗浄器にて洗浄し気孔形成材を溶出させ、乾燥し、連通孔率 38%の多孔質樹脂被膜含有体とした後、オートマチックトランスミッション油(昭和シェル石油(株)製デキシロン2)を真空含浸法にて含浸し、多孔質樹脂被膜試験片を得た。
実施例5
固形分体積比 60 : 10 : 10 : 20 でPI樹脂ワニス(宇部興産(株)製U−ワニス−A)、PTFE樹脂(スリーエム(株)製ホスタフロンTF9207)、球状アルミナ(アドマテックス(株)製アドマファインAQ−502)、気孔形成材である安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)をミキサーにて 5 分間混合して得た樹脂塗量組成物を、φ33 mm×6 mm のSUS304円盤にディッピング法にて塗布し、乾燥( 100℃×30 分間)させ、焼成( 350℃×1 時間)する操作を2回繰り返し、膜厚 50μm の気孔形成材含有塗膜を得た。その後、気孔形成材含有塗膜を 80℃の温水で超音波洗浄器にて洗浄し気孔形成材を溶出させ、乾燥し、連通孔率 38%の多孔質樹脂被膜試験片を得た。
実施例6
固形分体積比 60 : 10 : 10 : 20 でPI樹脂ワニス(宇部興産(株)製U−ワニス−A)、PTFE樹脂(スリーエム(株)製ホスタフロンTF9207)、球状アルミナ(アドマテックス(株)製アドマファインAQ−502)、気孔形成材である安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)をミキサーにて 5 分間混合して得た樹脂塗量組成物を、φ33 mm×6 mm のSUS304円盤にディッピング法にて塗布し、乾燥( 100℃×30 分間)させ、焼成( 350℃×1 時間)する操作を2回繰り返し、膜厚 50μm の気孔形成材含有塗膜を得た。その後、気孔形成材含有塗膜を 80℃の温水で超音波洗浄器にて洗浄し気孔形成材を溶出させ、乾燥し、連通孔率 38%の多孔質樹脂被膜含有体とした後、オートマチックトランスミッション油(昭和シェル石油(株)製デキシロン2)を真空含浸法にて含浸し、多孔質樹脂被膜試験片を得た。
比較例1
固形分体積比 80 : 10 : 10 でPAI樹脂ワニス(日立化成工業(株)製HPC−4250−30)、球状アルミナ(アドマテックス(株)製アドマファインAQ−502)、PTFE樹脂粉末(スリーエム(株)製ホスタフロンTF9207)をミキサーにて 5 分間混合して得た樹脂塗量組成物を、φ33 mm×6 mm のSUS304円盤にディッピング法にて塗布し、乾燥( 100℃×30 分間)させ、焼成( 180℃×1 時間)し、膜厚 50μm の樹脂混合体被覆試験片を得た。
実施例1および実施例6で得られた多孔質樹脂被膜試験片および比較例1で得られた樹脂混合体被覆試験片を以下の方法にて、摺動特性を評価した。結果を表1に示す。
油中摺動試験:
油中での摩擦摩耗特性を調べるために以下の試験条件にてリングオンディスク試験を行なった。
油:オートマチックトランスミッション油(昭和シェル石油(株)製デキシロン2)
面圧:5.5 MPa、速度:64 m/分、時間:5 時間
試験片:φ33 mm×6 mm、膜厚:50μm
相手材:φ17 mm×φ21 mm×10 mm、SUJ2(表面粗さRa 0.5μm)
測定項目:比摩耗量(×10-8 mm3/(N・m))
無潤滑摺動試験:
無潤滑での摩擦摩耗特性を調べるために以下の試験条件にてリングオンディスク試験を行なった。
面圧:5.5 MPa、速度:64 m/分、時間:30 分間
試験片:φ33 mm×6 mm、膜厚:50μm
相手材:φ17 mm×φ21 mm×10 mm、SUJ2(表面粗さRa 0.5μm)
測定項目:比摩耗量(×10-8 mm3/(N・m))
Figure 0004659415
油中摺動試験において、連通孔率 38%のPAI多孔質樹脂被膜試験片である実施例1、実施例3および実施例5は、PAI樹脂およびPTFE樹脂の混合体被覆試験片である比較例1に比べて、摩耗量が 70%〜80%減少し、良好な摩耗特性を示した。これは、比較例1では摺動部材自体に潤滑油を取り込む機能がないため、摺動面への潤滑油の供給が、摺動面に潤滑油が接触する微細な間隙に限定され、微量に留まることに対し、実施例1、実施例3および実施例5では摺動部材が保有する連通孔によって油中から潤滑油を取り込むとともに、取り込んだ潤滑油を連通孔を経由して摺動面に十分供給することができるために、摩耗量が少なくなることによると考えられる。また、PAI多孔質樹脂被膜試験片にあらかじめ、潤滑油を含浸した実施例2、実施例4および実施例6の摩耗量は、実施例1、実施例3および実施例5の摩耗量に比べて 25%〜33%減少した。これはあらかじめ含浸された潤滑油が摺動初期段階から摺動面に供給されるために、摺動特性がさらに向上するものと考えられる。
無潤滑摺動試験において、実施例2、実施例4および実施例6は比較例1に比べて、摩耗量が 88%〜93%減少した。これは無潤滑摺動状態では、比較例1が配合物自体の潤滑性に留まることに対し、実施例2、実施例4および実施例6ではあらかじめ多孔質樹脂被膜に潤滑油を保有しているために、摺動面への潤滑油の供給が連通孔を経由して十分になされることにより、優れた摺動特性が得られるものと考えられる。
また、PTFE樹脂をPI系樹脂と併用する場合は、PI系樹脂単独の場合に比べて、耐摩擦摩耗特性の向上が認められた。これはPTFE樹脂の潤滑性が寄与しているものと考えられる。
本発明の摺動部材は、10%以上の連通孔率を有する多孔質樹脂被膜が表面に形成され、該多孔質樹脂被膜が、連通孔を介して潤滑油の含浸と、摺動面への潤滑油の供給とを可能にするため、高強度と長期間潤滑性とを必要とする摺動部材として好適に利用できる。
また、耐焼付き性が高いことから自動車やオートバイはもとより冷却能力が水冷式よりも低い空冷式エンジンないしはオイルクーラーの省略された芝刈り機、草刈り機、ウェルダー、小型発電機等の潤滑条件の厳しい小型の汎用内燃機関、空気圧縮機およびアクチュエータなどに用いられるピストン等に、好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 基材の表面の少なくとも摺動部分に表面被膜が形成されている摺動部材であって、前記表面被膜は多孔質樹脂被膜であり、
    前記多孔質樹脂被膜は、樹脂と、有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれた少なくとも一つの気孔形成材と、硬質粒子とを含む被覆層とした後、前記気孔形成材を溶解し、かつ前記樹脂および硬質粒子を溶解しない抽出溶媒を用いて前記被覆層から前記気孔形成材を抽出して得られる連通孔を有し、その連通孔率が 10%以上であり、該多孔質樹脂被膜内に前記気孔形成材の未抽出分が残存していることを特徴とする摺動部材。
  2. 前記連通孔に潤滑油が含浸されてなることを特徴とする請求項記載の摺動部材。
  3. 樹脂と、気孔形成材と、硬質粒子とが配合されてなる、前記気孔形成材の未抽出分が残存する多孔質樹脂被膜を形成するための樹脂塗料組成物であって、前記気孔形成材は、塗膜形成後に、前記気孔形成材を溶解し、かつ前記樹脂および硬質粒子を溶解しない抽出溶媒により抽出される物質であり、有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする樹脂塗料組成物。
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