JP2002129183A - 摺動材組成物および潤滑性付与剤 - Google Patents

摺動材組成物および潤滑性付与剤

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JP2002129183A JP2001175659A JP2001175659A JP2002129183A JP 2002129183 A JP2002129183 A JP 2002129183A JP 2001175659 A JP2001175659 A JP 2001175659A JP 2001175659 A JP2001175659 A JP 2001175659A JP 2002129183 A JP2002129183 A JP 2002129183A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑剤を摺動部表面に継続的に供給すること
が可能となる優れた低摩擦・低摩耗性を有する摺動材組
成物を提供する。 【解決手段】 基材に多孔質シリカおよび潤滑剤を少な
くとも配合してなる、または、基材に潤滑剤が含浸され
た多孔質シリカを少なくとも配合してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動材組成物およ
び潤滑性付与剤に関し、潤滑剤を微量ずつ継続的に摺動
界面に滲み出させることができる潤滑性樹脂組成物、潤
滑性エラストマー組成物、潤滑性塗膜組成物などの摺動
材組成物、および基材に配合することで潤滑性を付与で
きる潤滑性付与剤に関する。
【0002】
【従来の技術】潤滑性樹脂組成物を成形して得られる樹
脂摺動材、ゴム弾性を有する摺動材、潤滑性塗膜などの
摺動材組成物に求められる機能は、年々厳しさを増して
おり、初期状態における優れた低摩擦・低摩耗化と、そ
の初期摺動性を長期間維持することが強く求められてい
る。これまで低摩擦・低摩耗化のためには、黒鉛やポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化モリブデ
ン(MoS2)、窒化硼素(BN)等の固体潤滑材を配
合したり、ガラス繊維やカーボン繊維等の補強材を樹脂
に配合したりして摺動特性を付与してきた。しかし、固
体潤滑材の配合のみでは、摩擦特性の低下には限界があ
り、潤滑油などの潤滑剤を配合する手法が試みられてい
る。
【0003】また、潤滑性付与剤としては固体潤滑材で
ある黒鉛、PTFE、二硫化モリブデン、BN等の固体
潤滑剤がある。これらの潤滑性付与剤を樹脂、ゴム、コ
ーティング膜等に配合して潤滑性を持たせた材料は一般
的に知られている。しかし、上記の固体潤滑剤を配合し
た場合は摩擦係数の低減には限界が有り、材料のさらな
る低摩擦化には対応できていないのが現状である。さら
なる低摩擦化のためには、油による境界潤滑とすること
が一般的であり、例えば材料に潤滑油を配合し、摺動界
面に絶えず潤滑油が存在する状態を維持できれば、材料
の低摩擦化が実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂材
等に潤滑剤のみを配合した場合、以下に示すいろいろな
問題がある。例えば、樹脂材に潤滑剤として潤滑油のみ
を分散させた場合、混練により油の分散単位が変化する
ため、一定の摺動特性をもつ材料を安定して製造するこ
とが困難である。また、摺動特性(摩擦特性)を向上さ
せるためには、潤滑油の配合量は多いほうが好ましい
が、潤滑油の配合量が多くなると混練時にスクリュのす
べりやあるいは計量時間が不安定となってサイクルタイ
ムが長くなる等、安定して製造することが困難となる。
また、金型に油が付着したり、寸法精度が出にくくなっ
たりする等の問題もある。さらに、潤滑油と基材との相
溶性が悪い場合など、その組み合わせによっては、潤滑
油が均一に基材に分散できないという問題がある。
【0005】潤滑油を配合させた樹脂材料は、摺動時に
ベースの樹脂層が少しずつ摩耗して潤滑油層が摺動部に
現れると、潤滑油が摺動部表面に滲み出す。潤滑油の滲
み出し具合は制御することが困難であり、潤滑油が滲み
出した跡の空孔は樹脂層の強度低下を引き起こすおそれ
があるという問題がある。さらに充填材を加えて機械的
強度や耐摩耗性を向上させようとすると、充填材の界面
に油が局在化するため、補強効果が十分とならない場合
がある。
【0006】本発明は、このような問題に対処するため
になされたもので、潤滑剤を摺動部表面に継続的に供給
することが可能となる優れた低摩擦・低摩耗性を有する
摺動材組成物および配合剤としての潤滑性付与剤を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の摺動材組成物
は、基材に多孔質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合
してなることを特徴とする。また、上記多孔質シリカ
は、潤滑剤が含浸された多孔質シリカであることを特徴
とする。
【0008】本発明の他の摺動材組成物は、基材に潤滑
剤が含浸された多孔質シリカを少なくとも配合してなる
ことを特徴とする。
【0009】上記摺動材組成物に用いられる多孔質シリ
カが連続孔を有する球状多孔質シリカであることを特徴
とする。また、その球状多孔質シリカの平均粒子径が
0.5〜100 μm であることを特徴とする。
【0010】本発明の潤滑性付与剤は、基材に配合して
潤滑性を付与するものであって、潤滑剤が含浸された多
孔質シリカからなることを特徴とする。また、上記多孔
質シリカが連続孔を有する球状多孔質シリカであること
を特徴とする。また、上記球状多孔質シリカの平均粒子
径が 0.5〜100 μm であることを特徴とする。
【0011】本発明において、基材とは摺動材を形成で
きる物質をいい、特に樹脂材料、ゴム弾性を有する材
料、塗膜を形成できる材料をいう。
【0012】持続性ある摺動特性を有する摺動材を得る
ために潤滑剤を配合する場合、多孔質シリカ、特に連続
孔を有する多孔質シリカを利用することにより摩擦・摩
耗特性を向上させるとともに、その特性が長期間維持で
きることを見出した。本発明はこのような知見に基づく
ものである。多孔質シリカを配合することにより、次の
ような作用が認められた。 (1)摺動界面に継続して潤滑剤を供給できるので、優
れた摩擦・摩耗特性を持続できる。 (2)成形性が確保できる範囲内で樹脂やエラストマー
等に潤滑剤を配合し、さらに潤滑剤が含浸された多孔質
シリカを配合することで、組成物中の含油量を多くでき
るので、従来の潤滑剤配合量よりも多く配合できる。 (3)潤滑剤が含浸された多孔質シリカを配合すること
により潤滑剤成分が多孔質シリカに保持されるので、単
に多量の潤滑剤を配合した場合に比較して、射出成形時
等にスクリュがすべる、計量が不安定となってサイクル
タイムが長くなる、寸法精度がでにくい、金型表面に潤
滑剤が付着して成形面の仕上がりが悪くなるなどの不具
合が生じない。 (4)樹脂やエラストマー材料と潤滑油との相溶性によ
り、これまで混練できなかった材料の組み合わせでも、
問題なく混練できる。 (5)多孔質シリカの中でも、特に球状多孔質シリカは
摺動界面のせん断力で破壊するため、摺動する相手材が
軟質材でも傷をつけない。 (6) 含油樹脂と補強材との併用を考えた場合、潤滑
剤と補強材とをそれぞれ単体で配合して混練すれば補強
材と樹脂との界面に潤滑剤が局存化するため、補強効果
が十分発揮できない場合が生じる。しかし、潤滑剤を多
孔質シリカ、特に球状多孔質シリカに含浸させて補強材
と混練すれば、補強材と樹脂との界面に潤滑剤が存在し
ないため、所定の補強効果が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に使用できる基材として
は、樹脂材料、ゴム弾性を有する材料、塗膜を形成でき
る材料等が挙げられる。ここで各材料は、樹脂単体など
の材料単体、または各材料単体に補強材などが配合され
ている場合を含む。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂等、摺動材として使用できる形態を形成で
きる合成樹脂であれば特に限定されない。例えば、低密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリ
エチレン等のポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹
脂、水架橋ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、芳香
族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフル
オロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、
テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共
重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体樹脂、フッ化ビニリデン
樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹
脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート
樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリケ
トン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリオキサゾリ
ン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテ
ルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミ
ドイミド樹脂、、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱
可塑性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂等を例示できる。また、上記合成樹
脂から選ばれた2種以上の材料の混合物、すなわちポリ
マーアロイなどを例示できる。
【0014】ゴム弾性を有する材料としては、各種有機
合成法にて合成され、加硫により室温においてゴム状弾
性を有するものであれば使用することができる。また、
ハードセグメントとソフトセグメントから構成されるエ
ラストマーであっても使用できる。例えば、アクリロニ
トリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴ
ム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴ
ム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ
素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化
ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロ
ルヒドリンゴム等の加硫ゴム類;ポリウレタンエラスト
マー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラスト
マー、ポリブタジエン系エラストマー、軟質ナイロン系
エラストマー等の熱可塑性エラストマー類が例示でき
る。
【0015】塗膜を形成できる材料としては、上記合成
樹脂であって、有機溶媒に溶解あるいは分散できる樹脂
成分であれば使用できる。また、塗膜形成時の硬化反応
で高分子量化する初期縮合物であっても使用できる。
【0016】本発明に使用できる多孔質シリカとは、連
続孔を有し、潤滑剤を含浸・保持できる多孔質シリカで
あれば使用できる。好ましい多孔質シリカは非晶質の二
酸化ケイ素を主成分とする粉末である。例えば、一次粒
子径が 15nm 以上の微粒子の集合体である沈降性シリ
カ、あるいはアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩
を含有したケイ酸アルカリ水溶液を有機溶媒中で乳化
し、炭酸ガスでゲル化させることにより得られる粒子径
が 3〜8nm の一次微粒子の集合体である真球状多孔質シ
リカ(特開2000−143228等)等が挙げられ
る。本発明においては、粒子径が 3〜8nm の一次微粒子
が集合して真球状シリカ粒子を形成した多孔質シリカ
が、連続孔を有しており、摺動界面のせん断力で破壊す
る性質があるため、特に好ましい。真球状シリカ粒子と
しては、平均粒子径が0.5〜100 μm である。このよう
な真球状シリカ粒子は、その内部に潤滑剤を保持するこ
とが可能であり、かつ摺動界面において内部に含浸した
潤滑剤を少量ずつ供給することが可能である。平均粒子
径が 0.5μm 未満では、ハンドリング性が悪い。また、
潤滑剤の含浸量が十分でない。平均粒子径が 100μm を
こえると、溶融樹脂中での分散性が悪い。また、溶融樹
脂の混練時にかかるせん断力により、集合体が破壊し、
球状を保持できない可能性がある。取り扱い易さや摺動
特性の付与を考慮した場合、平均粒子径は 1〜20μm が
特に好ましい。このような真球状多孔質シリカとして
は、旭硝子社製:サンスフェア、鈴木油脂工業社製:ゴ
ットボール等が例示できる。また、多孔質シリカとして
(株)東海化学工業所製:マイクロイドがある。
【0017】粒子径が 3〜8nm の一次微粒子が集合した
真球状シリカ粒子は、比表面積が 200〜900m2/g、好ま
しくは 300〜800m2/g、細孔容積が 1〜3.5ml/g 、細孔
径が 5〜30nm、好ましくは 20 〜30nm、吸油量が 150〜
400ml/100g、好ましくは 300〜4 00ml/100g の特性を有
することが好ましい。また、水に浸漬したのち再度乾燥
しても、上記細孔容積および吸油量が浸漬前の 90 %以
上を保つことが好ましい。ここで、比表面積および細孔
容積は窒素吸着法により、吸油量はJIS K5101
に準じて測定した値である。また、上記真球状シリカ粒
子の内部と外表面はシラノール基(Si−OH)で覆わ
れていることが、潤滑剤を内部に保持しやすくなるため
好ましい。さらに、多孔質シリカは、母材に適した有機
系、無機系などの表面処理を行なうことができる。
【0018】なお、本発明においては、基材との組み合
わせ、配合程度によっては、多孔質シリカとして、平均
粒子径が 1000 μm 程度までは使用可能である。また、
粒子の形状は特に限定されない。例えば、平均粒子径、
比表面積、吸油量等が上記真球状シリカ粒子の範囲内で
あれば、非球状多孔質シリカであっても使用できる。な
お、摺動相手材への攻撃性や混練性の観点から、球状、
真球状の粒子が好ましい。ここで、球状とは長径に対す
る短径の比が 0.8〜1.0 の球をいい、真球状とは球状よ
りもより真球に近い球をいう。
【0019】本発明に使用できる潤滑剤とは、常温で液
体の潤滑油、常温で固体のワックス、あるいは潤滑油に
増ちょう剤を含んだグリース状物質等、潤滑効果を有す
る物質であれば特に限定されない。潤滑油としては、ス
ピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナ
モ油等の鉱油、ポリブテン、ポリαオレフィン、アルキ
ルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、ま
たは、天然油脂とポリオールとのエステル油、リン酸エ
ステル、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン
油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエー
テル油、アルキルベンゼン、フッ素化油等の非炭化水素
系合成油等、潤滑油として汎用されているものであれば
使用できる。潤滑油は、本発明の摺動材組成物が使用さ
れる条件、目標性能に合わせて選択できる。また、樹脂
の混練、成形温度に合わせた耐熱性を有する潤滑油を選
ぶこともできる。特に低摩擦が求められる場合には、シ
リコーン油などを用いることで好ましい結果が得られ
る。シリコーン油は上記真球状多孔質シリカ表面に残存
するシラノール基と親和性があるため特に好ましい。シ
リコーン油としては、官能基を有さないシリコーン油、
官能基を有するシリコーン油のいずれも使用できる。
【0020】ワックスとしては、炭素数が 24 以上のパ
ラフィン系ワックス、炭素数が 26以上のオレフィン系
ワックス、炭素数が 28 以上のアルキルベンゼン、ある
いは結晶性のマイクロクリスタリンワックス等の炭化水
素系ワックス、またはミリスチン酸、パルチミン酸、ス
テアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、炭素数が 18以
上の不飽和脂肪酸(例えばオクタデセン酸、パリナリン
酸等)等の高級脂肪酸誘導体ワックスが挙げられる。高
級脂肪酸誘導体ワックスとしては、1)ベヘン酸エチ
ル、トリコ酸エチルなどの炭素数が 22 以上の高級脂肪
酸メチルおよびエチルエステル、炭素数が略 16 以上の
高級脂肪酸と炭素数が 15 以上の高級1価アルコールと
のエステル、ステアリン酸オクタデシルエステル、炭素
数が 14 以上の高級脂肪酸トリグリセライド等の高級脂
肪酸エステル類、2)パルチミン酸アミド、ステアリン
酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド類、
3)ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等
の高級脂肪酸とアルカリ金属およびアルカリ土類金属と
の塩類等が挙げられる。
【0021】グリース状物質は、基油となる上述の潤滑
油に増ちょう剤が添加されている。増ちょう剤を例示す
れば、1)石けん系として、カルシウム系石けん、ナト
リウム系石けん、リチウム系石けん、バリウム系石け
ん、アルミニウム系石けん、亜鉛系石けん等、2)コン
プレックス石けん系としてカルシウム系コンプレックス
石けん、ナトリウム系コンプレックス石けん、リチウム
系コンプレックス石けん、バリウム系コンプレックス石
けん、アルミニウム系コンプレックス石けん、亜鉛系コ
ンプレックス石けん等、3)非石けん系として、ナトリ
ウムテレフタメート、ジウレア化合物、トリウレア化合
物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・
ウレタン化合物、ジウレタン化合物、シリカエアロゲ
ル、モンモリロナイト、ベントン、ポリテトラフルオロ
エチレン、フルオリネートエチレンプロピレンコポリマ
ー、窒化ホウ素等がある。
【0022】摺動材組成物の配合割合は、多孔質シリカ
が 1〜20 容量%、潤滑剤が 5〜40容量%、残部が基材
であることが好ましい。多孔質シリカが 1 容量%未満
の場合、保油体としての効果が少なく、 20 容量%をこ
えると基材、例えばベース樹脂の量が少なくなり強度が
大幅に低下するおそれがあるので好ましくない。保油体
としての効果、強度面を考慮して多孔質シリカの配合量
は 2〜15 容量%がさらに好ましい。潤滑剤が 5 容量%
未満の場合、潤滑効果が少なく、 40 容量%をこえると
ベース樹脂層の量が少なくなり強度が大幅に低下するお
それがあるので好ましくない。なお、各配合物の容量%
の値にその密度を乗じることにより配合重量を算出でき
る。ここで、多孔質シリカの容量%は、多孔質でない固
体のシリカを配合したと仮定して求めた割合である。す
なわち、多孔質シリカの嵩比重でなく、真比重を用いて
算出したものである。このため、内部に連通した空孔を
有する状態での実際の容量割合は、より大きな値とな
る。
【0023】摺動材組成物の他の形態として、潤滑剤が
含浸された多孔質シリカを基材に配合してもよい。この
場合、摺動材組成物への潤滑剤の配合量が多孔質シリカ
の含浸油量と、多孔質シリカの配合量で定めることがで
きる。好ましい潤滑剤の配合量は少なくとも多孔質シリ
カの 40 容量%以上である。多孔質シリカの内部が適量
の潤滑剤で満たされていない場合、潤滑効果が得られな
い。また、潤滑剤の配合量が多すぎると、球状多孔質シ
リカの内部に潤滑剤が入り切らず、潤滑剤が成形体中で
分散して、樹脂の種類によっては、成形体の強度低下を
招いたり、あるいは成形時に不具合を起したりする原因
となるおそれがある。この場合においても、潤滑剤が含
浸された多孔質シリカの配合量は、摺動材組成物全体に
対して、多孔質シリカとして 1〜20 容量%であること
が好ましい。
【0024】さらに摩擦・摩耗特性を改善して各種機械
物性を向上させるために適当な充填材を添加することが
できる。例えば、ガラス繊維、ピッチ系炭素繊維、PA
N系炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊
維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒化硼素繊維、
アスベスト、石英ウール、金属繊維等の繊維類またはこ
れらを布状に編んだもの、炭酸カルシウム、リン酸リチ
ウム、炭酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、
タルク、シリカ、クレー、マイカ等の鉱物類、酸化チタ
ンウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミ
ニウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカなどの無機ウ
ィスカ類、カーボンブラック、黒鉛、ポリエステル繊
維、ポリイミド樹脂やポリベンゾイミダゾール樹脂等の
各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0025】また、摺動性を向上させる目的で、アミノ
酸化合物やポリオキシベンゾイルポリエステル樹脂、ポ
リベンゾイミダゾール樹脂、液晶樹脂、アラミド樹脂の
パルプ、ポリテトラフルオロエチレンや窒化硼素、二硫
化モリブデン、二硫化タングステン等を配合できる。
【0026】また、摺動材組成物の熱伝導性を向上させ
る目的で、カーボン繊維、金属繊維、黒鉛粉末、酸化亜
鉛等を配合してもよい。および上記充填材を複数組み合
わせて使用することももちろん可能である。なお、この
発明の効果を阻害しない配合量で一般合成樹脂に広く適
用しえる添加剤を併用してもよい。例えば離型剤、難燃
剤、帯電防止剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、着色剤、
導電性付与剤等の工業用潤滑剤を適宜添加してもよく、
これらを添加する方法も特に限定されるものではない。
【0027】本発明における摺動材組成物のうち、潤滑
性樹脂組成物の混練方法は、従来からよく知られた方法
を利用できる。例えばヘンシェルミキサー、ボールミ
ル、タンブラーミキサー等の混合機によって混合した
後、溶融混合性のよい射出成形機もしくは溶融押出し機
(例えば2軸押出し機)に供給するか、またはあらかじ
め熱ローラ、ニーダ、バンバリーミキサー、溶融押出し
機などを利用して溶融混合してもよく、あるいは真空成
形、吹き込み成形、発泡成形、多層成形、加熱圧縮成型
等を行なってもよい。なお、樹脂と多孔質シリカと潤滑
剤との混練に際しては、混練順序は特に限定しないが、
好ましくは多孔質シリカと潤滑剤とをあらかじめ混練
し、多孔質シリカに油を含有させた後で基材となるベー
ス樹脂と混練するのがよい。また、多孔質シリカは吸湿
や吸水しやすいので、混練前に乾燥することが好まし
い。乾燥手段としては特に制限なく、電気炉での乾燥、
真空乾燥などを採用できる。
【0028】潤滑性塗膜組成物の場合、潤滑剤を含浸し
た多孔質シリカを樹脂成分に配合して一般的なコーティ
ング液と混合する。コーティング処理は、通常のコーテ
ィング処理を行なうことも可能である。コーティング処
理を行なう場合、スプレー法や静電塗装法、流動浸漬法
等特に限定されるものではない。
【0029】多孔質シリカと潤滑剤とをあらかじめ混合
する場合、潤滑剤の粘度が高いと球状多孔質シリカの内
部に油が浸透し難い。その際は、油が溶解する適当な溶
媒で希釈し、その希釈液を多孔質シリカに浸透させ、除
々に乾燥させて溶媒を揮発させることで多孔質シリカの
内部に潤滑剤を含浸させる方法もある。あるいは多孔質
シリカを潤滑剤中に浸し、真空引きを行なって強制的に
多孔質シリカの内部に潤滑剤を浸透させる方法、常温で
固体の潤滑剤の場合、適当な温度に加熱し、潤滑剤を溶
融させて含浸させる方法、常温で液体の潤滑剤でも、粘
度が高い場合、適当な温度に加熱し、潤滑剤の粘度を低
下させて含浸させる方法等が有効な手法である。また、
不飽和ポリエステル樹脂などの液状樹脂に球状多孔質シ
リカの油含有物を混合した上で各種織布に含浸させ、そ
れを積層して樹脂摺動材として使用することも可能であ
る。
【0030】さらに、本発明の摺動材組成物の潤滑性を
損なわない限り、中間製品または最終製品の形態におい
て、別途、例えばアニール処理等の化学的または物理的
な処理によって特性改善のための変性が可能である。
【0031】本発明の摺動材組成物の使用例としては、
摺動部分であれば特に限定されない。例えば、すべり軸
受や歯車、すべりシート、シールリング、ローラ、各種
キャリッジなどの摺動部品、転がり軸受の保持器、固形
潤滑剤、転がり軸受のシール、直動軸受のシール、ボー
ルねじのボールとボールの間に入れるスペーサ、転がり
軸受のレース等の摺動材がある。
【0032】本発明の潤滑性付与剤は、上述した多孔質
シリカに潤滑剤を配合して得られる。この潤滑性付与剤
は、樹脂、ゴム、コーティング膜等の摺動材組成物の配
合剤として使用できる。また、グリースの増ちょう剤と
しても使用可能である。
【0033】
【実施例】実施例1 多孔質シリカとして、旭硝子社製商品名:サンスフェア
H32(表中の略号:Si−A)を、ベース樹脂材料と
なるポリエチレン樹脂として、三井石油化学社製商品
名:リュブマーL5000(表中の略号:PE)を、潤
滑油となるシリコーン油として、信越シリコーン社製商
品名:KF96Hを用意する。樹脂組成物全体に対し
て、 3 容量%の多孔質シリカと、 10 容量%のシリコ
ーン油とをあらかじめ混合し、その混合物とポリエチレ
ン樹脂とを2軸押出し装置を用いて溶融混練し、ペレッ
トを作製した。そのペレットを用いて射出成形を行ない
摺動材試験片として、φ3mm ×4mm のピン試験片を作製
した。得られた試験片を用いて、φ3mm 面を回転するデ
ィスク相手に接触させ、以下の条件、評価方法で摩擦・
摩耗試験を行なった。結果を表3に示す。
【0034】摩擦・摩耗試験条件を以下に示す。 相手材:アルミニウム合金A5056(Ra=0.8 μm
) 面圧: 6MPa 周速: 4.2m/min. 温度: 30 ℃ 時間: 20h 評価方法として、試験前のピン長さと試験後のピン長さ
との差から摩耗量を計算した。成形性と試験終了時の動
摩擦係数の測定および試験後の相手材表面の損傷状態を
観察した。相手材の状態は、目視により損傷がなければ
○、損傷があれば×とした。また、成形性に関しては、
混練時、射出成形時において、問題なく成形できれば
○、スクリュのすべりやペレットのかみ込み不良、金型
への油の付着による成型面のあれ等が十分でない場合は
△、成形できない場合は×とした。
【0035】実施例2〜実施例13 表1に示す配合材料および配合割合を用いて実施例1と
同様にして摺動材試験片を作製した。実施例1と同条件
で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を表3に示す。ま
た、用いた配合材料を表5に、その略称とともに示す。
【0036】実施例14〜実施例17 表1に示す配合材料および配合割合を用いて実施例1と
同様にして摺動材試験片を作製した。相手材ディスクを
アルミニウム合金A5056からステンレス鋼SUS3
04(Ra=0.8 μm )に変更する以外は実施例1と同
条件で摩擦・摩耗試験を行なった。また、それぞれの材
料についてダンベル試験片を作製し、ASTM−D79
0に準拠して曲げ強度を測定した。結果を表3に示す。
また、用いた配合材料を表5に示す。
【0037】実施例18 多孔質シリカとして、旭硝子社製商品名:サンスフェア
H52(表中の略号:Si−B)を、ベース樹脂材料と
なるビニルエステル樹脂として、三井東圧化学社製商品
名:エスターH811(表中の略号:VE)を、潤滑油
となるシリコーン油として、信越シリコーン社製商品
名:KF96H−6000(25℃での動粘度 6000cSt)
を用意する。樹脂組成物全体に対して、 1.5 容量%の
多孔質シリカと、 7.5 容量%のシリコーン油とをあら
かじめミキサーで混合し、その混合物をビニルエステル
樹脂 55 容量%に配合して均一に混合撹拌した。さらに
硬化剤、硬化促進剤を加えてミキサーで十分に混合した
後、これをハンドレイアップ法でポリエチレンテレフタ
レート紡績糸織布[平織り、糸(綿番手):30/2、
横糸(綿番手):20/2、密度(縦糸×横糸、本数/
インチ):52×40]に含浸積層して硬化させて積層
板を得た。この積層板を切削加工して、φ3mm×4mm の
ピン試験片(積層面がピン端面に平行)を作製した。実
施例1と同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を表
3に示す。
【0038】実施例19 多孔質シリカとして、旭硝子社製商品名:サンスフェア
H52(表中の略号:Si−B)を、ベース樹脂材料と
なるエポキシ樹脂として、スリーボンド社製商品名:二
液性エポキシ樹脂(主剤2057+硬化剤2191B)
(表中の略号:EP)を、潤滑油となるシリコーン油と
して、信越シリコーン社製商品名:KF96H−600
0(25℃での動粘度 6000cSt)を用意する。樹脂組成物
全体に対して、 5 容量%の多孔質シリカと、 20 容量
%のシリコーン油とをあらかじめミキサーで混合し、そ
の混合物を主剤と硬化剤とを混合したエポキシ樹脂に配
合した。この液状物をφ3mm ×4mm のアルミ製ピン試験
片の端面に、約 30 μm の厚みでコーティングした。10
0 ℃、2 時間で加熱硬化した後、切削加工によりコーテ
ィング層の厚みを 15 μm に調整し、実施例1と同条件
で摩擦・摩耗試験を行なった。ただし試験時間は1時間
とした。結果を表3に示す。
【0039】実施例20 多孔質シリカとして、球状多孔質シリカである、旭硝子
社製商品名:サンスフェアL31(表中の略号:Si−
E)に代えて、非球状多孔質シリカである、東海化学工
業所製商品名:マイクロイド384(表中の略号:Si
−G)を用いる以外は実施例13と同一の配合、方法で
ピン試験片を作製した。実施例1と同様の方法で評価し
た。配合割合を表1に、評価結果を表3に、用いた配合
材料の特性を表5にそれぞれ示す。
【0040】実施例21〜実施例23 多孔質シリカとして旭硝子社製商品名:サンスフェアH
52、潤滑剤となるシリコーン油として、信越シリコー
ン社製商品名:KF96Hを準備して、多孔質シリカ 1
容量部に対して、シリコーン油を 4 容量部の割合で十
分に混合して潤滑性付与剤を作製した。得られた潤滑性
付与剤は、粉末状であり樹脂材に対する配合剤として使
用できるものであった。潤滑性付与剤を樹脂材に配合
し、樹脂組成物として評価した。樹脂材との配合比率を
表6に示す。なお、樹脂材は表5に示す材料を用いた。
表6に示す割合で潤滑性付与剤と樹脂材とを2軸押し出
し装置を用いて溶融混練し、ペレットを作製した。この
ペレットを用いて、実施例1と同一の摺動材試験片を作
製し、面圧を 3MPa とする以外は実施例1と同一の条
件、評価方法で摩擦・摩耗試験を行なった。結果を表6
に示す。
【0041】実施例24 実施例21で得られた潤滑性付与剤を実施例19で用い
たエポキシ樹脂に配合した。実施例19と同一の摺動材
試験片を作製し、面圧を 3MPa とする以外は実施例1と
同一の条件、評価方法で摩擦・摩耗試験を行なった。配
合割合および評価結果を表6にそれぞれ示す。
【0042】比較例1〜比較例4 ポリエチレン樹脂(表中の略号:PE)、ポリアミド6
樹脂(表中の略号:PA6)、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂(表中の略号:PBT)、ポリアセタール樹脂
(POM)をそれぞれ単体で実施例1と同様にピン試験
片を作製し、同条件で摩擦・摩耗試験を行なった。配合
割合を表2に、試験結果を表4に示す。なお、ポリブチ
レンテレフタレート樹脂(表中の略号:PBT)のみダ
ンベル試験片を作製し、ASTM−D790に準拠して
曲げ強度を測定した。その結果を表4に示す。
【0043】比較例5 ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PB
T)にシリコーン油を表2に示す割合で配合し、それぞ
れ実施例1と同様にピン試験片を作製して、同条件で摩
擦・摩耗試験を行った。試験結果を表4に示す。
【0044】比較例6〜比較例8 ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PB
T)にシリコーン油と活性炭、無孔質シリカを表2に示
す割合で配合し、実施例1と同様にピン試験片を作製し
て、同条件で摩擦・摩耗試験をそれぞれ行なった。試験
結果を表4に示す。
【0045】比較例9〜比較例10 ポリブチレンテレフタレート樹脂(表中の略号:PB
T)にシリコーン油と無孔質シリカ、またはエステル油
を表2に示す割合で配合した。しかし、油配合量が 20
容量%と多いため、実施例1と同様なピン試験片が作製
できなかった。
【0046】比較例11〜比較例14 表2に示す配合比で配合して実施例1と同様にピン試験
片を作製した。相手材ディスクをアルミニウム合金A5
056からステンレス鋼SUS304(Ra=0.8 μm
)に変更する以外は実施例1と同条件で摩擦・摩耗試
験を行なった。試験結果を表4に示す。なお、用いた原
材料の詳細を表5に示す。また、それぞれの材料につい
てダンベル試験片を作製し、ASTM−D790に凖拠
して曲げ強度を測定した。結果を表4に示す。
【0047】比較例15〜比較例22 ポリエチレン樹脂(表中の略号:PE)、ポリアミド6
樹脂(表中の略号:PA6)、ポリアセタール樹脂(P
OM)の樹脂を用いて表6に示す配合量で実施例1と同
様にピン試験片を作製し、同条件で、摩擦・摩耗試験を
行なった。しかし、比較例15〜17は、混練時にベー
ス樹脂と油の分離が発生し、ピン試験片を成形すること
ができなかった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】表3に示すように、多孔質シリカに潤滑油
を含有させた樹脂組成物から得られた実施例1〜実施例
18、実施例20の成形体、実施例19のコーティング
被膜は、すべて比摩耗量が、 200×10-8mm3/(N・m )以
下であり、耐摩耗性に優れていた。また、動摩擦係数も
0.05 〜0.14と低い値を示した。さらに、相手材の損傷
は認められず、実施例1〜実施例18、実施例20の成
形体の成形性は良好であった。
【0055】それに対し、表4に示すように、比較例1
〜比較例4のポリエチレン樹脂(PE)、ポリアミド6
樹脂(PA6)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(P
BT)、ポリアセタール樹脂(POM)のみの動摩擦係
数もポリエチレン樹脂(PE)のみ 0.12 と低いが、そ
の他は 0.2〜0.29と高い値を示した。また、全ての材料
について比摩耗量は 800〜9000×10-8mm3/(N・m )であ
り、実施例と比べて大きな値を示した。
【0056】比較例5〜比較例8では油を添加したこと
で動摩擦係数が若干低下したが、多孔質シリカを配合し
た実施例と比べれば摩擦係数は高くなった。また、比摩
耗量は 500〜700 ×10-8mm3/(N・m )であり、実施例と
比べて大きい。さらに、比較例5、比較例7、比較例8
は射出成形中にスクリュのすべりや金型への油の付着が
発生したため、成形性は若干悪くなった。比較例6は比
表面積の大きい活性炭に潤滑油を含浸させたが、油を取
り込んだまま摺動界面に油を供給せず、摩擦係数が高い
値を示した。
【0057】比較例9、比較例10では、油の配合量が
20 容量%と多いため射出成形中にスクリュのすべりが
発生した。このため、試験片を作製できなかった。
【0058】比較例11〜比較例14は、油と充填材を
添加したことで動摩擦係数と比摩耗量が若干低下した
が、球状多孔質シリカを配合した実施例と比べれば動摩
擦係数、比摩耗量ともに大きい。また、射出成形中にス
クリュのすべりや金型への油の付着が発生したため、成
形性は若干悪くなった。さらに、実施例14〜実施例1
7の曲げ強度と比べ、比較例11〜比較例14の曲げ強
度はかなり低くなっている。これは、実施例の材料中に
存在する油は多孔質シリカ中に含まれているため、充填
材とベース樹脂の界面に油が存在せず、補強効果が優れ
るのに対し、比較例では充填材とベース樹脂の界面に油
が存在するため、補強効果が十分でないからである。
【0059】また、表6に示すように、潤滑性付与剤を
配合した実施例21〜実施例23の成形体、実施例24
のコーティング被膜は、比摩耗量および動摩擦係数が小
さく、本発明の潤滑性付与剤は潤滑性を付与できる配合
剤として機能している。
【0060】一方、比較例15〜比較例17はピン試験
片を成形することができなかった。比較例18〜比較例
20は潤滑性付与剤が配合されていないので、潤滑性が
付与されず摺動性に劣っていた。
【0061】
【発明の効果】本発明の摺動材組成物は、基材に、多孔
質シリカおよび潤滑剤を少なくとも配合してなるので、
潤滑剤が多孔質シリカ内に保持され、かつ摺動界面にお
いて潤滑剤を少量ずつ供給できる。その結果、摺動界面
に継続して潤滑剤を供給できるので、優れた摩擦・摩耗
特性を持続できる。また、多孔質シリカに潤滑剤が含浸
されているので、摺動材組成物としての機械的性質を維
持して組成物中の含油量を多く配合できる。
【0062】本発明の他の摺動材組成物は、基材に潤滑
剤が含浸された多孔質シリカを少なくとも配合してなる
ので、樹脂やエラストマー材料と潤滑油との相溶性によ
り、これまで混練できなかった材料の組み合わせでも、
問題なく配合・混練できる。また、基材中にも潤滑剤を
配合できるので、多量の潤滑剤を配合できる。また、射
出成形時等にスクリュがすべる、計量が不安定となって
サイクルタイムが長くなる、寸法精度がでにくい、金型
表面に潤滑剤が付着して成形面の仕上がりが悪くなるな
どの不具合が生じない。
【0063】本発明の上記摺動材組成物に用いられる多
孔質シリカが連続孔を有する球状多孔質シリカであるの
で、摺動界面のせん断力で球状多孔質シリカが破壊す
る。その結果、摺動する相手材が軟質材でも傷をつけな
い。
【0064】また、球状多孔質シリカの平均粒子径が
0.5〜100 μm であるので、分散性に優れる。そのた
め、他の補強材と併用しても補強材と樹脂との界面に潤
滑剤が存在するのを防ぐことができ、所定の補強効果が
得られる。
【0065】本発明の潤滑性付与剤は潤滑剤が含浸され
た多孔質シリカからなるので、樹脂材料、ゴム弾性を有
する材料、塗膜を形成できる材料に対し潤滑性を付与で
きる配合剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:02 C10N 40:02 (72)発明者 島津 英一郎 三重県桑名市大字東方字尾弓田3066 NT N株式会社内 Fターム(参考) 3J011 JA01 LA01 SD03 SE04 4H104 AA22C DA02A DA05A EA07C EA08C EB02 LA03 PA01 QA18 QA21 RA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材に、多孔質シリカおよび潤滑剤を少
    なくとも配合してなる摺動材組成物。
  2. 【請求項2】 前記多孔質シリカは、潤滑剤が含浸され
    た多孔質シリカであることを特徴とする請求項1記載の
    摺動材組成物。
  3. 【請求項3】 基材に、潤滑剤が含浸された多孔質シリ
    カを少なくとも配合してなる摺動材組成物。
  4. 【請求項4】 前記多孔質シリカが連続孔を有する球状
    多孔質シリカであることを特徴とする請求項1、請求項
    2または請求項3記載の摺動材組成物。
  5. 【請求項5】 前記球状多孔質シリカの平均粒子径が
    0.5〜100 μm であることを特徴とする請求項4記載の
    摺動材組成物。
  6. 【請求項6】 基材に配合して潤滑性を付与する潤滑性
    付与剤であって、該潤滑性付与剤は潤滑剤が含浸された
    多孔質シリカからなることを特徴とする潤滑性付与剤。
  7. 【請求項7】 前記多孔質シリカが連続孔を有する球状
    多孔質シリカであることを特徴とする請求項6記載の潤
    滑性付与剤。
  8. 【請求項8】 前記球状多孔質シリカの平均粒子径が
    0.5〜100 μm であることを特徴とする請求項7記載の
    潤滑性付与剤。
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