JP4848121B2 - 摺動材料 - Google Patents

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本発明は摺動部材を形成するための摺動材料に関する。
潤滑性樹脂組成物などの摺動材料を成形して得られる摺動部材に求められる機能は、年々厳しさを増しており、初期状態における優れた低摩擦・低摩耗化と、その初期摺動性を長期間維持することが強く求められている。上記摺動材料として、潤滑油を配合した樹脂材料を用いる場合、基材となる樹脂と潤滑油の親和性調整、潤滑油の導通路となる充填材の配合、混合条件の調整などで摺動特性の向上を目指してきた。
また近年では、潤滑油を含浸した多孔質シリカを配合した樹脂材料を用いることで、更なる摺動特性の向上を実現させたもの(特許文献1参照)が開示されている。
しかしながら、従来の潤滑油を配合した樹脂材料は、摺動部材への成形時において該潤滑油が分解されることを避けるため、樹脂の成形温度に耐え得る耐熱性を有する潤滑油を選定する必要があった。よって、樹脂として成形温度の高いスーパーエンプラは使用できないという問題や、低い分解温度をもつ潤滑油も使用できないという問題があった。
また、繊維補強材などを配合して機械的強度を向上させる場合、該繊維と樹脂との濡れ性が重要となるが、介在する潤滑油の影響のため十分に強度を向上させることが難しい。また、射出成形時において樹脂とスクリューの間で滑りを生じさせずに安定した原料供給量を確保するため、配合できる潤滑油量は最大でも 10 容量%程度であり、使用条件によっては潤滑油量が不足する場合があった。
潤滑油を含浸した多孔質シリカを配合した樹脂材料(特許文献1参照)では、潤滑油配合量を従来より多量に配合できるよう改善したものであるが、その場合でも潤滑油配合量は最大で 30 容量%であり、過酷な使用環境では潤滑油不足となる可能性がある。また、上述の樹脂と潤滑油の選定問題は残っており、耐熱性の必要とする用途などにおける使用は困難である。
特開2002−129183号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、潤滑油を含有する摺動材料において、高機械的強度と潤滑油高配合とを両立させ、かつ、用途や仕様に応じて樹脂材料と潤滑油とを任意に組み合わせることができる摺動材料を提供することを目的とする。
本発明の摺動材料は、30 %以上の連通孔率を有する樹脂多孔体に潤滑油を含浸してなり、該樹脂多孔体は、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、およびタングステン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つの弱アルカリ塩である気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒を用いて上記成形体から上記気孔形成材を抽出して得られる連通孔を有することを特徴とする。
また、上記気孔形成材は、上記安息香酸ナトリウム、上記酢酸ナトリウム、上記セバシン酸ナトリウム、上記コハク酸ナトリウム、および上記ステアリン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする。
また、上記気孔形成材は、上記樹脂の成形温度より高い融点を有することを特徴とする。
また、上記摺動部材は、上記気孔形成材の未抽出分が残存していることを特徴とする。
本発明の摺動材料は、樹脂多孔体を成形した後に該樹脂多孔体に潤滑油を含浸させて得られるので、用途や仕様に応じて樹脂と潤滑油を任意に選択できる。この結果、優れた強度、耐熱性、低摩擦係数、耐摩耗性などを併せもつ摺動材料とできる。また、バックメタルなどの補強部材を併用することなく、摺動材料のみを用いて必要特性を満足する摺動部材を形成できる。
また、上記樹脂多孔体が30 %以上の連通孔率を有するので、該摺動材料から得られた摺動部材は、長期間にわたって潤滑油が摺動材料より供給され、優れた耐久性を示す。また、回転に要するトルクが小さいので、モータなどの駆動装置に、本発明の摺動材料により得られた滑り軸受や滑りシートを用いることにより、該装置を小型化することができる。
本発明の摺動材料は、気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒を用いて上記成形体から上記気孔形成材を抽出して得られた連通孔を有する樹脂多孔体に潤滑油を含浸させることで得られる。
該摺動材料は、樹脂と潤滑油を用途や仕様に応じて選択することにより、任意の摺動部材の材料として使用することができる。摺動部材としては、例えば、滑り軸受、歯車、滑りシート、シールリング、ローラ、転がり軸受の保持器、転がり軸受のシール、直動軸受のシール、ボールねじのボールとボールの間に入れるスペーサ、転がり軸受のレース、各種キャリッジなどが挙げられる。
以下、本発明の摺動材料を構成する樹脂、気孔形成材、充填材、成形方法、抽出方法などについて説明する。
球体を点接触により最も密に充填する形態として面心立方格子、六方最密充填があり、それらの充填率は、(球の体積÷外接立方体の体積)÷(正三角形の高さ÷底辺)÷(正四面体の高さ÷一辺)で計算され、共に 74 %である。(100−充填率)として定義される気孔率としては 26 %になる。
以上の計算は、同一サイズの球体を考えた場合であるが、複数のサイズの球体を充填した場合は、六方最密充填よりも充填率は大きくなり、気孔率は小さくなる。
また、粉末状の球体樹脂粒子を圧縮成形した後に焼結する場合、点接触はあり得ず、球体樹脂粒子は変形して面接触する。このため、六方最密充填よりも充填率はより大きくなり、気孔率はより小さくなる。このため従来の焼結樹脂成形体の気孔率は 20 %程度が限界となっている。
本発明における連通孔率は、上記の気孔率と略同一定義で、かつ気孔が連続している状態の気孔率をいう。すなわち、相互に連続している気孔の総体積が樹脂成形体に占める割合をいう。
具体的には、連通孔率は数1内の式(1)に示す方法で算出した。
Figure 0004848121
上記、数1において、各符号の意味を以下に示す。
V;加熱圧縮成形法にて成形された洗浄前成形体の体積
ρ;加熱圧縮成形法にて成形された洗浄前成形体の密度
W;加熱圧縮成形法にて成形された洗浄前成形体の重量
1;樹脂粉末の体積
ρ1;樹脂粉末の密度
1;樹脂粉末の重量
2;気孔形成材の体積
ρ2;気孔形成材の密度
2;気孔形成材の重量
3;洗浄後の多孔体の体積
3;洗浄後の多孔体の重量
V’2;洗浄後に多孔体に残存する気孔形成材の体積
本発明においては、以下に述べる製造方法により、30 %以上、好ましくは 30 %〜 90 %、より好ましくは 30〜70 %の連通孔率を有する樹脂多孔体が得られる。
本発明に使用できる樹脂多孔体は、気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒を用いて成形体から気孔形成材を抽出して得られる。例えば、成形温度X℃の樹脂Aに、このX℃より高い融点Y℃を有する水溶性粉末Bを配合して、X℃で成形して成形体とした後、該成形体より水溶性粉末Bを水で抽出して多孔体が得られる。
本発明に使用できる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーまたはゴムなどの樹脂粉末やペレットを使用できる。樹脂粉末、ペレットの粒径や形状は、溶融成形する場合には、溶融時に気孔形成材と混練されるので、特に限定されるものではない。ドライブレンドしてそのまま圧縮成形する場合には1 〜 500 μmの平均粒径が好ましい。
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、水架橋ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリブチレンテレフタラート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリオキサゾリン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などを例示できる。また、上記合成樹脂から選ばれた2種以上の材料の混合物、すなわちポリマーアロイなどを例示できる。
エラストマーまたはゴムとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等の加硫ゴム類;ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、軟質ナイロン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー類が例示できる。
気孔形成材としては、樹脂の成形温度よりも高い融点を有し、該樹脂に配合されて成形体とされた後、その樹脂を溶解しない溶媒を用いて成形体から溶解されて抽出できる物質であれば使用できる。
気孔形成材は、無機塩化合物、有機塩化合物、またはこれらの混合物であることが好ましく、特に洗浄抽出工程が容易となる水溶性物質であることが好ましい。また、アルカリ性物質、好ましくは防錆剤として使用できる弱アルカリ性物質が好ましい。弱アルカリ塩としては、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、無機アルカリ金属塩、無機アルカリ土類金属塩などが挙げられる。未抽出分が脱落したときも、比較的軟らかく、転動面やすべり面を損傷し難いことから、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩を用いることが好ましい。なお、これらの金属塩は1種または2種以上混合して用いてもよい。また、洗浄用溶媒として安価な水を使用することができ、気孔形成時における廃液処理などが容易となることから水溶性の弱アルカリ塩を使用することが好ましい。
また、成形時における気孔形成材の溶解を防止するため、気孔形成材は使用する樹脂の成形温度よりも高い融点の物質を使用する。
本発明に好適に用いることができる水溶性有機アルカリ金属塩としては、安息香酸ナトリウム(融点 430 ℃)、酢酸ナトリウム(融点 320 ℃)またはセバシン酸ナトリウム(融点 340 ℃)、コハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。融点が高く、多種の樹脂に対応でき、かつ水溶性が高いという理由から、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムまたはセバシン酸ナトリウムが特に好ましい。
無機アルカリ金属塩としては、例えば、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリウムなどが挙げられる。
気孔形成材は摺動材料の用途に応じた平均粒径を管理する。
気孔形成材の割合は、樹脂粉末、多孔体形成材料および充填材などの他の材料を含めた全量に対して、30 体積%〜 90 体積%、好ましくは 40体積%〜90体積%とする。30体積%以下では多孔体の気孔が連続孔になり難く、90体積%以上では所望の機械的強度が得られない。
また配合時において、気孔形成材の抽出に使用する溶媒に不溶な充填材を配合してもよい。
例えば摺動材料の摩擦・摩耗特性を改善して各種機械物性を向上させる目的で、ガラス繊維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、窒化硼素繊維、石英ウール、金属繊維等の繊維類またはこれらを布状に編んだもの、炭酸カルシウム、リン酸リチウム、炭酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸リチウム、タルク、シリカ、クレー、マイカ等の鉱物類、酸化チタンウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸カルシウムウィスカなどの無機ウィスカ類、カーボンブラック、黒鉛、ポリエステル繊維、ポリイミド樹脂やポリベンゾイミダゾール樹脂等の各種熱硬化性樹脂などを配合できる。
また、摺動性を向上させる目的で、アミノ酸化合物やポリオキシベンゾイルポリエステル樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、液晶樹脂、アラミド樹脂のパルプ、ポリテトラフルオロエチレンや窒化硼素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等を配合できる。
また、摺動材料の熱伝導性を向上させる目的で、炭素繊維、金属繊維、黒鉛粉末、酸化亜鉛、窒化アルミ粉等を配合してもよい。および上記充填材を複数組み合わせて使用することも可能である。
なお、この発明の効果を阻害しない配合量で一般合成樹脂に広く適用しえる添加剤を併用してもよい。例えば離型剤、難燃剤、帯電防止剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、着色剤、導電性付与剤等の工業用潤滑剤を適宜添加してもよく、これらを添加する方法も特に限定されるものではない
樹脂材料と気孔形成材の混合法は特に限定されるものではなくドライブレンド、溶融混練など樹脂の混合に一般に使用する混練法が適用できる。
また、気孔形成材を液体溶媒中に溶解させて透明溶液とした後、この溶液に樹脂粉末を分散混合させて、その後、この溶媒を除去する方法を用いることができる。
分散混合させる方法としては、液中混合できる方法であれば特に限定されるものではなく、ボールミル、超音波分散機、ホモジナイザー、ジューサーミキサー、ヘンシェルミキサーなどが例示できる。また、分散液の分離を抑えるために少量の界面活性剤を添加することも有効である。なお、混合時においては、混合により気孔形成材が完全に溶解するよう溶媒量を確保する。
また、溶媒を除去する方法としては、加熱蒸発、真空蒸発、窒素ガスによるバブリング、透析、凍結乾燥などの方法を用いることができる。手法が容易で、設備が安価であることから加熱蒸発により液体溶媒の除去を行なうことが好ましい。
樹脂に気孔成形材を配合した混合物の成形に関しては、目的とする摺動部材に応じて、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、真空成形、トランスファ成形などの任意の成形方法を採用できる。また成形前に作業性を向上させるため、ペレットやプリプレグなどに加工してもよい。成形は最終製品である摺動部材の形状に合せて成形することが好ましい。また、成形後において切削加工などにより形状仕上げを行なう。
得られた成形体からの気孔形成材の抽出は、上記気孔形成材を溶解し、かつ上記樹脂を溶解しない溶媒で成形体を洗浄することにより行なう。
該溶媒としては、例えば、水、および水と相溶しうる溶媒としてアルコール系、エステル系、ケトン系溶媒などを用いることができる。これらの中で、樹脂および気孔形成材の種類によって上記条件に従い適宜選択される。また、これらの溶媒は1種または2種以上を混合し使用してもよい。廃液処理などが容易、安価などの利点から水を用いることが好ましい。
該抽出処理を行なうことにより、気孔形成材が充填されていた部分が溶解され、該溶解部分に気孔が形成された樹脂多孔体が得られる。
本発明の摺動材料は、上記樹脂多孔体に潤滑油を含浸させることで得られる。
含浸する潤滑油としては、例えば、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油等の鉱油、ポリブデン、ポリαオレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、リン酸エステル、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等、一般に使用されている潤滑油であれば特に限定することなく使用できる。
上記潤滑油には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、極圧剤、酸化防止剤、防錆剤、流動点降下剤、無灰系分散剤、金属系清浄剤、界面活性剤、摩耗調整剤などを配合できる。酸化防止剤としては、フェノ一ル系、アミン系、イオウ系などを単独または、混合して使用できる。
含浸方法としては、樹脂多孔体の内部まで含浸できる方法であればよい。潤滑油が満たされた含浸槽に樹脂多孔体を浸漬した後、減圧して含浸する減圧含浸が好ましい。また、高粘度のシリコーン油などを用いる場合、加圧含浸することができる。これらを組み合わせた加圧減圧含浸としてもよい。
以上のように本発明の摺動材料は、その成形時においては潤滑油を含有していないため、樹脂材料として成形温度が200℃以下のポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂などから、300℃をこえるポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などまで広範囲に自由に選択できると共に、充填材も潤滑油の影響なく配合できる。例えば、樹脂多孔体を繊維強化すれば高強度の摺動材料とでき、耐熱性の高い樹脂と潤滑油を使用すれば耐熱性摺動材料とできる。
実施例1
超高分子量ポリエチレン粉末(三井化学(株)製ミペロンXM220)と安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)とを体積比 50 : 50 の割合でミキサーにて5分間混合して混合粉末を得た。この混合粉末を、加熱圧縮成形( 200 ℃× 30 分)した後、切削加工にて所定の成形体(φ3mm ×13mm の試験片)とした。該成形体を 80 ℃の温水で超音波洗浄器にて 10 時間洗浄して安息香酸ナトリウム粉末を溶出させた。その後 100 ℃で 8 時間乾燥し連通孔率 48 %の多孔体を得た。この多孔体にシリコーン油(信越化学(株)製KF96H−6000(動粘度 6000 mm2/s( 25 ℃))を 60 ℃にて真空含浸して試験片を得た。含油率は全体積に対して 45 %であった。
実施例2
ポリエーテルエーテルケトン樹脂粉末(ビクトレックス(株)製150PF)と安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)とを体積比 50 : 50 の割合でミキサーにて5分間混合して混合粉末を得た。この混合粉末を、加熱圧縮成形( 360 ℃× 30 分)した後、切削加工にて所定の成形体(φ3mm ×13mm の試験片)とした。該成形体を 80 ℃の温水で超音波洗浄器にて 10 時間洗浄して安息香酸ナトリウム粉末を溶出させた。その後 100 ℃で 8 時間乾燥し連通孔率 48 %の多孔体を得た。この多孔体にシリコーン油(信越化学(株)製KF96H−6000(動粘度 6000 mm2/s( 25 ℃))を 60 ℃にて真空含浸して試験片を得た。含油率は全体積に対して 45 %であった。
実施例3
ポリエーテルエーテルケトン樹脂粉末(ビクトレックス(株)製150PF)と炭素繊維(東レ(株)製MLD100)と安息香酸ナトリウム粉末(和光純薬(株)製試薬)とを体積比 40 : 10 : 50 の割合でミキサーにて5分間混合して混合粉末を得た。この混合粉末を、加熱圧縮成形( 360 ℃× 30 分)した後、切削加工にて所定の成形体(φ3mm ×13mm の試験片)とした。該成形体を 80 ℃の温水で超音波洗浄器にて 10 時間洗浄して安息香酸ナトリウム粉末を溶出させた。その後 100 ℃で 8 時間乾燥し連通孔率 48 %の多孔体を得た。この多孔体にシリコーン油(信越化学(株)製KF96H−6000(動粘度 6000 mm2/s( 25 ℃))を 60 ℃にて真空含浸して試験片を得た。含油率は全体積に対して 45 %であった。
比較例1
超高分子量ポリエチレン粉末(三井化学(株)製ミペロンXM220)とシリコーン油(信越化学(株)製KF96H−6000)とを体積比 90 : 10 の割合でミキサーにて5分間混合した後、加熱圧縮成形( 200 ℃× 30 分)し、切削加工にて所定の試験片(φ3mm ×13mm )を得た。
実施例1、実施例2、実施例3および比較例1で作製した試験片について、試験片のφ3mm 面を回転するディスク相手に接触させるピンオンディスク試験を行なった。試験条件を以下に示す。
試験片:φ3mm×13mm, 軌道径 23 mm
相手材:φ33mm×6mm, アルミニウム合金A5056(表面粗さRa=0.5μm )
面圧: 3 MPa
周速: 4.2m/分
温度: 常温(25 ℃)
時間: 20h
評価方法として、試験前のピン長さと試験後のピン長さとの差から摩耗量を計算した。動摩擦係数と併せて結果を表1に示す。
Figure 0004848121
表1に示すように、本発明の摺動材料からなる実施例1〜実施例3の試験片は、すべて比摩耗量が、 50×10-8mm3/(N・m )以下であり、耐摩耗性に優れていた。また、動摩擦係数も 0.05 と低い値を示した。
本発明の摺動材料は、優れた耐熱性、低摩擦係数、耐摩耗性などを併せもつので、滑り軸受、歯車、滑りシート、シールリング、ローラ、転がり軸受の保持器、転がり軸受のシール、直動軸受のシール、ボールねじのボールとボールの間に入れるスペーサ、転がり軸受のレース、各種キャリッジなどの摺動部材の材料として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 30 %以上の連通孔率を有する樹脂多孔体に潤滑油を含浸してなる摺動材料であって、
    前記樹脂多孔体は、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、炭酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、およびタングステン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つの弱アルカリ塩である気孔形成材が配合された樹脂を成形して成形体とした後、該気孔形成材を溶解し、かつ前記樹脂を溶解しない溶媒を用いて前記成形体から前記気孔形成材を抽出して得られる連通孔を有することを特徴とする摺動材料。
  2. 前記気孔形成材は、前記安息香酸ナトリウム、前記酢酸ナトリウム、前記セバシン酸ナトリウム、前記コハク酸ナトリウム、および前記ステアリン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項1記載の摺動材料。
  3. 前記気孔形成材は、前記樹脂の成形温度より高い融点を有する物質であることを特徴とする請求項2記載の摺動材料。
  4. 前記摺動部材は、前記気孔形成材の未抽出分が残存していることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項記載の摺動部材。
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