JP2005326021A - 耐食性転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐食材製の外輪11と内輪12とに挟まれた空間内に潤滑油含有ポリマー15が充填されている。この潤滑油含有ポリマーは溶融状態で充填され、加圧しながら急冷されたものであり、潤滑油含有ポリマー15中のポリマー成分の比率は10〜50質量%で、残部が前記潤滑油であり、ポリマー成分は、平均分子量が1×103 〜1×106 の低分子量ポリエチレンと、平均分子量が1×106 〜5×106 の高分子量ポリエチレンとからなり、低分子量ポリエチレンと高分子量ポリエチレンとの配合比は8:2〜1:9の範囲である。
【選択図】 図5
Description
(1)保持器にPTFE系の自己潤滑性複合材料を用いることにより、軸受の運転時に保持器から転動体にPTFE材を転移させ、その自己潤滑性を利用して潤滑を行っている。しかし、保持器と転動体とが常に平均に接触して転動体の全表面にくまなく均一にPTFE材の潤滑被膜が形成されることは困難であり、そのため安定した潤滑が得られ難く、しかもPTFE材は単に機械的に転動体表面に付着するに過ぎず短時間でクラックや剥離が発生する。
そこで、本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、格別高価な材料を使用することなく、しかも長期に及び安定して潤滑油を自動的に供給でき、かつ水中などの腐食性雰囲気においても錆等の発生が抑制される低コスト,長寿命の耐食性転がり軸受を提供することを目的としている。
さらに、本発明に係る請求項3に記載の耐食性転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載の耐食性転がり軸受において、前記潤滑油はフッ素系界面活性物質を0.01〜0.1質量%含有することを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、外輪と内輪とに挟まれた空間内に潤滑油含有ポリマーが充填されている。軸受が運転されると、その潤滑油含有ポリマーに含有されている潤滑油が経時的に徐々に滲み出してくる。そして、軌道輪と転動体との接触面に均一にくまなく供給されるから、転がり軸受が短時間で焼きつきを生じることはない。
これらの作用により、本発明の転がり軸受にあっては、腐食性雰囲気中においても長期間にわたり、安定した軸受機能を発揮することができる。
本発明が対象とする転がり軸受は、全ての種類のラジアル玉軸受,ラジアルころ軸受,スラスト玉軸受.スラストころ軸受であり、外輪と内輪と転動体との接触態様もラジアル又はアキシアルコンタクト,アンギュラコンタクト,自動調心のいずれかを問わない。また、保持器の種類もプレス保持器,もみ抜き保持器,成形保持器,ピン形保持器等のいずれでも良い。また、シールやシールドを有するものにも有しないものにも全て適用できる。
さらには、対費用効果が期待できる場合であれば、内輪,外輪,転動体のうちの少なくとも一つ以上を、窒化ケイ素等のセラミックス製にすることも可能である。
本発明の潤滑油を含有させるポリマーとしては、ポリエチレン(ポリα−オレフィン系ポリマー)を用いることができる。
本発明に用い得る上記ポリマーの群は、基本構造は同じであってその平均分子量のみが異なっている。本発明に用いられる平均分子量としては、1×103 〜1×106 という比較的低分子量のものと、1×106 〜5×105 という高分子量のものとがあり、前者では平均分子量1×103 〜5×105 の範囲が好ましい。
上記ポリマー添加量が5質量%未満では、これを充填した転がり軸受の寿命、すなわち使用開始から軌道輪あるいは転動体のうちのいずれかにクラックなどの転がり疲れによる損傷が発生するに至るまでの総回転数、並びに潤滑油含有ポリマーの構造体としての強度が通常軸受に必要とされているレベルを下回ることになってしまう。特に潤滑油含有ポリマーの強度の確保に関しては添加されるポリマーの量の多少に大きく影響されることから、ポリマー添加量の下限値はより高い10質量%以上とした方がより好ましい。
上記両ポリマーの配合において、低分子量ポリマーが全ポリマーの1割未満であると、潤滑油をポリマー内部に保持する能力が大きい低分子量ポリマーの量が少な過ぎて、そのためポリマー内に保持されている筈の潤滑油が軸受運転時に早くポリマー内から排出されてしまう。その結果、軸受への潤滑油の補給が運転途中から途切れてしまうこととなり、転がり軸受の寿命が短くなる。また、本発明の潤滑油含有ポリマーの製造過程で、高分子量ポリマーのみでは潤滑油と均一に混合するのに困難が伴う。
本発明の潤滑油を含有させるポリマーとしては、上述のポリα−オレフィン系ポリマーの他に、潤滑油含有ポリマーの機械的強度を向上させるため、以下のような熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を添加してもよい。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂等の各樹脂を使用することができる。
更に、ポリα−オレフィン系ポリマーとそれ以外の樹脂とを、より均一な状態で分散させるために、必要に応じて適当な相溶化剤を加えても良い。
本発明の潤滑油含有ポリマーに使用する潤滑油としては、ポリα−オレフィン油のようなパラフィン系炭化水素油、ナフテン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエーテル油のようなエーテル油、フタル酸エステル・トリメリット酸エステルのようなエステル油等が適当である。また、これらに予め酸化防止剤,錆止め剤,摩耗防止剤,あわ消し剤,極圧剤等の各種の添加剤を加えたものを用いてもよい。
上記のフッ素系界面活性物質は、基本的には図1に示されるように、その分子構造中に、「〜CH2 CH2 CH2 」のような炭化水素鎖からなる親有機性を有する部分(RH )と、「CF3 CF2 CF2 〜」のようなフッ化炭素鎖からなる疎有機性を有する部分(RF )とが共存する構造を有しているフッ素系の非イオン性界面活性剤,オリゴマーまたは樹脂である。なお、図1(a)は鎖状分子の場合、同図(b)はオリゴマーまたは樹脂の場合の構造を模式的に表している。
このフッ素系界面活性物質を潤滑油中に混合すると、炭化水素鎖(RH )を有する部分はその親有機性によって油中にとどまる。一方、フッ化炭素鎖(RF )を有する部分はその疎有機性によって油面外に押し出されて一定方向に配列し、図2に示されるような状態で潤滑油Aと外界Bとの界面Cに配向吸着されて、潤滑油の界面Cは疎有機性を有する部分RF で被覆される。
上記のフッ素系界面活性物質として具体的には、例えば次の化学式1で示される構造を有するパーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物〔F−142D(DIC社)〕を好適に用いることができる。
一方、添加量が0.1質量%を越えると、過剰な分は水中に分離析出してしまうだけで、それ以上の添加による効果の向上は期待できず無意味である。ただし、水中への分離析出によって特に悪影響があるわけではない。
上記潤滑油含有ポリマーは、本発明の耐食性転がり軸受を製造する際に、内輪と外輪と転動体と保持器とで占める空間以外の軸受内部空間に充填される。
潤滑油含有ポリマーを充填する際に、転がり軸受内の複数の転動体同士をなるべく等間隔に保つのが良い。一般的には保持器がその機能を果たすが、その場合保持器が耐食性の金属製であれば問題ないが、プラスチックス製のものでは潤滑油含有ポリマーの融点より高い融点のプラスチックを用いた保持器とする必要がある。潤滑油含有ポリマーは溶融状態にして充填するので、プラスチック製保持器が溶融してしまうことを防止するためである。
図3はラジアル転がり軸受の場合である。
この場合は、転動体1の数に合わせて円周等間隔に球面状の座2を設けた治具3に転がり軸受4を嵌着して、転動体1を等間隔に保持した状態で軸受4内に潤滑油含有ポリマーを充填し、加熱溶融して軸受内の空間にまんべんなくしみ込ませた後に冷却固化する。
この場合には、リング状の内側の治具6に転動体1を外接させる。その転動体1の外周に分割式の外側治具7を配設する。外側治具7にはその内周面に円周等間隔に球面状の座8が設けてあり、それらの各球面状の座8にスラスト軸受の各転動体1を位置決めして保持し、上記と同様にして潤滑油含有ポリマーを充填する。
潤滑油含有ポリマーの充填工程において、転がり軸受の温度は軸受の焼戻し温度を上回らないように配慮しなければならない。具体的には、160〜170℃以下にする。
前記のような潤滑油含有ポリマーの充填工程において、冷却固化の際、適切な圧力で加圧するようにしてもよい。
潤滑油含有ポリマーの充填に際して、射出成形を併用しても良い。
(1)長寿命である。
軸受が運転されると、その潤滑油含有ポリマーに含有されている潤滑油が経時的に徐々に滲み出して、軌道輪と転動体との接触面に均一にくまなく供給されるから、長時間にわたり良好な潤滑が行われて転がり軸受の焼きつきやクラック発生が防止される。
耐食性材料からなる外輪,内輪,転動体の面が更に潤滑油含有ポリマーで被覆されて外部から遮断されるため、特殊環境で使用しても軸受内部はそれらの腐食性雰囲気から保護される。
(3)低コストである。
高価なセラミックスを強いて用いなくても、長期に及び安定して潤滑油を自動的に供給でき、水中などの腐食性雰囲気においても錆等の発生が抑制されるから、低コストである。
(実施例1)
図5に示すものは、耐食性転がり軸受であるラジアル玉軸受に適用した場合の実施例で、外輪11と、内輪12と、それらの間に介在する複数個の転動体(玉)13と、それらの転動体13同士を円周等間隔で保持する保持器14を備え、その外輪11と内輪12とに挟まれた空間内には、転動体13と保持器14とが占める箇所以外の空間に、潤滑油含有ポリマー15が充填されている。
また、潤滑油含有ポリマー15は、低分子量ポリエチレン14質量%と超高分子量ポリエチレン6質量%とからなるポリエチレンポリマー20質量%に対し、パラフィン系炭化水素油を80質量%含有しているものである。
ここで、前記低分子量ポリエチレンの平均分子量は1×103 〜5×105 であり、また超高分子量ポリエチレンの平均分子量は1×106 〜5×106 である。
第1の工程:
潤滑油としてのパラフィン系炭化水素油80gとポリマーの一方の成分である低分子量ポリエチレン8gとを混合して、オイルバス中で160℃まで加熱し、攪拌しながら両者を一様に溶解させる。
第2の工程:
こうして両者を一様に溶解させたものを放冷し、その後、これに更に低分子量ポリエチレン6gと超高分子量ポリエチレン6gとを添加する。そして、ミキサーを用いて全体がクリーム状になるまで十分に混合する。得られたクリーム状の混合物を、ベース潤滑油含有ポリエチレンとする。
ここで、全部の低分子量ポリエチレンの所要量(14g)をはじめから超高分子量ポリエチレンに加えずに、半分以上の量(8g)を先ずパラフィン系炭化水素油に混合して加熱溶解する手順とした理由は、はじめから超高分子量ポリエチレンに加えると溶解時の粘度が高くなり過ぎて、一様に混合して溶解させることができないためである。
上記のクリーム状のベース潤滑油含有ポリエチレンを、転がり軸受の外輪11と内輪12とに挟まれた空間内に充填する。
充填し終わったら、転がり軸受の両端面をそれぞれ金属平板で蓋して、オーブン中で160〜170℃に加熱し、充填されているベース潤滑油含有ポリエチレンを溶融させる。 この溶融により、充填されているクリーム状のベース潤滑油含有ポリエチレンが液状になり、その結果、玉軸受の構成部品間の狭い空間の隅々にまで流れ込むことができる。
第4の工程:
その後、転がり軸受の両端面を金属平板で蓋したままで、水冷式プレスに移しかえ、加圧しながら急冷する。
これにより、軸受空間内で溶融していたベース潤滑油含有ポリエチレンが固化して充填作業が完了する。
この実施例も実施例1と同じく耐食性転がり軸受であるラジアル玉軸受に適用した場合であり、図5に示すと同様に、外輪11と、内輪12と、それらの間に介在する複数個の転動体13と、それらの転動体13を円周等間隔で保持する保持器14を備え、その外輪11と内輪12とに挟まれた空間内には、転動体13と保持器14とが占める箇所以外の空間に、潤滑油含有ポリマー15が充填されている。更に、この実施例の場合は、図示を省くが、外輪11と内輪12との端面に、軸受内を密封するシール(Zシール)が外輪に固定され取り付けられている。
また、潤滑油含有ポリマー15は、ポリマーがポリα−オレフィン系である平均分子量が1×103 〜1×106 のポリエチレン10質量%と平均分子量が1×106 〜5×106 のポリプロピレン5質量%との混合物であり、このポリマーに含有された潤滑油には、ジアルキルジフェニルエーテル油85質量%を用いたものである。
この実施例2の場合の玉軸受内部空間への上記潤滑油含有ポリマー15の充填は、実施例1の手順の第1〜第4の工程に準じて行った。
この実施例は、耐食性転がり軸受として、図示しないラジアルころ軸受に適用した場合である。
すなわち、図5に示す軸受における転動体13が玉でなく円筒ころのものに適用したものである。外輪と、内輪と、それらの間に介在する複数個の転動体である円筒ころと、それらの転動体を円周等間隔で保持する保持器を備え、その外輪と内輪とに挟まれた空間内には、転動体と保持器とが占める箇所以外の空間に、潤滑油含有ポリマーが充填されている。
また、潤滑油含有ポリマーは、ポリマーがポリα−オレフィン系である平均分子量が1×106 〜5×106 のポリプロピレン25質量%であり、このポリマーに含有された潤滑油には、ナフテン系炭化水素油75質量%を用いたものである。なお、上記潤滑油含有ポリマーの充填工程のため、ポリプロピレンは上記の平均分子量の範囲内で二種類のものを選ぶようにしてもよい。
この実施例3の場合のころ軸受内部空間への上記潤滑油含有ポリマーの充填も、実施例1の手順の第1〜第4の工程に準じて行った。
この実施例は、耐食性転がり軸受として、スラスト玉軸受に適用した場合である。
すなわち、図6に示すスラスト玉軸受20において、外輪(固定輪)21と、内輪(回転輪)22と、それらの間に円周等間隔で介在する複数個の転動体である玉23を備え、その外輪21と内輪22とに挟まれた空間内には、転動体23が占める箇所以外の空間に、潤滑油含有ポリマー25が充填されている。図示の例では、保持器は設けられていないで、潤滑油含有ポリマー25が保持器の機能をも兼用している。
また、潤滑油含有ポリマー25は、ポリマーがポリα−オレフィン系である平均分子量が1×103 〜5×105 の低分子量ポリエチレン14質量%と平均分子量が1×106 〜5×106 の超高分子量ポリエチレン6質量%とからなる混合物であり、一方、このポリマーに含有された潤滑油には、パラフィン系炭化水素油80質量%を用いたものである。
なお、この実施例4のスラスト軸受の転動体23は玉の代わりにころであっても良い。 また、実施例4のスラスト軸受は保持器を有しないで潤滑油含有ポリマー25に保持器の機能を兼用させるようにしているが、これに限らず、転動体23を円周等分に保持器で保持させるものであっても良い。
また、転動体23はステンレス鋼製としたものを説明したが、優れた耐食性を有する他の材料である、例えばSi3 N4 のようなセラミックス製とすることもできる。
また、実施例4のスラスト軸受にあっても、外輪21,内輪22,転動体23に無電解ニッケルメッキなどの防食のための表面処理を施しても良い。
この実施例は、本発明を適用した耐食性転がり軸受の耐食耐久性能を試験したものである。
被試験体としては、図6に示したと同様のタイプのスラスト玉軸受20を使用した。
ただし、軸受構成部品である軌道輪(外輪21,内輪22)と転動体(玉)23の材質及び保持器の材質は表1に示すものの組み合わせとした。なお、保持器については、本発明品のものは全て潤滑油含有ポリマーで兼用するタイプとし、一方比較例にはその他、PTFE製保持器を有するものも含めた。
試験装置を図7に示す。被試験体20の取付け台を兼ねた容器31は、底部の入口32から流入した水が、上部の出口33から連続的に流出するようにしてあり、容器底中央に被試験体軸受20の載置面34が設けてある。被試験体軸受20の外輪(固定輪)21を載置面34に固定する。この容器31の中に上から回転軸35を挿入して被試験体軸受20の内輪(回転輪)22に嵌合させ、その回転軸35を回転させて被試験体軸受20を駆動させる。
また、容器31の水温を制御して被試験体軸受20に充填されている潤滑油含有ポリマー25の熱変形温度を測定して、その結果から潤滑油含有ポリマーを保持器材として兼用した場合の強度を評価した。
さらに、潤滑油含有ポリマーにフッ素系界面活性物質を添加したものについては、その分離析出の有無を測定した。試験条件は次の通りである。
被試験体軸受20:スラスト玉軸受,ボール数6個,型式#51305
負荷装置荷重F :1764N
回転速度 :1500rpm
この耐久試験の結果を表2に示す。
低分子量ポリエチレン:超高分子量ポリエチレンの重量比
(平均分子量1×103 〜5×105 )(平均分子量1×106 〜5×106 )
(注2)フッ素系界面活性物質は、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物。
(注3)動トルク1.5kg・cm以下を◎、
1.5〜2kg・cmを○、
2kg・cmを越すものを×とした。
(注4)保持器として使用可能な熱変形温度が、
60℃以上を◎、
50〜60℃を○、
50℃以下を×とした。
(1)本発明の耐食性転がり軸受は比較例のものより格段に長寿命であり、動トルクも低く、潤滑油含有ポリマーの優れた潤滑性能が保証される。更に、潤滑油含有ポリマーが保持器として機能するための強度も、実用上十分である。ただし、低分子量ポリエチレンの配合比が多い(8割)本発明例4は、強度が他のものより低めでかつ寿命も短めになっている。また、ポリマー含有量の合計量が90質量%と多い本発明例11も、動トルクが高めで寿命は短めになっている。
(3)比較例1は潤滑油含有ポリマー中のポリマー含有量が3質量%と低く、軸受として使用した時のクラック発生迄の寿命が短く、且つ強度も大きく低下している。反対に、比較例2はポリマー含有量が95質量%と多く、相対的に潤滑油量が不足していてクラック発生までの寿命が短くなっている。また、動トルクが過大になっている。
反対に比較例4はポリマー中の低分子量ポリエチレンの配合比が過大で、強度が不足するとともに、寿命も短めになっている。
(5)比較例5はPTFE製の保持器を装着し、潤滑油含有ポリマーは全く使用されていない。このものは、水中での使用で保持器のPTFE材が転動体表面から短時間で剥離してしまい、クラック発生までの寿命が全試料中で最も短く、本発明のものの半分以下である。
12 内輪
13 転動体
14 保持器
15 潤滑油含有ポリマー
Claims (4)
- 耐食性を有する外輪,内輪,及び転動体と保持器とを備え、その外輪と内輪とに挟まれた空間のうち前記転動体と前記保持器とが占める部分以外の空間に、潤滑油を含有する潤滑油含有ポリマーが充填された耐食性転がり軸受であって、
前記潤滑油含有ポリマーは溶融状態で充填され、加圧しながら急冷されたものであり、 前記潤滑油含有ポリマー中のポリマー成分の比率は10〜50質量%で、残部が前記潤滑油であり、
前記ポリマー成分は、平均分子量が1×103 〜1×106 の低分子量ポリエチレンと、平均分子量が1×106 〜5×106 の高分子量ポリエチレンとからなり、前記低分子量ポリエチレンと前記高分子量ポリエチレンとの配合比は8:2〜1:9の範囲であるとともに、
前記外輪,前記内輪,及び前記転動体のうち少なくとも一つは、マルテンサイト系のステンレス鋼,オーステナイト系のステンレス鋼,又はセラミックスで構成され、
前記保持器は、金属又は前記潤滑油含有ポリマーよりも融点が高いプラスチックで構成されていることを特徴とする耐食性転がり軸受。 - 前記潤滑油含有ポリマーは射出成形により充填されたものであることを特徴とする請求項1に記載の耐食性転がり軸受。
- 前記潤滑油はフッ素系界面活性物質を0.01〜0.1質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐食性転がり軸受。
- 前記外輪,前記内輪,及び前記転動体のうち、マルテンサイト系のステンレス鋼又はオーステナイト系のステンレス鋼で構成されたものに、リン酸亜鉛被膜形成処理,リン酸マンガン被膜形成処理,リン酸スズ被膜形成処理,亜鉛末クロム酸化成被膜形成処理,無電解ニッケルメッキ,及びクロムメッキのうちの少なくとも一つの防錆処理を施したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐食性転がり軸受。
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