JP4659259B2 - 固定金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、ランナに対して嵌挿される金属製下地材の端部を固定するために用いられる固定金具に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
従来から住宅用下地構造(例えば、床下地構造あるいは外壁下地構造)としては、主として木材が使用されてきていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現代社会において、主として環境問題がクローズアップされてきており、特に自然破壊につながる木材の消費をいかに少なくするかということが人類的課題とされてきている。
【0005】
金属製下地材を用いて外壁用下地構造を組み立てる場合、上下にランナを配設し、該ランナに金属製下地材の上下端部を嵌挿して下地構造を完成させる方法が従来から採用されているが、このままの状態だと、下地構造の強度に不安を感じる場合がある。従って、例えば3階建の建造物における外壁用下地構造として使用する際には、長尺の金属製下地材を使用できず、1階毎に中継部を設け、金属製下地材としてできるだけ短いものを使用しなければならず、工期が長期化するとともに、加工手間も増加するという不具合があった。
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、ランナと金属製下地材とを簡単且つ強固に連結し得る固定金具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、ランナ17に対して嵌挿される金属製下地材2の端部を固定するための固定金具を、前記ランナ17に対してネジ13により固着される矩形形状の基部9と、該基部9の両側端から同方向に直角に屈曲延設され、前記金属製下地材2の相対向する2側面2a,2bにネジ13により固着される一対の抱持部10,10とによって構成しており、該両抱持部10,10の一端側における略上半分部分であって前記ランナ17の起立部17a,17aと重なり合うことのない部位に、前記金属製下地材2を位置決めする位置決め用突片11,11を一体に形成している。
【0008】
上記のように構成したことにより、ランナ17に対してネジ13により固着された基部9の両側端から直角に屈曲延設された一対の抱持部10,10が金属製下地材2の端部にネジ13により固着されることとなり、ランナ17と金属製下地材2の端部とが固定金具により強固に連結されることとなる。このように下地材2として金属製のものを用い、ランナ17と金属製下地材2とを固定金具で結合するようにした場合、シロアリ対策としても有効である。しかも、両抱持部10,10に、前記金属製下地材2を位置決めする位置決め用突片11,11を一体に形成したことにより、固定金具に対して金属製下地材2を容易に位置決めできることとなり、組付作業性が向上する。また、両抱持部10,10の一端側における略上半分部分であって前記ランナ17の起立部17a,17aと重なり合うことのない部位に、前記金属製下地材2を位置決めする位置決め用突片11,11を一体に形成したことにより、ランナ17の起立部17a,17aが位置決め用突片11,11と重なり合わなくなる。つまり、位置決め突片11,11の板厚はランナ17の板厚より相当に大きいため、ランナ17の起立部17aが位置決め用突片11,11の下方に形成される隙間Sに収納されてしまうこととなり(図7参照)、金属製下地材2に外壁用板材18を貼設する際に、該金属製下地材18と外壁用板材18との間に介在される部材が位置決め用突片11,11のみとなるのである。その結果、位置決め用突片11,11より上方においては、金属製下地材2と外壁用板材18との間の隙間が小さくなり、外壁用板材18を貼設する際に該外壁用板材18に無理な力が作用することがなくなって、割れ等を生じるおそれがなくなる。
【0009】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載の固定金具において、前記両抱持部10,10における前記基部9側端部の一部を該基部9と連続するように切り起こして前記ランナ17にネジ13により固着される支持部12,12を設けた場合、ランナ17に対して基部9の両側端部においても支持部12,12により固着されることとなり、固定金具による連結強度がより一層向上することとなる。
【0010】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の固定金具において、前記各抱持部10に、該各抱持部10の延設方向に延びる補強用ビード20,20を形成した場合、各抱持部10の剛性が大幅に強化されることとなり、金属製下地材2と胴縁1あるいはランナ17との結合強度が向上することとなる。
【0011】
請求項4の発明におけるように、請求項2および3のいずれか一項記載の固定金具において、前記両支持部12,12と前記基部9とに跨がって連続する補強用ビード21を形成した場合、両支持部12,12および基部9の剛性が大幅に強化されることとなり、金属製下地材2と胴縁1あるいはランナ17との結合強度が向上することとなる。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの参考例および好適な実施の形態について詳述する。
【0013】
第1の参考例
図1ないし図5には、本願発明の第1の参考例にかかる固定金具および該固定金具を用いた床下地構造および外壁用下地構造が示されている。
【0014】
この固定金具Aは、図1に示すように、床下地構造を構成するに当たって、胴縁1に対して直交状態で突き合わされる金属製下地材(例えば、根太材)2との直交部を連結するため、あるいは図2に示すように、外壁用下地構造を構成するに当たって、胴縁1に対して直交状態で突き合わされる外壁用下地材である金属製下地材2との直交部を連結するために使用されるものである。この場合、前記胴縁1としては木製角材が採用され、金属製下地材2としては金属製四角筒が採用されている。図1において、符号3は床下スラブ、4は壁、5は根太材2を水平支持するための鋼製の束、6は床下貼材、7は柱、8はフレ止め用チャンネルである。
【0015】
前記固定金具Aは、図3および図4に示すように、前記胴縁1に対してネジ13により固着される矩形形状の基部9と、該基部9の両側端から同方向に直角に屈曲延設され、前記金属製下地材2の相対向する2側面2a,2bにネジ13により固着される一対の抱持部10,10とによって構成されている。
【0016】
また、前記両抱持部10,10の一端側には、前記金属製下地材2を位置決めする位置決め用突片11,11が直角に屈曲されて一体に形成されている。
【0017】
さらに、前記抱持部10,10における前記基部9側端部の一部を該基部9と連続するように切り起こして前記胴縁1にネジ13により固着される支持部12,12が設けられている。符号19は支持部12を切り起こした跡に形成される開口部である。なお、この支持部12,12は、必ずしも必要とするものではなく、基部9による胴縁1への固着状態が基部9のみによって十分に確保できる場合には、図5に示すように、支持部を形成しなくともよい。
【0018】
図面中、符号14は基部9に形成されたネジ穴、15は抱持部10に形成されたネジ穴、16は支持部12に形成されたネジ穴である。
【0019】
上記のように構成された固定金具の使用方法について説明する。
【0020】
まず、位置決め用突片11,11が下側に位置するようにして、基部9および支持部12,12を胴縁1に対してネジ13を用いて固着して固定金具Aを胴縁1に取り付ける。すると、固定金具Aにおける抱持部10,10が、胴縁1と直交する方向に支持されることとなる。ついで、金属製下地材2を、位置決め用突片11,11上に位置決めしつつ抱持部10,10内に挿入し、ネジ13により抱持部10,10を金属製下地材2の2側面2a,2bに固着する。かくして、胴縁1と金属製下地材2とは固定金具Aにより直交状態を保持して強固に連結されることとなるのである。しかも、固定金具Aは、胴縁1に対して基部9の両側端部においても支持部12,12により固着されることとなっており、固定金具Aによる連結強度がより一層強固となる。
【0021】
上記のように下地材として金属製四角筒を用い、胴縁と金属製下地材とを固定金具で結合するようにした場合、シロアリ対策としても有効である。
【0022】
上記実施の形態においては、胴縁として木製角材を使用したものについて説明しているが、胴縁としてコンクリートあるいは金属等を採用してもよい。このようにすると、シロアリ対策として万全となる。
【0023】
第1の実施の形態
図6ないし図10には、本願発明の第1の実施の形態にかかる固定金具および該固定金具を用いた外壁用下地構造が示されている。
【0024】
この固定金具Aは、図6に示すように、外壁用下地構造を構成するに当たって、ランナ17に対して嵌挿わされる外壁用下地材である金属製下地材2の端部を固定するために使用されるものである。この場合、前記ランナ17は、上下に配設され、金属製下地材2としては金属製四角筒が採用されている。図6において、符号8はフレ止め用チャンネル、18は外壁用板材である。
【0025】
この固定金具Aも、第1の実施の形態におけるとほぼ同様な構造とされており、図7ないし図10に示すように、前記ランナ17に対してネジ13により固着される矩形形状の基部9と、該基部9の両側端から同方向に直角に屈曲延設され、前記金属製下地材2の相対向する2側面2a,2bにネジ13により固着される一対の抱持部10,10とによって構成されている。
【0026】
また、前記両抱持部10,10の一端側における略上半分部分には、前記金属製下地材2を位置決めする位置決め用突片11,11が直角に屈曲されて一体に形成されている。このようにすると、ランナ17の起立部17a,17aが位置決め用突片11,11と重なり合わなくなる。つまり、位置決め突片11,11の板厚はランナ17の板厚より相当に大きいため、ランナ17の起立部17aが位置決め用突片11,11の下方に形成される隙間Sに収納されてしまうこととなり(図7参照)、金属製下地材2に外壁用板材18を貼設する際に、該金属製下地材18と外壁用板材18との間に介在される部材が位置決め用突片11,11のみとなるのである。その結果、位置決め用突片11,11より上方においては、金属製下地材2と外壁用板材18との間の隙間が小さくなり、外壁用板材18を貼設する際に該外壁用板材18に無理な力が作用することがなくなって、割れ等を生じるおそれがなくなる。
【0027】
さらに、前記抱持部10,10における前記基部9側端部の一部(即ち、中央部)を該基部9と連続するように切り起こして前記ランナ17にネジ13により固着される支持部12,12が設けられている。符号19は支持部12を切り起こした跡に形成される開口部である。なお、この支持部12,12は、必ずしも必要とするものではなく、基部9によるランナ17への固着状態が基部9のみによって十分に確保できる場合には、形成しなくともよい。
【0028】
さらにまた、本実施の形態においては、前記各抱持部10には、前記開口部19を挟むようにして該抱持部10の延設方向に延びる補強用ビード20,20がそれぞれ形成されている。このようにすると、抱持部10,10の剛性が大幅に強化されることとなり、金属製下地材2とランナ17との結合強度が向上することとなる。
【0029】
また、前記両支持部12,12と前記基部9とに跨がって連続する補強用ビード21が形成されている。該補強用ビード21の頂面21aは平面とされており、その各支持部12部分には、二つのネジ穴16,16が所定間隔で形成されている。このようにすると、両支持部12,12および基部9の剛性が大幅に強化されることとなり、金属製下地材2とランナ17との結合強度が向上することとなる。
【0030】
また、前記基部9と抱持部10,10との屈曲部にも、屈曲強度を強化するための補強用ビード22,22が形成されている。このようにすると、抱持部10,10の屈曲強度が大幅に向上することとなり、抱持部10,10の変形を確実に防止することができる。
【0031】
図面中、符号15は抱持部10に形成されたネジ穴である。
【0032】
上記のように構成された固定金具の使用方法について説明する。
【0033】
まず、位置決め用突片11,11がランナ17の起立部17aより上方に位置するようにして、支持部12,12をランナ17に対してネジ13を用いて固着して固定金具Aをランナ17に取り付ける。すると、固定金具Aにおける抱持部10,10が、ランナ17と直交する方向に支持されることとなる。ついで、金属製下地材2を、位置決め用突片11,11に沿うようにして抱持部10,10内に挿入し、ネジ13により抱持部10,10を金属製下地材2の2側面2a,2bに固着する。かくして、ランナ17と金属製下地材2とは固定金具Aにより直交状態を保持して強固に連結されることとなるのである。しかも、固定金具Aは、ランナ17に対して基部9の両側端部において支持部12,12により固着されることとなっており、固定金具Aによる連結強度がより一層強固となる。
【0034】
上記のように下地材として金属製四角筒を用い、ランナと金属製下地材とを固定金具で結合するようにした場合、シロアリ対策としても有効である。
【発明の効果】
【0035】
請求項1の発明によれば、ランナ17に対して嵌挿される金属製下地材2の端部を固定するための固定金具を、前記ランナ17に対してネジ13により固着される矩形形状の基部9と、該基部9の両側端から同方向に直角に屈曲延設され、前記金属製下地材2の相対向する2側面2a,2bにネジ13により固着される一対の抱持部10,10とによって構成して、ランナ17に対してネジ13により固着された基部9の両側端から直角に屈曲延設された一対の抱持部10,10を金属製下地材2の端部にネジ13により固着するようにしたので、ランナ17と金属製下地材2の端部とを固定金具により強固に連結できるという効果がある。しかも、金属製下地材2の両端部がランナ17,17に強固に固定できることとなるため、長尺の金属製下地材2を用いることが可能となり、2階建、3階建の外壁用下地構造を構築する際における工期を短縮できるという効果もある。このように下地材2として金属製のものを用い、ランナ17と金属製下地材2とを固定金具で結合するようにした場合、シロアリ対策としても有効となるという効果もある。しかも、両抱持部10,10に、前記金属製下地材2を位置決めする位置決め用突片11,11を一体に形成したことにより、固定金具に対して金属製下地材2を容易に位置決めできることとなり、組付作業性が向上するという効果もある。また、両抱持部10,10の一端側における略上半分部分であって前記ランナ17の起立部17a,17aと重なり合うことのない部位に、前記金属製下地材2を位置決めする位置決め用突片11,11を一体に形成したことにより、ランナ17の起立部17a,17aが位置決め用突片11,11と重なり合わなくなって、位置決め突片11,11の板厚はランナ17の板厚より相当に大きいところから、ランナ17の起立部17aが位置決め用突片11,11の下方に形成される隙間Sに収納されてしまうこととなり、金属製下地材2に外壁用板材18を貼設する際に、該金属製下地材18と外壁用板材18との間に介在される部材が位置決め用突片11,11のみとなるので、位置決め用突片11,11より上方においては、金属製下地材2と外壁用板材18との間の隙間が小さくなり、外壁用板材18を貼設する際に該外壁用板材18に無理な力が作用することがなくなって、割れ等を生じるおそれがなくなるという効果もある。
【0036】
請求項2の発明におけるように、請求項1記載の固定金具において、前記両抱持部10,10における前記基部9側端部の一部を該基部9と連続するように切り起こして前記ランナ17にネジ13により固着される支持部12,12を設けた場合、ランナ17に対して基部9の両側端部においても支持部12,12により固着されることとなり、固定金具による連結強度がより一層向上することとなる。
【0037】
請求項3の発明におけるように、請求項1および2のいずれか一項記載の固定金具において、前記各抱持部10に、該各抱持部10の延設方向に延びる補強用ビード20,20を形成した場合、各抱持部10の剛性が大幅に強化されることとなり、金属製下地材2と胴縁1あるいはランナ17との結合強度が向上することとなる。
【0038】
請求項4の発明におけるように、請求項2および3のいずれか一項記載の固定金具において、前記両支持部12,12と前記基部9とに跨がって連続する補強用ビード21を形成した場合、両支持部12,12および基部9の剛性が大幅に強化されることとなり、金属製下地材2と胴縁1あるいはランナ17との結合強度が向上することとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の第1の参考例にかかる固定金具の使用例を示す要部斜視図である。
【図2】 本願発明の第1の参考例にかかる固定金具の他の使用例を示す要部斜視図である。
【図3】 本願発明の第1の参考例にかかる固定金具の使用状態を示す拡大斜視図である。
【図4】 本願発明の第1の参考例にかかる固定金具の斜視図である。
【図5】 本願発明の第1の参考例にかかる固定金具の変形例を示す斜視図である。
【図6】 本願発明の第1の実施の形態にかかる固定金具の使用例を示す要部斜視図である。
【図7】 本願発明の第1の実施の形態にかかる固定金具の使用状態を示す拡大側面図である。
【図8】 本願発明の第1の実施の形態にかかる固定金具の使用状態を示す拡大正面図である。
【図9】 本願発明の第1の実施の形態にかかる固定金具の使用状態を示す拡大斜視図である。
【図10】 本願発明の第1の実施の形態にかかる固定金具の拡大斜視図である。
【符号の説明】
1は胴縁、2は金属製下地材、2a,2bは側面、9は基部、10は抱持部、11は位置決め用突片、12は支持部、13はネジ、17はランナ、17aは起立部、20は補強用ビード、21は補強用ビード。
Claims (4)
- ランナ(17)に対して嵌挿される金属製下地材(2)の端部を固定するための固定金具であって、前記ランナ(17)に対してネジ(13)により固着される矩形形状の基部(9)と、該基部(9)の両側端から同方向に直角に屈曲延設され、前記金属製下地材(2)の相対向する2側面(2a),(2b)にネジ(13)により固着される一対の抱持部(10),(10)とによって構成されており、該両抱持部(10),(10)の一端側における略上半分部分であって前記ランナ(17)の起立部(17a),(17a)と重なり合うことのない部位には、前記金属製下地材(2)を位置決めする位置決め用突片(11),(11)を一体に形成したことを特徴とする固定金具。
- 前記両抱持部(10),(10)における前記基部(9)側端部の一部を該基部(9)と連続するように切り起こして前記ランナ(17)にネジ(13)により固着される支持部(12),(12)を設けたことを特徴とする前記請求項1記載の固定金具。
- 前記各抱持部(10)には、該各抱持部(10)の延設方向に延びる補強用ビード(20),(20)をそれぞれ形成したことを特徴とする前記請求項1および2のいずれか一項記載の固定金具。
- 前記両支持部(12),(12)と前記基部(9)とに跨がって連続する補強用ビード(21)を形成したことを特徴とする前記請求項2および3のいずれか一項記載の固定金具。
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