JP3596455B2 - 複合梁と木製柱との接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合梁と木製柱との接続構造に関し、詳しくは、木製外観の梁と木製柱との接続強度を高めて耐荷重性を高め、結果として室内側に柱が突出することによる問題を回避しようとする技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図15に示すように、梁4’と柱5’との接続において、柱5’に充分な耐力を付与する場合には、梁4’に載設する有効横断面形状に加えて上記柱5’に対して直交する梁4’’にも載置する断面形状を加味する長方形状の横断面形状になるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような柱5’の断面形状は長方形形状となって柱5’の一部が室内側に突出することになり、突出した部分を隠す施工をおこなわなけばらなず、施工が面倒になるとともに室内空間が減少することにもなるという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、木製外観の梁と木製柱との接続強度を筋交いなどを使用しないで高めて耐荷重性を高め、室内側に柱が突出することがなく、室内面の施工性を高め、かつ、室内空間が狭くなることがない複合梁と木製柱との接続構造を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1においては、金属製のH型材1の上下に対向する両フランジ2、2の外面に木製の梁外面板3を付設した複合梁4と木製柱5との接合構造であって、木製柱5を横断面長方形状とするとともに短手方向の幅寸法xをH型材1の幅寸法yに略等しくし、木製柱5の長方形の端面を覆う金属製の接続板7の背面に金属製の二枚の接続縦片8、8を上記長方形の長さ方向の中間部に間隔を隔てて一体的に設けて略門型の接続金具9を構成し、木製柱5の端面に開口させて上下方向に二本の溝6、6を形成し、接続縦片8を溝6に挿入して木製柱5の短手側面より打入される接続具10を接続縦片8に貫通して木製柱5に接続金具9を接続し、木製柱5を接続する複合梁4の梁外面板3において木製柱5の長手寸法に相当する接合部分を切除して接合凹所11を形成し、木製柱5の端部を接合凹所11に挿入して接続金具9の接続板7をH型材1のフランジ2にボルト・ナットのような連結具12にて連結することを特徴とするものである。このような構成によれば、木製柱5の横断面形状を長方形として木製柱5の断面形状を大きくして耐垂直荷重性を高めながら、複合梁4の金属製のH型材1と木製柱5に取り付けた接続金具9とを連結具12で連結することで複合梁4と木製柱5との接続強度を大幅に高めることができ、横断面形状が長方形で幅寸法が複合梁4の幅寸法と略等しくした木製柱5を複合梁4の長さ方向に沿わせて複合梁4に接続することから、横断面形状が長方形の木製柱5が複合梁4から室内側に突出することがなく、室内側の仕上げを容易におこなうことができながら、室内空間を狭くすることがない。
【0006】
請求項2においては、接続金具9の接続板7の長さ方向の中間部から直交梁接続用の接続片7aを延出し、接続片7aに複合梁4と直交する複合梁4のフランジ2を接続して接続金具9に上記直交する複合梁4を接続していることを特徴とするものである。このような構成によれば、接続金具9によって複合梁4及び直交する複合梁4を接続することができ、複合梁4、4同士の接続強度を高め、かつ、複合梁4、4同士の接続強度を高めることから木製柱5と複合梁4との接続強度を高めることができる。
【0007】
請求項3においては、直交する複合梁4の接続金具9に接続される側の端部の梁外面板3が切除され、接続片7aの両端部から切除された梁外面板3の高さに相当する高さの起立片7bが起立されていることを特徴とするものである。このような構成によれば、接続片7aの両端部の起立片7b、7bの上端が複合梁4及び直交する複合梁4の梁外面板3と面一となって複合梁4及び直交する複合梁4の梁外面板3上に敷設される床下地合板28を受けることができ、床下地合板28の支持強度を高めることができる。
【0008】
請求項4においては、木製柱5の両短手側面より打入した各々接続具10、10を各接続縦片8、8の接続孔27、27に挿通していることを特徴とするものである。このような構成によれば、木製柱5の両短手側面より打入した各接続具10、10の各接続縦片8、8の接続孔27、27に容易に挿通させることができ、横断面形状が長方形の木製柱5を二枚の接続縦片8、8を備えた接続金具9に容易にかつ強固に接続することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1(a)は分解斜視図である。図2は軸組を示す斜視図である。図8は門型フレーム13の設置位置を示す説明図である。
【0010】
門型フレーム13は、木製柱5、5間に金属製のH型材1の上下に対向する両フランジ2、2の外面に木製の梁外面板3を付設した複合梁4を架設して構成したものであり、木製外観の複合梁4と木製柱5との接続強度を筋交いなどを使用しないで高めて耐荷重性を高め、結果として門型フレーム13のスパンを広げて広幅の建造物を木製外観で整然と構築するものである。
【0011】
木製柱5を横断面長方形状とするとともに短手方向の幅寸法xをH型材1の幅寸法yに略等しくしている。木製柱5の長方形の端面を覆う金属製の接続板7の背面に金属製の二枚の接続縦片8、8を上記長方形の長さ方向の中間部に間隔を隔てて一体的に設けて略門型の接続金具9を構成している。接続縦片8に接続孔27を形成している。木製柱5の端面に開口させて上下方向に二本の溝6、6を形成している。接続縦片8を溝6に挿入して木製柱5の短手側面より打入される接続具10を接続縦片8の接続孔27に貫通して木製柱5に接続金具9を接続している。
【0012】
複合梁4の下面側の梁外面板3における木製柱5の接合部分を切除して接合凹所11を形成している。木製柱5の上端部を接合凹所11に挿入して接続金具9の接続板7をH型材1の下面側のフランジ2にボルト・ナットのような連結具12にて連結するのである。この場合、ボルト14の頭部は木製柱5の座ぐり穴15に回転不能に挿入され、ナット16がワッシャ、スプリングワッシャを介して螺合されるものである。
【0013】
このような門型フレーム13は図2及び図8に示すように、下階び上階に配設するのであり、下階には例えば、ガレージ17、上階にはリビング18、キッチン19及び狭幅とした門型フレーム13を使用する子供室20等が構築されるものである。
【0014】
このような構成によれば、複合梁4の金属製のH型材1と木製柱5に取り付けた接続金具9とを連結具12で連結することで複合梁4と木製柱5との接続強度を大幅に高めることができるのであり、筋交いなどを要することなく木製柱5、5の長いスパン間に複合梁4を接続する門型フレーム13を得ることができるのである。しかして、複合梁4及び木製柱5において木製外観で釘打ちなどが可能であるという良さを活かしながら、間口の広い建物をコストを抑えて容易に構築することができるものである。
【0015】
更に、木製柱5の横断面形状を長方形として木製柱5の断面形状を大きくして耐垂直荷重性を高めながら、複合梁4の金属製のH型材1と木製柱5に取り付けた接続金具9とを連結具12で連結することで複合梁4と木製柱5との接続強度を大幅に高めるものである。しかも、横断面形状が長方形で幅寸法xが複合梁4の幅寸法yと略等しくした木製柱5を複合梁4の長さ方向に沿わせて複合梁4に接続することから、横断面形状が長方形の木製柱5が複合梁4から室内側に突出することがなく、室内側の仕上げを容易におこなうことができながら、室内空間を狭くすることがない。
【0016】
この場合、図1に示すように、木製柱5の両短手側面より打入したピンのような各々接続具10、10を各接続縦片8、8の接続孔27、27に挿通するのであり、木製柱5の両短手側面より打入した各接続具10、10の各接続縦片8、8の接続孔27、27に容易に挿通させることができ、横断面形状が長方形の木製柱5を二枚の接続縦片8、8を備えた接続金具9に容易にかつ強固に接続することができる。尚、図10に示すように、木製柱5の短手面の片面から長いピンのような接続具10を打入するようにしてもよいものである。
【0017】
図6は複合梁4と直交する複合梁4の接続構造を示し、L型金物32を両複合梁4、4のウエブ材33にボルト・ナットで接続することで、両複合梁4、4を接続するものである。
【0018】
図9は両複合梁4、4を、一層、強固に接続する実施の形態を示す。但し、本実施の形態の基本構成は上記実施の形態と共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0019】
本実施の形態においては、上記接続金具9の接続板7の長さ方向の中間部から直交梁接続用の接続片7aを略面一に延出している。接続片7aに複合梁4と直交する複合梁4のフランジ2を上述と同様に接続して接続金具9に上記直交する複合梁4を接続している。
【0020】
本実施の形態においては、接続金具9によって複合梁4及び直交する複合梁4を接続することができ、複合梁4、4同士の接続強度を高め、かつ、複合梁4、4同士の接続強度を高めることから木製柱5と複合梁4との接続強度を高めることができるものである。
【0021】
図7は上階(二階)の門型フレーム13を示し、門型フレーム13の複合梁4に対して直交する複合梁4を木製柱5にて支持している。
【0022】
即ち、木製柱5の略T型の接続金具9の接続板7を延出した接続片7aにおいて直交する複合梁4を上述のように接続するのである。
【0023】
このような構成によれば、複合梁4とは直交する複合梁4において並置する門型フレーム13、13を強度を高めて接続することができ、一層、容易に間口の広い建物を構築することができるものである。
【0024】
次に、木製柱5の下端部の接続構造を詳述する。
【0025】
図7において、上階の木製柱5の下端面を覆う金属製の接続板7の上面に金属製の接続縦片8、8を一体的に設けた接続金具9A(接続金具9を上下反転したもの)を構成する。木製柱5の下端面に開口させて上下方向に二本の溝6を形成する。接続縦片8を溝6に挿入して木製柱5に水平横方向から打入される接続具10にて木製柱5に接続金具9Aを接続する。下階における複合梁4及び複合梁4とは直交する複合梁4の上面の梁外面板3、3における木製柱5の接合部分を切除して接合凹所11Aを形成する。木製柱5の下端部を接合凹所11Aに挿入して接続金具9Aの接続板7において複合梁4を接続する。接続板7より延出した接続片7aにおいて直交する複合梁4を接続する。
【0026】
図11は更に他の実施の形態を示し、但し、本実施の形態の基本構成は上記実施の形態と共通であり、共通する部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0027】
本実施の形態においては、直交する複合梁4の接続金具9に接続される側の端部の梁外面板3が切除されている。接続片7aの両端部から切除された梁外面板3の高さに相当する高さの起立片7bが起立されている。
【0028】
本実施の形態においては、図13に示すように、接続片7aの両端部の起立片7b、7bの上端が複合梁4及び直交する複合梁4の梁外面板3と面一となって複合梁4及び直交する複合梁4の梁外面板3上に敷設される床下地合板28を受けることができ、床下地合板28の支持強度を高めることができるものである。尚、図14(b)は他の実施の形態の概略正面図である。
【0029】
【発明の効果】
請求項1においては、金属製のH型材の上下に対向する両フランジの外面に木製の梁外面板を付設した複合梁と木製柱との接合構造であって、木製柱を横断面長方形状とするとともに短手方向の幅寸法をH型材の幅寸法に略等しくし、木製柱の長方形の端面を覆う金属製の接続板の背面に金属製の二枚の接続縦片を上記長方形の長さ方向の中間部に間隔を隔てて一体的に設けて略門型の接続金具を構成し、木製柱の端面に開口させて上下方向に二本の溝を形成し、接続縦片を溝に挿入して木製柱の短手側面より打入される接続具を接続縦片に貫通して木製柱に接続金具を接続し、木製柱を接続する複合梁の梁外面板において木製柱の長手寸法に相当する接合部分を切除して接合凹所を形成し、木製柱の端部を接合凹所に挿入して接続金具の接続板をH型材のフランジにボルト・ナットのような連結具にて連結するから、つまり、木製柱の横断面形状を長方形として木製柱の断面形状を大きくして耐垂直荷重性を高めながら、複合梁の金属製のH型材と木製柱に取り付けた接続金具とを連結具で連結することで複合梁と木製柱との接続強度を大幅に高めることができ、横断面形状が長方形で幅寸法が複合梁の幅寸法と略等しくした木製柱を複合梁の長さ方向に沿わせて複合梁に接続することから、横断面形状が長方形の木製柱が複合梁から室内側に突出することがなく、室内側の仕上げを容易におこなうことができながら、室内空間を狭くすることがないという利点がある。
【0030】
請求項2においては、請求項1の構成に加えて、接続金具の接続板の長さ方向の中間部から直交梁接続用の接続片を延出し、接続片に複合梁と直交する複合梁のフランジを接続して接続金具に上記直交する複合梁を接続しているから、請求項1の効果に加えて、接続金具によって複合梁及び直交する複合梁を接続することができ、複合梁同士の接続強度を高め、かつ、複合梁同士の接続強度を高めることから木製柱と複合梁との接続強度を高めることができるという利点がある。
【0031】
請求項3においては、請求項2の構成に加えて、直交する複合梁の接続金具に接続される側の端部の梁外面板が切除され、接続片の両端部から切除された梁外面板の高さに相当する高さの起立片が起立されているから、請求項2の効果に加えて、接続片の両端部の起立片の上端が複合梁及び直交する複合梁の梁外面板と面一となって複合梁及び直交する複合梁の梁外面板上に敷設される床下地合板を受けることができ、床下地合板の支持強度を高めることができるという利点がある。
【0032】
請求項4においては、請求項1の構成に加えて、木製柱の両短手側面より打入した各々接続具を各接続縦片の接続孔に挿通しているから、請求項1の効果に加えて、木製柱の両短手側面より打入した各接続具の各接続縦片の接続孔に容易に挿通させることができ、横断面形状が長方形の木製柱を二枚の接続縦片を備えた接続金具に容易にかつ強固に接続することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、(a)は分解概略斜視図、(b)は部分概略正面図である。
【図2】同上の軸組を示す斜視図である。
【図3】図2イ部の拡大斜視図である。
【図4】図2ロ部の拡大斜視図である。
【図5】図2ハ部の拡大斜視図である。
【図6】同上の複合梁と直交する複合梁との接続を示す斜視図である。
【図7】同上の上階の門型フレームの斜視図である。
【図8】同上の門型フレームの設置位置を示す説明図である。
【図9】同上の他の実施の形態の部分斜視図である。
【図10】同上の更に他の実施の形態の部分斜視図である。
【図11】(a)は同上の更に他の実施の形態の部分斜視図、(b)は接続金具の斜視図である。
【図12】同上の接続金具を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図13】同上の施工状態の斜視図である。
【図14】(a)は同上の斜視図、(b)は他の実施の形態の概略正面図である。
【図15】従来例の斜視図である。
【符号の説明】
1 H型材
2 フランジ
3 梁外面板
4 複合梁
5 木製柱
6 溝
7 接続板
7a 接続片
7b 起立片
8 接続縦片
9 接続金具
10 接続具
11 接続凹所
12 連結具
Claims (4)
- 金属製のH型材の上下に対向する両フランジの外面に木製の梁外面板を付設した複合梁と木製柱との接合構造であって、木製柱を横断面長方形状とするとともに短手方向の幅寸法をH型材の幅寸法に略等しくし、木製柱の長方形の端面を覆う金属製の接続板の背面に金属製の二枚の接続縦片を上記長方形の長さ方向の中間部に間隔を隔てて一体的に設けて略門型の接続金具を構成し、木製柱の端面に開口させて上下方向に二本の溝を形成し、接続縦片を溝に挿入して木製柱の短手側面より打入される接続具を接続縦片に貫通して木製柱に接続金具を接続し、木製柱を接続する複合梁の梁外面板において木製柱の長手寸法に相当する接合部分を切除して接合凹所を形成し、木製柱の端部を接合凹所に挿入して接続金具の接続板をH型材のフランジにボルト・ナットのような連結具にて連結して成ることを特徴とする複合梁と木製柱との接続構造。
- 接続金具の接続板の長さ方向の中間部から直交梁接続用の接続片を延出し、接続片に複合梁と直交する複合梁のフランジを接続して接続金具に上記直交する複合梁を接続して成ることを特徴とする請求項1記載の複合梁と木製柱との接続構造。
- 直交する複合梁の接続金具に接続される側の端部の梁外面板が切除され、接続片の両端部から切除された梁外面板の高さに相当する高さの起立片が起立されて成ることを特徴とする請求項2記載の複合梁と木製柱との接続構造。
- 木製柱の両短手側面より打入した各接続具を各接続縦片の接続孔に挿通して成ることを特徴とする請求項1記載の複合梁と木製柱との接続構造。
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