JP4659174B2 - コンパクト容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋体を2方向に開閉可能とするコンパクト容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ファンデーション等の化粧料を収容して携帯するコンパクト容器であって、蓋体を2方向に開閉可能とするものとして、実開平3−81011号公報に示すようなものが提案されている。このものは、図7に示すように、化粧料容器(図示せず)を収容する容器本体51の前後端部にそれぞれ水平バー53が設けられており、上記容器本体51の上面を覆う蓋体52の下面には、上記水平バー53に対応する位置に水平バー53とそれぞれ着脱自在に係合可能な蝶番フック57が設けられている。さらに、上記蓋体52の前後端部には、蝶番フック57に対応する位置に水平バー53と蝶番フック57との係合を解除するための解除部材60が設けられている。
【0003】
そして、蓋体52の閉蓋状態では、各水平バー53に蝶番フック57がそれぞれ係合しており、開蓋する際には、いずれか一方の解除部材60を操作し、その操作した側の水平バー53と蝶番フック57との係合を解除する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のコンパクト容器では、蓋体52の閉蓋状態で、各蝶番フック57が共に各水平バー53と係合しているため、開蓋する際には、水平バー53と蝶番フック57との係合を解除し、閉蓋する際には、水平バー53と蝶番フック57とを係合させるという大きな力を要する。また、上記係合解除に、解除部材60の操作を要するため、解除部材60等の部品が必要となり、コンパクト容器が複雑な構造になる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、蓋体を2方向に開閉可能とするコンパクト容器において、小さい力で蓋体を開閉することができ、構造が簡単となるコンパクト容器の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のコンパクト容器は、容器本体と、この容器本体の上面を蓋する蓋体とを備えたコンパクト容器であって、上記容器本体の前後部にヒンジ軸と突条とが設けられ、上記蓋体の前後部に、閉蓋時に上記各ヒンジ軸に係止する係止部が設けられているとともに、開蓋に際して上記蓋体を前方または後方にスライドすることにより上記ヒンジ軸の一方に回動自在に連結する連結部と上記突条に係止する段部とが設けられ、上記一方のヒンジ軸と連結部とが連結することにより、他方のヒンジ軸と上記係止部との係止が外れ、他方のヒンジ軸側の容器本体の上記突条と蓋体の上記段部とが係脱自在に係止するようになっており、蓋体が一方のヒンジ軸を中心に回動して開蓋状態になるという構成をとる。
【0007】
すなわち、本発明のコンパクト容器は、容器本体の前後部にヒンジ軸が設けられ、蓋体の前後部に、閉蓋時に上記各ヒンジ軸に係止する係止部が設けられているとともに、開蓋に際して上記蓋体を前方または後方にスライドすることにより上記ヒンジ軸の一方に回動自在に連結する連結部が設けられ、上記一方のヒンジ軸と連結部とが連結することにより、他方のヒンジ軸と上記係止部との係止が外れ、蓋体が一方のヒンジ軸を中心に回動して開蓋状態になる。このため、蓋体を開閉する際には、蓋体と他方のヒンジ軸とが係合していない。したがって、小さい力で蓋体を開閉することができる。さらに、蓋体と他方のヒンジ軸とが係合していないため、上記係合を解除するための解除部材が不要となる。したがって、コンパクト容器の構造を簡単なものとすることができる。
【0008】
また、本発明のコンパクト容器では上記容器本体の前後部に突条を設け、上記蓋体の前後部に段部を設け、上記一方のヒンジ軸と連結部とが連結することにより、他方のヒンジ軸側の容器本体の上記突条と蓋体の上記段部が係脱自在に係止するようになっているため、各係止部とヒンジ軸とが係止した状態にすることなく、閉蓋状態とすることができ、この閉蓋状態から蓋体を開閉することができる。さらに、もし他方のヒンジ軸が折れたり、無くなったり等しても、上記のように閉蓋状態を維持することができ、一方のヒンジ軸を蓋体の回動軸として(蓋体が1方向に開閉可能なものとして)コンパクト容器を使用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0010】
図1および図2は、本発明のコンパクト容器の一実施の形態を示している。この実施の形態では、コンパクト容器は、上面に化粧料容器(図示せず)を収容する凹部1aが形成された容器本体1と、この容器本体1の上面を蓋して前後方向にスライド可能な蓋体2とを備えている。そして、上記容器本体1の前後部には、円柱状のヒンジ軸3,4が設けられている。また、上記蓋体2の前後部には、閉蓋時に上記各ヒンジ軸3,4に係止する係止部5,6が設けられているとともに、開蓋に際して上記蓋体2を前方にスライドすることにより前方のヒンジ軸3に回動自在に連結する連結部7および後方にスライドすることにより後方のヒンジ軸4に回動自在に連結する連結部8が設けられている。そして、前方のヒンジ軸3と連結部7とを連結させると、後方のヒンジ軸4と上記係止部6との係止が外れ、蓋体2が前方のヒンジ軸3を中心に回動自在となり、開蓋可能となるようになっている。同様に、後方のヒンジ軸4と連結部8とを連結させると、前方のヒンジ軸3と上記係止部5との係止が外れ、蓋体2が後方のヒンジ軸4を中心に回動自在となり、開蓋可能となるようにもなっている。
【0011】
より詳しく説明すると、上記容器本体1は、ABS樹脂,スチロール樹脂等の樹脂製であり、図3に示すように、前後対称かつ左右対称の形状をしている。すなわち、容器本体1は、平面視で、前後方向(図3では、左右方向)に長い略長方形に形成され、前後端部に略コ字状の凹所9,10が前後方向を開放させて形成されており、上面中央部に上記凹部1aが形成されている。また、各凹所9,10の奥面には、下記蓋体2の各垂下部13,14に形成された段部17,18を係止させる断面略半円状(図5および図6参照)の突条11,12が水平に形成されている。そして、上記ヒンジ軸3,4は、各凹所9,10の開放部の先端部に差し渡すようにして水平に設けられている。
【0012】
上記蓋体2も、ABS製,スチロール樹脂等の樹脂製であり、図4に示すように、前後対称かつ左右対称の形状をしている。すなわち、蓋体2は、平面視で前後方向(図4では、左右方向)に長い略長方形に形成されており、下面前後端部に上記係止部5,6および連結部7,8が設けられた垂下部13,14が形成されている。これら垂下部13,14は、上記略コ字状の各凹所9,10に対応する位置にそれぞれ形成されており、閉蓋状態では、上記各凹所9,10に挿入されるようになっている。そして、図5および図6に示すように、各垂下部13,14の下端部外側(前方の垂下部13では前側、後方の垂下部14では後側)は、外側上方に向かって傾斜する傾斜面15,16に形成されている。また、上記係止部5,6は、上記傾斜面15,16の上方に設けられ、閉蓋状態において、上記ヒンジ軸3,4の上方部および内側下方部に当接することにより、ヒンジ軸3,4に係止するようになっている。さらに、上記連結部7,8は、上記係止部5,6の内側に隣接して設けられ、断面がそれ自体の外側(係止部側)を開放させた略C字状に形成されている。そして、この略C字状の内側は、上記ヒンジ軸3,4の外径よりも僅かに大きくなっており、略C字状の開放部の幅は、上記ヒンジ軸3,4の外径よりも僅かに小さくなっている。また、各垂下部13,14の内側には、段部17,18が形成されており、上記蓋体2を前方にスライドさせることにより前方のヒンジ軸3と連結部7とを連結させると、後方の垂下部14の段部18が後方のヒンジ軸4側の凹所10の奥面に形成された突条12の下方に係止するようになっている。同様に、上記蓋体2を後方にスライドさせることにより後方のヒンジ軸4と連結部8とを連結させると、前方の垂下部13の段部17が前方のヒンジ軸3側の凹所9の奥面に形成された突条11の下方に係止するようになっている。
【0013】
上記構成において、容器本体1に蓋体2を取り付ける際には、図1および図2に示すようにして蓋体2を降ろしていくと、各垂下部13,14の傾斜面15,16がヒンジ軸に当ったのちに、傾斜面15,16に沿って各垂下部13,14が内側に撓み、係止部5,6がヒンジ軸3,4に位置すると、各垂下部13,14が元の(撓む前の)状態に戻る。その結果、図5に示すような閉蓋状態となり、上記係止部5,6が各ヒンジ軸3,4に係止した状態となる。そして、この閉蓋状態から開蓋する際には、図6に示すように、まず、上記蓋体2を前方(図6では、左方向)にスライドさせることにより、前方のヒンジ軸3と連結部7とを連結させるとともに、後方のヒンジ軸4と上記係止部6との係止を外し、後方のヒンジ軸4側の凹所10の奥面の突条12と垂下部14の段部18とを係止させる。そののち、上記突条12と段部18との係止を外し、前方のヒンジ軸3を中心に蓋体2を上方に回動させて開蓋する。また、開蓋後に再度閉蓋する際には、前方のヒンジ軸3を中心に蓋体2を下方に回動させ、上記突条12と段部18とを係止させてもよいし、この突条12と段部18との係止状態から、上記蓋体2を後方(図6では、右方向)にスライドさせ、図5に示すように、上記係止部5,6を各ヒンジ軸3,4に係止させてもよい。
【0014】
また、閉蓋状態から開蓋する際には、上記とは逆に、蓋体2を後方(図6では、右方向)にスライドさせることもできる。この場合には、蓋体2の開く方向が上記とは逆になり、上記と同様にして蓋体2を開閉することができる。
【0015】
このように、上記実施の形態によれば、蓋体2を2方向に開閉することができる。しかも、その開閉は、蓋体2を前方(または後方)にスライドさせることにより、蓋体2の回動軸となる前方のヒンジ軸3(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、後方のヒンジ軸4)に連結させるとともに、後方のヒンジ軸4と蓋体2の係止部6との係止(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、前方のヒンジ軸3と蓋体2の係止部5との係止)を外すため、図7に示す従来のコンパクト容器と異なり、蓋体2を開閉する際には、蓋体2と後方のヒンジ軸4(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、前方のヒンジ軸3)とが係合していない。したがって、開蓋する際には、蓋体2と後方のヒンジ軸4(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、前方のヒンジ軸3)との係合を解除する必要がなく、閉蓋する際にも、蓋体2と後方のヒンジ軸4(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、前方のヒンジ軸3)とを係合させる必要がない。このため、小さい力で蓋体2を開閉することができる。さらに、蓋体2を開閉する際には、蓋体2と後方のヒンジ軸4(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、前方のヒンジ軸3)とが係合していないため、図7に示す従来のコンパクト容器と異なり、解除部材が不要となる。したがって、コンパクト容器の構造を簡単なものとすることができる。
【0016】
また、蓋体2を前方(または後方)にスライドさせて回動軸となる前方のヒンジ軸3(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、後方のヒンジ軸4)に連結させた際に、後方のヒンジ軸4側(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、前方のヒンジ軸3側)の容器本体1と蓋体2とが係脱自在に係止するように、容器本体1の略コ字状の各凹所9,10の奥面に突条11,12を形成するとともに、蓋体2の各垂下部13,14の内側に段部17,18を形成しているため、図5に示すような各ヒンジ軸3,4と係止部5,6とが係止した状態にすることなく、図6に示すような突条12と段部18とを係止させた状態(蓋体2を後方にスライドさせた場合には、図示しないが、突条11と段部17とを係止させた状態)を閉蓋状態とし、この閉蓋状態から蓋体2を開閉することができる。さらに、このように上記突条11,12と段部17,18とを形成した場合には、もし後方のヒンジ軸4が折れたり、無くなったり等しても、上記のように蓋体2の閉蓋状態を維持することができ、前方のヒンジ軸3を蓋体2の回動軸として(蓋体2が1方向に開閉可能なものとして)上記コンパクト容器を使用することができる。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明のコンパクト容器によれば、容器本体の前後部にヒンジ軸が設けられ、蓋体の前後部に、閉蓋時に上記各ヒンジ軸に係止する係止部が設けられているとともに、開蓋に際して上記蓋体を前方または後方にスライドすることにより上記ヒンジ軸の一方に回動自在に連結する連結部が設けられ、上記一方のヒンジ軸と連結部とが連結することにより、他方のヒンジ軸と上記係止部との係止が外れ、蓋体が一方のヒンジ軸を中心に回動して開蓋状態になる。このため、蓋体を開閉する際には、蓋体と他方のヒンジ軸とが係合していない。したがって、小さい力で蓋体を開閉することができる。さらに、蓋体と他方のヒンジ軸とが係合していないため、上記係合を解除するための解除部材が不要となる。したがって、コンパクト容器の構造を簡単なものとすることができる。
【0018】
また、本発明のコンパクト容器では上記容器本体の前後部に突条を設け、上記蓋体の前後部に段部を設け、上記一方のヒンジ軸と連結部とが連結することにより、他方のヒンジ軸側の容器本体の上記突条と蓋体の上記段部が係脱自在に係止するようになっているため、各係止部とヒンジ軸とが係止した状態にすることなく、閉蓋状態とすることができ、この閉蓋状態から蓋体を開閉することができる。さらに、もし他方のヒンジ軸が折れたり、無くなったり等しても、上記のように閉蓋状態を維持することができ、一方のヒンジ軸を蓋体の回動軸として(蓋体が1方向に開閉可能なものとして)コンパクト容器を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンパクト容器の一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】上記コンパクト容器を前方から見た分解図である。
【図3】上記コンパクト容器の容器本体を示す平面図である。
【図4】上記コンパクト容器の蓋体を示す底面図である。
【図5】上記コンパクト容器の使用方法を示す説明図である。
【図6】上記コンパクト容器の使用方法を示す説明図である。
【図7】従来のコンパクト容器を示す断面図である。
【符号の説明】
1 容器本体
2 蓋体
3,4 ヒンジ軸
5,6 係止部
7 連結部

Claims (1)

  1. 容器本体と、この容器本体の上面を蓋する蓋体とを備えたコンパクト容器であって、上記容器本体の前後部にヒンジ軸と突条とが設けられ、上記蓋体の前後部に、閉蓋時に上記各ヒンジ軸に係止する係止部が設けられているとともに、開蓋に際して上記蓋体を前方または後方にスライドすることにより上記ヒンジ軸の一方に回動自在に連結する連結部と上記突条に係止する段部とが設けられ、上記一方のヒンジ軸と連結部とが連結することにより、他方のヒンジ軸と上記係止部との係止が外れ、他方のヒンジ軸側の容器本体の上記突条と蓋体の上記段部とが係脱自在に係止するようになっており、蓋体が一方のヒンジ軸を中心に回動して開蓋状態になることを特徴とするコンパクト容器。
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