JP4658353B2 - 樹脂モールド金型及び樹脂モールドパッケージの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂モールドパッケージの製造に使用する樹脂モールド金型及びその金型を用いた樹脂モールドパッケージの製造方法に関するもので、特に、半導体チップをリリースフィルムを介して樹脂モールドし、樹脂モールド後の半導体チップの一部が樹脂でモールドされていない露出面を有する樹脂モールドパッケージ(チップ露出方式パッケージ)を製造する際に使用する樹脂モールド金型及び樹脂モールドパッケージの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、樹脂モールド金型内面にリリースフィルムを介在させ、金型と製品との離型性向上や樹脂による金型汚れに対する金型清掃レス、さらにチップ露出方式や放熱板部の露出を目的とした封入方式が採用されつつある。このリリースフィルムは、例えば、特開平11−34066号公報にあるように、樹脂モールドパッケージを形成するキャビティ内面やモールド樹脂をキャビティに運び込む樹脂の通り道となるランナー内面を含む上下金型の分割面を被覆するようにして設けられている。特に、複数の半導体チップを基板上に搭載し、これらの半導体チップを基板とともに一つのパッケージとして一体に樹脂モールドする一括樹脂モールドパッケージであって、かつ、全ての半導体チップの上面が樹脂モールドされずにパッケージ表面から露出する封入方式である樹脂モールドパッケージ(チップ露出方式パッケージ)においては、樹脂モールド後に半導体チップの上面が露出面となるように樹脂モールドを行わなければならないため、リリースフィルムは金型の内面を被覆するだけではなく、半導体チップの露出面となる部分を被覆してモールド樹脂の侵入を阻止するという機能も兼ねている。
【0003】
このチップ露出方式の樹脂モールドパッケージの製造方法について図面を用いて説明する。図9は従来のチップ露出方式の樹脂モールド金型を用いて樹脂モールドを行う状態を示す概略断面図で、図9(a)は金型クランプ前の状態、図9(b)は金型クランプ時の状態を示している。次に、チップ露出方式パッケージの製造方法の一例について説明する。
【0004】
まず、図9(a)に示すように、リリースフィルム7を上金型3と下金型4の間に供給し、上金型3に開けられた図示していない吸引孔によって上金型3の下面全面にリリースフィルム7を吸着させて張り付ける。この際、樹脂モールドパッケージ製品の方向を、上金型封入とするか下金型封入とするかの製品の方向によって、リリースフィルム7の張付け方向が下金型4になる場合もあるが、ここでは上金型3のみに設けた場合で説明する。上金型3には、半導体チップ1をリリースフィルム7に押し当てる際のチップクラック対策として、バネ6によって上下するフローティングブロック5が設けられており(キャビティフローティング方式)、リリースフィルム7はこのフローティングブロック5の下面およびランナー13の内面を含む上金型3の下面全面に吸着され張り付けられる。次いで、あらかじめ半導体チップ1を搭載した基板2を下金型4に載置する。この半導体チップ1の搭載は、半導体チップ1の主面側に設けられた電極パッドと基板2の回路パターンに設けられた接続端子とをフェイスダウン方式で接続することによって行う。
【0005】
次いで、図9(b)に示すように、上金型3と下金型4とで半導体チップ1の露出面14(主面の反対面)となる部分をリリースフィルム7で被覆した状態でクランプを行う。クランプの際、フローティングブロック5は半導体チップ1によってリリースフィルム7を介して押し上げられ、半導体チップ1の周囲に空間部(キャビティ)23が形成される。次いで、この空間部23に樹脂10を注入する。加熱した金型によって軟化した樹脂10は、射出シリンダ11によって加圧され、カル9、ランナー13を経て空間部23に流入し半導体チップ1の側面周囲を囲むようにして充填される。この際、半導体チップ1の露出面14はリリースフィルム7で被覆されており、また、リリースフィルム7はバネ6の反撥力で押圧されているため、半導体チップ1の露出面14への樹脂10の侵入は阻止され樹脂バリの発生は起こらない。
【0006】
次いで金型を開き、図10の断面図に示すように、露出面14を有する複数の半導体チップ1が基板2上に一括して樹脂10でモールドされてなる一括樹脂モールドパッケージ18を取り出す。次に、図11の断面図に示すように、取り出した一括樹脂モールドパッケージ18の基板2の裏面(半導体チップ1が搭載された反対面)に電極端子となる半田ボール22をマウントする。半田ボール22のマウント方法については、各種方法が提案されているのでここでは説明を省略する。
【0007】
次に、図12の断面図に示すように、半田ボール22が形成された基板面を上向きにした状態で一括樹脂モールドパッケージ18をダイシングシート20と呼ばれるシートに載置し、半導体チップ1の周囲に充填された樹脂10を基板2とともにブレード21と呼ばれる刃物を用いてダイシングし、図13の断面図に示すように、個々に分割されたチップ露出方式の個別樹脂モールドパッケージ19ができ上がる。この分割された個別樹脂モールドパッケージ19は、半導体チップ1の側面周囲のみが樹脂10でモールドされ、半導体チップ1の大きさとほぼ同等の小型かつ薄型のパッケージであって、電子機器の軽薄化に寄与するとともに半導体チップ1の一部が露出面14となっていることから放熱性の優れたものとなっている。
【0008】
しかし、このチップ露出方式の樹脂モールドパッケージの製造工程にも幾つかの問題点が指摘されている。まず、リリースフィルム吸着後、金型クランプした際に、半導体チップとフローティングブロック機構により圧縮されたリリースフィルムが、半導体チップ周囲にフィルムシワを発生させることである。そのため、図14の拡大断面図に示すように、流入した樹脂10がシワ15に阻止されて半導体チップ1の周囲に沿って溝状に樹脂10の未充填部分が発生し、外観不良となる。
【0009】
また、一括樹脂モールドパッケージを個別樹脂モールドパッケージに分割するダイシング工程において、樹脂モールドパッケージの切断代を広くとるパッケージについては2回切りを行わなくて済むようにダイシングブレード幅を厚くしてインデックス低下を防止しているが、ブレード幅が厚くなるとブレード先端が摩耗し易くなり、その結果、ブレード先端のR形状が大きくなって、図15の断面図に示すように、切断後の個別樹脂モールドパッケージ19の樹脂10の断面形状が反対方向に逆R部16となって突出し、外形不良が発生する。この形状不具合を防止しようとすると、ダイシングの際、パッケージを固定しているダイシングシートの厚みを厚くしてブレード深さを深くする必要が生じ、ダイシングシートが厚くなることによって大幅なコストアップとなってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来のチップ露出方式パッケージの製造に使用する樹脂モールド金型においては、半導体チップ露出面への樹脂バリの発生を押さえるために設けたリリースフィルムを金型でクランプする際に、このリリースフィルムがシワとなって半導体チップの周囲に押し寄せるため、このシワに阻止されて半導体チップ周囲に樹脂未充填部分が発生し、外観不良となるばかりでなく、パッケージの製造工程において、一括樹脂モールドパッケージから個別樹脂モールドパッケージをダイシングする際に、ブレード幅が厚い場合にはブレードの摩耗によって個別樹脂モールドパッケージの切断面に逆R状の切り残し部が発生し、外形寸法不良となる問題がある。
【0011】
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたもので、樹脂モールド金型の内面をリリースフィルムで被覆して樹脂モールドする際に、リリースフィルムにシワが生じないようにすることによって、パッケージ外形を維持して製造歩留りの向上を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂モールド金型は、複数の半導体チップを縦横等間隔に配置して搭載した基板を下金型にセットし、バネによって上下に可動するフローティングブロックを有する上金型と基板をセットした下金型との間に配置されたリリースフィルムをフローティングブロックで半導体チップ上面に押し付けてクランプし、半導体チップ周囲に樹脂を注入して基板上に複数の半導体チップを一括樹脂モールドする際に半導体チップ上面への樹脂の流入を阻止してなるチップ露出方式の樹脂モールドパッケージの製造に使用する樹脂モールド金型であって、フローティングブロックの下面に、一括樹脂モールドされる各半導体チップを仕切るように格子状に配置された凸状突起を設けており、金型クランプ前にリリースフィルムを上金型の凸状突起の形状に沿って引き延ばしている。この凸状突起の高さは半導体チップの厚さよりも低く、幅はパッケージをダイシングで切断する時のブレード幅よりも狭く形成され、また、凸状突起の形状は、断面がV字形または山形に形成されている。
【0013】
本発明の樹脂モールドパッケージの製造方法は、複数の半導体チップを縦横等間隔に配置して搭載した基板を下金型にセットし、バネによって上下に可動するフローティングブロックを有する上金型と基板をセットした下金型との間に配置されたリリースフィルムをフローティングブロックで半導体チップ上面に押し付けてクランプし、半導体チップ周囲に樹脂を注入して基板上に複数の半導体チップを一括樹脂モールドする際に半導体チップ上面への樹脂の流入を阻止してなるチップ露出方式の樹脂モールドパッケージの製造方法であって、フローティングブロックに凸状突起を有する樹脂モールド金型を使用し、一括樹脂モールドパッケージの半導体チップ露出面と同一平面にある樹脂面に各半導体チップを仕切るように格子状に配置された溝を形成する方法である。
【0014】
また、本発明の樹脂モールドパッケージの製造方法は、一括樹脂モールドパッケージを溝を下向きにしてダイシングシートに載せ、ブレードを溝位置に合わせて基板とともにダイシングを行い、個別樹脂モールドパッケージに分割する方法であり、ダイシングの際は、溝幅より狭い厚さを有するブレードを用いてダイシングを行い、分割された個別樹脂モールドパッケージの樹脂部に、溝の斜面が面取り状に残るようにした方法である。
【0015】
また、本発明の樹脂モールドパッケージの製造方法は、溝幅より狭い厚さを有するブレードを用いてダイシングを行う際、ブレードの切り込み深さをブレード先端がダイシングシートにわずか接触する位置とするか、またはブレードの切り込み深さをブレード先端がダイシングシートからわずか離間した位置とする方法である。
【0016】
また、本発明の樹脂モールドパッケージの製造方法は、一括樹脂モールドパッケージを溝を下向きにして吸着台に載せ、ブレードを溝位置に合わせて基板とともにダイシングを行い、ダイシングシートを用いることなく個別樹脂モールドパッケージに分割しても良い。また、ダイシングの際は、ブレードの切り込み深さをブレード先端が吸着台からわずか離間した位置としても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の樹脂モールド金型及びそれを用いた樹脂モールドパッケージの製造方法を示す概略断面図で、図1(a)は金型クランプ前の状態、図1(b)は金型クランプ時の状態を示している。また、図2は図1(b)の部分拡大図である。本実施の形態で対象としている樹脂モールドパッケージは、半導体チップの大きさとほぼ同等の小型かつ薄型のパッケージであって、さらに半導体チップの一面が樹脂モールドされていない露出面を有するチップ露出方式の樹脂モールドパッケージである。次に、このチップ露出方式パッケージの製造方法の一例について説明する。なお、従来技術と同じ部品は同じ符号を用いて説明する。
【0018】
まず、図1(a)に示すように、下金型4に載置する半導体チップ1を搭載した基板2の構成について説明すると、回路パターンが形成されたシート状の基板2上に、あらかじめ複数の半導体チップ1を配列して搭載する。この搭載は、半導体チップ1の表面側に設けられた電極パッドと基板2の回路パターンに設けられた接続端子とをフェイスダウン方式で接続することによって行う。また、基板2上における半導体チップ1の配列は、1列に9個並べた半導体チップ1を2列設け、計18個を一枚の基板2上に縦横等間隔に配列したものを用いている。
【0019】
また、上金型3にはキャビティフローティング方式を採用し、金型クランプ時に半導体チップ1にかかる圧力を逃がすためにバネ6によって上下に可動するフローティングブロック5aを設け、このフローティングブロック5aの下面には本発明の特徴である凸状突起8が形成されている。この凸状突起8は断面形状がV字型あるいは山型の凸状に形成され、突起先端部にはやや丸みを持たせ、接触するリリースフィルム7を破損しないようにしている。また、凸状突起8は、図3のフローティングブロック5aの下面図に示すように、上記した基板2上に配列された18個の半導体チップ1のそれぞれを仕切るように列方向3本、行方向10本を格子状に配置している。また、凸状突起8の幅は樹脂モールドパッケージをダイシングで切断する時の切断代よりも狭く、かつ高さは半導体チップ1の厚さよりも低くしている。このような構造を有する上金型3と下金型4の間にリリースフィルム7を供給し、次いで半導体チップ1を搭載した基板2を下金型4に載置する。この際、パッケージ方向によってリリースフィルムは7は下金型4にも張り付けてもよいが、ここでは上金型にのみ用いた場合について説明する。
【0020】
次に、リリースフィルム7は凸状突起8を含むフローティングブロック5aの下面およびランナー13の内面を含む上金型3の下面全面に沿って吸着され張り付けられる。次いで、図1(b)に示すように、上金型3と下金型4との間に配置されたリリースフィルム7で半導体チップ1の露出面14(基板側と反対面)を被覆した状態で金型クランプを行う。図2の部分拡大図に示すように、リリースフィルム7は、まず凸状突起8によって樹脂モールド表面積が増加したことにより全体が引き延ばされ、従来技術において半導体チップ1上で発生していた弛みや半導体チップ1の周囲に発生していたシワがなくなった状態で半導体チップ1を被覆することができる。
【0021】
金型クランプ終了後、この空間部23に樹脂10を注入する。樹脂10は、180℃付近まで加熱した金型で軟化され、図1(b)に示すように射出シリンダ11によって加圧され、カル9、ランナー13を経て基板2上の半導体チップ1の周囲に充填されるが、半導体チップ1の露出面14はリリースフィルム7で被覆されているため樹脂10の侵入が阻止され、樹脂バリの発生は起こらない。また、半導体チップ1の周囲に発生していたリリースフィルム7のシワがなくなるので樹脂未充填部分がなくなり、外観不良もなくなる。
【0022】
また、図2に示す空間部23に注入される樹脂には、凸状突起8のレプリカとして断面V字型あるいは山型の溝が形成されることになる。この溝は、後で説明するようにダイシング時に効果を発揮する。次いで金型を開き、図4の断面図に示すように、露出面14を有する複数の半導体チップ1が基板2上に一括して樹脂10でモールドされた一括樹脂モールドパッケージ18aを取り出す。この一括樹脂モールドパッケージ18aの半導体チップ露出面14と同一平面にある樹脂10の面には、図3で示した凸状突起8によって各半導体チップ1を仕切るようにモールド樹脂部に列方向3本、行方向10本の溝12が格子状に形成されている。次に、図5の断面図に示すように、取り出した一括樹脂モールドパッケージ18aの基板2の裏面(半導体チップ1が搭載された反対面)に電極端子となる半田ボール22をマウントする。半田ボール22のマウント方法については、各種方法が提案されているのでここでは説明を省略する。
【0023】
次に、図6の断面図に示すように、半田ボール22がマウントされた面を上向きにした状態で一括樹脂モールドパッケージ18aをダイシングシート20に固定し、ブレード21の切断方向を溝12に合わせ、ブレード21の先端が少なくとも溝12に達する深さまで送り込み、半導体チップ1の周囲をモールドしている樹脂10を溝12に沿って基板2とともにダイシングし、図7の断面図に示すように、個々のチップ露出方式による個別樹脂モールドパッケージ19aができ上がる。
【0024】
ダイシングの際には、溝の幅や深さ、ブレードの幅や送り量、などを考慮して種々の最適条件の下でダイシングを行うことができる。例えば、図8の断面図に示すように、ブレード21の幅よりも溝12の幅を広くしておけば、溝12が切断の際に発生する応力の逃げ部となるため樹脂10のクラックの発生を低減できる。同時に、図7に示すように溝12の斜面17が面取り部として残るので、ブレード21が摩耗しても従来発生していた逆R面取り部が発生することがなくなり、ブレードの摩耗に影響されない個別樹脂モールドパッケージ19aの樹脂10の断面を得ることができる。また、樹脂10に溝12の跡を残したくない場合には、逆にブレード21の幅よりも溝12の幅を狭くし、位置精度を考慮してダイシングを行うことによって溝12の跡の残らない個別樹脂モールドパッケージを作ることができる。さらに、溝の大きさや深さをコントロールすることによって、一括樹脂モールドパッケージを樹脂モールドする際にパッケージにそりが発生しても、後工程においてパッケージを水平に押さえる際に溝が形成されていることによってそりの矯正がし易くなる。
【0025】
また、溝12が形成されていることによってブレード21をダイシングシート20に深く切り込む必要がなくなるため、ダイシングシート20の薄化および再利用が可能となり、さらに図8のようにブレード21の切り込み深さをダイシングシート20に達しない溝の途中までとすれば、ダイシングシート20を用いる必要がなくなるので、ダイシングシートのコストダウンが可能となる。また、ダイシングシートを用いない場合は、一括樹脂モールドパッケージを品種に関係なく吸着台に固定するだけでダイシングが可能となるので、品種ごとに固定治具を設ける必要がなくなる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、リリースフィルムを用いてチップ露出方式の一括樹脂モールドパッケージを製造する際の樹脂モールド金型及びその製造方法に関するもので、リリースフィルムを引き延ばすことができるように、上金型のフローティングブロックの下面に、一括樹脂モールドされる各半導体チップを仕切るように凸状突起を格子状に配置して設け、また、この金型を用いて一括樹脂モールドパッケージの半導体チップ露出面と同一平面にある樹脂面に、各半導体チップを仕切るように格子状に配置された溝を形成し、また、この一括樹脂モールドパッケージを溝を下向きにしてダイシングシートに固定し、あるいはダイシングシートを用いることなくブレードを溝位置に合わせて基板とともにダイシングを行い、個別樹脂モールドパッケージに分割するようにしたので、下記のような効果が得られる。
【0027】
リリースフィルムの弛みがなくなったので、リリースフィルムの潰れによってチップ周囲に発生するシワがなくなり、この部分への樹脂の未充填がなくなって外観不良をなくすことができる。
【0028】
ダイシングの際、溝幅をブレード幅よりも小さくすることによって、分割した個別樹脂モールドパッケージに溝跡が残らなくなる。また、溝幅をブレード幅よりも大きく取ることによって、ブレードの摩耗に影響されないパッケージ切断面を得ることができると同時に、切断面に溝の斜面を構成することで切断時の樹脂クラックを低減できる。
【0029】
ブレード幅が厚くても、切断部に溝を設けたことによってブレードを深く設定する必要がないためダイシングシートを薄くすることができ、コストダウンが可能となる。また、溝を大きく(深く)することにより、ダイシングシートまでブレードを切り込ませずにパッケージを切断することができるので、ダイシングシートの再利用が可能となる。
【0030】
また、溝を大きく(深く)することにより、半導体チップ厚以上にブレードを切り込ます必要がないため、ダイシングシートを用いなくてもダイシングが可能となり、品種ごとのパッケージ固定治具を必要としなくなってコストダウンが可能となる。
【0031】
また、溝の大きさ、深さをコントロールすることによって、樹脂モールド時に発生したパッケージのそりを後工程において水平に矯正することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂モールド金型及びこの金型を用いたパッケージの製造方法の実施の形態を示す概略断面図で、同図(a)は金型クランプ前、同図(b)は金型クランプ時の状態を示す。
【図2】図1(b)の拡大断面図である。
【図3】本発明の樹脂モールド金型の実施の形態を示すフローティングブロックの下面図である。
【図4】本発明の樹脂モールド金型を用いて成形した一括樹脂モールドパッケージの断面図である。
【図5】図4に示す一括樹脂モールドパッケージに半田ボールをマウントした断面図である。
【図6】本発明の樹脂モールド金型を用いて成形された一括樹脂モールドパッケージをダイシングする状態を示す断面図である。
【図7】図7に示す一括樹脂モールドパッケージをダイシングによって分割した個別樹脂モールドパッケージの断面図である。
【図8】本発明のパッケージの製造方法における実施の形態を説明する断面図である。
【図9】従来のチップ露出方式の樹脂モールド金型及びこの金型を用いたパッケージの製造方法を示す断面図で、同図(a)は金型クランプ前、同図(b)は金型クランプ時の状態を示している。
【図10】従来の樹脂モールド金型を用いて成形した一括樹脂モールドパッケージの断面図である。
【図11】図10に示す一括樹脂モールドパッケージに半田ボールをマウントした断面図である。
【図12】従来の樹脂モールド金型を用いて成形された一括樹脂モールドパッケージをダイシングする状態を示す断面図である。
【図13】図12に示す一括樹脂モールドパッケージをダイシングによって分割した個別樹脂モールドパッケージの一般的な形状を示す断面図である。
【図14】従来の問題点を説明する金型クランプ時における部分拡大断面図である。
【図15】従来の問題点を説明する個別樹脂モールドパッケージの断面図である。
【符号の説明】
1 半導体チップ
2 基板
3 上金型
4 下金型
5、5a フローティングブロック
6 バネ
7 リリースフィルム
8 凸状突起
9 カル
10 樹脂
11 射出シリンダ
12 溝
13 ランナー
14 露出面
15 シワ
16 逆R部
17 斜面
18、18a 一括樹脂モールドパッケージ
19、19a 個別樹脂モールドパッケージ
20 ダイシングシート
21 ブレード
22 半田ボール
23 空間部
Claims (10)
- 複数の半導体チップを縦横等間隔に配置して搭載した基板を下金型にセットし、バネによって上下に可動するフローティングブロックを有する上金型と基板をセットした下金型との間に配置されたリリースフィルムをフローティングブロックで半導体チップ上面に押し付けてクランプし、半導体チップ周囲に樹脂を注入して基板上に複数の半導体チップを一括樹脂モールドする際に半導体チップ上面への樹脂の流入を阻止してなるチップ露出方式の樹脂モールドパッケージの製造に使用する樹脂モールド金型において、前記フローティングブロックの下面に、一括樹脂モールドされる各半導体チップを仕切るように格子状に配置された凸状突起を設け、金型クランプ前に前記リリースフィルムを前記上金型の前記凸状突起の形状に沿って引き延ばしたことを特徴とする樹脂モールド金型。
- 前記凸状突起の形状は、断面がV字形または山形に形成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂モールド金型。
- 複数の半導体チップを縦横等間隔に配置して搭載した基板を下金型にセットし、バネによって上下に可動するフローティングブロックを有する上金型と基板をセットした下金型との間に配置されたリリースフィルムをフローティングブロックで半導体チップ上面に押し付けてクランプし、半導体チップ周囲に樹脂を注入して基板上に複数の半導体チップを一括樹脂モールドする際に半導体チップ上面への樹脂の流入を阻止してなるチップ露出方式の樹脂モールドパッケージの製造方法において、前記フローティングブロックに凸状突起を有する樹脂モールド金型を使用し、前記一括樹脂モールドパッケージの半導体チップ露出面と同一平面にある樹脂面に各半導体チップを仕切るように格子状に配置された溝を形成することを特徴とする樹脂モールドパッケージの製造方法。
- 前記一括樹脂モールドパッケージを個片分離する際、ダイシングシートと呼ばれるシートに一括樹脂モールドパッケージの溝部を下向きにして固定し、一括樹脂モールドパッケージを個片に分離するためのブレードと呼ばれる刃物で溝部に合わせて基板とともにダイシング切断を行い、個別樹脂モールドパッケージに分割することを特徴とする請求項3記載の樹脂モールドパッケージの製造方法。
- 前記ダイシングの際は、溝幅より狭い厚さを有するブレードを用いてダイシングを行うことを特徴とする請求項4記載の樹脂モールドパッケージの製造方法。
- 前記ダイシングによって分割された個別樹脂モールドパッケージの樹脂部に、溝の斜面が面取り状に残ることを特徴とする請求項4または請求項5記載の樹脂モールドパッケージの製造方法。
- 前記ダイシングの際は、ブレードの切り込み深さをブレード先端がダイシングシートにわずか接触する位置とすることを特徴とする請求項4記載の樹脂モールドパッケージの製造方法。
- 前記ダイシングの際は、ブレードの切り込み深さをブレード先端がダイシングシートからわずか離間した位置とすることを特徴とする請求項4記載の樹脂モールドパッケージの製造方法。
- 前記一括樹脂モールドパッケージを溝を下向きにして吸着台に載せ、ブレードを溝位置に合わせて基板とともにダイシングを行い、ダイシングシートを用いることなく個別樹脂モールドパッケージに分割することを特徴とする請求項3記載の樹脂モールドパッケージの製造方法。
- 前記ダイシングの際は、ブレードの切り込み深さをブレード先端が吸着台からわずか離間した位置とすることを特徴とする請求項9記載の樹脂モールドパッケージの製造方法。
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