JP4657545B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造方法に係り、より詳しくは、強(高)誘電体キャパシタを有する半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電源を切っても情報を保持でき、しかも省電力で書き込みや読み出しのできるメモリとして、強誘電体不揮発性メモリ(FeRAM)が注目されている。FeRAMは転送トランジスタと強誘電体キャパシタからなるメモリセルを有している。この強誘電体キャパシタは下部電極と上部電極により強誘電体膜を挟んだ構造を有している。
【0003】
また、他の不揮発メモリーとして、フラッシュメモリが知られている。このフラッシュメモリは、絶縁ゲート型電界効果トランシスタ(IGFET)のゲート絶縁膜中に埋め込まれたフローティングゲートを有し、このフローティングゲートに記憶情報を表す電荷を蓄積することによって情報を記憶する。フラッシュメモリでは、情報の書き込み又は消去を行う際にゲート絶縁膜を通過するトンネル電流を流す必要があるため、比較的高い電源電圧を必要とする。
【0004】
一方、FeRAMでは、強誘電体膜のヒステリシス特性を利用して情報を記憶する。上部電極と下部電極とに挟まれた強誘電体膜により構成される強誘電体キャパシタは、電極間の印加電圧に応じて分極を生じ、印加電圧を取り去っても自発分極を有する。この自発分極を検出することにより、情報を読み出すことができる。このように、FeRAMはフラッシュメモリに比べて低電圧で動作し、かつ省電力で高速の書き込みを行うことができる。
【0005】
FeRAMの強誘電体キャパシタを構成する強誘電体膜は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、LaドープPZT(PLZT)等のPZT系材料や、SrBi2Ta29(SBT、Y1)、SrBi2(Ta,Nb)29(SBTN、YZ)等のBi層状構造化合物材料等があり、それらの材料は、ゾルゲル法、スパッタリング法、MOCVD法等によって成膜される。
【0006】
スパッタリング法により強誘電体膜(PZTやSBTなど)を高温側で成膜をする場合、蒸気圧の高いPbやBiが強誘電体膜中から蒸発して組成ずれを起こしてしまう。このため、一般的に、低温側(室温程度)で成膜を行ってアモルファス状態の強誘電体膜を成膜した後に、熱処理によってペロブスカイト構造へと結晶化させる手法がとられることが多い。その後、上部電極を強誘電体膜上に形成してキャパシタ構造を得る。
【0007】
強誘電体膜の結晶化を行うための熱処理は、炉を用いた熱処理やランプアニール装置を用いた急速熱処理(RTA)などにより行われる。結晶化を行うためには一般的に600℃以上の熱処理が必要であり、例えば700℃、60秒程度の条件下で行われる。
【0008】
炉を用いて強誘電体膜の熱処理を行う場合、強誘電体膜の結晶が所定の印加電圧でその分極特性を制御できない方向に揃う巨大グレイン、いわゆるロゼッタが発生することがある。一方、RTA装置を用いて強誘電体膜を熱処理する場合、炉を用いる場合に比べてロゼッタが発生しにくいという利点がある。
【0009】
このように、高性能のFeRAMを製造するためには、強誘電体膜の結晶粒の配向を制御することが重要なファクターの一つであり、このため、強誘電体膜を結晶化させる工程が非常に重要である。
【0010】
強誘電体膜を結晶化させる工程において、強誘電体膜を形成した後に所定の温度の1ステップで熱処理して結晶化を行うと、分極に寄与しない方向に自己配向してしまう恐れがあり、この場合、強誘電体キャパシタのスイッチング電荷量QSWが低くなってしまう。
【0011】
この問題を解決する方法として、強誘電体膜をアルゴン(Ar)ガス雰囲気で一旦結晶化した後に、酸素(O2)ガス雰囲気で熱処理する2段階熱処理方法(従来技術(1))が考案されている。この従来技術(1)では、強誘電体膜の結晶配向性は改善されるが、強誘電体膜と上部電極との界面に凹凸が発生するため、強誘電体キャパシタのスイッチング電荷量QSWが低くなってしまう。
【0012】
そこで、この問題を解決するため、強誘電体膜をArガス雰囲気で一旦結晶化し、強誘電体膜上に上部電極を形成した後に、再度、強誘電体膜を熱処理する方法(従来技術(2))が考案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術(2)では、強誘電体キャパシタのスイッチング電荷量QSWを比較的高く、かつ分極飽和電圧を比較的小さすることができるという効果はあるものの、強誘電体膜のグレインサイズ(結晶粒の大きさ)が大きくなってしまい、その結果、所望の薄膜の強誘電体膜を得ることが困難であるという問題がある。これに加えて、上記した従来技術(2)では、例えば2V以下の低電圧で動作可能な強誘電体キャパシタを形成することは困難である。
【0014】
また、特開平11−297964号公報には、高誘電体膜を形成後、上部電極を形成後又は層間絶縁膜を形成後に、高誘電体膜を不活性雰囲気の第1の温度で熱処理し、その後、第1の温度より低い第2の温度で熱処理するなどの方法が記載されている。
【0015】
しかしながら、この方法では、高誘電体膜の誘電率を増やしながらキャパシタの下に形成されたバリア膜の酸化を抑制して漏れ電流を省くことができるという効果はあるものの、高誘電体膜のグレインサイズを小さくすることに関しては何ら考慮されていない。
【0016】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、グレインサイズが小さい強(高)誘電体膜を得ることができると共に、低電圧動作が可能で、かつスイッチング電荷量が高い強(高)誘電体キャパシタを備えた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は半導体装置の製造方法に係り、半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上にキャパシタ用の第1導電膜を形成する工程と、前記第1導電膜の上に前記キャパシタ用のチタン酸ジルコン酸鉛ランタン(PLZT)からなる誘電体膜を室温のスパッタリング法により形成する工程と、前記半導体基板を、450乃至560℃の第1の温度で前記第1導電膜側の部分を微結晶化する第1の熱処理を行い、次いで、560℃を越えて620℃以下の第2の温度で前記誘電体膜のグレインサイズが小さい状態で結晶化する第2の熱処理を行う工程と、前記誘電体膜の上に前記キャパシタ用の第2導電膜を形成する工程と、前記半導体基板を630乃至800℃の第3の温度で前記誘電体膜と前記第2導電膜の界面を平坦にする第3の熱処理を行う工程とを有し、前記第1乃至第3の熱処理を行う工程において、不活性ガスと濃度1−50%の酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中で行うことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、絶縁膜を備えた半導体基板上にキャパシタの下部電極となる第1導電膜を形成し、その上に強誘電体材料又は高誘電体材料からなる誘電体膜を形成する。その後、それらの膜が形成された半導体基板を、所定のガス(例えば不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス)の雰囲気の第1の温度(例えば450〜560℃)で第1の熱処理を行う。これにより、第1導電膜と強誘電体膜との界面近傍での各材料の相互拡散が抑制された状態で、アモルファス状態である強誘電体膜の第1導電膜側の部分が微結晶化される。
【0019】
続いて、第1の熱処理が施された半導体基板を第1の温度より高い温度(例えば560℃を超えて620℃以下)で第2の熱処理を行う。これにより、強誘電体膜はそのグレインサイズが小さい状態で第1導電膜側の部分から上層部に向けて概ね結晶化される。
【0020】
次いで、第1及び第2の熱処理が施された強誘電体膜上にキャパシタの上部電極となる第2導電膜を形成する。その後、この半導体基板を第2の温度より高い第3の温度(例えば630〜800℃)で第3の熱熱処理を行う。これにより、強誘電体膜は、強誘電体膜と第2導電膜との界面近傍での各材料の相互拡散が抑制された状態で、その上層部まで膜厚全体にわたって結晶化されて緻密化される。その結果、強誘電体膜と第2導電膜との界面が平坦になる。
【0021】
このようにして、所望の薄い膜厚を有し、かつグレインサイズが小さい状態で結晶化された強誘電体膜が得られると同時に、強誘電体膜と第2導電膜との界面を平坦にすることができる。その後、第2導電膜、強誘電体膜及び第1導電膜をパターニングして強誘電体キャパシタを形成すればよい。これにより、スイッチング電荷量が高く、かつ分極飽和電圧が低い強(高)誘電体キャパシタを容易に形成することができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0023】
図1〜図5は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0024】
まず、図1(a)に示す断面構造を得るまでの工程を説明する。
【0025】
図1(a)に示すように、n型又はp型のシリコン(半導体)基板1のトランジスタ形成領域の周囲にフォトリソグラフィ法により素子分離用溝を形成した後に、素子分離用溝の中に酸化シリコン(SiO2)を埋め込んで素子分離絶縁膜2を形成する。そのような構造の素子分離絶縁膜2は、STI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる。なお、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により形成した絶縁膜を素子分離絶縁膜として採用してもよい。
【0026】
続いて、シリコン基板1のトランジスタ形成領域にp型不純物を導入してpウェル1aを形成する。さらに、シリコン基板1のトランジスタ形成領域表面を熱酸化して、ゲート絶縁膜3となるシリコン酸化膜を形成する。
【0027】
次いで、シリコン基板1の上側全面に非晶質又は多結晶シリコン膜を形成し、これをフォトリソグラフィ法によりパターニングして、ゲート電極4x,4yを形成する。
【0028】
なお、1つのpウェル1a上には2つのゲート電極4x,4yが並列に形成され、それらのゲート電極4x,4yはワード線の一部を構成する。
【0029】
次いで、pウェル1aのうちゲート電極4x,4yの両側にn型不純物をイオン注入してソース/ドレインとなる第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5cを形成する。
【0030】
さらに、CVD法により絶縁膜、例えば酸化シリコン(SiO2)膜をシリコン基板1の全面に形成した後に、その絶縁膜をエッチバックしてゲート電極4x,4yの両側部分に絶縁性のサイドウォールスペーサ6として残す。
【0031】
続いて、ゲート電極4x,4yとサイドウォールスペーサ6をマスクに使用して、第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5cに再びn型不純物をイオン注入することにより、第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5cをLDD構造にする。
【0032】
なお、1つのトランジスタ形成領域における2つのゲート電極4x,4yの間の第1のn型不純物拡散領域5aはビット線に電気的に接続され、トランジスタ形成領域の両端側の第2、第3のn型不純物拡散領域5b,5cはキャパシタの下部電極に電気的に接続される。
【0033】
次いで、半導体基板1の全面をHF(フッ酸)系の薬液で前処理したあと、スパッタリング法を用いて、下から順に、膜厚が例えば10nm/30nmのCo膜/TiN膜(不図示)を成膜する。
【0034】
次いで、窒素雰囲気中で、温度が500〜520℃の範囲で、30秒間、第1のRTA(rapid thermal annealing)処理を行うことにより、Co膜と第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5c及びゲート電極4x,4yの上層部とを反応させる。
【0035】
次いで、過酸化アンモニア水と硫酸過酸化水素水との混合液で、TiN膜と素子分離絶縁膜2及びサイドウォールスペーサ6上の未反応のCo膜を除去する。
【0036】
次いで、窒素雰囲気中で、温度が800〜840℃の範囲で、30秒間の第2のRTA処理を行う。これにより、第1〜第3のn型不純物拡散領域5a〜5c及びゲート電極4x,4y上にCoSi層4a〜4eがセルフアラインで形成される。
【0037】
以上の工程により、pウェル1aにはゲート電極4x,4y、LDD構造のn型不純物拡散層5a〜5及びCoサリサイド構造を有する2つのMOSトランジスタT1,T2が形成される。
【0038】
次いで、MOSトランジスタT1,T2を覆うカバー絶縁膜7として約200nmの厚さの酸窒化シリコン(SiON)膜をプラズマCVD法によりシリコン基板1の全面に形成する。その後、TEOSガスを用いるプラズマCVD法により、膜厚1.0μm程度の酸化シリコン(SiO2)を第1層間絶縁膜8としてカバー膜7の上に形成する。
【0039】
続いて、第1層間絶縁膜8の緻密化処理として、例えば常圧の窒素雰囲気中で第1層間絶縁膜8を700℃の温度で30分間熱処理する。その後に、第1層間絶縁膜8の上面を化学機械研磨(CMP)法により平坦化する。
【0040】
次に、図1(b)に示す構造を形成するまでの工程を説明する。
【0041】
まず、フォトリソグラフィ法によりカバー絶縁膜7と第1層間絶縁膜8をパターニングして、第1の不純物拡散領域5aに到達する深さの第1のコンタクトホール8aを形成する。その後、第1層間絶縁膜8上面とコンタクトホール8a内面に、グルー膜として膜厚30nmのチタン(Ti)膜と膜厚50nmの窒化チタン(TiN)膜をスパッタリング法により順に形成する。さらに、WF6 を用いるCVD法によってタングステン(W)膜をTIN膜上に成長して第1のコンタクトホール8a内を完全に埋め込む。
【0042】
続いて、W膜、TiN膜及びTi膜をCMP法により研磨して第1層間絶縁膜8の上面上から除去する。第1のコンタクトホール8a内に残されたタングステン膜、TiN膜及びTi膜は第1導電性プラグ9として使用される。
【0043】
その後に、図1(c)に示すように、第1層間絶縁膜8上と第1導電性プラグ9上に、膜厚100nmの窒化シリコン(Si34)よりなる酸化防止絶縁膜10aと膜厚100nmのSiO2よりなる下地絶縁膜10bをプラズマCVD法により順に形成する。そのSiO2膜はTEOSを用いてプラズマCVDにより成長される。酸化防止絶縁膜10は、後のアニール等による熱処理の際にプラグ9が異常酸化してコンタクト不良を起こさないようにするために形成され、その膜厚を例えば70nm以上にすることが望ましい。
【0044】
次いで、レジストパターン(不図示)を用いて、図2(a)に示すように、酸化防止絶縁膜10a、下地絶縁膜10b及び第1層間絶縁膜8をエッチングすることにより、第2及び第3の不純物拡散領域5b,5cの上に第2及び第3のコンタクトホール8b,8cを形成する。
【0045】
さらに、下地絶縁膜10b上面と第2、第3のコンタクトホール8b,8c内面に、グルー膜として膜厚30nmのTi膜と膜厚50nmのTiN膜をスパッタリング法により順に形成する。さらに、CVD法によりW膜をTiN 膜上に成長して第2、第3のコンタクトホール8b,8c内を完全に埋め込む。
【0046】
続いて、図2(b)に示すように、W膜、TiN膜及びTi膜をCMP法により研磨して下地絶縁膜10bの上面上から除去する。これにより第2、第3のコンタクトホール8b,8c内に残されたタングステン膜、TiN膜及びTi膜をそれぞれ第2、第3導電性プラグ11a,11bとする。
【0047】
次に、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法に係る強誘電体キャパシタの形成方法について説明する。図6は本実施形態の半導体装置の製造方法に係る強誘電体キャパシタ形成における工程フローチャート、図7(a)は図3(b)の導電性プラグ上の第1導電膜、強誘電体膜及び第2導電膜を拡大した部分拡大図、図7(b)は図7(a)の変形例を示す部分拡大断面図である。
【0048】
図3(a)〜図4(a)及び図7に示す断面図を適宜参照しながら、図6のフローチャートに沿って説明する。まず、図6のステップS1で、図3(a)及び図7(a)に示すように、第2、第3導電性プラグ11a,11b上と下地絶縁膜10b上に、下から順に、例えば、膜厚200nmのイリジウム(Ir)膜15b、膜厚30nmの酸化イリジウム(IrOX)膜15c、膜厚30nmの酸化プラチナ(PtOX)膜15d及び膜厚50nmのプラチナ(Pt)膜15eを順次成膜する。
【0049】
これにより、下から順に、Ir膜15b/IrOX膜15c/PtOX膜15d/Pt膜15eにより構成される積層膜からなる第1導電膜15が形成される。第1導電膜15は強誘電体キャパシタの下部電極となるものである。
【0050】
この第1導電膜15の変形例として、図7(b)に示すように、膜厚が50nmのTi膜(又は酸化Ti膜)15fと膜厚が150nmのPt膜15eとを順次成膜して、第1導電膜15Iとしてもよい。
【0051】
なお、図7(a)及び(b)において、第1導電膜15として好適な積層膜の構造を例示したが、Pt膜、Ir膜、Ru膜、Ti膜、PtOX膜、IrOX膜、RuOX膜及びTiOX膜の群から選択される2つ以上の膜を含む積層膜を用いてもよい。
【0052】
次いで、この第1導電膜15を、RTA装置を用いてAr雰囲気の750℃の温度で60秒間、熱処理することによりPtの結晶化を行う。
【0053】
次いで、図6のステップS2に進み、第1導電膜15上に膜厚が例えば180nmのPLZT(チタン酸ジルコン酸鉛ランタン)膜を室温(20℃程度)のスパッタリング法により成膜して強誘電体膜16とする。この誘電体膜16は室温のスパッタリング法により成膜されるため、Pbが蒸発しにくい状態で成膜され、この結果、所望の組成比のPLZT膜が成膜される。また、同時に、この強誘電体膜16はアモルファス状態で成膜される。
【0054】
強誘電体膜16の形成方法は、その他に、MOD(metal organic deposition)法、MOCVD(有機金属CVD)法、ゾル・ゲル法などがある。また、強誘電体膜16の材料としては、PLZTの他に、PZTやPLCSZTのような他のPZT系材料、SrBi2Ta2O9、SrBi2(Ta,Nb)2O9 等のBi層状構造化合物材料、チタン酸ストロンチウム(ST)、チタン酸ストロンチウムバリウム(BST)又はその他の金属酸化物強誘電体であってもよい。
【0055】
続いて、図6のステップ3に進み、不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中の第1の温度、30秒の条件で、RTA装置を用いて図3(a)の構造体に対して第1熱処理を行う。第1の温度としては、450〜560℃の範囲、好適には525℃程度である。
【0056】
これにより、第1導電膜15及び強誘電体膜16の界面近傍でのPtやOの相互拡散が抑制された状態で、強誘電体膜16の第1導電膜15側の部分が微結晶化される。
【0057】
なお、不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)、窒素(N2)又はヘリウム(He)などを使用することができ、また、酸化性ガスとしては、酸素(O2)などを使用することができる。また、混合ガス中の酸化性ガスの濃度は、1〜50%の範囲であることが好ましい。
【0058】
次いで、図6のステップS4に進み、第1熱処理と同様な雰囲気中の第2の温度、60秒の条件で、RTA装置を用いて図3(a)の構造体に対して第2熱処理を行う。第2の温度は、第1の温度より高い温度であって、560℃を超えて620℃以下の範囲、好適には600℃程度である。
【0059】
これにより、強誘電体膜16は第1導電膜15側から上層部に向けてグレインサイズが小さい状態で概ね結晶化される。その結晶は(100)方向に配向するようになる。FeRAMの強誘電体キャパシタ用の強誘電体膜としては、その結晶が(100)方向に配向していることが望ましい。
【0060】
なお、上記した第1熱処理工程及び第2熱処理工程における好ましい条件として、525℃、30秒(第1熱処理)と600℃、60秒(第2熱処理)との組み合わせを例示したが、他の好ましい条件として、515℃、90秒(第1熱処理)と585℃、30秒(第2熱処理)との組み合わせ、或いは515℃、120秒(第1熱処理)と585℃、30秒(第2熱処理)との組み合わせの条件を用いてもよい。
【0061】
また、上記した第1及び第2熱処理を行う工程においては、第1熱処理を行った後に、半導体基板1をRTA装置から一旦外部に搬出してその温度を下げた後に、再度RTA装置内に搬入して第2熱処理を行うようにすることが好ましい。あるいは、第1熱処理及び第2熱処理をRTA装置内で連続して行うようにしてもよい。
【0062】
次いで、図6のステップS5に進み、図3(b)、図7(a)及び(b)に示すように、第2熱処理を行った強誘電体膜16上にスパッタリング法により、例えば膜厚200nmのIrOX膜を成膜して第2導電膜17とする。この第2導電膜17は強誘電体キャパシタの上部電極となるものである。第2導電膜16としては上記したIrOX膜の他に、Pt膜、Ir膜、Ru膜、PtOX膜、IrOX膜及びRuOX膜の群から選択される1つの膜からなる単層膜又は2つ以上の膜からなる積層膜を用いてもよい。
【0063】
続いて、図6のステップS6に進み、同じく図3(b)に示すように、第1熱処理と同様な雰囲気中の第3の温度、20秒の条件で、RTA装置を用いて図3(b)の構造体に対して第3熱処理を行う。第3の温度は第2の温度より高い温度であって、630〜800℃の範囲、好適には725℃である。
【0064】
これにより、強誘電体膜16及び第2導電膜17の界面近傍でのPbやIrの相互拡散が抑制された状態で、強誘電体膜16がその上層部まで膜厚全体にわたって結晶化されて緻密化されることで、強誘電体膜16と第2導電膜17との界面が平坦になる。
【0065】
このように、本発明の本実施形態においては、強誘電体膜16が形成された後に、第1の温度で第1熱処理が施され、次いで、第1の温度より高い温度で第2熱処理が施されることにより、強誘電体膜16はグレインサイズが小さい状態で概ね結晶化される。その後、強誘電体膜16が第2導電膜17で被覆された状態で、第2の温度より高い第3の温度で第3熱処理が施されることにより、強誘電体膜16と第2導電膜17との界面が平坦な状態で強誘電体膜16が完全に結晶化される。このようにして、所望の薄い膜厚で、かつ所望の組成比を有し、しかもグレインサイズが小さい状態で結晶化された強誘電体膜16が得られるようになる。
【0066】
この後に、図3(c)に示すように、第2導電膜17上に、ハードマスク18としてTiN膜とSiO2膜とを順に形成する。そのハードマスク18は、フォトリソグラフィ法により第2及び第3導電性プラグ11a,11bの上方にキャパシタ平面形状となるようにパターンされる。
【0067】
次いで、図6のステップS7に進み、図4(a)に示すように、ハードマスク18に覆われない領域の第2導電膜17、強誘電体膜16、第1導電膜15を順次エッチングする。この場合、強誘電体膜16は、塩素とアルゴンを含む雰囲気中でスパッタ反応によりエッチングされる。また、第2導電膜17と第1導電膜15は、臭素(Br2)導入雰囲気中、Brを含む雰囲気中、又はHbrと酸素のみを導入した雰囲気中でスパッタ反応によりエッチングされる。
【0068】
以上により、酸化防止絶縁膜10の上には、第1導電膜15よりなる下部電極15aと、強誘電体膜16よりなるキャパシタ用強誘電体膜16aと、第2導電膜17よりなる上部電極17aが形成される。このようにして、本実施形態の半導体装置に製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタQが得られる。
【0069】
そして、トランジスタ形成領域において、1つの下部電極15aは第2導電性プラグ11aを介して第2不純物拡散領域5bに電気的に接続され、また、別の下部電極15aは第3導電性プラグ11bを介して第3不純物拡散領域5cに電気的に接続される。
【0070】
その後に、ハードマスク18を除去する。続いて、エッチングによる強誘電体膜16のダメージを回復するために、回復アニールを行う。この場合の回復アニールは、例えば、基板温度650℃、60分間の条件で酸素雰囲気中で行われる。
【0071】
次いで、図4(b)に示すように、キャパシタQを覆う保護膜19として膜厚50nmのアルミナをスパッタリング法により基板上に形成した後に、酸素雰囲気中で650℃で60分間の条件で強誘電体キャパシタQをアニールする。この保護膜19は、プロセスダメージから強誘電体キャパシタQを保護するものである。
【0072】
その後、TEOSガスを用いるプラズマCVD法により、第2層間絶縁膜20として膜厚1.0μm程度の酸化シリコン(SiO2)を保護膜19上に形成する。さらに、第2層間絶縁膜20の上面をCMP法により平坦化する。この例では、CMP後の第2層間絶縁膜20の残りの膜厚は、キャパシタQの上部電極17a上で300nm程度とする。
【0073】
次いで、レジストマスク(不図示)を用いて、図5(a)に示すように、第2層間絶縁膜20、保護膜19、酸化防止絶縁膜10a及び下地絶縁膜10bを選択的にエッチングすることにより第1導電プラグ9の上にホール20aを形成する。そのエッチング後には、強誘電体膜16をダメージから回復させるために、例えば酸素雰囲気にて基板温度を550℃として60分間のアニールを施す。
【0074】
さらに、ホール20a内と第2層間絶縁膜20上に、グルー膜として膜厚30nmのTi膜と膜厚50nmのTiN膜をスパッタリング法により順に形成する。さらに、CVD法によりW膜をグルー層上に成長するとともにホール20a内を完全に埋め込む。
【0075】
続いて、W膜、TiN膜及びTi膜をCMP法により研磨して第2層間絶縁膜20の上面上から除去する。そして、ホール20a内に残されたタングステン膜及びグルー層を、第4導電性プラグ21とする。この第4導電性プラグ21は、第1導電性プラグ9を介して第1不純物拡散領域5aに電気的に接続される。
【0076】
次いで、図5(b)に示す構造を形成するまでの工程を説明する。
【0077】
まず、第4導電性プラグ21上と第2層間絶縁膜20上に、第2の酸化防止膜(不図示)としてSiON膜をCVD法により形成する。さらに、第2の酸化防止膜(不図示)と第2層間絶縁膜20をフォトリソグラフィ法によりパターニングしてキャパシタQの上部電極17a上にコンタクトホール20bを形成する。
【0078】
コンタクトホール20bを形成することによりダメージを受けたキャパシタQはアニールによって回復される。そのアニールは、例えば酸素雰囲気中で基板温度550℃として60分間行われる。
【0079】
その後に、第2層間絶縁膜20上に形成された酸化防止膜をエッチバックによって除去するとともに、第4導電性プラグ21の表面を露出させる。
【0080】
次いで、キャパシタQの上部電極17a上のコンタクトホール20b内と第2層間絶縁膜20の上に多層金属膜を形成する。その後に、多層金属膜をパターニングすることにより、コンタクトホール20bを通して上部電極17aに接続される一層目金属配線21aと第4導電性プラグ21に接続される導電性パッド21bを形成する。その多層金属膜として、例えば、膜厚60nmのTi膜、膜厚30nmのTiN膜、膜厚400nmのAl−Cu膜 、膜厚5nmのTi膜、及び膜厚70nmのTiN膜を順次に形成する。
【0081】
なお、多層金属膜のパターニング方法として、多層金属膜の上に反射防止膜を形成し、さらに反射防止膜上にレジストを塗布した後に、レジストを露光、現像して配線形状等のレジストパターンを形成し、そのレジパターンを用いてエッチングする方法を採用する。
【0082】
さらに、第2層間絶縁膜20、一層目金属配線21a及び導電性パッド21bの上に第3層間絶縁膜22を形成する。続いて、第3層間絶縁膜22をパターニングして導電性パッド21bの上にホール22aを形成し、そのホール22a内に下から順にTi膜、TiN膜及びW膜からなる第5導電性プラグ23を形成する。その後に、特に図示しないが、ビット線を含む二層目配線を第3層間絶縁膜上に形成する。そのビット線は、第5導電性プラグ23、導電性パッド21b、第4導電性プラグ21及び第1導電性プラグ9を介して第1不純物拡散領域5aに電気的に接続される。それに続いて、二層目配線層を覆う絶縁膜等が形成されるが、その詳細については省略する。
【0083】
以上により、本実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタQを有するFeRAM24が完成する。
【0084】
次に、本願発明者による調査結果について説明する。
【0085】
前述した実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタQに係る強誘電体膜16のグレインの様子をSEM(Scanning Electron Microscope)により観察し、従来技術により形成された強誘電体膜のグレインとの比較を行った。
【0086】
図8は従来技術により形成された強誘電体キャパシタの断面の様子をSEMにより撮影したもの、図9は本実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタの断面の様子をSEMにより撮影したものである。
【0087】
なお、図8の従来技術により形成された強誘電体キャパシタの強誘電体膜においては、本実施形態に係る強誘電体キャパシタの形成における第1熱処理と第2熱処理と兼ねて1ステップで熱処理(例えば585℃、90秒)して結晶化されたものである。
【0088】
図8に示すように、従来技術により形成された強誘電体キャパシタの強誘電体膜の結晶は柱状構造を有し、そのグレインサイズは150nm程度以上であった。
【0089】
一方、図9に示すように、本実施形態に基づいて形成された強誘電体キャパシタの強誘電体膜の結晶は同様に柱状の結晶構造を有し、そのグレインサイズは50〜80nm程度以下であって、従来の強誘電体膜に比べてそのグレインサイズを半分程度以下にすることができることが確認された。
【0090】
このように、本実施形態に係る製造方法を用いることにより、スパッタリング法で成膜されたアモルファス状態の強誘電体膜を、小さいグレインサイズで結晶化させることができるようになるため、所望の薄膜の強誘電体膜を容易に得ることができる。これにより、分極飽和電圧が低い、すなわち低電圧動作が可能な強誘電体キャパシタを容易に形成することができるようになる。
【0091】
次に、前述した実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタQの電気特性について説明する。
【0092】
前述した実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて、半導体基板1上に絶縁膜8を介して第1導電膜(下部電極用)15及び強誘電体膜(PLZT膜)16を形成し、次いで、第1熱処理及び第2熱処理を順次行い、その後、第2導電膜(上部電極用)17を形成し、第3熱処理を行った後、それらをパターニングして強誘電体キャパシタQを形成した。
【0093】
このとき、第1及び第2熱処理として、それぞれ525℃、30秒(第1熱処理)、及び600℃、60秒(第2熱処理)の条件で行ったものをサンプルAとした。また、第1及び第2熱処理として、それぞれ515℃、30秒(第1熱処理)、及び585℃、60秒(第2熱処理)の条件で行ったものをサンプルBとした。さらに、第1及び第2熱処理として、それぞれ515℃、120秒(第1熱処理)、及び585℃、30秒(第2熱処理)の条件で行ったものをサンプルCとした。
【0094】
なお、比較のため、従来技術、すなわち第1及び第2熱処理を兼ねて、585℃、90秒の条件により1ステップで熱処理を行ったものをサンプルDとした。
【0095】
そして、各サンプルA,B,C,Dにおいて、平面形状が50×50μm2の大きさを有する強誘電体キャパシタQの電気特性を調査した。すなわち、ソーヤタワー回路を有する測定装置を用いて、各サンプルA,B,C,Dのそれぞれの上部電極と下部電極との間にパルス電圧を変化させて印加し、この印加電圧に対する強誘電体キャパシタの分極変化を付加キャパシタの電圧変化として測定することにより、それぞれのサンプルの強誘電体キャパシタのヒステリシス特性を調査した。この印加電圧(1.2〜3V)として三角波を用いて分極反転電荷(スイッチング電荷)量を求めた。
【0096】
図10は強誘電体キャパシタのスイッチング電荷量の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すもの(パルス電圧1.8V印加の場合)、図11は同じくスイッチング電荷量の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すもの(パルス電圧3V印加の場合)である。
【0097】
上記各サンプルの上部電極と下部電極との間に1.8Vのパルス電圧をそれぞれ印加した場合、図10に示すように、サンプルD(従来技術(585℃、90秒のみ))のスイッチング電荷量は、13〜15μC/cm2程度であった。これに対して、サンプルA(525℃、30秒+600℃、60秒)では、サンプルDに対してスイッチング電荷量が若干大きくなる程度であったが、サンプルB(515℃、90秒+585℃、30秒)では19〜24.5μC/cm2程度に向上し、更に、サンプルC(515℃、120秒+585℃、30秒)では21〜25μC/cm2程度に向上した。
【0098】
また、上記サンプルの上部電極と下部電極との間に3.0Vのパルス電圧をそれぞれ印加した場合、図11に示すように、サンプルD(従来技術(585℃、90秒のみ))のスイッチング電荷量は、26.8〜28.9μC/cm2程度であった。これに対して、サンプルA(525℃、30秒+600℃、60秒)では、サンプルDに対してスイッチング電荷量が若干大きくなる程度であったが、サンプルB(515℃、90秒+585℃、30秒)では29〜33.9μC/cm2程度に向上し、更に、サンプルC(515℃、120秒+585℃、30秒)では28.4〜33.4μC/cm2程度に向上した。
【0099】
このように、本実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタでは、従来の強誘電体キャパシタよりそのスイッチング電荷量を大きくすることができることが確認された。
【0100】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタの分極飽和電圧の第1及び第2熱処理に対する依存性について説明する。図12は強誘電体キャパシタの分極飽和電圧の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すものである。
【0101】
分極飽和電圧は、キャパシタのスイッチング電荷量がその飽和値の90%の値に達するときの電圧として定義されるものである。図12に示すように、サンプルD(従来技術(585℃、90秒のみ))の分極飽和電圧は、2.41〜2.62V程度であるのに対し、サンプルA(525℃、30秒+600℃、60秒)では若干低下し、また、サンプルB(515℃、90秒+585℃、30秒)では2.18〜2.23V程度まで低下し、更に、サンプルC(515℃、120秒+585℃、30秒)では2.17〜2.27程度まで低下した。
【0102】
このように、本実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタでは、従来の強誘電体キャパシタよりその分極飽和電圧を低くすることができ、特に、好適な条件においては分極飽和電圧を0.3V程度低くすることができることが確認された。
【0103】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタのリーク電流密度の第1及び第2熱処理に対する依存性について説明する。図13は強誘電体キャパシタのリーク電流密度の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すものである。
【0104】
図13に示すように、各サンプルの上部電極と下部電極とに間にそれぞれ6Vの電圧を印加した場合、サンプルD(従来技術(585℃、90秒のみ))のリーク電流密度は、10-2.5〜10-3A/cm2程度であり、また、各サンプルA,B,Cのリーク電流密度は、若干のばらつきがあるももの、それぞれサンプルDと同等であることが確認された。このように、本実施形態に基づいて形成された強誘電体キャパシタQでは、リーク電流密度が低いことが確認された。
【0105】
以上説明した本実施形態に係る強誘電体キャパシタのSEM像又は電気特性からも明らかなように、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いることにより、クレインサイズが小さい所望の薄膜の強誘電体膜が得られると共に、低電圧動作が可能で、かつスイッチング電荷量が高い強誘電体キャパシタを容易に形成することができるようになる。
【0106】
(付記1) 半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上にキャパシタ用の第1導電膜を形成する工程と、
前記第1導電膜の上に前記キャパシタ用の強誘電体材料又は高誘電体材料からなる誘電体膜を形成する工程と、
前記半導体基板を、第1の温度で第1の熱処理を行い、次いで、前記第1の温度より高い第2の温度で第2の熱処理を行う工程と、
前記誘電体膜の上に前記キャパシタ用の第2導電膜を形成する工程と、
前記半導体基板を前記第2の温度より高い第3の温度で第3の熱処理を行う工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0107】
(付記2) 前記第1の熱処理を行うことにより、前記誘電体膜の前記第1導電膜側の部分が微結晶化され、次いで、前記第2の熱処理を行うことにより、前記誘電体膜が概ね結晶化され、次いで、前記第3の熱処理を行うことにより、前記誘電体膜が緻密化されて前記誘電体膜と前記上部電極との界面が平坦になることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0108】
(付記3) 前記熱処理を行う工程において、不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中で行うことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【0109】
(付記4) 前記第3の熱処理を行う工程の後に、前記第2導電膜、前記誘電体膜及び前記第1導電膜をパターニングして前記キャパシタを形成する工程を更に有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0110】
(付記5) 前記第1導電膜は、白金膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、チタン膜、酸化白金膜、酸化イリジウム膜、酸化ルテニウム膜及び酸化チタン膜の群から選択される2つ以上の膜により構成される積層膜であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0111】
(付記6) 前記第2導電膜は、白金膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、酸化白金膜、酸化イリジウム膜及び酸化ルテニウム膜の群から選択されるいずれか1つの単層膜又は2つ以上の膜により構成される積層膜であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0112】
(付記7) 前記酸化性ガスの濃度は1乃至50%であることを特徴とする付記3に記載の半導体装置の製造方法。
【0113】
(付記8) 前記第1の温度は450乃至560℃であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0114】
(付記9) 前記第2の温度は560℃を超えて620℃以下であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0115】
(付記10) 前記第3の温度は630乃至800℃であることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、半導体基板の上に絶縁膜を介してキャパシタの下部電極となる第1導電膜を形成し、その上に強誘電体膜を形成した後に、第1の温度で第1の熱処理を行い、次いで、第1の温度より高い第2の温度で第2の熱処理を行う。これにより、第1導電膜と強誘電体膜との界面近傍での各材料の相互拡散が抑制されると共に、強誘電体膜はグレインサイズが小さい状態で第1導電膜側の部分から上層部に向かって部分的に結晶化される。
【0117】
次いで、キャパシタの上部電極となる第2導電膜を形成した後、第2の温度より高い第3の温度で第3の熱熱処理を行う。これにより、強誘電体膜と第2導電膜の界面近傍での各材料の相互拡散が抑制されると共に、強誘電体膜の上層部まで完全に結晶化されて緻密化され、その結果、強誘電体膜と第2導電膜との界面が平坦になる。このような方法を用いることにより、結晶のクレインサイズが小さい所望の薄膜の強誘電体膜が得られると共に、低電圧動作が可能で、かつスイッチング電荷量が高い強誘電体キャパシタを容易に形成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図2】図2は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図3】図3は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4】図4は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図6】図6は本発明の実施形態の半導体装置の製造方法に係る強誘電体キャパシタ形成における工程フローチャートである。
【図7】図7(a)は図3(b)の第1導電膜、強誘電体膜及び第2導電膜を拡大した部分拡大断面図、図7(b)は図7(a)の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図8】図8は従来技術により形成された強誘電体キャパシタの断面の様子をSEMにより撮影したものである。
【図9】図9は本発明の実施形態の半導体装置の製造方法に基づいて形成された強誘電体キャパシタの断面の様子をSEMにより撮影したものである。
【図10】図10は本発明の実施形態に係る強誘電体キャパシタのスイッチング電荷量の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すもの(その1)である。
【図11】図11は本発明の実施形態に係る強誘電体キャパシタのスイッチング電荷量の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すもの(その2)である。
【図12】図12は本発明の実施形態に係る強誘電体キャパシタの分極飽和電圧の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すものである。
【図13】図13は本発明の実施形態に係る強誘電体キャパシタのリーク電流密度の第1及び第2熱処理に対する依存性を示すものである。
【符号の説明】
1…シリコン(半導体)基板、2…素子分離絶縁膜、3…ゲート絶縁膜、4a,4b,4c,4d,4e…CoSi層、4x,4y…ゲート電極、5a,5b,5c…不純物拡散領域、6…サイドウォールスペーサ、7…カバー絶縁膜、8…層間絶縁膜、8a,8b,8c…コンタクトホール、9…導電性プラグ、10a…酸化防止絶縁膜、10b…下地絶縁膜、11a,11b…導電性プラグ、15…第1導電膜、15a…上部電極、15b…Ir膜、15c…IrOX膜、15d…PtOX膜、15e…Pt膜、15f…Ti膜(又はTiOX膜)、16…強誘電体膜、16a…キャパシタ用強誘電体膜、17…第2導電膜、17a…上部電極、18…ハードマスク、19…保護膜、20…層間絶縁膜、21…導電性プラグ、22…層間絶縁膜、23…プラグ。

Claims (4)

  1. 半導体基板の上方に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜の上にキャパシタ用の第1導電膜を形成する工程と、
    前記第1導電膜の上に前記キャパシタ用のチタン酸ジルコン酸鉛ランタン(PLZT)からなる誘電体膜を室温のスパッタリング法により形成する工程と、
    前記半導体基板を、450乃至560℃の第1の温度で前記第1導電膜側の部分を微結晶化する第1の熱処理を行い、次いで、560℃を越えて620℃以下の第2の温度で前記誘電体膜のグレインサイズが小さい状態で結晶化する第2の熱処理を行う工程と、
    前記誘電体膜の上に前記キャパシタ用の第2導電膜を形成する工程と、
    前記半導体基板を630乃至800℃の第3の温度で前記誘電体膜と前記第2導電膜の界面を平坦にする第3の熱処理を行う工程とを有し、
    前記第1乃至第3の熱処理を行う工程において、不活性ガスと濃度1−50%の酸化性ガスとの混合ガス雰囲気中で行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記第3の熱処理を行う工程の後に、前記第2導電膜、前記誘電体膜及び前記第1導電膜をパターニングして前記キャパシタを形成する工程を更に有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1導電膜は、白金膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、チタン膜、酸化白金膜、酸化イリジウム膜、酸化ルテニウム膜及び酸化チタン膜の群から選択される2つ以上の膜により構成される積層膜であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記第2導電膜は、白金膜、イリジウム膜、ルテニウム膜、酸化白金膜、酸化イリジウム膜及び酸化ルテニウム膜の群から選択されるいずれか1つの単層膜又は2つ以上の膜により構成される積層膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
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