JP4654668B2 - ジャイロセンサおよびそれを用いたセンサ装置 - Google Patents

ジャイロセンサおよびそれを用いたセンサ装置 Download PDF

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Description

本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いたジャイロセンサおよびそれを用いたセンサ装置に関するものである。
近年、自動車におけるサスペンションやエアバッグの制御装置、航空機における慣性航法システム、カメラの手ぶれ補償装置などにおいてジャイロセンサを設けたものが提供されている。この種のジャイロセンサは、規定の振動を与えている質量体に外力による角速度が作用したときのコリオリ力を計測することにより角速度を計測するものである。すなわち、コリオリ力は、外力による角速度と質量体の速度との外積に比例するから、コリオリ力の計測値と既知である質量体の速度とから角速度に相当する値を求めることができる。
この種のジャイロセンサとしては、MEMS技術を用いて半導体製造プロセスにより作製されるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のジャイロセンサ(ジャイロスコープ)は、図の面に垂直な方向であるZ方向に振動するように駆動される質量体を備え、図の面に沿う一方向であるX方向に作用する角速度を計測するものであって、図35に示すように、矩形枠状の駆動質量体(第1質量体)62と、駆動質量体62の内側に配置される検出質量体(第2質量体)63とを備え、駆動質量体62の各辺の中央部にそれぞれ設けた第1ばね64を図示しない支持基板にそれぞれ固定し、X方向に延長された4本の第2ばね65を介して駆動質量体62の左右両辺の各端部と検出質量体63の上下両辺とをそれぞれ結合した構造を有している。駆動質量体62の上下両辺には駆動質量体62および検出質量体63をZ方向に振動させるように駆動電圧が印加される駆動電極66が設けられ、検出質量体63の左右両辺には検出質量体63のY方向の変位を静電容量の変化によって検出する水平検知電極67が設けられている。
したがって、駆動電極66に駆動電圧を印加して駆動質量体62および検出質量体63をZ方向に振動させている状態において、X方向の角速度が作用すると駆動質量体62がX方向に変位する。検出質量体63はX方向に延長された第2ばね65を介して駆動質量体62と結合されているから駆動質量体62がX方向に変位すると検出質量体63もX方向に変位する。また、検出質量体63にはコリオリ力が生じるから第2ばね65が撓んで検出質量体63がY方向に変位する。検出質量体63のY方向の変位は水平検知電極67の出力により計測できるから、駆動質量体62に与えたZ方向の振動と水平検知電極67の出力とを用いてコリオリ力を算出することができ、コリオリ力が算出されると角速度に相当する値を求めることができる。
特許文献1には他の構成例も記載されており、第1ばね64を駆動質量体62の各角位置に設けた構成、第1ばね64に代えて第2ばね65の一端を支持基板に固定するとともに駆動質量体62と検出質量体63とを第1ばね64を介して連結した構成も開示されている。第2ばね65の一端を支持基板に固定する構成例としては、第2ばね65の他端を検出質量体63に連結した構成のほか、第2ばね65の他端を駆動質量体62に連結した構成も開示されている。
特開2003−194545号公報(第0014−0020段落、図2)
上述した特許文献1に記載のジャイロセンサは、駆動質量体62および検出質量体63が、第1ばね64または第2ばね65によって四方から拘束されており、また、駆動質量体62および検出質量体63は半導体基板により形成するのに対して、第1ばね64もしくは第2ばね65を接合する支持基板には一般にガラス基板を用いるから、半導体基板とガラス基板との熱膨張率の差により第1ばね64もしくは第2ばね65に熱応力が生じてジャイロセンサの共振周波数が変化する。このように、ジャイロセンサの共振周波数が変化すると検出値が変化するから、特許文献1に記載されたジャイロセンサは検出値の温度依存性が大きいという問題を有している。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、検出値の温度依存性を従来構成よりも低減したジャイロセンサおよびそれを用いたセンサ装置を提供することにある。
請求項1の発明は、一端部が支持基板に対して位置固定された検出ばねを介して、支持基板に対して支持基板に沿った面内で一方向に変位可能に支持された検出質量体と、検出質量体とは駆動ばねを介して結合され支持基板に交差する方向に振動するように駆動される駆動質量体と、支持基板に沿った面内での検出質量体の変位量を検出する検出手段とを半導体基板からなる主基板に備え、駆動質量体と検出質量体とは駆動ばねを介して支持基板に沿った面内で検出質量体の変位方向と直交する方向に並設され、検出ばねは2本あって、それぞれ検出質量体から駆動質量体と検出質量体とが並ぶ一つの向きに延長されており、駆動質量体は両検出ばねの内側に配置され、検出質量体は検出ばねの他端部に連続することによって片持ちで支持されていることを特徴とする。
この構成によれば、検出質量体および駆動質量体を支持基板に対して固定している検出ばねが検出質量体から一つの向きに延長され、片持ちで検出質量体を支持していることにより、主基板と支持基板との熱膨張率に差があっても主基板に熱応力がほとんど発生しないから、共振周波数の変化がほとんどなく、検出値の温度依存性が低減される。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記検出ばねは前記検出質量体の変位方向に可撓であって、両検出ばねの先端部間が検出質量体の変位方向に延長された剛性を有する連結片を介して連続一体に連結され、連結片の中間部が前記支持基板に固定されることを特徴とする。
この構成によれば、2本の検出ばねを連結片により連結し、連結片を支持基板に固定しているから、支持基板に対して主基板を1箇所で固定することができ、主基板と支持基板との接合作業が容易になる。また、2本の検出ばねを連結している連結片を支持基板に固定しているから、主基板と支持基板との熱膨張率に差があっても検出ばねには連結片の延長方向の熱応力がほとんど作用せず、検出値の温度依存性が一層低減される。
請求項3の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記駆動ばねは前記駆動質量体と前記検出質量体との間に配置されねじれ変形が可能なトーションばねであることを特徴とする。
この構成によれば、駆動ばねがトーションばねであるから、曲げ変形を利用する場合に比較すると駆動ばねを省スペースで配置することができる。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記駆動質量体と前記支持基板との少なくとも一方は、前記駆動ばねから離れるほど互いの間隔を広くするように厚み寸法が変化していることを特徴とする。
駆動質量体は、駆動ばね側の一端部を支点として振動するので、駆動ばねから離れるほど振幅が大きくなる。すなわち、請求項4の構成によれば、駆動質量体の振幅が大きい側ほど駆動質量体と支持基板との間隔が広いので、駆動質量体の振幅を比較的大きく設定することができる。結果的に、角速度が作用したときの検出質量体の変位量を比較的大きくすることができ、角速度の検出感度の向上につながる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記駆動質量体と前記支持基板との一方には、駆動質量体の最大振幅を規制する駆動質量体保護突起が突設されていることを特徴とする。
この構成によれば、駆動質量体の最大振幅が規制されるので、ジャイロセンサの落下などにより駆動質量体に衝撃が作用したとしても、駆動質量体の変位量が大きくなって駆動ばねや検出ばねが破損することはないという効果が期待できる。
請求項6の発明では、請求項1ないし請求項5の発明において、前記検出手段は、前記検出質量体に設けた切抜孔の内周面に突設した複数本の可動櫛歯片と、切抜孔の内側に配置され支持基板に固定された固定子の外周面に各可動櫛歯片とそれぞれ対向するように突設した複数本の固定櫛歯片とからなることを特徴とする。
この構成によれば、可動櫛歯片と固定櫛歯片とが複数本ずつ設けられているから、検出質量体の変位に対して可動櫛歯片と固定櫛歯片との間の静電容量が比較的大きく変化することになり、検出質量体の変位を検出する精度を高めることができる。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記検出手段は、前記可動櫛歯片と前記固定櫛歯片との間の静電容量の変化によって前記検出質量体の変位量を検出しており、検出質量体に対して検出質量体の変位方向に対向して配置され、検出質量体との間に電圧が印加されて静電力を作用させることにより、可動櫛歯片と固定櫛歯片との間の静電容量を調整する容量調整電極を備えることを特徴とする。
この構成によれば、ジャイロセンサ毎に可動櫛歯片と固定櫛歯片との間隔や対向面積にばらつきがあっても、可動櫛歯片と固定櫛歯片との間の静電容量を揃えることができるので、ジャイロセンサの精度の向上が期待できる。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7の発明において、前記検出質量体および前記駆動質量体と前記検出ばねとの間は、主基板を厚み方向に貫通するスリット溝によって分離されており、スリット溝は同じ幅寸法に設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、主基板にスリット溝をエッチングにより形成する際にエッチングレートの差を小さく抑えることができる。したがって、抜け切り時間の調整が容易になり、抜け切り後の支持基板へのエッチングの低減、また、エッチングの局所的な熱抵抗増加によるサイドエッチングを防止することができる。結果的に、主基板を比較的高精度で形成することが可能になり、角速度の検出精度の向上が期待できる。
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に固定駆動電極が配置され、前記検出ばねにおける支持基板への固定部と、固定駆動電極との間に振動電圧を印加することにより、駆動質量体と固定駆動電極との間に作用する静電力で駆動質量体を振動させることを特徴とする。
この構成によれば、主基板に設けた検出ばねと検出質量体と駆動質量体とを電路に用いることになり、支持基板に固定駆動電極を形成するだけで駆動質量体を振動させるための振動電圧を印加することができるから、構成が簡単であり、小型化につながる。
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に、前記検出質量体の変位方向の中間位置で2分割された一対の固定駆動電極が配置され、両固定駆動電極間に互いに逆極性でかつ絶対値が等しい振動電圧を印加することにより、駆動質量体と各固定駆動電極との間にそれぞれ作用する静電力で駆動質量体を振動させることを特徴とする。
この構成によれば、駆動質量体において常に互いに同数の異極性の電荷が生じるので、駆動質量体が振動する期間に駆動質量体の電位が一定に保たれる。したがって、駆動質量体の電位が変化することによるジャイロセンサの共振周波数の変化が抑制され、角速度の検出精度が維持される。
請求項11の発明は、請求項9または請求項10の発明において、前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に、前記固定駆動電極に隣接して配置され、駆動質量体との間に電圧が印加されて静電力を作用させることにより、駆動質量体と固定駆動電極との間隔を調整する間隔調整電極を備えることを特徴とする。
この構成によれば、ジャイロセンサ毎に駆動質量体と固定駆動電極との間隔にばらつきがあっても、駆動質量体と固定駆動電極との間隔を揃えることができるので、ジャイロセンサの精度の向上が期待できる。
請求項12の発明は、請求項9ないし請求項11の発明において、前記支持基板における前記固定駆動電極の周囲に、接地電位に設定されたグランド配線が配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、特に検出質量体へのノイズ放射を低減することができ、角速度の検出精度の向上につながる。
請求項13の発明は、請求項9ないし請求項12の発明において、前記固定駆動電極は、前記支持基板において、前記駆動質量体における振幅が最大となる部位に対向する領域を避けて形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、駆動質量体の振幅が大きくなって駆動質量体における振幅が最大となる部位が支持基板に当接する場合にも、駆動質量体と固定駆動電極とが短絡することはない。
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13の発明において、前記支持基板は厚み方向に貫通する複数個の透孔を有し、透孔の内周面には導電性の金属薄膜からなり主基板を外部回路に接続する電極配線が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、支持基板に設けた透孔の内周面に形成した電極配線によって主基板の各部を外部回路に接続するから、主基板の各部位を外部回路に接続するための配線を引き回す必要がなく、結果的に支持基板の占有面積を比較的小さくすることができ、小型化につながる。
請求項15の発明は、請求項1ないし請求項13の発明において、前記支持基板は厚み方向に貫通する複数個の透孔を有し、透孔内には透孔を埋めるように充填された導電性材料からなり主基板を外部回路に接続する電極配線が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、支持基板に設けた透孔内に充填された電極配線によって主基板の各部を外部回路に接続するから、主基板の各部位を外部回路に接続するための配線を引き回す必要がなく、結果的に支持基板の占有面積を比較的小さくすることができ、小型化につながる。また、電極配線として透孔内に充填された導電性材料を用いているので、導電性の金属薄膜を電極配線とする構成よりも確実に主基板の各部と外部回路とを電気的に接続することができる。
請求項16の発明は、請求項14または請求項15の発明において、前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に固定駆動電極が配置され、前記主基板と支持基板とが接合された状態で、固定駆動電極と前記電極配線とは、共に主基板に当接することにより主基板を介して電気的に接続されることを特徴とする。
この構成によれば、固定駆動電極と電極配線とを主基板によって接続するから、固定駆動電極を電極配線に接続するための配線を引き回す必要がなく、結果的に支持基板の占有面積を比較的小さくすることができ、小型化につながる。
請求項17の発明では、請求項16の発明において、前記支持基板は、前記主基板と接合された状態で主基板との間に前記固定駆動電極を挟む部位に、主基板との間隔を広げる支持基板側応力緩和凹部が凹設されていることを特徴とする。
この構成によれば、主基板と支持基板とが接合された状態で主基板と支持基板との間には支持基板側応力緩和凹部の分だけ隙間が生じ、固定駆動電極がこの隙間に配置される形になるので、主基板および支持基板において固定駆動電極を挟む部位に生じる歪みを比較的小さく抑えることができる。結果的に、この歪みによって生じる応力が検出ばねに作用して角速度の検出精度を低下させることが防止され、角速度の検出精度が維持されるという効果を奏する。
請求項18の発明では、請求項16または請求項17の発明において、前記主基板は、前記支持基板と接合された状態で前記固定駆動電極に当接する部位に、支持基板との間隔を広げる主基板側応力緩和凹部が凹設されていることを特徴とする。
この構成によれば、主基板と支持基板とが接合された状態で主基板と支持基板との間には少なくとも主基板側応力緩和凹部の分だけ隙間が生じ、固定駆動電極がこの隙間に配置される形になるので、主基板および支持基板において固定駆動電極を挟む部位に生じる歪みを比較的小さく抑えることができる。結果的に、この歪みによって生じる応力が検出ばねに作用して角速度の検出精度を低下させることが防止され、角速度の検出精度が維持されるという効果を奏する。また、半導体基板からなる主基板に対してはエッチングにより主基板側応力緩和凹部を容易に凹設することができる。
請求項19の発明は、請求項16ないし請求項18の発明において、前記主基板において前記支持基板と接合された状態で前記固定駆動電極に当接する部位が、主基板における他の部位に対して応力緩和ばねを介して連結されていることを特徴とする。
この構成によれば、主基板において固定駆動電極に当接する部位に生じる歪みにより発生した応力は応力緩和ばねによって緩和されるので、当該応力が検出ばねに作用することによる角速度の検出精度の低下が防止され、角速度の検出精度が維持されるという効果を奏する。
請求項20の発明は、請求項1ないし請求項19の発明において、前記駆動質量体の厚み寸法は前記検出質量体の厚み寸法よりも大きいことを特徴とする。
この構成によれば、駆動質量体と検出質量体との質量差を大きくすることができ、駆動質量体の質量を検出質量体よりも大きくすることによって、感度を高めることができる。
請求項21の発明は、請求項1ないし請求項20の発明において、前記駆動質量体は、振動方向に貫通された貫通孔を有することを特徴とする。
この構成によれば、駆動質量体が振動する際のダンピングを低減することができるので、駆動質量体の振動方向についての機械的Q値を向上させることができる。その結果、駆動質量体の振幅を比較的大きくすることができるので、角速度が作用したときの検出質量体の変位量を比較的大きくすることができ、角速度の検出感度の向上につながる。
請求項22の発明は、請求項21の発明において、前記貫通孔は、前記検出質量体の変位方向に長い帯状に開口していることを特徴とする。
この構成によれば、駆動質量体が、検出質量体の変位方向に変位する際のダンピングを低減することができるので、角速度が作用したときの検出質量体の変位量を比較的大きくすることができ、角速度の検出感度の向上につながる。
請求項23の発明は、請求項21または請求項22の発明において、前記貫通孔は、前記支持基板から離れるほど前記主基板の板面に沿う断面を狭くするテーパ状に形成されていることを特徴とする。
駆動質量体の質量が減少すると駆動質量体の機械的Q値が低減するが、請求項23の構成によれば、貫通孔を形成したことによる駆動質量体の質量の減少を比較的小さく抑えることができるので、貫通孔を形成しても、質量の減少による駆動質量体の機械的Q値の低下を比較的小さく抑えることができる。したがって、駆動質量体の振幅の低下を抑制でき、角速度の検出感度を維持できる。
請求項24の発明は、請求項1ないし請求項23の発明において、前記支持基板において前記検出質量体との対向面に、検出質量体の変位方向に長い帯状に開口した応力緩和溝が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、支持基板と主基板との熱膨張率に差があっても応力緩和溝の幅方向に生じる熱応力は応力緩和溝の幅寸法が変化することにより緩和されるので、支持基板における内部応力を低減することができる。結果的に、駆動ばねに熱応力が発生することによる共振周波数の変化が抑制され、温度変化に伴う角速度の検出精度の変化が生じないという効果につながる。
なお、ここでいう応力緩和溝は、支持基板を厚み方向に貫通するものと貫通しないものとの両方を含む。
請求項25の発明は、請求項1ないし請求項24の発明において、前記主基板は前記駆動質量体および前記検出質量体の周囲を囲む形で前記支持基板に固定されるフレームを備え、検出質量体とフレームとの一方には、検出質量体の最大変位量を規制する検出質量体保護突起が突設されていることを特徴とする。
この構成によれば、検出質量体の最大変位量が規制されるので、ジャイロセンサの落下などにより検出質量体に衝撃が作用したとしても、検出質量体の変位量が大きくなって検出ばねが破損することはないという効果が期待できる。
請求項26の発明は、請求項1ないし請求項25の発明において、前記主基板は、前記支持基板に沿った面内において前記検出質量体の変位方向に直交する方向に所定の間隔を有して前記駆動質量体に対向する加速度検出電極を有し、加速度検出電極は、駆動質量体とともに支持基板に沿った面内において検出質量体の変位方向に直交する方向の駆動質量体の変位量を検出する加速度検出手段を構成することを特徴とする。
この構成によれば、支持基板に沿った面内において検出質量体の変位方向に直交する方向の駆動質量体の変位量を検出することができるので、当該方向に作用する加速度の検出が可能になる。
請求項27の発明は、請求項1ないし請求項26のいずれかのジャイロセンサを2個備え、両ジャイロセンサの駆動質量体を互いに逆向きに振動させるように両ジャイロセンサを駆動するとともに、各ジャイロセンサのそれぞれの出力の差を出力する信号処理部を有することを特徴とする。
この構成によれば、両ジャイロセンサにおける駆動質量体の振動が互いに逆向きであるから、角速度が作用したときには両ジャイロセンサの出力は互いに逆極性となり、信号処理部の出力は各ジャイロセンサの出力の2倍になる。また、一方向に加速度が作用したときには両ジャイロセンサにおける検出質量体は同じ向きかつ同じ変位量だけ変位するので、両ジャイロセンサの出力は互いに同じになり、信号処理部の出力はゼロとなる。すなわち、角速度に対する感度が各ジャイロセンサの2倍になるとともに、一方向に作用する加速度による影響を受け難いという利点がある。
本発明の構成によれば、検出質量体および駆動質量体を支持基板に対して固定している検出ばねが検出質量体から一つの向きに延長され、片持ちで検出質量体を支持していることにより、主基板と支持基板との熱膨張率に差があっても主基板に熱応力がほとんど発生しないから、共振周波数の変化がほとんどなく、検出値の温度依存性が低減されるという利点がある。
(実施形態1)
本実施形態は、図1および図2に示すように、シリコン基板からなる主基板1の一面にガラス基板からなる支持基板2が積層され、主基板1の他面にガラス基板からなるキャップ3が積層された3層構造であって、支持基板2およびキャップ3は主基板1に対して、たとえば陽極接合により接合される。なお、主基板1にはシリコン以外の半導体を用いることも可能である。
主基板1は、図3に示すように、平面視において矩形状である駆動質量体11および検出質量体12が主基板1の板面に沿って並設されるとともに、駆動質量体11および検出質量体12の周囲を囲む矩形枠状のフレーム10を備えている。したがって、主基板1に支持基板2およびキャップ3を接合した状態では、支持基板2とキャップ3とフレーム10とに囲まれる空間内に駆動質量体11および検出質量体12が密封される。以下では、駆動質量体11と検出質量体12とが並ぶ方向をY方向、主基板1の板面に沿う面内でY方向に直交する方向をX方向、X方向とY方向とに直交する方向すなわち主基板1の板面に直交する方向をZ方向とする。
駆動質量体11と検出質量体12とは、X方向に延長された一対の駆動ばね13を介して連続一体に連結される。すなわち、X方向において検出質量体12の全長よりもやや短いスリット溝14aと、駆動質量体11におけるX方向の各側縁にそれぞれ一端が開放されX方向の一直線上に並ぶ2本のスリット溝14bとが形成され、スリット溝14aと各スリット溝14bとの間にそれぞれ駆動ばね13が形成される。各駆動ばね13の一端部はスリット溝14aの各一端と検出質量体12の側縁との間に連続し、各駆動ばね13の他端部は2本のスリット溝14bの間の部位において駆動質量体11にそれぞれ連続する。駆動ばね13はねじれ変形が可能なトーションばねであって、駆動質量体11は検出質量体12に対して駆動ばね13の回りで変位可能になっている。つまり、駆動質量体11は検出質量体12に対してZ方向の並進とX方向の軸回りの回転とが可能であると言える。また、駆動ばね13にトーションばねを用いているから、主基板1の厚み方向における駆動ばね13の寸法を小さくする必要がなく、駆動ばね13を形成する際の加工が容易である。
検出質量体12におけるX方向の各側縁にはY方向に延長された検出ばね15の一端部がそれぞれ連続し、両検出ばね15の他端部同士はX方向に延長された連結片16を介して連続一体に連結される。すなわち、一対の検出ばね15と連結片16とにより平面視コ字状の部材が形成される。ただし、連結片16は駆動ばね13および検出ばね15に比較して十分に剛性が高くなるように設計されている。連結片16の長手方向の中間部には固定片17が突設され、固定片17は支持基板2に接合され定位置に固定される。駆動質量体11および検出質量体12と検出ばね15および連結片16との間はコ字状のスリット溝14cにより分離されており、スリット溝14bの一端はスリット溝14cに連続する。検出ばね15はX方向に曲げ変形が可能であって駆動質量体11および検出質量体12は固定片17に対してX方向に変位可能になっている。
ところで、検出質量体12は厚み方向に貫通する4個の切抜孔18を有し、各切抜孔18の内側にはそれぞれ固定子20が配置される。固定子20は、検出質量体12のX方向の両端付近に配置される電極片21を有し、電極片21からは櫛骨片22がX方向に延長され、電極片21と櫛骨片22とでL字状をなす。電極片21と櫛骨片22とは支持基板2に接合され、固定子20は定位置に固定される。切抜孔18の内周面は固定子20の外周面の形状に沿った形状であって、固定子20との間には間隙が形成される。検出質量体12のX方向の両端部には2個ずつの電極片21が配置される。櫛骨片22の幅方向の両端面にはそれぞれ多数本の固定櫛歯片23がX方向に列設される。一方、切抜孔18の内側面であって櫛骨片22との対向面には、図4に示すように、固定櫛歯片23にそれぞれ対向する多数本の可動櫛歯片24がX方向に列設される。各固定櫛歯片23と各可動櫛歯片24とは互いに離間しており、検出質量体12がX方向に変位する際の固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との距離変化に伴う静電容量の変化を検出できるようにしてある。すなわち、固定櫛歯片23と可動櫛歯片24とにより検出質量体12の変位を検出する検出手段が構成される。
支持基板2およびキャップ3は主基板1に設けたフレーム10に接合され、固定片17および固定子20は支持基板2に接合されている。ただし、駆動質量体11および検出質量体12は、支持基板2およびキャップ3の間に形成される間隙においてZ方向に変位可能でなければならないから、図5に示すように、駆動質量体11および検出質量体12における支持基板2との対向面を支持基板2から後退させることにより支持基板2と駆動質量体11および検出質量体12との間隙g1を確保し、キャップ3における主基板1との対向面に凹所29を形成することによってキャップ3と駆動質量体11および検出質量体12との間隙g2を確保する。両間隙g1,g2は、数μm〜十数μmであって、たとえば10μmに設定される。この場合、固定片17の厚み寸法t1を300μm、駆動質量体11の厚み寸法t2を290μmなどと設定する。なお、主基板1の厚み寸法を変化させる代わりに、支持基板2において駆動質量体11および検出質量体12と対向する部位に凹所を形成してもよい。要するに、駆動質量体11と支持基板2との対向面において間隙g1を確保できるように駆動質量体11と支持基板2との一方を他方から後退させた形状とすればよい。
支持基板2において駆動質量体11との対向面にはアルミニウムのような導電性の金属薄膜からなる固定駆動電極25(図1参照)が形成してある。一方、支持基板2には、固定片17に対応する部位と、固定子20の各電極片21に対応する部位と、固定駆動電極25に対応する部位とにそれぞれ透孔26を形成してある。さらに、図示例ではフレーム10において固定片17の近傍部位に、固定片17を挟む形で一対の接地片19が形成されており、各接地片19に対応する部位においても透孔26が形成される。透孔26には図5に示すようにアルミニウムのような導電性の金属薄膜からなる電極配線27が形成される。透孔26は主基板1に近付くほど内径を小さくするテーパ状であって、電極配線27は透孔26の内周面だけではなく主基板1の表面も覆うように形成されている。つまり、透孔26の一端面は電極配線27により閉塞され、電極配線27は主基板1の各部位に電気的に接続される。また、電極配線27の一部は支持基板2の表面(厚み方向における主基板1との反対面)に延長され、支持基板2の表面に延長された部位は電極パッド28として機能する。このように、支持基板2に形成した透孔26の内周面にスルーホールメッキと同様の金属薄膜の電極配線27を形成することによって、主基板1に形成した各部材と電極パッド28とを支持基板2の厚み方向において接続しているから、主基板1の上で配線を引き回すことなく外部回路と接続することが可能になり、結果的に基板面積の小型化につながる。
上述したジャイロセンサを製造する際には、透孔26を形成した支持基板2に主基板1を接合する。この状態では、主基板1の各部位(フレーム10、駆動質量体11および検出質量体12、固定子20)は分離されていないから、主基板1を支持基板2に接合した後に、フレーム10を分離する溝、スリット溝14a〜14c、固定子20を分離する溝を主基板1におけるキャップ3との対向面から形成して各部位に分離する。この段階において、固定片17は支持基板2に接合されているから、固定片17に連続する駆動質量体11および検出質量体12は支持基板2に保持されており、また、固定子20も支持基板2に接合されている。その後、主基板1にキャップ3を接合すれば、駆動質量体11および検出質量体12は支持基板2とキャップ3とフレーム10とに囲まれた空間内に密封される。さらに、支持基板2の透孔26に電極配線27を形成するとともに電極パッド28を形成することにより、上述したジャイロセンサが形成される。
以下に本実施形態の動作を説明する。従来構成として説明したように、ジャイロセンサは駆動質量体11に規定の振動を与えておき、外力による角速度が作用したときの検出質量体12の変位を検出するものである。駆動質量体11を振動させるには固定駆動電極25と駆動質量体11との間に正弦波形ないし矩形波形の振動電圧を印加すればよい。振動電圧は、交流電圧が望ましいが、極性を反転させることは必須ではない。駆動質量体11は駆動ばね13と検出質量体12と検出ばね15と連結片16とを介して固定片17に電気的に接続され、支持基板2において固定片17に対応する部位には透孔26が形成されており、また固定駆動電極25に対応する部位にも透孔26が形成されているから、両透孔26に対応する電極配線27に振動電圧を印加すれば、駆動質量体11と固定駆動電極25との間に静電力を作用させて駆動質量体11を支持基板2およびキャップ3に対してZ方向に振動させることができる。振動電圧の周波数は、駆動質量体11および検出質量体12の質量や駆動ばね13および検出ばね15のばね定数などにより決まる共振周波数に一致させれば、比較的小さい駆動力で大きな振幅を得ることができる。
駆動質量体11を振動させている状態において、主基板1にY方向の軸回りの角速度が作用したときに、X方向にコリオリ力が発生し、検出質量体12(および駆動質量体11)は固定子20に対してX方向に変位する。可動櫛歯片24が固定櫛歯片23に対して変位すれば、可動櫛歯片24と固定櫛歯片23との距離が変化し、結果的に可動櫛歯片24と固定櫛歯片23との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、4個の固定子20に接続される電極配線27から取り出すことができる。すなわち、X方向において並ぶ各一対の電極片21の間の静電容量は固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との距離変化を反映するから、両電極片21は可変容量コンデンサの電極と等価であって、図示する構成では2個の可変容量コンデンサが形成されるから、各可変容量コンデンサの静電容量をそれぞれ検出したり、両可変容量コンデンサを並列に接続した合成容量を検出したりすることにより、検出質量体12の変位を検出することができる。駆動質量体11の振動は既知であるから、検出質量体12の変位を検出することにより、コリオリ力を求めることができる。
ここに、可動櫛歯片24の変位は、(駆動質量体11の質量)/(駆動質量体11の質量+検出質量体12の質量)に比例するから、駆動質量体11の質量が検出質量体12の質量に比較して大きいほど可動櫛歯片24の変位が大きくなり、結果的に感度が向上することになる。そこで、本実施形態では駆動質量体11の厚み寸法を検出質量体12の厚み寸法の略2倍に設定してある。たとえば、上述のように駆動質量体11の厚み寸法t2(図5参照)を290μmに設定しているときには、検出質量体12の厚み寸法を150μmなどと設定するのが望ましい。
上述した寸法関係から明らかなように、駆動質量体11および検出質量体12のZ方向の変位を可能とするには、支持基板2の厚み寸法が一定である場合には、主基板1の厚み寸法を、フレーム10および固定片17および固定子20と、他の部位とで異なる2段階とすればよく、さらに検出質量体12の厚み寸法を駆動質量体11の厚み寸法よりも小さくする場合には、主基板1の厚み寸法を、フレーム10および固定片17および固定子20と、検出質量体12と、他の部位とで異なる3段階とすればよい。また、支持基板2の厚み寸法を固定片17および固定子20との接合部と、他の部位とで異なる2段階とする場合には、主基板1の厚み寸法を、フレーム10および駆動質量体11および連結片16および固定片17および固定子20と、他の部位とで異なる2段階とすればよい。この構成によって、駆動質量体11と検出質量体12との厚み寸法を異ならせることができる。
以下では、ジャイロセンサを駆動する駆動回路について、駆動回路の一例を示す図6を参照して説明する。図6では、駆動回路の説明のために必要なジャイロセンサAの要部を、一点鎖線で囲まれた領域に模式的に表している。
駆動質量体11を振動させるには、駆動回路において発生した振動電圧を固定駆動電極25と駆動質量体11との間に印加する方法もあるが、ここで示す駆動回路はジャイロセンサAとともに自励発振回路を構成するものである。図6の駆動回路は、演算増幅器29を用いてジャイロセンサAとともにループ回路を形成しており、駆動質量体11の振動に対応する信号を駆動質量体11に正帰還することにより駆動質量体11を振動させる。ここで、駆動質量体11は演算増幅器29の反転入力端子に接続されており、演算増幅器29の出力は、バンドパスフィルタ(図では「BPF」と示す)30と位相シフタ31と振幅調整回路32とを介して固定駆動電極25に帰還される。
演算増幅器29の非反転入力端子は接地されており、演算増幅器29の反転入力端子と出力端子との間には帰還インピーダンス33が設けられている。演算増幅器29の出力は、位相シフタ31によって位相が90度進められ、振幅調整回路32によって振幅が所定の大きさに調整される。この駆動回路の構成によれば、駆動質量体11が振動すると、駆動質量体11の振動に対応する信号は、演算増幅器29の出力から反転されて出力された後、位相シフタ31によって位相が90度進められ、さらに固定駆動電極25と駆動質量体11との間において位相が90度進められることにより、駆動質量体11に正帰還される。つまり、駆動回路によって駆動質量体11の振動が維持されることになる。
ところで、駆動質量体11は、ねじれ変形が可能な駆動ばね13を介して検出質量体12と連結されており、駆動ばね13に連結された検出質量体12側の一端部を支点として振動するので、駆動ばね13との反対側の一端部が最も振幅が大きくなる部位であって、たとえば振動電圧が大きくなると、駆動ばね13との反対側の一端部が支持基板2に当接する可能性がある。本実施形態では、支持基板2において駆動質量体11の最も振幅が大きくなる部位(駆動ばね13との反対側の一端部)に対向する領域を避けて固定駆動電極25が形成されており、駆動質量体11の一端部が支持基板2に当接したとしても、この一端部が固定駆動電極25に当接することはない。したがって、駆動質量体11と固定駆動電極25とが短絡することにより駆動回路に大電流が流れ込むことはなく、駆動回路が帰還インピーダンス33に抵抗を用いた抵抗帰還型アンプである場合においても、出力が飽和してジャイロセンサAの動作が中断することはない。
あるいは、支持基板2において駆動質量体11の最も振幅が大きくなる部位に対向する領域に固定駆動電極25を形成し、図7に示すように、支持基板2上における固定駆動電極25の表面を電気的な絶縁性を有する絶縁層34により被覆することによって、駆動質量体11の一端部が固定駆動電極25に当接して電極短絡が生じることを防止してもよい。固定駆動電極25の表面に絶縁層34を形成する構成を採用すれば、固定駆動電極25の腐食を防止する効果も期待できる。
また、駆動質量体11の振幅は駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔により制限されるので、本実施形態では、駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔を駆動質量体11の振幅が大きい部位ほど広くすることにより、駆動質量体11の振幅を極力大きく設定できるようにしてある。角速度が作用したときの検出質量体12の変位量は駆動質量体11の振幅が大きいほど大きくなるので、駆動質量体11の振幅を大きく設定することは角速度の検出感度の向上につながる。本実施形態においては、駆動質量体11は上述したように駆動ばね13との反対側の一端部の振幅が最も大きいので、駆動質量体11を駆動ばね13から離れるほど薄くすることによって駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔を広げてある。ただし、固定駆動電極25を駆動質量体11の振幅が大きい部位ほど薄くする構成を採用してもよく、あるいは駆動質量体11と固定駆動電極25との両方を駆動質量体11の振幅が大きい部位ほど薄くしてもよい。
上述した構成では、連結片16の長手方向の中間部の1箇所に固定片17を設けているが、本発明では駆動質量体11および検出質量体12とがトーションばねである駆動ばね13を介して連結されることにより検出質量体12が駆動質量体13に対して相対的に変位可能であり、かつ検出質量体12を支持基板2に対して変位可能に支持する検出ばね15が片持ちであれば目的を達成することができる。したがって、図8に示すように、連結片16を設けずに各検出ばね15の一端にそれぞれ連続一体に固定片17を設けてもよい。この構成では、主基板1と支持基板2との熱膨張率の差によって熱応力が生じたとしてもX方向の熱応力のみであって、Y方向には熱応力が生じないから共振周波数の変化はほとんど生じない。つまり、温度変化に伴う検出精度の変化を低減することができる。なお、X方向の熱応力の影響を低減するために、検出ばね15はX方向におけるばね定数を小さくするように形成するのが望ましい。上述した構成例は、駆動質量体11をZ方向に振動させている間にY方向の軸回りの角速度が作用することによるX方向のコリオリ力を計測するものであり、駆動質量体11がZ方向に並進移動し、検出質量体12がX方向の軸回りに回転移動するとともにX方向に並進移動するものであるが、駆動質量体11が回転移動あるいは回転移動と並進移動とを行う構成を採用したり、検出質量体12が回転移動と並進移動とのいずれかのみを行う構成を採用したりすることも可能であり、また駆動質量体11および検出質量体12の移動方向についても特に制限されるものではない。
なお、上述した実施形態では、X方向において並ぶ各一対の電極片21の間の静電容量の変化を検出することにより検出質量体12の変位を検出していたが、以下の各実施形態では、Y方向において並ぶ各一対の電極片21と検出質量体12との間の静電容量の変化をそれぞれ検出することにより、検出質量体12の変位を検出するものとする。ここで、検出質量体12は検出ばね15と連結片16とを介して固定片17に電気的に接続されており、支持基板2において固定片17に対応する部位と各電極片21に対応する部位とのそれぞれには透孔26が形成されているから、これらの透孔26に対応する電極配線27から各電極片21と検出質量体12との間の静電容量を取り出すことができる。
(実施形態2)
本実施形態のジャイロセンサAは、図9に示すように、実施形態1のジャイロセンサAにおける図3の下方の接地片19に代えて、フレーム10から切り離された接続片35が設けられた構成を採用している。接続片35における透孔26との対向面には接続パッド36が形成される。また、実施形態1の図面では省略していたが、接続パッド36は、固定片17と接地片19と電極片21とのそれぞれにも形成される。支持基板2において角接続パッド36に対応する部位にはそれぞれ透孔26が形成されている。
一方、本実施形態の固定駆動電極25の形状について実施形態3の支持基板2を示す図12(a)を参照して説明する。本実施形態の固定駆動電極25は、図の右端縁の一部から図の右方に延長された固定駆動電極パッド37を有している。固定駆動電極パッド37の先端部は、主基板1と支持基板2とを接合した状態で接続片35に対向する部位まで延長されている。これにより、図11(a)の要部Bを示す図10のように、接続片35と支持基板2とがたとえば陽極接合により接合された状態において、固定駆動電極パッド37および電極配線27がともに接続片35に当接し、固定駆動電極25と電極配線27とが接続片35を介して電気的に接続されることになる。したがって、外部回路からの振動電圧は、電極配線27および接続片35を通して固定駆動電極25と駆動質量体11との間に印加されることになる。このように固定駆動電極25と電極配線27とを接続することによって、たとえばワイヤボンディングのように支持基板2上で配線を引き回すことなく固定駆動電極25を外部回路に接続することが可能になり、結果的に基板面積の小型化につながる。
また、本実施形態では、実施形態1のジャイロセンサAにおいて支持基板2の透孔26の内周面に形成されていた金属薄膜に代えて、図11に示すように、透孔26を埋めるように透孔26内に充填された導電性材料によって電極配線27を構成する。図11においては、導電性材料として導電性ペーストを採用している。透孔26内に充填された導電性材料を電極配線27とすることにより、導電性の金属薄膜を電極配線27とする構成に比べて、主基板1の各部と外部回路との電気的接続の信頼性を高めることができる。
ところで、本実施形態においては、主基板1を厚み方向に貫通することにより主基板1の各部位(フレーム10、駆動質量体11および検出質量体12、固定子20)を分離する溝(フレーム10を分離する溝とスリット溝14a〜14cと固定子20を分離する溝)をすべてスリット溝14とする。スリット溝14はエッチングによって形成されている。ここで、スリット溝14は、可動櫛歯片24および固定櫛歯片23の間とそれ以外とのそれぞれにおいて同じ幅寸法に設定されている。これにより、主基板1にスリット溝14を形成する際にエッチングレートの差を小さく抑えることができ、抜け切り時間の調整が容易になり、抜け切り後の支持基板2へのエッチングの低減、また、エッチング時の局所的な熱抵抗増加によるサイドエッチングを防止することができる。したがって、主基板1を比較的高精度で形成することが可能になり、角速度の検出精度を向上させることができる。
なお、導電性ペーストに代えて、金属片を透孔26内に埋め込むことにより電極配線27を形成してもよい。金属片はたとえばメッキなどにより透孔26内に埋め込むことができるので、金属片を埋め込む構成を採用すれば半導体の製造ラインにおいて確立されている自動化ラインに電極配線27を形成する工程を入れることができ、コスト削減につながる。透孔26内に金属片を埋め込む場合には、金属片における支持基板2の板面から突出した部分をたとえば研磨することにより除去し、電極配線27を含む支持基板2の板面を平らに仕上げることができる。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
本実施形態のジャイロセンサAは、支持基板2において、図12(a)に示すように、X方向に長い帯状に開口する応力緩和溝38が検出質量体12との対向部位に形成されたものである。
応力緩和溝38は、図12(b)に示すように支持基板2を厚み方向に貫通するものであっても、図12(c)に示すように貫通しないものであってもよい。応力緩和溝38を形成する方法としては、たとえば反応性イオンエッチングやフッ酸を用いたウェットエッチングなどがある。ここにおいて、支持基板2と主基板1との熱膨張率に差があっても応力緩和溝38の幅方向(Y方向)に生じる熱応力は応力緩和溝38の幅寸法が変化することにより緩和されるので、応力緩和溝38を有することにより支持基板2におけるY方向の内部応力を低減することができる。結果的に、駆動ばね13にY方向の熱応力が発生することによる共振周波数の変化はほとんど生じず、温度変化に伴う検出精度の変化を低減することができる。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
(実施形態4)
本実施形態のジャイロセンサAは、図13に示すように、支持基板2上の固定駆動電極25がX方向に2等分されている。このジャイロセンサでは、各固定駆動電極25と駆動質量体11との間に、それぞれ図14(a)および図14(b)に示すように互いに逆位相となる交流電圧を振動電圧として印加することにより駆動質量体11を振動させる。ここにおいて、両固定駆動電極25に印加する振動電圧は、駆動質量体11を駆動している期間において常に互いに逆極性でかつ絶対値が等しい電圧であればよく、たとえば図14(c)および図14(d)に示すように互いに逆極性となる脈動電圧であってもよい。これにより、駆動質量体11においては振動している期間に常に互いに同数の異極性の電荷が生じるので、駆動質量体11自体の電位が一定に保たれる。結果的に、駆動質量体11の電位が変化することによる共振周波数の変化はほとんど生じず、検出精度の変化を低減することができる。図14においては、駆動質量体11と固定駆動電極25とが静電力によって互いに引き合う期間を図中Tで示している。
また、支持基板2上には、図13の右側の一辺を除いて一対の固定駆動電極25を包囲するようにグランド配線39が形成されている。グランド配線39は、ジャイロセンサAの基準電位であるグランド電位と等電位にあって、たとえばジャイロセンサAに対して実施形態1に示したような駆動回路が接続される場合に、駆動回路の信号グランドとグランド配線39の電位とは等しくなる。このように固定駆動電極25の周囲に低インピーダンスのグランド配線39を形成することによって、特に検出質量体12へのノイズ放射を低減でき、結果的に角速度の検出精度を向上させることができる。
なお、各固定駆動電極25は、図13に示すように、図の右端部において、X方向の両端部からX方向にそれぞれ延長され、先端部が図の右方に延長された固定駆動電極パッド37をそれぞれ有している。主基板1において、支持基板2に接合された状態で固定駆動電極パッド37の先端部に対向する部位には、それぞれフレーム10から切り離された接続片35が設けられている(図17参照)。これにより、接続片35と支持基板2とが接合された状態において、固定駆動電極25と接続片35に対応する電極配線27とが接続片35を介して電気的に接続される。また、グランド配線39においては、図13の左端部において、X方向の両端部からX方向にそれぞれ延長されたグランド配線パッド40を有しており、グランド配線パッド40がフレーム10に当接することにより、フレーム10に連続する接地片19に電気的に接続され、接地片19に対応する電極配線27に電気的に接続されることになる。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
(実施形態5)
本実施形態のジャイロセンサAは、実施形態4のジャイロセンサAにおいて、振動電圧が印加されておらずかつ角速度および加速度が作用していない状態での、駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔、および固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との間の静電容量(以下では「検出容量」と呼ぶ)をそれぞれ調整できるようにしている。
具体的に説明すると、駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔を調整可能とする構成として、図15に示すように各固定駆動電極25の一部をそれぞれ分離して一対の間隔調整電極41を形成する。図15におけるL字状の加速度検出電極パッド51については実施形態6で説明する。ここで、一方の間隔調整電極41と駆動質量体11との間に直流電圧を印加して両者間に静電力を作用させることにより、駆動質量体11と一方の固定駆動電極41との間隔を調整することができる。したがって、一対の固定駆動電極25間で駆動質量体11との間隔が異なっていてもこの間隔を揃えることができる。さらに、ジャイロセンサA毎に駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔にばらつきがあっても、一対の間隔調整電極41間に直流電圧を印加することによって、両固定駆動電極25と駆動質量体11との間隔を調整することができるので、ジャイロセンサA毎に駆動質量体11の振幅が異なることを防止でき、ジャイロセンサAの精度の向上につながる。
また、実施形態1のジャイロセンサAのように固定駆動電極25が2等分されておらず1つの場合にも、図16に示すように、固定駆動電極25の一部を分離して間隔調整電極41を形成し、間隔調整電極41と駆動質量体11との間に静電力を作用させることにより、駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔を調整できるようにすることが望ましい。これにより、ジャイロセンサA毎に駆動質量体11と固定駆動電極25との間隔にばらつきがあっても、この間隔を揃えることができるので、ジャイロセンサA毎に駆動質量体11の振幅が異なることを防止でき、ジャイロセンサAの精度の向上につながる。
一方、検出容量を調整可能とする構成としては、支持基板2に固定された容量調整電極42(図18参照)を主基板1に形成している。容量調整電極42は、図17に示すように、切抜孔18内において櫛骨片22における電極片21との反対側の一端縁と検出質量体12との間に配置された容量調整片43の一部に形成されている。容量調整片43は、図17の要部Cを示す図18のように、X方向に長い矩形状であってX方向において検出質量体12側の一端部が検出質量体12との対向面積を広げるようにY方向に延長されている。容量調整電極42は、容量調整片43において検出質量体12に対してX方向に対向する面に形成されている。ここで、容量調整電極42と検出質量体12との間に直流電圧を印加して静電力を作用させることにより、固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との距離を調整することができる。したがって、1つのジャイロセンサAにおいて切抜孔18毎に(あるいはジャイロセンサA毎に)固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との間隔や対向面積にばらつきがあっても、検出容量を揃えることができるので、ジャイロセンサAの精度の向上につながる。
また、容量調整片43における支持基板2との対向面には接続パッド36が設けられており、支持基板2においてこの接続パッド36に対向する部位には電極配線27が形成されている。ここで、容量調整片43に対応する電極配線27は接続パッド36に当接することにより容量調整電極42に電気的に接続されるので、当該電極配線27を介して容量調整電極42と外部回路との接続が可能になる。
ところで、本実施形態では、検出質量体12および駆動質量体11の最大変位量をそれぞれ規制するストッパを備える。まず検出質量体12の最大変位量を規制するストッパ(検出質量体保護突起)から先に説明する。
検出質量体12は、主基板1に角速度が作用したときにコリオリ力によって変位するようにコリオリ力による変位方向(X方向)には比較的低い剛性を有し、X方向に作用する加速度によっても変位し易い構造となっている。ストッパ44は、図17に示すように、検出質量体12の一対(図の左上と左下)の角部から検出質量体12の変位方向(X方向)に突出する形で設けられている(図17の要部Dを示す図19(a)参照)。定常状態では図19(b)に示すようにストッパ44の先端面とフレーム10とは離間されており、たとえば落下などの衝撃により検出質量体12に過度の変位が生じたときにはフレーム10にストッパ44が当接することによって、検出ばね15が破損することが防止される。ストッパ44はフレーム10に設けられていてもよい。
一方、駆動質量体11の最大振幅を規制するストッパ(駆動質量体保護突起)は、図17に示すように、駆動質量体11の一対(図の右上と右下)の角部から主基板1の板面に沿う面内において検出質量体12の変位方向に直交するY方向に突出する形で設けられている(図17の要部Eを示す図20(a)参照)。駆動質量体11は、ねじれ変形が可能な駆動ばね13を介して検出質量体12と連結されており、駆動ばね13に連結された検出質量体12側の一端部を支点として振動するので、たとえば落下などの衝撃により駆動質量体11にZ方向に過度の変位が生じたときには、支点とは反対側の一端部に設けられたストッパ45が支持基板2あるいはキャップ3に当接することによって、検出ばね15や駆動ばね13が破損することが防止される(図20(b)参照)。ストッパ45は支持基板2に設けられていてもよいが、本実施形態の構成とすることにより、駆動質量体11の形状を変更するだけでストッパ45としての機能を容易に付加することができる。
加えて、いずれのストッパ44,45においても、検出質量体12や駆動質量体11に過度の変位が生じたときにフレーム10あるいは支持基板2やキャップ3に当接するのはストッパ44,45の先端部のみであって比較的小面積であるから、フレーム10あるいは支持基板2やキャップ3への検出質量体12および駆動質量体11の固着も防止されるのである。
以下では、ジャイロセンサAを駆動する駆動回路について、駆動回路の一例を示す図21を参照して説明する。図21では、駆動回路の説明のために必要なジャイロセンサAの要部を、一点鎖線で囲まれた領域に模式的に表している。図21に示す駆動回路は、実施形態1において説明したものと基本構成が同じであるで、実施形態1との共通部分に関しては説明を省略する。
本実施形態においては、一方の固定駆動電極25は実施形態2と同様に駆動回路に接続されており、他方の固定駆動電極25は、前記一方の固定駆動電極25との間に振動電圧の極性を反転させる反転回路46を介して駆動回路に接続されている。これにより、一対の固定駆動電極25には、互いに逆極性でかつ絶対値が等しい電圧が印加されることになる。
なお、各間隔調整電極41は、図15に示すように、図の右端部において、一部が図の右方に延長された間隔調整電極パッド47をそれぞれ有している。主基板1において、支持基板2に接合された状態で間隔調整電極パッド47の先端部に対向する部位には、図17に示すように、それぞれフレーム10から切り離された接続片35が設けられている。これにより、接続片35と支持基板2とが接合された状態において、間隔調整電極41と接続片35に対応する電極配線27とが接続片35を介して電気的に接続されることになる。その他の構成および機能は実施形態4と同様である。
(実施形態6)
本実施形態のジャイロセンサAは、実施形態5のジャイロセンサAにおいて、図22に示すように、駆動質量体11を厚み方向(Z方向)に貫通する貫通孔48が形成されている。図22(a)においては、開口面がそれぞれ円形状に形成された14個の貫通孔48が形成されており、貫通孔48はX方向に7個ずつY方向に2列になるように配列されている。貫通孔48を形成する方法としては、たとえば反応性イオンエッチングなどがある。この構成によれば、駆動質量体11がZ方向に振動する際の空気粘性によるダンピングが低減され、駆動質量体11のZ方向についての機械的Q値の向上につながる。その結果、駆動質量体11の振幅が大きくなることにより、X方向に発生するコリオリ力の大きさが大きくなるので、感度の向上が期待できる。
また、貫通孔48の形状は図22(a)に示すものに限らず、たとえば図22(a)においてX方向に並ぶ貫通孔48をすべて連続させることにより、図23(a)に示すように、検出質量体12の変位方向(X方向)に長い帯状に開口する形状の貫通孔48がY方向に2本配列されている構成としてもよい。このように貫通孔48をX方向に長く形成することによって、駆動質量体11がX方向に変位する際の空気粘性によるダンピングが低減し、駆動質量体11のX方向についての機械的Q値の向上につながるので、主基板1にY方向の軸回りの角速度が作用したときに検出振動体12(および駆動質量体11)がX方向に変位し易く、感度の向上が期待できる。
さらに、貫通孔48は、図23(b)に示すように支持基板2から離れるほど主基板1の板面に沿う断面を狭くするテーパ状に形成されていてもよく、この場合には、貫通孔48を形成することによって駆動質量体11の質量が減少することによる駆動質量体11の機械的Q値の低下を比較的小さく抑えることができるという効果が期待できる。図23(b)は図23(a)のA−A断面図であるが、図22(a)の形状に開口する貫通孔48においても同様にテーパ状に形成されていてもよい。
ところで、本実施形態においては、図22(a)に示すように、駆動質量体11における検出質量体12との反対側の一端面の一部に対向する加速度検出電極49が主基板1に形成されている。加速度検出電極49は、連結片16におけるX方向の中央部において駆動質量体11との間隔を広げるように連結片16を駆動質量体11から後退させた電極配置用凹部50内に配置され、駆動質量体11側の端面が連結片16における電極配置用凹部50の両側と面一に形成されている(図22(a)の要部Fを示す図24参照)。この構成では、駆動質量体11と加速度検出電極49とがY方向に対向しているので、Y方向に作用する加速度により駆動質量体11がY方向に変位して生じる駆動質量体11と加速度検出電極49との距離変化を、駆動質量体11と加速度検出電極49との間の静電容量の変化として検出することができる。すなわち、本実施形態のジャイロセンサを用いれば、駆動質量体11と加速度検出電極49とが加速度検出手段として機能し、Y方向の軸回りの角速度に加えてY方向に作用する加速度を検出することができる。
なお、支持基板2においては、図15に示すように、加速度検出電極49との対向部位から図の下方に延長され、先端部が図の右方に延長されたL字状の加速度検出電極パッド51が形成されている。主基板1においては、支持基板2に接合された状態で加速度検出電極パッド51における加速度検出電極49との反対側の一端部に対向する部位には、図22(a)に示すように、フレーム10から切り離された接続片35が設けられている。これにより、接続片35と支持基板2とが接合された状態において、加速度検出電極49と接続片35に対応する電極配線27とが接続片35を介して電気的に接続されることになる。その他の構成および機能は実施形態5と同様である。
(実施形態7)
本実施形態では、図25に示すように、実施形態2のジャイロセンサAを2個備えたセンサ装置について説明する。両ジャイロセンサAは、互いにX方向とY方向とZ方向とがそれぞれ一致するように配置され、一方をZ方向の軸回りに180度回転させた形に位置決めされている。センサ装置は、両ジャイロセンサAの出力(固定櫛歯片23と可動櫛歯片24との間の静電容量の変化)の差を出力する差動インタフェース回路52(信号処理部)を備える。差動インタフェース回路52はたとえば演算増幅器を用いて構成される。各ジャイロセンサに印加される振動電圧は図26(a)および図26(b)にそれぞれ示すような互いに逆位相の脈動電圧であって、両ジャイロセンサの駆動質量体11をZ方向に交互に変位させている。図26においては、駆動質量体11と固定駆動電極25とが静電力によって互いに引き合う期間を図中Tで示している。
本実施形態のセンサ装置を用いれば、Y方向の軸回りの角速度(図25の矢印G)が作用した場合に、両ジャイロセンサAの駆動質量体11が互いに逆向きに振動しているので、それぞれのジャイロセンサAの検出質量体12には互いに逆向きのコリオリ力が作用し、両ジャイロセンサAの検出質量体12は互いに逆向きに変位(図25の矢印H)する。その結果、両ジャイロセンサAの出力は互いに逆位相になるから、各ジャイロセンサAの出力が2倍の大きさに増幅されて差動インタフェース回路52から出力されることになる。一方、X方向の加速度(図25の矢印I)が作用した場合には、両ジャイロセンサAの検出質量体12は同じ向きに変位(図25の矢印J)する。その結果、両ジャイロセンサAの出力は、同位相になるので差動インタフェース回路52において相殺され、差動インタフェース回路52の出力はゼロになる。すなわち、2個のジャイロセンサAを用いてセンサ装置を構成することによって、一方向の軸回りに作用する角速度の検出の感度が2倍になるとともに、一方向に作用する加速度の影響を受け難いという利点がある。
なお、センサ装置の各ジャイロセンサAとして、実施形態4に示したような固定駆動電極25が2等分されたジャイロセンサをそれぞれ用いてもよく、この場合においても、両ジャイロセンサAの駆動質量体11が互いに逆向きに振動するように、両ジャイロセンサAにたとえば互いに逆位相の脈動電圧を振動電圧として印加する。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
ところで、上述した実施形態2のジャイロセンサAでは、支持基板2における主基板1との対向面においては固定駆動電極25の厚み寸法だけ固定駆動電極25が突出しているので、図10のように主基板1と支持基板2とが接合された状態で、接続片35と支持基板2との間において固定駆動電極パッド37の当接部位に固定駆動電極パッド37の厚み寸法分の間隔が開くことにより、主基板1および支持基板2における固定駆動電極パッド37の当接部位に歪みが生じる。この歪みにより生じる応力が検出ばね15に作用すると、検出ばね15のばね特性が変化し角速度の検出精度の低下につながる可能性がある。しかも、固定駆動電極パッド37は、ジャイロセンサAにおけるX方向の一方(図9の下方)に偏って配置されているので、固定駆動電極パッド37の当接部位に生じた応力がジャイロセンサAのX方向に対称に設けられた両検出ばね15に対して不平衡に作用し、検出質量体12を変位させることにより、角速度の検出結果に誤差が生じることもある。そこで、以下の実施形態8〜10においては、これらの問題を解決するために、主基板1および支持基板2において固定駆動電極パッド37の当接部位に生じる応力を低減する構成について説明する。
(実施形態8)
本実施形態のジャイロセンサAは、実施形態2のジャイロセンサAにおいて、図11(a)の要部Bを示す図27のように、支持基板2における固定駆動電極パッド37が形成された部位に応力緩和凹部53(支持基板側応力緩和凹部)が凹設されている点が実施形態2と相違する。ここで、応力緩和凹部53は固定駆動電極パッド37の厚み寸法と同じ深さに形成されており、固定駆動電極パッド37が応力緩和凹部53内に配置されることにより固定駆動電極パッド37と支持基板2における応力緩和凹部53の両側とが面一になる。
本実施形態の構成によれば、図27に示すように、主基板1と支持基板2とが接合された状態において、接続片35と支持基板2との間には応力緩和凹部53の分だけ隙間が形成されることになり、固定駆動電極パッド37がこの隙間に収納される形になるので、主基板1および支持基板2において固定駆動電極パッド37の当接部位に応力が生じることはない。結果的に、ジャイロセンサAの角速度の検出精度が維持され、かつ角速度の検出結果に誤差が生じることを防止できるという効果につながる。
また、応力緩和凹部は、図28に示すように、支持基板2に代えて主基板1の接続片35に凹設されていてもよい。主基板1に凹設された応力緩和凹部54(主基板側応力緩和凹部)は、固定駆動電極パッド37の厚み寸法と同じ深さに形成されている。この構成においても、支持基板2に応力緩和凹部53が凹設された上記構成と同様に、主基板1と支持基板2とが接合された状態において、接続片35と支持基板2との間に応力緩和凹部54の分だけ隙間が形成され、固定駆動電極パッド37がこの隙間に収納される形になる。つまり、応力緩和凹部54が主基板1に凹設されていても、主基板1および支持基板2において固定駆動電極パッド37の当接部位に応力が生じることを防止する作用を奏する。ここで、シリコン基板からなる主基板1の加工はエッチングにより可能であって、接続片35に応力緩和凹部54を設けた構成では応力緩和凹部54の形成が容易である。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
(実施形態9)
本実施形態のジャイロセンサAは、実施形態2のジャイロセンサAにおいて、図11(a)の要部Bを示す図29のように、固定駆動電極25において主基板1と支持基板2とが接合された状態で接続片35と支持基板2との間に挟まれる部位を他の部位よりも薄くする段差55が、固定駆動電極25に形成されている点が実施形態2と相違する。
本実施形態では、固定駆動電極25において主基板1と支持基板2とが接合された状態で接続片35と支持基板2との間に挟まれる部位の厚み寸法が比較的小さいので、主基板1および支持基板2において固定駆動電極パッド37の当接部位に生じる応力を比較的小さく抑えることができる。結果的に、ジャイロセンサAの角速度の検出精度が維持され、かつ角速度の検出結果に誤差が生じることを防止できるという効果が期待できる。ここで、アルミニウムのような導電性の金属薄膜からなる固定駆動電極25の加工はエッチングにより可能であって、固定駆動電極25に段差を形成する加工は容易である。
また、図30に示すように、支持基板2において固定駆動電極パッド37とX方向に対称となる位置に、固定駆動電極パッド37と同形状のダミーパッド56を形成することにより、角速度の検出結果に誤差が生じることを防止するようにしてもよい。ダミーパッド56は、支持基板2の板面に沿う形状だけでなく厚み寸法においても固定駆動電極パッド37と同じであって、主基板1と支持基板2との間に挟まれることにより、主基板1と支持基板2との間に固定駆動電極パッド37を挟むことと同じ機械的な作用を奏するものである。すなわち、主基板1と支持基板2とが接続された状態で、主基板1および支持基板2においては、固定駆動電極パッド37とダミーパッド56とのそれぞれの当接部位に同様の歪みが生じる。ここで、これらの歪みにより生じる応力は両検出ばね15に対して等しく作用するので、角速度の検出結果に誤差を生じることはない。ただし、ダミーパッド56は、固定駆動電極25に電気的に接続されていなくてもよいが、固定駆動電極25に電気的に接続され第2の固定駆動電極パッドとして用いられるものであってもよく、後者の場合には、第2の固定駆動電極パッドに対しても接続片35を介して外部回路を電気的に接続しておくことが望ましい。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
(実施形態10)
本実施形態のジャイロセンサAは、実施形態2のジャイロセンサAにおいて、図11(a)の要部Bを示す図31のように、接続片35における固定駆動電極パッド37の当接部位の周囲に応力緩和ばね57が形成され、接続片35における固定駆動電極パッド37の当接部位が応力緩和ばね57を介して接続片37における他の部位に連結されている点が実施形態2と相違する。
具体的に説明すると、接続片35において固定駆動電極パッド37に当接する部位と電極配線27に当接する部位との間に、支持基板2側に開口し厚み方向(Z方向)に切り込む形に切込58が形成されており、接続片35において切込58によって他の部位より厚み寸法が小さくなった部位を応力緩和ばね57としている。つまり、接続片35において固定駆動電極パッド37の当接部位に歪みが生じたとしても、この歪みによって生じる応力は周囲の応力緩和ばね57により緩和され、検出ばね15に作用することが防止される。結果的に、ジャイロセンサAの角速度の検出精度が維持され、かつ角速度の検出結果に誤差が生じることを防止できるという効果が期待できる。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
(実施形態11)
本実施形態のジャイロセンサAは、実施形態2のジャイロセンサAにおいて、図11(a)の要部Bを示す図32のように、接続片35における固定駆動電極パッド37との対向面に、先端面が固定駆動電極パッド37に当接する当接突起59を突設したものである。接続片35における当接突起59の周囲は固定駆動電極パッド37との間に隙間を有しており、接続片35においては当接突起59のみが固定駆動電極パッド37に当接する。ここにおいて、当接突起59の先端面の面積が一定の大きさに設定されることにより、接続片35と固定駆動電極25との接触面積は一定の大きさに設定される。したがって、主基板1と支持基板2とが接合される際に両者の間に位置ずれが生じたとしても、接続片35と固定駆動電極25との接触面積が変わることはない。
ところで、駆動質量体11および固定駆動電極25への振動電圧の印加は、接続片35および固定駆動電極25を介して行うので、接続片35と固定駆動電極25との間の接触抵抗が振動電圧の大きさに影響することがある。つまり、接続片35と固定駆動電極25との間の接触抵抗にばらつきが生じると、駆動質量体11を振動させる静電力の大きさにばらつきが生じる可能性がある。
ここにおいて、本実施形態の構成によれば、接続片35と固定駆動電極25との接触面積が一定であるから、接続片35と固定駆動電極25との間の接触抵抗のばらつきが低減され、ジャイロセンサA毎に振動電圧の大きさにばらつきが生じることを防止できる。その結果、固定駆動電極25を振動させる静電力の大きさを揃えることができ、角速度の検出感度を揃えることができる。
また、本実施形態では、接続片35において当接突起59が形成される位置は統一されている。これにより、接続片35内の電界分布が統一され、接続片35における電気抵抗がばらつくことも防止できるので、接続片35の電気抵抗のばらつきによる角速度の検出感度のばらつきも低減することができる。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
(実施形態12)
本実施形態のジャイロセンサAは、実施形態2のジャイロセンサAにおいて、固定駆動電極パッド37における接続片35に当接する部位を規制することにより、接続片35と固定駆動電極25との接触面積を一定の大きさに設定したものである。
具体的に説明すると、図11(a)の要部Bを示す図33のように、支持基板2における主基板1との対向面において固定駆動電極パッド37の一部(以下では「接続部」という)の周囲に接触規制凹部60が凹設される。ここで、固定駆動電極パッド37において前記接続部61以外の部位は、接触規制凹部60内に形成されることにより、接続部61よりも支持基板2の厚み方向において主基板1から離れる向きに後退した形になる。したがって、固定駆動電極25においては、固定駆動電極パッド37の接続部61のみが接続片35に当接する。接続部61の面積は接触規制凹部60の位置や形状によって決定されるので、接触規制凹部60の位置や形状を統一することにより、接続片35と固定駆動電極25との接触面積を揃えることができる。すなわち、主基板1と支持基板2とが接合される際に両者の間に位置ずれが生じたとしても、接続片35と固定駆動電極25との接触面積が変わることはない。
ところで、駆動質量体11および固定駆動電極25への振動電圧の印加は、接続片35および固定駆動電極25を介して行うので、接続片35と固定駆動電極25との間の接触抵抗が振動電圧の大きさに影響することがある。つまり、接続片35と固定駆動電極25との間の接触抵抗にばらつきが生じると、駆動質量体11を振動させる静電力の大きさにばらつきが生じる可能性がある。
ここにおいて、本実施形態の構成によれば、接続片35と固定駆動電極25との接触面積が一定であるから、接続片35と固定駆動電極25との間の接触抵抗のばらつきが低減され、ジャイロセンサA毎に振動電圧の大きさにばらつきが生じることを防止できる。その結果、固定駆動電極25を振動させる静電力の大きさを揃えることができ、角速度の検出感度を揃えることができる。
また、支持基板2に接触規制凹部60を凹設する上記構成に代えて、図11(a)の要部Bを示す図34のように、固定駆動電極25の厚み寸法を2段階にし、固定駆動電極パッド37における接続部61の厚み寸法を固定駆動電極25の他の部位より大きくする構成を採用してもよい。図34の構成では、接続部61は支持基板2の厚み方向において固定駆動電極25の他の部位より大きく支持基板2から突出するので、固定駆動電極25において接続部61のみが接続片35に当接することになる。ここで、アルミニウムのような導電性の金属薄膜からなる固定駆動電極25の加工はエッチングにより可能であって、固定駆動電極25の厚み寸法を2段階にすることにより接続部61を形成する加工は容易である。その他の構成および機能は実施形態2と同様である。
本発明の実施形態1を示す分解斜視図である。 同上の斜視図である。 同上に用いる主基板を示す平面図である。 同上に用いる主基板を示す要部平面図である。 同上の要部断面図である。 同上に用いる駆動回路を示す説明図である。 同上の要部断面図である。 本発明の他の実施形態に用いる主基板を示す平面図である。 本発明の実施形態2に用いる主基板を示す平面図である。 同上の要部断面図である。 (a)は同上の断面図、(b)は同上の要部断面図である。 本発明の実施形態3に用いる支持基板を示し、(a)は平面図、(b)および(c)は(a)のA−A段面図である。 本発明の実施形態4に用いる支持基板を示す平面図である。 同上の動作説明図である。 本発明の実施形態5に用いる支持基板を示す平面図である。 本発明の他の実施形態に用いる支持基板を示す平面図である。 本発明の実施形態5に用いる主基板を示す平面図である。 図17の要部Cを示す平面図である。 図17の要部Dを示す平面図である。 図17の要部Eを示す平面図である。 同上に用いる駆動回路を示す説明図である。 本発明の実施形態6を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 本発明の他の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 図22(a)の要部Fを示す平面図である。 本発明の実施形態7の接続関係を示す説明図である。 同上の動作説明図である。 本発明の実施形態8を示す要部断面図である。 同上の他の構成を示す要部断面図である。 本発明の実施形態9を示す要部断面図である。 同上に用いる支持基板を示す平面図である。 本発明の実施形態10を示す要部断面図である。 本発明の実施形態11を示す要部断面図である。 本発明の実施形態12を示す要部断面図である。 同上の他の構成を示す要部断面図である。 従来例を示す平面図である。
符号の説明
1 主基板
2 支持基板
10 フレーム
11 駆動質量体
12 検出質量体
13 駆動ばね
14 スリット溝
15 検出ばね
16 連結片
18 切抜孔
23 固定櫛歯片
24 可動櫛歯片
25 固定駆動電極
26 透孔
27 電極配線
38 応力緩和溝
39 グランド配線
41 間隔調整電極
42 容量調整電極
44 ストッパ(検出質量体保護突起)
45 ストッパ(駆動質量体保護突起)
48 貫通孔
49 加速度検出電極
53 (支持基板側)応力緩和凹部
54 (主基板側)応力緩和凹部
57 応力緩和ばね

Claims (27)

  1. 一端部が支持基板に対して位置固定された検出ばねを介して、支持基板に対して支持基板に沿った面内で一方向に変位可能に支持された検出質量体と、検出質量体とは駆動ばねを介して結合され支持基板に交差する方向に振動するように駆動される駆動質量体と、支持基板に沿った面内での検出質量体の変位量を検出する検出手段とを半導体基板からなる主基板に備え、駆動質量体と検出質量体とは駆動ばねを介して支持基板に沿った面内で検出質量体の変位方向と直交する方向に並設され、検出ばねは2本あって、それぞれ検出質量体から駆動質量体と検出質量体とが並ぶ一つの向きに延長されており、駆動質量体は両検出ばねの内側に配置され、検出質量体は検出ばねの他端部に連続することによって片持ちで支持されていることを特徴とするジャイロセンサ。
  2. 前記検出ばねは前記検出質量体の変位方向に可撓であって、両検出ばねの先端部間が検出質量体の変位方向に延長された剛性を有する連結片を介して連続一体に連結され、連結片の中間部が前記支持基板に固定されることを特徴とする請求項1記載のジャイロセンサ。
  3. 記駆動ばねは前記駆動質量体と前記検出質量体との間に配置されねじれ変形が可能なトーションばねであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のジャイロセンサ。
  4. 前記駆動質量体と前記支持基板との少なくとも一方は、前記駆動ばねから離れるほど互いの間隔を広くするように厚み寸法が変化していることを特徴とする請求項3記載のジャイロセンサ。
  5. 前記駆動質量体と前記支持基板との一方には、駆動質量体の最大振幅を規制する駆動質量体保護突起が突設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  6. 前記検出手段は、前記検出質量体に設けた切抜孔の内周面に突設した複数本の可動櫛歯片と、切抜孔の内側に配置され支持基板に固定された固定子の外周面に各可動櫛歯片とそれぞれ対向するように突設した複数本の固定櫛歯片とからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  7. 前記検出手段は、前記可動櫛歯片と前記固定櫛歯片との間の静電容量の変化によって前記検出質量体の変位量を検出しており、検出質量体に対して検出質量体の変位方向に対向して配置され、検出質量体との間に電圧が印加されて静電力を作用させることにより、可動櫛歯片と固定櫛歯片との間の静電容量を調整する容量調整電極を備えることを特徴とする請求項6記載のジャイロセンサ。
  8. 前記検出質量体および前記駆動質量体と前記検出ばねとの間は、主基板を厚み方向に貫通するスリット溝によって分離されており、スリット溝は同じ幅寸法に設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  9. 前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に固定駆動電極が配置され、前記検出ばねにおける支持基板への固定部と、固定駆動電極との間に振動電圧を印加することにより、駆動質量体と固定駆動電極との間に作用する静電力で駆動質量体を振動させることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  10. 前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に、前記検出質量体の変位方向の中間位置で2分割された一対の固定駆動電極が配置され、両固定駆動電極間に互いに逆極性でかつ絶対値が等しい振動電圧を印加することにより、駆動質量体と各固定駆動電極との間にそれぞれ作用する静電力で駆動質量体を振動させることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  11. 前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に、前記固定駆動電極に隣接して配置され、駆動質量体との間に電圧が印加されて静電力を作用させることにより、駆動質量体と固定駆動電極との間隔を調整する間隔調整電極を備えることを特徴とする請求項9または請求項10記載のジャイロセンサ。
  12. 前記支持基板における前記固定駆動電極の周囲に、接地電位に設定されたグランド配線が配置されていることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  13. 前記固定駆動電極は、前記支持基板において、前記駆動質量体における振幅が最大となる部位に対向する領域を避けて形成されていることを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  14. 前記支持基板は厚み方向に貫通する複数個の透孔を有し、透孔の内周面には導電性の金属薄膜からなり主基板を外部回路に接続する電極配線が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  15. 前記支持基板は厚み方向に貫通する複数個の透孔を有し、透孔内には透孔を埋めるように充填された導電性材料からなり主基板を外部回路に接続する電極配線が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  16. 前記支持基板において前記駆動質量体との対向面に固定駆動電極が配置され、前記主基板と支持基板とが接合された状態で、固定駆動電極と前記電極配線とは、共に主基板に当接することにより主基板を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項14または請求項15記載のジャイロセンサ。
  17. 前記支持基板は、前記主基板と接合された状態で主基板との間に前記固定駆動電極を挟む部位に、主基板との間隔を広げる支持基板側応力緩和凹部が凹設されていることを特徴とする請求項16記載のジャイロセンサ。
  18. 前記主基板は、前記支持基板と接合された状態で前記固定駆動電極に当接する部位に、支持基板との間隔を広げる主基板側応力緩和凹部が凹設されていることを特徴とする請求項16または請求項17記載のジャイロセンサ。
  19. 前記主基板において前記支持基板と接合された状態で前記固定駆動電極に当接する部位は、主基板における他の部位に対して応力緩和ばねを介して連結されていることを特徴とする請求項16ないし請求項18のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  20. 前記駆動質量体の厚み寸法は前記検出質量体の厚み寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項19のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  21. 前記駆動質量体は、振動方向に貫通された貫通孔を有することを特徴とする請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  22. 前記貫通孔は、前記検出質量体の変位方向に長い帯状に開口していることを特徴とする請求項21記載のジャイロセンサ。
  23. 前記貫通孔は、前記支持基板から離れるほど前記主基板の板面に沿う断面を狭くするテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項21または請求項22記載のジャイロセンサ。
  24. 前記支持基板において前記検出質量体との対向面に、検出質量体の変位方向に長い帯状に開口した応力緩和溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項23のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  25. 前記主基板は前記駆動質量体および前記検出質量体の周囲を囲む形で前記支持基板に固定されるフレームを備え、検出質量体とフレームとの一方には、検出質量体の最大変位量を規制する検出質量体保護突起が突設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項24のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  26. 前記主基板は、前記支持基板に沿った面内において前記検出質量体の変位方向に直交する方向に所定の間隔を有して前記駆動質量体に対向する加速度検出電極を有し、加速度検出電極は、駆動質量体とともに支持基板に沿った面内において検出質量体の変位方向に直交する方向の駆動質量体の変位量を検出する加速度検出手段を構成することを特徴とする請求項1ないし請求項25のいずれか1項に記載のジャイロセンサ。
  27. 請求項1ないし請求項26のいずれか1項に記載のジャイロセンサを2個備え、両ジャイロセンサの駆動質量体を互いに逆向きに振動させるように両ジャイロセンサを駆動するとともに、各ジャイロセンサのそれぞれの出力の差を出力する信号処理部を有することを特徴とするセンサ装置。
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