JP2007333641A - 慣性センサおよび慣性センサの製造方法 - Google Patents

慣性センサおよび慣性センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動のQ値を上げつつ、検出のQ値を上げるのを抑えて、駆動電圧、消費電力を抑えつつ、角速度印加時のオーバーシュートを防ぐことを可能とする。
【解決手段】第1基板100に設けられた支持部12に一端側が支持された弾性支持体13と、前記基板100から離間した状態で前記弾性支持体13の他端側に支持された振動子11と、前記振動子11の変位を検出して信号を出力する変位検出部14とを備えた慣性センサ1において、前記振動子11は前記振動子11の駆動方向と平行方向に溝および貫通孔15の一方もしくは両方が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、慣性センサおよび慣性センサの製造方法に関する。
従来技術として、シリコン(Si)などの材料を用い、半導体加工技術を使って加工された振動型ジャイロスコープが知られている。この種のジャイロスコープは慣性質量を一定方向に振動させ、角速度が入力された際に発生するコリオリ力による変位により、角速度の大きさを検出するものである。この角速度センサは、入力インターフェース、ビデオカメラやスチルカメラの手ブレ補正などに適用することができる。
このような角速度センサは一般的に、素子の周囲の空気の粘性抵抗により、振動動作を妨げられ、振動振幅が小さくなりセンサの感度を著しく落としてしまう。もしくは所望の振動振幅を得るために、駆動電圧を高くする必要があり、消費電力が大きくなったり、電圧変換回路のコストがかかったりする。
そのため、一般的にはセラミックパッケージなどを用いて減圧封止されることが多い。しかしながら、通常のセラミックパッケージなどによる減圧封止も、あまり真空度を上げすぎると、外部からパッケージ内部への気体のリークや、パッケージ内部で発生するガスなどの影響が大きく、センサ特性に重大な支障をきたす。また、真空度が高ければ高いほど堅牢な気密構造が必要となり、パッケージのコストアップの要因となる。
減圧せずに粘性抵抗の影響を軽減する技術(例えば、特許文献1参照。)としては、空気よりも有効粘性係数が小さいガスを封入する技術がある。しかしながら、この技術では、大気圧に限って言えばQ値は空気比で精々2倍程度であり、一般的に数百〜数千程度のQ値を必要とする振動型ジャイロにおいて効果は微々たるものである。
また、真空封止をすることで駆動側のQ値Qdを上げることができ、駆動電圧、それに伴う消費電力を下げることができるが、検出側のQ値Qsも同時に上がることを考えると、角速度印加時の過渡応答におけるオーバーシュートの発生により、安定状態までに要する時間が伸び、応答性、SNが低下する問題が同時に発生していた。
また、非線形特性を持つセンサを用いて駆動振幅を上げることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法を用いれば駆動側の電圧を下げ、同時に検出側の応答には影響を与えずに制御できる。しかしながら、この技術では、非線形振動を用いているために、機械的、電気的に衝撃が加わった時にジャンプ現象などで振幅が著しく低下する恐れがあり、安定性に欠ける。
特開2006-98168号公報 特開2000-18951号公報
解決しようとする問題点は、減圧封止では気密性の高める必要があり、堅牢な気密構造のパッケージが必要となり、パッケージコストが高くなる。また減圧せずに粘性抵抗の影響を軽減する技術として、空気よりも有効粘性係数が小さいガスを封入する技術では、十分に高いQ値を得ることができない。また真空度を高めて駆動Q値を上げると、角速度印加時の過渡応答におけるオーバーシュートの発生により、安定時間が伸び、応答性が低下する問題が発生する。さらに非線形特性を持つセンサを用いて駆動振幅を上げたのでは、機械的、電気的に衝撃が加わった時にジャンプ現象などで振幅が著しく低下する恐れがあり、安定性に欠けるという点である。
本発明は、駆動のQ値を上げつつ、検出のQ値を上げるのを抑えて、駆動電圧、消費電力を抑えつつ、角速度印加時のオーバーシュートを防ぐことを可能にすることを課題とする。
本発明の慣性センサは、基板に設けられた支持部に一端側が支持された弾性支持体と、前記基板から離間した状態で前記弾性支持体の他端側に支持された振動子と、前記振動子の変位を検出して信号を出力する変位検出部とを備えた慣性センサにおいて、前記振動子は前記振動子の駆動方向と平行方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方が形成されていることを特徴とする。
本発明の慣性センサでは、振動子の駆動方向と平行方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方が形成されていることから、構造的に駆動モード、検出モード等の各モードにおける粘性減衰係数の差を設けることができる。すなわち、慣性質量である振動子に対して、駆動モードと平行な方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方が形成されていることで、駆動のQ値を上げることができる。また、検出モードは基板面に平行なX軸、Y軸それぞれを中心とした回転方向であるために、溝や貫通孔が形成されていることによるQ値の恩恵を受けず、逆に溝や貫通孔の存在により、運動が阻害され検出のQ値は低下する。したがって、駆動電圧、消費電力を抑えつつ、角速度印加時のオーバーシュートを防ぐことができる。よって、駆動のQ値を上げつつ、検出のQ値を上げるのを抑えることができる。
本発明の慣性センサの製造方法は、基板に設けられた支持部に一端側が支持された弾性支持体と、前記基板から離間した状態で前記弾性支持体の他端側に支持された振動子と、前記振動子の変位を検出して信号を出力する変位検出部とを備えた慣性センサの製造方法において、前記振動子を形成する工程で、前記振動子の駆動方向と平行方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方を形成することを特徴とする。
本発明の慣性センサの製造方法では、振動子を形成する工程で、振動子の駆動方向と平行方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方を形成することから、構造的に駆動モード、検出モード等の各モードにおける粘性減衰係数の差を設けることができる。すなわち、慣性質量である振動子に対して、駆動モードと平行な方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方を形成することで、駆動のQ値を上げることができる。また、検出モードはX軸、Y軸それぞれを中心とした回転方向であるために、溝および貫通孔の一方もしくは両方を形成することによるQ値の恩恵を受けず、逆に溝や貫通孔の存在により、運動が阻害され検出のQ値は低下する。したがって、駆動電圧、消費電力を抑えつつ、角速度印加時のオーバーシュートを防ぐことができる。よって、駆動のQ値を上げつつ、検出のQ値を上げるのを抑えることができる。
本発明の慣性センサによれば、真空度を大気圧に近い状態にしてもQ値を高めることができるため、外部からパッケージ内部への気体のリークや、パッケージ内部で発生するガスなどの影響を防ぐことができるので、パッケージの気密構造を簡素化でき、パッケージコストの低減ができるという利点がある。また、真空度を高めてQ値を高めた構成と比較して、検出側のQ値の上昇を抑えることができるので、角速度印加時の減衰振動の安定時間を短くすることができ、慣性センサのSN比や応答性の向上を図ることができるという利点がある。
本発明の慣性センサの製造方法によれば、真空度を大気圧に近い状態にしてもQ値を高めることができるようになるため、外部からパッケージ内部への気体のリークや、パッケージ内部で発生するガスなどの影響を防ぐことができるので、パッケージの気密構造を簡素化でき、パッケージコストの低減ができるという利点がある。また、真空度を高めてQ値を高めるのと比較して、検出側のQ値の上昇を抑えることができるので、角速度印加時の減衰振動の安定時間を短くすることができ、慣性センサのSN比や応答性の向上を図ることができるという利点がある。
本発明の慣性センサに係わる一実施の形態(第1実施例)を、図1および図2によって説明する。図1および図2では、一例として、角速度センサを含む多軸複合センサからなる慣性センサを示す。図1の(1)は慣性センサを示す概略構成断面図であり、(2)は振動子および上部に配置された電極の構成例の概略を示す斜視図である。図2の(1)は振動子、弾性支持体および電極の位置関係を示す正面図であり、(2)は平面図である。
図1および図2に示すように、第1基板100に支持部12が形成されていて、この支持部12に弾性支持体13−1〜13−4の一端側が支持されている。各弾性支持体13−1〜13−4の他端側には、上記第1基板100および後に説明する第2基板200から離間した状態で振動子11が支持されている。また、この振動子11の変位を検出して信号を出力する変位検出部14が、例えば第2基板200の上記振動子11に対向する側に備えられている。ここでは、振動子11上方に設けた電極211−1〜211−4と振動子11との容量変化によって、振動子11の変位を検出する構成となっている。また、振動子11上方に設けた駆動用の電極212によって、振動子11が例えば3次元座標系における第3軸(例えばZ軸)方向に駆動されるようになっている。また、振動子11の下方の第1基板100には、例えば振動子11の駆動をモニタする電極111が形成されている。さらに上記振動子11には、この振動子11の駆動方向と平行方向に貫通孔15が形成されている。この貫通孔15を形成する代わりに、駆動方向に深さを有する溝を形成してもよく、また両方を形成してもよい。また、溝には、貫通させない孔も含むものとする。また、振動子11の側面に振動子11の駆動方向と平行な方向に溝(図示せず)を形成してもよい。
上記本発明の慣性センサ1は、3次元座標系における第1軸(例えばX軸)方向の加速度および第2軸(例えばY軸)周りの角速度を検出する際に、振動子11と、この振動子11を3次元座標系における第3軸(例えばZ軸)方向に加速度、角速度の必要応答性に対して充分に高い周波数で振動させる励振手段(駆動電極212)と、この変位を検出する変位検出部14(加速度、角速度検出用の電極211−1〜211−4)と、この変位検出部14で得た信号において、低周波成分と励振周波数周りの成分を分離する信号分離手段(図示せず)と、低周波成分において、第1軸(例えばX軸)方向の加速度を求める演算手段(図示せず)と、第2軸(例えばY軸)周りの角速度を求める角速度演算手段(図示せず)とを有することで、角速度と加速度の双方を検出できる。この慣性センサ1は、振動子の第3軸方向に貫通孔15を設け、駆動方向の粘性抵抗を低減し、検出方向の粘性抵抗を上げている。
以下に、上記慣性センサ1の動作原理を説明する。
最初に、角速度の検出方法について説明する。
振動子11と駆動電極212の間に、振動子11をその共振周波数で駆動するような交流電圧を前述した第3軸(例えば3次元座標系におけるZ軸)方向に印加し、振動子11と駆動電極212間に静電力を発生させて、振動子11を周期的に駆動させる。
ここで、第1軸(例えば3次元座標系におけるX軸)周りに角速度を印加すると、第2軸(例えば3次元座標系におけるY軸)方向にコリオリ力Fcoriolisが発生する。このコリオリ力Fcoriolisは下記式によって表される。
coriolis=2mvΩ
ここでmは振動子11の質量、vは駆動方向の振動速度、Ωは外部から印加される角速度である。
コリオリ力が第2軸(例えば3次元座標系におけるY軸)方向に発生すると、振動子11に力が印加され、第2軸方向に変位する。図3に示すように、振動子11は重心位置と弾性支持体13−1〜4の支持位置の高さが異なるために、コリオリ力によりモーメントが発生し、捻り方向(矢印ア、イ方向)に振動する。なお、駆動電極212による駆動方向はZ方向(矢印ウ)方向である。この捻り方向の変位を図4(1)に示すように、4つの電極211−1〜211−4の静電容量変化により検出する。
例えば図4(2)に示すように、4つの電極211−1〜211−4のうち、傾いて隙間が広がった側の2電極211−1、211−4は静電容量C1、C4が減少し、傾いて隙間が狭まった側の2電極211−2、211−3は静電容量C2、C3が増加する。広がった側同士で容量C1+C4の和を取り、狭まった同士で容量C2+C3の和を取った後に、それぞれの電極の容量の和同士の差分(C1+C4)−(C2+C3)を取ることにより、効率よく捻りによる変位、つまり角速度を検出することができる。
また、第2軸(例えば3次元座標系におけるY軸)周りに角速度を印加すると、第1軸(例えば3次元座標系におけるX軸)方向にコリオリ力が発生する。同様に4つの電極211−1〜211−4の静電容量変化により第2軸周りに発生する角速度を検出できるため、2軸分の角速度を検出可能である。
次に加速度の検出方法について示す。
振動子11の質量をmとし、この振動子11に所定方向の加速度αが作用すると、この加速度αと同じ方向にF=mαとなる力が作用する。また、力が加わった際の弾性支持体13の変位xはF=kxで表されるため、x∝αとなり、変位を検出することで加速度を知ることができる。
第1軸(例えば3次元座標系におけるX軸)周りに加速度が発生すると、角速度の場合と同様に、慣性力によるモーメントが発生し、捻り方向に変位が発生する。この捻り方向への変位を電極211−1〜211−4の静電容量変化として検出する。第1軸周りの加速度と、第2軸周りの角速度による変位の方向が同一であるが、一般的に加速度は精々200Hzまでを検出すればよく、角速度に関しては振動子11の振動周波数(一般的に数kHz〜数十kHz)近辺に現れるために、フィルタなどによって容易に分離可能である。
また、第2軸(例えば3次元座標系におけるY軸)周りの加速度に関しても同様である。
一般的に、慣性センサの検出側のQ値はある程度高く保つ必要があるが、メカニカルカップリングを用いた利得の値よりも大きければ問題ない。例えば図5に示した式と図6に示した利得と離調度(駆動周波数と検出周波数の比)との関係図に示すように、例えば利得を10倍得たい時は離調度を0.95もしくは1.05に設定する必要がある。このときに検出側のQ値を10よりも大きくしても利得はほとんど変わらず、仮に100や1000などの想定される利得よりも大きな値に検出のQ値を設定していた場合、図5に示した角速度ωが印加されたときの過渡項exp(−ωzt/2Q)の分母に検出側のQ値が含まれるために、Qが大きいと粘性減衰系の減衰比が小さいことになり、収束に時間がかかる。参考として、図7に、粘性減衰系のステップ応答を示す。
次に、図8(1)に、多軸の角速度と加速度を同時に検出できる慣性センサにおける駆動のモードの一例を示し、図8(2)、(3)に、この慣性センサにおける検出のモードの一例を示す。
本発明の慣性センサ1は、駆動のQ値だけを大きく上げて、検出のQ値をそれほど変化させないという構造的な工夫をしたものである。すなわち、慣性質量(振動子11)に対して、駆動モードと平行な方向に溝もしくは貫通孔15〔前記図1(1)参照〕を形成することで、駆動のQ値を上げることができる。また、検出モードはX軸、Y軸それぞれを中心とした回転方向であるために、溝もしくは貫通孔15によるQ値の恩恵を受けず、逆に溝もしくは貫通孔15の存在により、運動が阻害され検出のQ値は低下する。したがって、駆動電圧、消費電力を抑えつつ、角速度印加時のオーバーシュートを防ぐことができる。よって、駆動のQ値を上げつつ、検出のQ値を上げるのを抑えることができる。
上記慣性センサ1は、半導体プロセスにより形成された後、セラミックパッケージなどを用いて大気圧よりも低い雰囲気に減圧封止される。慣性センサ1のような数kHz〜数十kHzの共振を用いる場合、内部損失などの構造減衰よりも、雰囲気による減衰のほうが遥かに大きいことが知られている。このため、減圧封止することで、駆動、検出のQ値を向上させることが可能である。このとき、例えば1Pa以下の高真空にすると、脱ガスの処理やパッケージの堅牢性の確保などが必要となり、製造プロセスの負荷が大きくなり、また製造コストもかかる。一方、100Pa〜程度の真空度であれば、熱処理などによる脱ガスの影響をほとんど無視でき、パッケージも簡素化できる。
真空度を上げないと、駆動のQ値が上がらずに、駆動電圧が上がってしまう問題があるが、振動子に駆動方向とほぼ同一方向となる溝または貫通孔15〔前記図1(1)参照〕を形成している本発明の慣性センサ1は、空気の粘性抵抗の影響を小さくし、駆動のQ値を上げることができる。ここで、振動子11に貫通孔15を設けず平面のまま駆動した場合と、振動子11に駆動方向と平行な方向に貫通孔15を形成した場合とにおけるシミュレーション結果を図9に示す。図9では、縦軸に粘性減衰係数を示し、横軸に周波数を示す。
このシミュレーション結果は、図10に示すように、振動子11とその上部に配置した電極13との間隔を3μmとしてときのシミュレーションである。なお、貫通孔15は、製造プロセスの利便性を考慮して、貫通孔ではなく、22μmの深さの孔とした。また孔間のライン部の幅wは、10μmの場合と100μmの場合とした。また、比較例として孔を設けない場合を示した。
図9に示すように、孔を設けない場合と孔を設けた場合とを比較すると、孔を設けた場合の方が、粘性減衰係数が3分の1程度に低減されるので、Q値は3倍程度、高くなる。また、ライン部の幅を10μmとした方が100μmの場合よりも粘性減衰係数が低減される。すなわち、この孔を多く設けることにより、粘性減衰係数の低減効果が大きくなり、Q値が大きくなることがわかる。また、この効果は孔を貫通孔にすることで数倍〜数十倍の効果が得られる。
ここでは、具体的に駆動の定常項と、オーバーシュートなどの要因となる過渡項の割合を検証する。前記図5に示した過渡項と定常項の比は、位相情報を無視すれば、exp(−ωs・t/(2・Qs))となる。この割合が大きければ、その時間でのオーバーシュートの割合が印加角速度の大きさに対して大きいことになる。一般的な角速度センサの応答性は100Hz程度が多いため、0.01秒における応答を考えると、exp(-ωs/(200・Qs))となる。振幅の割合が定常項に対して10%以下であれば影響が少ないと考えれば、exp(−ωs/(200・Qs))<0.1が条件となる。具体的には検出周波数ωsが2kHzであれば、Qsの上限は27となり、検出周波数が10kHzであれば、Qsの上限は143となる。
次に、本発明の慣性センサの製造方法に係わる一実施の形態(製造方法の第1実施例)を、図11〜図15によって説明する。図11〜図15では、一例として、前記第1実施例で説明した角速度センサを含む多軸複合センサからなる慣性センサ1の製造工程を示す。
図11(1)に示すように、第1層31、第2層32、第3層33が順に積層された三層構造を持つ基板30を用いる。このような基板30としては、SOI基板がある。ここでは、下層の第1層31にシリコン層、第2層32に絶縁層、上層の第3層33にシリコン層を形成したものを用いた。上記絶縁層には酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁体を用いることができる。ここで、両側の第1、第2層31、32には導電性を持たせている。例えばn型不純物もしくはp型不純物をドーピングすることにより導電性を持たせている。また、上層の第3層33のほうが、下層の第1層31よりも薄く形成されている。これは上層のシリコン層で弾性支持体を形成するためで、所定の厚さになったときに可撓性を持たせるために薄く形成されている。下層の第1層31は質量部(振動子)を形成するために厚く形成されている。
上記基板(SOI基板)30を加工することで多軸センサを作製する。まず、図11(2)に示すように、基板30の下面を、反応性イオンエッチングなどを用いて第1層31を除去加工して所定ブロックに分割する。この工程で、駆動方向つまり第三の軸に平行に貫通孔15を形成する。このエッチング工程では酸化シリコン層とシリコン層の間に充分なエッチング選択比があるために、第2層(酸化シリコン層)32をエッチングストッパとして用いることができる。
次に、図11(3)に示すように、第2層(酸化シリコン層)32に対してエッチングを行い、酸化シリコン層を除去する。このときは上部の第3層(シリコン層)33がエッチングストッパとして機能する。
次に、図12(1)に示すように、下部基板となる第1基板100を用意する。この第1基板100には、溝110が形成され、この溝110に電極111が形成されている。
次に、図12(2)に示すように、上記第1基板100を基板30の第1層31の下面に接合する。この接合には例えば陽極接合を用いる。シリコン・シリコン酸化膜接合、シリコン・シリコン接合、金属・金属接合などの手法を用いてもよい。
続いて、上部の第3層33の上面から弾性支持体、質量部となる振動子の一部を覆うマスクを用いて第3層33を選択的にエッチングする。この際に、駆動方向つまり第三の軸に平行に孔(図示せず)を形成する。その結果、図13(1)の平面図および(2)の概略構成断面図に示すような、振動子11とこの振動子11を支持する弾性支持体13とこの弾性支持体13を支持する支持部12が第1基板100上に形成され、振動子11に複数の貫通孔15が形成された構造体が得られる。
次に、図14に示すような、第2基板200を用意し、その下面側に配線用の溝210を加工する。この加工には、通常のシリコンエッチングなどの方法を用いることができる。さらに溝210内に電極(検出電極)211および電極(駆動電極)212を形成する。
次に、図15に示すように、上記第2基板200を陽極接合などの接合方法を用いて、上記振動子11、弾性支持体13等を構成した上記基板30に接合する。ここで、第2基板200には複数の錘状貫通孔(図示せず)が形成されており、下部のシリコン導電層を観察可能である。ここで第2基板200の上面に金などの金属を蒸着することで、錘状貫通孔の壁面に金属層を堆積させることで各配線用端子を形成し、不要な金属膜をエッチングなどで除去すれば、図示したような慣性センサ1が得られる。その後、上記慣性センサ1は図示はしないが、パッケージに実装される。
上記慣性センサ1の製造方法によれば、真空度を大気圧に近い状態にしてもQ値を高めることができるようになるため、外部からパッケージ内部への気体のリークや、パッケージ内部で発生するガスなどの影響を防ぐことができるので、パッケージの気密構造を簡素化でき、パッケージコストの低減ができるという利点がある。また、真空度を高めてQ値を高めるのと比較して、検出側のQ値の上昇を抑えることができるので、角速度印加時の減衰振動の安定時間を短くすることができ、慣性センサのSN比や応答性の向上を図ることができるという利点がある。
次に、本発明の慣性センサに係わる一実施の形態(第2実施例)を、図16および図17によって説明する。図16および図17では、一例として、単軸の角速度センサからなる慣性センサを示す。図16は慣性センサを示す平面レイアウト図であり、図17は上記図16に示したA−A’線における概略構成断面図である。
図16および図17に示すように、慣性センサ2は、第1振動子301−1と第2振動子301−2を並行に備えている。例えば、第1振動子301−1を駆動側振動子とし、第2振動子301−2を励振側振動子とする。この第1振動子301−1、第2振動子301−2はともに矩形の薄膜からなり、一例としてシリコンで形成されている。そして、上記第1振動子301−1の上面と第2振動子301−2の上面には、駆動方向と平行な方向に溝350−1、350−2が形成されている。この溝350−1、350−2は、第1、第2振動子301−1、2の下面側に形成してもよく、また、両面に形成してもよい。また、振動子に溝を形成できる厚みがある場合には、側面に形成してもよい。
上記第1振動子301−1と第2振動子301−2とは、互いに向かい合う側の角部が弾性支持体302−5、302−6とによって接続され、第1振動子301−1の第2振動子301−2とは反対側の角部分には弾性支持体302−1、302−2の一端側によって支持されている。また弾性支持体302−1、302−2の他端側は、それぞれ支持部303−1、303−2に支持固定されている。また、第2振動子301−2の第1振動子301−1とは反対側の角部分には弾性支持体302−3、302−4の一端側によって支持されている。また弾性支持体302−3、302−4の他端側は、それぞれ支持部303−3、303−4に支持固定されている。上記弾性支持体302−1〜6は、それぞれが例えば板バネで構成され、例えばシリコンからなり、例えばU字形に形成されている。上記支持部303−1、303−2、303−3、103−4は、それぞれ第1基板300(基板10に相当)上に形成されている。したがって、第1振動子301−1および第2振動子301−2は弾性支持体302−1、302−2、302−3、302−4によってのみ支持されていて、第1基板300に対して完全に浮動状態に配置されている。
上記支持部302−1から弾性支持体302−1、第1振動子301−1、弾性支持体302−2を通り支持部303−2に至るものでこの第1振動子301−1を電磁駆動させるための電極308−1が絶縁膜307を介して配設されている。同様に、上記支持部302−3から弾性支持体302−3、第1振動子301−2、弾性支持体302−4を通り支持部303−4に至るものでこの第2振動子301−2の励振を検出するための電極308−2が絶縁膜307を介して配設されている。
上記振動子301が形成されている側とは反対側の上記第1基板300の裏面には磁石500が設けられている。
上記第1基板300上には、フレーム部321を介して第2基板400が形成されている。この第2基板400は、例えばガラス基板で形成されている。この第2基板400の上記第1基板300と対向する面の上記第1振動子301−1に形成された電極308−1に対向する位置には、検出電極320−1が形成され、第2振動子301−2に形成された電極308−2に対向する位置には、検出電極320−2が形成されている。
さらに、上記第2基板400には、上記支持部303−1、303−2上の電極308−1に接続するもので、電極308−1を外部に引き出すための引き出し電極324−1、324−2(図示せず)がコンタクト部325−1、325−2を介して形成され、上記支持部303−3、303−4上の電極308−2に接続するもので、電極308−2を外部に引き出すための引き出し電極324−3、324−4(図示せず)がコンタクト部325−3、325−4を介して形成されている。
上記慣性センサ2は、第1基板300の下部に配置された磁石500により電磁的に駆動される。上記第1実施例では、磁石500を第1基板300の下部に設置したが、第1基板300を掘り込んで、その内部に磁石500を設置する、または第2基板400の上部に設置することも可能である。また、第1基板300および第2基板400の両方に磁石500を設置することも可能である。いずれの構成も磁束密度の多少による出力の違いはあるが、動作として同様の結果が得られる。電磁駆動用の電極として、振動子301上の電極308に電流を流す。
以下に、上記慣性センサ2の動作原理を説明する。
駆動側の振動子(第1振動子301−1)上の電極308−1に対してある周期を持った交流電流が流れる。電流は周期性を持っているので、別の時点では、流れる方向が逆になることもある。電極に電流が流れると、第1基板300の下部に配された磁石300からの磁界により、ローレンツ力がX方向に発生する。
ローレンツ力Florentzは、電極に流れる電流をI、磁束密度をB、電極配線の長さをLとすると、Florentz=IBLなる式で表され、配線に直交する方向にその力が誘起される。このローレンツ力は印加される電流と同じ周期性をもって振動子に印加され、駆動側の第1振動子301−1は、弾性支持体302−1、302−2に接続されている支持部303−1、303−2を固定点とし、周期的に運動を繰り返す。
振動モード周波数を適切に選択することにより、もう一方の第2振動子301−2は弾性支持体302−3、302−4に接続されている支持部303−3、303−4を固定点とし、ある位相ずれを持ちながら運動を繰り返す。その際、外部からY軸まわりに角速度が与えられると、振動方向に直交した方向にコリオリ力が発生する。コリオリ力Florentzは、振動子の質量をm、駆動方向の振動速度をv、外部から印加される角速度をΩとすると、Florentz=2mvΩなる式で表される。
コリオリ力で発生した変位を大きく取るためには、駆動変位xmを大きく取る必要がある。また電磁駆動の場合、静電駆動で必要な櫛歯電極を必要としないため、大きな変位を取ることが可能となる。
コリオリ力が発生すると振動子301がZ軸方向に振動する。その際、第1、第2振動子301−1,301−2の上部にそれぞれ検出電極320−1、320−2が配置されていることで電極間に容量の変化が現れる。ここで、電圧印加の周波数はコントロールされており、第1、第2振動子301−1,301−2は逆位相でX方向に駆動している。このため、Z方向に対しては、一方の振動子(例えば第1振動子301−1)は検出電極320−1に近づく方向に変位し、もう一方の振動子(例えば第2振動子301−2)は検出電極320−2に遠ざかる方向に振動子が変位する。その容量差分を検出することで、印加される角速度を算出する。すなわち、上記第1角速度センサ1は、X軸に駆動し、Y軸周りの角速度をZ軸方向の容量変化として検出する。なお、第1、第2振動子301−1,301−2は逆位相で振動するので、上記の逆の場合もある。
角速度が印加されたときにはそれぞれの検出電極320と振動子301間に発生する容量変化量が異なるが、加速度が印加された際には、理想的には発生する容量変化量は異ならないため、差分を取っても容量差が生じない。よって、加速度成分を除去できる構造となっている。
上記加速度成分を除去できることについて説明する。初期容量をCとして、検出電極320−1と第1振動子301−1との間に生じる容量をC1、検出電極320−2と第2振動子301−2との間に生じる容量をC2として、定常状態では、C1=C2=Cとなるので、容量差分C1−C2=0となり、容量差は生じていない。
次に、角速度が印加された場合には、C1>C、C2<C(もしくは駆動方向によってはC1<C、C2>C)となるので、容量差分|C1−C2|>0となり、容量差が生じる。
次に、加速度が印加された場合には、C1>C、C2>C(もしくは加速度の印加方向によってはC1<C、C2<C)となり、かつC1=C2であるので、容量差分|C1−C2|=0となり、容量差が生じない。したがって、加速度成分は除去されることになる。
また、容量変化を読み取る際、第2基板400側の電極320と振動子301間に搬送波(+Vsinωt、−Vsinωt)を乗せ、容量変化(C1−C2)により発生した電荷を増幅器により増幅することにより実際の信号を取り出す。搬送波(+Vsinωt、−Vsinωt)は搬送波同期検波により除去され、また駆動波に関しては、駆動同期検波によって、駆動信号そのもの、もしくは誘導起電圧などの駆動モニタ手段の周期成分で検波することにより、角速度に対応した直流信号を取り出す。
上記慣性センサ2は、半導体プロセスにより形成された後、セラミックパッケージなどを用いて大気圧よりも低い雰囲気に減圧封止される。慣性センサ2のような数kHz〜数十kHzの共振を用いる場合、内部損失などの構造減衰よりも、雰囲気による減衰のほうが遥かに大きいことが知られている。このため、減圧封止することで、駆動、検出のQ値を向上させることが可能である。このとき、例えば1Pa以下の高真空にすると、脱ガスの処理やパッケージの堅牢性の確保などが必要となり、製造プロセスの負荷が大きくなり、また製造コストもかかる。一方、100Pa〜程度の真空度であれば、熱処理などによる脱ガスの影響をほとんど無視でき、パッケージも簡素化できる。
真空度を上げないと、駆動のQ値が上がらずに、駆動電圧が上がってしまう問題があるが、本発明の慣性センサ1では、振動子301に駆動方向と平行な方向となる溝350を形成していることから、構造的に駆動モード、検出モード等の各モードにおける粘性減衰係数の差を設けることができる。すなわち、慣性質量である振動子に対して、駆動モードと平行な方向に溝350が形成されていることで、空気の粘性抵抗の影響を小さくし、駆動のQ値を上げることができる。また、検出モードは基板面に平行なX軸、Y軸それぞれを中心とした回転方向であるために、溝350が形成されていることによるQ値の恩恵を受けず、逆に溝350の存在により、運動が阻害され検出のQ値は低下する。したがって、駆動電圧、消費電力を抑えつつ、角速度印加時のオーバーシュートを防ぐことができる。よって、駆動のQ値を上げつつ、検出のQ値を上げるのを抑えることができる。
次に、本発明の慣性センサの製造方法に係わる一実施の形態(製造方法の第2実施例)を、図18〜図24によって説明する。図18〜図24では、一例として、前記第2実施例で説明した慣性センサ2の製造工程を示す。図18〜図24は前記図16のA−A’線にそって表記している。
図18(1)に示すように、振動子、弾性支持体等を形成するための基板300を用意する。この基板300は、シリコン層331とシリコン層333との間に酸化シリコン層332を挟み込んだSOI(Silicon on Insulator)基板を用いる。また、基板300の下面に、次ぎの工程でアライメントマークを形成する際のマスクとなるマスク層341を形成する。
まず、図18(2)に示すように、上記マスク層341をエッチングマスクに用いて、シリコン層331に、後に説明する第1、第2基板とのアライメントを行うためのアライメントマークおよびダイシングライン334を形成する。これは、後に説明する第1基板と第2基板との陽極接合時のアライメントおよび慣性センサ2を切り出す際のマークとなるものである。
次に、図18(3)に示すように、上部のシリコン層333を所望の膜厚となるよう基板全面にエッチングを施す。エッチング方法はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)や水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いたウエットエッチでよく、または化学的、物理的ドライエッチでも良い。また、所望の膜厚が予めわかっているならば、そのようなSOI基板を用意しても良い。
次に、図19(4)に示すように、陽極接合のフレーム形成のため、シリコン層333のエッチングを行い、凹部335を形成する。エッチング方法はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)や水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いたウエットエッチや化学的、物理的ドライエッチでも良い。このエッチングにおいて、振動子の膜厚および弾性支持体の膜厚が決定される。
次に、図19(5)に示すように、振動子を形成する領域上の一部および弾性支持体を形成する領域上に絶縁層307を形成する。絶縁層307は、次に形成する電極とシリコン層333との絶縁性を保持できるものであれば何でも良い酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)など後で形成する。
次に、図19(6)に示すように、絶縁層307上にローレンツ印加のための配線308−1および誘導起電力検出のための配線308−2を形成する。配線材料は電子ビーム蒸着により形成した。本実施例においては、リフトオフ法により配線を形成したが、配線のエッチングをウェットエッチングやドライエッチングによって行っても良い。また本実施例においては、配線材料として、金、白金、クロムの3層金属材料を用いたが、金、白金、チタンの3層金属材料、金、クロムや白金、クロムまたは、金、チタンや白金、チタンなどの2層金属材料や、チタンの代わりに、窒化チタンとチタンとの積層材料を用いても良い。また、クロムやチタンの代わりに銅を用いても良い。また形成方法はスパッタ法やCVD法を用いても良い。
次に図20(7)に示すように、エッチング技術として、例えば反応性イオンエッチングを用いてシリコン層333を加工して、振動子301、弾性支持体302、陽極接合のためのフレーム部321を形成する。
次に、図21(8)に示すように、例えば反応性イオンエッチングによって、振動子301の上面に、駆動方向に平行な溝350を形成する。この溝350の形成工程は、振動子301に駆動方向と平行な方向に、溝350が形成できる工程であれば、どの工程で行っても構わない。この溝350が駆動方向に平行であるため、対向面積が減少し、駆動方向のQ値を上げることができる。
上記溝350は、一例として、図21(9)の振動子の3面図に示すように、振動子301の駆動方向に平行な方向に、例えば複数本の溝350を形成する。
最後に、図20(10)に示すように、不必要な部分、例えば振動子301や弾性支持体(図示せず)の下部の絶縁層332部をエッチングにより除去する。その際、支持部303となるシリコン層333下部の絶縁層332およびフレーム321となるシリコン層333の下部の絶縁層332は一部残して、シリコン層331と接続させる。ほかの部分は中空構造となる。これにより溝350が形成された振動子301、弾性支持体(図示せず)、支持部303等が形成される。
次に第2基板側の作製方法を以下に説明する。
図22(1)に示すように、第2基板400には例えばガラス基板を用い、この第2基板400に電極320を電子ビーム蒸着により形成する。配線電極320として、金、白金、クロムの三層金属材料を用いたが、金、白金、チタンの三層金属材料、金、クロムや白金、クロムまたは、金、チタンや白金、チタンなどの二層金属材料や、チタンの代わりに、窒化チタンとチタンとの積層材料を用いても良い。また、クロムやチタンの代わりに銅を用いても良い。また形成方法はスパッタ法やCVD法を用いても良い。
次に図22(2)に示すように、コンタクト部325を、例えば無電解めっき法により金の支柱で形成する。この金の支柱は陽極接合後の第1基板300側のパッドとのコンタクトをとるために形成する。本実施例においては、金の支柱は直下に配置される配線パッド上およびシリコンに直接接続させる配線パッドに対してパッド毎に複数本形成する。これにより、陽極接合時に支柱がバネ状に屈曲し、適度なテンションをもって第1基板300側と接続することができる。スプリングコンタクトや、金バンプを用いる接続方法もあるが、本方法の場合、ガラス基板に過度な応力をかけることも無く、また、作成方法もきわめて簡単である。本実施例においては無電解めっき法を用いたが電解めっき法でも形成できる。
次に、図22(3)に示すように、検出電極320−1、検出電極320−2、引き出し電極324等をエッチングによって形成する。
上記工程において、電極(駆動電極)308−1および電極(検出電極)308−2〔前記図20参照〕のガラス側への引き出しのコンタクト部325−1、325−2、およびシリコン層333〔前記図20参照〕に直接接続するコンタクト(図示せず)を形成し、さらにフレーム321〔前記図20参照〕に接続するための引き出し電極(図示せず)を形成する。
次に第1基板300と第2基板400との組立方法を説明する。
図23(1)に示すように、陽極接合法により第2基板400とフレーム321を接合させる。その際、ローレンツ力を発生させる電極308−1のパッド部(支持部303−1上に形成されている部分)および電磁駆動で振動子301が動作したときに発生する誘導起電力を検出する電極308−2のパッド部(支持部303−3上に形成されている)をコンタクト部125−1、コンタクト部125−2を接続させる。同様に、シリコン層33〔前記図20参照〕に直接接続するための電極パッド(図示せず)にコンタクト部(図示せず)を接続させる。
次に、図23(2)に示すように、第1基板300および第2基板400を、例えばダイシングにより切断し、個別チップを形成する。
最後に、図24(3)に示すように、第1基板300側下部に磁石500を形成し、角速度検出の慣性センサ2が作製される。その後、図示はしないが、上記慣性センサ2はパッケージに実装される。
上記慣性センサ2の製造方法によれば、真空度を大気圧に近い状態にしてもQ値を高めることができるようになるため、外部からパッケージ内部への気体のリークや、パッケージ内部で発生するガスなどの影響を防ぐことができるので、パッケージの気密構造を簡素化でき、パッケージコストの低減ができるという利点がある。また、真空度を高めてQ値を高めるのと比較して、検出側のQ値の上昇を抑えることができるので、角速度印加時の減衰振動の安定時間を短くすることができ、慣性センサのSN比や応答性の向上を図ることができるという利点がある。
本発明の慣性センサに係る一実施の形態(第1実施例)を示した図面である。 本発明の慣性センサに係る一実施の形態(第1実施例)を示した図面である。 第1実施例の慣性センサの振動モードを説明する斜視模式図である。 第1実施例の慣性センサの静電変化容量検出を説明する模式図である。 第1実施例の振動の厳密解を説明する数式図である。 利得と離調度との関係図である。 粘性減衰系のステップ応答を示す図である。 第1実施例の慣性センサの検出モードを説明する斜視模式図である。 図である。 粘性減衰係数と振動周波数の関係を求めたシミュレーション結果を示す図である。 シミュレーション条件を示す図面である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサに係る一実施の形態(第2実施例)を示した平面レイアウト図である。 本発明の慣性センサに係る一実施の形態(第2実施例)を示した概略構成断面図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程図である。 本発明の慣性センサの製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程図である。
符号の説明
1…慣性センサ、11…振動子、12…支持部、13…弾性支持体、14…変位検出部、15…貫通孔、100…基板

Claims (4)

  1. 基板に設けられた支持部に一端側が支持された弾性支持体と、
    前記基板から離間した状態で前記弾性支持体の他端側に支持された振動子と、
    前記振動子の変位を検出して信号を出力する変位検出部とを備えた慣性センサにおいて、
    前記振動子は前記振動子の駆動方向と平行方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方が形成されている
    ことを特徴とする慣性センサ。
  2. 駆動モードのQ値がQ値>100なる関係を満たし、
    かつ、検出モードのQ値のQsと、検出モードの各周波数ωsがexp(−ωs/200Qs)<0.1ある関係を満たす
    ことを特徴とする請求項1記載の慣性センサ。
  3. 前記振動子の駆動雰囲気が前記慣性センサの使用環境の雰囲気よりも減圧された雰囲気に封止されている
    ことを特徴とする請求項1記載の慣性センサ。
  4. 基板に設けられた支持部に一端側が支持された弾性支持体と、
    前記基板から離間した状態で前記弾性支持体の他端側に支持された振動子と、
    前記振動子の変位を検出して信号を出力する変位検出部とを備えた慣性センサの製造方法において、
    前記振動子を形成する工程で、前記振動子の駆動方向と平行方向に溝および貫通孔の一方もしくは両方を形成する
    ことを特徴とする慣性センサの製造方法。
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