JP2008058169A - 加速度・角速度センサ - Google Patents

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寿尚 鮫島
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Abstract

【課題】加速度及び角速度の検出範囲を広げることができると共に、歩留まりの向上を図ることができる加速度・角速度センサを提供する。
【解決手段】物体の運動に応じて変位する変位部と、この変位部と間隔をあけて対向する電極基板とを備え、前記変位部を前記電極基板面と垂直な方向に振動変位させた状態で、前記変位部と前記電極基板に設けた電極との間に形成される静電容量の変化に基づいて、前記物体の加速度及び角速度を検出する加速度・角速度センサにおいて、前記電極基板に、電圧を印加することにより前記変位部を変位させる複数の変位印加電極を設けると共に、前記複数の変位印加電極の少なくとも一つに変位電圧を印加する変位電圧印加部を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、加速度検出機能と角速度検出機能とを有する加速度・角速度センサに関するものである。
従来、物体に取り付けて、その物体が加速度運動及び角速度運動をした際に生じる加速度及び角速度を検出可能な加速度・角速度センサが知られている。
この加速度・角速度センサでは、三次元空間に定義したX軸、Y軸、Z軸における各軸方向毎に、それぞれ個別の加速度を検出すると共に、各軸毎に、各軸を回転軸とする角速度をそれぞれ個別に検出することによって、三次元空間において運動する物体の加速度及び角速度を検出していた。
この物体の加速度と角速度とを検出可能な加速度・角速度センサとして、物体の加速度運動及び角速度運動に伴って変位する振動子を用いたセンサがある。
この加速度・角速度センサでは、三次元空間において互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義した場合に、Z軸方向に所定の周期で振動子を振動させている状態において、物体がX軸又はY軸を回転軸とした角速度運動をした際、その物体の運動方向と直行する向きに作用するコリオリ力を検出することによって、Y軸あるいはX軸を中心軸とする角速度及びX軸方向あるいはY軸方向の角速度を求めていた。
すなわち、この加速度・角速度センサでは、たとえば、この加速度・角速度センサの振動子をZ軸方向に所定の周期で振動させている状態において、この加速度・角速度センサを取り付けた物体がX軸を回転軸とした角速度運動を行った場合に、振動子にY軸方向へ向かうコリオリ力が作用するという物理現象を利用し、このコリオリ力の大きさに応じた振動子の変位量を検出することによって、物体に作用するX軸を回転軸とした角速度の大きさを検出するようにしていた。
このような振動子を備えた加速度・角速度センサとして、図9に示すような加速度・角速度センサが知られている。
図9に示すように、この加速度・角速度センサA1は、この加速度・角速度センサA1を取り付けた物体の加速度運動又は角速度運動により生じる慣性力によって変位する変位部103を備えたセンサ本体B1と、このセンサ本体B1が備える変位部103の変位量に基づいて、この加速度・角速度センサA1を取り付けた物体の加速度に応じた加速度信号S2a及び角速度に応じた角速度信号S3aを生成する信号変換回路C1とを備えている。
なお、以下の説明では、加速度・角速度センサA1が備える変位部103の三次元空間における変位方向を説明するために、変位部103の上面における中央の点を原点として、図9に点線で示す各方向を、それぞれ三次元空間座標におけるX軸、Y軸、Z軸と定義する。
この加速度・角速度センサA1が備えるセンサ本体B1は、図示しない筐体内に、互いに平行に所定間隔を空けて固定された上部基板101と下部基板102と、これら上部基板101と下部基板102との間に、上部基板101及び下部基板102と接触することなく変位可能に配設され上記振動子として機能する矩形箱形状の変位部103とを備えている。
このセンサ本体B1が備える変位部103は、その四側面の各上面側中央位置と、この変位部103を収納する図示しない筐体の内壁との間が、弾性を有する四本の支持体D1により連結されており、上部基板101と下部基板102との間でZ軸方向の振動変位と、X軸又はY軸を回転軸とした傾き変位とができるように構成されている。
また、上部基板101は、その略中央位置に配設された振動印加電極104と、上部基板101において振動印加電極104を除く領域をZ軸方向から見てX軸とY軸とによって4分割した変位検出電極108a、108b、108c、108dとを備えている。
また、下部基板102は、上部基板101と同様に、下部基板102をZ軸方向から見てX軸とY軸とによって4分割した変位検出電極109a、109b、109c、109dを備えている。
なお、この加速度・角速度センサA1において、上部基板101に設けた変位検出電極108a、108b、108c、108dを用いた物体の加速度及び角速度の検出と、下部基板102に設けた変位検出電極109a、109b、109c、109dを用いた物体の加速度及び角速度の検出は、同様の方法によって行うため、ここでは、上部基板101に設けた変位検出電極108a、108b、108c、108dを用いた物体の加速度及び角速度の検出について説明する。
振動印加電極104は、所定周期で電圧値が変化する振動電圧が印加されることにより、変位部103をZ軸方向に振動変位させるものである。
また、上部基板101に設けた各変位検出電極108a、108b、108c、108dには、それぞれ等しい所定の電流が供給されており、これら各変位検出電極108a、108b、108c、108dと変位部103とによって、四つのコンデンサが形成されるようになっている。
このように構成したセンサ本体B1では、変位部103をZ軸方向に所定周期で振動変位させている状態において、この加速度・角速度センサA1を取り付けた物体が加速度運動又は角速度運動すると、そのときに生じる一種の慣性力(コリオリ力)によって変位部103が変位する。
このように変位部103が変位すると、各変位検出電極108a、108b、108c、108dと変位部103とにより形成された各コンデンサの静電容量が変化することになり、各変位検出電極108a、108b、108c、108dに蓄積される電荷量が変化することとなる。
すなわち、この加速度・角速度センサA1では、変位部103をZ軸方向に振動変位させている状態において、これら各変位検出電極108a、108b、108c、108dに蓄積される電荷量の変化を検出することにより、物体の運動に伴う変位部103の変位量を検出し、この変位量から物体の加速度及び角速度を検出するように構成している。
一方、信号変換回路C1は、振動電圧印加部105と、静電容量変換部110と、傾き信号生成部117と、加速度信号生成部111と、角速度信号生成部113とを備えている。
振動電圧印加部105は、振動印加電極104に所定周期で電圧値が変化する振動電圧を印加することによって、変位部103をZ軸方向に所定周期で振動変位させるものである。
静電容量変換部110は、各変位検出電極108a、108b、108c、108dに蓄積されている電荷量の変化に基づいて、各変位検出電極108a、108b、108c、108dと変位部103とにより形成された各コンデンサの静電容量の変化を検出し、その変化を電圧値の変化に変換した信号を出力するものである。
傾き信号生成部117は、静電容量変換部110から出力される信号に基づいて、変位部103の変位(傾き)を検出し、その変位を示す傾き信号を生成して出力するものである。
すなわち、傾き信号生成部117は、各変位検出電極108a、108b、108c、108dと変位部103とにより形成される各コンデンサの静電容量を、それぞれC108a、C108b、C108c、C108dとした場合に、(C108a+C108b)−(C108c+C108d)の演算を行うことによってX軸を回転軸とする変位部103の傾きを検出すると共に、(C108a+C108d)−(C108b+C108c)の演算を行うことによりY軸を回転軸とする変位部103の傾きを検出し、その検出結果に応じた信号を出力する。
加速度信号生成部111は、変位部103の振動周波数成分を遮断するカットオフ周波数のローパスフィルタを備えており、傾き信号生成部117の出力信号をこのローパスフィルタに通すことにより、各軸方向毎の物体の加速度を示す加速度信号S2aを生成する。
また、角速度信号生成部113は、変位部103の振動周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタを備えており、傾き信号生成部117の出力信号をこのバンドパスフィルタに通すことにより、変位部103が振動する一周期中における変位部103のX軸及びY軸を回転軸とした傾きの変位の変化量を検出して、各軸(X軸とY軸)毎に、各軸を回転軸とした物体の角速度を示す角速度信号S3aを生成する。
このように、従来の加速度・角速度センサA1では、各変位検出電極108a、108b、108c、108dと変位部103とにより形成された各コンデンサの静電容量の変化に基づいて、物体の加速度及び角速度を検出していた(たとえば、特許文献1参照。)。
特許3401252号公報
ところが、上記従来の加速度・角速度センサA1では、製造工程において発生する変位部103や支持体D1の形状や特性のバラツキに起因して、変位部が正常に変位せず、物体の加速度や角速度の検出範囲が狭くなるおそれがあった。
すなわち、従来の加速度・角速度センサA1は、変位部103や支持体D1の形状や特性にバラツキが生じていた場合に、加速度や角速度がかかっていないにも関わらず、変位部103が上部基板101に対して平行ではなく、任意の方向に傾いてしまうため、加速度や角速度がかかる方向によっては、変位部103が本体変位可能な範囲まで正常に変位することができなくなり、その分、加速度や角速度の検出範囲が狭くなってしまうという問題があった。
そこで、請求項1に係る本発明では、物体の運動に応じて変位する変位部と、変位部との間に間隔をあけて変位部と対向する電極基板と、電極基板に設けられ、所定周期で電圧を印加することにより、変位部を所定周期で電極基板面と垂直な方向に振動させる振動印加電極と、変位部と共同して容量素子を形成すると共に、変位部の変位により変化する容量素子の静電容量を検出するための複数の変位検出電極とを有するセンサ本体と、振動印加電極へ所定周期で所定の振動電圧を印加する振動電圧印加部と、変位検出電極から検出した静電容量の変化に基づいて、物体の加速度に応じた加速度信号を生成する加速度信号生成部と、変位検出電極から検出した静電容量の変化に基づいて物体の角速度に応じた角速度信号を生成する角速度信号生成部とを有する信号変換回路とを備え、物体の加速度及び角速度を検出する加速度・角速度センサにおいて、センサ本体は、電極基板に設けられ、電圧を印加することにより変位部を変位させる複数の変位印加電極を有し、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、複数の変位印加電極の少なくとも一つに変位電圧を印加する変位電圧印加部を有することとした。
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、物体が静止した状態において変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位電圧印加部から変位印加電極に、変位部を予め定めた所定位置まで変位させる変位電圧を印加させる初期傾き調整部を有することを特徴とする。
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位部の傾きを示す傾き信号を生成する傾き信号生成部を備え、加速度信号生成部は、傾き信号のうち変位部の振動周波数よりも低い信号だけを通過させるローパスフィルタを有し、ローパスフィルタの出力信号に基づいて、変位電圧印加部から変位印加電極に、変位部を物体が加速度運動していない状態の位置まで変位させる変位電圧を印加させると共に、変位電圧印加部に印加させる変位電圧に基づいて加速度信号を生成し、角速度信号生成部は、傾き信号のうち変位部の振動周波数のみを通過させるバンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタの出力信号に基づいて角速度信号を生成することを特徴とする。
また、請求項4に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位部の傾きを示す傾き信号を生成する傾き信号生成部を備え、傾き信号のうち、少なくとも変位部の振動周波数よりも高い周波数まで通過させるフィルタ部を有し、変位電圧印加部は、フィルタ部の出力信号に基づいて、変位部を物体が加速度運動及び角速度運動していない状態の位置まで変位させる変位電圧を変位印加電極へ印加し、加速度信号生成部は、フィルタ部の出力信号のうち変位部の振動周波数よりも低い信号だけを通過させるローパスフィルタを有し、ローパスフィルタの出力信号に基づいて加速度信号を生成し、角速度信号生成部は、フィルタ部の出力信号のうち変位部の振動周波数だけを通過させるバンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタの出力信号に基づいて角速度信号を生成することを特徴とする。
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位検出電極と変位部との距離を検出する振動方向変位検出部と、振動方向変位検出部の出力信号に基づいて、変位部の振動の振幅を検出する振動振幅検出部とを有し、振動電圧印加部は、振動印加電極に対して、振動振幅変位検出部の検出結果を一定値にする振動電圧を印加することを特徴とする。
また、請求項6に係る本発明では、請求項5に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、振動方向変位検出部の出力信号に基づいて、変位部の振動の振幅における中心位置を検出する振動中心位置検出部を有し、振動中心位置検出部は、変位部の振動振幅の中心位置を一定に保つ振動電圧を振動電圧印加部から振動印加電極へ印加させると共に、振動電圧印加部に印加させる振動電圧に基づいて、電極基板面と垂直な方向における物体の加速度を示す振動方向加速度信号を生成することを特徴とする。
また、請求項7に係る本発明では、請求項6に記載の加速度・角速度センサにおいて、変位印加電極と振動印加電極とは、それぞれ独立して電極基板に設けられ、振動電圧印加部は、振動中心位置検出部の検出結果に基づいて、変位部の振動の振幅における中心位置を一定に保つ変位電圧を変位印加電極に印加することを特徴とする。
また、請求項8に係る本発明では、請求項6に記載の加速度・角速度センサにおいて、振動印加電極と変位印加電極とを一つの振動傾き印加共通電極により構成して電極基板に複数配設すると共に、信号変換回路は、振動中心位置検出部の検出結果に基づいて生成した変位部の振動の振幅における中心位置を一定に保つ変位電圧と、振動電圧とを加算した振動傾き電圧を振動傾き印加共通電極に印加する振動傾き電圧印加部を有することを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、物体の運動に応じて変位する変位部と、変位部との間に間隔をあけて変位部と対向する電極基板と、電極基板に設けられ、所定周期で電圧を印加することにより、変位部を所定周期で電極基板面と垂直な方向に振動させる振動印加電極と、変位部と共同して容量素子を形成すると共に、変位部の変位により変化する容量素子の静電容量を検出するための複数の変位検出電極とを有するセンサ本体と、振動印加電極へ所定周期で所定の振動電圧を印加する振動電圧印加部と、変位検出電極から検出した静電容量の変化に基づいて、物体の加速度に応じた加速度信号を生成する加速度信号生成部と、変位検出電極から検出した静電容量の変化に基づいて物体の角速度に応じた角速度信号を生成する角速度信号生成部とを有する信号変換回路とを備え、物体の加速度及び角速度を検出する加速度・角速度センサにおいて、センサ本体は、電極基板に設けられ、電圧を印加することにより変位部を変位させる複数の変位印加電極を有し、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、複数の変位印加電極の少なくとも一つに変位電圧を印加する変位電圧印加部を有することとしたため、加速度・角速度センサの変位部の製造工程において発生する変位部等の特性のバラツキに起因して、変位部が正常に変位しない場合であっても、変位電圧印加部から変位印加電極へ上記変位部の特性のバラツキを打ち消すような変位電圧を印加することにより、変位部を正常に変位させることができるので、物体の加速度や角速度の検出範囲が狭くなることを防止することができる。
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、物体が静止した状態において変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位電圧印加部から変位印加電極に、変位部を予め定めた所定位置まで変位させる変位電圧を印加させる初期傾き調整部を有することを特徴とするため、製造工程において発生した変位部の重心位置のズレ等に起因して、物体が静止している状態における変位部の位置が正常な位置からずれていても、初期傾き調整部により変位電圧印加部から変位印加電極へ、変位部の位置を初期調整する変位電圧を印加することにより、変位部の位置を正常な位置へ戻すことができるので、加速度及び角速度の検出誤差を低減でき、製品の歩留まりを向上させることができる。
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位部の傾きを示す傾き信号を生成する傾き信号生成部を備え、加速度信号生成部は、傾き信号のうち変位部の振動周波数よりも低い信号だけを通過させるローパスフィルタを有し、ローパスフィルタの出力信号に基づいて、変位電圧印加部から変位印加電極に、変位部を物体が加速度運動していない状態の位置まで変位させる変位電圧を印加させると共に、変位電圧印加部に印加させる変位電圧に基づいて加速度信号を生成し、角速度信号生成部は、傾き信号のうち変位部の振動周波数のみを通過させるバンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタの出力信号に基づいて角速度信号を生成することを特徴とするため、加速度と角速度とをそれぞれ別の値に基づいて検出することができるので、加速度及び角速度の検出範囲を拡大することができる。
また、請求項4に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位部の傾きを示す傾き信号を生成する傾き信号生成部を備え、傾き信号のうち、少なくとも変位部の振動周波数よりも高い周波数まで通過させるフィルタ部を有し、変位電圧印加部は、フィルタ部の出力信号に基づいて、変位部を物体が加速度運動及び角速度運動していない状態の位置まで変位させる変位電圧を変位印加電極へ印加し、加速度信号生成部は、フィルタ部の出力信号のうち変位部の振動周波数よりも低い信号だけを通過させるローパスフィルタを有し、ローパスフィルタの出力信号に基づいて加速度信号を生成し、角速度信号生成部は、フィルタ部の出力信号のうち変位部の振動周波数だけを通過させるバンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタの出力信号に基づいて角速度信号を生成することを特徴とするため、製造工程中に生じた変位部の重心位置のズレ等に起因した、加速度及び角速度の検出中における変位部の不必要な変位を抑制することができるので、加速度及び角速度の検出制度をさらに向上させることができる。
また、請求項5に係る本発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、変位検出電極から検出した静電容量に基づいて、変位検出電極と変位部との距離を検出する振動方向変位検出部と、振動方向変位検出部の出力信号に基づいて、変位部の振動の振幅を検出する振動振幅検出部とを有し、振動電圧印加部は、振動印加電極に対して、振動振幅変位検出部の検出結果を一定値にする振動電圧を印加することを特徴とするため、加速度及び角速度の変化に変位電圧の変化を精度よく追従させることができるので、加速度及び角速度の変化の検出精度をさらに向上させることができる。
また、請求項6に係る本発明では、請求項5に記載の加速度・角速度センサにおいて、信号変換回路は、振動方向変位検出部の出力信号に基づいて、変位部の振動の振幅における中心位置を検出する振動中心位置検出部を有し、振動中心位置検出部は、変位部の振動振幅の中心位置を一定に保つ振動電圧を振動電圧印加部から振動印加電極へ印加させると共に、振動電圧印加部に印加させる振動電圧に基づいて、電極基板面と垂直な方向における物体の加速度を示す振動方向加速度信号を生成することを特徴とするため、加速度及び角速度の変化に変位電圧の変化を精度よく追従させることができるので、加速度及び角速度の変化の検出精度をさらに向上させることができ、しかも、振動電圧の変化に基づいて変位部の振動方向における加速度を検出することができる。
また、請求項7に係る本発明では、請求項6に記載の加速度・角速度センサにおいて、変位印加電極と振動印加電極とは、それぞれ独立して電極基板に設けられ、振動電圧印加部は、振動中心位置検出部の検出結果に基づいて、変位部の振動の振幅における中心位置を一定に保つ変位電圧を変位印加電極に印加することを特徴とするため、振動電圧の印加と変位電圧の印加とを個別の系で行うことができるので、振動電圧の印加による変位部の振動変位と、変位電圧の印加による変位部の傾き変位とが互い干渉して加速度及び角速度の検出精度が低下することを防止することができる。
また、請求項8に係る本発明では、請求項6に記載の加速度・角速度センサにおいて、振動印加電極と変位印加電極とを一つの振動傾き印加共通電極により構成して電極基板に複数配設すると共に、信号変換回路は、振動中心位置検出部の検出結果に基づいて生成した変位部の振動の振幅における中心位置を一定に保つ変位電圧と、振動電圧とを加算した振動傾き電圧を振動傾き印加共通電極に印加する振動傾き電圧印加部を有することを特徴とするため、センサ本体に設ける電極の枚数を減少させることができ、製造コストを低減することができる。しかも、電極の枚数を減少させることにより、変位検出電極の面積を拡張することができるので、加速度及び角速度の検出感度を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る加速度・角速度センサは、運動する物体に取り付けられ、その物体が運動したときに、物体に作用する加速度と角速度とを検出するものである。
ここで、図1は、本発明の第1実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図であり、図2は、本発明の第2実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図であり、図3は、第2実施形態の加速度・角速度センサが備えるローパスフィルタの特性を示す説明図であり、図4は、本発明の第3実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図であり、図5は、第3実施形態の加速度・角速度センサが備えるフィルタ部の特性を示す説明図であり、図6は、本発明の第4実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図であり、図7は、本発明の第5実施形態に係る加速度・角速度センサのセンサ本体を示す説明図であり、図8は、本発明の第6実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図である。
(実施の形態1)
図1に示すように、第1実施形態に係る加速度・角速度センサAは、この加速度・角速度センサAを取り付けた物体の加速度運動又は角速度運動によって生じる慣性力によって変位する変位部3を備えたセンサ本体Bと、このセンサ本体Bが備える変位部3の変位量に基づいて、この加速度・角速度センサAを取り付けた物体の加速度に応じた加速度信号S2及び角速度に応じた角速度信号S3を生成する信号変換回路Cとを備えている。
ここでは、加速度・角速度センサA1が備える変位部3の三次元空間における変位方向を説明するために、変位部3の上面における中央の点(重心)を原点とし、図1に点線で示す各方向を、それぞれX軸、Y軸、Z軸と定義する。なお、これらX軸、Y軸、Z軸は互いに直交するものである。
センサ本体Bは、図示しない筐体内に、互いに平行に所定間隔を空けて固定された上部基板1と下部基板2とからなる電極基板と、これら上部基板1と下部基板2との間に、上部基板1及び下部基板2と接触することなく変位可能に配設された矩形箱形状の変位部3とを備えている。
すなわち、上部基板1及び下部基板2は、それぞれ変位部3との間に間隔をあけて、この変位部3と対向するように配設されている。
このセンサ本体Bが備える変位部3は、導電性部材により形成され、上記のように矩形箱形状をしており、その四側面の各上面側中央位置と、この変位部3を収納する図示しない筐体の内壁との間が、弾性を有する四本の支持体Dにより連結されて、上部基板1と下部基板2との間でZ軸方向の振動変位と、X軸又はY軸を回転軸とした傾き変位とができるように構成されている。
また、上部基板1は、その略中央位置に配設された振動印加電極4と、この振動印加電極4の周囲の所定領域を、Z軸方向から見てX軸とY軸とによって4分割した変位印加電極6a、6b、6c、6dと、これら変位印加電極6a、6b、6c、6dの周囲の所定領域を、Z軸方向から見てX軸とY軸とによって4分割した変位検出電極8a、8b、8c、8dとを備えている。
また、下部基板2にも、上部基板1における変位検出電極8a、8b、8c、8dと同様に変位検出電極9a、9b、9c、9dが設けられている。なお、この加速度・角速度センサAにおいて、上部基板1に設けている変位検出電極8a、8b、8c、8dを用いた物体の加速度及び角速度検出と、下部基板2に設けている変位検出電極9a、9b、9c、9dを用いた物体の加速度及び角速度検出とは、同様の方法によって行うため、ここでは、上部基板1に設けている変位検出電極8a、8b、8c、8dを用いた物体の加速度及び角速度検出について説明する。
振動印加電極4は、後述の振動電圧印加部5から所定周期で電圧値が変化する振動電圧(ここでは、周波数2kHzの交流電圧)が印加されることにより、変位部3との間に静電引力を生じさせて、変位部3を電極基板面(上部基板1及び下部基板2)と垂直な方向であるZ軸方向に所定周期で振動変位させるものである。
また、上部基板1に設けた各変位検出電極8a、8b、8c、8dには、図示しない定電流源から、それぞれ等しい所定の電流が供給されており、これら各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3とがそれぞれ共同して、四つの容量素子(コンデンサ)を形成している。
そして、このセンサ本体Bでは、変位部3をZ軸方向に所定周期で振動変位させている状態において、この加速度・角速度センサAを取り付けた物体が加速度運動又は角速度運動すると、そのときに生じる一種の慣性力(コリオリ力)によって変位部3が変位する。
このように変位部3が変位すると、各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3とにより形成された各コンデンサの静電容量が変化することになり、各変位検出電極8a、8b、8c、8dに蓄積される電荷量が変化することとなる。
すなわち、これら各変位検出電極8a、8b、8c、8dは、変位部3の変位により変化する各コンデンサの静電容量を検出するための電極として機能するものである。
そして、この加速度・角速度センサAでは、変位部3をZ軸方向に振動変位させている状態において、これら各変位検出電極8a、8b、8c、8dに蓄積される電荷量の変化を検出することにより、物体の運動に伴う変位部3の変位量を検出し、この変位量から物体の加速度及び角速度を検出するように構成している。
変位印加電極6a、6b、6c、6dは、振動印加電極4とそれぞれ電気的に絶縁されて、振動印加電極4とは独立して上部基板1に設けられており、後述の変位電圧印加部7からそれぞれ個別に調整された変位電圧が印加されることによって、各変位印加電極6a、6b、6c、6dと変位部3との間に静電引力を生じさせ、変位部3をX軸又はY軸を回転軸として傾き変位させるものである。
このように、第1実施形態の加速度・角速度センサは、従来物体の運動により生じる慣性力によってのみ変位していた変位部3を、変位印加電極6a、6b、6c、6dに変位電圧を印加することによって、自由に変位させることができる。
そのため、たとえば、加速度・角速度センサAの変位部の製造工程において発生する変位部3や支持体Dの形状や弾性のバラツキに起因して、変位部が正常に変位しない場合であっても、変位印加電極6aへ変位部の特性のバラツキを打ち消すような変位電圧を印加することにより、変位部を正常に変位させることができるようになる。
一方、信号変換回路Cは、振動電圧印加部5と、静電容量変換部10と、傾き信号生成部17と、加速度信号生成部11と、角速度信号生成部13と、初期傾き調整部18、変位電圧印加部7を備えている。
振動電圧印加部5は、振動印加電極4に所定周期で電圧値が変化する振動電圧を印加することによって、変位部3をZ軸方向に所定周期で振動変位させるものである。ここで振動印加電極4に印加する振動電圧は、周波数2kHzの交流電圧である。
静電容量変換部10は、各変位検出電極8a、8b、8c、8dに蓄積されている電荷量の変化に基づいて、各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3とにより形成された各コンデンサの静電容量の変化を検出し、その変化を電圧値の変化に変換した信号を出力するものである。
傾き信号生成部17は、変位検出電極8a、8b、8c、8dから検出した各コンデンサの静電容量に基づいて静電容量変換部10が出力する信号から変位部3の変位(傾き)を検出し、その変位を示す傾き信号を生成して出力するものである。
すなわち、傾き信号生成部17は、各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3との間に形成されるコンデンサの各静電容量をC8a、C8b、C8c、C8dとした場合に、(C8a+C8b)−(C8c+C8d)の演算を行うことによってX軸を回転軸とする変位部3の傾きを検出すると共に、(C8a+C8d)−(C8b+C8c)の演算を行うことによりY軸を回転軸とする変位部3の傾きを検出し、その検出結果に応じた傾き信号を生成して出力する。
加速度信号生成部11は、変位検出電極8a、8b、8c、8dから検出した各コンデンサの静電容量の変化に基づいて、この加速度・角速度センサAを取り付けた物体の加速度に応じた加速度信号を生成するものである。
そして、この加速度信号生成部11は、傾き信号生成部17から出力される傾き信号の周波数成分のうち、変位部3の振動周波数成分を遮断するために、カットオフ周波数が振動電圧の周波数(2kHz)の10分の1以下のローパスフィルタを備えており、傾き信号生成部17から出力される各軸(X軸、Y軸、Z軸)毎の傾き信号をこのローパスフィルタに通すことにより、各軸(X軸、Y軸)方向毎の物体の加速度を示す加速度信号S2を出力する。
角速度信号生成部13は、変位検出電極8a、8b、8c、8dから検出した各コンデンサの静電容量の変化に基づいて、この加速度・角速度センサAを取り付けた物体の角速度に応じた角速度信号を生成するものである。
そして、この角速度信号生成部13は、変位部3の振動周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタを備えており、傾き信号生成部17から出力される各軸(X軸、Y軸、Z軸)毎の傾き信号をこのバンドパスフィルタに通すことにより、変位部3が振動変位する一周期における変位部3のX軸を回転軸とした傾き変位と、Y軸を回転軸とした傾き変位とを検出して、物体のX軸及びY軸を回転軸とした角速度を示す角速度信号S3を出力する。
初期傾き調整部18は、製造工程中に生じた変位部3や支持体Dの形状や弾性特性のバラツキに起因した加速度及び角速度の検出誤差を抑制するために、変位部3の変位状態を初期設定するものである。
すなわち、上記のように構成したセンサ本体Bでは、変位部3や支持体Dの形状や弾性特性にバラツキが生じていた場合や、変位部の重心がずれていた場合等に、加速度や角速度がかかっていないにも関わらず、変位部3が水平面(X-Y平面)に対して平行ではなく任意の方向に傾いてしまうおそれがある。
このように初期状態において変位部3が傾いたままの状態で、この加速度・角速度センサAにより物体の加速度や角速度を検出してしまうと、正確な加速度検出や角速度検出を行うことができないという問題が生じる。
この問題を解消するために、第1実施形態の加速度・角速度センサAでは、初期傾き調整部18によって、加速度・角速度センサAを取り付けた物体が静止した状態において、変位電圧印加部から各変位印加電極に、変位部3を予め定めた所定位置まで変位させる変位電圧を印加させることにより、変位部の変位状態を初期設定する。
ここで、初期傾き調整部18が行う初期設定について、具体的に説明する。なお、ここでは、加速度・角速度センサAが取り付けられた物体を水平面(X−Y平面)に載置している状態で行う初期設定を例に挙げて説明する。
この初期傾き調整部18は、変位部3に角速度及び加速度がかかっていない状態において、変位検出電極8a、8b、8c、8dから検出した各静電容量に基づいて、各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3との距離が全て同じである(変位部3が水平面に対して平行である)か否かを検出し、変位部3が水平面に対して平行でない場合に、現在の各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3との距離と、変位部3が水平面と平行なときの各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3との距離とのズレ量を打ち消すような変位電圧を、後述の変位電圧印加部7から各変位検出電極8a、8b、8c、8dに個別に印加させるにより、変位部3の変位状態を初期設定するのである。
なお、ここでは、加速度・角速度センサAを水平面(X−Y平面)に載置している状態で行う初期設定を例に挙げて説明したが、加速度・角速度センサAを予め設定した所定角度の傾斜面に載置した状態で初期設定を行うこともできる。
この場合に、初期傾き調整部18は、所定角度の傾斜面において、各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3との距離を全て同じとすうような変位電圧を後述の変位電圧印加部7から出力させるように初期設定を行う。
変位電圧印加部7は、変位検出電極8a、8b、8c、8dから検出した各コンデンサの静電容量に基づいて、複数の変位印加電極6a、6b、6c、6dの少なくとも一つに変位電圧を印加するものである。
また、この変位電圧印加部7は、初期傾き調整部18から出力される信号に基づいた変位電圧を、各変位検出電極8a、8b、8c、8dへそれぞれ印加することにより、加速度・角速度センサAに加速度及び角速度が生じていない状態において、各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3との距離が全て同じなるように変位部3を変位させて、変位部3を水平面に対して平行な状態に保つ。
このように、第1実施形態に係る加速度・角速度センサAは、センサ本体Bに変位印加電極6a、6b、6c、6dを設けると共に、信号変換回路Cに初期傾き調整部18と変位電圧印加部7とを設けたことによって、加速度・角速度センサAに加速度及び角速度が生じていない状態における変位部3を水平面と平行になるように初期設定を行うことができる。
これにより、仮に変位部3や支持体Dの形状や特性にバラツキが生じていた場合であっても、運動する物体の正確な加速度及び角速度を検出することができ、これまで変位部3や支持体Dの形状や特性にバラツキのために不良品として扱われていた加速度・角速度センサAを良品として扱うことができるようになり、製品の歩留まりが向上する。
また、上記のような変位部3の初期設定を行わなかった場合には、加速度・角速度センサAに加速度や角速度が生じた場合に、これら加速度や角速度がかかる方向によっては、その大きさが同じであっても、変位部3の変位量が異なってしまい、加速度や角速度の検出範囲が狭くなるおそれがあるが、この加速度・角速度センサAでは、初期傾き調整部18による初期設定により、各軸方向への変位部3の変位量を均等にすることができるので、加速度及び角速度の検出範囲が狭くなることを防止することができる。
なお、第1実施形態では、変位部3の振動周波数を2kHzとし、加速度を検出するローパスフィルタのカットオフ周波数を変位部3の振動周波数の10分の1以下としたが、ローパスフィルタの次数と合わせて設定する他の周波数を用いても上記した効果と同様の効果を奏する。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る加速度・角速度センサAの第2実施形態について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2に示す加速度・角速度センサAにおいて、図1に示した加速度・角速度センサAと同様の機能を有する構成用件については、同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
図2に示すように、第2実施形態に係る加速度・角速度センサAは、センサ本体Bと信号変換回路Cとを備えている。
ここで、センサ本体Bは、第1実施形態の加速度・角速度センサAのセンサ本体Bと同一の構成であり、信号変換回路Cの構成だけが第1実施形態の信号変換回路Cと異なる。
すなわち、第2実施形態の信号変換回路Cは、図3に示すような周波数特性を有するローパスフィルタを有し、このローパスフィルタの出力信号を用いて、後述の変位電圧印加部7に変位印加電極6a、6b、6c、6dへ変位電圧を印加させるための制御信号を出力すると共に、加速度・角速度センサAにかかる加速度を示す加速度信号S2を生成する加速度信号生成部19を備えている。なお、図3において、縦軸22はゲイン、横軸21は周波数、符号23はカットオフ周波数、符号24は変位部3の振動周波数、符号20はDC(直流)領域、符号25は低周波数領域、符号26は攻守端数領域を示している。
この加速度信号生成部19が有するローパスフィルタは、変位部3の振動周波数24の10分の1以下の振動周波数24より十分に低いカットオフ周波数を備えており、傾き信号生成部17から出力される傾き信号の周波数成分のうち変位部3の振動周波数よりも十分に低い周波数成分(DC領域20から低周波数領域25)だけを通過させるローパスフィルタである。
このようなローパスフィルタから出力される信号には、加速度・角速度センサAに生じた加速度による変位部3の変位量だけを示す信号が含まれており、加速度・角速度センサAに生じた角速度による変位部3の変位量を示す信号は除去された状態となっている。
そして、この加速度信号生成部19は、ローパスフィルタが出力する信号に基づいて、加速度に起因した変位部3の変位量だけを打ち消すように変位部3を変位させるような変位電圧を変位電圧印加部7から出力させるための制御信号を変位電圧印加部7へ出力する。
すなわち、この加速度信号生成部19は、ローパスフィルタの出力信号に基づいて、変位電圧印加部7から各変位印加電極6a、6b、6c、6dに、変位部3をこの加速度・角速度センサAを取り付けた物体が加速度運動をしていない状態の位置まで変位させる変位電圧を印加させるのである。
ここで、物体が加速度運動をしていない状態の変位部3の位置とは、変位部3が加速度による慣性力を受けておらず、上部基板1に対して平行な状態を維持している位置である。
また、この加速度信号生成部19は、変位電圧印加部7へ出力するために生成した制御信号から加速度・角速度センサAに生じた加速度を示す加速度信号S2を生成して出力する。
すなわち、この加速度信号生成部19は、変位電圧印加部7に印加させる変位電圧に基づいて、物体の加速度を示す加速度信号S2を生成するのである。
変位電圧印加部7は、加速度信号生成部19から入力される制御信号に基づいて、変位部3の加速度起因した変位量だけを打ち消すように変位部3を変位させるような変位電圧を各変位印加電極6a、6b、6c、6dにそれぞれ印加する。
これにより、変位部3は、加速度・角速度センサAに加速度だけが生じている場合には、Z軸方向にだけ振動変位し、加速度に起因した変位はしなくなり、加速度と角速度の両々が生じている場合には、Z軸方向の振動変位と角速度に起因した傾き変位とだけになり、見かけ上加速度が生じていない状態となる。
また、物体の角速度を示す角速度信号S3の検出は、第1実施形態と同様に、角速度信号生成部13が傾き信号生成部17から出力される傾き信号に基づいて生成する。
このように、第2実施形態の加速度・角速度センサAでは、加速度信号生成部19により加速度信号S2を生成し、角速度信号生成部13により角速度信号S3を生成するように構成したため、簡単な構成でありながら、容易に加速度の検出系と角速度の検出系とを分離することができるので、相互の系による検出量の干渉を抑制することができる。
また、上記のように、同一の各変位検出電極8a、8b、8c、8dから取得する静電容量の変化に基づいて加速度と角速度とを検出する場合であっても、変位電圧印加部7から変位印加電極6a、6b、6c、6dに変位電圧を印加することによって、変位部3に周波数の低い加速度による変位を生じさせないようにしているため、角速度の検出範囲を拡大することができる。
しかも、加速度に関しては、傾き信号生成部17に含まれる低周波数成分を用いるのではなく、加速度による変位部3の変位量を打ち消すために要する変位電圧の変化に基づいて検出するようにしているため、角速度の検出範囲を拡大しても、それにより加速度の検出範囲が縮小されることがない。
なお、第2実施形態では、加速度信号生成部19が有するローパスフィルタのカットオフ周波数を変位部3の振動周波数の10分の1以下としたが、ローパスフィルタの次数と合わせて設定した他の周波数を用いても上記した効果と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る加速度・角速度センサAの第3実施形態について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4に示す加速度・角速度センサAにおいて、図1及び図2に示した加速度・角速度センサAと同様の機能を有する構成用件については、同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
図4に示すように、第3実施形態に係る加速度・角速度センサAは、センサ本体Bと信号変換回路Cとを備えている。
ここで、センサ本体Bは、第1及び第2実施形態の加速度・角速度センサAのセンサ本体Bと同一の構成であり、信号変換回路Cの構成だけが第1及び第2実施形態の信号変換回路Cと異なる。
すなわち、第3実施形態の信号変換回路Cは、図5に示すような周波数特性を有するローパスフィルタを備えたフィルタ部27を備えており、このフィルタ部27から出力される信号に基づいて、変位電圧印加部7から変位印加電極6a、6b、6c、6dへ変位電圧を印加すると共に、このフィルタ部27が備えるローパスフィルタの出力信号を用いて加速度信号生成部29が加速度・角速度センサAを取り付けた物体の加速度を示す加速度信号S2を生成し、角速度信号生成部28が加速度・角速度センサAを取り付けた物体の角速度を示す角速度信号S3を生成する。図5において、縦軸22はゲイン、横軸21は周波数、符号20はDC領域、符号23はカットオフ周波数、符号24は変位部3の振動周波数である。
ここで、第3実施形態の加速度信号生成部29は、第2実施形態の加速度信号生成部29が備えるものと同一のローパスフィルタを備えており、フィルタ部27から出力される信号をこのローパスフィルタに通すことによって、加速度・角速度センサAに生じた角速度を示す加速度信号S2を生成するのである。
また、角速度信号生成部28は、第1及び2実施形態の角速度信号生成部13が備えるものと同一のバンドパスフィルタを備えており、フィルタ部27から出力される信号をこのバンドパスフィルタに通すことによって、加速度・角速度センサAに生じた角速度を示す角速度信号S3を生成するのである。
特に、第3実施形態の加速度・角速度センサAが備えるフィルタ部27は、傾き信号生成部17から出力された傾き信号のうち、少なくとも変位部3の振動周波数よりも高い周波数まで通過させるローパスフィルタを備えている。
すなわち、このフィルタ部27が備えるローパスフィルタは、少なくとも振動周波数24より高いカットオフ周波数23を備えており、傾き信号生成部17から出力される傾き信号の周波数成分のうちDC領域20から振動周波数24までの比較的広い周波数成分を通過させるローパスフィルタである。
このようなローパスフィルタから出力される信号には、加速度・角速度センサAに生じた加速度による変位部3の変位量と、角速度による変位部3の変位量との両方の変化量を示す信号が含まれている。
そして、このフィルタ部27は、自身が備えるローパスフィルタが出力する信号に基づいて、加速度に起因した変位部3の変位量と、角速度に起因した変位部3の変位量とを共に打ち消すように変位部3を変位させるような変位電圧を変位電圧印加部7から出力させるための制御信号を生成して変位電圧印加部7へ出力する。
変位電圧印加部7は、フィルタ部27から入力される信号に基づいて、加速度起因した変位部3の変位量と、角速度に起因した変位部3の変位量とを共に打ち消すように変位部3を変位させるような変位電圧を各変位印加電極6a、6b、6c、6dにそれぞれ印加する。
すなわち、この変位電圧印加部7は、フィルタ部27の出力信号に基づいて、変位部3をこの加速度・角速度センサAが取り付けられた物体が加速度運動及び角速度運動していない状態の位置まで変位させる変位電圧を各変位印加電極6a、6b、6c、6dへ印加するのである。
ここで、物体が加速度運動及び角速度運動していない状態の変位部3の位置とは、変位部3が加速度及び角速度による慣性力を受けておらず、上部基板1に対して平行な状態を維持している位置である。
これにより、変位部3は、加速度と角速度の両々が生じている場合に、Z軸方向にだけ振動変位して、加速度と角速度とに起因した変位を行わず、見かけ上加速度も角速度も生じていない状態となる。
このように第3実施形態の加速度・角速度センサAでは、加速度・角速度センサAに加速度や角速度が生じた場合に、変位電圧印加部7から変位印加電極6a、6b、6c、6dへ変位電圧を印加して、変位部3の変位状態を、見かけ上加速度・角速度センサAに加速度及び角速度が生じていないときの状態とすることによって、変位部3及び支持体Dの形状や特性のバラツキに起因した、変位部3の動作中における加速度及び角速度の検出誤差の発生を抑制している。
すなわち、変位部3や支持体Dの形状や弾性にバラツキが生じていた場合、仮に第1実施形態で説明した初期設定によって、変位部3の変位状態を補正したとしても、その後、加速度・角速度センサAに加速度や角速度が生じて変位部3が変位したときには、各支持体Dが均等な弾性変形をせず、変位部3が正常に変位動作しないおそれがある。
しかし、第3実施形態の加速度・角速度センサAでは、加速度や角速度が生じた場合に、変位部3の変位を、加速度や角速度が生じてないときの変位部3の位置に保持させるような変位電圧を各変位印加電極6a、6b、6c、6dへ印加し、このとき変位印加電極6a、6b、6c、6dに印加する変位電圧に基づいて、加速度・角速度センサAを取り付けた物体の加速度及び角速度を検出するように構成しているため、上記変位部3が正常に変位動作できないような場合であっても、加速度及び角速度を正確に検出することができる。
なお、上記第1〜3実施形態では、振動印加電極4と変位印加電極6a、6b、6c、6dとを上部基板1にのみ設けるようにしているが、これら振動印加電極4及び変位印加電極6a、6b、6c、6dは、下部基板2に設けても、また、上部基板1と下部基板2の両方に設けても、上記各実施形態に記載した効果と同様の効果を奏する。
また、上記第1〜3実施形態では、変位印加電極6a、6b、6c、6dを上部基板1において、振動印加電極4の外側で変位検出電極8a、8b、8c、8dの内側に設けるようにしているが、変位印加電極6a、6b、6c、6dの配設位置はこれに限定するものではなく、振動印加電極4及び変位検出電極8a、8b、8c、8d、9a、9b、9c、9dの配設位置以外であれば、上部基板1と下部基板2における任意の位置に配設しても上記した効果と同様の効果を奏する。
なお、第3実施形態では、加速度信号生成部29が有するローパスフィルタのカットオフ周波数を変位部3の振動周波数の10分の1以下としたが、ローパスフィルタの次数と合わせて設定した他の周波数を用いても上記した効果と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る加速度・角速度センサAの第4実施形態について図6を参照して説明する。なお、図6に示す加速度・角速度センサAにおいて、図1、2、4に示した加速度・角速度センサAと同様の機能を有する構成用件については、同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
図6に示すように、第4実施形態に係る加速度・角速度センサAは、センサ本体Bと信号変換回路Cとを備えている。
ここで、センサ本体Bは、第1〜3実施形態の加速度・角速度センサAのセンサ本体Bと同一の構成であり、信号変換回路Cの構成だけが第1〜3実施形態の信号変換回路Cと異なる。
すなわち、第4実施形態の信号変換回路Cは、図6に示すように、第3実施形態の信号変換回路Cの構成に加えて、振動方向検出部32と、振動振幅検出部30と、振動中心位置検出部31とを備えている。
振動方向検出部32は、変位検出電極8a、8b、8c、8dから検出した各コンデンサの静電容量に基づいて、各変位検出電極8a、8b、8c、8dと変位部3との間の距離、及び、各変位検出電極9a、9b、9c、9dと変位部3との間の距離を検出して、その距離を示す信号を出力するものである。
また、振動振幅検出部30は、振動方向検出部32から出力される信号のうち、変位部3の振動周波数近傍の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタを備えており、振動方向検出部32から出力された信号をこのバンドパスフィルタに通すことによって、変位部3の振動振幅を検出して、変位部3の振動振幅が常時所定の固定幅となるような振動電圧を振動電圧印加部5に出力させる制御信号を出力するものである。
また、振動中心位置検出部31は、振動方向検出部32から出力される信号のうち、変位部3の振動周波数よりも十分低い低周波数成分だけを通過させるローパスフィルタを備えており、振動方向検出部32から出力された信号をこのローパスフィルタに通すことによって、変位部3の振動振幅の中心位置を検出する。
そして、この振動中心位置検出部31は、検出した中心位置を一定に保つような振動電圧を振動電圧印加部5から振動印加電極4に印加させるための制御信号を出力すると共に、中心位置を所定の固定位置にするために振動電圧印加部5から出力させる振動電圧に基づいて、上部基板1面と垂直な方向(Z軸方向)における物体の加速度を示す振動方向加速度信号S4を出力するものである。
そして、振動電圧印加部5は、振動振幅検出部30から入力される制御信号に基づいて、振動振幅検出部30の検出結果を一定値にするように調整した振動電圧を振動印加電極に印加する。
また、この振動電圧印加部5は、振動中心位置検出部31から入力される制御信号に基づいて、変位部3の振動振幅の中心位置を一定に保つように調整した振動電圧を振動印加電極4に印加する。
このように、第4実施形態の加速度・角速度センサAでは、振動電圧印加部5から振動印加電極4へ調整した振動印加電圧を印加することにより、変位部3の振動振幅及び振動振幅の中心位置を常時一定に保つようにしている。
そのため、第3実施形態の加速度・角速度センサAと同様に、変位部3や支持体Dの形状や特性のバラツキがある場合であっても、加速度及び角速度を安定且つ正確に検出することができる。
しかも、振動中心位置検出部31は、この加速度・角速度センサAにZ軸方向の加速度が生じたときに、変位部3の中心位置を所定の固定位置とするために必要な振動電圧に基づいて、Z軸方向の加速度を検出することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、図7を参照して説明する。第5実施形態の加速度・角速度センサAは、第1〜4実施形態同様にセンサ本体Bと信号変換回路Cとを備えているが、センサ本体Bにおける変位印加電極の数と、その配設位置だけが第1〜4実施形態の加速度・角速度センサと異なる。
そのため、ここでは、センサ本体Bについてのみ説明することとし、信号変換回路Cについては、その説明を省略する。なお、この第5実施形態の加速度・角速度センサAの信号変換回路Cとしては、第1〜4実施形態のいずれかの信号変換回路Cを適用することが可能である。ただし、第5実施形態のセンサ本体Bは、変位印加電極として、符号34a〜34hで示す八つの電極を備えているため、信号変換回路Cの変位電圧印加部7と、これら八つの変位印加電極34a〜34hとをそれぞれ接続する必要がある。
また、ここでは、図7に示すセンサ本体Bにおいて、図1、2、4、6に示したセンサ本体Bと同様の機能を有する構成要件については、同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
図7に示すように、第5実施形態のセンサ本体Bは、変位印加電極34a〜34h以外の構成は、図9に示した従来のセンサ本体B1と同様の構成をしており、具体的には、センサ本体Bの変位部3における四つの各側面から所定間隔をあけて、各側面に二つずつ、計八つの変位印加電極34a、34b、34c、34d、34e、34f、34g、34hを有している。
そして、これら各変位印加電極34a〜34hのそれぞれは、図示しない信号変換回路Cの変位電圧印加部7と接続されており、変位電圧印加部7から調整された変位電圧が印加されることにより、変位部3との間に生じる静電気力によって、変位部103をX軸又はY軸を回転軸として回動(傾き)変位させることができるように構成している。
このように、第5実施形態のセンサ本体Bは、変位印加電極34a〜34hを第1〜4実施形態のセンサ本体Bのように上部基板1に設けるのではなく、変位部3の側面から所定間隔を空けた位置にそれぞれ設けるようにしているため、変位検出電極8a、8b、8c、8dの面積を可及的に広くすることができ、これにより、加速度・角速度センサによる加速度及び角速度の検出感度を向上させることができる。
なお、図7では、八つの各変位印加電極34a〜34hを全て略立方体形状で示しているが、その形状は立方体形状に限定するものではなく、また、その数も八つに限定するものではなく、変位部3の側面から所定間隔をあけた位置に配設して、変位部3をX軸又はY軸を回転軸として回動(傾け)変位させることができるものであれば、任意の形状で任意の個数配設しても、上記した効果と同様の効果を奏する。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について、図8を参照して説明する。なお、図8に示す加速度・角速度センサAにおいて、図1、2、4に示した加速度・角速度センサAと同様の機能を有する構成用件については、同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
図8に示すように、第6実施形態に係る加速度・角速度センサAは、センサ本体Bと信号変換回路Cとを備えている。
第6実施形態のセンサ本体Bは、変位部3及び変位検出電極8a、8b、8c、8d、9a、9b、9c、9dに関しては、第1〜4実施形態のセンサ本体Bと同様の構成であるが、変位部3をZ軸方向に振動変位させるための電極と、変位部3をX軸又はY軸を回転軸として変位させるための電極の構成が第1〜4実施形態におけるセンサ本体Bと異なる。
すなわち、このセンサ本体Bは、上記第1〜6実施形態における振動印加電極と変位印加電極とを、一つの振動傾き印加共通電極により構成して上部基板1に複数配設しており、具体的には、図8に示すように、上部基板1において四つの変位検出電極8a、8b、8c、8dに囲まれた内側の領域を、Z軸方向から見てX軸とY軸とによって四分割した各領域のそれぞれに、変位部3をZ軸方向に振動変位させると共に、変位部3をX軸又はY軸を回転軸として変位させるための振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dを配設している。
そして、このセンサ本体Bでは、振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dに後述の振動傾き電圧印加部37から調整した振動傾き電圧を印加することによって、変位部3を一定の振動振幅で且つその振動の中心位置が所定位置となるようにZ軸方向に振動変位させると共に、X軸又はY軸を回転軸とした所定の傾き位置を保持させるようにしている。
また、第6実施形態の信号変換回路Cは、加速度信号S2と角速度信号S3とを生成して出力する構成に関しては、図6に示す第4実施形態の信号変換回路Cと同様であるが、変位部3を一定の振動振幅で且つその振動の中心位置が所定位置となるようにZ軸方向に振動変位させると共に、X軸又はY軸を回転軸とした所定の傾き位置を保持させる構成だけが、第4実施形態の信号変換回路Cとは異なる。
すなわち、第6実施形態の信号変換回路Cは、第4実施形態が備えるものと同一の振動振幅検出部30及び振動中心位置検出部31を備えると共に、これら振動振幅検出部30及び振動中心位置検出部31がそれぞれ出力する制御信号に基づいて、変位部3を一定の振動振幅で且つその振動の中心位置が所定位置となるようにZ軸方向に振動変位させると共に、X軸又はY軸を回転軸とした所定の傾き位置を保持させるための振動傾き電圧を各振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dへ印加する振動傾き電圧印加部37を備えている。
この振動傾き電圧印加部37は、第4実施形態の変位電圧印加部7が各変位印加電極6a、6b、6c、6dにそれぞれ印加していた変位電圧の各電圧値に、第4実施形態の振動電圧印加部5が振動印加電極4に印加していた振動電圧の電圧値を加算した電圧値に相当する振動傾き電圧を生成して、各振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dにそれぞれ印加することにより、変位部3を一定の振動振幅で且つその振動の中心位置が所定位置となるようにZ軸方向に振動変位させると共に、X軸又はY軸を回転軸とした所定の傾き位置を保持するようにしている。
このように、第6実施形態の加速度・角速度センサAでは、各振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dに、第1〜5実施形態の加速度・角速度センサAにおける振動印加電極4としての機能と各変位印加電極6a、6b、6c、6d(34a〜34h)としての機能とを持たせたことにより、加速度・角速度センサAの電極数を減少させることができ、加速度・角速度センサAの製造コストを低減することができる。
しかも、これら振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dが占める総面積を、第4実施形態における振動印加電極4と変位印加電極6a、6b、6c、6dとが占める総面積よりも狭くしても、第4実施形態の加速度・角速度センサAと同様に変位部3を変位させることがきるので、その分、変位検出電極8a、8b、8c、8dの面積を拡張することができ、加速度・角速度センサAによる加速度及び角速度の検出感度を向上させることができる。
なお、ここでは、振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dを上部基板1にのみ設けるようにしているが、これら振動傾き印加共通電極33a、33b、33c、33dを下部基板2に設けてもよく、上部基板1と下部基板2との両側に設けてもよい。
また、ここでは、振動振幅検出部30と振動中心位置検出部31とを併設しているが、第3実施形態と同様に、振動振幅検出部30と振動中心位置検出部31とのうち、いずれか一方だけを設けるように構成しても、上記した効果と同様の効果を奏する。
なお、以上説明した第1〜6実施形態において、上部基板1と下部基板2との両方に変位検出電極8a、8b、8c、8d、9a、9b、9c、9dを設けているが、上部基板1又は下部基板2のいずれか一方に設けることによっても、上記した各実施形態と同様の効果を奏する。
また、上記のように上部基板1と下部基板2の両方に変位検出電極を設ける場合に、上部基板1に設ける変位検出電極8a、8b、8c、8dによって、変位部3のX軸を回転軸とした傾き変位を検出し、下部基板2に設ける変位検出電極9a、9b、9c、9dによって、変位部3のY軸を回転軸とした傾き変位を検出するようにしても同様の効果を奏する。
本発明の第1実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図である。 第2実施形態の加速度・角速度センサが備えるローパスフィルタの特性を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図である。 第3実施形態の加速度・角速度センサが備えるフィルタ部の特性を示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図である。 本発明の第5実施形態に係る加速度・角速度センサのセンサ本体を示す説明図である。 本発明の第6実施形態に係る加速度・角速度センサを示す説明図である。 従来の加速度・角速度センサを示す説明図である。
符号の説明
A 加速度・角速度センサ
B センサ本体
C 信号変換回路
D 支持体
1 上部基板
2 下部基板
3 変位部
4 振動印加電極
5 振動電圧印加部
6a、6b、6c、6d、34a〜34h 変位印加電極
8a、8b、8c、8d、9a、9b、9c、9d 変位検出電極
7 変位電圧印加部
10 静電容量変換部
11 加速度信号生成部
13 角速度信号生成部
17 傾き信号生成部
18 初期傾き調整部
19 加速度信号生成部
27 フィルタ部
28 角速度信号生成部
29 加速度信号生成部
30 振動振幅検出部
31 振動中心位置検出部
32 振動方向検出部
33a、33b、33c、33d 振動傾き印加共通電極
37 振動傾き電圧印加部

Claims (8)

  1. 物体の運動に応じて変位する変位部と、前記変位部との間に間隔をあけて前記変位部と対向する電極基板と、前記電極基板に設けられ、所定周期で電圧を印加することにより、前記変位部を前記所定周期で前記電極基板面と垂直な方向に振動させる振動印加電極と、前記変位部と共同して容量素子を形成すると共に、前記変位部の変位により変化する前記容量素子の静電容量を検出するための複数の変位検出電極とを有するセンサ本体と、
    前記振動印加電極へ前記所定周期で所定の振動電圧を印加する振動電圧印加部と、前記変位検出電極から検出した前記静電容量の変化に基づいて、前記物体の加速度に応じた前記加速度信号を生成する加速度信号生成部と、
    前記変位検出電極から検出した前記静電容量の変化に基づいて前記物体の角速度に応じた前記角速度信号を生成する角速度信号生成部とを有する信号変換回路とを備え、
    前記物体の加速度及び角速度を検出する加速度・角速度センサにおいて、
    前記センサ本体は、前記電極基板に設けられ、電圧を印加することにより前記変位部を変位させる複数の変位印加電極を有し、
    前記信号変換回路は、
    前記変位検出電極から検出した前記静電容量に基づいて、前記複数の変位印加電極の少なくとも一つに前記変位電圧を印加する変位電圧印加部を有することを特徴とする加速度・角速度センサ。
  2. 前記信号変換回路は、前記物体が静止した状態において前記変位検出電極から検出した前記静電容量に基づいて、前記変位電圧印加部から前記変位印加電極に、前記変位部を予め定めた所定位置まで変位させる前記変位電圧を印加させる初期傾き調整部を有することを特徴とする請求項1に記載の加速度・角速度センサ。
  3. 前記信号変換回路は、
    前記変位検出電極から検出した前記静電容量に基づいて、前記変位部の傾きを示す傾き信号を生成する傾き信号生成部を備え、
    前記加速度信号生成部は、前記傾き信号のうち前記変位部の振動周波数よりも低い信号だけを通過させるローパスフィルタを有し、
    前記ローパスフィルタの出力信号に基づいて、前記変位電圧印加部から前記変位印加電極に、前記変位部を前記物体が加速度運動していない状態の位置まで変位させる前記変位電圧を印加させると共に、前記変位電圧印加部に印加させる前記変位電圧に基づいて前記加速度信号を生成し、
    前記角速度信号生成部は、前記傾き信号のうち前記変位部の振動周波数のみを通過させるバンドパスフィルタを有し、
    前記バンドパスフィルタの出力信号に基づいて前記角速度信号を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加速度・角速度センサ。
  4. 前記信号変換回路は、
    前記変位検出電極から検出した前記静電容量に基づいて、前記変位部の傾きを示す傾き信号を生成する傾き信号生成部を備え、
    前記傾き信号のうち、少なくとも前記変位部の振動周波数よりも高い周波数まで通過させるフィルタ部を有し、
    前記変位電圧印加部は、前記フィルタ部の出力信号に基づいて、前記変位部を前記物体が加速度運動及び角速度運動していない状態の位置まで変位させる前記変位電圧を前記変位印加電極へ印加し、
    前記加速度信号生成部は、前記フィルタ部の出力信号のうち前記変位部の振動周波数よりも低い信号だけを通過させるローパスフィルタを有し、前記ローパスフィルタの出力信号に基づいて前記加速度信号を生成し、
    前記角速度信号生成部は、前記フィルタ部の出力信号のうち前記変位部の振動周波数だけを通過させるバンドパスフィルタを有し、前記バンドパスフィルタの出力信号に基づいて前記角速度信号を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加速度・角速度センサ。
  5. 前記信号変換回路は、
    前記変位検出電極から検出した前記静電容量に基づいて、前記変位検出電極と前記変位部との距離を検出する振動方向変位検出部と、
    前記振動方向変位検出部の出力信号に基づいて、前記変位部の振動の振幅を検出する振動振幅検出部とを有し、
    前記振動電圧印加部は、前記振動印加電極に対して、前記振動振幅変位検出部の検出結果を一定値にする前記振動電圧を印加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加速度・角速度センサ。
  6. 前記信号変換回路は、
    前記振動方向変位検出部の出力信号に基づいて、前記変位部の振動の振幅における中心位置を検出する振動中心位置検出部を有し、
    前記振動中心位置検出部は、
    前記変位部の振動振幅の中心位置を一定に保つ前記振動電圧を前記振動電圧印加部から前記振動印加電極へ印加させると共に、前記振動電圧印加部に印加させる前記振動電圧に基づいて、前記電極基板面と垂直な方向における前記物体の加速度を示す振動方向加速度信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の加速度・角速度センサ。
  7. 前記変位印加電極と前記振動印加電極とは、それぞれ独立して前記電極基板に設けられ、
    前記振動電圧印加部は、前記振動中心位置検出部の検出結果に基づいて、前記変位部の振動の振幅における中心位置を一定に保つ前記変位電圧を前記変位印加電極に印加することを特徴とする請求項6に記載の加速度・角速度センサ。
  8. 前記振動印加電極と前記変位印加電極とを一つの振動傾き印加共通電極により構成して前記電極基板に複数配設すると共に、
    前記信号変換回路は、
    前記振動中心位置検出部の検出結果に基づいて生成した前記変位部の振動の振幅における中心位置を一定に保つ前記変位電圧と、前記振動電圧とを加算した振動傾き電圧を前記振動傾き印加共通電極に印加する振動傾き電圧印加部を有することを特徴とする請求項6に記載の加速度・角速度センサ。
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