JP4654504B2 - 自動車用ドアロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ドアロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ドアロック装置の一つとして、ケーシングが対の割体を接合して構成され、同ケーシング内に収容された電動モータ、この電動モータの出力軸に一体的に組付けられたウォーム、前記ケーシングに回転可能に支持されて前記ウォームと噛合するホイールギヤを備えたアクチュエータによってロック・アンロック可能としたものがあり、例えば、特開平9−209627号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報のドアロック装置においては、一方の割体に一体的に形成されて他方の割体に向けて突出するボス部(突起部)と他方の割体に一体的に形成されて一方の割体に向けて突出するボス部(突起部)とに両端にて支持された支持軸によってホイールギヤが回転可能に支持され、両ボス部(突起部)にてホイールギヤの軸方向移動が規制されるように構成されている。このため、両割体が変形することにより両ボス部(突起部)が相対的に変位するおそれがあり、ホイールギヤを的確に支持できなくなるおそれがある。かかる問題は、両割体を変形しやすい樹脂で成形する場合において顕著に生じるおそれがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した問題に対処すべく、ケーシングが対の割体を接合して構成され、同ケーシング内に収容された電動モータ、この電動モータの出力軸に一体的に組付けられたウォーム、前記ケーシングに回転可能に支持されて前記ウォームと噛合するホイールギヤを備えたアクチュエータによってロック・アンロック可能とした自動車用ドアロック装置において、前記ホイールギヤの支持部が、一方の割体に一体的に形成されて他方の割体に向けて突出し前記ホイールギヤを外周にて回転可能に支持する円筒状軸部と、他方の割体に一体的に形成されて前記円筒状軸部の先端と当接する受部と、軸部にて前記受部を貫通して前記円筒状軸部の内孔にねじ込まれ前記受部と前記円筒状軸部を軸方向にて一体的に連結するねじを備える構成としたこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0005】
この場合において、前記受部と前記円筒状軸部が前記ホイールギヤの軸方向移動を規制するストッパを有する構成とすること(請求項2に係る発明)が望ましく、前記受部を前記円筒状軸部に向けて円筒状に突出させて同受部にても前記ホイールギヤを回転可能に支持すること(請求項3に係る発明)も可能である。
【0006】
【発明の作用・効果】
本発明の自動車用ドアロック装置においては、受部と円筒状軸部をねじにて軸方向にて一体的に連結することにより、同支持部(ホイールギヤの支持部)の強度・剛性を高めることができて、ケーシングの両割体が変形しても同支持部での変形を抑えることができる。したがって、安価な樹脂でのケーシングの薄肉化が可能であり、ケーシングのコスト低減を図りながら小型・軽量化を図ることが可能である。
【0007】
また、本発明の実施に際して、前記受部と前記円筒状軸部が前記ホイールギヤの軸方向移動を規制するストッパを有する構成とした場合(請求項2に係る発明の場合)には、ホイールギヤが斜歯で形成されてスラスト荷重を受ける場合にもホイールギヤを的確に支持することができる。また、前記受部を前記円筒状軸部に向けて円筒状に突出させて同受部にても前記ホイールギヤを回転可能に支持する構成とした場合(請求項3に係る発明の場合)には、受部側での軸方向肉厚を確保することができて、同部位での軸方向強度を確保することが可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る自動車用ドアロック装置をドアAの内部に配設して車内側からみた内側面図、図2は同装置をドアAの後方側からみた後面図、図3は同装置を上方からみた平面図であり、図4は同装置の分解斜視図である。当該ドアロック装置においては、ハウジング10内に第1作動機構20、第2作動機構30、および第3作動機構40が収容され、ボディ13内に被掛止機構50が収容されている。なお、図4に示す各矢印方向は、自動車の車体を基準とする前後方向、上下方向、および内外方向を示している。
【0009】
当該ドアロック装置のハウジング10は、樹脂製のハウジング本体11と、樹脂製のカバー12と、樹脂製のボディ13からなるもので、ハウジング本体11は、内側に開口する皿状の第1ケース部11aおよび第1ケース部11aとは直交して後側に開口する皿状の第2ケース部11bを有し、第1ケース部11aの開口部側にはカバー12が取付けられ、かつ、第2ケース部11bの開口部側にはボディ13が取付けられている。これにより、第1ケース部11aの開口部はカバー12にて閉塞され、かつ、第2ケース部11bの開口部はボディ13にて閉塞されている。
【0010】
ハウジング10においては、ハウジング本体11の第1ケース部11aとカバー12間の内部に、第1作動機構20および第2作動機構30の各構成部材が配設されている。また、ハウジング本体11の第2ケース部11bとボディ13間の内部には、サブベースプレート14が配設されているとともに、第3作動機構40の各構成部材が配設されている。ボディ13の後側の開口部側にはベースプレート15が取付けられて、ベースプレート15が同開口部を閉塞している。ボディ13とベースプレート15間の内部には、被掛止機構50の各構成部材が配設されている。
【0011】
第1作動機構20は、図4および図5に示したように、第1インサイドレバー21、第2インサイドレバー22、オープンリンク23、ロック操作レバー24、電動モータ25、ホイールギヤ26、アクティブレバー27、キーレバー28、およびアイドルレバー29を備えている。なお、図5は第1作動機構20および第2作動機構30の各構成部材をドアAの車外側からみた外側面図である。
【0012】
第1インサイドレバー21は、カバー12の内面側に支持ピン21aを介して回動可能に取付けられている。また、カバー12の外面側には、第3インサイドレバー61が同一の支持ピン21aを介して回動可能に取付けられている。第1インサイドレバー21は、カバー12側に向けて突出する係合突起部21bを備え、係合突起部21bはカバー12の円弧状孔12aを貫通して第3インサイドレバー61の連結孔61aに係合して、第1インサイドレバー21を第3インサイドレバー61に一体的に連結している。第3インサイドレバー61は、ドアAの車内側に設けた図示しないインサイドハンドルに連結するインサイドケーブル62(詳細にはインナーワイヤ)に連結されていて、インサイドハンドルの開方向への操作(開操作)により図5の時計方向へ回動し、第1インサイドレバー21を同方向へ回動させる。
【0013】
第2インサイドレバー22は、カバー12の内面側に回動可能に取付けられて、第1インサイドレバー21の外側に位置しているもので、カバー12側へ突出する係合ピン22aと、ハウジング本体11側に位置する係合アーム部22bを備えている。第2インサイドレバー22においては、係合ピン22aを第1インサイドレバー21の長孔21cに挿通することにより、第1インサイドレバー21に連係されている。
【0014】
オープンリンク23は、第1インサイドレバー21の外側に位置し、後述するアクティブレバー27の第1係合ピン27bが挿通する長孔状の係合溝23a、第1インサイドレバー21の先端部21dが当接して係合するL字状の係合片部23b、および、後述するオープンレバー41に連結されるための連結部23cを備えていて、アクティブレバー27およびオープンレバー41にて支持されている。
【0015】
ロック操作レバー24は、ハウジング本体11の第1ケース部11aの内面側に回動可能に取付けられていて、ロッキングケーブル63用の取付孔24a、後述するアクティブレバー27の第3係合ピン27dを受承する受承部24b、後述する被掛止レバー31の一端を掛止する掛止部24c、および、第2インサイドレバー22の係合アーム部22bの先端部が当接する当接部24dを備えている。ロッキングケーブル63(詳細にはインナーワイヤ)は、ドアAの車内側に設けた図示しないロックノブに連結されると共に取付孔24aにてロック操作レバー24に連結されていて、ロックノブがロック操作された場合、その操作力をロック操作レバー24に伝達して、ロック操作レバー24を図5の時計方向へ回動させ、ロックノブがアンロック操作された場合、その操作力をロック操作レバー24に伝達して、ロック操作レバー24を図5の反時計方向へ回動させる。
【0016】
電動モータ25は、第1作動機構20に対する操作力を出力すべく機能するものであり、カバー12の内面側に取付けられている。電動モータ25はその出力軸に一体的に組付けたウォーム25aを備え、ウォーム25aはホイールギヤ26のギヤ部に噛合している。電動モータ25は、キーブレードやドア室内トリムに設けたロック・アンロックスイッチの操作(ロック・アンロック操作)によるリモートコントロール操作によって駆動を制御される。ホイールギヤ26は、電動モータ25の出力部に該当するもので、その外面側に一対の係合ピン26a,26bを備えていて、第1ケース部11aとカバー12とに回転可能に支持されている。両係合ピン26a,26bは、ホイールギヤ26の回転中心を挟んで同一円周上に所定間隔を保持して配置されていて、ホイールギヤ26の正逆回転時に、何れか一方がアクティブレバー27の扇形面に対して当接・離脱し、何れか他方がアクティブレバー27の係合凹所27aに対して進退する。
【0017】
アクティブレバー27は、第1ケース部11aとカバー12に回動可能に支持されて、オープンリンク23とロック操作レバー24間に位置しており、カバー12に対向する対向面側に係合凹所27a(図5参照)、第1係合ピン27b(図5参照)、および第2係合ピン27cを備え、第1ケース部11aに対向する対向面側に第3係合ピン27dおよび突起部27eを備えている。また、アクティブレバー27は、ハウジング本体11に設けた突片11cと弾撥的に係合するアーム27fを備えている。
【0018】
アクティブレバー27において、係合凹所27aはホイールギヤ26側に臨み、第1係合ピン27bはオープンリンク23の係合溝23aに挿通されている。また、第2係合ピン27cは後述するアイドルレバー29の第2係合溝29bに係合し、第3係合ピン27dはロック操作レバー24の受承部24bに受承され、突起部27eは後述する掛止レバー32に近接して位置している。またアクティブレバー27の係合凹所27aは、ホイールギヤ26が正逆回転した際、ピン26aまたは26bが選択的に進退して係合・非係合し、アクティブレバー27を図5の時計および反時計方向へ選択的に回動させるように形成されている。
【0019】
キーレバー28は、円柱状の柱状本体28aとそれに一体に連結されたレバー部28bとからなるもので、ハウジング本体11の第1ケース部11aに、アイドルレバー29とともに回転可能に支持されており、柱状本体28aには図1〜図3に示したキーシリンダBから突出するロッドCの先端部がトルク伝達可能に嵌合する嵌合溝28cを備えるとともに、レバー部28bの背面にはアイドルレバー29に設けた円弧状の第1係合溝29aに挿入される係合ピン28d(図5参照)を備えている。
【0020】
アイドルレバー29は、その先端部に先端側が開口する第2係合溝29bを備え、第2係合溝29bには、アクティブレバー27の第2係合ピン27cが挿入されている。キーレバー28は、キーブレード(図示省略)によってキーシリンダBを回動操作することにより回動してアイドルレバー29を図5の時計方向および反時計方向へ選択的に回動させ、かつ、アイドルレバー29を介してアクティブレバー27を図5の時計方向および反時計方向へ選択的に回動させる。
【0021】
第2作動機構30は、被掛止レバー(被ダブルロックレバー)31、掛止レバー(ダブルロックレバー)32、電動モータ33を備えている。被掛止レバー31は、線状のバネ鋼材(他の弾性素材で構成して実施することも可能である)を屈曲形成してなるもので、コイル状の基部31aと、基部31aから所定長さ延びるレバー部31bと、レバー部31bの先端部に形成されたフック状の被掛止部31cを備えている。被掛止レバー31においては、その基部31aがロック操作レバー24を回動可能に支持する支持ピン24f周りに巻回させた状態で、その基部31aの一端がロック操作レバー24の掛止部24cに掛止され、そのレバー部31bの中間部がロック操作レバー24の掛止部24eに掛止されて取付けられている。被掛止レバー31は、レバー部31bを図5の反時計方向へ付勢された状態でロック操作レバー24に連動動作可能に組付けられていて、レバー部31bの先端部の背部にてアクティブレバー27の第3係合ピン27dをロック操作レバー24の受承部24bとにより受承している。
【0022】
掛止レバー32は、第1ケース部11aとカバー12に回動可能に取付けられていて、図5に示したように、一端側の揺動アーム32aの先端部に掛止部32bを備え、他端側の揺動アーム32cの先端縁に円弧状のギヤ部32dを備えている。電動モータ33は、掛止レバー32を駆動して回動させるもので、その出力軸に設けたウォーム33aを掛止レバー32のギヤ部32dに噛合させている。電動モータ33は、キーブレード等に設けたダブルロックスイッチの操作(セット・アンセット操作)によるリモートコントロール操作によって駆動を制御される。掛止レバー32は、被掛止レバー31が図6に示すダブルロック動作位置に移行している状態で、電動モータ33の正回転駆動により図示時計方向へ回動されると、図8に示したように被掛止レバー31の被掛止部31cを揺動アーム32aの掛止部32bにて掛止(保持)する。
【0023】
掛止レバー32による被掛止レバー31の掛止状態(ダブルロック状態)は、掛止レバー32を図示反時計方向へ回動動作させることにより解除されるが、この掛止レバー32の回動動作は、リモートコントロール操作による電動モータ33を逆回転駆動させることにより当然に行えるとともに、アクティブレバー27のアンロック動作位置への移行動作によっても行われる。掛止レバー32が被掛止レバー31を掛止している状態(セット位置)では、アクティブレバー27は図8に示したようにロック動作位置に移行していて、アクティブレバー27の突起部27eが掛止レバー32の揺動アーム32aの上方にてこれに近接して位置している。このため、アクティブレバー27を図示時計方向へ回動動作させれば、アクティブレバー27の突起部27eが掛止レバー32の揺動アーム32aの上端部に当接して揺動アーム32aを下方へ押動し、掛止レバー32を反時計方向へ所定量回動させて、図6に示したように、掛止レバー32による被掛止レバー31の掛止状態を解除する(アンセット位置とする)。
【0024】
第3作動機構40の各構成部材は、ハウジング本体11の第2ケース部11bとボディ13間にてその内部に配設されている。第3作動機構40は、オープンレバー41およびリフトレバー42を備えている。オープンレバー41は、第2ケース部11bとサブベースプレート14間にて、支持ピン43aおよびトーションスプリング43bを介して回動可能に支持されている。オープンレバー41の一方の回動端部41aには、ドアAの車外側に設けたアウトサイドハンドルDに連結するアウトサイドリンクEが連結され、かつ、他方の回動端部41bには、オープンリンク23の連結部23cが嵌着されて連結されている。オープンレバー41は、アウトサイドハンドルDの開方向への操作(車外方向への開操作)により、トーションスプリング43bに抗して他方の回動端部41bを上動させるように回動する。リフトレバー42は、カバー13を貫通して延びる後述するポール52の軸部52bの外周に一体回転可能に嵌合していて、図5に示したように、その周縁部に設けた係合片42aがオープンリンク23の係合片部23bの上端縁の上方に臨んでいる。
【0025】
被掛止機構50は、ラッチ51、ポール52、および、これらをそれぞれ付勢する一対のトーションスプリング53,54を備えるとともに、図4に示した3個のゴムクッション(符号省略)を備えているもので、ラッチ51とラッチ用のトーションスプリング53とポール52の本体部52aは3個のゴムクッションとともにボディ13とベースプレート15間にてボディ13の内部に配設されている。
【0026】
ラッチ51は、サブベースプレート14とボディ13とベースプレート15を貫通してこれらによって支持された支持ピン55を介して、ボディ13とベースプレート15間にて回転可能に支持されていて、支持ピン55の外周に同軸的に組付けたトーションスプリング53の一端が掛止されている。トーションスプリング53の他端はボディ13側に掛止されていて、ラッチ51の回転を所定の力で規制し、ラッチ51が回転した際にはラッチ51を回転復帰すべく付勢する。ラッチ51は、トーションスプリング53の作用にて、その掛止溝51aの開口部がベースプレート15に設けた挿入溝15aの開口部に略一致するように保持されている。
【0027】
ポール52は、ブロック状の本体部52aと、本体部52aに略直交して延びる軸部52bからなるもので、軸部52bはボディ13とサブベースプレート14を貫通してハウジング本体11の第2ケース部11b内に臨んだ状態で、サブベースプレート14およびベースプレート15に回転可能に支持されている。ポール52の軸部52bには、ボディ13とサブベースプレート14間の中間部位の外周にポール用のトーションスプリング54が同軸的に組付けられ、かつ、その先端の部位にリフトレバー42が一体回転可能に嵌着固定(カシメ固定)されている。トーションスプリング54は、その一端をポール52側に掛止されかつ他端をサブベースプレート14側に掛止されていて、ポール52の回転を所定の力で規制するとともに、ポール52が回転した際にはポール52を回転復帰すべく付勢する。ポール52は、本体部52aをラッチ51の外周に当接させている。
【0028】
ラッチ51は、車体側に組付けたストライカ56がベースプレート15の挿入溝15aを通して相対的に進入した際には、ストライカ56の押動作用にてトーションスプリング53に抗して回転しつつストライカ56を受け入れ、この間、ポール52はラッチ51の外周に摺接しつつ外周の掛止部51bに相対的に移行して、図2に示したように同掛止部51bに掛止される。これにより、ラッチ51は、ストライカ56を受け入れた回転状態でポール52により保持され、ストライカ56を掛止するとともにこの掛止状態を保持する。この状態では、ドアは閉止状態にある。
【0029】
ラッチ51は、この掛止状態では、トーションスプリング53にて復帰方向へ付勢されており、リフトレバー42が回動されてポール52が回転しラッチ51の掛止部51bから離脱した際には、トーションスプリング53の付勢力で回動復帰するとともに、掛止溝51aの開口部がベースプレート15に設けた挿入溝15aの開口部に一致する方向へ回転する。この状態では、ストライカ56はラッチ51の掛止溝51aおよびベースプレート15に設けた挿入溝15aから退出可能である。従って、ドアはこの状態では開放可能である。ポール52は、ラッチ51とストライカ56との掛止状態および非掛止状態を選択的に形成すべく機能するもので、トーションスプリング54に抗して回転操作されると、ラッチ51の掛止部51bから離脱してラッチ51とストライカ56との掛止状態を解除する。
【0030】
上記のように構成した当該ドアロック装置においては説明を省略するが、ラッチ51とストライカ56の掛止状態の解除が不能なロック状態を形成する作動、ラッチ51とストライカ56の掛止状態の解除が可能なアンロック状態を形成する作動、アンロック状態においてドアを開閉操作する作動、ロック状態においてドアを開閉操作する作動(いわゆるワンモーション作動)、ロック状態をアンロック状態に解除し得ないダブルロック状態を形成する作動、および、ダブルロック状態を解除する作動が得られる。
【0031】
ところで、本実施形態においては、図4および図9に示したように、電動モータ25、ウォーム25a、ホイールギヤ26等からなるアクチュエータ(電動でロック・アンロック可能なアクチュエータ)を収容するケーシングが対の割体、すなわちハウジング本体11の第1ケース部11aとカバー12を接合することにより構成されていて、ホイールギヤ26の支持部が、第1ケース部11aに設けた段付の円筒状軸部11dと、カバー12に設けた受部12bと、受部12bと円筒状軸部11dを軸方向にて一体的に連結するねじ16によって構成されている。
【0032】
第1ケース部11aに設けた円筒状軸部11dは、先端部を小径として第1ケース部11aに一体的に形成されていて、カバー12に向けて突出しており、小径軸部11d1の先端部位を除く外周にてホイールギヤ26を回転可能に支持している。また、円筒状軸部11dは、小径軸部11d1と大径軸部11d2間に形成された段部11d3をホイールギヤ26の軸方向移動を規制するストッパとしている。
【0033】
一方、カバー12に設けた受部12bは、円筒状軸部11dの小径軸部11d1が嵌合する大径内孔12b1と、ねじ16の軸部が貫通する小径内孔12b2を有していて、大径内孔12b1と小径内孔12b2間に形成された段部12b3にて円筒状軸部11dの先端と当接している。また、受部12bは、大径内孔12b1の周壁をホイールギヤ26の軸方向移動を規制するストッパとしている。
【0034】
ねじ16は、その軸部が、受部12bの小径内孔12b2と、円筒状軸部11dの小径軸部11d1に形成した内孔(受部12bの小径内孔12b2と略同一径の孔)を貫通し、円筒状軸部11dの大径軸部11d2に形成した内孔(受部12bの小径内孔12b2より小径の孔)にねじ込まれることにより、円筒状軸部11dと受部12bとを軸方向にて一体的に連結している。このため、ホイールギヤ26を回転可能に支持している円筒状軸部11dの小径軸部11d1は、ねじ16の軸部によって拡径されることはなく、成形時の外径寸法が維持されている。
【0035】
上記した構成から明らかなように、本実施形態においては、受部12bと円筒状軸部11dをねじ16にて軸方向にて一体的に連結することにより、ホイールギヤ26の支持部の強度・剛性を高めることができて、ハウジング本体11の第1カバー部11aとカバー12が変形しても、ホイールギヤ26の支持部での変形を抑えることができる。したがって、安価な樹脂でのケーシング(ハウジング本体11およびカバー12)の薄肉化が可能であり、ケーシングのコスト低減を図りながら小型・軽量化を図ることが可能である。
【0036】
また、本実施形態においては、円筒状軸部11dと受部12bがホイールギヤ26の軸方向移動を規制するストッパ(段部11d3と大径内孔12b1の周壁)を有しているため、ホイールギヤ26が斜歯で形成されてスラスト荷重を受ける場合にもホイールギヤ26を的確に支持することができる。
【0037】
上記実施形態においては、受部12bと円筒状軸部11dを図9に示したように構成して実施したが、受部12bと円筒状軸部11dを図10に示したように構成して実施することも可能である。図10に示した実施形態においては、円筒状軸部11dの小径軸部11d1が短く形成されるとともに、受部12bが円筒状軸部11dに向けて円筒状に所定量突出形成されていて、同受部12bの円筒部外周にてもホイールギヤ26が回転可能に支持されるようになっている。この場合には、受部12b側での軸方向肉厚を上記実施形態に比して十分に確保することができて、同部位での軸方向強度を確保することが可能である。
【0038】
また、上記実施形態においては、電動モータ25、ウォーム25a、ホイールギヤ26等を備えたアクチュエータと、ラッチ51、ポール52、一対のトーションスプリング53,54を備えた被掛止機構50が一体的に組付けられて構成される自動車用ドアロック装置に本発明を実施したが、これらが別個に構成される自動車用ドアロック装置にも本発明は同様に実施し得るものである。
【0039】
本実施の形態においては、ドアロック装置は、ハウジング10内に収容される第1作動機構20、第2作動機構30および第3作動機構40を備えているが、ダブルロックの設定がない仕様の場合には、第2作動機構30を備えないドアロック装置としてもよい。この場合、第1作動機構20のロック操作レバー24の受承部24bは、第1作動機構20のアクティブレバー27の第3係合ピン27dが挿通される長孔形状とされ、ロック操作レバー24とアクティブレバー27とは係脱不能に連結される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用ドアロック装置をドアの内部に配設して車内側からみた内側面図である。
【図2】同ドアロック装置をドアの後方側からみた後面図である。
【図3】同ドアロック装置を上方からみた平面図である。
【図4】同ドアロック装置の分解斜視図である。
【図5】同ドアロック装置のアンロック状態における各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図6】同ドアロック装置のロック状態における各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図7】同ドアロック装置のロック状態におけるワンモーション作動時の各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図8】同ドアロック装置のダブルロック状態における各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図9】ホイールギヤの支持部の構成を示す断面図である。
【図10】図9に示した部位の変形実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10…ハウジング、11…ハウジング本体、11a…第1ケース部、11b…第2ケース部、11d…円筒状軸部、11d1…小径軸部、11d2…大径軸部、11d3…段部、12…カバー、12b…受部、12b1…大径内孔、12b2…小径内孔、12b3…段部、13…ボディ、14…サブベースプレート、15…ベースプレート、16…ねじ、25…電動モータ、25a…ウォーム、26…ホイールギヤ、42…リフトレバー、51…ラッチ、52…ポール、A…ドア。
Claims (3)
- ケーシングが対の割体を接合して構成され、同ケーシング内に収容された電動モータ、この電動モータの出力軸に一体的に組付けられたウォーム、前記ケーシングに回転可能に支持されて前記ウォームと噛合するホイールギヤを備えたアクチュエータによってロック・アンロック可能とした自動車用ドアロック装置において、前記ホイールギヤの支持部が、一方の割体に一体的に形成されて他方の割体に向けて突出し前記ホイールギヤを外周にて回転可能に支持する円筒状軸部と、他方の割体に一体的に形成されて前記円筒状軸部の先端と当接する受部と、軸部にて前記受部を貫通して前記円筒状軸部の内孔にねじ込まれ前記受部と前記円筒状軸部を軸方向にて一体的に連結するねじを備える構成としたことを特徴とする自動車用ドアロック装置。
- 請求項1に記載の自動車用ドアロック装置において、前記受部と前記円筒状軸部が前記ホイールギヤの軸方向移動を規制するストッパを有していることを特徴とする自動車用ドアロック装置。
- 請求項1または2に記載の自動車用ドアロック装置において、前記受部を前記円筒状軸部に向けて円筒状に突出させて同受部にても前記ホイールギヤを回転可能に支持するようにしたことを特徴とする自動車用ドアロック装置。
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