JP4653329B2 - 放電装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電装置及びこの放電装置を用いた複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のコロナ放電式の帯電器(放電装置)としては、ワイヤ放電方式(コロトロン、スコロトロン等)とピン放電方式(ピン電極型、鋸歯状電極型等)に大別される。後者は低オゾン発生のため近年電子写真複写機、プリンタ等でも使用されるようになってきた。特に、一枚の薄い板状部材に複数の鋸歯状の電極部を設けた電極板を用いた構造の帯電器が特開昭63−15272号公報や特開平5−45999号公報等によって開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者のワイヤ放電方式では、課題の一つに放電生成物、特にオゾン、NOxの発生量低減が挙げられる。オゾンは強い酸化力を持っており、部品劣化等の問題が発生する。また、ドイツBlueAngelMark(BAM)規制では、機外排出濃度が制限されており、実機搭載にはオゾンフィルタが必須である。これはコスト増大、装置の複雑化をまねき、また気流設計が必要といった課題が発生する。NOxに関しては、感光体(被放電体)にアンモニウム塩(硝酸アンモニウム)として付着し、異常画像の原因となる。硝酸アンモニウムは常温常湿では絶縁体であるが、高温高湿になると吸水し低抵抗となる。表面抵抗が低下するため、潜像が乱され画像流れとよばれる異常画像を引き起こす。
【0004】
このような理由から、ワイヤ方式ではオゾン、NOx発生量低減が望まれている。さらに非常に細いワイヤ(50〜100μm)を用いていることにより、取り扱い難いので、ワイヤ交換時、クリーニング時に切断しやすく、寿命が短く取り扱い難いという課題がある。
【0005】
一方、後者の鋸歯電極方式の場合、放電電極の曲率半径が小さい為に、オゾン発生量が少ないことが知られているが、長時間放電させると、経時によって曲率半径が大きくなり、放電が不安定となったり、放電しなくなる。放電しても、オゾン、NOx発生量が増加し、鋸歯の効果がなくなるといった課題がある。特に、トナーや紙粉、炭酸カルシウムが電極に付着することで、放電が停止してしまう。また、汚れた場合には、取り扱いの困難な鋭利な鋸歯電極であるため、電極のクリーニングがし難く、寿命が短いという課題もある。
【0006】
そこで、本発明は、取り扱いが容易であり、放電生成物の発生量を低減できるとともに、長寿命化が図れる放電装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、放電電極を備え、被放電体に放電を行う放電装置において、前記放電電極が板状の金属電極であり、板状の金属電極の両面が誘電体で覆われており、該放電電極と該誘電体との間に、両者に対して接着性を有する接着層を設け、前記放電電極がタングステンからなり、且つ前記誘電体がポリエチレンテレフタレートからなる場合に、前記接着層としてチタン又は窒化チタンを用いることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の発明では、放電電極の両面を誘電体で覆うことにより、放電領域が極小となり、オゾン、NOx等の放電生成物を低減することができる。また、放電電極は板状をなしていることにより、非常に切れにくく、取り扱いが容易なので、放電電極のクリ−リングが容易にでき、長寿命化が図れるとともに、交換が容易である。また、放電電極と該誘電体との間に、両者に対して接着性を有する接着層を設け、前記放電電極がタングステンからなり、且つ前記誘電体がポリエチレンテレフタレートからなる場合に、前記接着層としてチタン又は窒化チタンを用いることにより、放電電極と誘電体とを密着させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、放電電極の厚さが40μm以下であることを特徴とする。
【0010】
この請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、放電電極の厚さを40μmにすることにより、放電生成物の発生を更に低減することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、放電電極の少なくとも一端部には、ばねを取り付けるための固定部材が設けられ、固定部材に取り付けられたばねによって放電電極に張力をかけることを特徴とする。
【0012】
この請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、放電電極に張力をかけることにより、放電時における放電電極の振動を抑制できるので、放電電極の振動による放電量の増加や異音の発生を防止できる。また、経時で放電電極が延びても、ばねにより張力が保持されるので、安定する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、放電電極の両端部には、ばねを取り付けるための孔部が形成され、孔部に取り付けられたばねによって放電電極に張力をかけることを特徴とする。
【0014】
この請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、放電電極に張力をかけることにより、放電時における放電電極の振動を抑制できるので、放電電極の振動による放電量の増加や異音の発生を防止できる。更に、放電電極にばねを取り付ける孔部を形成するだけであり、ばねを取り付けるための部材を放電電極に別途設ける必要が無いので、構成が簡単である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、放電電極の露出部分の長さが、被放電体の長さよりも長いことを特徴とする。
【0016】
この請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、放電電極の露出部分の長さが、被放電体の長さよりも長くすることにより、被放電体への放電領域が広くなり、被放電体に対して充分に放電を行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、放電電極の露出部分をクリーニングするクリーニング部材を設けたことを特徴とする。
【0018】
この請求項6に記載の発明では、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、放電電極の露出部分をクリーニングするクリーニング部材を設けているので、放電電極の露出部分の汚れによって放電が不安定になるのを防止することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、クリーニング部材の放電電極に接する接触部が、誘電体及び放電電極を削ることを特徴とする。
【0020】
この請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、経時の放電によるスパッタ効果で放電電極や誘電体に鋭利な部分が形成されると異常放電が発生してしまうが、クリーニング部材の接触部に、例えばやすり状のものを用いることにより、クリーニングの度に放電電極、誘電体が少しずつ削れるため、常に新鮮で且つ滑らかな面が大気に露出するので、異常放電の発生を防止できる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の放電装置において、前記板状の金属電極の一方の面が、前記誘電体を介して前記被放電体に対向するように、前記放電電極及び前記誘電体を配置することを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の放電装置を、像担持体を帯電する帯電装置として用いることを特徴とする。
【0023】
この請求項9に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、像担持体に対する帯電が安定し、異常画像の発生を防止することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の放電装置を、除電を行うための除電装置として用いることを特徴とする。
【0025】
この請求項10に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、放電装置を、例えば、像担持体や転写紙の残留電荷を除去する除電装置として用いることにより、安定した除電を行うことができる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の放電装置を、トナー像の転写時の電荷付与装置として用いることを特徴とする。
【0027】
この請求項11に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、トナー像を転写紙や中間転写体に転写するための電荷付与装置として放電装置を用いることにより、安定して転写を行うことができ、異常画像の発生を防止できる。
【0028】
この請求項13に記載の発明では、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、トナー像を転写紙や中間転写体に転写するための電荷付与装置として放電装置を用いることにより、安定して転写を行うことができ、異常画像の発生を防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用した複写機を概略的に示す構成図である。図1に示すように、複写機30は、像担持体としての感光体1を備えている。感光体1は例えば図中矢印で示すように時計回りに回転する。感光体1の周囲には、感光体1の表面を均一に帯電処理する帯電装置(放電装置)2と、原稿画像に対応した光書き込みにより感光体1に静電潜像を形成する露光装置4と、感光体1に形成された静電潜像に現像スリーブ6bによってトナーを供給することで静電潜像をトナー像として現像する現像装置6と、感光体1上のトナー像を転写紙Pに転写する転写装置(電荷付与装置)8と、転写後に感光体1を次の画像形成に備えてクリーニングするクリーニング装置10と、クリーニング後に感光体1の残電位を除去する除電装置12とが設けられている。
【0030】
また、複写機30には、図示しない給紙装置が設けられている。給紙装置から送り出された転写紙Pは、転写装置8に向けて所定のタイミングで送り出され、転写装置8で感光体1側からトナー像が転写された後、図示しない定着装置においてトナー像が定着される。
【0031】
図2は、図3に示す放電部を概略的に示す図であり、(a)は帯電装置の側面図であり、(b)は放電部の斜視図であり、図3は、帯電装置を概略的に示す断面図である。図3に示すように、帯電装置2は、所定の電圧が印加されることにより放電を行う放電部23と、放電部23を収納するケーシング25とを備えている。図2(a)、(b)に示すように、放電部23は、板状の金属電極である放電電極27と、この放電電極27の上下面(両面)に設けられた誘電体29と、放電電極27と誘電体29とを密着させるために、放電電極27と誘電体29との間に設けられた中間層(図示せず)とを備えている。
【0032】
本実施の形態では、放電電極27として厚さが25μmで幅が2mmの板状のモリブテンを用いており、誘電体29として、厚さが50μmのポリミイドテープを用いていており、ポリミイドテープで構成された誘電体29が放電電極27の両面に貼り付けられている。また、放電電極27の誘電体29で覆われていない露出部分の長さを、感光体1の画像領域よりも長くしており、感光体1に充分な帯電を行えるようにしている。これに対し、放電電極27が感光体1の画像領域よりも短い場合には、感光体1における転写紙Pの両端部に対応する部分を帯電し難くなり、異常画像が発生してしまう。
【0033】
尚、金属電極である放電電極27としては、放電に強い材料が望ましく、上述のモリブテンの他に、例えばタングステン、タンタルが望ましい。また、誘電体29としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の絶縁性が高く且つ絶縁破壊し難い材料が望ましい。また、中間層としては、厚さが500〜300Åの窒化チタン又はチタンを用いている。これは、誘電体29としてPETを用い、放電電極27としてタングステン、モリブテン、タンタル等の金属電極を用いた場合、これら金属電極とPETの接着性が悪いからであり、これらの金属電極を誘電体29に密着させるため、これら双方に対して接着性の良いタングステン又は窒化タングステンによる中間層を設け、密着性を上げている。
【0034】
図8(a)は、ワイヤ状の放電電極と板状の放電電極とを用いた場合における放電電流とオゾン濃度との関係を示すグラフであり、(b)は放電電流とNOx濃度との関係を示すグラフである。ワイヤ状の放電電極としては、直径が60μmのものを用い、板状の放電電極としては厚さ25μm、幅2mmのモリブテンを用いた。これら図8(a)、(b)をみても明らかなように、同じ放電電流で比較すると、板状の放電電極の方が約2倍ほど発生オゾン量が多いことがわかる。即ち、本実施の形態のように、放電電極27を板状とすることによって、ワイヤに比べて切れ難い放電電極が実現できるが、ワイヤを板に置き換えただけでは、特に発生オゾン量が増加することが判明した。
【0035】
ここで、本実施の形態の放電部23と、ワイヤ状の放電電極とを用いた場合における放電電流と、オゾン又はNOx濃度との関係を実験したので、その実験結果を図9に示す。図9(a)は、ワイヤ状の放電電極と本実施の形態の放電部とを用いた場合における放電電流とオゾン濃度との関係を示すグラフであり、図9(b)は放電電流とNOx濃度との関係を示すグラフである。ワイヤ状の放電電極としては、直径が60μmのものを用いた。図9(a)、(b)から、本実施の形態のように、板状の放電電極27に誘電体29を貼り付けて構成した放電部23であると、オゾン及びNOxの発生量が低減されていることがわかる。
【0036】
このように、板状の放電電極27の両面を誘電体29で覆うことにより、放電電極23における大気に露出する電極面積(露出面積)を小さくすることで、放電領域が規制されるので、これによりオゾン、NOx等の放電生成物の発生する領域が制限され、放電生成物の発生を防止することができる。
【0037】
ここで、放電電極27に張力がかかっていないと、放電時に放電電極27の振動による異音が発生する。また振動によって放電電極27とケーシング25との間の距離が瞬間的に短くなり、リーク放電が発生する場合があるので、放電電極27に張力をかけることで、振動を防止する必要がある。
【0038】
このため、本実施の形態では、図4に示すように、放電電極27の両端部にばね33を取り付ける取付部材31を配置し、この取付部材31にばね33の一端部を取り付け、ばね33の他端部をケーシング25の絶縁部材からなるエンドブロック35に取り付けることによって、放電電極27に張力をかけている。尚、本実施の形態では、放電電極27の両端部に取付部材31を設けたが、図5のように、放電電極27の両端部に孔部37を形成し、この孔部37にばね33の一端部を引っ掛けるようにしても良い。
【0039】
図10(a)は、放電電流が600μAのときにおける放電電極の厚さと発生オゾン量との関係を示すグラフであり、(b)は、放電電流が600μAのときにおける放電電極とNOx量との関係を示すグラフである。尚、図10のグラフにおいては、横軸に放電電極の厚さをとり、縦軸にオゾン又はNOxの発生量をとっている。
【0040】
この図10のグラフに示すように、ワイヤ状の放電電極を用いた場合のオゾン量が4ppm、NOx量が0.25ppmであることから、これらオゾン及びNOxを低減するためには、放電電極の厚さを40μmにする必要があることがわかる。このため、本実施の形態では、上述のように厚さが25μmの放電電極27を用いている。尚、放電電極27の厚さは、25μmに限定されず、40μm以下であれば良い。
【0041】
一方、放電電極27により長時間放電を続けていくと、空気中のゴミや放電生成物が放電電極27に付着し、放電面が汚れてくる。放電面が汚れると、放電が不安定となりひどい場合には放電しなくなる。このため、定期的に放電面をクリーニングする必要があり、本実施の形態では、図3及び図6に示すように、放電部23をクリーニングするクリーニング部37を設けている。
【0042】
クリーニング部37は、クリーニング部材39とクリーニング部材39を図3の左右方向に移動するための取っ手41とで構成されており、クリーニングの際には、取っ手41を持って、スポンジ39を左右に移動することにより、放電電極27及び誘電体29に付着した汚れを除去する。尚、本実施の形態では、クリーニング部材39としてスポンジを用いているが、これに限定されない。
【0043】
一方、放電を続けるとスパッタ効果によって放電電極29がけずられ、電極面が不均一な状態となり、更に上下の誘電体29もスパッタによって削られて端面がぼろぼろの状態となる。放電電極27や誘電体29がスパッタで削られていくと、電界が極端に集中し、異常放電が発生する場合がある。これを防止するために、クリーニング時にわずかではあるが誘電体29や放電電極27の表面を削ることが効果的である。
【0044】
このため、本実施の形態では、クリーニング部材39の放電電極27に接触する接触部39aは、摩擦係数の大きな部材で構成し、クリーニング時にわずかではあるが放電電極27や誘電体29を削るようにする。本実施の形態では、やすり状のものをクリーニング部材39の接触部39aに設けている。これにより常に放電電極27や誘電体29の表面が、滑らかとなり電界の極端な集中がなくなり異常放電が発生しなくなる。
【0045】
尚、本実施の形態では、取っ手41を手で持つことにより、クリーニング部材39を左右に移動させたが、例えば、図7に示すように、取っ手41にボールネジ45に螺合する螺合部材43を設け、モータ等によりボールネジ45を回転駆動することにより、クリーニング部材39を左右に移動するようにしてもよい。
【0046】
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、帯電装置2に放電部23を用いたが、これに限定されず、除電装置12や転写装置8に、放電部23を用いても良い。
【0047】
本発明は、複写機30に適用したが、これに限定されず、例えば、複写機の他にプリンタ、ファクシミリ、或いはこれらの複合機等の画像形成装置に適用しても同様な作用効果を得る。
【0048】
【実施例1】
厚さ25μm、幅2mm、長さ350mmのモリブテンで構成された放電電極27上に、厚さ50μmのポリイミドテープ29を張りつけた放電部23を用いて帯電装置2とした。放電電極27は、ポリイミドテープで、開口幅20mm、高さ18mmのケーシング25の中央に固定した。また、放電電極27と感光体1間には、帯電均一性を得るために、通常のスコロトロン帯電器に用いられるグリッド電極を配置した。この帯電装置2を、流量1000L/minのファンを取り付けている幅255mm、長さ520mm、高さ80mmのアクリル樹脂容器に入れ、定電流電源を用いて電圧を印加し、ファン出口でオゾン、NOx濃度を測定した。測定は25.5℃、62%RH下で実施した。
【0049】
実施例1の測定結果を図11のグラフに示す。図11(a)のグラフの横軸には放電電流をとり、縦軸にはオゾン濃度をとり、(b)のグラフの横軸には放電電流をとり、縦軸にはNOx濃度をとっている。また、図11においては、比較のため、直径60μmのワイヤ状の放電電極を用いた場合の結果も示している。
【0050】
図11から、本実施例1の放電電極27では、オゾンで約60%、NOxが20%程度の低減効果があることが確認された。尚、オゾンは期待通りの結果であったが、NOxはオゾンほど低減されていない。これはNOxは、オゾンによる酸化反応が絡んでくるため、単純に放電領域の大きさだけでは議論できないためと考えられる。
【0051】
【実施例2】
実施例1の構成で環境試験を行なったところ、高温条件下では放電電極27が延びてしまい、振動が発生した。振幅が大きくなると放電電極27とケーシング25との間でリークが発生する現象が観測された。そこで、図5に示すように、放電電極27の両端部に孔部37を形成し、ばね33で張力を加えた実験を行なったところ、10℃〜35℃の環境下でも安定した放電が可能となった。
【0052】
【実施例3】
実施例2の構成で、連続10時間の放電を行なったところ、実験終了後には放電電極27表面に白い放電生成物が確認された。再度放電を行なったところ、放電生成物が付着した個所は放電せず、輝点数が減少していることが判明した。スポンジで構成されたクリーニング部材39で、放電電極表面を拭き取った後に放電を行なったところ、初期と同等の放電光が観察された。
【0053】
【実施例4】
実施例2の実験後、さらに50時間の連続放電を行なったところ、誘電体29が白濁劣化した。拡大すると多数の亀裂が見られた。放電電極27の表面も凹凸が見られた。これは放電のスパッタによって電極、誘電体が劣化したためと考えられる。そのまま放電を続けたところ、異常放電が発生した。このため、クリーニング部材39の放電電極27、誘電体29に当たる接触部39aに紙やすり(1500番)を貼り付けて、10時間毎にクリーニングを行なったところ、100時間までの放電では異常放電は発生しなかった。
【0054】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、放電電極の両面を誘電体で覆うことにより、放電領域が極小となり、オゾン、NOx等の放電生成物を低減することができる。また、放電電極は板状をなしていることにより、非常に切れにくく、取り扱いが容易なので、放電電極のクリ−リングが容易にでき、長寿命化が図れるとともに、交換が容易である。また、放電電極と該誘電体との間に、両者に対して接着性を有する接着層を設け、前記放電電極がタングステンからなり、且つ前記誘電体がポリエチレンテレフタレートからなる場合に、前記接着層としてチタン又は窒化チタンを用いることにより、放電電極と誘電体とを密着させることができる。
【0055】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、放電電極の厚さを40μmにすることにより、放電生成物の発生を更に低減することができる。
【0056】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、放電電極に張力をかけることにより、放電時における放電電極の振動を抑制できるので、放電電極の振動による放電量の増加や異音の発生を防止できる。また、経時で放電電極が延びても、ばねにより張力が保持されるので、安定する。
【0057】
請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、放電電極に張力をかけることにより、放電時における放電電極の振動を抑制できるので、放電電極の振動による放電量の増加や異音の発生を防止できる。更に、放電電極にばねを取り付ける孔部を形成するだけであり、ばねを取り付けるための部材を放電電極に別途設ける必要が無いので、構成が簡単である。
【0058】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明と同様な効果を奏するとともに、放電電極の露出部分の長さが、被放電体の長さよりも長くすることにより、被放電体への放電領域が広くなり、被放電体に対して充分に放電を行うことができる。
【0059】
請求項6に記載の発明では、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明と同様な効果を奏するとともに、放電電極の露出部分をクリーニングするクリーニング部材を設けているので、放電電極の露出部分の汚れによって放電が不安定になるのを防止することができる。
【0060】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、経時の放電によるスパッタ効果で放電電極や誘電体に鋭利な部分が形成されると異常放電が発生してしまうが、クリーニング部材の接触部に、例えばやすり状のものを用いることにより、クリーニングの度に放電電極、誘電体が少しずつ削れるため、常に新鮮で且つ滑らかな面が大気に露出するので、異常放電の発生を防止できる。
【0061】
請求項9に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明と同様な効果を奏するとともに、像担持体に対する帯電が安定し、異常画像の発生を防止することができる。
【0062】
請求項10に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、放電装置を、例えば、像担持体や転写紙の残留電荷を除去する除電装置として用いることにより、安定した除電を行うことができる。
【0063】
請求項11に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、トナー像を転写紙や中間転写体に転写するための電荷付与装置として放電装置を用いることにより、安定して転写を行うことができ、異常画像の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した複写機を概略的に示す構成図である。
【図2】図3に示す放電部を概略的に示す図であり、(a)は帯電装置の側面図であり、(b)は放電部の斜視図である。
【図3】帯電装置を概略的に示す断面図である。
【図4】放電部を拡大して示す斜視図である。
【図5】変形例に係る放電部を拡大して示す斜視図である。
【図6】クリーニング部及びその近傍を拡大して示す斜視図である。
【図7】変形例に係るクリーニング部及びその近傍を拡大して示す斜視図である。
【図8】(a)は、ワイヤ状の放電電極と板状の放電電極とを用いた場合における放電電流とオゾン濃度との関係を示すグラフであり、(b)は放電電流とNOx濃度との関係を示すグラフである。
【図9】(a)は、ワイヤ状の放電電極と本実施の形態の放電部とを用いた場合における放電電流とオゾン濃度との関係を示すグラフであり、図6(b)は放電電流とNOx濃度との関係を示すグラフである。
【図10】(a)は、放電電流が600μAのときにおける放電電極の厚さと発生オゾン量との関係を示すグラフであり、(b)は、放電電流が600μAのときにおける放電電極とNOx量との関係を示すグラフである。
【図11】実施例1の測定結果を示すグラフであり、(a)は、放電電流とオゾン濃度との関係を示すグラフであり、(b)は、放電電流とNOx濃度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電装置
8 転写装置(電荷付与装置)
12 除電装置
Claims (11)
- 放電電極を備え、被放電体に放電を行う放電装置において、
前記放電電極が板状の金属電極であり、板状の金属電極の両面が誘電体で覆われており、該放電電極と該誘電体との間に、両者に対して接着性を有する接着層を設け、
前記放電電極がタングステンからなり、且つ前記誘電体がポリエチレンテレフタレートからなる場合に、前記接着層としてチタン又は窒化チタンを用いることを特徴とする放電装置。 - 前記放電電極の厚さが40μm以下であることを特徴とする請求項1記載の放電装置。
- 前記放電電極の少なくとも一端部には、ばねを取り付けるための固定部材が設けられ、該固定部材に取り付けられた前記ばねによって前記放電電極に張力をかけることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電装置。
- 前記放電電極の両端部には、ばねを取り付けるための孔部が形成され、該孔部に取り付けられた前記ばねによって前記放電電極に張力をかけることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電装置。
- 前記放電電極の露出部分の長さが、前記被放電体の長さよりも長いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放電装置。
- 前記放電電極の前記露出部分をクリーニングするクリーニング部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放電装置。
- 前記クリーニング部材の前記放電電極に接する接触部が、前記誘電体及び前記放電電極を削ることを特徴とする請求項6に記載の放電装置。
- 前記板状の金属電極の一方の面が、前記誘電体を介して前記被放電体に対向するように、前記放電電極及び前記誘電体を配置することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の放電装置。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の放電装置を、像担持体を帯電する帯電装置として用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の放電装置を、除電を行うための除電装置として用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の放電装置を、トナー像の転写時の電荷付与装置として用いることを特徴とする画像形成装置。
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