JP4652834B2 - Co除去触媒とその製造方法 - Google Patents
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Description
1.下記式で定義されるフリー硝酸濃度Aが50〜200である硝酸を溶媒とする硝酸ルテニウム溶液を担体に含浸させて得られることを特徴とするCO除去触媒。
A=B−C×1.87
(ここで、Bは硝酸ルテニウム溶液のアルカリ消費量硝酸換算値[グラム/リットル]、Cは硝酸ルテニウム溶液のルテニウム濃度[グラム/リットル]である。)
2.フリー硝酸濃度Aが50〜150であることを特徴とする1記載のCO除去触媒。
3.前記担体が、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア及びセリアから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1又は2記載のCO除去触媒。
4.下記式で定義されるフリー硝酸濃度Aが50〜200である硝酸を溶媒とする硝酸ルテニウム溶液を担体に含浸させることを特徴とするCO除去触媒の製造方法。
A=B−C×1.87
(ここで、Bは硝酸ルテニウム溶液のアルカリ消費量硝酸換算値[グラム/リットル]、Cは硝酸ルテニウム溶液のルテニウム濃度[グラム/リットル]である。)
5.1〜3のいずれか記載のCO除去触媒を搭載したCO除去装置を含んで構成されることを特徴とする水素製造システム。
硝酸ルテニウム溶液中では、ルテニウムと化合していない硝酸イオン(NO3 −)は硝酸(HNO3)としてフリーの状態で存在する。フリーの状態で存在する硝酸の濃度を、フリー硝酸濃度Aと定義する。Aは、下記式で求められる。
A=B−C×1.87
(ここで、Bは硝酸ルテニウム溶液のアルカリ消費量硝酸換算値[グラム/リットル]、Cは硝酸ルテニウム溶液のルテニウム濃度[グラム/リットル]である。尚、1.87という数値は、以下の計算によって得られたものである。[(硝酸の分子量=63.01)×(硝酸ルテニウム溶液中のルテニウムの価数=3)]/(ルテニウムの原子量=101.07)=1.87)
A値はルテニウムの量や、硝酸量、水量等を変えることにより調整できる。例えば、硝酸ルテニウムを調製する際に使う硝酸や水の量を変えることにより調整できる。また、市販の硝酸ルテニウム溶液を加熱して水を蒸発させ、硝酸を加えるとA値を高くできる。
本発明では、好ましくはA値が50〜200である硝酸を溶媒とする硝酸ルテニウム溶液を用いる。より好ましくはA値が50〜150である硝酸を溶媒とする硝酸ルテニウム溶液を用いる。A値が200を超えると、CO除去活性が低くなる場合があり、A値が50未満であると、ルテニウム水酸化物の沈殿が生成し、含浸液としての使用に不適当な場合がある。
まず担体に硝酸ルテニウム溶液を含浸させる。
始めに、A値が好ましくは50〜200、より好ましくは50〜150である硝酸ルテニウム溶液を作成する。硝酸ルテニウム溶液において、硝酸ルテニウムの含有量は、通常、100g−Ru/L以下であり、好ましくは60g−Ru/L以下である。硝酸ルテニウムによって担持されるルテニウムの担持量は特に制限はないが、通常、担体に対してRuとして0.05〜10重量%が好ましい。
上述のように調製された触媒の担持金属は、使用した塩の状態あるいは水酸化物か酸化物の状態で存在する。通常は、この触媒を使用前に水素還元により還元する。水素還元は、通常、水素気流下、300〜600℃、好ましくは350〜500℃の温度で、1〜5時間、好ましくは1〜2時間行う。以上のようにして得られる触媒により、水素を主成分とし、かつ少なくともCOを含有する水素含有ガスに酸素を添加して、COの酸素による選択的酸化反応を行う。本発明のCO除去触媒は、水素製造用原料を改質又は部分酸化することによって得られる水素を主成分とするガス(改質ガス)中のCOを選択的に除去するのに好適に利用される。
ここで、脱硫装置は炭化水素原料に含まれる硫黄分を除去する装置であり、改質装置は脱硫処理した炭化水素原料から水素を得る装置である。改質の際、水素と共にCOが発生するので、変成装置でCOをCO2とH2に変成させる。CO除去装置は変成装置で変成されなかったCOを除去する装置であり、本発明のCO除去触媒はこの装置に用いられる。
本発明の方法で処理されたCO除去触媒は、水素製造用原料を改質又は部分酸化することによって得られる水素を主成分とするガス(改質ガス)中のCOを選択的に除去するのに好適に利用される。
このようにして製造される水素は燃料電池に好適に利用されるが、これに限定されるものではない。
C値は硝酸ルテニウム溶液のルテニウム濃度[グラム/リットル]である。
B値(硝酸ルテニウム溶液のアルカリ消費量硝酸換算値[グラム/リットル])について以下の方法で求めた。
(1)硝酸ルテニウム溶液1mlを量りとりイオン交換水にて100倍に希釈した。
(2)(1)のうち1mlを量りとり、ビーカーに入れた。
(3)(2)にエタノール49mlを加えた。
(4)予め調製した2.04×10−2規定の水酸化ナトリウム水溶液にて(3)の溶液を滴定した。
(5)(4)にてpH7になった点を中和点とし、それまでに要した水酸化ナトリウム溶液量(ml)をDとした。下記式よりBを求めた。
B=D×(2.04×10−2)×63.01/(1×1/100)
(ここで63.01は硝酸(HNO3)の分子量である。)
(3)では硝酸ルテニウムの溶液にエタノールを加えて希釈した。
分析の精度を向上するために希釈が必要であるが、この希釈のために水を使うと、水酸化ルテニウムの沈殿が生成する可能性がある。そこで有機溶媒のエタノールを使用した。尚、滴定の溶媒に水ではなく、エタノール等の有機溶媒を使用することは、例えば特開平7−286985等で公知である。
A=B−C×1.87
実施例1〜4、比較例1、2でそれぞれ使用した硝酸ルテニウム溶液のA値、B値及びC値について表1に示す。
塩化ルテニウム(田中貴金属工業(株)製、ルテニウム金属として38.35wt%含有)52.15gをイオン交換水に溶解し、1Lとすることでルテニウムとして20g/L含有する塩化ルテニウム水溶液を1L調製した。
これを攪拌しながら、14%アンモニア水を加え、pH7まで中和して水酸化ルテニウムを生成させた。
次いで、静置して水酸化ルテニウムを沈降させ上澄み液を傾斜法で分離し、残った沈殿に0.1%アンモニア水を1000ml加えて攪拌して静置し、上澄み液を傾斜法で分離する操作を3回繰り返した。
その後、イオン交換水を1000ml加えて攪拌して静置し、水酸化ルテニウムを沈降させ上澄み液を傾斜法で分離する操作を3回行った。
さらに、この水酸化ルテニウムの沈殿物に硝酸溶液(184g−硝酸/L)を300ml加えて、100℃の湯浴中で攪拌下で8時間加熱溶解し、次いで冷却したのち未溶解物をメンブランフィルターを用いてろ過分離して、硝酸ルテニウム溶液250mlを得た。これにイオン交換水100mlを加えた。この硝酸ルテニウム溶液は、ルテニウム含有率が50g/Lで、A値=62(グラム/リットル)であった。
このアルミナ担体をガラス棒でよくかき混ぜる中に上記硝酸ルテニウム溶液を滴下した後、さらに1分間程度よくかき混ぜ、さらに硝酸ルテニウム溶液のほとんどがアルミナ担体に吸収されるまで5分間隔で1分間合計6回撹拌を繰り返した。
硝酸ルテニウム溶液を吸収したアルミナ担体を焼成皿に回収し、これを100℃で3時間静置乾燥することによりCO除去触媒を得た。
実施例1において、250g−硝酸/Lの硝酸溶液を使用した以外は同じ方法で、A値=118(グラム/リットル)の硝酸ルテニウム溶液を得た。
調製した硝酸ルテニウム溶液を用いて、実施例1と同様にして触媒を得た。
実施例1において、285g−硝酸/Lの硝酸溶液を使用した以外は同じ方法で、A値=150(グラム/リットル)の硝酸ルテニウム溶液を得た。
調製した硝酸ルテニウム溶液を用いて、実施例1と同様にして触媒を得た。
実施例1において、335g−硝酸/Lの硝酸溶液を使用した以外は同じ方法でA値=191(グラム/リットル)の硝酸ルテニウム溶液を得た。
調製した硝酸ルテニウム溶液を用いて、実施例1と同様にして触媒を得た。
実施例1において、495g−硝酸/Lの硝酸溶液を使用した以外は同じ方法でA値=330(グラム/リットル)の硝酸ルテニウム溶液を得た。
調製した硝酸ルテニウム溶液を用いて、実施例1と同様にして触媒を得た。
実施例1において、630g−硝酸/Lの硝酸溶液を使用した以外は同じ方法で、A値=446(グラム/リットル)の硝酸ルテニウム溶液を得た。
調製した硝酸ルテニウム溶液を用いて、実施例1と同様にして触媒を得た。
尚、A値が50より低い硝酸ルテニウム溶液の調製時には、水酸化ルテニウムの沈殿が完全に溶解しなかったり、溶解した沈殿が再生成するため、触媒を調製用の含浸液としては適当でない。
[反応評価条件と性能]
以下の条件下で、触媒に原料ガス(多量のH2中に微量のCOを含む)を通じた。その結果、表1に示すように、実施例1〜4の触媒は比較例1、2の触媒と比較して、高いCO除去活性を示した。
1.触媒前処理還元条件
温度:400℃
圧力:大気圧
時間:1時間
GHSV:24,000hr−1
2.反応条件
温度:120℃
圧力:大気圧
GHSV:20,000hr−1
原料ガス組成(容量%):CO/CO2/O2/N2/H2O/H2
=0.6/15/0.9/3.5/20/Balance
尚、上記条件中のGHSVとは、供給ガスの標準状態における供給体積速度を使用する触媒層のみかけの体積で割った値(ガス空間速度)である。
また、本発明のCO除去触媒によって得られる水素含有ガスは、各種のH2 燃焼型燃料電池の燃料として好適に使用することができ、特に、少なくとも燃料極(負極)の電極に白金(白金触媒)を用いるタイプの各種のH2 燃焼型燃料電池(リン酸型燃料電池、KOH型燃料電池、固体高分子型燃料電池をはじめとする低温作動型燃料電池等)への供給燃料として利用することができる。
Claims (5)
- 下記式で定義されるフリー硝酸濃度Aが50〜200である硝酸を溶媒とする硝酸ルテニウム溶液を担体に含浸させて得られることを特徴とするCO除去触媒。
A=B−C×1.87
(ここで、Bは硝酸ルテニウム溶液のアルカリ消費量硝酸換算値[グラム/リットル]、Cは硝酸ルテニウム溶液のルテニウム濃度[グラム/リットル]である。) - フリー硝酸濃度Aが50〜150であることを特徴とする請求項1記載のCO除去触媒。
- 前記担体が、アルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア及びセリアから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のCO除去触媒。
- 下記式で定義されるフリー硝酸濃度Aが50〜200である硝酸を溶媒とする硝酸ルテニウム溶液を担体に含浸させることを特徴とするCO除去触媒の製造方法。
A=B−C×1.87
(ここで、Bは硝酸ルテニウム溶液のアルカリ消費量硝酸換算値[グラム/リットル]、Cは硝酸ルテニウム溶液のルテニウム濃度[グラム/リットル]である。) - 請求項1〜3のいずれかに記載のCO除去触媒を搭載したCO除去装置を含んで構成されることを特徴とする水素製造システム。
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