JP4652604B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に備えられる車両用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用シートとして、三名の乗員が左右に並んで着座可能なものが知られている。この車両用シートには、中央側の乗員が着座する中央側着座部と、左右外側の乗員が着座する外側着座部とが形成される。クッション部上面の中央側着座部と各外側着座部との間にはそれぞれ凹部が形成され、この凹部にベルト連結具としてのバックル又はタングがそれぞれ二つずつ収納される。即ち、各凹部には、左右外側の乗員用の外側バックルと、中央側の乗員用の中央側バックル又は中央側タングとが収納されている。ここで、各バックル及び中央側タングは、各凹部開口からクッション部上方に臨んで収納されており、クッション部の上方に引出自在となっている。
【0003】
各外側バックルは、一端側が車両側に固定された外シートベルトの他端側に設けられた外側タングと連結可能となっている。即ち、各外側バックルがクッション部の上方に引き出されて外側タングとが連結した状態で、左右外側の乗員が外シートベルトにより拘束されるようになっている。
【0004】
また、中央側タングは中央側乗員用の中央シートベルトが巻回されて収納され、中央側バックルと連結可能となっている。即ち、中央側タング及び中央側バックルがクッション部から引き出され、中央側タングと中央側バックルとが連結した状態で、中央側の乗員が中央シートベルトにより拘束されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記車両用シートでは、各凹部に二つのバックル又はタングを収納しているため、各凹部を大きく形成する必要があり、これによりクッション部におけるシート乗員の着座面積が小さくなるという問題点があった。さらに、各凹部の開口が大きいため、シートの外観を大きく損なうという問題点もある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シート乗員の着座面積を拡大するとともに、外観を大きく損なうことのない車両用シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、可撓性を有するクッション部2と、前記クッション部に二つのベルト連結具(例えば、外側バックル6、中央側タング8、中央側バックル9等)を隣接して備えた車両用シート1において、前記クッション部の上面に形成され、二つのベルト連結具のうち一方のベルト連結具を収納する凹部12と、前記クッション部に前記凹部と隣接して設けられ、他方のベルト連結具を収納する袋部13とを備え、前記袋部は、前記凹部を形成する側面に形成されて凹部に連通する開口を有し、その開口から前記他方のベルト連結具を収納可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、二つのベルト連結具のうち、一方のベルト連結具は凹部に収納され、他方のベルト連結具は袋部に収納される。即ち、一つのベルト連結具は袋部により隠蔽され、一つのベルト連結具のみが外部から視認される状態となる。各ベルト連結具はシートベルト使用時に、クッション部の上方に引き出されてシートベルトの連結に供される。ここで、袋部は可撓性を有するクッション部に形成されているので、袋部にベルト連結具を収納した際に、シート乗員の座り心地を損なうことはない。
【0009】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の車両用シートにおいて、前記袋部の開口を、前記凹部を形成する側面の上部に形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の作用に加え、隣接する二つのベルト連結具は、シートベルトの使用時に、一つの凹部開口を通じてクッション部の上方に引き出される。ここで、袋部の開口は凹部を形成する側面の上部に形成されており、車両用シートの外部からは視認することができない。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1または2記載の車両用シートにおいて、三名の乗員が左右に並んで着座可能なものであり、前記クッション部に、中央側の乗員が着座する中央側着座部11と、左右両側の乗員が着座する一対の外側着座部10とが形成されるとともに、前記中央側着座部と前記各外側着座部との間に、それぞれ前記凹部及び前記袋部を備えたものであって、前記各袋部を前記各凹部よりもクッション部の中央側に形成し、前記中央側の乗員用のベルト連結具を各袋部に収納するよう構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2の作用に加え、左右外側の乗員用のベルト連結具は凹部に収納され、中央側の乗員用のベルト連結具は袋部に収納される。即ち、使用頻度の比較的多い左右乗員用のベルト連結具は、収納された状態で凹部を通じて外部より視認可能であり、使用頻度の比較的少ない中央乗員用のベルト連結具は、収納された状態で袋部により隠蔽される。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1はシートベルトを使用した状態の車両用シートの外観斜視図、図2はシートベルトを使用した状態の車両用シートの正面断面図である。
【0014】
この車両用シート1は自動車に設置され、図1に示すように、三名のシート乗員が左右に並んで着座可能なものであり、シート乗員の尻付近を支持するクッション部2と、シート乗員の背付近を支持するバックレスト部3とを備えている。
【0015】
図1及び図2に示すように、この車両用シート1においては、左右外側の乗員を拘束する外シートベルト4の一端側は車両側に固定されている。各外シートベルト4の他端側には外側タング5が設けられ、各外側タング5は車両用シート1側に設けられたベルト連結具としての外側バックル6と連結可能となっている。また、中央側の乗員を拘束する中央シートベルト7の一端側はクッション部2の下方に固定され、中央側の乗員を拘束するに際しては、中央シートベルト7の他端側に設けられたベルト連結具としての中央側タング8と、クッション部2に設けられたベルト連結具としての中央側バックル9とを連結するようになっている。ここで、一方の外側バックル6は中央側タング8と、他方の外側バックル6は中央側バックル9とそれぞれ隣接している。
【0016】
クッション部2には、左右外側のシート乗員が着座する一対の外側着座部10と、中央側のシート乗員が着座する中央側着座部11とが形成される。クッション部2の上面の、各外側着座部10と中央側着座部11の間には、それぞれ凹部12が形成されている。図3に示すように、外シートベルトを使用しない状態では、各凹部12には外側バックル6が収納され、各外側バックル6はクッション部2の上方に引出自在となっている。
【0017】
また、図4に示すように、クッション部2には、各凹部12に隣接して収縮自在の袋部13が形成されている。本実施形態においては、各袋部13は隣接する凹部12に対してクッション部2の中央側に形成されている。また、各袋部13の開口は凹部12を形成する側面の上部に形成され、各袋部13の開口は略開閉自在となっている。図5に示すように、一方の袋部13には中央側バックル9が収納され、他方の袋部13には中央シートベルト7を巻回した中央側タング8が収納される。中央側バックル9及び中央側タング8は、図6に示すように、クッション部2の上方に引出自在となっている。
【0018】
以上のように構成された車両用シートでは、各シートベルト4,7を乗員の拘束に使用しない場合は、図5に示すように、各バックル6,9、中央側タング8が、各凹部12及び各袋部13に収納される。このとき、各袋部13に収納された中央側バックル9及び中央側タング8は、各袋部13により隠蔽され外部に露出することはない。即ち、各凹部12に収納された外側バックル6のみが露出し、外部から視認されるようになっている。
【0019】
また、隣接する凹部12及び各袋部13に収納された隣接する二つのベルト連結具(外側バックル6、中央側タング8、中央側バックル9)は、シートベルトの使用時に、それぞれ一つの凹部12の開口を通じてクッション部2の上方に引き出される。
【0020】
このように、本実施形態の車両用シート1によれば、各凹部12には一つのバックル6が収納されるようにしたので、例えば凹部に二つのベルト連結具を収納するものに比べて、各凹部12を小さく形成することができ、各着座部10,11を大きく形成することができる。従って、シート乗員の着座面積を拡大することができ、シート乗員の乗り心地を向上することができる。
【0021】
また、本実施形態の車両用シート1によれば、各凹部12に収納された外側バックル6のみが外部から視認されるようにしたので、例えば凹部に二つのベルト連結具を収納するもののように、外観を大きく損なうことはない。
【0022】
また、本実施形態の車両用シート1によれば、隣接する二つのベルト連結具を一つの凹部12の開口から引き出されるようにしたので、シート乗員にとって各ベルト連結具の引き出し・収納が容易である。さらに、各袋部13の開口が外部から視認されることはなく、これによっても、車両用シート1の外観が損なわれることはない。
【0023】
また、本実施形態の車両用シート1によれば、使用頻度が比較的多い外側バックル6が露出し、使用頻度が比較的少ない中央側バックル9及び中央側タング8が各袋部13に隠蔽されるようにしたので、実用に際して極めて便利である。
【0024】
尚、前記実施形態においては、三名の乗員が着座する車両用シート1を示したが、二つのベルト連結具が隣接して備えられているものであれば、三名以外の人数の乗員が着座するものであってもよい。
【0025】
また、前記実施形態においては、車両用シート1が自動車に設置されたものを示したが、例えば鉄道車両等のような、自動車以外の車両に設置されたものであってもよいことは勿論である。
【0026】
また、袋部13の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の発明によれば、各凹部には一つのベルト連結具が収納されるようにしたので、例えば凹部に二つのベルト連結具を収納するものに比べて、各凹部を小さく形成することができる。従って、シート乗員の着座面積を拡大することができ、シート乗員の乗り心地を向上することができる。
また、各凹部に収納された一つのベルト連結具のみが外部から視認されるようにしたので、例えば凹部に二つのベルト連結具を収納するもののように、外観を大きく損なうことはない。
【0028】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、隣接する二つのベルト連結具を一つの凹部の開口から引き出されるようにしたので、シート乗員にとって各ベルト連結具の引き出し・収納が容易である。さらに、各袋部の開口が外部から視認されることはなく、これによっても、車両用シートの外観が損なわれることはない。
【0029】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2の効果に加え、使用頻度の比較的少ない中央乗員用のベルト連結具は、収納された状態で袋部により隠蔽されるようにしたので、実用に際して極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシートベルトを使用した状態の車両用シートの外観斜視図である。
【図2】シートベルトを使用した状態の車両用シートの正面断面図である。
【図3】ベルト連結具が収納された状態を示す車両用シートの外観斜視図である。
【図4】凹部及び袋部を示すクッション部の拡大斜視図である。
【図5】ベルト連結具が収納された状態を示す車両用シートの正面断面図である。
【図6】ベルト連結具が引き出された状態を示す車両用シートの正面断面図である。
【符号の説明】
1 車両用シート
2 クッション部
6 外側バックル
7 中央シートベルト
8 中央側タング
9 中央側バックル
10 外側着座部
11 中央側着座部
12 凹部
13 袋部
Claims (3)
- 可撓性を有するクッション部と、前記クッション部に二つのベルト連結具を隣接して備えた車両用シートにおいて、
前記クッション部の上面に形成され、二つのベルト連結具のうち一方のベルト連結具を収納する凹部と、
前記クッション部に前記凹部と隣接して設けられ、他方のベルト連結具を収納する袋部とを備え、
前記袋部は、前記凹部を形成する側面に形成されて凹部に連通する開口を有し、その開口から前記他方のベルト連結具を収納可能であることを特徴とする車両用シート。 - 前記袋部の開口を、前記凹部を形成する側面の上部に形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
- 三名の乗員が左右に並んで着座可能なものであり、前記クッション部に、中央側の乗員が着座する中央側着座部と、左右両側の乗員が着座する一対の外側着座部とが形成されるとともに、前記中央側着座部と前記各外側着座部との間に、それぞれ前記凹部及び前記袋部を備えたものであって、前記各袋部を前記各凹部よりもクッション部の中央側に形成し、前記中央側の乗員用のベルト連結具を各袋部に収納するよう構成したことを特徴とする請求項1または2記載の車両用シート。
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