JP2004330975A - シートベルト装置 - Google Patents

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Makoto Nagai
誠 長井
Kazuaki Miyamoto
和明 宮本
Tatsuya Terauchi
達也 寺内
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】4点式シートベルトにおける拘束性能を向上する。
【解決手段】4点式シートベルトの左右のラップベルト3をシートクッション1の下部に設けたラップ側リトラクタ2により巻き取ると共に、各ラップベルトに結合された左右のショルダーベルト6をシートバック4の後背部に設けたショルダー側リトラクタ8により巻き取る。ラップ側リトラクタの巻き取り力Mrをショルダー側リトラクタの巻き取り力Msよりも大きく設定する(Mr>Ms)。これにより、ショルダーベルトの巻き取り力によりラップベルトがショルダーベルト側に持ち上げられることを防止できるため、ラップベルトによる乗員の腰部に対する位置がずれることが無く、衝突時の腰の移動量を規制することができ、リトラクタを用いて装着性を良くした4点式シートベルトにおける拘束性能を向上させることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4点シートベルトの拘束性を向上させることに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車に取り付けられているシートベルトにあっては、3点式シートベルトの他に競技車両に使用されている4点式シートベルトがある。4点式シートベルトは衝突時に高いホールド性を有するため、幼児用シートに用いたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図4に、4点式シートベルトの一例を示す。図のシートでは、図示されない乗員の腰部を支持する左右一対のラップベルト21が3点式シートベルトのラップベルトと同様に設けられていると共に、左右のラップベルト21毎に左右の各ショルダーベルト22の一端がそれぞれ結合されている。各ショルダーベルト22の各他端側がシートバック23のショルダーサポート23a近傍の左右のベルト通し孔23bを介してシートバックの背後に延出され、各延出端部が車室(あるいはシートバック)の適所に固定されている。
【0004】
また、各ベルト21・22の長さに余裕をもたせると共に、例えばショルダーベルト22にあってはその固定金具24に、ラップベルト21にあっては留め具を構成するタングプレート25にベルト長さ調節構造を設けて、座る人の体格に合わせて各ベルト21・22の長さを調節可能にしておく。そして、ラップベルト21の一方に設けたタングプレート25を他方に設けたバックル26に差し込んで結合することにより装着する。
【0005】
【特許文献1】
実公昭56−31466号公報(第1−2頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような4点式シートベルトにあっては、各ベルトの長さを調節して装着するため、シートに深く着座した状態でベルトの長さを決めた場合には前方衝突時の飛び出しに対する良好な拘束性能(ホールド性)が確保されるが、シートバックとの間に隙間が生じた状態でベルトの長さを決めた場合にはベルトの遊びにより拘束性能が劣るという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決して、4点式シートベルトにおける拘束性能を向上することを実現するために、本発明に於いては、シートに着座している乗員の腰部を巻くように設けられた左右一対のラップベルト(3)と、前記一対のラップベルト(3)のそれぞれに一端を結合されかつ前記乗員の左右の肩部に掛かるように設けられた左右一対のショルダーベルト(6)と、前記ラップベルト(3)を巻き取るためのラップ側リトラクタ(2)と、前記ショルダーベルト(6)を巻き取るためのショルダー側リトラクタ(8)とを有し、前記ラップ側リトラクタ(2)の巻き取り力を前記ショルダー側リトラクタ(8)の巻き取り力よりも大きく設定するものとした。
【0008】
これによれば、ラップベルトの巻き取り力の方がショルダーベルトの巻き取り力よりも大きいことから、ショルダーベルトの巻き取り力によりラップベルトがショルダーベルト側に持ち上げられることを防止できるため、ラップベルトによる乗員の腰部に対する位置がずれることが無く、4点式シートベルトにおける拘束性能を確実なものとすることができる。
【0009】
特に、前記ショルダーベルト(6)が前記ラップベルト(3)の留め具(5a・5b)近傍に結合されていると良い。これにより、着座前において留め具を外してラップベルトがリトラクタにより巻き取られている状態では、ラップベルトの留め具部分がシートクッションの脇に位置し得るため、ショルダーベルトのラップベルト側結合端部もシートの脇に逃げるようになり、着座時にベルトが邪魔になることがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面に示された具体例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明が適用された乗用車用シートを示す全体斜視図である。図において、乗員が着座する座面を形成するシートクッション1の下部にラップ側リトラクタ2が固設されており、ラップ側リトラクタ2には、その左右の互いに相反する方向にそれぞれ延出する左右一対のラップベルト3が設けられている。一対のラップベルト3は、シートクッション1とシートバック4との角部の左右端からシートクッション1の座面側に引き出されるようになっている。また、一対のラップベルト3の一方の引き出し端部には留め具を構成するバックル5aが結合されており、他方の引き出し端部にはバックル5aと共に留め具を構成するタングプレート5bが結合されている。
【0012】
一方のラップベルト3におけるバックル5aの近傍と、他方のラップベルトにおけるタングプレート5bの近傍とには、左右一対のショルダーベルト6の各一端部が結合されている。各ショルダーベルト6は、ラップベルト3との結合部から左右のショルダーサポート4aの近傍に至り、左右のショルダーサポート4aの各近傍に設けられた左右のベルト通し孔7をそれぞれ介してシートバック4の背後に延出されている。そして、各ショルダーベルト6の各端部が、シートバック4の後部に固設された各対応するショルダー側リトラクタ8に連結されている。なお、ショルダー側リトラクタ8は、通常の3点式シートベルトに用いられているものと同様の構造であって良く、その詳しい図示および説明は省略する。
【0013】
ラップ側リトラクタ2にあっては、そのケーシング内には、図2に示されるように左右一対の巻き取り軸11a・11bが互いに平行にかつそれぞれ回転自在に設けられている。一方の巻き取り軸11aには一対のラップベルト3の一方(例えば乗員の右側)の一端部が結合され、他方の巻き取り軸11bには他方(例えば乗員の左側)のラップベルト3の一端部が結合されており、それぞれ互いに相反する向きに巻き付けられている。両巻き取り軸11a・11bにはそれぞれ同数の歯数を有する歯車12a・12bが一体に設けられていると共に、両歯車12a・12bが互いにかみ合わされており、両巻き取り軸11a・11bは互いに相反する回転方向に同期して回転し得る。
【0014】
また、一方の巻き取り軸には、対応するラップベルトを巻き取る方向に弾発付勢する例えばねじりばね13の一端が結合されている。なお、ねじりばね13の他端は図示されないケーシングに固定されている。このねじりばね13は、対応する巻き取り軸11aに巻き付けられているラップベルト3を巻き取る方向にその巻き取り軸11aを回転させるように弾発付勢している。また、互いにかみ合う歯車12a・12bを介して他方の巻き取り軸11bが相反する方向に回転するように弾発付勢されており、両ラップベルト3が両巻き取り軸11a・11bにより同期しかつ左右対称に巻き取られるようになる。
【0015】
このようにして構成されたシートにあっては、各ベルト3・6がそれぞれ対応するリトラクタ2・8により自動的に巻き取られる。したがって、降車状態においてバックル5aとタングプレート5bとを解除しておくことにより、図3に示されるように、各ラップ側リトラクタ2により左右一対のラップベルト3が左右方向にそれぞれ図の矢印Aに示される向きに巻き取られている。また、各ショルダー側リトラクタ8により左右の各ショルダーベルト6がショルダーサポート4a側に引き上げられる(図の矢印B)ように巻き取られている。
【0016】
バックル5aとタングプレート5bとの解除状態では左右のラップベルト3が開いたようになるため、着座時にラップベルト3が邪魔にならずにシートクッション1上に着座し易い。ショルダーベルト6も、左右のラップベルト3に分かれて結合されているため、シートバック4の左右の側部に収まるようになり、シートバック4に背中を当てる時にショルダーベルト6が邪魔になることが防止される。そして、着座後に深く腰掛けるなど着座姿勢を整えて、バックル5aにタングプレート5bを結合してシートベルトを装着する。
【0017】
図1に示されるようにバックル5aにタングプレート5bを結合した状態では、各ラップベルト3及び各ショルダーベルト6がそれぞれリトラクタ2・8により巻き取られる方向に付勢されている。したがって、シートベルトの装着時に遊びが生じていても、自然に各ベルト3・6が締まるようになるため、4点式シートベルトによる高い拘束性能が確保される。
【0018】
そして、本発明によれば、ラップ側リトラクタ2の巻き取り力Mrをショルダー側リトラクタ8の巻き取り力Msよりも大きく設定している(Mr>Ms)。このようにすることにより、ショルダーベルト6によりラップベルト3が上に持ち上げられることを防止することができる。したがって、ラップベルト3の位置が腰の位置からずれることが無く、例えば前方衝突時における乗員の飛び出しに対して腰の移動を規制することができるため、装着性を向上した4点式シートベルトにおける高い拘束性能を向上し得る。
【0019】
なお、上記図示例では、ショルダー側リトラクタ8を左右のショルダーベルト6毎に別々に設けたが、左右別体でなくても良く、一体式のリトラクタを設けても良い。例えばショルダーベルト6のリトラクタ側をY字状に1本にして、その1本になったベルトを1つのリトラクタで巻き取るようにすることができる。また、ラップ側リトラクタ2も、図示例では1つのリトラクタで左右のラップベルト3を同時に巻き取るようにしているが、図示例のショルダー側リトラクタ8と同様に左右別々にリトラクタを設けて、左右のラップベルト3をそれぞれ別個に巻き取るようにしても良い。
【0020】
【発明の効果】
このように本発明によれば、ラップベルトの巻き取り力の方がショルダーベルトの巻き取り力よりも大きくすることにより、ショルダーベルトの巻き取り力によりラップベルトがショルダーベルト側に持ち上げられることを防止できるため、ラップベルトによる乗員の腰部に対する位置がずれることが無く、衝突時の腰の移動量を規制することができ、リトラクタを用いて装着性を良くした4点式シートベルトにおける拘束性能を向上させることができる。
【0021】
特に、ショルダーベルトをラップベルトの留め具近傍に結合することにより、着座前において留め具を外してラップベルトがリトラクタにより巻き取られている状態では、ラップベルトの留め具部分がシートクッションの脇に位置し得るため、ショルダーベルトのラップベルト側結合端部もシートの脇に逃げるようになる。これにより、着座時にベルトが邪魔になることがないため、装着性が良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された4点式シートベルトの装着状態を示す斜視図。
【図2】ラップ側リトラクタの構造を示す斜視図。
【図3】図1のシートベルトの解除状態を示す斜視図。
【図4】従来の4点式シートベルトを示す斜視図。
【符号の説明】
2 ラップ側リトラクタ
3 ラップベルト
5a タングプレート(留め具)
5b バックル(留め具)
6 ショルダーベルト
8 ショルダー側リトラクタ

Claims (2)

  1. シートに着座している乗員の腰部を巻くように設けられた左右一対のラップベルトと、前記一対のラップベルトのそれぞれに一端を結合されかつ前記乗員の左右の肩部に掛かるように設けられた左右一対のショルダーベルトと、前記ラップベルトを巻き取るためのラップ側リトラクタと、前記ショルダーベルトを巻き取るためのショルダー側リトラクタとを有し、
    前記ラップ側リトラクタの巻き取り力を前記ショルダー側リトラクタの巻き取り力よりも大きく設定したことを特徴とするシートベルト装置。
  2. 前記ショルダーベルトが前記ラップベルトの留め具近傍に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
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