JP4650283B2 - 運転者適応型運転行動推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転者の運転行動を推定する運転者適応型運転行動推定装置に関するものである。
従来、レーンキープアシストやACC(Adaptive Cruise Control)等の運転支援システムが知られている。こうした運転支援システムにおいては、運転者の運転行動に対して適切な支援が行われないと、支援自体が運転者にとって負荷となってしまうことも考えられる。このため、運転者の運転行動を的確に推定してその運転行動に応じた支援を行うことが重要となる。そこで、運転者の運転行動を推定する運転行動推定装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の運転行動推定装置では、一般に音声認識に使われている隠れマルコフモデルを用いた統計学的手法によって運転者による運転行動の推定を行っている。具体的には、この運転行動推定装置は、認識対象となる運転行動(右左折や直進等の行動)に対応するモデルを複数備えている。このモデルは、アクセルの踏み込み量、ブレーキの踏み込み量、速度、加速度等によって表される運転データが入力されることでモデルに対応する運転行動の出現確率を出力するものであり、推定対象となる運転行動を行った場合の運転データに基づき作成されている。そして、このモデルに実際の運転データを入力することで各モデルに対応する運転行動の出現確率を算出し、最も高い出現確率のモデルに対応する運転行動が運転者が実際に行う運転行動であると推定する。このような隠れマルコフモデルを用いた運転行動推定装置では、様々な運転者の運転行動特性に対応可能とするために、複数の運転データに基づき作成されたモデルによって運転行動のパターンの認識を行うが、実際の運転データに近いものによってモデルの作成が行われていなければ、運転行動推定装置による運転行動の推定結果と実際に運転者が行う運転行動の結果とが異なる場合があり、運転行動の推定精度が低下する。このため、各運転者にそれぞれ対応するようにモデルを作成し、運転行動の推定を行う必要がある。
そこで、特許文献2に記載の運転行動推定装置は、自車両の運転者に対応した運転データを記憶する記憶装置を備えており、この記憶装置に記憶された運転データに基づき隠れマルコフモデルに用いられるモデルを作成することで、自車両の運転者に対応したモデルの学習を行っている。
特開平11−99849号公報 特開2002−331850号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の構成では、運転者に対応する運転行動を示す運転データのみによってモデルの学習を行うことから、同じ運転者によって同一の運転行動が行われた場合であっても運転データに個人内差が生じ、実際に行う運転行動と推定された運転行動とが一致しない場合がある。このため、モデルの学習結果が運動行動の推定精度の向上に結びつくとは限らないという問題があった。
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、運動行動の推定精度の高い運転者適応型運転行動推定装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の運転者適応型運転行動推定装置では、位置情報取得手段が、自車両(本運転者適応型運転行動推定装置が搭載された車両)の現在位置を表す位置情報を取得し、経路情報取得手段が、自車両の走行経路を表す経路情報を取得する。そして、距離算出手段が、位置情報及び経路情報に基づき経路情報に含まれる経路上の分岐点である対象ポイントまでの距離(自車両から対象ポイントまでの距離)を求める。なお、位置情報取得手段、経路情報取得手段、距離算出手段としては、例えば、周知のカーナビゲーションシステムの構成を利用することが可能である
また、この運転者適応型運転行動推定装置では、運転データ取得手段が、自車両の速度情報と、自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報とからなる運転データを取得する。さらに、この運転者適応型運転行動推定装置は、運転者の車両操作の傾向を示す運転傾向パラメータを記憶するパラメータ記憶手段を備えている。そして、運転行動推定手段が、距離算出手段にて求められた距離が予め設定された許容値以下である場合に運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴と、パラメータ記憶手段に記憶されている運転傾向パラメータとに基づいて、対象ポイントでの運転者の運転行動を推定する。なお、運転行動推定手段は、速度情報と操作情報とからなる運転データの履歴に基づいて運転者の運転行動を推定しているため、運転者が対象ポイントの手前で実行すべき具体的な行動(例えば経路の分岐点で曲がる場合のターンシグナルの操作)を起こす前に、運転者の運転行動を推定することも可能となる。
さらに、この運転者適応型運転行動推定装置では、運転行動認識手段が、その対象ポイントで実際に行われた運転者の運転行動を認識する。そして、運転行動適応手段が、運転行動推定手段による推定結果と運転行動認識手段による認識結果とを比較し、その比較結果に基づきパラメータ記憶手段に記憶されている運転傾向パラメータを更新する。
つまり、本発明の運転者適応型運転行動推定装置は、運転行動推定手段による推定結果と運転行動認識手段による認識結果とが一致するように運転傾向パラメータを更新することで、運転者の運転傾向に関する学習を行う。
このような構成の運転者適応型運転行動推定装置によれば、運転者の個人差や個人内差等の原因によって運転行動推定手段による推定結果が運転行動認識手段による認識結果と異なった場合であっても、実際の運転行動が反映されるように学習を行うことにより、運転行動推定手段による推定精度を向上させることができる。
ところで、自車両の走行状態としては、例えば車両の加減速が考えられ、その場合の操作情報としては、アクセルペダル及びブレーキペダルに関するものが挙げられる。但し、自車両の走行状態は車両の加減速に限ったものではなく、例えば車両の向きなども考えられ、その場合の操作情報としては、例えばステアリングに関するもの(ステアリング操作量等)が挙げられる。
一方、対象ポイントでの運転者の運転行動の推定は、のように行うことができる。すなわち、運転行動推定手段が、予め収集された運転データ又は運転データに相当する疑似運転データから、分岐点での運動行動別に分岐点前の一定期間の間に収集された一連(N1個:N1は正整数)の蓄積データを蓄積データ群とする。但し、疑似運転データとは、例えば、ドライビングシミュレータを用いるなどして、実車を運転することなく収集される運転データと同等のデータのことである。
そして、これら蓄積データ群間で互いに近似したもの同士を同一クラスタに分類する。次に、その分類されたクラスタ毎に、同じタイミングで取得された蓄積データの平均値を算出することで、一連(N1個)の平均蓄積データからなる平均データ群を生成する。更に、生成された平均データ群のそれぞれについて、平均データ群の中から連続したN2(N2はN1より小さい正整数)個の平均蓄積データからなる部分データ群を、その先頭となる平均蓄積データの位置を、予め設定されたシフト期間ずつシフトさせながら切り出す。このようにして切り出された部分データ群のそれぞれをテンプレートとする。
つまり、平均データ群は、対象ポイント前で生じる運転データの特徴的な変化パターンの平均的な発生タイミングを表すものであり、この平均データ群から、タイミングをずらしながら切り出した部分データ群をテンプレートとしている。
従って、このようなテンプレートを用いる本発明では、特徴的な変化パターンが平均より速いタイミングで発生したり、逆に平均より遅いタイミングで発生したとしても、これを確実に捉えることができ、運転者の行動を精度良く推定することができる。
なお、テンプレートは、複数の運転者について収集した蓄積データによって作成されていてもよいし、特定の運転者について収集した蓄積データによって作成されていてもよい。前者の場合、全ての運転者に対して共通に適用可能なテンプレートとすることができ、また、後者の場合、特定の運転者の行動を非常に高精度に推定することが可能なテンプレートとすることができる。
また、テンプレートを、予め設定された天候の種類毎又は予め設定された時間帯毎に用意し、運転行動推定手段が、外部から取得した天候又は時間帯を特定する情報に基づいて、使用するテンプレートを切り換えるように構成してもよい。即ち、運転者の行動や運転データは、道路の状態や周囲の明るさ等の環境的な要因によって変化するため、これら環境的な要因との対応関係を有する天候や時間帯等に基づいてテンプレートの切り換えを行うことにより、より高精度に運転者の行動を推定することができる。
そして、このテンプレートと運転データの履歴との比較は、のように行うとよい。すなわち、運転行動推定手段は、運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴とテンプレートとの相違度合いを表す値に運転傾向パラメータを乗じて得られた値からテンプレートと運転データとの類似度を求め、その類似度から対象ポイントで運転者が曲がろうとしているか否かを推定するこのような構成によれば、運転データがテンプレートと類似しているか否かを定量的に判断することが可能となり、安定した推定結果を得ることができる。
ところで、運転行動認識手段による認識結果を推定結果に反映させる学習は、例えば請求項に記載のように、運転行動適応手段が、類似度と対象ポイントで曲がるか否かを判定する閾値である判定基準との差に基づいて運転傾向パラメータを更新することにより行うとよい。このような構成によれば、類似度の算出に用いられる運転傾向パラメータを判定基準と類似度との差に応じて変化させることが可能となり、推定結果と認識結果とを一致させる方向に運転傾向パラメータを効率よく更新することができる。
具体的には、例えば請求項に記載のように、類似度と判定基準との差の累積値に基づき運転傾向パラメータを更新するとよく、例えば、類似度と判定基準との差の累積値を正規化(例えば0〜1の範囲の値をとる値)したものを運転傾向パラメータとして設定することで運転傾向パラメータの更新を行うとよい。
一方、複数の運転者によって車両が利用される場合であっても各運転者に適応するように車両操作の傾向の学習を行うには、例えば、のように構成するとよい。すなわち、運転者識別手段が、自車両の運転者を識別する。また、パラメータ記憶手段が、複数の運転者と各運転者についての運転傾向パラメータとを対応づけて記憶する。そして、運転行動推定手段が、パラメータ記憶手段に記憶されている運転傾向パラメータのうち運転者識別手段によって識別された運転者に対応するものに基づいて対象ポイントでの運転者の運転行動を推定する。
このような構成の運転者適応型運転行動推定装置によれば、複数の運転者によって車両が利用される場合であっても、各運転者の車両操作の傾向に応じた運転行動の推定を行うことができる。
ここで、運転者を識別する構成としては、例えばの構成が考えられる
すなわち、運転者からの指令を入力する入力手段を備え、運転者識別手段が、入力手段によって入力された指令に基づき自車両の運転者を識別するように構成することができる。なお、入力手段は、専用の操作部を介して運転者からの指令を入力する構成であってもよいが、他の車載装置の操作部を介して運転者からの指令を入力する構成とすることも可能である。例えば、運転席のシートポジションを電動調整可能であって複数の運転者に対応するシートポジションを記憶可能な車載装置が搭載されている場合には、その車載装置の操作部を介して入力される運転者からの指令(記憶されているシートポジションの選択操作)に基づき自車両の運転者を識別することが可能となる。
また、運転者の生体情報(指紋、虹彩、声紋、脈波等)を取得する生体情報取得手段を備え、運転者識別手段が、生体情報取得手段によって取得された生体情報に基づき自車両の運転者を識別するように構成することもできる。
さらに、運転者の識別情報が記憶された通信装置(携帯電話機等)からその識別情報を無線で取得する近距離通信手段を備え、運転者識別手段が、近距離通信手段によって取得された識別情報に基づき自車両の運転者を識別するように構成することもできる。なお、近距離通信手段は、RF−IDやBluetooth(登録商標)等の無線通信技術を利用した構成とすることができる。
ところで、運転者識別手段によって識別された運転者に対応する運転傾向パラメータがパラメータ記憶手段に記憶されていない場合が考えられる。このような場合、例えば、その運転者に対応する運転傾向パラメータの初期値を既定値とするとよい。また、例えば、その運転者に対応する運転傾向パラメータの初期値をパラメータ記憶手段に記憶されている運転傾向パラメータの平均値としてもよい。そして、このように設定した運転傾向パラメータ(既定値又は平均値)を、パラメータ記憶手段に記憶させるようにすれば、学習が重ねられることにより、その運転者の運転操作の傾向に応じたものとなる。
一方、例えば、少なくとも走行経路の分岐点が対象ポイントに含まれている場合、運転行動推定手段が、走行経路の分岐点で曲がるか否か(直進するか)を運転行動として推定する構成が考えられる。この構成において、実際に行われた運転者の運転行動の認識は、例えば走行経路の分岐点におけるターンシグナルの操作の有無によって行うことも可能ではあるが、このような操作は運転者の操作ミス等の原因によって行われないことも考えられるため正確性に欠ける。
そこで、例えば、運転行動認識手段が、対象ポイント通過前の位置情報と対象ポイント通過後の位置情報とに基づき運転行動を認識する構成とするとよい。この構成によれば、例えば、対象ポイントを通過前の位置と通過後の位置との距離や相対的な位置関係によって、対象ポイントを直進したのか曲がったのかを比較的正確に認識することができる。
また、例えば、運転行動認識手段が、対象ポイントでの操作情報(具体的には操作情報に含まれているステアリング操作量)に基づき運転行動を認識する構成とするとよい。この構成によっても、対象ポイントを直進したのか曲がったのかを比較的正確に認識することができる。具体的には、対象ポイントでのステアリング操作量があらかじめ設定されている閾値を超えた場合に曲がったと認識するように構成することができる。
一方、少なくとも走行経路における一時停止すべき地点が対象ポイントに含まれている場合、運転行動推定手段が、走行経路における一時停止すべき地点で一時停止するか否かを運転行動として推定する構成が考えられる。この構成においては、例えば、運転行動認識手段が、対象ポイントでの速度情報に基づき運転行動を認識する構成とするとよい。この構成によれば、例えば、対象ポイントでの一時停止動作を比較的正確に認識することができる。
また、運転傾向パラメータの更新は、例えば、推定した運転行動と実際の運転行動とが一致しなかった場合に行うようにしてもよい。すなわち、運転行動適応手段が、運転行動推定手段による推定結果と運転行動認識手段による認識結果とが一致しているか否かを判定する判定手段を備えており、運転行動適応手段は、判定手段によって推定結果と判定結果とが一致していないと判定された場合に、運転傾向パラメータを更新するのである。この構成によれば、推定した運転行動と実際の運転行動とが一致している間は運転傾向パラメータが更新されないため、安定した推定結果を得ることができる。
さらに、運転傾向パラメータを更新するタイミングとしては、例えばのようなものが考えられる。
すなわち、運転行動適応手段が、対象ポイントを自車両が通過する毎に、運転傾向パラメータを更新する構成が考えられる。この構成によれば、対象ポイントでの学習結果を、次の対象ポイントでの推定結果に直ちに反映させることができる。
また、運転行動適応手段が、予め設定された個数(複数)の対象ポイントを自車両が通過する毎に、運転傾向パラメータを更新する構成が考えられる。この構成によれば、1つの対象ポイント毎に運転傾向パラメータを更新する構成に比べ、推定結果を安定させることができる。
さらに、運転行動適応手段が、自車両が駐車されたと判断した場合に、運転傾向パラメータを更新する構成が考えられる。この構成によれば、運転中には運転傾向パラメータが更新されないため、安定した推定結果を得ることができる。なお、駐車されたか否かの判断は、例えば、位置情報取得手段によって取得された位置情報や、運転データ取得手段よって取得された自車両の速度情報、イグニッションスイッチのオン/オフ状態に基づき行うことができる。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の運転者適応型運転行動推定装置としてのナビゲーション装置10の構成、及びナビゲーション装置10が接続された車内LAN25の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、車両に搭載され、車内LAN25を介してエンジンECU22,ブレーキECU23,ステアリングECU24をはじめとする各種ECUや車載機器と接続されている。
このうち、エンジンECU22は、少なくとも、運転者のアクセルペダルの踏込量に応じたアクセル開度を検出するアクセル開度センサからの検出信号に基づいて、エンジンの回転を制御するように構成されている。また、ブレーキECU23は、少なくとも、運転者のブレーキペダル操作に応じてブレーキ油を圧送するマスタシリンダの油圧からブレーキ操作量を検出するマスタシリンダ圧センサや、車速を検出する車速センサからの検出信号に基づいて、ABS制御やトラクション制御等を実行するように構成されている。また、ステアリングECU24は、少なくとも、ドライバのステアリング操作時における前輪の操舵角を検出するステア角センサからの検出信号に基づいて、操舵輪の舵角変更時のアシスト力を発生させるパワーステアリング制御を実行するように構成されている。
そして、これらECU22〜24等にて検出される各種車両情報(アクセル開度,ブレーキ操作量,車速など)は、車内LAN25を介して相互に任意に送受信できるようにされている。
次に、ナビゲーション装置10は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器11と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ群12と、操作スイッチ群12と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置10とは別体となったリモートコントロール端末(以下、「リモコン」と称す)13aと、リモコン13aからの信号を入力するリモコンセンサ13bと、パケット通信網に接続して外部と通信を行う外部通信機14と、地図データや各種の情報を記録した地図記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器15と、地図や各種情報の表示を行うための表示部16と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部17と、ユーザーが発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン18と、車内LAN25を介して他の装置と各種車両情報等をやりとりする車内LAN通信部21と、上述した位置検出器11,操作スイッチ群12,リモコンセンサ13b,地図データ入力器15,マイクロフォン18,近距離通信部20,車内LAN通信部21からの入力に応じて各種処理を実行し、表示部16,音声出力部17,車内LAN通信部21を制御する制御部19とを備えている。このうち、位置検出器11は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機11aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ11bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ11cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ11dとを備えている。そして、これら各センサ等11a〜11dからの出力信号に基づいて制御部19が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機11aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式(D−GPS方式,干渉測位方式)の何れであってもよい。特に干渉測位方式のうちのRTK−GPS(Real Time Kinematics Global Positioning System)方式を利用するようになっているとよい。
操作スイッチ群12は、表示部16の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部16の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部16とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
外部通信機14は、外部のパケット通信網を介してGPSの基準基地局とデータの送受信を行う(RTK−GPS方式の測位の際)ように構成される。
地図データ入力器15は、図示しない地図記憶媒体に記憶された各種データを入力するための装置である。地図記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、道路データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、対象用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。このようなデータを記憶する記憶媒体の種類としては、CD−ROMやDVD−ROMの他、ハードディスクやメモリカード等の記憶媒体を用いても良い。
表示部16は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRTなどがあるが、その何れを用いてもよい。表示部16の表示画面には、地図データ入力器15より入力された地図データに基づく地図画像が表示され、この地図画像に重ねて位置検出器11にて検出した車両の現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データも表示される。
音声出力部17は、地図データ入力器15より入力した施設のガイドや各種対象の音声を出力する。
マイクロフォン18は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部19に出力するものである。このマイクロフォン18を介して入力される音声コマンドによって、ナビゲーション装置10の操作が可能なように構成されている。
近距離通信部20は、車両を運転する運転者が所有する携帯電話機PHとの間で、RF−IDやBluetooth(登録商標)等の無線通信技術により通信を行うものである。この近距離通信手段は、携帯電話機PHに記憶されている運転者の識別に用いられる運転者識別情報を、無線を介して取得する。
車内LAN通信部21は、車内LAN25を介して車内LAN25に接続された様々な機器(エンジンECU21等)と通信を行う。
制御部19は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
ここで、図2は、制御部19が実行する処理の概要を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、制御部19は、位置検出器11からの検出信号及び外部通信機14を介して得られるGPS基準基地局からのデータからなる位置検出データに基づいて、車両の現在位置を示す位置情報を求める位置算出部30と、地図データ入力器15に格納された地図データ、操作スイッチ群12やリモコン13aの操作、又はマイクロフォン18からの音声コマンド等に従って、目的地の設定や、現在位置から目的地までの最適な経路の設定などを行う経路設定部31と、位置算出部30にて算出された位置情報、経路設定部31にて設定された経路に従って、経路中に設定される直近の対象ポイント(本実施形態では交差点)までの距離を算出する距離算出部32と、運転者の運転操作の傾向を表す複数の運転傾向パラメータαt(ri)と各運転者とをそれぞれ対応させて制御部19のRAMに記憶するパラメータ記憶部33と、近距離通信部20で取得した運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)をパラメータ記憶部33から取得するパラメータ選択部34とを備えている。
また、車内LAN通信部21を介してECU22〜24等から取得するアクセル開度,ブレーキ操作量,車速等といった運転者の運転操作が反映される車両情報及びパラメータ選択部34によって選択された運転傾向パラメータに基づき運転者の行動を推定する運転行動推定部35と、位置算出部30にて算出された交差点通過前及び通過後の位置情報に基づき対象ポイントでの運転者の運転行動を認識する運転行動認識部36とを備えている。
さらに、車内LAN通信部21を介してアクセル開度A(t),ブレーキ操作量B(t),車速V(t)を要素とする運転データDU(t)={A(t),B(t),V(t)}の読み込みを行い、さらに、位置算出部30によって取得された位置情報の読み込みを行い、これら運転データDU(t)及び位置情報を制御部19のRAMに記憶させるドライビングレコーダ部37とを備えている。
さらに、運転行動推定部35での推定結果を表す推定結果フラグFと運転行動認識部36での認識結果を表す認識結果フラグFnとが異なる場合(つまり、運転行動推定部35による推定結果と運転行動認識部36による認識結果とが異なる場合)に、運転者の運転操作の傾向に関する学習を行うために運転者の運転傾向を表す運転傾向パラメータαt(ri)の更新を行う運転行動適応部38を備えている。
さらに、制御部19は、位置算出部30にて算出された位置情報(現在位置)に基づき、地図データ入力器15を介して読み込んだ現在位置付近の地図を、現在位置を示すマークや、経路設定部31にて設定された経路と共に表示部16に表示する表示処理部39と、経路設定部31からの経路情報や運転行動推定部35での推定結果を表す推定結果フラグFに従って、経路情報に含まれた対象ポイントに関するガイダンスを音声出力部17を介して音声により実行する音声ガイダンス実行部40とを備えている。
そして、制御部19を構成するROMには、運転行動推定部35にて運転者の行動を推定する際に使用される行動パターンテンプレートが記憶されている。
この行動パターンテンプレートの作成手順を図3に示すフローチャート、及び図4に示す説明図を用いて説明する。なお、行動パターンテンプレートは、ナビゲーション装置10外部のコンピュータ上で実行される処理によって作成される。
図3に示すように、本テンプレート作成手順が開始されると、まず、S110で、車両の状態を表す各種車両情報を予め設定されたサンプリング間隔Sでサンプリングしたデータが蓄積されたデータベースから、予め指定された複数の車両情報(本実施形態では、アクセル開度A,ブレーキ操作量B,車速V)で表される運転データをロードする。
なお、データベースに蓄積された運転データは、実車を用いた測定により収集されたものであってもよいし、ドライビングシミュレータを用いて収集されたものであってもよい。そして、交差点前の所定期間Tpの間に取得されたTp/S個の運転データを交差点前運転データUG群とし、右折又は左折をした全ての交差点についての交差点前運転データ群UGをロードし、しかも、このような交差点前運転データ群UGを100人分ロードするものとする。
続いてS120では、このようにしてロードされた全ての運転データの各要素A,B,Vを、いずれも0〜1の値を持つように正規化する。
続いて、S130では、交差点前運転データ群UGをクラスタリング手法を用いて分類する。
具体的には、交差点前運動データ群UG間の距離を定義し、この距離が互いに近いもの同士を同一クラスタに分類する。なお、このようなクラスタリング手法は周知のものであり、例えばK−means法を用いることができるが、これに限るものではない。
続いてS140では、S130での分類結果に従って、図4中の左側に示すように、分類されたM個のクラスタ(m=1〜M)毎に、交差点前運転データ群UGの平均値を算出する。
以下、クラスタmの交差点前運転データ群UGの平均値を平均データ群UGm 、と呼び、(1)式で表すものとする。但し、(1)式におけるUm (i)は、平均データ群UGm を構成するi(i=1〜Tp/S)番目の平均運転データであり、(2)式で表すものとする。また、(2)式におけるAm (i)は、同じクラスタmに含まれる全ての交差点前運転データ群UGから、i番目の運転データのアクセル開度Aを抽出して求めたアクセル開度Aの平均値であり、Bm (i),Vm (i)も同様にして求めたブレーキ操作量B及び車速Vの平均値である。
UGm ={Um (1),Um (2),…,Um (Tp/S)} (1)
m (i)={Am (i),Bm (i),Vm (i)} (2)
このようにして求めたM個の平均データ群UGm のそれぞれについて、平均データ群UGm から連続するTw/S個の平均運転データUm (i)を、Tf/S個ずつずらしながら切り出したR(=(Tp−Tw)/Tf+1)個のグループを、行動パターンテンプレートTmr(r=1〜R)として切り出して(S150)、本テンプレート作成手順を終了する。
但し、行動パターンテンプレートTmrは(3)式で表され、この(3)式におけるUmr(j)は、j=1〜Tw/Sとして、(4)式で定義された平均運転データである。また、Umr(j)は(5)式で表され、この(5)式におけるAmr(j),Bmr(j),Vmr(j)は、(4)式と同様に定義されたアクセル開度,ブレーキ操作量,車速の平均値である。
mr={Umr(1),Umr(2),…,Umr(Tw/S)} (3)
mr(j)=Um (j+(r−1)×Tf/S) (4)
mr(j)={Amr(j),Bmr(j),Vmr(j)} (5)
つまり、行動パターンテンプレートTmrは、各クラスタm毎にR個生成され、全体としてはM×R個生成されることになる。
なお、本実施形態では、S=0.5秒,Tp=10秒,Tw=5秒,Tf=1秒であり、Tp/S=20個,Tw/S=10個,Tf/S=2個,R=6個である。また、クラスタ数Mは、S130での処理結果によって異なるが、5〜7個程度であり、従って、行動パターンテンプレートTmrは、30〜40個程度の規模となる。
次に、本第1実施形態のナビゲーション装置10の制御部19が実行するナビゲーション処理について説明する。
但し、位置算出部30、経路設定部31、距離算出部32、ドライビングレコーダ部37、表示処理部39の処理は、周知の処理であるため説明を省略し、本発明の主要部に関わるパラメータ選択部34、運転行動推定部35、運転行動認識部36、運転行動適応部38の処理を、図5,6,8に示すフローチャートを用いて説明する。
なお、図5に示す処理は、経路設定部31にて目的地までの経路設定が行われた場合に実行される。
本ナビゲーション処理が起動すると、まず、S1010で、近距離通信部20によって運転者の識別情報の取得を行う。
続いて、S1020では、パラメータ選択部34に相当する運転傾向パラメータαt(ri)の読み込み処理を行い、S1010で取得した識別情報の表す運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)を取得する。ここで、αt(ri)は離散時刻tでのテンプレートri(iはテンプレート番号)の信頼性を表すものであり、運転者による運転操作の傾向を表す指標となる。なお、S1010で認識した運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)がパラメータ記憶部33に記憶されていない場合には、パラメータ記憶部33に記憶されている複数の運転傾向パラメータαt(ri)の平均値を、S1010で認識された運転者の運転傾向パラメータαt(ri)の初期値とし、運転者と対応づけてパラメータ記憶部33に記憶する。
続いて、S1030では、距離算出部32から交差点(以下、この交差点を「対象交差点」と称する。)までの距離Cdを取得し、その距離Cdが予め設定された判定開始距離(本実施形態では300m)以下であるか否かを判定する。そして、距離Cdが判定開始距離より大きければ、同ステップを繰り返すことで待機し、一方、距離Cdが判定開始距離以下であれば、対象交差点に十分に接近したものとして、S1040へ移行する。
S1040では、ドライビングレコーダ部37に相当する運転行動データ記憶処理を開始する。
続いて、S1050では、運転行動推定部35に相当する運転行動推定処理を実行する。
続いて、S1060では、音声ガイダンス実行部40に相当する警告処理を実行する。この警告処理は、具体的には、経路設定部31にて設定された経路情報及び運転行動推定処理によって設定されるフラグFに基づき音声出力部17を介して運転者に対して音声によりガイダンスを行う。具体的には、例えば、運転者が曲がるべき交差点で直進しようとしていると推定された場合や、運転行動推定処理によって運転者が直進すべき交差点で曲がろうとしていると推定された場合に、警告を行う。このため、万が一、運転者が誤った経路を選択しようとした場合であっても、事前に警告を行うことができる。
続いて、S1070では、距離算出部32から対象交差点までの距離Cdを取得して、その距離Cdに基づいて、対象交差点を通過したか否かを判定する。そして、対象交差点を未だ通過していなければ、S1050に戻って、上記S1050〜S1070の処理を繰り返し実行し、一方、対象交差点を既に通過していれば、S1080へ移行する。
S1080では、運転行動認識部36に相当する運転行動認識処理を実行する。
続いて、S1090では、S1050で実行された運転行動データ記憶処理を終了する。つまり、ドライビングレコーダ部37によって制御部19のRAMには、対象交差点までの距離Cd間の運転データDUm(t)及び位置情報が記憶される。
続いて、S1100では、運転行動適応部38に相当する運転行動適応処理を行う。その後、S1030へ戻り、車両が目的地に到達するまでの間、S1030〜S1100を繰り返し実行する。
次に、S1050にて実行される運転行動推定処理の詳細を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
この運転行動推定処理が開始されると、まず、S1110で、車内LAN通信部21を介してアクセル開度A(t),ブレーキ操作量B(t),車速V(t)を要素とする運転データDU(t)={A(t),B(t),V(t)}の読み込みを行う。
続いて、S1120では、S1110で読み込まれた運転データDU(t)の、各要素A(t),B(t),V(t)を、いずれも0〜1の値をとるように正規化する。
なお、tは、データをサンプリングした時刻を表し、運転データDU(t)は、上述したサンプリング間隔S(=0.5秒)毎に読み込まれるものとする。
続いて、S1130では、この正規化された運転データDU(t)を含む、過去Tw(=5秒)間分の運転データDU(t),DU(t−S),…,DU(t−Tw)が、制御部19を構成するRAMに保存されるように、RAMの保存データを更新する。なお、以下では、このRAMに保存されたTw秒間分(Tw/S個)の運転データを運転データ群MGとして(6)式にて表し、運転データ群MGに属する各運転データMU(j)を(7)式にて表す。但し、j=1〜Tw/Sであり、j=1が最古のデータ、j=Tw/Sが最新のデータを表す。即ち、DU(t−Tw)=MU(1),…,DU(t)=MU(Tw/S)であるものとする。
MG={MU(1),MU(2),…,MU(Tw/S)} (6)
MU(j)={A(j),B(j),V(j)} (7)
続いて、S1140では、運転データ群MGと、制御部19のROMに格納された行動パターンテンプレートTmrとに基づいて、時刻tにおける類似度R(t)を算出する。
具体的には、まず、(8)式により、行動パターンテンプレートTmrのそれぞれについて、運転データ群MGとの距離を表す指標データRmrを算出する。
Figure 0004650283
そして、これら行動パターンテンプレートTmr毎に算出した指標データRmrのうち、その値が最も小さいもの(即ち、運転データ群MGに最も類似した行動パターンテンプレートとの距離)を、時刻tにおける代表指標データRE(t)として抽出する((9)式参照)と共に、このようにして算出した過去の代表指標データの中で最大のものを、基準指標データRK(t)として抽出する((10)式参照)。更に、代表指標データRE(t)を、基準指標データRK(t)用いて正規化((11)式参照)したものを類似度R(t)とする。
Figure 0004650283
続いて、S1150では、図7に示すように、距離算出部32から取得した交差点までの距離Cdを入力として、距離Cdが一定距離(本実施形態では50m)以下の場合は1を出力し、距離Cdが一定距離より大きい場合は、距離Cdが大きいほど値が小さくなる1より小さな値を出力するメンバシップ関数を用いて、メンバシップ値Msを求める。
続いて、S1160では、更に、このメンバシップ値Msを先のS1140にて求めた類似度R(t)に乗じることにより、確信度K(=R(t)×Ms)を算出する。
続いて、S1170では、S1160で算出した確信度Kが予め設定された判定閾値TH(本実施形態では0.5)以上であるか否かを判定する。
そして、S1170で確信度Kが判定閾値TH以上であると判定した場合には、S1180へ移行し、運転者は交差点で曲がろうとしていると推定して、推定結果フラグFを1に設定する。その後、本運転行動推定処理を終了する。
一方、S1170で、確信度Kが判定閾値TH未満であると判定した場合には、S1190へ移行し、運転者は直進しようとしていると推定して、推定結果フラグFを0に設定する。その後、本運転行動推定処理を終了する。
次に、ナビゲーション処理(図5)におけるS1080にて実行される運転行動認識処理の詳細を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
この運転行動認識処理が開始されると、まず、S1210で、ドライビングレコーダ部37によって記憶された対象交差点までの距離Cd間の自車両の位置情報の履歴から、対象交差点を通過する前の自車両の位置情報(例えば対象交差点の通過時点の2秒前での自車両の位置情報)を取得する。
続いて、S1220では、位置算出部30によって対象交差点を通過した後の自車両の位置情報(例えば対象交差点の通過時点の2秒後での自車両の位置情報)を取得する。
続いて、S1230では、S1210で取得した対象交差点通過前の自車両の位置情報と、S1220で取得した対象交差点通過後の自車両の位置情報とに基づき、対象交差点で運転者が行った運転行動を認識する運転行動判定処理を行う。本運転行動判定処理としては、例えば、交差点通過前の位置情報に対して、交差点通過後の位置情報が、交差点に到達するまでの経路の道路幅(10m)よりも逸れた位置を示すものである場合に、自車両が交差点で曲がったと判定する処理が考えられる。
続いて、S1240では、S1230の運転行動判定処理で曲がったと認識されたか否かを判定する。
そして、S1240で、曲がったと認識されたと判定した場合には、S1250へ移行し、認識結果フラグFnを1に設定する。その後、本運転行動認識処理を終了する。
一方、S1240で、曲がったと認識されなかった(直進したと認識された)と判定した場合には、S1260へ移行し、認識結果フラグFnを0に設定する。その後、本運転行動認識処理を終了する。
次に、ナビゲーション処理(図5)におけるS1100にて実行される運転行動適応処理について図9に示すフローチャートを用いて説明する。
この運転行動適応処理が開始されると、まず、S1301で、運転者の運転操作の傾向に関する学習の回数を示すカウンタLを初期値に設定する(L=1)。
続いて、S1302では、推定結果フラグF=1かつ認識結果フラグFn=0であるか否かの判定を行う。つまり、運転行動推定処理で曲がると推定された(F=1)にも関わらず運転行動認識処理で直進したと認識された(Fn=0)か否かを判定する。
そして、S1302で、F=1かつFn=0であると判定した場合には、S1303へ移行し、ドライビングレコーダ部37によって制御部19のRAMに記憶された対象交差点までの運転行動データDUm(t)を取得し、S1120と同様に、運転行動データDUm(t)の各要素を正規化する。
続いて、S1304では、S1130(図6)と同様に、S1303で正規化された運転行動データDUm(t)を含む過去Tw(=5秒)間分の運転データに基づき運転データ群MGmを算出し、制御部19のRAMにMGmを記憶し更新する。
続いて、S1305では、S1140(図6)と同様に、S1304で更新した運転データ群MGmと行動パターンテンプレートTmrとによって、時刻tにおける類似度R(t)を再度算出する。
続いて、S1306では、類似度R(t)が判定閾値TH(=0.5)未満であるか否かを判定する。
そして、S1306で、類似度R(t)が判定閾値TH未満であると判定した場合には、S1308へ移行する。つまり、時刻tにおける運転傾向パラメータαt(ri)は、適切な値であると認識する。
一方、S1306で、類似度R(t)が判定閾値TH未満でないと判定した場合には、S1307へ移行し、運転傾向パラメータαt(ri)の更新処理を行う。ここで、αt(ri)の更新処理は、S1305で算出した類似度R(t)と上述した判定閾値TH(本実施形態では0.5)との差を求め、その差の累積値を正規化したものを新たにαt(ri)として設定することで行われる((12)式〜(14)式参照)。
Figure 0004650283
具体的には、まず、類似度R(t)と上述した判定閾値THとの差を表す評価関数evl(ri,t)を求める((12)式)。
そして、運転傾向パラメータαt(ri)のパラメータであり各テンプレートの強度を表すWt(ri)を、評価関数evl(ri,t)に基づき更新する。例えば、Wt(ri)からWt+1(ri)への更新量は(13)式のように表される。このため、Wt(ri)は、類似度R(t)と判定閾値THとの差の累積値によって表されたものである。そして、強度W(ri)から運転傾向パラメータαt(ri)への変換は、(14)式に示すように、Soft−max関数を用いて正規化することで行っている。なお、Soft−max関数は、正規化のための関数であり、運転パターンテンプレート全体のバランスをとるものである。また、(14)式において、βは正の定数であり、β→0となる場合に、全てのαt(ri)は等値となり、β→∞のとき最大のαt(ri)は1に近づくという特徴を持つ。その後、S1308へ移行する。
S1308では、S1304で用いた運転行動データDUm(t)が対象交差点を通過した時点のもの(つまり対象交差点までにドライビングレコーダ部37によって記憶された一連の運転データDUm(t)において一番最後に記憶された運転データ)であるか否かを判定する。
そして、S1308で、運転行動データDUm(t)が対象交差点を通過した時点のものでないと判定した場合には、次の運転データDUm(t)を対象としてS1304へ戻る。つまり、過去交差点を通過するまでの運転行動データDUm(t)を対象にS1304〜S1307までの処理を繰り返す。
一方、S1308で、運転行動データDUm(t)が対象交差点を通過した時点のものであると判定した場合には、S1309へ移行する。
S1309では、カウンタLが学習回数LT(=5)に達したか否かを判定する。
そして、S1309で、カウンタLが学習回数LTに達していないと判定した場合には、S1310へ移行し、カウンタLに1を加えて(L=L+1)、S1303へ戻る。
一方、S1308で、カウンタLが学習回数LTに達したと判定した場合(つまり、運転傾向パラメータαt(ri)の更新処理が5回繰り返された場合)には、本運転行動適応処理を終了する。
一方、S1302で、F=1かつFn=0でないと判定した場合には、S1311へ移行し、推定結果フラグF=0かつ認識結果フラグFn=1であるか否かの判定を行う。つまり、運転行動推定処理で直進すると推定された(F=0)にも関わらず運転行動認識処理で曲がったと認識された(Fn=1)か否かを判定する。
そして、S1311で、F=0かつFn=1であると判定した場合には、S1312へ移行し、ドライビングレコーダ部37によって制御部19のRAMに記憶された対象交差点までの運転行動データDUm(t)を取得し、S1120(図6)と同様に、運転行動データDUm(t)の各要素を正規化する。
続いて、S1313では、S1130と同様に、S1312で正規化された運転行動データDUm(t)を含む過去Tw(=5秒)間分の運転データに基づき運転データ群MGmを算出し、制御部19のRAMにMGmを記憶し更新する。
続いて、S1314では、S1140(図6)と同様に、S1304で更新した運転データ群MGmと行動パターンテンプレートTmrとによって、時刻tにおける類似度R(t)を再度算出する。
続いて、S1315では、類似度R(t)が判定閾値TH(=0.5)未満であるか否かを判定する。
そして、S1315で、類似度R(t)が判定閾値TH以上であると判定した場合には、S1317へ移行する。つまり、時刻tにおける運転傾向パラメータαt(ri)は、適切な値であると認識する。
一方、S1315で、類似度R(t)が判定閾値TH以上でないと判定した場合には、S1316へ移行し、運転傾向パラメータαt(ri)の更新処理を行う。なお、この処理はS1307の処理内容と同一であるため説明を省略する。その後、S1317へ移行する。
S1317では、S1312で用いた運転行動データDUm(t)が対象交差点を通過した時点のもの(つまり対象交差点までにドライビングレコーダ部37によって記憶された一連の運転データDUm(t)において一番最後に記憶された運転データ)であるか否かを判定する。
そして、S1317で、運転行動データDUm(t)が対象交差点を通過した時点のものでないと判定した場合には、次の運転データDUm(t)を対象としてS1312へ戻る。つまり、過去交差点を通過するまでの運転行動データDUm(t)を対象にS1312〜S1316までの処理を繰り返す。
一方、S1317で、運転行動データDUm(t)が対象交差点を通過した時点のものであると判定した場合には、S1318へ移行する。
S1318では、カウンタLが学習回数LT(=5)に達したか否かを判定する。
そして、S1318で、カウンタLが学習回数LTに達していないと判定した場合には、S1319へ移行し、カウンタLに1を加えて(L=L+1)、S1312へ戻る。
一方、S1318で、カウンタLが学習回数LTに達したと判定した場合(つまり、運転傾向パラメータαt(ri)の更新処理が5回繰り返された場合)には、本運転行動適応処理を終了する。
以上説明したように、本第1実施形態のナビゲーション装置10は、運転行動推定処理(S1050)による推定結果と運転行動認識処理(S1080)による認識結果とが一致しない場合(F=Fnでない場合)に、運転行動適応処理(S1100)で運転行動推定処理による推定結果と運転行動認識処理による認識結果とが一致するように運転傾向パラメータαt(ri)を更新することで、運転者の運転操作の傾向に関する学習を行う。
このような構成の本第1実施形態のナビゲーション装置10によれば、運転者の個人差や個人内差等の原因によって運転行動推定処理による推定結果が運転行動認識処理による認識結果と異なった場合であっても、実際の運転行動が反映されるように学習を行うことにより、運転行動推定手段による推定精度を向上させることができる。
なお、上記第1実施形態のナビゲーション装置10では、位置検出器11及び外部通信機14が、本発明の位置情報取得手段に相当し、地図データ入力器15が、本発明の経路情報取得手段に相当し、車内LAN通信部21が、本発明の運転データ取得手段に相当する。また、距離算出部32が、本発明の距離算出手段に相当し、パラメータ記憶部33が、本発明のパラメータ記憶手段に相当し、運転行動推定部35が、本発明の運転行動推定手段に相当し、運転行動認識部36が、本発明の運転行動適応部38が、運転行動適応手段に相当する。さらに、ナビゲーション処理(図5)におけるS1010を実行する制御部19が、本発明の運転者識別手段に相当する。
ところで、上述した運転行動認識処理(図8)では、位置算出部30での位置情報に基づき対象交差点での運転行動の認識を行うようにしているが、これに限定される訳でなく、例えば、ステアリングECU24によって取得されるステアリングの操作量(ステアリング角度)に基づいて運転行動を認識するようにすることも可能である。そこで、このような運転行動認識処理を行う第2実施形態のナビゲーション装置10について説明する。
[第2実施形態]
第2実施形態のナビゲーション装置10は、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と比較すると、上述した運転行動認識処理(図8)に替えて、図10に示す運転行動認識処理を行う点が異なる。なお、その他の構成については上記第1実施形態のナビゲーション装置10と基本的には同一であるため、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
図10の運転行動認識処理が開始されると、まず、S1410で、ドライビングレコーダ部37によって記憶された対象交差点までの距離Cd間の運転データの履歴に含まれる対象交差点でのステアリング角度を取得する。
続いて、S1420では、S1410で取得したステアリング角度(直進状態を基準とした変位量)の中に、予め設定された値であるステアリング閾値STH(本運転行動認識処理では、STH=100°)以上の値が存在するか否かを判定する。つまり、交差点でのステアリング角度が一時的にでもステアリング閾値STH以上となったか否かを判定している。
そして、S1420で、ステアリング閾値STH以上のステアリング角度が存在すると判定した場合には、S1430へ移行し、認識結果フラグFnを1に設定する(つまり、曲がったと判定する)。その後、本運転行動認識処理を終了する。
一方、S1420で、ステアリング閾値STH以上のステアリング角度が存在しないと判定した場合には、S1440へ移行し、認識結果フラグFnを0に設定する(つまり、直進したと判定する)。その後、本運転行動認識処理を終了する。
このような第2実施形態のナビゲーション装置10によっても、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と同様の効果を得ることができる。
一方、位置情報とステアリングの操作量との両方に基づき運転行動を認識するようにしてもよい。そこで、このような運転行動認識処理を行う第3実施形態のナビゲーション装置10について説明する。
[第3実施形態]
第3実施形態のナビゲーション装置10は、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と比較すると、上述した運転行動認識処理(図8)に替えて、図11に示す運転行動認識処理を行う点が異なる。なお、その他の構成については上記第1実施形態のナビゲーション装置10と基本的には同一であるため、同一符号を用いるとともに説明を省略する。また、図11の運転行動認識処理において、S1501〜S1506の処理内容は、図8におけるS1210〜S1260の処理内容と同一であり、S1507〜S1510の処理内容は、図10におけるS1410〜S1440の処理内容と同一であるため、説明を簡略化する。
図11の運転行動認識処理が開始されると、まず、S1501で、対象交差点を通過する前の自車両の位置情報を取得する。
続いて、S1502では、対象交差点を通過した後の自車両の位置情報を取得する。
続いて、S1503では、S1501で取得した対象交差点通過前の自車両の位置情報と、S1502で取得した対象交差点通過後の自車両の位置情報とに基づき、対象交差点で運転者が行った運動行動を認識する運転行動判定処理を行う。
続いて、S1504では、S1503の運転行動判定処理で曲がったと認識されたか否かを判定する。
そして、S1504で、曲がったと認識されたと判定した場合には、S1505へ移行し、認識結果フラグFn1を1に設定する。その後、S1507へ移行する。
一方、S1504で、曲がったと認識されなかった(直進したと認識された)と判定した場合には、S1506へ移行し、認識結果フラグFn1を0に設定する。その後、S1507へ移行する。
S1507では、対象交差点までの距離Cd間の運転データの履歴に含まれる対象交差点でのステアリング角度を取得する。
続いて、S1508では、S1507で取得したステアリング角度の中に、ステアリング閾値STH(100°)以上の値が存在するか否かを判定する。
そして、S1508で、ステアリング閾値STH以上のステアリング角度が存在すると判定した場合には、S1509へ移行し、認識結果フラグFn2を1に設定する。その後、S1511へ移行する。
一方、S1508で、ステアリング閾値STH以上のステアリング角度が存在しないと判定した場合には、S1510へ移行し、認識結果フラグFn2を0に設定する。その後、S1511へ移行する。
S1511では、Fn1とFn2とを掛けた値が1であるか否かを判定する。
そして、S1511で、Fn1とFn2とを掛けた値が1であると判定した場合には、S1512へ移行し、認識結果フラグFnを1に設定する(つまり、曲がったと判定する)。その後、本運転行動認識処理を終了する。
一方、S1511で、Fn1とFn2とを掛けた値が1でない(0である)と判定した場合にはS1513へ移行し、認識結果フラグFnを0に設定する(つまり、直進したと判定する)。その後、本運転行動認識処理を終了する。
このような第3実施形態のナビゲーション装置10によっても、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と同様の効果を得ることができる。特に、第3実施形態のナビゲーション装置では、位置情報とステアリングの操作量との両方に基づき運転行動を認識するようにしているため、運転行動の認識結果の精度がより高いものとなる。
一方、第1実施形態のナビゲーション装置10では、運転行動として交差点で曲がるか否かの推定を行う例を説明しているが、これに限ったものではなく、経路中に設定される一時停止すべき地点(例えば一時停止が必要な交差点や踏切手前)で一時停止するか否かの推定を行うようにすることも可能である。そこで、このような推定を行う第4実施形態のナビゲーション装置10について説明する。
[第4実施形態]
第4実施形態のナビゲーション装置10は、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と比較すると、行動パターンテンプレートTmrの内容、運転行動推定処理の内容、及び、運転行動認識処理の内容が異なる。また、第4実施形態のナビゲーション装置10では、対象ポイントが、一時停止の必要な分岐点や踏切等の停止ポイントの手前の地点(例えば80m手前の地点)に設定されており、本ナビゲーション装置10は、停止ポイントで自車両が一時停止するか否かの推定及び認識を行う。なお、その他の構成については上記第1実施形態のナビゲーション装置10と基本的には同一であるため、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
第4実施形態のナビゲーション装置10で用いられる行動パターンテンプレートTmrは、基本的には上記第1実施形態のテンプレートTmrと同様、実車を用いた測定やドライビングシミュレータを用いて収集され、データベースに蓄積された予め指定された複数の車両情報(アクセル開度A,ブレーキ操作量B,車速V)で表される運転データに基づき作成されるものであるが、運転データが、一時停止をした全ての交差点についてのものである点が異なる。つまり、このテンプレートによって示される運転動作は停車動作である。
また、第4実施形態のナビゲーション装置10で行われる運転行動推定処理は、基本的には上記第1実施形態の運転行動推定処理(図6)と同様の内容であるが、テンプレートTmrによって表される推定結果の内容(S1180,S1190)のみが異なる。そこで、図6を流用して相違点について説明する。
この運転行動推定処理では、上記第1実施形態と同様に確信度Kを求める(S1110〜S1160)。そして、S1170へ移行し、確信度Kが判定閾値TH(例えば0.5)以上であるか否かを判定する。
そして、S1170で、確信度Kが判定閾値TH以上であると判定した場合には、S1180へ移行し、運転者は停止ポイントで一時停止しようとしていると推定して、推定結果フラグFを1に設定する。その後、本運転行動推定処理を終了する。
一方、S1170で、確信度Kが判定閾値TH未満であると判定した場合には、S1190へ移行し、運転者は停止ポイントで一時停止しないと推定して、推定結果フラグFを0に設定する。その後、本運転行動推定処理を終了する。
次に、上記第1実施形態の運転行動認識処理(図8)に替えて第4実施形態のナビゲーション装置10で行われる運転行動認識処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
本運転行動認識処理が開始されると、まず、S1610で、距離算出部32から停止ポイントまでの距離Cdを取得し、その距離Cdが予め設定された停止判定距離(本実施形態では30m)未満であるか否かを判定する。そして、距離Cdが停止判定距離以上であれば、同ステップを繰り返すことで待機し、一方、距離Cdが停止判定距離未満であれば、停止ポイントに十分に接近したものとして、S1620へ移行する。
S1620では、車内LAN通信部21を介して車速V(t)を取得する。
続いて、S1630では、S1620で取得された車速V(t)が所定速度(本実施形態では20km/h)未満であるか否かを判定する
そして、S1630で、車速V(t)が20km/h未満であると判定した場合には、S1640へ移行し、認識結果フラグFnを1に設定する(一時停止したと認識する)。その後、本運転行動認識処理を終了する。
一方、S1630で、車速V(t)が20km/h未満でないと判定した場合には、S1650へ移行し、認識結果フラグFnを0に設定する(一時停止しなかったと認識する)。その後、本運転行動認識処理を終了する。
このような第4実施形態のナビゲーション装置10によっても、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と同様、運転者の個人差や個人内差等の原因によって運転行動推定処理による推定結果が運転行動認識処理による認識結果と異なった場合であっても、実際の運転行動が反映されるように学習を行うことにより、運転行動推定手段による推定精度を向上させることができる。
なお、第4実施形態のナビゲーション装置10では、停止ポイント手前での車速が所定速度未満となったか否かによって一時停止したか否かの認識を行うようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、アクセルの踏み込み量及びブレーキの踏み込み量に基づき一時停止したか否かを判定するように構成しても良い。具体的には、対象ポイントでのアクセルの踏み込み量が所定の閾値以下であり、かつブレーキの踏み込み量が所定の閾値以上である場合(つまり、アクセルを踏み込まずブレーキを踏み込む停止操作が行われた場合)に一時停止したと判定することが可能である。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のナビゲーション装置10について説明する。
本第5実施形態のナビゲーション装置10は、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と比較すると、上述したナビゲーション処理(図5)に替えて、図13に示すナビゲーション処理を行う点が異なる。なお、その他の構成については上記第1実施形態のナビゲーション装置10と基本的には同一であるため、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
第5実施形態のナビゲーション処理について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本ナビゲーション処理は、第1実施形態のナビゲーション処理(図5)と同様、経路設定部31にて目的地までの経路設定が行われた場合に実行される。また、図13のナビゲーション処理において、S2010,S2020,S2040〜S2100の各処理内容は、図5におけるS1010〜S1090の各処理内容と同一であるため、説明を簡略化する。
本ナビゲーション処理が開始されると、まず、S2010で、近距離通信部20によって運転者の識別情報の取得を行う。
続いて、S2020では、パラメータ選択部34に相当する運転傾向パラメータαt(ri)の読み込み処理を行い、S2010で取得した識別情報の表す運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)を取得する。
続いて、S2030では、対象交差点をカウントするためのカウンタPをリセットする(P=0)。
続いて、S2040では、対象交差点までの距離Cdが予め設定された判定開始距離(本実施形態では300m)以下であるか否かを判定する。そして、距離Cdが判定開始距離より大きければ、同ステップを繰り返すことで待機し、一方、距離Cdが判定開始距離以下であれば、対象交差点に十分に接近したものとして、S2050へ移行する。
S2050では、ドライビングレコーダ部37に相当する運転行動データ記憶処理を開始する。
続いて、S2060では、運転行動推定処理を実行する。
続いて、S2070では、警告処理を実行する。
続いて、S2080では、対象交差点を通過したか否かを判定する。そして、対象交差点を未だ通過していなければ、S2060へ戻り、対象交差点を既に通過していれば、S2090へ移行する。
S2090では、運転行動認識処理を実行する。
続いて、S2100では、S2050で実行した運転行動データ記憶処理を終了する。
続いて、S2110では、カウンタPが予め設定された交差点数PTHに達したか否かを判定する。つまり、予め設定された複数の対象交差点を通過したか否かを判定する。なお、本実施形態では交差点数PTHが3に設定されている。
そして、S2110で、カウンタPが交差点数PTHに達していないと判定した場合には、S2120へ移行し、カウンタPに1を加える。その後、S2040へ戻り、次の交差点を対象交差点としてS2040〜S2100の処理を繰り返す。
一方、S2110で、カウンタPが交差点数PTHに達したと判定した場合には、S2130へ移行し、運転行動適応処理を行う。具体的には、カウンタPをリセット後に通過した複数の対象交差点のそれぞれについて、上述した第1実施形態の運転行動適応処理(図9)を行う。すなわち、各対象交差点での推定結果及び認識結果の比較を行い、推定結果と認識結果とが不一致の対象交差点について、その対象交差点での運転データ群MGmから類似度R(t)を算出し、判定閾値THとの比較を行うことで通過した各対象交差点での運転傾向適応処理をそれぞれ行う。その後、S2030へ戻り、次の交差点を対象交差点として同様の処理を繰り返す。こうして、車両が目的地に到達するまでの間、S2030〜S2130の処理が繰り返し実行される。
このような第5実施形態のナビゲーション装置10によれば、上述した第1実施形態のナビゲーション装置10と同様、運転者の個人差や個人内差等の原因によって運転行動推定処理による推定結果が運転行動認識処理による認識結果と異なった場合であっても、実際の運転行動が反映されるように学習を行うことにより、運転行動推定処理による推定精度を向上させることができる。特に、第5実施形態のナビゲーション装置10では、予め設定された個数(複数)の対象交差点を自車両が通過する毎に運転傾向パラメータを更新するため、1つの対象交差点毎に運転傾向パラメータを更新する構成に比べ、推定結果を安定させることができる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態のナビゲーション装置10について説明する。
本第6実施形態のナビゲーション装置10は、上記第1実施形態のナビゲーション装置10と比較すると、上述したナビゲーション処理(図5)に替えて、図13に示すナビゲーション処理を行う点が異なる。また、制御部19は、自車両を始動させるためのイグニッションスイッチの状態を検出可能に構成されている。なお、その他の構成については上記第1実施形態のナビゲーション装置10と基本的には同一であるため、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
第6実施形態のナビゲーション処理について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本ナビゲーション処理は、第1実施形態のナビゲーション処理(図5)と同様、経路設定部31にて目的地までの経路設定が行われた場合に実行される。また、図14のナビゲーション処理において、S3010〜S3090の各処理内容は、図5におけるS1010〜S1090の各処理内容と同一であるため、説明を簡略化する。
本ナビゲーション処理が開始されると、まず、S3010で、近距離通信部20によって運転者の識別情報の取得を行う。
続いて、S3020では、パラメータ選択部34に相当する運転傾向パラメータαt(ri)の読み込み処理を行い、S3010で取得した識別情報の表す運転者に対応する運転傾向パラメータαt(ri)を取得する。
続いて、S3030では、対象交差点までの距離Cdが予め設定された判定開始距離(本実施形態では300m)以下であるか否かを判定する。そして、距離Cdが判定開始距離より大きければ、同ステップを繰り返すことで待機し、一方、距離Cdが判定開始距離以下であれば、対象交差点に十分に接近したものとして、S3040へ移行する。
S3040では、ドライビングレコーダ部37に相当する運転行動データ記憶処理を開始する。
続いて、S3050では、運転行動推定処理を実行する。
続いて、S3060では、警告処理を実行する。
続いて、S3070では、対象交差点を通過したか否かを判定する。そして、対象交差点を未だ通過していなければ、S3050へ戻り、対象交差点を既に通過していれば、S3080へ移行する。
S3080では、運転行動認識処理を実行する。
続いて、S3090では、S3040で実行した運転行動データ記憶処理を終了する。
続いて、S3100では、自車両が駐車された状態であるか否かを判定する。本実施形態では、イグニッションスイッチがオフとなった場合に、自車両が駐車された状態であると判定する。
そして、S3100で、自車両が駐車された状態でない(イグニッションスイッチがオンである)判定した場合には、S3030へ戻る。
一方、S3100で、自車両が駐車された状態である(イグニッションスイッチがオフである)と判定した場合には、S3110へ移し、運転行動適応処理を行う。具体的には、走行中に通過した1又は複数の対象交差点のそれぞれについて、上述した第1実施形態の運転行動適応処理(図9)を行う。すなわち、各対象交差点での推定結果及び認識結果の比較を行い、推定結果と認識結果とが不一致の対象交差点について、その対象交差点での運転データ群MGmから類似度R(t)を算出し、判定閾値THとの比較を行うことで通過した各対象交差点での運転傾向適応処理をそれぞれ行う。その後、S3030へ戻る。
このような第6実施形態のナビゲーション装置10によれば、上述した第1実施形態のナビゲーション装置10と同様、運転者の個人差や個人内差等の原因によって運転行動推定処理による推定結果が運転行動認識処理による認識結果と異なった場合であっても、実際の運転行動が反映されるように学習を行うことにより、運転行動推定手段による推定精度を向上させることができる。特に、第6実施形態のナビゲーション装置10では、車両が駐車された場合に運転パラメータを更新するようにしており、運転中には運転傾向パラメータが更新されないため、走行中の推定結果を安定させることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、運転者に対応する運転傾向パラメータがパラメータ記憶部33に記憶されていない場合には、パラメータ記憶部33に記憶されている複数の運転傾向パラメータの平均値を初期値とするようにしているが(S1020)、これに限ったものではなく、予め設定された既定値とするようにしてもよい。このように設定された運転傾向パラメータが運転者に対して不適切なものであっても、運転行動適応処理を繰り返すことにより、運転者に対応するように更新される。
また、テンプレートを複数種類予め記憶しておき、運転者が選択できるような構成としても良い。
また、上記実施形態のナビゲーション装置10では、近距離通信部20によって取得した運転者の識別情報から運転者を識別するようにしているが、このような構成のものに限定されるのではなく、例えば、カーナビゲーションのリモコン13aや専用の操作部等を介して識別情報を直接入力する構成とすることも可能である。また、他の車載装置の操作部を介して識別情報を入力する構成とすることも可能である。具体的には、運転席のシートポジションを電動調整可能であって複数の運転者に対応するシートポジションを記憶可能な車載装置が搭載されている場合には、その車載装置の操作部を介して入力される運転者からの指令(記憶されているシートポジションの選択操作)に基づき自車両の運転者を識別することが可能となる。
また、運転者の生体情報(指紋、虹彩、声紋、脈波等)を取得する生体情報取得手段としてのセンサを備え、このようなセンサによって取得された生体情報に基づき自車両の運転者を識別するように構成することも考えられる。具体的には、例えば、指紋センサによって取得される指紋や、マイクロフォン18を介して入力された運転者の音声の表す声紋に基づき運転者を識別するとよい。
また、上記実施形態のナビゲーション装置10では、音声ガイダンスを実行する対象ポイントの例として交差点や停止線等の停止ポイントを用いて説明したが、このようなものに限るものではなく、高速道路のランプなども考えられる。
また、天候や時間帯から特定される環境条件毎にテンプレートTmrを用意し、その時々の環境条件に適合した行動パターンテンプレートを選択して使用するように構成しても良い。このような構成のナビゲーション装置10によれば、道路の状態や周囲の明るさ等が変化しても、常に精度良く運転者の行動を推定することができる。
また、上記実施形態のナビゲーション装置では、運転者の行動の推定に用いる車両情報として、アクセル開度A,ブレーキ操作量B,車速Vを用いたが、運転者の行動が反映される車両情報であれば、これら以外のものであってもよく、また、その個数も3個に限るものではなく、2個以下又は4個以上であってもよい。
また、上記実施形態において、運転者適応型運転行動推定装置はナビゲーション装置によって構成されているが、このような構成に限定されず、例えば、装置単体で構成されるものでもあってもよい。
第1実施形態のナビゲーション装置の構成、及びナビゲーション装置が接続された車内LANの概略構成を示すブロック図。 第1実施形態のナビゲーション装置において制御部が実行する処理の概要を示す機能ブロック図。 行動パターンテンプレートの作成手順を示すフローチャート。 行動パターンテンプレートの構成を示す説明図。 第1実施形態のナビゲーション処理を示すフローチャート。 運転行動推定処理の詳細を示すフローチャート。 確信度の算出に使用するメンバシップ値の概要を示すグラフ。 運転行動認識処理の詳細を示すフローチャート(曲がる動作)。 運転行動適応処理の詳細を示すフローチャート。 第2実施形態の運転行動認識処理の詳細を示すフローチャート。 第3実施形態の運転行動認識処理の詳細を示すフローチャート。 第4実施形態の運転行動認識処理の詳細を示すフローチャート。 第5実施形態のナビゲーション処理を示すフローチャート。 第6実施形態のナビゲーション処理を示すフローチャート。
符号の説明
10…ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、13a…リモコン、13b…リモコンセンサ、14…外部通信機、15…地図データ入力器、16…表示部、17…音声出力部、18…マイクロフォン、19…制御部、20…近距離通信部、21…車内LAN通信部、22…エンジンECU、23…ブレーキECU、24…ステアリングECU、25…車内LAN、30…位置算出部、31…経路設定部、32…距離算出部、33…パラメータ記憶部、34…パラメータ選択部、35…運転行動推定部、36…運転行動認識部、37…ドライビングレコーダ部、38…運転行動適応部、39…表示処理部、40…音声ガイダンス実行部

Claims (3)

  1. 自車両の現在位置を表す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
    自車両の走行経路を表す経路情報を取得する経路情報取得手段と、
    前記位置情報と前記経路情報とに基づき前記経路情報に含まれる経路上の分岐点である対象ポイントまでの距離を求める距離算出手段と、
    自車両の速度情報と、自車両の走行状態に影響を与える運転者の車両操作に関わる操作情報とからなる運転データを取得する運転データ取得手段と、
    運転者の車両操作の傾向を示す運転傾向パラメータを記憶するパラメータ記憶手段と、
    前記距離算出手段にて求められた距離が予め設定された許容値以下である場合に前記運転データ取得手段にて取得された運転データの履歴と、前記パラメータ記憶手段に記憶されている運転傾向パラメータとに基づいて、前記対象ポイントでの運転者の運転行動を推定する運転行動推定手段と、
    前記対象ポイントで実際に行われた運転者の運転行動を認識する運転行動認識手段と、
    前記運転行動推定手段による推定結果と前記運転行動認識手段による認識結果とを比較し、その比較結果に基づき前記パラメータ記憶手段に記憶されている運転傾向パラメータを更新する運転行動適応手段と、
    を備え
    前記運転行動推定手段では、予め収集された前記運転データ又は前記運転データに相当する疑似運転データから、分岐点での運動行動別に前記分岐点前の一定期間の間に収集された一連(N1個:N1は正整数)の蓄積データを蓄積データ群とし、前記蓄積データ群間で互いに近似したもの同士を同一クラスタに分類して、その分類されたクラスタ毎に、同じタイミングで取得された蓄積データの平均値を算出することで、一連(N1個)の平均蓄積データからなる平均データ群を生成し、更に、生成された平均データ群のそれぞれについて、前記平均データ群の中から連続したN2(N2はN1より小さい正整数)個の平均蓄積データからなる部分データ群を、その先頭となる平均蓄積データの位置を、予め設定されたシフト期間ずつシフトさせながら切り出したテンプレートを備え、前記運転データ取得手段にて取得された前記運転データの履歴と前記テンプレートとの相違度合いを表す値に、前記運転傾向パラメータを乗じて得られた値から前記テンプレートと前記運転データとの類似度を求め、前記類似度から前記対象ポイントで運転者が曲がろうとしているか否かを推定すること
    を特徴とする運転者適応型運転行動推定装置。
  2. 前記運転行動適応手段は、前記類似度と前記対象ポイントで曲がるか否かを判定する閾値である判定基準との差に基づいて前記運転傾向パラメータを更新すること
    を特徴とする請求項に記載の運転者適応型運転行動推定装置。
  3. 前記運転行動適応手段は、前記類似度と前記判定基準との差の累積値に基づいて前記運転傾向パラメータを更新すること。
    を特徴とする請求項に記載の運転者適応型運転行動推定装置。
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