JP5824901B2 - 勾配推定装置 - Google Patents
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Description
即ち、特許文献1には、所定時間内の自立航法による移動距離と該移動距離を水平面に投影した平面距離との差に基づく勾配情報と、国土地理院が提供している高度情報による勾配情報とを比較して精度のより高い勾配情報を得る技術が開示されている。
本発明は上述した状況に鑑みてなされたものであり、車両の地図上での現在位置に関わらず道路勾配データを簡易に且つ精度良く推定することができる勾配推定装置を具現することを目的とする。
(本発明の第1実施形態としての装置を含む勾配推定システムの構成)
図1は、本発明の第1実施形態としての勾配推定装置および車両情報提供装置を含む勾配推定システムを表す機能ブロック図である。
勾配推定システム10は、車両101とサーバ120とを含む。本例では、サーバ120が本発明の実施形態としての勾配推定装置を構成している。
車両101は、CAN(Controller Area Network)102および車両情報提供装置110を搭載している。
後述するように、車両101側の本発明の実施形態としての車両情報提供装置110と、勾配推定装置120とが通信を行なう。
CAN102は、シリアル通信であるCANプロトコルによる車両内通信を行なう。この車両内通信により、不図示の該当する各検出部から車両101のエネルギー消費量や速度などの情報を含む所用の車両情報を車両情報提供装置110に伝達する。
GPS装置111は、人工衛星を利用して位置情報を得る。また、車両情報取得装置112は、GPS装置111からの位置情報およびCAN102からの上述のような車両情報を収集する。
ここに、点列データとは、車両の走行経路における各リンクの開始ノードと終了ノードとの間の点列を表すデータ、および当該点列に関連する諸データである。より具体的には、後述するところから明らかになる。
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置112で取得した情報を勾配推定装置120に送信する。
尚、一つの構成例では、点列データ保存装置113における点列データの保存期間は、当該点列データを保存した時点から上述の車両情報送信装置114によって勾配推定装置120に送信する時点までの期間である。
車両情報受信装置121は、車両101側の車両情報提供装置110における車両情報送信装置114が送信する車両情報を受信する。
車両特性データベース123は、様々な車種の特性を保持している。
道路勾配情報推定装置124は、車両情報データベース122が保持している車両情報、および、車両特性データベース123が保持している該当車両(車両101)の特性情報に基づいて該当車両の走行経路に係る道路勾配の推定値を算出する。
また、地図データベース125は、地図情報を保持している。道路勾配情報推定装置124は、該当車両の走行経路に係る道路勾配の推定値を算出する際に、適宜、この地図情報を参照する。そして、道路勾配情報推定装置124は、該算出した勾配の推定値を地図データベース125に供与し地図情報に反映させることができる。
次に、図面を参照して、図1のシステムにおける処理に関して説明する。
(勾配推定システムにおける第1実施形態としての車両情報提供装置での処理)
図2は、図1のシステムの車両101(車両情報提供装置110)における処理を表すフローチャートである。順次に説明するように、このフローチャートにおける手順では、ドアの開閉やブレーキの作動状態、エアコンや補機類等の原動機以外のエネルギー消費機器の作動状態の監視と作動情報の取得を行う。
次いで、車両情報取得装置112がCAN112からエネルギー消費量(車両101がガソリン車である場合には燃料消費量、EVである場合には電力消費量など)の情報、速度の情報を取得する(ステップS202)。
このステップS203で、ドアの開閉タイミングの情報が取得可能であると判断した場合には(ステップS203:Yes)、ドアの開閉タイミングの情報を取得し(ステップS204)、ブレーキの動作状態の情報が取得可能か否かの判断に移行する(ステップS205)。
ステップS205で、ブレーキの動作状態の情報が取得可能であると判断した場合には(ステップS205:Yes)、ブレーキの動作状態の情報を取得する(ステップS206)。
一方、ステップS205で、ブレーキの動作状態の情報が取得不可能であると判断した場合には(ステップS205:No)、ステップS206をスキップして、ステップS207に移行する。
ステップS207でエアコンや補機類の状態の情報が取得可能であると判断した場合には(ステップS207:Yes)、エアコンその他の補機類の状態の情報を取得する(ステップS208)。
ステップS209における点列データの保存は、既述のように、車両101の点列データ保存装置113にて行う。
一方、ステップS207でエアコンその他の補機類の状態の情報が取得不可能であると判断した場合には(ステップS207:No)、ステップS208をスキップしてステップS209に移行する。
車両情報取得装置112は、上述のタイミングの到来を監視しながら待機し(ステップS210:No)、このタイミングが到来すると(ステップS210:Yes)、点列データ保存装置113の保存情報を勾配推定装置120に送信する(ステップS211)。
ステップS211での送信が完了すると、車両101側から勾配推定装置120への情報の転送処理の一つのサイクルが完了し、リターンに到る。
ここに、当該車両の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す情報を、適宜、運転者操作タイミング情報と総称する。
図3は、図1のシステムの勾配推定装置での処理を表すフローチャートである。
勾配推定装置120側では、その車両情報受信装置121が、車両101側の車両情報送信装置114からの点列データの受信を行い、点列データを現に受信しているか否かを判断する(ステップS301)。
上記保存した点列データに、車両の起動/停止やドアの開閉等に係る新たな情報が現われたか否かの監視を続ける(ステップS303:No)。
ステップS304で、点列データの区切りが認識できないときには(ステップS304:No)、停止時間やデータの無い時間(たとえば、20分など)をもって、点列データに区切りを付与する(ステップS305)。
次いで、エアコンやオーディオ、補機類の状態の情報(動作状況の情報)が取得できているか否かを判断する(ステップS307)。
即ち、ステップS308では、エアコンやオーディオ、補機類の動作状況と車両特性データベース123が保持するその車両のエアコンや補機類の性能特性とにより推測されるエネルギー消費量を点列データのなかのエネルギー消費量から減算する。この減算結果が走行のために使われているエネルギー消費量の推定値である。
即ち、エネルギー消費量の仮定値を用いて走行のために使われているエネルギー消費量の推定値を得る。
一方、ステップS307で、エアコンやオーディオ、補機類の動作状況の情報が取得できていると判断したときには(ステップS307:Yes)、この動作状況に係るエネルギー消費量の値を点列データ情報中のエネルギー消費量から減算して走行のために用いたエネルギー量を算出する(ステップS309)。
ステップS308でエネルギー消費量の推定値を得たときには、このエネルギー消費量の推定値を上述のエネルギー消費量としてステップS310での減算を実行する。
即ち、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量(非相関エネルギー消費関連情報で表す)を減算することによって、本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求めることができる。
図4の如く、順次の時間区間における点列データt−2、t−1、tのエネルギー消費量の内訳は、図3のステップS315にて既述のような実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を含んでいる。
即ち、一つの点列データにおけるエネルギー消費量は、高度変化分のエネルギー消費量(Ec1)の他に、加速分、巡航するための分、エアコンや補機類による分の各エネルギー消費量(Ec2、Ec3、Ec4)を含んでいる。
図4の例における点列データでは、高度変化分のエネルギー消費量(Ec1)の比率は寧ろ少なく、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量(Ec2、Ec3、Ec4)を相対的に多く含んでいる。
加減速に関しては、点列データの、現在の速度域よりも一つ前の処理周期での速度の値と現在値との差分と、推定車両重量から、加減速による消費されたエネルギーを推定し、該推定値をエネルギー消費量から減算する(ステップS311)。即ち、ステップS311の減算によって、加減速に起因するエネルギー消費量の変動を補正する。
ステップS312で、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できると判断したときには(ステップS312:Yes)、ブレーキが作動中の場合で上述の減算後のエネルギー消費量が0以下であるか否かを判断する(ステップS313)。
先のステップS313で、減算後のエネルギー消費量が0以下であると判断したとき(ステップS313:Yes)には、後述するステップS315に移行する。
上述におけるエネルギー消費量が0以下であるとの判断は、道路勾配が下り勾配を呈していると推定したことを意味する。この判断(ステップS313;S314:Yes)に続くステップS315では、道路が下り勾配であるとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
また、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できない場合であっても(ステップS312:No)、の場合(ステップS314:Yes)には、道路勾配下り範囲にあるとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
ステップS313で、ブレーキが作動中の場合で上述の減算後のエネルギー消費量が0以下ではないと判断したときには(ステップS313:No)、ステップS316で変化高度を算出する。
そして、走行距離とステップS316で算出した変化高度から、勾配角度を推定し、該推定による勾配角度を地図データベースに進行方向とともに当てはめて記録していく(ステップS317)。
即ち、車両が下り勾配を走行中の場合、その走行における対向車線の車両は登り勾配を走行しているため、同じ勾配について、対向車線の車両から勾配算出のための基礎データとして確度のより高いデータを取得することができる。そして、該取得したデータに依拠して、下り勾配についても、原理上、登り勾配と同等の確度で勾配を算出することができる。
このステップS318では、同一地点について複数の車両からのデータに基づいて多数の推定勾配値を算出し、該算出した勾配値に係る統計学習によって勾配情報を生成する。
ステップS318の処理が完了すると、リターンする。
次に、図を参照して推定車両重量の補正方法について説明する。
図5は推定車両重量の算定手順を表すフローチャートである。
上掲の図3を参照して既述の点列データの区切り毎に、その点列データにおける、平坦路と推定した場所の有無を判断する(ステップS501)。即ち、平坦路と推定した場所を探索する。
ステップS501の探索で平坦路が見出されないときには(ステップS501:No)、
当該車両のカタログデータによる車両重量と、乗車人員1名で平均65kgという想定値を加算した値を採用するものとして扱い(ステップS503)、この後、処理を終了(リターン)する。
ステップS502で、その平坦路には一定速で巡航する区間があると判断したときには(ステップS502:Yes)、エアコンやオーディオ、補機類の状態の情報(動作状況の情報)が取得できているか否かを判断する(ステップS504)。
このステップS505では、エアコンやオーディオ、補機類等の原動機以外のエネルギー消費機器の動作状況と車両特性データベース123が保持するその車両のエアコンや補機類の性能特性とにより推測されるエネルギー消費量を点列データの中のエネルギー消費量から減算する。この減算結果が走行のために使われているエネルギー消費量の推定値である。
既述のステップS505の処理の後、この処理で得たエネルギー消費量を車両特性データベース123が保持する巡航用のエネルギー消費量と比較する(ステップS507)。
ステップS507に次いで、巡航用のエネルギー消費量から車両重量の増減を推定し、推定車両重量を補正して勾配角度推定の精度を高くする(ステップS508)、以降、リターンする。
このステップS508における補正では、車両重量以外の走行抵抗は定常であるものと仮定している。
車両101側に備えた車両情報提供装置110では、その車両情報取得装置112が当該車両101におけるエネルギー消費量の情報および速度情報を含む車両情報を取得する。そして、該取得した車両情報を勾配推定装置(サーバ)120に提供する。
道路勾配算出の過程では、車両情報中の当該車両の高度変化と実質的に相関がない非相関エネルギー消費(図4:Ec2;Ec3;Ec4)に関連する非相関エネルギー消費関連情報を用いて高度変化と相関があるエネルギー消費情報を補正する。そして、該補正後のエネルギー消費情報に基づいて道路勾配を推定する。
上述の車両情報は、運転者操作タイミング情報または既定の時間に依拠して区切った点列データの形態で取り扱う。
勾配推定装置120は、複数の車両(その車両情報提供装置)からの車両情報を用いて道路勾配の推定を行う態様を採り得る。
また、勾配推定装置120は、道路勾配が下り勾配であることを検知したときには、対向車線の車両からの車両情報を用いて道路勾配を推定する。
本発明思想の構成要件における勾配推定装置には第1実施形態における勾配推定装置(サーバ)120がこれに該当し、以下同様に、車両情報受信部には車両情報受信装置121が、勾配推定部には道路勾配情報推定装置124が各該当する。
(1−1)第1実施形態としての勾配推定装置120は、自装置120に対応する車両101から受信した情報に基づいて当該車両101の進行に係る勾配を推定する。
勾配推定装置120の車両情報受信部(車両情報受信装置)121が、車両101が発信する当該車両101でのエネルギー消費に係る情報および速度情報を受信する。
そして、勾配推定装置120の勾配推定部(道路勾配情報推定装置)124が車両情報受信部121で受信した前記エネルギー消費に係る情報および速度情報に基づいて当該車両101の進行に係る勾配を推定する。
従って、(1−1)の場合には、道路勾配データを簡易に且つ精度良く推定することができる。
更にまた、(1−1)の場合には、GPSに依らずに道路勾配データを推定するため、GPSを利用することを必須とするような装置におけるような問題が原理的に生じない。
一般に、GPSによる高度情報はジオイド(重力ポテンシャル面)とは異なるため、正確に受信できたとしても、15m〜30m程度の誤差を含んでいる。従って、緻密なエネルギー消費量の算定の基礎とするに足る程の高い精度での道路勾配を推定することは難しい。
(1−2)上記(1)の勾配推定装置において特に、車両情報受信部121は、複数の車両が発信する当該各車両のエネルギー消費に係る情報および速度情報を受信可能である。そして、道路勾配推定装置124は、車両情報受信部121が受信した複数の各車両のエネルギー消費に係る情報および速度情報に基づいて、道路勾配を推定する。
従って、(1−2)の場合には、単一の車両からのエネルギー消費に係る情報および速度情報に依拠して推定するよりも高い確度で勾配を推定することができる。
従って、(1−3)の場合には、車両が下り勾配を走行中には確度の高い勾配推定は出来ないが、対向車線の車両は登り勾配を走行しているため、同じ勾配について、対向車線の車両から勾配算出のための基礎データとして確度のより高いデータを取得することができる。そして、該取得したデータに依拠して、下り勾配についても、原理上、登り勾配と同等の確度で勾配を推定することができる。
上記(1−4)の場合には、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算することによって、本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求め、道路勾配を高い確度で推定することができる。
上記(1−5)の場合には、ブレーキの動作とエネルギー消費量とを関連付けて、車両が下り勾配に位置していることを識別することができる。従って、確度の十分に高い勾配情報を取得することができる。
上記(1−6)の場合には、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算して本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求める。そして、特に、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量として、当該車両のエアコンやオーディオなどの車室内の機器や補機類の作動によるものを考慮し、それによる影響を除去することができる。
上記(1−7)の場合には、車両情報提供装置110から受信した情報を、運転者操作タイミング情報に基づいて区切った点列データとして取り扱うことができる。従って、この点列データに基づいて適確に勾配を推定することができる。
本発明思想の構成要件における車両情報提供装置には第1実施形態における車両情報提供装置110がこれに該当し、以下同様に、車両情報取得部には車両情報取得装置112が、車両情報送信部には車両情報送信装置114が各該当する。
(1−8)第1実施形態としての車両情報提供装置110は、上記(1−1)ないし(1−7)の何れか一の勾配推定装置120に車両情報を提供する。
また、車両情報提供装置110の車両情報送信装置114が、車両情報取得装置112で取得した前記エネルギー消費に係る情報を勾配推定装置120に送信する。
上記(1−8)の車両情報提供装置110では、車両情報を取得して自装置に対応する勾配推定装置120に供給することができる。従って、勾配推定装置120側では、この供給による車両情報を利用して道路勾配を推定する。この場合、車両情報が含むエネルギー消費費に係る情報は車両の水準位置の変化と相関が高く且つ地図上の位置の精度に依存し難い。
従って、(1−8)の車両情報提供装置110では、勾配推定装置120における、簡易且つ高精度な道路勾配推定を可能にする。
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置113が取得した非走行用途情報を勾配推定装置120に送信する。
上記(1−9)の場合には、勾配推定装置120において、車両101における全体のエネルギー消費量から非走行用途のエネルギー消費量を減算することによって、本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求めることができる。
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置113が取得した当該車両のブレーキの動作情報をも勾配推定装置120に送信する。
上記(1−10)の場合には、勾配推定装置120において、ブレーキの動作とエネルギー消費量とを関連付けて、道路勾配が下り勾配であることを識別することができる。従って、勾配推定装置120において、確度の十分に高い勾配情報を取得することができる。
車両情報送信装置114は、車両情報取得部113が取得した当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも勾配推定装置120に送信する。
上記(1−11)の場合は、勾配推定装置120において、車両101における全体のエネルギー消費量から、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算して本来の高度変化分に対応するエネルギー消費量を求める。そして、特に、実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量として、当該車両のエアコンやオーディオなどの車室内の機器や補機類の作動によるものを考慮し、それによる影響を除去することができる。
車両情報送信装置114は、車両情報取得装置112が取得した前記運転者操作タイミング情報をも前記勾配推定装置120に送信する。
上記(1−12)の場合には、勾配推定装置120において、車両情報提供装置110から受信した情報を、当該運転者操作タイミング情報に依拠して区切った点列データとして取り扱うことができる。従って、この点列データに基づいて適確に勾配を推定することができる。
次に、図面を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態としての勾配推定装置および車両情報提供装置を含む勾配推定システムを表す機能ブロック図である。
図6の勾配推定システムにおける既述の図1の勾配推定システムとの相違点は、車両情報提供装置610側が運転者特性学習装置615を有し、勾配推定装置620側が運転者特性データベース621を有して、運転者の運転特性を反映した処理を行う点である。
図6の勾配推定システム60は、車両601とサーバ620とを含む。本例では、サーバ620が本発明の第2実施形態としての勾配推定装置を構成している。
車両601は、CAN602および本発明の第2実施形態としての車両情報提供装置610を搭載している。
勾配推定装置620は、この通信によって得た情報を用いて道路勾配データを算出するという点では、図1における第1実施形態の勾配推定装置110と同様である。
CAN602は、図1を参照して既述のCAN102と同様のものである。
車両情報提供装置610は、GPS装置611、車両情報取得装置612、点列データ保存装置613、車両情報送信装置614、および、運転者特性学習装置615を有する。
車両情報取得装置612は、運転者特性学習装置615との間で運転者の運転特性に係る情報を授受するが、その他の点では、既述の車両情報取得装置112に略対応する機能を営む。
点列データ保存装置613は、既述の点列データ保存装置113と同様のものである。
車両情報送信装置614、既述の車両情報送信装置114と略同様のものであるが、本例では特に、運転者の運転特性に係る情報をも送信する。
既述のように、運転傾向学習装置615は車両情報取得装置612との間で運転者の運転特性に係る情報を授受する。
一方、情報を勾配推定装置620は、車両情報受信装置621、車両情報データベース622、車両特性データベース623、道路勾配情報推定装置624、地図データベース625、および、運転者特性データベース626を備えている。
車両情報データベース622および車両特性データベース623は、既述の車両情報データベース122および車両特性データベース123と同様のものである。
道路勾配情報推定装置624は、運転者特性データベース626に保存された運転者の運転特性に係る情報をも用いて道路勾配を推定するが、その他の点では既述の道路勾配情報推定装置124に略対応する機能を営む。
運転者特性データベース625は、車両情報提供装置610(その車両情報送信装置614)から車両情報受信装置621が受信した運転者の運転特性に係る情報を蓄積し、保持している。
図6の第2実施形態における処理について、主として、図1ないし図5を参照して説明した実施形態との相対における特徴点を説明する。
一般に、運転者の運転の仕方により同じ速度まで加速する場合にも、エネルギー消費量が異なる可能性がある。このような運転者毎の運転習性の違いに対処するため、図6における第2実施形態のでは、車両情報提供装置610の運転傾向学習装置615が、速度域毎に運転者の運転者特性を推定する。
(勾配推定システムにおける第2の実施形態としての車両情報提供装置での処理)
図7は、図6の勾配推定システム600の車両情報提供装置610における処理を表すフローチャートである。
図7(a)は、図6の勾配推定システム600の車両情報提供装置610に関し、図2のフローチャートを参照して既述の車両情報提供装置110と同様な部分の処理を表すフローチャートである。
図7(b)は、図6の勾配推定システム600の車両情報提供装置610における運転者特性の推定処理について説明するフローチャートである。
各速度域毎の運転者特性の推定処理では、先ず、走行経路において加速の発生を待機する(ステップS713:No)。そして、加速を検出すると(ステップS713:Yes)、アクセルの踏み込み時のアクセル操作速度を取得する(ステップS714)。
更に、速度域毎に、アクセル操作速度、踏み込み量に基づいて、各該当する速度域の運転者特性を推定する(ステップS716)。
ステップS716の推定処理は、踏み込み速度、踏み増し量がそれぞれ異なる特性の区分を予め設定しておき、ステップS714およびステップS715で取得したアクセル操作速度、アクセルの踏み増し量と照合して行う。
図8に示す例では、想定踏み込み速度および想定踏み増し量をそれぞれ基準にして、該基準との相対値として設定した複数の各閾値に従って、運転者特性を区分している。
そして、ステップS716で推定した各該当する速度域毎の運転者特性が既に学習されている場合には、学習による既得のデータとステップS716で新規に推定したデータとを既定の重み付けで学習し(ステップS717)、リターンする。
運転傾向学習装置615は、ステップS717での学習による加速時の運転者特性を車両情報取得装置612に供給する。
車両情報取得装置612は、この供給による運転者特性を車両情報送信装置614を介して勾配推定装置620側の車両情報受信装置621に送信する。
図9は、図6の勾配推定システム600における勾配推定装置620での処理を表すフローチャートである。
勾配推定装置620側では、車両情報受信装置621における車両情報送信装置614からの点列情報としての運転者特性の受信を待機する(ステップS901:No)。
車両情報受信装置621が運転者特性の点列情報を受信すると(ステップS901:Yes)、運転者情報データベース622が、該受信した運転者特性の点列情報を受けて自己に保存する(ステップS902)。
更に、運転者特性データベース626が、該受信した運転者特性のデータを自己に保存する(ステップS903)。
図10は、図6のシステムにおける勾配推定装置の勾配推定処理を表すフローチャートである。
勾配推定装置620では、図9のステップS902で車両情報データベース622に保存した点列データに、車両の起動/停止やドアの開閉等に係る新たな情報が現われたか否かの監視を続ける(ステップS1001:No)。
監視中に新たな情報が現われたときには(ステップS1001:Yes)、その新たな情報に係る点列データの区切りが認識できるか否かを判断する(ステップS1002)。
ステップSS1002で点列データの区切りが認識できたとき(ステップS1002:Yes)、および、ステップS1003で点列データに区切りを付与したときには、この区切り毎に点列データを分析する(ステップS1004)。
ステップS1005で、これらの情報が取得できていないと判断したときには(ステップS1005:No)、次のステップS1006の処理を実行する。
即ち、ステップS1006では、エアコンやオーディオ、補機類の動作状況と車両特性データベース623が保持するその車両のエアコンや補機類の性能特性とにより推測されるエネルギー消費量を点列データの中のエネルギー消費量から減算する。この減算結果が走行のために使われているエネルギー消費量の推定値である。
即ち、エネルギー消費量の仮定値を用いて走行のために使われているエネルギー消費量の推定値を得る。
ステップS1007に次いで、車両特性データベース623の保持データに依拠して、速度域毎にその速度を維持して巡航するに要するエネルギー消費量(駆動ロスや空気抵抗等を勘案した量)を取得し、エネルギー消費量から減算する(ステップS1008)。
ステップS1008の減算処理の結果は、加減速と勾配によるエネルギー消費量を表している。
ステップS1008に次いで、前回の周期のデータを用いて現在の速度データとの差分値から加速度を算出する(ステップS1009)。
ステップS1010で速度が加速方向に向かっていると判断した場合(ステップS1010:Yes)、運転者の運転特性の影響があると考えられる。
上述のように運転者の運転特性の影響があると考えられる場合(ステップS1010:Yes)、現在時点での速度域の運転者特性が運転者特性データベース626にあるか否かを判断する(ステップS1011)。
ステップS1012での減算における減数たる加速によるエネルギー量は、前回の周期の速度データと現在の速度データとの差分と推定車両重量とから推定する。
一方、ステップS1010で、速度が加速方向に向かっていないと判断した場合(ステップS1010:No)、運転者の運転特性の影響がないと考えられる。従って、この場合には、ステップS1009で算出した加速度に対応するエネルギー量をエネルギー消費量から減算する(ステップS1013)。
ステップS1012およびステップS1013の何れかでの減算によってエネルギー消費量を補正した後、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できるか否かを判断する(ステップS1014)。
一方、ステップS1014で、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できないと判断したときには(ステップS1014:No)、ブレーキによる減速度が大きく、減算後のエネルギー消費量が0以下であるか否かを判断する(ステップS1016)。
また、ステップS1016で、減算後のエネルギー消費量が0以下であると判断したときにも(ステップS1016:Yes)、ステップS1017に移行する。
ステップS1017では、当該車両が下り勾配範囲に位置するものとして扱い、勾配推定範囲から除外する。
また、ブレーキの動作状態に関するデータを取得できない場合であっても(S1014:No)、エネルギー消費量が0以下の場合(ステップS1016:Yes)には、道路勾配下り範囲にあるとして扱い、勾配推定範囲から除外する(ステップS1017)。
即ち、全体の消費量から、上述のような実質的に高度変化との相関がないエネルギー消費量を減算することによって高度変化分の位置エネルギーを求めることができる。
これは、下り勾配範囲では、ブレーキによるエネルギー消失や、回生によるエネルギー回収動作(エネルギー消費量が0以下)が生じる場合があり、エネルギー消費量と高低差との相関が特定し難く勾配推定が困難であるからである。
そして、第2実施形態では特に、運転者の運転特性を勘案したエネルギー消費量の補正を行うことができる。
尚、第2実施形態におけるその他の構成・作用については第1実施形態と同様である。
既述の第1実施形態の車両情報提供装置110および勾配推定装置120による勾配推定システム10の作用に加え、車両情報提供装置610の車両情報取得装置612が、運転者特性学習装置615との間で運転者の運転特性に係る情報を授受する。この運転者特性学習装置615は、運転者の運転特性(運転習性)を学習する装置である。
また、勾配推定装置620の道路勾配情報推定装置624が、運転者特性データベース626に保存された運転者の運転特性に係る情報をも用いて道路勾配を推定する。
従って、第2実施形態では特に、運転者の運転特性を勘案したエネルギー消費量の補正を行うことができる。
本発明思想の構成要件における勾配推定装置には第2実施形態における勾配推定装置(サーバ)620がこれに該当し、以下同様に、車両情報受信部には車両情報受信装置621が、勾配推定部には道路勾配情報推定装置624が各該当する。
第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、更に、次のような効果を奏する。
(2−1)第2実施形態としての勾配推定装置620は、既述の第1実施形態としての勾配推定装置120と同様の作用に加え、車両情報受信装置621で受信した当該車両の加速度を表す情報および車両側で学習した運転者の運転傾向を表す情報をも用いて勾配を推定する作用を持つ。
上記(2−1)の勾配推定装置620では、運転者の運転特性を勘案したエネルギー消費量の補正を行うことができる。
本発明思想の構成要件における車両情報提供装置には第2実施形態における車両情報提供装置610がこれに該当し、以下同様に、車両情報取得部には車両情報取得装置612が、車両情報送信部には車両情報送信装置614が、運転傾向学習部には運転特性学習装置615が各該当する。
車両情報取得装置612は、運転傾向学習装置615から運転傾向情報をも取得し、
車両情報送信装置614は、車両情報取得装置612が取得した運転傾向情報をも勾配推定装置620に送信する。
従って、勾配推定装置620で、これらの情報を勘案したエネルギー消費量の補正を行ない、より高い確度で勾配推定を行うことができる。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
101,601………………車両
102,602………………CAN
111,611………………GPS装置
112,612………………車両情報取得装置
113,613………………点列データ保存装置
114,614………………車両情報送信装置
120,620………………勾配推定装置
121,621………………車両情報受信装置
122,622………………車両情報データベース
123,623………………車両特性データベース
124,624………………道路勾配情報推定装置
125,625………………地図データベース
615…………………………運転傾向学習装置
626…………………………運転者特性データベース
Claims (7)
- 自装置に対応する車両の車両情報提供装置から受信した情報に基づいて道路勾配を推定する勾配推定装置であって、
車両情報提供装置が発信する当該車両でのエネルギー消費に係る情報および速度情報を含む車両情報を受信する車両情報受信部と、
前記車両情報受信部で受信した前記車両情報に基づいて道路勾配を推定する勾配推定部と、
を備え、
前記勾配推定部は、道路勾配が下り勾配を呈していると推定したときには、当該車両の対向車線を走行する当該他の車両の車両情報を取得し、該取得した車両情報に基づいて道路勾配を推定することを特徴とする勾配推定装置。 - 前記車両情報受信部は、複数の車両が発信する当該各車両の車両情報を受信可能であり、
前記勾配推定部は、前記車両情報受信部が受信した各車両情報に基づいて、道路勾配を推定することを特徴とする請求項1に記載の勾配推定装置。 - 前記勾配推定部は、前記車両情報が含む当該車両の当該車両の高度変化と実質的に相関がない非相関エネルギー消費に関連する非相関エネルギー消費関連情報を用いて高度変化と相関があるエネルギー消費情報を補正し、該補正を行ったエネルギー消費情報に基づいて道路勾配を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の勾配推定装置。
- 前記勾配推定部は、前記車両情報中の当該車両のブレーキの動作情報をも利用して道路勾配を推定することを特徴とする請求項1、2、および、3の何れか一項に記載の勾配推定装置。
- 前記勾配推定部は、前記車両情報受信部で受信した前記車両情報が含む当該車両の原動機以外のエネルギー消費機器の作動を表す情報をも用いて前記補正を実行することを特徴とする請求項3に記載の勾配推定装置。
- 前記勾配推定部は、前記車両情報受信部で受信した当該車両の加速度を表す情報および車両側で学習した運転者の運転傾向を表す情報をも用いて勾配を推定することを特徴とする請求項3に記載の勾配推定装置。
- 前記勾配推定部は、前記車両情報受信部で受信した当該車両の起動/停止タイミングおよび当該車両のドアの開閉タイミングの少なくとも何れかのタイミングを表す運転者操作タイミング情報を前記車両情報受信部での受信情報の区切りに利用する処理を実行して勾配を推定することを特徴とする請求項1、2、および、3の何れか一項に記載の勾配推定装置。
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