ところで、病院や老人ホーム等の入院患者や老人といったベッドから転落してしまう可能性が高い在床者を収容している施設においては、夜間に人員が不足するため、ベッドからの転落の発見が遅れ、転落した患者や老人がケガをした場合には、その処置が遅れる可能性が高い。そのため、近年では、このようなベッドからの転落事故に対する施設側の管理責任が問われることが多く発生しているという問題が生じている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ベッドからの転落事故が発生した場合であっても、転落した在床者がケガをしてしまう可能性を著しく低減するとともに、当該転落事故の発生を迅速且つ的確に監視者に対して通報することができる在床者監視システムを提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明にかかる在床者監視システムは、ベッドに在床している在床者を監視する在床者監視システムであって、上記在床者に対して個々に割り当てられる上記ベッドの周囲床面の少なくとも一部領域に敷設された所定の緩衝材からなり、所定値以上の圧力を検出する感圧センサが密封内蔵されたマットと、上記マットに内蔵された上記感圧センサによって検出された検出信号に基づいて、上記在床者が転落した居室及び/又はベッドを特定する制御手段と、予め登録された連絡先に対して異常事態の発生があった旨を通報する通報処理手段と、上記連絡先として登録された端末機とを備えることを特徴としている。
このような本発明にかかる在床者監視システムにおいては、マット上に在床者が転落した旨を検出すると、その居室及び/又はベッドを特定し、異常事態の発生があった旨を監視者に対して通報する。
ここで、上記端末機は、監視者が待機する監視室の内線に接続されており、異常事態の発生及び転落があった居室番号及び/又はベッド番号を示すメッセージを出力することにより、監視者に対して周知させる。さらに、本発明にかかる在床者監視システムは、上記監視者が所持し、上記端末機の間で通信を行う子機を備え、上記子機は、上記端末機から転送された異常事態発生信号に基づいて、異常事態の発生及び転落があった居室番号及び/又はベッド番号を示すメッセージを出力することにより、監視室にて待機していない監視者に対しても通報することができる。
また、本発明にかかる在床者監視システムは、上記マットに内蔵された上記感圧センサによって検出された検出信号に基づいて発呼処理を行う信号制御手段を備える。この信号制御手段は、上記検出信号に基づいて、当該居室の居室番号、及び/又は当該検出信号を出力したマットに対応するベッド番号を生成して発呼処理を行うとともに、発信者番号としての居室番号及び/又はベッド番号を上記通報処理手段に対して通知する。これにより、本発明にかかる在床者監視システムにおいては、マットに内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づいて発呼処理を行うことができ、在床者が転落した居室及び/又はベッドを特定することができるとともに、この情報をメッセージとして出力させることができる。
具体的には、上記信号制御手段は、上記感圧センサからの検出信号を検出するフォトカプラと、居室番号及び/又はベッド番号を構成する各桁がダイヤル値として予め設定されたダイヤル端子と、上記フォトカプラによって取得された信号に基づいて上記ダイヤル端子に設定されているダイヤル値を読み出して居室番号及び/又はベッド番号を生成する信号処理手段と、上記信号処理手段によって生成された居室番号及び/又はベッド番号を示す識別信号に基づいて、上記端末機を宛先として発呼処理を行う発呼処理手段とを有するものとして構成することができる。これにより、信号制御手段は、安価且つ簡便な構成とすることができるとともに、異常時に動作が停止してしまう危険性を低減することができる。
なお、上記感圧センサは、上記在床者の体重によって検出すべき圧力の最小値が設定される。これにより、本発明にかかる在床者監視システムにおいては、ベッドに在床している在床者の転落以外の加圧による誤検出を防止することができる。
また、本発明にかかる在床者監視システムは、上記端末機の間で通信を行う子機を備え、上記子機は、上記在床者の居室の近隣に存在する個人及び/又は機関が所持するものであることが望ましい。これにより、本発明にかかる在床者監視システムにおいては、在床者の転落に早期に対処することが可能となる。
また、上述した目的を達成する本発明にかかる在床者監視システムは、ベッドに在床している在床者を監視する在床者監視システムであって、上記在床者に対して個々に割り当てられる上記ベッドの周囲床面の少なくとも一部領域に敷設された所定の緩衝材からなり、所定値以上の圧力を検出する感圧センサが密封内蔵されたマットと、上記ベッドを撮像可能に設置された監視カメラと、上記マットに内蔵された上記感圧センサによって検出された検出信号に基づいて、上記在床者が転落した居室及び/又はベッドを特定する制御手段と、上記監視カメラによって撮像された映像を表示する表示手段と、予め登録された連絡先に対して異常事態の発生があった旨を通報する通報処理手段と、上記連絡先として登録された端末機とを備え、上記マットは、所定値以上の圧力を検出する感圧センサが密封内蔵されており、上記制御手段は、上記マットに内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づいて、上記在床者が転落した居室及び/又はベッドを特定し、上記監視カメラを当該在床者が転落したベッドの方向へと向くように制御し、当該監視カメラによって撮像された映像を上記表示手段に対して供給することを特徴としている。
このような本発明にかかる在床者監視システムにおいては、マット上に在床者が転落した旨を検出すると、その居室及び/又はベッドを特定して監視カメラを自動制御して転落があったベッド付近を撮像し、得られた映像を監視者が待機する監視室に設けられた表示手段に表示させるとともに、異常事態の発生があった旨を監視者に対して通報する。
ここで、上記監視カメラは、首振りカメラとして構成され、通常時には所定の初期方向を向いており、上記制御手段の制御に基づいて、少なくとも撮像方向が切り替えられる。なお、上記初期方向としては、上記ベッドが設置されている方向とは異なる方向であるのが望ましい。また、上記監視カメラは、暗視カメラであるのが望ましい。
また、上記端末機は、監視者が待機する監視室の内線に接続されており、異常事態の発生及び転落があった居室番号及び/又はベッド番号を示すメッセージを出力することにより、監視者に対して周知させる。さらに、本発明にかかる在床者監視システムは、上記監視者が所持し、上記端末機の間で通信を行う子機を備え、上記子機は、上記端末機から転送された異常事態発生信号に基づいて、異常事態の発生及び転落があった居室番号及び/又はベッド番号を示すメッセージを出力することにより、監視室にて待機していない監視者に対しても通報することができる。
さらにまた、本発明にかかる在床者監視システムは、上記マットに内蔵された上記感圧センサによって検出された検出信号に基づいて発呼処理を行う信号制御手段を備える。この信号制御手段は、上記検出信号に基づいて、当該居室の居室番号、及び/又は当該検出信号を出力したマットに対応するベッド番号を生成して発呼処理を行うとともに、発信者番号としての居室番号及び/又はベッド番号を上記通報処理手段に対して通知する。これにより、本発明にかかる在床者監視システムにおいては、マットに内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づいて発呼処理を行うことができ、在床者が転落した居室及び/又はベッドを特定することができるとともに、この情報をメッセージとして出力させることができる。
ここで、上記制御手段は、上記検出信号に基づく居室番号及び/又はベッド番号を示す識別信号を上記信号制御手段から受信可能に構成され、当該信号制御手段から識別信号を受信すると、当該識別信号が送信された居室番号及び/又はベッド番号の居室に設けられた監視カメラに対して、上記検出信号が送信されたマットが敷設されているベッドを撮像する旨の制御信号を送信する。これにより、本発明にかかる在床者監視システムにおいては、転落があった居室及び/又はベッドを適切に特定して監視カメラを自動制御することができる。
このような上記信号制御手段は、具体的には、上記感圧センサからの検出信号を検出するフォトカプラと、居室番号及び/又はベッド番号を構成する各桁がダイヤル値として予め設定されたダイヤル端子と、上記フォトカプラによって取得された信号に基づいて上記ダイヤル端子に設定されているダイヤル値を読み出して居室番号及び/又はベッド番号を生成する信号処理手段と、上記信号処理手段によって生成された居室番号及び/又はベッド番号を示す識別信号に基づいて、上記端末機を宛先として発呼処理を行う発呼処理手段とを有するものとして構成することができる。これにより、信号制御手段は、安価且つ簡便な構成とすることができるとともに、異常時に動作が停止してしまう危険性を低減することができる。
なお、上記感圧センサは、上記在床者の体重によって検出すべき圧力の最小値が設定される。これにより、本発明にかかる在床者監視システムにおいては、ベッドに在床している在床者の転落以外の加圧による誤検出を防止することができる。
また、本発明にかかる在床者監視システムは、上記端末機の間で通信を行う子機を備え、上記子機は、上記在床者の居室の近隣に存在する個人及び/又は機関が所持するものであることが望ましい。これにより、本発明にかかる在床者監視システムにおいては、在床者の転落に早期に対処することが可能となる。
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかる在床者監視システムは、ベッドに在床している在床者を監視する在床者監視システムであって、上記在床者に対して個々に割り当てられる上記ベッドの周囲床面の少なくとも一部領域に敷設された所定の緩衝材からなり、所定値以上の圧力を検出する感圧センサが密封内蔵されたマットと、上記ベッドを撮像可能に設置され、撮像方向を切り替えるための機械的な部材が取り付けられた監視カメラと、上記マットに内蔵された上記感圧センサによって検出された検出信号に基づいて、上記在床者が転落した居室及び/又はベッドを特定する制御手段と、上記監視カメラによって撮像された映像を表示する表示手段と、予め登録された連絡先に対して異常事態の発生があった旨を通報する通報処理手段と、上記連絡先として登録された端末機とを備え、
上記マットは、所定値以上の圧力を検出する感圧センサが密封内蔵されており、上記監視カメラは、上記マットに内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づいて上記部材が駆動され、上記在床者が転落したベッドの方向へと向くように制御され、上記制御手段は、上記マットに内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づいて、上記在床者が転落した居室及び/又はベッドを特定し、上記監視カメラによって撮像された映像を上記表示手段に対して供給することを特徴としている。
このような本発明にかかる在床者監視システムにおいては、マットと監視カメラの撮像方向を切り替えるための部材とを直接接続し、マット上に在床者が転落した旨を検出すると、監視カメラを制御して転落があったベッド付近を撮像し、得られた映像を監視者が待機する監視室に設けられた表示手段に表示させるとともに、異常事態の発生があった旨を監視者に対して通報する。
さらにまた、上述した目的を達成する本発明にかかる信号制御装置は、所定のセンサからの検出信号を検出するフォトカプラと、上記センサが設けられた位置を示す番号を構成する各桁がダイヤル値として予め設定されたダイヤル端子と、上記フォトカプラによって取得された信号に基づいて上記ダイヤル端子に設定されているダイヤル値を読み出して上記番号を生成する信号処理手段と、上記信号処理手段によって生成された番号を示す識別信号に基づいて、予め登録された連絡先を宛先として発呼処理を行う発呼処理手段とを備えることを特徴としている。
このような本発明にかかる信号制御装置は、安価且つ簡便な構成のもとに、予め登録された連絡先を宛先として擬似的に内線電話を発呼することが可能となる。
また、上記発呼処理手段は、発信者番号としての上記番号を上記連絡先に対して通知することもできる。
さらに、上記信号処理手段は、FPGAを用いて構成することにより、突発的な停電等が生じて電源が落ちてしまった場合であっても、動作が停止してしまう危険性を低減することができる。
本発明においては、所定の緩衝材からなるマットをベッドの周囲床面の少なくとも一部領域に敷設することにより、在床者がベッドから転落した場合であっても、その転落衝撃を和らげることができ、当該在床者がケガをしてしまう可能性を著しく低減することができる。また、本発明においては、マットに感圧センサを内蔵し、在床者がベッドから転落した旨を検出し、その旨を示す情報を端末機に対して提供することができることから、転落事故の発生を迅速且つ的確に監視者に対して通報することができる。さらに、本発明においては、在床者がベッドから転落した旨を検出し、これに応じて、監視カメラによって映像を撮像して表示手段に表示させることから、監視者が現場の様子を実際に視認してから対応を判断することが可能となり、転落ではない誤検出等があった場合にも、不要な出動を強いられることがなく、状況を的確に把握することができ、執るべき的確な措置を判断することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施の形態は、例えば病院や老人ホーム等の入院患者や老人といったベッドから転落してしまう可能性が高い在床者を収容している施設に設けられ、ベッドに在床している在床者を監視する在床者監視システムである。この在床者監視システムは、ベッドからの転落事故が発生した場合であっても、転落した在床者がケガをしてしまう可能性を著しく低減するとともに、当該転落事故の発生を迅速且つ的確に監視者に対して通報することができるものである。
なお、以下では、説明の便宜上、病院における入院患者の転落事故の発生を監視するものとして説明する。
在床者監視システムは、図1に示すように、在床者たる入院患者の居室である病室と、監視者(介護者)たる医師や看護婦等が待機する監視室たるナースステーションとに大別される。
病室には、在床者たる入院患者に対して個々に割り当てられる少なくとも1つ以上のベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・が設けられるとともに、これらベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・の周囲床面の少なくとも一部領域に、所定の緩衝材からなるマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・が敷設されている。同図においては、4台のベッドBD1,BD2,BD3,BD4が設置され、2枚×4台=8枚のマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42が、当該ベッドBD1,BD2,BD3,BD4のそれぞれの両脇に沿って敷設されている様子を示している。なお、マットMTは、在床者が転落する可能性が高い位置に敷設されるのが望ましい。在床者は、例えば、同図に示すようにベッドBDの側方の他、当該在床者の脚先側へも転落する可能性が高いことが知られている。したがって、在床者監視システムにおいては、マットMTが敷設される位置として、例えば、同図に示すようにベッドBDの側方の他、当該在床者の脚先側も望ましく、これらの組み合わせであってもよい。
これらマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・は、それぞれ、例えばオレフィン系樹脂等の緩衝材によって外皮が形成され、特に図示しないが、その内部に、加圧導電性ゴムセンサ(コードスイッチ)等の所定値以上の圧力を検出する感圧センサが密封内蔵されて構成される。すなわち、これらマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・は、それぞれ、いわゆるマットスイッチとして構成される。したがって、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・は、それぞれ、ベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・に在床している在床者が当該ベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・から転落した場合には、その旨を検出することができる。これらマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・に内蔵された感圧センサによって検出された検出信号は、各病室毎に設けられた後に詳述する信号制御部10に対して供給される。なお、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・に内蔵された感圧センサは、それぞれ、ベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・に在床している在床者の転落以外の加圧による誤検出を防止すべく、当該在床者の体重等によって検出すべき圧力の最小値が設定される。
また、病室には、ベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・を撮像可能に設置された監視カメラ11が設けられる。この監視カメラ11は、例えば病室の天井等に設置されたいわゆる首振りカメラとして構成されるものであり、通常時には、同図中矢印aで示す所定の方向0を向いている。なお、この方向0とは、ベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・が設置されている方向とは異なる方向であるのが望ましい。これは、任意のベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・を向いていることにより、在床者のプライバシーを保護するとともに、当該在床者に常時監視されているかのような不快感を与えないためである。この監視カメラ11は、24時間体制で常時撮像動作を行うようにしてもよいが、この方向0を向いているときには、省電力化等の観点から、何ら撮像動作を行わないようにしてもよい。
さらに、監視カメラ11は、ナースステーションからの制御に基づいて、少なくとも撮像方向が切り替え可能に構成される。具体的には、監視カメラ11は、ベッドBD1の方向を撮像する旨の制御信号がナースステーションから送信されると、この制御信号に基づいて、撮像方向を同図中矢印bで示す方向1へと切り替え、また、ベッドBD2の方向を撮像する旨の制御信号がナースステーションから送信されると、この制御信号に基づいて、撮像方向を同図中矢印cで示す方向2へと切り替える。同様に、監視カメラ11は、ベッドBD3の方向を撮像する旨の制御信号がナースステーションから送信されると、この制御信号に基づいて、撮像方向を同図中矢印dで示す方向3へと切り替え、また、ベッドBD4の方向を撮像する旨の制御信号がナースステーションから送信されると、この制御信号に基づいて、撮像方向を同図中矢印eで示す方向4へと切り替える。勿論、監視カメラ11は、ナースステーションからの制御に基づいて、撮像対象のズームインやピント合わせ等を行うこともできる。
さらにまた、病室には、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・に内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づいて発呼処理を行う信号制御部10が設けられる。この信号制御部10は、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・に内蔵された感圧センサによって検出された検出信号を入力すると、当該病室の病室番号、及び/又は検出信号を出力したマットMTに対応するベッドBDのベッド番号を生成し、この病室番号及び/又はベッド番号を示す識別信号をナースステーションにおける制御部21及び通報処理部23に対して送信する。これにより、在床者監視システムにおいては、ナースステーションに対して擬似的に内線電話を発呼することが可能となる。なお、この信号制御部10の構成については、さらに後述するものとする。
一方、ナースステーションには、各部を統括的に制御する制御手段である制御部21と、監視カメラ11によって撮像された映像を表示画面に表示する表示手段であるモニタ22と、予め登録された連絡先に対して異常事態の発生があった旨を通報する通報処理手段である通報処理部23と、当該ナースステーションの内線に接続された親機24と、この親機24との間で通信を行う子機25とが設けられる。
制御部21は、病室に設けられたマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・と接続された信号制御部10と接続され、これらマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・のいずれかに内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づく病室番号及び/又はベッド番号を示す識別信号を、信号制御部10から受信可能に構成される。また、制御部21は、病室に設けられた監視カメラ11とも接続され、この監視カメラ11との間で通信を行う。具体的には、制御部21は、信号制御部10から識別信号を受信すると、当該識別信号が送信された病室番号の病室に設けられた監視カメラ11に対して、検出信号が送信されたマットMTが敷設されているベッドBDを撮像する旨の制御信号を送信する。そして、制御部21は、監視カメラ11によって撮像された映像をモニタ22に対して供給する。
モニタ22は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等から構成され、制御部21の制御のもとに、監視カメラ11によって撮像された映像を表示画面に表示する。
通報処理部23は、構内電話交換機(Private Branch Exchange;PBX)の機能を有し、信号制御部10からの発呼に応じて、予め登録された連絡先としての当該ナースステーションの内線に接続された親機24に対して通話接続を行うことにより、異常事態の発生があった旨を通報する。
親機24は、通報処理部23の連絡先として登録される端末機であり、当該通報処理部23から着信すると、異常事態の発生及び転落があった病室番号及び/又はベッド番号を示す音声メッセージや文字メッセージ等を出力するとともに、必要に応じて、子機25に対して異常事態発生信号を転送する。
子機25は、必要に応じて設けられるものであり、ナースステーションにて待機していない監視者が所持する携帯電話機や携帯情報端末機(Personal Digital Assistants;PDA)等の端末機として構成される。子機25は、親機24から転送された異常事態発生信号に基づいて、異常事態の発生及び転落があった病室番号及び/又はベッド番号を示す所定の音声メッセージや文字メッセージ等を出力する。
このような在床者監視システムにおいては、在床者がベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・から転落することにより、当該ベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・の周囲床面の少なくとも一部領域に敷設されたマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・に内蔵された感圧センサによって圧力が検出されると、制御部21の制御のもとに、圧力を検出したマットMTが敷設されているベッドBDの方向へと監視カメラ11を首振りさせ、当該ベッドBDの付近の映像を撮像し、この映像をモニタ22に表示させる。そして、在床者監視システムにおいては、ナースステーションにて待機している監視者が親機24や子機25を介して異常事態の発生があった旨を把握すると、モニタ22に表示された映像を視認し、状況を的確に把握する。
具体的には、在床者監視システムにおいては、図2に示すような一連の工程を経ることにより、在床者がベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・から転落した旨を検出し、その旨を監視者に対して通報する。なお、ここでは、説明の便宜上、ベッドBD1に在床している在床者が当該ベッドBD1からマットMT11上に転落した場合について説明するものとする。
まず、在床者監視システムにおいては、初期状態では、病室に設けられた監視カメラ11が上述した方向0を向いている。この状態で、在床者監視システムにおいては、同図に示すように、ステップS1において、マットMT11によって圧力を検出することにより、ベッドBD1に在床している在床者が当該ベッドBD1から転落した旨を検出する。
これにより、在床者監視システムにおいては、ステップS2において、マットMT11によって検出された検出信号に基づく病室番号及び/又はベッド番号を示す識別信号が、信号制御部10からナースステーションに設けられた制御部21及び通報処理部23に対して送信される。
続いて、制御部21は、ステップS3において、識別信号に基づいて、在床者が転落した病室及びベッドBD1を特定し、監視カメラ11に対して制御信号を送信することにより、当該監視カメラ11を方向1へと向くように制御し、撮像動作を開始させる。
これに応じて、監視カメラ11は、ステップS4において、方向1へと撮像方向を切り替え、ステップS5において、ベッドBD1付近の映像を撮像し、制御部21へと送信する。
続いて、制御部21は、ステップS6において、監視カメラ11から送信された映像をモニタ22に対して供給し、表示画面に表示させる。これとともに、通報処理部23は、ステップS7において、親機24に対して通話接続して異常事態の発生があった旨を通報する。
続いて、親機24は、ステップS8において、通報処理部23から供給された異常事態発生信号に基づいて、異常事態の発生及び転落があった病室番号及び/又はベッド番号を示す所定の音声メッセージや文字メッセージ等を出力するとともに、子機25に対して異常事態発生信号を転送する。
そして、子機25は、ステップS9において、親機24から転送された異常事態発生信号に基づいて、異常事態の発生及び転落があった病室番号及び/又はベッド番号を示す所定の音声メッセージや文字メッセージ等を出力する。
在床者監視システムにおいては、このような一連の工程を経ることにより、在床者がベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・から転落した旨を検出し、その旨を監視者に対して迅速に通報することができる。
さて、在床者監視システムにおいては、上述したように、信号制御部10を設けることにより、ナースステーションに対して擬似的に内線電話を発呼することが可能となる。ここで、この信号制御部10は、マットMTに内蔵された感圧センサによって検出された検出信号に基づいて病室番号及び/又はベッド番号を生成して発呼処理を行う所定のソフトウェアをCPU(Central Processing Unit)によって実行する構成とすることもできるが、病室毎に設けられることから、安価に構成することが望ましい。
そこで、在床者監視システムにおいては、この信号制御部10をいわゆるFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて安価且つ簡便な構成とする。この具体例について、図3を用いて説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、マットMTによる検出信号に基づいて、3桁又は4桁の数字からなる病室番号を生成し、この病室番号を示す識別信号を出力する信号制御部10について説明する。
具体的には、信号制御部10は、図3に示すように、マットスイッチとして構成される複数の感圧センサ511,512,513,514からの検出信号を検出するフォトカプラ52と、病室番号を示す複数のダイヤル端子531,532,533,534と、フォトカプラ52によって取得された信号に基づいて処理を行う信号処理部54と、発呼処理を行う発呼処理部55とを有する。
フォトカプラ52は、複数の感圧センサ511,512,513,514からの検出信号を入力すると、入力があった旨を示す制御信号を信号処理部54に対して供給する。すなわち、フォトカプラ52は、複数の感圧センサ511,512,513,514のうち、いずれかの感圧センサによって検出信号が出力されると、これに応じて制御信号を信号処理部54に対して供給する。ここで、感圧センサ511は、図1に示したマットMT11,MT12に内蔵されたものであり、感圧センサ512は、マットMT21,MT22に内蔵されたものであり、感圧センサ513は、マットMT31,MT32に内蔵されたものであり、感圧センサ514は、マットMT41,MT42に内蔵されたものであるとする。したがって、フォトカプラ52は、これらマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42のいずれかに在床者が転落した旨を検出することが可能とされ、この情報を信号処理部54に対して供給する役割を果たす。
ダイヤル端子531,532,533,534は、それぞれ、ロータリースイッチから構成され、病室番号を構成する各桁がダイヤル値として予め設定されたものである。例えば、病室番号が"1234号室"である場合には、ダイヤル端子531には、"1"が設定され、ダイヤル端子532には、"2"が設定され、ダイヤル端子533には、"3"が設定され、ダイヤル端子534には、"4"が設定される。このようなダイヤル端子531,532,533,534のそれぞれに設定されたダイヤル値は、信号処理部54によって読み出される。
信号処理部54は、病室番号を生成するために設けられるものであり、FPGAを用いて構成される。すなわち、信号処理部54は、フォトカプラ52から制御信号が供給されると、これに応じて、ダイヤル端子531,532,533,534のそれぞれに設定されているダイヤル値を読み出すことにより、病室番号を生成する。そして、信号処理部54は、生成した病室番号を示す識別信号を発呼処理部55に対して供給する。
発呼処理部55は、信号処理部54から識別信号が供給されるのに応じて、発呼処理を行う。このとき、発呼処理部55は、ナースステーションにおける親機24を宛先として発呼処理を行う。
このような信号制御部10は、複数の感圧センサ511,512,513,514のいずれかから検出信号を入力すると、これに応じて、ダイヤル端子531,532,533,534のそれぞれに予め設定されているダイヤル値を信号処理部54によって読み出すことにより、病室番号を生成し、発呼処理部55による発呼処理を行うとともに、発信者番号としての病室番号を示す識別信号をナースステーションにおける通報処理部23に対して通知する。ここで、信号制御部10は、信号処理部54としてFPGAを用い、メモリを有しないアナログ的な構成とすることにより、安価且つ簡便な構成とすることができるとともに、例えば突発的な停電等が生じて電源が落ちてしまった場合であっても、ソフトウェアによる構成の場合とは異なり動作が停止してしまう危険性を低減することができる。
なお、図3においては、複数の感圧センサ511,512,513,514のいずれかから検出信号を入力するのに応じて、当該感圧センサ511,512,513,514が設けられた病室番号を通知する構成とされているが、信号制御部10においては、感圧センサ511,512,513,514のそれぞれからの検出信号の論理和を1つのフォトカプラ52によって検出するのではなく、当該感圧センサ511,512,513,514のそれぞれに対して1つのフォトカプラを設けることにより、転落があったベッド番号を特定することが可能となる。また、図3においては、4つのベッドBD1,BD2,BD3,BD4のそれぞれに対応した4つの感圧センサ511,512,513,514からの検出信号を入力する構成とされているが、信号制御部10においては、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42のそれぞれに対応して感圧センサを設けることにより、あるベッドBDのどの位置に在床者が転落したかを検出することが可能となり、より精度の高い監視を行うことが可能となる。いずれにせよ、在床者監視システムにおいては、信号制御部10をかかるアナログ的な構成とすることにより、このような拡張を容易に行うことができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態として示す在床者監視システムにおいては、所定の緩衝材からなるマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・をベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・の周囲床面の少なくとも一部領域に敷設することにより、在床者がベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・から転落した場合であっても、その転落衝撃を和らげることができ、当該在床者がケガをしてしまう可能性を著しく低減することができる。
また、この在床者監視システムにおいては、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・をマットスイッチとして構成することによって在床者がベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・から転落した旨を検出し、その旨を示す情報を、信号制御部10を介して親機24や子機25に対して提供することができることから、転落事故の発生を迅速且つ的確に監視者に対して通報することができる。
さらに、この在床者監視システムにおいては、在床者がベッドBD1,BD2,BD3,BD4,・・・から転落した旨を検出し、これに応じて、監視カメラ11によって映像を撮像してモニタ22の表示画面に表示させ、この映像を監視者がモニタ22を介して視認することにより、当該監視者が現場の様子を実際に視認してから対応を判断することが可能となり、転落ではない誤検出等があった場合にも、不要な出動を強いられることがなく、状況を的確に把握することができ、執るべき的確な措置を判断することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、病室に監視カメラ11が設けられるものとして説明したが、本発明は、必ずしも監視カメラ11を設ける必要はない。すなわち、在床者監視システムにおいては、病室にマットスイッチとして構成されたマットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・を設け、制御部21によって転落があった病室番号及び/又はベッド番号を特定することができればよい。
また、上述した実施の形態では、監視カメラ11の構成について首振りカメラとしての言及にとどめたが、本発明は、監視カメラ11を首振り機能付きの暗視カメラとして構成することも可能である。この場合、在床者監視システムにおいては、夜間等の十分に撮像する光量を得ることができない環境であっても、確実に現場の様子を撮像することが可能となる。特に、転落事故は、人員が不足する夜間に生じた場合に大きな問題となることから、監視カメラ11として暗視カメラを用いることは、簡易な構成ながらも極めて有効な効果を期待することができる。
さらに、上述した実施の形態では、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・からの検出信号に基づく識別信号を制御部21に対して供給し、これに基づいて監視カメラ11を制御するものとして説明したが、本発明は、監視カメラ11の撮像方向を切り替えるための機械的な部材を当該監視カメラ11に取り付けるとともに、マットMT11,MT12,MT21,MT22,MT31,MT32,MT41,MT42,・・・と当該部材とを直接接続し、検出信号に基づいて当該部材を駆動させ、監視カメラ11の撮像方向を切り替えるようにしてもよい。在床者監視システムにおいては、かかる構成とすることにより、監視カメラ11として通常の撮像機能のみを有する安価なものを用いることができ、全体として極めて安価且つ簡便な構成を実現することができる。一方、在床者監視システムにおいては、上述したように、制御部21を介した監視カメラ11の制御を行う場合には、当該監視カメラ11として自動追尾型のものを用いることにより、転落した在床者の動きに応じた撮像動作を行うことができ、極めて精度の高い監視体制を実現することができる。
さらにまた、本発明は、病室とナースステーションとを有線接続又は無線接続のいずれを用いて接続してもよい。具体的には、在床者監視システムにおいては、有線接続を行う場合には、図4に示すように、各病室に設けられた信号制御部10とナースステーションに設けられた通報処理部23とを、例えば、いわゆるイーサネット(登録商標)等から構成されるLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、又はFTTH(Fiber To The Home)等の各種有線通信方式に準拠したネットワーク回線を用いて接続すればよい。一方、在床者監視システムにおいては、無線接続を行う場合には、図5に示すように、各病室に設けられた信号制御部10のそれぞれに対して、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11a/b/gに準拠した無線LAN又はいわゆるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の各種無線通信方式に準拠した無線発信機10aを接続するとともに、ナースステーションに設けられた通報処理部23に対して、無線発信機10aに対応した無線受信機50を接続すればよい。
また、上述した実施の形態では、病院における入院患者の転落事故の発生を監視するものとして説明したが、本発明は、例えば老人ホームといった在床者を収容している施設であればいかなる施設であっても適用することができ、また、在床者が居住する一般家屋にも容易に適用することができる。いずれの場合であっても、在床者監視システムにおいては、子機25を、在床者の居室の近隣に存在する個人や、警察機関及び/又は消防機関といった公的機関や警備会社等の民間機関等が所持するものとすることにより、当該在床者の転落に早期に対処することが可能となる。したがって、このような在床者監視システムは、独居老人を監視することを目的とする場合にも、極めて有効な効果をもたらすものである。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。