JP4643187B2 - バッグ型エアフィルタ - Google Patents

Description

本発明はバッグ型エアフィルタ装置に関し、特にバッグ状の濾材を交換できるように設けたエアフィルタ装置に関する。

実公平７−１３７７７号公報 特開昭４９−１０１９６８号公報 特公昭４１−１０９４２号公報 特公昭４２−５６３２号公報

特許文献１ないし３はバッグ型又はポケット型と呼ばれるエアフィルタ装置を開示している。これらの文献に開示されたエアフィルタ装置はいずれも、空気流入口を形成するフィルタ濾材フレームにバッグ状のエアフィルタ濾材を固定したものであり、目詰まり等のためにエアフィルタ濾材を交換する際にはフィルタ濾材フレームごと交換する必要があった。これは、装置全体を交換するためコストが高くなり、また、装置全体を運搬する必要があるため、輸送費が高くなるとという問題を生じている。

特許文献１はまた、装置内をエアが通過する際に、エアフィルタ濾材の各ポケットが膨らんで隣接するポケットと干渉してフィルタ機能が低下するという問題を解決するために、各ポケットの内面を線状に溶着して溶着ラインを形成することを教示する。しかしながら、このように連続した溶着する溶着ラインを設けると、着火したときに、溶着ラインに沿って火が燃え広がり延焼しやすいという問題が発生する。

特許文献２はまた、特許文献１と同様に、各ポケットの内面を線状に縫い合わせて縫目ラインを形成することを教示する。このような縫い目ラインを形成することは効率的な作業ではなく時間を要するという問題がある。

引用文献３は、エアフィルタ濾材（カートリッジ）をフィルタ濾材フレームにリベットで止め付け固定することを説明しており、先に論じたように、エアフィルタ濾材をフィルタ濾材フレームごと交換するタイプのものである。

引用文献４は、引用文献３のように濾材カートリッジをフィルタ濾材フレームにリベットで止め付け固定することに代えて、複数の回転可能なリテーナロッドを用いてアングルフレームのフランジに濾材カートリッジのフランジを着脱自在に取り付けるエアフィルタ装置を開示している。この装置において、濾材カートリッジを取り外して交換することは可能である。しかしながら、アングルフレームにこれらのリテーナロッドを回転自在に取り付ける手段を必要とし、部品数が多くなり、従って、複雑な機構になるといった問題がある。また、リテーナロッドがカートリッジで覆われていないため、カートリッジを取り外すときにハンドルの役目をするリテーナロッドが汚れやすいという問題も生じている。引用文献４はまた、カートリッジを種々の箇所（峰や谷）において、ワイヤーを用いて支持することを説明しているが、これは構造が複雑になりコスト高となる問題がある。

本発明は上記の問題点を解決するものである。従って、本発明の目的は、エアフィルタ濾材をフィルタ濾材フレームに容易に着脱できる比較的単純構造の安価で製造可能なエアフィルタ装置を提供することである。

上記目的を達成するため本発明のエアフィルタ装置は、気体流入口を有し該気体流入口の周辺に固定用の周辺部を有するバック状のエアフィルタ濾材と、前記エアフィルタ濾材を取り付けて前記気体流入口を画成するフィルタ濾材フレームであって、前記エアフィルタ濾材の前記周辺部を受ける環状空洞を有する環形の濾材受け部材と、前記濾材受け部材の前記環状空洞に設けられる濾材押え部材であって、前記エアフィルタ濾材の前記周辺部を前記濾材受け部材と前記濾材押え部材の間に挟持して前記エアフィルタ濾材を固定し、かつ、弾性変形して前記エアフィルタ濾材の前記周辺部を前記濾材受け部材と前記濾材押え部材から解放するように構成された濾材押え部材を含むフィルタ濾材フレームとを含んでなる。

前記フィルタ濾材フレームは、ほぼ平行に配列され前記濾材受け部材の対向する２つの部分に架け渡された複数の支持ロッドであって、前記エアフィルタ濾材のポケットの間の部分を背面から支持するように設けた支持ロッドを有することができる。

前記エアフィルタ装置又は前記フィルタ濾材フレームの濾材押え部材は、濾材受け部材内に位置するときに、濾材受け部材との間に隙間、くぼみ、切欠き等を有することができ、この切欠き等に平らな治具を挿入して濾材押え部材の弾性変形部を押してこれに係合しているエアフィルタ濾材を解放することができる。

前記エアフィルタ装置又は前記フィルタ濾材フレームの濾材押え部材は、前記隙間、くぼみ、切欠き等に代えて、あるいは、そういった切欠き等を備えると共に、露出した突起部を含むことができ、この突起を回転させることで濾材押え部材の前記弾性変形部を回転させてこれに係合しているエアフィルタ濾材を解放することができる。

エアフィルタ濾材をフィルタ濾材フレームに容易に着脱できるように設けているため、エアフィルタ濾材を容易に交換することができ、あるいはそれを洗浄すること等により再利用でき、安価なエアフィルタ装置を提供することができる。

また、支持ロッドはその端部よりも流入気体の上流側に位置するロッド部（中央部）を有するので、複数のポケットを有するバッグ状のエアフィルタ濾材を効果的に支持することができる。

本発明のその他の特徴及びそれに伴う効果は、以下の発明の実施するための最良の形態から理解されるであろう。

図１は本発明のエアフィルタ装置の好ましい実施の形態を示す一部破断斜視図である。この実施の形態のエアフィルタ装置１は、バッグ状のエアフィルタ濾材２と、該エアフィルタ濾材２を取り付けるための環形フィルタ濾材フレーム３を含む。

フィルタ濾材フレーム３は濾過されるべきエアが入り込むための流入口をフィルタ濾材フレーム３の環形によって囲まれる内側に画成する。フィルタ濾材フレーム３はエアフィルタ濾材２を受ける内部空洞（溝）１３を有する環形濾材受け部材４と、該濾材受け部材４の内部空洞１３に配設され、該空洞に受けたエアフィルタ濾材２を固定するための環状の濾材押え部材５を含む。

エアフィルタ濾材２は本実施の形態においては複数のポケット１１，１１を備えるが、単一のポケット１１とすることもできる。フィルタ濾材フレーム３はその対向する２つの部分４ａ，４ｂに架け渡された複数の支持ロッド６，６を含むことができる。これらの支持ロッド６，６はほぼ平行に配列され、エアフィルタ濾材２の複数のポケット１１，１１をそれらのポケット間の部分でその背後から支持する。図１及び３に示す例では、これらの支持ロッド６，６は、環形の濾材受け部材４の対向部分４ａ，４ｂの該環形の内側の面の上側（前記流入口に近接した部分）に溶接により直接固着されている。代替的に、支持ロッド６，６を対向部分４ａ，４ｂの内側面に設けたブラケット（図示省略）を介して対向部分４ａ，４ｂの内側面に固着して支持ロッド６，６がこれらの対向部分４ａ，４ｂの間で延伸するように設けることとしてもよい。

図示の例では、フィルタ濾材フレーム３は長方形であるが、円環形とすることもでき、これに合わせてエアフィルタ濾材２も円形の流入口を有するようにすることも可能である。

図１において、フィルタ濾材フレーム３とエアフィルタ濾材２の一部（１つの角の部分II）を破断して図示している。図２はこの破断した部分、即ち、エアフィルタ濾材２がフィルタ濾材フレーム３に係合している状態を詳細に示す。

図２において、濾材受け部材４はチャンネル材から構成されている。チャンネル材は、例えば、エアステンレス鋼であり、ステンレス平板を曲げ加工することにより製作できる。４辺のステンレスチャンネル材を溶接することにより、あるいは、その他公知の方法で連結して一体的な濾材受け部材チャンネルを構成することができる。４辺のチャンネル材が壁等に堅固に取り付けられるならば、これらのチャンネル材を一体化することは必要ではない。濾材受け部材４は、その空洞１３の開口部が流入するエア流に向かうように指向される。なお、濾材受け部材４は、ステンレス鋼以外の材料（例えば、プラスチック）とすることもできる。

濾材押え部材５はほぼチャンネル状であるが、折り曲げられた、あるいは、湾曲する一側８を有する。この一側８は弾性変形しバネ即ち弾性復元材として働く。濾材押え部材５もまたステンレス平板を曲げ加工することにより製作できるし、代替的にプラスチックその他の材料とすることもできる。プラスチックのような非弾性材料であっても弾性復元材として働く一側（弾性変形部）８を有していればよい。濾材押え部材５は、それ自体が弾性材料である円形若しくは台形断面又はその他適当な断面を有するゴムの棒とすることもできる。そういった断面形状の棒状のゴム材料とする場合、ゴム材料と濾材受け部材４の内面との間の空間が隙間９（後に詳細に説明する）となる。

濾材押え部材５を濾材受け部材４の内部空洞１３内に固定して配設することとしてもよいし、あるいは、濾材受け部材４の環状内部空洞１３内に取り外し可能に装着することとしてもよい。

図２に示すように、濾材押え部材５はそのチャンネルの解放部分が図１及び図２において下向きとなるように濾材受け部材４内に配設されている。濾材押え部材５と濾材受け部材４はそれらの間にエアフィルタ濾材２の四方周辺部７を挟持してエアフィルタ濾材２をフィルタ濾材フレーム３に固定する。濾材押え部材５は、弾性変形部８の上部と濾材受け部材４の間に僅かな隙間９が形成されるような寸法に設けられており、この隙間９にマイナスドライバの先端のような平らなツールを差し込んで弾性変形部８を半径方向外側に押しやるように変形させることにより、濾材押え部材５を濾材受け部材４から取り出して、あるいは、濾材押え部材５を濾材受け部材４から取り出すことなく、エアフィルタ濾材２をフィルタ濾材フレームから取り外すことができる。

図２において、破線１０は隙間９が形成されないようなサイズに濾材押え部材５を設けたときの濾材押え部材５の半径方向内側のエッジを示すものであり、隙間９と同様な役目をなす少なくとも１つの切欠き９ａ又はくぼみ９ａを隙間９に代えて濾材押え部材５に設けることができる。また、隙間９と同様な効果を生じさせる少なくとも１つの突起９ｂを隙間９に代えて濾材押え部材５に設けることができる。この突起９ｂを押して図２における時計方向に回転させることで弾性変形部８を半径方向外側に回転させることができるので、エアフィルタ濾材２をフィルタ濾材フレームから取り外すことができる。なお、隙間９、少なくとも１つの切欠き９ａ、少なくとも１つのくぼみ９ａ及び少なくとも１つの突起９ｂのすべてを設けること、あるいは、これらの手段のいくつかを選択して設けることもできることは明らかである。

図３に再度言及すると、図１に示すような複数のポケットの口より突出した周辺部７を有するエアフィルタ濾材２のポケット間の部分がフィルタ濾材フレーム３の前面よりも突き出た位置に来ることがある。このような位置を保持して該部分を支持することがエアフィルタ濾材２を効果的に支持することになるので、そのために前記支持ロッド６，６を設けている。図３に示す例では、各支持ロッドはその端部において、濾材受け部材４の対向する部分４ａ，４ｂの内面の上部（即ちエア流入口に近い部分）に固定されている。固定された端部は濾材受け部材４に対して例えば、４５°をなし、濾材受け部材から僅か延伸した後に１３５°曲げられて中央部（支持ロッド部分）へと続く。従って、両端部を除く中央部（支持ロッド部分）は濾材受け部材４に平行になる。図示のように、支持ロッド部分をフィルタ濾材フレーム３（濾材受け部材４）の前面よりも突出させることとしてもよい。突出の程度は、エアフィルタ濾材２のサイズ、材料の特性、ポケットの数、及びエアフィルタ装置の要素のサイズ等により適宜選択することとしてもよい。

図４は本発明のエアフィルタ装置１又はフィルタ濾材フレーム３に用いる濾材押え部材５の別の例を示す断面図であり、図１の濾材受け部材４の対向部分４ａ，４ｂと、濾材押え部材５の対向部分５ａ，５ｂを含む面で切断した断面に相当する断面図である（断面は左右対称であるので、左側の部分４ｂ，５ｂは省略しており、右側の部分である部分４ａ，５ａと、エアフィルタ濾材２を示す）。図からわかるように、濾材受け部材４（の部分４ａ）の環形空洞に配設された濾材押え部材５（の部分５ａ）の弾性変形部８は折り曲げられた部分とその下の湾曲部を有する。弾性変形部８に対向する濾材押え部材５の部分は実線で示すように真っ直ぐである。

濾材押え部材５とその弾性変形部８の形状を図２と図４に例示したが、種々の変形例が可能であることは当業者にとって明白である。例えば、図４に示す弾性変形部８と対称な弾性変形部（破線８ａで示す）を半径方向外側の部分にも設けて対称断面を有する濾材押え部材５とすることができる。このようにすれば、濾材押え部材５を濾材受け部材４に挿入するときに、濾材押え部材５の左右の向きを考える必要がなく、向きの入れ間違いをなくすことができる。

本発明のエアフィルタ濾材２の材料は、ろ過性能を有する折り曲げ可能な材料であれば、いかなるものを使用することができる。溶着加工できる素材、例えば、合成繊維不織布であることが望ましい。合成繊維不織布であれば、公知技術を利用し、即ち、超音波ミシンあるいは高周波ミシンを使用して不織布を容易に溶着して図１に示すような複数のポケット１１，１１を有するバッグ状のエアフィルタ濾材を作ることができ、上記した特許文献１に記載されているような溶着ラインを作ることができる。

しかしながら、本発明の実施の形態のバッグ状のエアフィルタ濾材２では、特許文献１に記載されているような延焼しやすい性質の溶着ライン（溶着が連続したもの）とせずに、溶着が断続する複数の溶着点１２，１２とした。このように断続する溶着点とし、かつ、各溶着点の面積を５ｍｍ^２以下、かつ、溶着点間の中心間隔を５ｍｍ以上とすれば難燃性が維持されることが判明した。このような構成とすることで、ＪＩＳ Ｌ １０９１ Ａ−２法による難燃性試験の結果、本発明のエアフィルタ濾材２が区分３に適合することとなった。また、このような構成とすることで、本発明のエアフィルタ濾材２のポケット１１を従来のものに比べてより好ましい可撓性、柔軟性を維持できることが判明した。

以上いくつかの実施の形態及びその代替例に関して本発明を説明したが、これらの実施の形態及び代替例は例示的なものであり、本発明はそれらに限定されるものではない。他の種々の変形、変更例も可能であることは当業者にとって明白であり、本発明はその技術的思想から逸脱することのないそのような変形、変更例を含むことを意図するものである。

本発明のエアフィルタ装置は、エアフィルタ装置のエアフィルタ濾材を容易に交換可能にし、エアフィルタ装置や運搬費用を削減することができ、かつ、安価なエアフィルタ装置及びエアフィルタ濾材を提供することができる。従って、産業上の要求におおいに応えることができ、産業上おおいに利用されうるものである。

本発明のエアフィルタ装置の第１実施形態をその一部を破断して示す斜視図である。 図１のII部の拡大断面図であり、濾材受け部材とその中に設けた弾性の濾材押え部材との間に挟持されたエアフィルタ濾材を示すものである。 フィルタ濾材フレームの矢示III方向の側面図である（エアフィルタ濾材の表示を省略している）。 本発明のエアフィルタ装置の第２実施形態の断面図である。

符号の説明

１ エアフィルタ装置
２ エアフィルタ濾材
３ フィルタ濾材フレーム
４ 濾材受け部材
５ 濾材押え部材
６ 支持ロッド
７ エアフィルタ濾材の周辺部
８，８ａ 濾材押え部材の弾性変形部
９ 隙間
９ａ 濾材押え部材の切欠き又はくぼみ
９ｂ 濾材押え部材の突起
１１ エアフィルタ濾材のポケット
１２ ポケットの溶着点
１３ 濾材受け部材の環状空洞

Claims (4)

1. 気体流入口を有し該気体流入口の周辺に固定用の周辺部（７）を有するバッグ状のエアフィルタ濾材（２）と、
   前記エアフィルタ濾材を取り付けて前記気体流入口を画成するフィルタ濾材フレーム（３）であって、前記エアフィルタ濾材の前記周辺部を受ける環状空洞（１３）を有する環形の濾材受け部材（４）と、前記濾材受け部材の前記環状空洞に設けられる濾材押え部材（５）であって、前記エアフィルタ濾材の前記周辺部を前記濾材受け部材と前記濾材押え部材の間に挟持して前記エアフィルタ濾材を固定し、かつ、弾性変形して前記エアフィルタ濾材の前記周辺部を前記濾材受け部材と前記濾材押え部材から解放するように構成された濾材押え部材（５）を含むフィルタ濾材フレームとを、
   含んでなるエアフィルタ装置（１）であって、
   前記濾材押え部材（５）は、前記濾材受け部材（４）の中に位置する前記濾材押え部材を弾性変形させて前記エアフィルタ濾材を解放するためのツールを差し込むための隙間（９）が前記濾材押え部材と前記濾材受け部材の間に形成されるような形状に設けられると共に、
   前記バッグ状のエアフィルタ濾材（２）は、少なくとも１つのポケット（１１）を有し、溶着性の材料から成り、該エアフィルタ濾材は、前記ポケット（１１）の内面を互いに点状に断続的に接着させた複数の溶着点（１２）を有し、前記各溶着点の面積は５ｍｍ ^２ 以下で、かつ、前記溶着点間の間隔が５ｍｍ以上であることを特徴とするエアフィルタ装置。
2. 前記エアフィルタ濾材は複数のポケット（１１，１１）を有し、前記環形の濾材受け部材（４）は、前記濾材受け部材の対向する２つの部分（４ａ，４ｂ）の内側にほぼ平行に配列され架け渡された複数の支持ロッド（６，６）であって、前記エアフィルタ濾材（２）の前記ポケット（１１，１１）の間の部分を背面から支持する複数の支持ロッドを有する請求項１のエアフィルタ装置。
3. 前記各支持ロッド（６）は前記対向する２つの部分（４ａ，４ｂ）の内側に取り付けられた両端と、該両端を除く中央部を有し、前記中央部は前記両端よりも流入気体の上流側に位置する請求項２のエアフィルタ装置。
4. 前記濾材押え部材（５）は、前記濾材受け部材（４）の中に位置する前記濾材押え部材（５）を弾性変形させて前記エアフィルタ濾材を解放するためのツールを差し込むための隙間（９）に代えて、切欠き（９ａ）と、くぼみと（９ａ）、前記濾材押え部材を弾性変形させるための突起（９ｂ）の少なくとも１つを有する請求項１のエアフィルタ装置。

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