JP4643083B2 - 毛髪化粧料用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ剤を含有する組成物又はアルカリ剤と染料を含有する組成物と混合して毛髪脱色剤又は染毛剤として用いられる毛髪化粧料用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の毛髪化粧料用組成物としては例えば、酸化剤、油性成分、界面活性剤及び水を含有して水中油型乳化物の形態を有するものが従来知られている。水中油型乳化物の場合、アルカリ剤を含有する組成物又はアルカリ剤と染料を含有する組成物との混合性が良好なうえに、その混合液を毛髪に適用する際にも髪に塗布しやすいという特長がある。そのため、多くのもので水中油型乳化物の形態が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のように水中油型乳化物の形態である場合には、寒冷時など低温にさらされたときに凍結しやすいという問題がある。いったん凍結すると不可逆的に乳化が破壊されてしまうため、解凍したとしても水相と油相が分離してしまって元の乳化状態に回復しない。こうなると、脱色性・染色性が低下して毛髪脱色剤又は染毛剤として用をなさなくなってしまう。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、低温にさらされたときに乳化が破壊されにくい毛髪化粧料用組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、アルカリ剤を含有する組成物又はアルカリ剤と染料を含有する組成物と混合して毛髪脱色剤又は染毛剤として用いられるもので、酸化剤、油性成分、界面活性剤及び水を含有して水中油型乳化物の形態を有する毛髪化粧料用組成物であって、前記油性成分は、炭化水素、高級アルコール、及びシリコーン類から選ばれる少なくとも一種であって、前記油性成分の含有量が10重量%以上であるとともに、前記界面活性剤として下記一般式(A)で表される化合物を含有することを要旨とする。
【0006】
R(OCH(CH3)CH2)x(OCH2CH2)yOH …(A)
(ただし、式中のRはセチル基を表す。またx及びyは1以上の整数を表し、x+y≦18である。)
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の毛髪化粧料用組成物において、前記一般式(A)で表される化合物の含有量が15重量%以下であることを要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の毛髪化粧料用組成物を、二剤式の毛髪脱色剤の第2剤として具体化した実施形態について説明する。
【0010】
二剤式の毛髪脱色剤は、用時に混合される第1剤(アルカリ剤を含有する組成物)と第2剤(毛髪化粧料用組成物)とから構成され、第1剤と第2剤を混合した混合液の状態で毛髪に適用される。
【0011】
<1>第1剤
第1剤は、アルカリ剤、油性成分、界面活性剤及び水からなり、水中油型乳化物の形態を有している。
【0012】
(アルカリ剤)
第1剤に含有されるアルカリ剤の具体例としては、アンモニア、アンモニウム塩、モノエタノールアミン・ジエタノールアミン・トリエタノールアミン・モノプロパノールアミン・イソプロパノールアミン・ジプロパノールアミン・トリプロパノールアミン・2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール・2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール・2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等のアルカノールアミン、グアニジン等の有機アミン、水酸化ナトリウム・水酸化カリウム・炭酸ナトリウム・炭酸カリウム等の無機アルカリ、アルギニン・リジン等の塩基性アミノ酸及びその塩などが挙げられる。
【0013】
(油性成分)
第1剤に含有される油性成分の具体例としては、炭化水素、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。
【0014】
(界面活性剤)
第1剤に含有される界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよい。
【0015】
(水)
水は、第1剤において上記各成分の溶媒又は分散媒として機能する。第1剤に含有される水は、不純物をできるだけ含まないものが好ましく、具体的には精製水が好ましい。
【0016】
<2>第2剤
第2剤は、酸化剤、油性成分、界面活性剤及び水からなり、第1剤と同じく水中油型乳化物の形態を有している。
【0017】
(酸化剤)
第2剤に含有される酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。中でも好ましいのは過酸化水素である。第2剤は酸化剤として、上に挙げたものの中から選ばれる一種のみを含む構成でも二種以上を含む構成でもよい。
【0018】
第2剤における酸化剤の含有量は、0.5〜10重量%であることが好ましく、1.0〜8.0重量%であることが特に好ましい。酸化剤の含有量が0.5重量%未満だと、第2剤として酸化作用が不十分となるため好ましくない。また10重量%を超えると、毛髪に適用したときの頭皮への刺激が強くなるため好ましくない。従って、酸化剤の含有量が0.5〜10重量%であれば十分な酸化作用を確保しながら頭皮に対する刺激性を抑えることでき、特に1.0〜8.0重量%であればその効果を一段と高めることができる。
【0019】
(油性成分)
第2剤に含有される油性成分の具体例としては、先の第1剤に油性成分として含有されうるものとして挙げたのと同じ炭化水素、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。中でも好ましいのは炭化水素、高級脂肪酸及びシリコーン類であり、その中でも特に好ましいのは炭化水素及びシリコーン類である。炭化水素、高級脂肪酸及びシリコーン類であれば乳化安定性を向上させることができ、特に炭化水素及びシリコーン類であればその効果を一段と高めることができる。第2剤は油性成分として、上に挙げたものの中から選ばれる一種のみを含む構成でも二種以上を含む構成でもよい。
【0020】
第2剤における油性成分の含有量は10重量%以上であることが必須であり、10〜65重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることが特に好ましい。油性成分の含有量が10重量%未満だと、低温安定性に優れ低温にさらされても乳化が破壊されにくいという本発明の効果を得られない場合がある。また65重量%を超えると、第1剤と混合して毛髪脱色剤として用いたときの脱色性及び均染性の低下を招くほか、脱色処理後の髪の感触も悪くなる。従って、油性成分の含有量が10〜65重量%であれば良好な低温安定性を発揮しながら脱色性及び均染性の低下や感触の悪化を防ぐことができ、特に20〜50重量%であればその効果を一段と高めることができる。
【0021】
ここで、油性成分の具体例として挙げた炭化水素、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類についてさらに説明する。
【0022】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。油性成分として炭化水素を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0023】
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アルモンド油、アボカド油、カロット油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。油性成分として油脂を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0024】
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。油性成分としてロウ類を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0025】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。油性成分として高級アルコールを第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0026】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。油性成分として第2剤に高級脂肪酸を配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0027】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。油性成分としてアルキルグリセリルエーテルを第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0028】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。油性成分としてエステル類を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0029】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等が挙げられる。油性成分としてシリコーン類を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0030】
(界面活性剤)
第2剤には、後述する第1の界面活性剤と第2の界面活性剤が含有されている。第2剤に含有される第1の界面活性剤と第2の界面活性剤の平均HLB(親水性−疎水性バランス)の値、すなわち第2剤に含有される全界面活性剤の平均HLBの値は10〜13であることが好ましい。この平均HLBの値が10未満又は13を超えると乳化安定性の低下を招く。
【0031】
まず第2剤に含有される第1の界面活性剤について説明すると、第1の界面活性剤は非イオン性界面活性剤である下記一般式(A)で表される化合物である。
R(OCH(CH3)CH2)x(OCH2CH2)yOH …(A)
(ただし、式中のRは炭素数1〜24のアルキル基を表す。またx及びyは1以上の整数を表し、x+y≦18である。)
第2剤における第1の界面活性剤の含有量は15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。第1の界面活性剤の含有量が15重量%を超えると、第1剤と混合して毛髪脱色剤として用いたときの脱色性の低下を招く。従って、15重量%以下であれば脱色性の低下を防ぐことができ、特に10重量%以下であればその効果を一段と高めることができる。
【0032】
上の一般式(A)で表される化合物の具体例としては、POE(15)ポリオキシプロピレン(以下、POPという)(1)ベヘニルエーテル、POE(2)POP(2)ブチルエーテル、POE(3)POP(2)ブチルエーテル、POE(5)POP(3)ブチルエーテル、POE(4)POP(4)ブチルエーテル、POE(5)POP(5)ブチルエーテル、POE(7)POP(5)ブチルエーテル、POE(10)POP(7)ブチルエーテル、POE(2)POP(15)ブチルエーテル、POE(9)POP(2)セトステアリルエーテル、POE(12)POP(4)セトステアリルエーテル、POE(1)POP(1)セチルエーテル、POE(5)POP(1)セチルエーテル、POE(10)POP(1)セチルエーテル、POE(1)POP(2)セチルエーテル、POE(5)POP(2)セチルエーテル、POE(10)POP(2)セチルエーテル、POE(1)POP(4)セチルエーテル、POE(5)POP(4)セチルエーテル、POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(1)POP(8)セチルエーテル、POE(2)POP(8)セチルエーテル、POE(5)POP(8)セチルエーテル、POE(10)POP(8)セチルエーテル、POE(6)POP(1)デシルエーテル、POE(10)POP(2)デシルエーテル、POE(4)POP(4)デシルエーテル、POE(6)POP(4)デシルエーテル、POE(4)POP(6)デシルエーテル、POE(9)POP(6)デシルエーテル、POE(6)POP(8)デシルエーテル、POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(5)POP(9)オクチルエーテル、POE(4)POP(2)イソデシルエーテル、POE(6)POP(2)イソデシルエーテル、POE(9)POP(2)イソデシルエーテル、POE(12)POP(2)イソデシルエーテル、POE(1)POP(3)イソデシルエーテル、POE(9)POP(3)イソステアリルエーテル、POE(9)POP(3)ラウリルエーテル、POE(2)POP(4)ラウリルエーテル、POE(5)POP(4)ラウリルエーテル、POE(7)POP(4)ラウリルエーテル、POE(5)POP(5)ラウリルエーテル、POE(3)POP(6)ラウリルエーテル、POE(3)POP(3)ミリスチルエーテル、POE(11)POP(3)ミリスチルエーテル、POE(6)POP(3)オレイルエーテル、POE(3)POP(9)ステアリルエーテル、POE(6)POP(1)トリデシルエーテル、POE(6)POP(4)トリデシルエーテル、POE(8)POP(6)トリデシルエーテル等が挙げられる。第2剤は第1の界面活性剤として、上に挙げたものの中から選ばれる一種のみを含む構成でも二種以上を含む構成でもよい。なお、これらの具体例における「POE」の後の括弧内の数字はポリオキシエチレンの重合度を表し、これは前記一般式(A)中のyに相当する。また同様に、「POP」の後の括弧内の数字はポリオキシプロピレンの重合度を表し、これは前記一般式(A)中のxに相当する。
【0033】
次に第2剤に含有される第2の界面活性剤について説明すると、第2の界面活性剤は、前記第1の界面活性剤以外のもの、すなわち前記一般式(A)で表される化合物以外の界面活性剤であれば陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよい。中でも好ましいのは、HLBの値が13〜20の非イオン性界面活性剤である。HLBの値が13〜20の非イオン性界面活性剤であれば、第1の界面活性剤と第2の界面活性剤の平均HLBの値を、好ましい範囲である10〜13に適正化しやすい。第2剤は第2の界面活性剤として、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の中から選ばれる一種のみを含む構成でも二種以上を含む構成でもよい。第2剤における第2の界面活性剤の含有量は、10重量%以下が好ましい。
【0034】
ここで、第2の界面活性剤として第2剤に含有されうる陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤についてさらに説明する。
【0035】
陽イオン性界面活性剤の具体例としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等が挙げられる。第2の界面活性剤として陽イオン性界面活性剤を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0036】
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩等が挙げられる。第2の界面活性剤として陰イオン性界面活性剤を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0037】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、POEセチルエーテル・POEステアリルエーテル・POEベヘニルエーテル・POEオレイルエーテル・POEラウリルエーテル・POEオクチルドデシルエーテル・POEヘキシルデシルエーテル・POEイソステアリルエーテル・POEノニルフェニルエーテル・POEオクチルフェニルエーテル等のエーテル型非イオン性界面活性剤、モノオレイン酸POEソルビタン・モノステアリン酸POEソルビタン・モノパルミチン酸POEソルビタン・モノラウリン酸POEソルビタン・トリオレイン酸POEソルビタン・モノステアリン酸POEグリセリン・モノミリスチン酸POEグリセリン・テトラオレイン酸POEソルビット・ヘキサステアリン酸POEソルビット・モノラウリン酸POEソルビット・POEソルビットミツロウ・モノオレイン酸ポリエチレングリコール・モノステアリン酸ポリエチレングリコール・モノラウリン酸ポリエチレングリコール・親油型モノオレイン酸グリセリン・親油型モノステアリン酸グリセリン・自己乳化型モノステアリン酸グリセリン・モノオレイン酸ソルビタン・セスキオレイン酸ソルビタン・トリオレイン酸ソルビタン・モノステアリン酸ソルビタン・モノパルミチン酸ソルビタン・モノラウリン酸ソルビタン・ショ糖脂肪酸エステル・モノラウリン酸デカグリセリル・モノステアリン酸デカグリセリル・モノオレイン酸デカグリセリル・モノミリスチン酸デカグリセリル等のエステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。そのうちHLBの値が13〜20のものとしては、POE(30)セチルエーテル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。第2の界面活性剤として非イオン性界面活性剤を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0038】
両性界面活性剤の具体例としては、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ二ナトリウム塩、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等が挙げられる。第2の界面活性剤として両性界面活性剤を第2剤に配合する場合には、この中から選ばれる一種のみを用いても二種以上を用いてもよい。
【0039】
(水)
水は、第2剤において上記各成分の溶媒又は分散媒として機能する。第2剤に含有される水は、不純物をできるだけ含まないものが好ましく、具体的には精製水が好ましい。
【0040】
<3>混合液
上記した第1剤と第2剤からなる二剤式の毛髪脱色剤を毛髪に適用する際には、第1剤と第2剤を所定の割合で混合して混合液とし、その混合液を毛髪に塗布する。毛髪に塗布された混合液によって毛髪が脱色されるメカニズムを簡単に説明すると次の通りである。まず混合液を毛髪に塗布すると、アルカリ剤の働きでキューティクルが開いて酸化剤が毛髪内部に浸透する。そして、その毛髪内部に浸透した酸化剤の作用でメラニン色素が分解され、その結果毛髪が脱色される。
【0041】
本実施形態によって得られる効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の第2剤(毛髪化粧料用組成物)によれば、寒冷時など低温にさらされたときに乳化が破壊するおそれを小さくすることができる。このため、第1剤と混合して毛髪脱色剤として用いたときの脱色性が、第2剤が低温にさらされたことよって低下するおそれを小さくすることができる。これは、第2剤における油性成分の含有量が10重量%以上であることと、第2剤に界面活性剤として前記一般式(A)で表される化合物が含有されていることによるものである。前記一般式(A)で表される化合物は、従来の毛髪化粧料用組成物で使用されている界面活性剤に比べて凝固点が低いので、それを含有する第2剤の凝固点も従来に比べて低い。また第2剤における油性成分の含有量が増えれば、相対的に第2剤における水の含有量が減るため、その分凍結しにくくなる。よって、本実施形態の第2剤は、低温安定性が良好で、低温にさらされても凍結しにくく乳化が破壊されにくい。
【0042】
・ 第2剤に含有される第1の界面活性剤と第2の界面活性剤の平均HLBを10〜13とすることによって、第2剤の乳化安定性の向上を図ることができる。
【0043】
・ 第2剤に含有される第2の界面活性剤としてHLBの値が13〜20の非イオン性界面活性剤を用いることによって、第1の界面活性剤と第2の界面活性剤の平均HLBの値を、好ましい範囲である10〜13に適正化しやすくすることができる。というのも、前記一般式(A)で表される化合物のHLBの値が通常8〜11程度であるため、HLBの値が13〜20の非イオン性界面活性剤を併用すれば、平均HLBの値を10〜13の範囲に容易に調整できるからである。
【0044】
・ 第2剤における前記一般式(A)で表される化合物の含有量を15重量%以下とすることによって、第1剤と混合して毛髪脱色剤として用いたときの脱色性の低下を防ぐことができる。
【0045】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態では二剤式の毛髪脱色剤の第2剤として本発明を具体化したが、三剤式の毛髪脱色剤の第2剤として本発明を具体化するようにしてもよい。
【0046】
・ 前記実施形態における第1剤に酸化染料中間体、直接染料等の染料を配合することによって、二剤式の染毛剤の第2剤として本発明を具体化するようにしてもよい。また三剤式の染毛剤の第2剤として本発明を具体化するようにしてもよい。
【0047】
・ 前記実施形態の第1剤は水中油型乳化物の形態を有しているが、第1剤の剤型はそれに限定されない。例えば第1剤の剤型は溶液状、粉末状でもよく、剤型に応じて、アルカリ剤、油性成分、界面活性剤及び水以外の成分を添加したり、油性成分、界面活性剤及び水のうちの少なくともいずれか一つを省略したりして構成してもよい。
【0048】
・ 第2剤は、酸化剤、油性成分、界面活性剤及び水以外の成分を任意成分として含む構成であってもよい。
・ 第2剤を、界面活性剤として前記一般式(A)で表される化合物を単独で含み、その他の種類の界面活性剤を含まない構成としてもよい。ただしこの場合は、第2剤における前記一般式(A)で表される化合物の含有量は0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることが特に好ましい。この含有量が0.1重量%未満だと、第2剤の乳化安定性の低下を招くため好ましくない。すなわち、第2剤における前記一般式(A)で表される化合物の含有量が0.1重量%以上であれば十分な乳化安定性を確保することでき、特に0.5重量%以上であればその効果を一段と高めることができる。また、第2剤に含有される前記一般式(A)で表される化合物のHLBの値は、第2剤の乳化安定性の向上を図るうえで10〜13であることが好ましい。
【0049】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<実施例1〜7・比較例1〜4>
毛髪化粧料用組成物(第2剤)として、下記表1に示す組成からなるものをそれぞれ調製した。なお、いずれもリン酸でpHを3に調整するとともに精製水で100重量%とした。また表1中の数値の単位は、平均HLBの行を除いて、全て重量%である。ちなみに、POE(5)POP(4)セチルエーテルのHLBの値は8.7、POE(10)POP(4)セチルエーテルのHLBの値は10.5、POE(10)POP(8)セチルエーテルのHLBの値は9.9、POE(20)POP(8)セチルエーテルのHLBの値は12.5、POE(2)セチルエーテルのHLBの値は8.0、POE(30)セチルエーテルのHLBの値は19.5である。
【0050】
【表1】
<評価>
上記各例の毛髪化粧料用組成物について、下記の五つの項目に関し評価した。
その結果を表2に示す。
【0051】
(a)乳化安定性
毛髪化粧料用組成物を常温の下で三ヶ月間放置した後、水相と油相の分離の有無を目視にて確認した。分離が全く認められないものを◎、分離がほとんど認められないものを○、分離がやや認められるものを△、分離がかなり認められるものを×と、分離の程度から乳化安定性を四段階で評価した。
【0052】
(b)−5℃〜5℃サイクルにおける低温安定性
毛髪化粧料用組成物を、6時間ごとに−5℃→0℃→5℃→0℃→−5℃→0℃→…というサイクルで変化する温度の下で一ヶ月間放置した後、常温に戻し、水相と油相の分離の有無を目視にて確認した。(a)乳化安定性の評価の場合と同様に分離の程度から−5℃〜5℃サイクルにおける低温安定性を四段階で評価した。
【0053】
(c)−10℃における低温安定性
毛髪化粧料用組成物を−10℃の下で一ヶ月間放置した後、常温に戻し、水相と油相の分離の有無を目視にて確認した。(a)乳化安定性の評価の場合と同様に分離の程度から−10℃における低温安定性を四段階で評価した。
【0054】
(d)脱色性
毛髪化粧料用組成物を−10℃の下で一ヶ月間放置した後、常温に戻し、それを毛髪脱色剤の第1剤と混合して混合液とし、その混合液を毛髪に適用した。混合液で処理された毛髪の脱色の程度から脱色性を、優(◎)、良(○)、やや不良(△)、不良(×)の四段階で評価した。
【0055】
なお、本評価で使用した毛髪脱色剤の第1剤は、セタノールを7.0重量%、流動パラフィンを10.0重量%、オリーブ油を5.0重量%、POE(15)セチルエーテルを5.0重量%、塩化セチルトリメチルアンモニウムを3.0重量%、28%アンモニア水を5.0重量%含有し、精製水で100重量%とされている。
【0056】
(e)染色性
毛髪化粧料用組成物を−10℃の下で一ヶ月間放置した後、常温に戻し、それを染毛剤の第1剤と混合して混合液とし、その混合液を毛髪に適用した。混合液で処理された毛髪の染色の程度から染色性を、優(◎)、良(○)、やや不良(△)、不良(×)の四段階で評価した。
【0057】
なお、本評価で使用した染毛剤の第1剤は、p−フェニレンジアミンを1.0重量%、レゾルシンを1.0重量%、セタノールを7.0重量%、流動パラフィンを10.0重量%、オリーブ油を5.0重量%、POE(15)セチルエーテルを5.0重量%、塩化セチルトリメチルアンモニウムを3.0重量%、28%アンモニア水を5.0重量%含有し、精製水で100重量%とされている。
【0058】
(f)均染性
毛髪化粧料用組成物を−10℃の下で一ヶ月間放置した後、常温に戻し、それを染毛剤の第1剤と混合して混合液とし、その混合液を毛髪に適用した。混合液で処理された毛髪を目視にて観察して、毛髪全体が均一に染色されているものを◎、概ね均一のものを○、やや不均一なものを△、かなり不均一なものを×と、四段階で均染性を評価した。なお、本評価で使用した染毛剤の第1剤は、(e)染色性の評価で使用したものと同じものである。
【0059】
【表2】
表2に示すように、実施例1〜7は(b)、(c)の低温安定性に関する評価がいずれも◎又は○で、そのうち実施例5と実施例6以外の実施例では、脱色性、染色性及び均染性に関する評価も◎又は○であった。これは、低温安定性が良好であるために低温にさらした後でも乳化が安定して維持されていることがその理由と考えられる。なお、実施例5と実施例6は脱色性、染色性及び均染性の評価が△と悪かったが、低温にさらしたときに凍結して乳化が破壊された結果として脱色性、染色性及び均染性が低下したのではなく、その他の原因による。すなわち、実施例5の場合は油性成分の含有量が65重量%を超えること、実施例6の場合は前記一般式(A)で表される化合物の含有量が15重量%を超えることが原因である。一方、比較例1〜4は(b)、(c)の低温安定性に関する評価がいずれも△又は×であった。
【0060】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記油性成分の含有量が65重量%以下であることを特徴とする前記毛髪化粧料用組成物。このように構成すれば、アルカリ剤を含有する組成物又はアルカリ剤と染料を含有する組成物と混合して毛髪脱色剤又は染毛剤として用いたときの脱色性又は染色性の低下、均染性の低下及び髪の感触の悪化を防ぐことができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、低温にさらされたときに乳化が破壊するおそれを小さくすることができる。
【0062】
また、乳化安定性の向上を図ることができる。
また、界面活性剤の平均HLBの値を、好ましい範囲である10〜13に適正化することが容易になる。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、アルカリ剤を含有する組成物又はアルカリ剤と染料を含有する組成物と混合して毛髪脱色剤又は染毛剤として用いたときの脱色性又は染色性の低下を防ぐことができる。
Claims (2)
- アルカリ剤を含有する組成物又はアルカリ剤と染料を含有する組成物と混合して毛髪脱色剤又は染毛剤として用いられるもので、酸化剤、油性成分、界面活性剤及び水を含有して水中油型乳化物の形態を有する毛髪化粧料用組成物であって、
前記油性成分は、炭化水素、高級アルコール、及びシリコーン類から選ばれる少なくとも一種であって、
前記油性成分の含有量が10重量%以上であるとともに、前記界面活性剤として下記一般式(A)で表される化合物を含有することを特徴とする毛髪化粧料用組成物。
R(OCH(CH3)CH2)x(OCH2CH2)yOH …(A)
(ただし、式中のRはセチル基を表す。またx及びyは1以上の整数を表し、x+y≦18である。) - 前記一般式(A)で表される化合物の含有量が15重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料用組成物。
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