JP4870883B2 - 毛髪化粧料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化染毛剤又は毛髪脱色剤として毛髪に適用される毛髪化粧料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の毛髪化粧料組成物は、アルカリ剤及び酸化染料中間体等の染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合することにより調製されて、酸化染毛剤として使用されている。また、第1剤の酸化染料中間体等の染料を除き、酸化剤を有する第2剤と混合することにより調製されたものは、毛髪脱色剤として使用されている。
【0003】
第1剤に含まれるアルカリ剤は、酸化剤の作用を促進することによって毛髪に明度を与えている。
一方、従来よりアルカリ剤としてアンモニアが配合されているが、このアンモニアには刺激臭がある。そこで、アンモニアの代わりとしてモノエタノールアミン等のアルカノールアミンを含有させてアンモニアの含有量を減らすことにより刺激臭を低減させる試みがなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、アンモニアの代わりとしてモノエタノールアミン等のアルカノールアミンを使用すると、酸化剤の作用を十分に促進できないため、毛髪の明度が十分に得られないという問題があった。また、酸化剤の作用を十分に促進するためにアンモニアを配合すると刺激臭が低減されないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、アルカノールアミンのみによっても十分な明度を付与することができるとともに、刺激臭を一層低減することができる毛髪化粧料組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪化粧料組成物では、少なくともアルカノールアミンを含有する第1剤と、少なくとも酸化剤、油性成分及び界面活性剤を含有する第2剤を用時に混合調製して酸化染毛剤又は毛髪脱色剤として用いられる毛髪化粧料組成物であって、油性成分が、少なくとも流動パラフィンを含み、界面活性剤が、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、第1剤と第2剤の混合液中にはアルカノールアミンが1.0〜5.0重量%、油性成分が17.5〜27.0重量%及び界面活性剤が1.75〜10.0重量%含有するとともに、油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)が10.0以下であり、アンモニアを含有しないものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の毛髪化粧料組成物では、請求項1に記載の発明において、前記油性成分の65重量%以上が第2剤中に含有されているものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の毛髪化粧料組成物では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記油性成分がさらにグリセリンモノアルキルエーテルを含むものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の毛髪化粧料組成物では、少なくともアルカノールアミンを含有する第1剤と、少なくとも酸化剤、油性成分及び界面活性剤を含有する第2剤を用時に混合調製して酸化染毛剤又は毛髪脱色剤として用いられる毛髪化粧料組成物であって、油性成分が、少なくとも流動パラフィンを含み、界面活性剤が、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、第1剤と第2剤の混合液中にはアルカノールアミンが1.0〜5.0重量%、油性成分が17.5〜27.0重量%及び界面活性剤が1.75〜10.0重量%含有するとともに、油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)が10.0以下であり、前記第1剤にアンモニア及びアンモニウム塩の少なくとも一種を含有し、第1剤中の含有量がアンモニア換算で0.001〜0.370重量%であるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を酸化染毛剤として用いられる毛髪化粧料組成物に具体化した第1実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本実施形態における毛髪化粧料組成物は、第1剤と第2剤の二種を混合して得られるものである。また、本実施形態における毛髪化粧料は、第1剤と第2剤とによって構成されている。
[第1剤]
本実施形態における第1剤には、少なくともアルカノールアミンが配合される他、アンモニア及びアンモニウム塩、染料、油性成分、界面活性剤、水等が配合される。
【0012】
アルカノールアミンは、酸化剤の作用を促進することによって毛髪に明度を付与するために配合される。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。これらの中でも毛髪に明度を付与する効果が高いことからモノエタノールアミンが好ましい。第1剤中におけるアルカノールアミンの含有量は、好ましくは2.0〜10.0重量%であり、より好ましくは4.0〜8.0重量%、特に好ましくは6.0〜8.0重量%である。2.0重量%未満では酸化剤の作用を促進することができない。一方、10.0重量%を超えて配合すると、染毛後に酸化染毛剤を流すときに、毛髪にごわつきやきしみが生じやすい。
【0013】
アンモニア及びアンモニウム塩は、酸化剤の作用を促進することによって、より十分な明度及び染毛力を付与するために配合される。アンモニアは好ましくはアンモニア水、さらに好ましくは28重量%のアンモニア水として配合される。アンモニウム塩の具体例としては、塩化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等の無機酸系アンモニウム塩、乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、グリコール酸アンモニウム等の有機酸系アンモニウム塩等が挙げられる。第1剤にはこれらのアンモニアとアンモニウム塩の少なくとも一方を含有することが好ましく、アンモニアとアンモニウム塩を合わせた配合量は、第1剤中においてアンモニア換算で0.001〜0.370重量%である。この配合量が0.001重量%未満では酸化剤の作用を十分に促進することができない。一方、0.370重量%を超えて配合すると、刺激臭が生じやすい。
【0014】
染料は毛髪を染色するために配合される。染料の具体例としては、酸化染料中間体、直接染料等が挙げられる。酸化染料中間体は、酸化剤により酸化されることによって毛髪を染色する。酸化染料中間体の具体例としては、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、トルイレンジアミン類、アミノニトロフェノール類、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類、及びそれらの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの中でも、染毛力が強いことからパラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、2,6−ジクロロパラフェニレンジアミン、パラアミノフェニルスルファミン酸、及びそれらの塩類が好ましい。これらの酸化染料中間体は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。染料の配合量は第1剤中に0.01〜15.0重量%が好ましい。この配合量が0.01重量%未満では十分な染毛力は得られにくい。一方、15.0重量%を超えて配合してもそれ以上の染毛力は得られにくい。
【0015】
油性成分は、アルカノールアミンによる酸化剤の促進作用を向上させ、良好な染毛力と明度を得るために配合される。油性成分の具体例としては、アボカド油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、オリーブ油のグリセライド等の油脂類、ミツロウ、ラノリン等のロウ類、流動パラフィン、固形パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、グリセリンモノアルキルエーテル(キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール)等の高級アルコール等が挙げられる。これらの油性成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの油性成分の中でも第1剤及び第2剤の混合時の粘度変化を低減するために、少なくともグリセリンモノアルキルエーテルを含有することが好ましい。また、これらの油性成分の中でも第1剤の乳化を補助するために、第1剤中には少なくとも高級アルコールを含有することが好ましい。
【0016】
油性成分は、第1剤中に全油性成分の35重量%を超えない範囲で配合することが好ましい。第1剤中の配合量が全油性成分の35重量%を超えると、第1剤中のアルカリ成分(アルカノールアミン)が高濃度で水相側に分配されるため、例えば、アルミニウム製のチューブ容器に収容した場合、チューブ容器が腐食するおそれがある。また、チューブ容器の内面に樹脂コートを施して使用する場合でもコート剤の選択が難しくなる。また、アンモニア、アンモニウム塩を第1剤に配合する場合においては、第1剤中の配合量が全油性成分の35重量%を超えると、水相側におけるアンモニアの濃度が高くなるため、刺激臭を抑制できないといった問題がある。これより、油性成分は第2剤中に多く配合するのが好ましい。
【0017】
界面活性剤は、第1剤に分散安定性を付与するために配合される。界面活性剤の種類は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよい。
【0018】
陽イオン性界面活性剤は、前記の作用に加えて毛髪の感触を良好にするために配合される。陽イオン性界面活性剤の具体例としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0019】
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩等が挙げられる。
【0020】
非イオン性界面活性剤は、前記の作用に加えて水と油性成分により水中油滴型乳化物を構成して第1剤に乳化安定性を付与するとともに、特にアンモニアを配合した場合に第1剤の刺激臭を低減する。非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等のエーテル型非イオン性界面活性剤、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等のエステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0021】
両性界面活性剤の具体例としては、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ二ナトリウム塩、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0022】
これらの中で、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤の少なくとも一種であることが好ましい。非イオン性界面活性剤は乳化安定性を付与し、陽イオン性界面活性剤は毛髪の感触を良好にすることができる。非イオン性界面活性剤の第1剤中における配合量は、好ましくは10.0重量%以下、さらに好ましくは8.5重量%以下、特に好ましくは8.0重量%以下である。10.0重量%を超えて配合しても、乳化安定性のそれ以上の向上は望めないとともに、特にアンモニアを配合した場合に第1剤の刺激臭を十分に低減することができない。陽イオン性界面活性剤の第1剤中における配合量は、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。1.5重量%を超えて配合しても毛髪の感触のそれ以上の向上が望めない。
【0023】
水は、水中油滴型の乳化液を得るための成分であるとともに、特にアンモニアを配合した場合に第1剤の刺激臭を低減するために適量配合される。
第1の実施形態の第1剤には、その他の添加成分として、アルカリ剤、ソルビトール、マルトース等の糖類、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、レゾルシン等の多価アルコール、バチルアルコール、キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸等の天然又は合成の高分子、パラベン等の防腐剤、EDTA−Na等のキレート剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸等のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等、また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。その他の添加成分の配合量は、第1剤の常法に従って決定される。
【0024】
アルカリ剤は、アルカノールアミン、アンモニア及びアンモニウム塩以外のものを意味し、酸化剤の作用を促進することによって、毛髪に明度を付与するために配合される。アルカリ剤の具体例としては、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。これらのアルカリ剤は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。また、二種以上のアルカリ剤を適当に組み合わせて配合することによって第1剤に緩衝作用をもたせてもよい。アルカリ剤の配合量は、第1剤のpHが好ましくは8〜12となる量である。第1剤のpHは、8未満では酸化剤の作用を十分に促進することができない。一方、12を超えると染毛を行うときに毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。
【0025】
香料は、原料臭をマスキングするとともに、特にアンモニアを配合した場合に第1剤の刺激臭をより一層低減するために配合される。香料の具体例としては、特開2000−344629号公報に記載されている香料等が挙げられる。これら香料は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0026】
第1の実施形態の第1剤が水中油滴型乳化物として構成されるときには、第1剤の粘度は10000〜50000ミリパスカル・秒(mPa・s)が好ましい。10000ミリパスカル・秒よりも小さいと、混合粘度が小さくなって、脱色操作を行うときに垂れ落ちや飛び散りが生じやすい。一方、50000ミリパスカル・秒よりも大きいと、第1剤に配合された成分の混合性が低下したり、あるいは混合液の粘度が高くなりすぎて毛髪に均一に塗布するのが困難となり、染毛するときにムラが生じやすい。
[第2剤]
本実施形態における第2剤には、少なくとも酸化剤、油性成分及び界面活性剤が配合される他、水等が配合される。
【0027】
酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色し、酸化原料中間体等の染料を酸化するために配合される。酸化剤の具体例としては、過酸化水素等が挙げられる。第2剤中における酸化剤の配合量は、好ましくは0.2〜10.0重量%、さらに好ましくは2.0〜6.0重量%である。0.2重量%未満ではメラニンを脱色することができない。一方、10.0重量%を超えて配合すると、毛髪に損傷等の不具合が発生する。
【0028】
油性成分は、上記の第1剤に記載の機能発現のために配合されている。油性成分の具体例は第1剤と同じである。第1剤に記載の理由により、第2剤中には全油性成分の65重量%以上が配合されることが好ましい。
【0029】
界面活性剤は、上記の第1剤と同じものが用いられる。界面活性剤の種類は、第1剤に記載の理由により、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤の少なくとも一種であることが好ましい。非イオン性界面活性剤の第2剤中における配合量は、好ましくは10.0重量%以下、さらに好ましくは8.5重量%以下、特に好ましくは8.0重量%以下である。10.0重量%を超えて配合しても乳化安定性のそれ以上の向上は望めない。陽イオン性界面活性剤の第2剤中における配合量は、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。1.5重量%を超えて配合しても毛髪の感触のそれ以上の向上は望めない。
【0030】
水は第2剤の乳化安定性のために適量配合される。
その他の成分として、上記した第1剤に配合されうるその他の添加成分の中から選ばれる少なくとも一種を第2剤に配合してもよい。
【0031】
また、第2剤のpHは2〜6が好ましく、3〜5がより好ましい。
[混合液]
第1剤と第2剤は、混合調製して混合液として使用される。第1剤と第2剤の混合比率は、重量比で好ましくは4:1〜1:5、さらに好ましくは2:1〜1:2、最も好ましくは1:1である。
【0032】
酸化剤の混合液中における配合量は、好ましくは0.1〜5.0重量%、さらに好ましくは1.0〜3.0重量%である。この配合量が0.1重量%未満ではメラニンを脱色することができない。一方、5.0重量%を超えて配合すると、毛髪に損傷等の不具合が発生する。
【0033】
油性成分の混合液中における配合量は、17.5〜27.0重量%であり、好ましくは20.0〜25.0重量%である。この配合量が17.5重量%未満では良好な染毛力、明度を得ることができない。一方、27.0重量%を超えた場合、良好な染毛力、明度を得ることはできるが、分散安定性が低下するとともに毛髪のべとつき感が生ずる。
【0034】
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤の少なくとも一種であることが好ましく、混合液中における配合量は、1.75〜10.0重量%、好ましくは1.5〜5.0重量%、さらに好ましくは2.5〜4.0重量%である。この配合量が1.5重量%未満では分散安定性が低下する。一方、10.0重量%を超えて配合しても分散安定性のそれ以上の向上は望めない。
【0035】
油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)は、分散安定性を得るために10.0以下に設定される。この重量比が10.0を超えると(油性成分が多すぎると)毛髪の表面が親油性であるため、油分が毛髪に親和し染料やアルカリ剤が浸透しにくくなり、染毛力や明度が低下する問題がある。更に、べとついた状態となり感触も悪い。この重量比は、1.8〜10.0が好ましい。重量比が1.8未満に設定されてもそれ以上の分散安定性は得られにくい。
【0036】
非イオン性界面活性剤の混合液中における配合量は、好ましくは1.75〜10.0重量%、さらに好ましくは2.0〜8.5重量%、特に好ましくは4.0〜8.0重量%である。この配合量が1.75重量%未満では、乳化安定性が低下する。一方、10.0重量%を超えて配合しても乳化安定性のそれ以上の向上は望めない。
【0037】
陽イオン性界面活性剤の混合液中における配合量は、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。1.5重量%を超えて配合しても毛髪の感触のそれ以上の向上が望めない。
【0038】
以上詳述した第1の実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 第1の実施形態の毛髪化粧料組成物においては、第1剤中に少なくともアルカノールアミンを含有し、第2剤中に少なくとも酸化剤、油性成分及び界面活性剤を含有している。さらに、第1剤と第2剤の混合液中には1.0〜5.0重量%のアルカノールアミン、17.5〜27.0重量%の油性成分及び1.75〜10.0重量%の界面活性剤を含有するとともに、油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)が10.0以下としている。これにより、アルカノールアミンによる酸化剤の促進作用が向上し、アルカノールアミンのみによっても十分な明度を付与することができるとともに、刺激臭を一層低減することができる。
【0039】
・ 第1の実施形態の毛髪化粧料組成物においては、油性成分の65重量%以上が第2剤中に含有されている。これにより、第1剤中の油性成分濃度は低く設定されるため、アルカノールアミンが高濃度で水相側へ分配するのを防ぐとともに、第1剤をアルミニウム製のチューブ容器に収容した場合のチューブ容器の腐食を防ぐことができる。
【0040】
・ 第1の実施形態の毛髪化粧料組成物においては、第1剤にアンモニア及びアンモニウム塩の少なくとも一種を含有し、その含有量がアンモニア換算で0.001〜0.370重量%としている。これによって、より十分な明度及び染毛力を得ることができる。
【0041】
・ 第1の実施形態の毛髪化粧料組成物においては、油性成分として少なくともグリセリンモノアルキルエーテルを含有している。これにより、第1剤及び第2剤の混合時における粘度変化を低減することができる。
【0042】
・ 第1の実施形態の毛髪化粧料組成物においては、界面活性剤として非イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤の少なくとも一種を含有している。非イオン性界面活性剤によって乳化安定性を向上させることができ、陽イオン性界面活性剤によって毛髪の感触を良好にすることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を毛髪脱色剤として用いられる毛髪化粧料組成物に具体化した第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
[第1剤]
本実施形態における第1剤には、前記第1実施形態における第1剤から酸化染料中間体等の染料を除いたものが用いられる。
[第2剤]
本実施形態における第2剤には、前記第1実施形態における第2剤と同じものが用いられる。
[混合液]
第1剤と第2剤は、前記第1実施形態と同様に混合調製して混合液として使用される。
【0043】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜6及び比較例1〜7)
表1に示すように第1剤及び第2剤を1:1で混合調製して酸化染毛剤を得た。表1における数値は重量%を示し、28重量%アンモニア水の数値はアンモニア換算したときの重量%で表す。また、表中のPOEに付随するカッコ内の数値はエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。
【0044】
【表1】
表1の各例の酸化染毛剤について、油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)を算出した。さらに、第1剤と第2剤を混合した後に、毛束に塗布し、下記の(1)〜(5)の項目に関し評価を行った。その算出結果と評価結果を下記の表2、表3に示す。
【0045】
(1)刺激臭
酸化染毛剤の臭いを嗅いで、刺激臭がない(◎)、刺激臭がほとんどない(○)、刺激臭がややある(△)、刺激臭がある(×)の4段階で官能評価した。
【0046】
(2)明度
染毛処理後の毛束を目視にて観察し、染毛の明度について、優れた明度(◎)、良好な明度(○)、明度がやや不十分(△)、明度が不十分(×)の4段階で官能評価した。
【0047】
(3)染色性
染毛処理後の毛束を目視にて観察し、酸化染毛剤の染色性について、優れた染色性(◎)、良好な染色性(○)、やや染色性が劣る(△)、かなり染色性が劣る(×)の4段階で官能評価した。
【0048】
(4)第2剤の乳化安定性
第2剤の成分の混合状態を目視にて観察し、よい、(◎)、ややよい(○)、やや悪い(△)、悪い(×)の4段階で判断した。
【0049】
(5)操作性
毛束に混合液を塗布した時の垂れ落ち・飛び散りに関する操作性について、よい、(◎)、ややよい(○)、やや悪い(△)、悪い(×)の4段階で判断した。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
表2の結果から明らかなように、各実施例では表3の比較例1〜7と比較して明度、刺激臭ともに優れた効果を示すものであった。さらに、染色性、第2剤の乳化安定性、操作性についても良好であった。
(実施例8〜13及び比較例8〜14)
表4に示すように第1剤及び第2剤を1:1で混合調製して毛髪脱色剤を得た。表4における数値は重量%を示し、28重量%アンモニア水の数値はアンモニア換算したときの重量%で表す。また、表中のPOEに付随するカッコ内の数値はエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。
【0052】
【表4】
表4の各例の毛髪脱色剤について、油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)を算出した。さらに、第1剤と第2剤を混合した後に、毛束に塗布し、下記の(1)〜(4)の項目に関し評価を行った。その算出結果と評価結果を下記の表5、表6に示す。
【0053】
(1)刺激臭
毛髪脱色剤の臭いを嗅いで、刺激臭がない(◎)、刺激臭がほとんどない(○)、刺激臭がややある(△)、刺激臭がある(×)の4段階で官能評価した。
【0054】
(2)明度
脱色処理後の毛束を目視にて観察し、脱色の明度について、優れた明度(◎)、良好な明度(○)、明度がやや不十分(△)、明度が不十分(×)の4段階で官能評価した。
【0055】
(3)第2剤の乳化安定性
第2剤の成分の混合状態を目視にて観察し、よい、(◎)、ややよい(○)、やや悪い(△)、悪い(×)の4段階で判断した。
【0056】
(4)操作性
毛束に混合液を塗布した時の垂れ落ち・飛び散りに関する操作性について、よい、(◎)、ややよい(○)、やや悪い(△)、悪い(×)の4段階で判断した。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
表5の結果から明らかなように、各実施例では表6の比較例8〜14と比較して明度、刺激臭ともに優れた効果を示すものであった。さらに、第2剤の乳化安定性、操作性についても良好であった。
【0059】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記各実施形態における毛髪化粧料組成物の第1剤及び第2剤に消泡剤としてエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール等の低級アルコールが含まれる構成としてもよい。これにより、混合調製時の発泡を抑制することができる。
【0060】
・ 前記各実施形態における毛髪化粧料組成物に酸化染料中間体以外の例えば直接染料を配合して染毛剤として用いてもよい。
・ 前記各実施形態における毛髪化粧料組成物を、毛髪脱色剤としてでなく、染毛剤等で染められた髪を元の色に戻すことを目的とする毛髪脱染剤として用いてもよい。
【0061】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記第1剤中に油性成分として少なくとも高級アルコールを含有する毛髪化粧用組成物。この構成によれば、第1剤の乳化を補助することにより、乳化安定性を向上させることができる。
【0062】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の毛髪化粧料組成物によれば、アルカノールアミンのみによっても十分な明度を付与することができるとともに、刺激臭を一層低減することができる。
【0063】
請求項2に記載の発明の毛髪化粧料組成物によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、チューブ容器の腐食を防ぐことができる。
【0064】
請求項3に記載の発明の毛髪化粧料組成物によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、第1剤及び第2剤の混合時における粘度変化を低減することができる。
【0065】
請求項4に記載の発明の毛髪化粧料組成物によれば、十分な明度を得ることができるとともに、刺激臭を一層低減することができる。
Claims (4)
- 少なくともアルカノールアミンを含有する第1剤と、少なくとも酸化剤、油性成分及び界面活性剤を含有する第2剤を用時に混合調製して酸化染毛剤又は毛髪脱色剤として用いられる毛髪化粧料組成物であって、
油性成分が、少なくとも流動パラフィンを含み、界面活性剤が、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、
第1剤と第2剤の混合液中にはアルカノールアミンが1.0〜5.0重量%、油性成分が17.5〜27.0重量%及び界面活性剤が1.75〜10.0重量%含有するとともに、油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)が10.0以下であり、アンモニアを含有しないことを特徴とする毛髪化粧料組成物。 - 前記油性成分の65重量%以上が第2剤中に含有されている請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
- 前記油性成分がさらにグリセリンモノアルキルエーテルを含む請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
- 少なくともアルカノールアミンを含有する第1剤と、少なくとも酸化剤、油性成分及び界面活性剤を含有する第2剤を用時に混合調製して酸化染毛剤又は毛髪脱色剤として用いられる毛髪化粧料組成物であって、
油性成分が、少なくとも流動パラフィンを含み、界面活性剤が、少なくともポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、
第1剤と第2剤の混合液中にはアルカノールアミンが1.0〜5.0重量%、油性成分が17.5〜27.0重量%及び界面活性剤が1.75〜10.0重量%含有するとともに、油性成分と界面活性剤の重量比(油性成分の重量/界面活性剤の重量)が10.0以下であり、前記第1剤にアンモニア及びアンモニウム塩の少なくとも一種を含有し、第1剤中の含有量がアンモニア換算で0.001〜0.370重量%であることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
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