JP5506249B2 - 毛髪化粧料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物に関し、さらに詳しくは、ハチミツ、並びにラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有する毛髪化粧料組成物に関するものである。
一般に、毛髪化粧料組成物として、例えばアルカリ剤や酸化剤等を含有する染毛剤及び毛髪脱色・脱染剤(以下、単に「染毛剤等」と記載する。)が知られている。酸化剤は毛髪中のメラニンを脱色する。アルカリ剤は酸化剤の作用を促進することにより脱色後の毛髪の明度を向上させる。また、毛髪化粧料組成物中に染料を含有させる場合、アルカリ剤は毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、毛髪化粧料組成物の染色性を向上させる。しかしながら、毛髪化粧料組成物中におけるアルカリ剤及び酸化剤によって毛髪が損傷を受けて、毛髪の感触が低下する場合がある。
そこで、従来、特許文献1に開示される毛髪化粧料組成物が知られている。特許文献1の毛髪化粧料組成物としての脱色剤組成物又は染毛剤組成物は、保湿性を高めて仕上がり後の毛髪の感触を良好にすることを目的としてハチミツが配合されている。より具体的には、アルカリ剤として配合されるアルカノールアミンに起因する仕上り後の毛髪の感触の悪化を、ハチミツを配合することによって抑制している。
特開2003−073242号公報
ところが、特許文献1の毛髪化粧料組成物には、毛髪の明度向上効果について未だ不十分であるという問題があった。本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、毛髪化粧料組成物中に(A)ハチミツと(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分とを含有させることにより、上記問題が解決されることを見出したことによりなされたものである。この発明の目的は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物において、毛髪の明度を向上させることができる毛髪化粧料組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の毛髪化粧料組成物は、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン、液状ラノリン、硬質ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリンステロール、10〜30の炭素数を有する脂肪酸からなるコレステリル/ラノステリル、ラノリン脂肪酸、及びラノリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる。
請求項2に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1に記載の発明において、前記(A)ハチミツの含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比が10〜500であることを特徴とする。
請求項3に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項2に記載の発明において、前記質量比が50〜200であることを特徴とする。
請求項4に記載の毛髪化粧料組成物は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記(A)ハチミツを0.0005〜2.5質量%含有するとともに、前記(B)成分を0.005〜5質量%含有することを特徴とする。
本発明の毛髪化粧料組成物によれば、毛髪の明度を向上させることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧料組成物を毛髪脱色・脱染剤に具体化した第1実施形態について説明する。毛髪化粧料組成物は2剤式の毛髪脱色・脱染剤として、毛髪の脱色及び脱染に使用される。また、毛髪化粧料組成物は、3剤式の脱色・脱染剤としても使用される。さらに、毛髪化粧料組成物は、1剤式の毛髪脱色剤として毛髪の脱色にも使用される。
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤>
2剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えばアルカリ剤等を含有する第1剤と酸化剤等を含有する第2剤とから構成される。この第1剤と第2剤とが混合された後、毛髪の脱色及び脱染に使用される。
<第1剤>
第1剤はアルカリ剤の他に、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有している。
(A)ハチミツは、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分との併用により、毛髪脱色・脱染剤で処理した際に毛髪の明度を向上させる。ハチミツは、植物の花蜜、植物の生組織上からの分泌物、及び植物の生組織上で植物の汁液を吸う昆虫の分泌物からミツバチによって生成されたものである。その蜜源となる植物としては、特に限定されるものではないが、例えば、アカシア、レンゲ、ナタネ、ミカンが挙げられる。また、ハチミツの形状は、液状のもの又は結晶化しているもの、或いは両者の混合物の何れであってもよい。
第1剤と第2剤とが混合された混合物(毛髪脱色・脱染剤)中における(A)ハチミツの含有量は、好ましくは0.0005〜2.5質量%、より好ましくは0.0025〜0.5質量%、さらに好ましくは0.005〜0.25質量%である。この含有量が0.0005質量%未満では、毛髪の明度を向上させる効果を十分に発揮できない場合がある。一方、この含有量が2.5質量%を超えると、毛髪の明度及び毛髪の脱色性又は脱染性が低下する場合がある。
(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分は、(A)ハチミツとの併用により、毛髪脱色・脱染剤で処理した際の毛髪の明度を向上させる。油性成分としてのラノリンの誘導体としては、例えば液状ラノリン、硬質ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリンステロール、10〜30の炭素数を有する脂肪酸からなるコレステリル/ラノステリル、ラノリン脂肪酸、及びラノリン脂肪酸エステルが挙げられる。ラノリン脂肪酸エステルとしては、例えばラノリン脂肪酸オクチルドデシルが挙げられる。これらの油性成分としてのラノリン及びその誘導体のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
第1剤と第2剤とが混合された混合物(毛髪脱色・脱染剤)中における(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分の含有量(二種以上が組み合わされて含有されている場合にはそれらの総量)は、好ましくは0.005〜5質量%、より好ましくは0.05〜2.5質量%、さらに好ましくは0.25〜2質量%である。この含有量が0.005質量%未満では、毛髪の明度を向上させる効果を十分に発揮できない場合がある。一方、この含有量が5質量%を超えると、ラノリン及びその誘導体由来の臭気が強くなる場合がある。
なお、毛髪の明度をより確実に向上させるという観点から、毛髪脱色・脱染剤中において、(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比は、10〜500であることが好ましく、50〜200であることがより好ましい。
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色性又は脱染性を向上させる。アルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及びそれらの塩が挙げられる。アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。有機アミン類としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジンが挙げられる。無機アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えばアルギニン、及びリジンが挙げられる。塩としては、例えばアンモニウム塩が挙げられる。これらは単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
アルカリ剤の含有量は、好ましくは第1剤のpHが8〜12の範囲となる量である。第1剤のpHが8未満では、第1剤が第2剤と混合されたときに、第2剤に含有される酸化剤の作用が十分に促進されないおそれがある。第1剤のpHが12を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。
第1剤は必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば水、水溶性高分子化合物、上記以外の油性成分、多価アルコール、界面活性剤、糖、防腐剤、キレート剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸化助剤を含有してもよい。
水は各成分の可溶化剤として作用する。水溶性高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、及び両性の天然又は合成高分子化合物が挙げられる。カチオン性高分子化合物としては、例えばポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、及びヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられる。非イオン性の合成高分子化合物として、例えばヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
油性成分は毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は好ましくは油性成分を含有する。上記以外の油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、及びホホバ油が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びデシルテトラデカノールが挙げられる。
炭化水素としては、例えばパラフィン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、及びオレイン酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、乳酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。これらの油性成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらのシリコーンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
界面活性剤は、乳化剤又は各成分の可溶化剤として各成分を乳化又は可溶化し、組成物の粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、及びラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(以下、「POE」と記載する。)セチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEラノリン、及びPOEラノリンアルコールが挙げられる。
エステル型非イオン性界面活性剤としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
糖としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類が挙げられる。
安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えば乳酸、レブリン酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、及びアルギニンが挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸、及び亜硫酸塩、例えば亜硫酸ナトリウムが挙げられる。酸化助剤は脱色力及び脱染力を高めるために配合される。酸化助剤としては、例えば過硫酸塩が挙げられる。過硫酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムが挙げられる。
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。固体状としては、例えば粉末状及び粒子状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。第1剤の剤型が固体状の場合、添加剤として、さらに分散剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、タルク、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、及びデンプンを配合してもよい。
<第2剤>
第2剤は酸化剤を含有する。酸化剤は毛髪に含まれるメラニンを脱色する。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは2.0〜9.0質量%であり、最も好ましくは3.0〜6.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満では、メラニンを十分に脱色することができない場合がある。酸化剤の含有量が15.0質量%を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生するおそれがある。
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は安定化剤、例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有されるアルカリ剤以外の成分を適宜含有してもよい。
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状(酸化剤が常温で液体の場合は除く)、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。固体状としては、例えば粉末状及び粒子状が挙げられる。液状としては、例えば乳化液が挙げられる。
毛髪脱色・脱染剤の使用時には、第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製される。次いで、必要量の混合物がコーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤は、アルカリ剤等を含有する第1剤と、酸化剤等を含有する第2剤と、上記2剤式の毛髪脱色・脱染剤に配合される各成分のうち、アルカリ剤及び酸化剤以外の成分から選ばれる少なくとも一成分を含有する第3剤とから構成される。保存安定性の観点から、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を第3剤中に含有させることが好ましい。この第1剤〜第3剤は、全て混合された後、毛髪の脱色又は脱染に使用される。
<1剤式の毛髪脱色剤>
1剤式の毛髪脱色剤では、毛髪化粧料組成物としての毛髪脱色剤が容器、例えばアプリケータ容器に充填されている。この毛髪脱色剤は、アプリケータ容器から吐出されて毛髪の脱色に使用される。毛髪脱色剤は、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有する。また、毛髪脱色剤は好ましくはアルカリ剤及び酸化剤を含有する。酸化剤は好ましくは粉末状の酸化剤が用いられる。1剤式の毛髪脱色剤は、毛髪脱色剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。
次に、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤における作用効果について、以下に記載する。
(1)毛髪脱色・脱染剤は、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有している。したがって、脱色・脱染処理された毛髪の明度を向上させることができる。
(2)好ましくは、(A)ハチミツの含有量に対する(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分の含有量の質量比が10〜500であり、より好ましくは、同質量比が50〜200である。この場合、脱色・脱染処理された毛髪の明度をより確実に向上させることができる。
(3)好ましくは、(A)ハチミツを0.0005〜2.5質量%含有するとともに、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を0.005〜5質量%含有する。この場合、脱色・脱染処理された毛髪の明度をより確実に向上させることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明に係る毛髪化粧料組成物を染毛剤に具体化した第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る染毛剤は、第1剤と第2剤とから構成される2剤式の染毛剤である。
<第1剤>
第1剤は、例えば(A)ハチミツ、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分、アルカリ剤、並びに酸化染料を含有する。第1剤の具体的な構成は、酸化染料を含有する点を除いて、第1実施形態の2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第1剤と同じである。
酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は少なくとも染料中間体を含んでいる。
染料中間体としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。
また、第1剤は上記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体、液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。液状としては、例えば乳化液が挙げられる。
<第2剤>
第2剤の具体的な構成は、第1実施形態の2剤式の毛髪脱色・脱染剤に係る第2剤と同じである。
染毛剤の使用時には、第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製される。次いで、必要量の混合物がコーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
次に、第2実施形態の染毛剤における作用効果について、以下に記載する。
(5)染毛剤は、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有している。したがって、染毛処理された毛髪の明度を向上させることができる。また、毛髪に対する染色性を向上させることができる。
なお、上記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記各実施形態を変更することも可能である。
・ 第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤では、(A)ハチミツ、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分は第1剤中に含有されていたが、これら両成分を第2剤中に含有させてもよい。この点については、第2実施形態の染毛剤に関しても同様である。
・ 第2実施形態の染毛剤について、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤と同様に1剤式又は3剤式の染毛剤として適用してもよい。また、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤及び第2実施形態の染毛剤について、4剤式以上に構成されていてもよい。
・ 第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤を複数剤式の毛髪脱色・脱染剤に適用する場合、(A)ハチミツ、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分は使用時に同一剤中に含有されていればよい。そのため、保存時においては、(A)ハチミツ、及び(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分は、同一剤中に配合されていてもよいし、複数剤中に別々に配合されていてもよい。ただし、各成分の安定性を向上させるという観点から、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を、酸化剤とは別に配合することが好ましい。これらの点については、第2実施形態の染毛剤に関しても同様である。
・ 第2実施形態の染毛剤について、(A)ハチミツと酸化染料とを同一剤中に配合して保存する場合には、同剤中における(A)ハチミツの含有量を5質量%以下とすることが好ましい。(A)ハチミツの含有量が5質量%を超えると、酸化染料の保存安定性が低下し、染毛剤の染毛性が低下するおそれがある。
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
表1及び2に示す各成分を含有する、二剤式の染毛剤の第1剤及び第2剤を調製した。表1及び2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合して染毛剤を調製した。得られた染毛剤を、黒毛の人毛毛束(以下、単に「毛束」と記載する。)に刷毛を用いて塗布した。
次いで、染毛剤を塗布した毛束を室温(25℃)にて30分間放置した。そして、毛束に付着した染毛剤を水で洗い流した後、毛束にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理が施された毛束について、下記に示す方法に従い明度及び染色性の評価を行なった。
なお、表中の「成分」欄における(A)、(B)の表記は本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示し、a、bの表記は、比較例においてA成分、B成分の代替成分として用いた化合物を示す。また、表中の「質量比」は、(A)ハチミツの含有量に対する(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分の含有量の質量比を示す。
<明度の評価>
染毛処理が施された毛束の明度について、毛髪の色調を専門とするパネラー10名が標準光源下で目視にて明度を観察した。そして、毛束の明度について次の基準により評価した。優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1、2に示す。
<染色性の評価>
染毛処理が施された毛束の染色性について、毛髪の色調を専門とするパネラー10名が標準光源下で目視にて染色性を観察した。そして、毛束の染色性について次の基準により評価した。優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1、2に示す。
Figure 0005506249
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表1及び2に示すように、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有する各実施例は、両成分を含有しない比較例に対し、明度及び染色性の各評価が高いことが分かった。また、(A)ハチミツの含有量に対する(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分の含有量の質量比(B/A)が10〜500の範囲内である実施例1〜7、及び10〜14は、同質量比の範囲外である実施例8及び9に対し、明度及び染色性の各評価、特に染色性の評価が高いことが分かった。さらに、上記質量比(B/A)が50〜200である実施例3〜5、7、及び10〜14は、同質量比の範囲外である実施例1、2、及び6に対し、明度及び染色性がより大きく向上することが分かった。
一方、(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種を含有しない比較例1、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分に代え、他の油性成分として2−エチルヘキサン酸セチルを含有する比較例6は、各実施例に対し、明度及び染色性の各評価が低いことが分かった。
また、(A)ハチミツに代えてグルコースを含有する比較例2、並びに(A)ハチミツを含有しない比較例3及び4は、各実施例に対し、明度及び染色性の各評価が低いことが分かった。さらに、(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分のいずれも含有しない比較例5は、各実施例に対し、明度及び染色性の各評価が低いことが分かった。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 毛髪化粧料組成物の使用方法において、前記毛髪化粧料組成物に(A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン及びその誘導体から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有させ、コーム又は刷毛を用いて毛髪に前記毛髪化粧料組成物を付着させることを特徴とする毛髪化粧料組成物の使用方法。

Claims (4)

  1. (A)ハチミツ、並びに(B)ラノリン、液状ラノリン、硬質ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリンステロール、10〜30の炭素数を有する脂肪酸からなるコレステリル/ラノステリル、ラノリン脂肪酸、及びラノリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として用いられる毛髪化粧料組成物。
  2. 前記(A)ハチミツの含有量に対する前記(B)成分の含有量の質量比が10〜500であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
  3. 前記質量比が50〜200であることを特徴とする請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
  4. 前記(A)ハチミツを0.0005〜2.5質量%含有するとともに、前記(B)成分を0.005〜5質量%含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
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